パラコンパクト空間

提供: Mathpedia


パラコンパクト空間

パラコンパクト空間とは、1の分割を取ることが出来る位相空間のクラスである。

定義

位相空間 $X$ の開被覆 $\mathcal{U}$ が局所有限であるとは、任意の点 $x\in X$ について、ある $x$ の近傍 $V$ が存在し、$V\cap U\neq \emptyset$ なる $U\in \mathcal{U}$ が高々有限個であることをいう。

位相空間 $X$ がパラコンパクトであるとは、$X$ の任意の開被覆 $\mathcal{U}$ について、$\mathcal{U}$ の局所有限な細分であるような開被覆が存在することをいう。

可算パラコンパクト空間

パラコンパクト空間とは異なる概念であるが、関連する概念であるためここで定義を行う。

位相空間 $X$ が可算パラコンパクトであるとは、$X$ の任意の高々可算な開被覆 $\mathcal{U}$ について、$\mathcal{U}$ の局所有限な細分であるような開被覆が存在することをいう。

パラコンパクト空間の性質

Stone-Michael の定理

正則空間 $X$ について、以下は同値である。

  • $X$ はパラコンパクトである。
  • $X$ の任意の開被覆は $\sigma$-疎な開被覆により細分できる。
  • $X$ の任意の開被覆は $\sigma$-局所有限な開被覆により細分できる。

クッション細分の存在

位相空間 $X$ の部分集合族 $\{U_\alpha\}_{\alpha \in A}$ について、$\{V_\beta\}_{\beta \in B}$ が $\{U_\alpha\}_{\alpha \in A}$ のクッション細分であるとは、添字空間のあいだの写像 $f \colon B \to A$ が存在して任意の $B' \subset B$ について $\overline{\bigcup_{\beta \in B'} V_\beta} \subset \bigcup_{\alpha \in f(B')} U_\alpha$ が成り立つことをいう。

ここで、添字空間の写像 $f\colon B \to A$ について $\{V_\beta\}_{\beta \in B}$ が $\{U_\alpha\}_{\alpha \in A}$ のクッション細分であるとき、$V'_\alpha = \bigcup_{\beta \in f^{-1}(\alpha)} V_\beta$ ととれば、$\{V'_\alpha\}$ は $\{V_\alpha\}$ の恒等添字射のもとでのクッション細分となる。また、$V_\alpha$ を $\overline{V_\alpha}$ と取り替えることによってもクッション細分性は保たれる。

このとき、$T_1$-位相空間 $X$ について、以下は同値となる。

  • $X$ はパラコンパクト $T_2$ である。
  • $X$ の任意の開被覆に対してそれをクッション細分する被覆が存在する。

まず $X$ がパラコンパクト空間であるとする。このとき、$X$ の開被覆 $\mathcal{U} = \{U_\alpha\}_{\alpha \in A}$ をとると、パラコンパクト $T_2$-空間は正規であるため、その細分として $\mathcal{V} = \{V_\beta\}_{\beta \in B}$ と $f \colon B \to A$ であって $\overline{V_\beta} \subset U_{f(\beta)}$ が成り立つような開被覆がとれる。この $\mathcal{V}$ に対し局所有限な細分 $\mathcal{W}$ をとると、$\overline{\mathcal{W}} \lt \mathcal{U}$ より、$\mathcal{W}$ は $\mathcal{U}$ のクッション細分となる。

逆に、任意の開被覆に対してそのクッション細分が存在する空間 $X$ を考える。まず、$X$ の正規性を確かめる。$\{G_1, G_2\}$ を $X$ の開被覆とする。このとき、クッション細分なる閉被覆 $\{F_1, F_2\}$ がとれる。

$X$ のパラコンパクト性をいうためには、Stone-Michael の定理より、任意の開被覆についてそれを細分する $\sigma$-疎な開被覆を構成すればよい。

$\mathcal{U} = \{U_\alpha\}$ について、これをクッション細分する被覆 $\{C_{\alpha,1}\}$ をとる。このあと、帰納的に $\mathcal{U}$ のクッション細分 $\{C_{\alpha, i}\}$ を次の性質をみたすように定義する。

  • $\overline{\bigcup_{\beta \lt \alpha} C_{\beta, i}} \cap C_{\alpha, i + 1} = \emptyset$
  • $C_{\alpha, i} \cap \overline{\bigcup_{\beta \gt \alpha}C_{\beta, i + 1}} = \emptyset$

帰納的に $\{C_\alpha, n\}$ までがつくられたとする。このとき、$U_{\alpha, n + 1} = U_\alpha \setminus \overline{\bigcup_{\beta \lt \alpha} C_{\beta, n}}$ と定めたなら $\{U_{\alpha, n + 1}\}$ が $X$ nの開被覆となることをチェックする。実際これは、$x \in U_\alpha$ なる最小の $\alpha$ をとってくると、$\{C_{\alpha, n}\}$ のクッション細分性から、$x \in U_{\alpha, n + 1}$ が成り立つ。このとき、$\{U_\alpha, n + 1\}$ をクッション細分する被覆 $\{C_{\alpha, n + 1}\}$ をもってくれば、これは帰納法の条件をみたす。実際、ひとつめの条件は $C_{\alpha, n + 1} \subset U_{\alpha, n + 1} = U_\alpha \setminus \overline{\bigcup_{\beta \lt \alpha} C_{\beta, n}}$ が成り立つことから従う。次に、ふたつめの条件については、$\alpha \lt \beta$ について、$C_{\alpha, n} \subset U_{\beta, n + 1}$ が空集合であることから、さらに $C_{\alpha, n} \subset \bigcup_{\beta \gt \alpha} U_{\beta, n + 1} = \emptyset$ が成り立つ。また、$\overline{\bigcup_{\beta \gt \alpha} C_{\beta, n + 1}} \subset \bigcup_{\beta \gt \alpha} U_{\beta, n + 1}$ であることより示される。

次に、開被覆 $\{V_{\alpha, i}\}$ であって次の性質をみたすものを構成する。

  • $V_{\alpha, i} \subset U_\alpha$
  • $\alpha \neq \beta$ について $V_{\alpha, i} \cap V_{\beta, i} = \emptyset$

このためには $V_{\alpha, i} = X \setminus \overline{\bigcup_{\beta \neq \alpha}C_{\beta, i}}$ とおけば良い。このとき上の条件はみたされる。さらにこれらは開集合である。

$\{V_{\alpha, i}\}$ が開被覆であることを確かめる。$x\in X$ について、$\alpha(i) = \mathrm{min}\{\alpha \in A| x \in C_{\alpha, i}\}$ とする。このときある $n \in \mathbb{N}$ が存在して、$\alpha(n) = \mathrm{min}\{\alpha(i)\}$ が成り立つ。$\alpha(n)$ の定義より、$x \in C_{\alpha(n), n}$ が成り立つ。よって $x \notin \overline{\bigcup_{\beta \gt \alpha(n)}C_{\alpha, n + 1}}$ が成り立つ。また、$x \in C_{\alpha, n + 2}$ がある $\alpha \geq \alpha(n)$ について成り立つ。よって、$x \notin \bigcup_{\beta \lt \alpha(n)}C_{\beta, n + 1}$ が成り立つ。よって $x \in V_{\alpha(n), n + 1}$ が成り立つ。

次に、$\{V_{\alpha, n}\}$ をクッション細分する被覆 $\{D_{\alpha, n}\}$ をとれる。このとき、$\overline{\bigcup_\alpha D_{\alpha, i}} \subset W_i \subset \overline{W_i} \subset \bigcup_\alpha V_{\alpha, i}$ が成り立つような開集合 $W_i$ が正規性により存在する。したがって、$\{W_i \cap V_{\alpha, i}\}$ は求める $\sigma$-疎な $\mathcal{U}$ の細分となる。

関連項目