有理型関数の存在

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$X$ をリーマン面とする。

ふたつの有理型微分 $\omega_1$, $\omega_2$ を用意する。このとき、$\frac{\omega_1}{\omega_2}$ は $X$ 上の有理型関数を与えることに注意する。

このとき、以下の事実が成立する。

  • $X$ 上の任意の点 $x$ と $2$ 以上の整数 $k$ について、$x$ でのみ $k$-位の極をもち、それ以外では正則な有理型微分が存在する。
  • $X$ 上の任意の異なる点 $x$, $y$ について、$x$, $y$ で $1$ 位の極をもち、これらの留数はそれぞれ $1$, $-1$ であり、それ以外では正則な有理型微分が存在する。

したがって、これらの事実と最初に述べた注意により、次のような有理型関数の存在に関する事実が導かれる。

  • リーマン面 $X$ には定値でない有理型関数が存在する。
  • $X$ の任意の点 $p$ について、$p$ で $1$-位の極を持つような有理型関数が存在する。
  • 有限個の点 $p, q_1, \ldots, q_n$ について、$p$ を零点として $q_\bullet$ を極とする有理型関数が存在する。