楕円(高校数学)

同義語:ellipse (high school mathematics)

概要

楕円(ellipse)とは、相異なる 2 点 $F$、$F'$(焦点)からの距離の和が一定値 $2a$($2a>FF'$)である点全体である。焦点を $(\pm c,0)$($0<c< a$)に置くと、この条件は方程式 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$($b=\sqrt{a^2-c^2}$)と同値で、根号を外す 2 回の 2 乗で余分な点は入らない。分母の大きいほうの軸の上に焦点があり、中心からの距離は短軸の半分 $b$ と長軸の半分 $a$ の間にある。楕円は円 $x^2+y^2=a^2$ を縦に $\frac ba$ 倍した図形で、内部の面積は $\pi ab$ である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 円の方程式, 2点間の距離

高校での出発点:円を縦に縮める

円 $x^2+y^2=25$ の上の点を、$x$ 座標はそのままに、$y$ 座標だけ $\frac45$ 倍に縮めて動かすと、つぶれた円ができる。これが楕円である。数学 C では、楕円を「2 つの定点からの距離の和が一定の点の集まり」と定義して習う。この 2 つの見方が同じ曲線を与えることを、まず数で確かめる。

円を $\frac45$ 倍に縮める

円 $x^2+y^2=25$ の上の点 $(3,4)$、$(0,5)$、$(5,0)$、$(-4,3)$ を、$y$ 座標だけ $\frac45$ 倍した点に移すと $\left(3,\frac{16}5\right)$、$(0,4)$、$(5,0)$、$\left(-4,\frac{12}5\right)$ になる。これらはどれも式 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{16}=1$ を満たす。たとえば $\left(3,\frac{16}5\right)$ では $\frac9{25}+\frac{256}{25\cdot16}=\frac9{25}+\frac{16}{25}=1$ である。

距離の和を測る

同じ曲線 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{16}=1$ の上の点で、2 点 $F(3,0)$、$F'(-3,0)$ までの距離の和を計算する。

  1. $(5,0)$:$PF=2$、$PF'=8$ で、和は $10$。
  2. $(0,4)$:$PF=\sqrt{9+16}=5$、$PF'=5$ で、和は $10$。
  3. $\left(3,\frac{16}5\right)$:$PF=\frac{16}5$($F$ の真上)、$PF'=\sqrt{36+\frac{256}{25}}=\sqrt{\frac{1156}{25}}=\frac{34}5$ で、和は $\frac{50}5=10$。
    どの点でも和は $10$ である。

円 x²+y²=25 を縦に 4/5 倍に縮めた楕円 x²/25+y²/16=1 と、その上の点 P(3, 16/5) から 2 つの焦点 F(3,0)、F'(−3,0) までの距離 16/5 と 34/5(和は 10)を見る図 円 x²+y²=25 を縦に 4/5 倍に縮めた楕円 x²/25+y²/16=1 と、その上の点 P(3, 16/5) から 2 つの焦点 F(3,0)、F'(−3,0) までの距離 16/5 と 34/5(和は 10)を見る図
2 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. 「距離の和が一定」と方程式 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ は、ちょうど同じ点の集まりを表すのか。→ thm-ell-standard
  2. 焦点の位置は、方程式の $a$、$b$ からどう読むのか。$y$ 軸方向に長い楕円ではどうなるか。→ thm-ell-standard、cor-ell-vertical
  3. 楕円はいつも円を縮めた形なのか。面積はどうなるか。→ thm-ell-circle、cor-ell-area
    高校の計算この記事での見方ボックス
    根号を移して 2 回 2 乗する2 乗しても余分な点は入らない($\lvert x\rvert\le a$ が効く)thm-ell-standard
    $c=\sqrt{a^2-b^2}$ で焦点を求める長いほうの軸の上に焦点があるcor-ell-vertical
    円を縮めた図として描く楕円は円の 1 方向の縮小で、面積は $\pi ab$thm-ell-circle、cor-ell-area

楕円の定義

楕円

平面上の相異なる 2 点 $F$、$F'$ と、$2a>FF'$ を満たす正の数 $a$ について、$PF+PF'=2a$ を満たす点 $P$ 全体を、$F$、$F'$ を 焦点 とする 楕円 という。線分 $FF'$ の中点をこの楕円の 中心 という。

「$2a>FF'$」は、三角形の 2 辺の和は残りの 1 辺より大きいことから来る条件である。どの点 $P$ でも $PF+PF'\ge FF'$ なので、$2a$ が $FF'$ より小さければ条件を満たす点はなく、$2a=FF'$ なら線分 $FF'$ になってしまう(ex-ell-degenerate)。
以下、焦点を $x$ 軸上に原点について対称に置き、$F(c,0)$、$F'(-c,0)$($c>0$)とする。このとき $FF'=2c$ で、条件 $2a>FF'$ は $a>c$ である。この置き方での標準形の導き方と、長軸が $y$ 軸の場合の標準形は Abr21 §10.1 にもある。

主定理 1:楕円の方程式

楕円の方程式(標準形)

$0< c< a$ とし、$b=\sqrt{a^2-c^2}$ とおく。点 $P(x,y)$ について、次の 2 つは同値である。

  1. $PF+PF'=2a$($F(c,0)$、$F'(-c,0)$)。
  2. $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$。
    このとき $a>b>0$ であり、焦点は $(\pm\sqrt{a^2-b^2},0)$ である。

証明の鍵は、次の恒等式である。どの点 $P(x,y)$ についても、展開して比べると
$$ a^2PF^2-(a^2-cx)^2=b^2x^2+a^2y^2-a^2b^2\qquad(\ast) $$
が成り立つ。実際、左辺は $a^2(x^2-2cx+c^2+y^2)-(a^4-2a^2cx+c^2x^2)=(a^2-c^2)x^2+a^2y^2-a^2(a^2-c^2)$ で、$a^2-c^2=b^2$ である。同じ計算で $a^2PF'^2-(a^2+cx)^2$ も同じ右辺になる。

根号を 1 つずつ外す

方針:1 ⇒ 2 は、根号を 1 つ移項して 2 乗し、残った根号を 1 つにしてもう一度 2 乗する。2 ⇒ 1 は、恒等式 $(\ast)$ で $PF$ を $x$ の 1 次式に直し、根号を外すときの符号を $|x|\le a$ で確かめる。
段 1(1 ⇒ 2:1 回目の 2 乗)。$PF'=2a-PF$ の両辺を 2 乗すると $PF'^2=4a^2-4a\cdot PF+PF^2$ である。$PF'^2-PF^2=(x+c)^2-(x-c)^2=4cx$ なので、$4cx=4a^2-4a\cdot PF$、つまり
$$ a\cdot PF=a^2-cx $$
である。
段 2(1 ⇒ 2:2 回目の 2 乗)。段 1 の両辺を 2 乗すると $a^2PF^2=(a^2-cx)^2$ で、$(\ast)$ の左辺が $0$ になる。よって $b^2x^2+a^2y^2=a^2b^2$ で、両辺を $a^2b^2>0$ で割ると 2 を得る。
段 3(2 ⇒ 1:$PF$ を求める)。2 を仮定すると $(\ast)$ の右辺は $0$ なので、$a^2PF^2=(a^2-cx)^2$ である。両辺の正の平方根をとると $a\cdot PF=|a^2-cx|$ である。
段 4(2 ⇒ 1:符号を決める)。2 から $\frac{x^2}{a^2}=1-\frac{y^2}{b^2}\le1$ なので $|x|\le a$ である。$0< c< a$ なので $cx\le c|x|\le ca< a^2$ で、$a^2-cx>0$ である。よって $a\cdot PF=a^2-cx$、つまり $PF=a-\frac cax$ である。同じように $(\ast)$ の $PF'$ 版から $a\cdot PF'=|a^2+cx|=a^2+cx$ で、$PF'=a+\frac cax$ である。
段 5(2 ⇒ 1:まとめる)。足すと $PF+PF'=2a$ で、1 が成り立つ。最後に、$c>0$ から $b^2=a^2-c^2< a^2$ で $b< a$、$c< a$ から $b^2>0$ で $b>0$ である。また $c^2=a^2-b^2$ から $c=\sqrt{a^2-b^2}$ である。$\square$

段 4 で $|x|\le a$ を使ったところが、「2 回 2 乗しても余分な点が紛れ込まない」ことの中身である。段 4 で出てきた式 $PF=a-\frac cax$、$PF'=a+\frac cax$ を 焦点半径 の公式という。焦点半径を使って楕円にも「準線」があることを示す話は、2次曲線の焦点と準線 の系「楕円の準線」で扱う(同じ記事の定理「楕円の標準形と焦点半径」は、ここと別の順で同じ同値を示している)。
方程式の形が ex-ell-start-sum と合っていることを確かめる。$\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{16}=1$ では $a=5$、$b=4$ なので $c=\sqrt{25-16}=3$ で、焦点は $(\pm3,0)$、距離の和は $2a=10$ である。焦点半径の公式でも、$\left(3,\frac{16}5\right)$ では $PF=5-\frac35\cdot3=\frac{16}5$、$PF'=5+\frac95=\frac{34}5$ になる。

長軸・短軸・頂点

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$($a>b>0$)が $x$ 軸と交わる 2 点 $(\pm a,0)$ と $y$ 軸と交わる 2 点 $(0,\pm b)$ を 頂点 という。線分 $(-a,0)$–$(a,0)$ を 長軸、線分 $(0,-b)$–$(0,b)$ を 短軸 という。長軸の長さは $2a$、短軸の長さは $2b$ である。

焦点と和から方程式を作る
  1. 焦点 $(\pm4,0)$、距離の和 $10$ の楕円:$a=5$、$c=4$、$b=\sqrt{25-16}=3$ で、$\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$ である。
  2. 焦点 $(\pm1,0)$ で点 $\left(1,\frac32\right)$ を通る楕円:距離の和は $\frac32+\sqrt{4+\frac94}=\frac32+\frac52=4$ なので $a=2$、$b=\sqrt{4-1}=\sqrt3$ で、$\frac{x^2}4+\frac{y^2}3=1$ である。
  3. $4x^2+9y^2=36$:両辺を $36$ で割ると $\frac{x^2}9+\frac{y^2}4=1$ で、$a=3$、$b=2$、焦点は $(\pm\sqrt5,0)$ である。

$y$ 軸方向に長い楕円

thm-ell-standard では分母の大きいほうが $x^2$ の下にあった。分母の大きいほうが $y^2$ の下にあるときは、焦点は $y$ 軸の上に来る。

$y$ 軸の上に焦点がある楕円

$0< a< b$ のとき、$\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ は、焦点 $(0,\pm\sqrt{b^2-a^2})$、距離の和 $2b$ の楕円である。したがって、$p>0$、$q>0$ の方程式 $\dfrac{x^2}{p^2}+\dfrac{y^2}{q^2}=1$ は、$p>q$ なら $x$ 軸上に焦点をもつ楕円、$p< q$ なら $y$ 軸上に焦点をもつ楕円、$p=q$ なら半径 $p$ の円を表す。

$x$ と $y$ を入れかえる

方針:座標を入れかえる操作が距離を変えないことを使って、thm-ell-standard に帰着させる。
段 1(入れかえは距離を変えない)。点 $(x,y)$ に点 $(y,x)$ を対応させる。2 点 $(x_1,y_1)$、$(x_2,y_2)$ の距離 $\sqrt{(x_1-x_2)^2+(y_1-y_2)^2}$ は、入れかえた 2 点 $(y_1,x_1)$、$(y_2,x_2)$ の距離と等しい(2 つの 2 乗の順番が変わるだけ)。
段 2(帰着させる)。$c=\sqrt{b^2-a^2}>0$ とおく。点 $P(x,y)$ に対し $Q(y,x)$ とおくと、$\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ は「$Q$ の座標 $(X,Y)=(y,x)$ が $\frac{X^2}{b^2}+\frac{Y^2}{a^2}=1$ を満たす」と同じである。$b>a$ なので thm-ell-standard($a$ と $b$ の役を入れかえたもの)から、これは $QG+QG'=2b$($G(c,0)$、$G'(-c,0)$)と同値である。
段 3(戻す)。$G$、$G'$ を入れかえた点は $F(0,c)$、$F'(0,-c)$ で、段 1 から $QG=PF$、$QG'=PF'$ である。よって $P$ が方程式を満たすことは $PF+PF'=2b$ と同値である。後半の $p=q$ の場合は、両辺に $p^2$ を掛けると $x^2+y^2=p^2$ になるので円である(円の方程式)。$\square$

縦長の楕円

$\frac{x^2}4+\frac{y^2}9=1$ では $a=2< 3=b$ なので、焦点は $(0,\pm\sqrt{9-4})=(0,\pm\sqrt5)$、距離の和は $6$ である。頂点 $(2,0)$ では、2 つの焦点までの距離がどちらも $\sqrt{4+5}=3$ で、和は $6$ になっている。

楕円の形

楕円の対称性と範囲

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$($a>b>0$)について、次が成り立つ。

  1. $x$ 軸、$y$ 軸、原点のそれぞれについて対称である。
  2. 楕円上の点は $|x|\le a$、$|y|\le b$ を満たす。
  3. 楕円上の点 $P$ と中心 $O$ の距離は $b\le OP\le a$ を満たす。$OP=a$ となるのは $P=(\pm a,0)$、$OP=b$ となるのは $P=(0,\pm b)$ のときだけである。
$y^2$ を $x$ で表す

1:方程式は $x^2$ と $y^2$ だけを含むので、$(x,y)$ が満たせば $(x,-y)$、$(-x,y)$、$(-x,-y)$ も満たす。
2:$\frac{x^2}{a^2}=1-\frac{y^2}{b^2}\le1$ から $x^2\le a^2$、同じく $y^2\le b^2$ である。
3:楕円上では $y^2=b^2\left(1-\frac{x^2}{a^2}\right)$ なので
$$ OP^2=x^2+y^2=b^2+\Bigl(1-\frac{b^2}{a^2}\Bigr)x^2 $$
である。$a>b$ から $1-\frac{b^2}{a^2}>0$ で、2 から $0\le x^2\le a^2$ である。よって $OP^2$ は $x^2=0$ のとき最小値 $b^2$、$x^2=a^2$ のとき最大値 $b^2+a^2-b^2=a^2$ をとり、それ以外の $x$ では $b^2$ と $a^2$ の間の値である。$x^2=0$ の点は $(0,\pm b)$、$x^2=a^2$ の点は $(\pm a,0)$ である。$\square$

3 は、楕円が「中心からの距離が一定」でないことを示している。円との違いはここにあり、そのために円で使えた「中心と直線の距離で共有点の個数を判定する方法」は楕円では使えない(円と直線の位置関係 の例「楕円では距離で判定できない」)。

主定理 2:楕円は円を縮めた図形

円の縮小としての楕円

$a>0$、$b>0$ とし、点 $(x,y)$ を点 $\left(x,\frac bay\right)$ に移す対応を $\varphi$ とする。$\varphi$ は円 $x^2+y^2=a^2$ の点と楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の点を 1 対 1 に対応させる。

移した点を楕円の式に入れる

方針:移した点が楕円の上にあることと、逆向きの対応で戻せることを示す。
段 1(円の点は楕円に移る)。$(x,y)$ が $x^2+y^2=a^2$ を満たすとし、$(X,Y)=\varphi(x,y)=\left(x,\frac bay\right)$ とおく。
$$ \frac{X^2}{a^2}+\frac{Y^2}{b^2}=\frac{x^2}{a^2}+\frac{b^2y^2}{a^2b^2}=\frac{x^2+y^2}{a^2}=1 $$
なので、$(X,Y)$ は楕円の上にある。
段 2(逆向き)。楕円上の点 $(X,Y)$ に $\left(X,\frac abY\right)$ を対応させると、同じ計算を逆にたどって、これは円の上の点で、$\varphi$ で $(X,Y)$ に移る。$\varphi$ は異なる 2 点を異なる 2 点に移す($y$ 座標を $0$ でない数倍するだけ)ので、対応は 1 対 1 である。$\square$

$b< a$ なら $\varphi$ は縦に縮める操作、$b>a$ なら縦に伸ばす操作である。ex-ell-start-shrink は $a=5$、$b=4$ の場合だった。円の点を $(a\cos\theta,a\sin\theta)$ と書くと、楕円の点は $(a\cos\theta,b\sin\theta)$ と書ける。この表し方は 2次曲線の媒介変数表示 の定理「楕円の媒介変数表示」で扱う。
縮めると面積も同じ割合で縮む。このことを積分で確かめる。

楕円の面積

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の内部($\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}\le1$ を満たす点全体)の面積は $\pi ab$ である。

上半分を円の $\frac ba$ 倍の関数で書く

楕円の内部は、$-a\le x\le a$ の範囲で、曲線 $y=\frac ba\sqrt{a^2-x^2}$ と $y=-\frac ba\sqrt{a^2-x^2}$ にはさまれた部分である($\frac{y^2}{b^2}\le1-\frac{x^2}{a^2}$ を $y$ について解いた)。よって面積は
$$ \int_{-a}^{a}2\cdot\frac ba\sqrt{a^2-x^2}\,dx=\frac ba\int_{-a}^{a}2\sqrt{a^2-x^2}\,dx $$
である。右の積分 $\int_{-a}^{a}2\sqrt{a^2-x^2}\,dx$ は、同じように考えて半径 $a$ の円の内部の面積 $\pi a^2$ に等しい(定積分と面積)。したがって面積は $\frac ba\cdot\pi a^2=\pi ab$ である。$\square$

面積を比べる

$\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{16}=1$ の内部の面積は $\pi\cdot5\cdot4=20\pi$ で、もとの円 $x^2+y^2=25$ の面積 $25\pi$ の $\frac45$ 倍である。$a=b$ のときは $\pi a^2$ となり、円の面積の公式に戻る。

例と反例

外す条件反例成り立たなくなること
$2a>FF'$(等号にする)$F(\pm3,0)$、$2a=6$点の集まりが楕円(曲線)になる(ex-ell-degenerate の 1)
$2a>FF'$(逆向きにする)$F(\pm3,0)$、$2a=4$条件を満たす点がある(ex-ell-degenerate の 2)
$a>b$(分母の大きいほうが $x^2$ の下)$\frac{x^2}4+\frac{y^2}9=1$焦点が $(\pm\sqrt{a^2-b^2},0)$ にある(ex-ell-vertical、ex-ell-trap)
距離の和が焦点間の距離以下のとき

$F(3,0)$、$F'(-3,0)$ とし、$FF'=6$ である。どの点 $P$ でも、三角不等式から $PF+PF'\ge FF'=6$ で、等号は $P$ が線分 $FF'$ の上にあるときだけ成り立つ。

  1. $2a=6$:$PF+PF'=6$ を満たすのは線分 $FF'$ の点だけである。たとえば $(t,0)$($-3\le t\le3$)では $(3-t)+(t+3)=6$ だが、$(0,1)$ では $2\sqrt{10}>6$ である。$b=\sqrt{a^2-c^2}=\sqrt{9-9}=0$ となり、thm-ell-standard の式は作れない。
  2. $2a=4$:$PF+PF'\ge6>4$ なので、満たす点はない。
公式の当てはめ違い

$\frac{x^2}4+\frac{y^2}9=1$ で $a=2$、$b=3$ のまま $c=\sqrt{a^2-b^2}$ を計算しようとすると $\sqrt{-5}$ となり、$x$ 軸の上に焦点は見つからない。焦点は長いほうの軸($y$ 軸)の上にあり、$(0,\pm\sqrt5)$ である(cor-ell-vertical)。$x$ 軸上の点 $(\pm\sqrt5,0)$ を焦点と思って頂点 $(2,0)$ と $(0,3)$ で距離の和をとると、$(2,0)$ では $(2-\sqrt5)$ の絶対値と $2+\sqrt5$ の和で $2\sqrt5\approx4.47$、$(0,3)$ では $2\sqrt{5+9}=2\sqrt{14}\approx7.48$ となり、一定にならない。

斜めに縮めた楕円

円 $x^2+y^2=4$ を、直線 $y=x$ の向きに $\frac12$ 倍に縮める($y=x$ に垂直な向きの長さは変えない)と、方程式は $5x^2+6xy+5y^2=8$ になる(座標を $45^\circ$ 回した $u=\frac{x+y}{\sqrt2}$、$v=\frac{-x+y}{\sqrt2}$ で見ると、$u$ を $\frac12$ 倍した図形 $\frac{u^2}1+\frac{v^2}4=1$ である)。これも楕円で、焦点は $\left(-\frac{\sqrt6}2,\frac{\sqrt6}2\right)$ と $\left(\frac{\sqrt6}2,-\frac{\sqrt6}2\right)$、距離の和は $4$ である。たとえば曲線上の点 $\left(\frac1{\sqrt2},\frac1{\sqrt2}\right)$($\frac52+3+\frac52=8$)から 2 つの焦点までの距離はどちらも $\sqrt{1+3}=2$ である。
thm-ell-standard の形 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ に書けるのは、焦点を座標軸の上に原点について対称に置いたときだけで、斜めの楕円の式には $xy$ の項が現れる。$xy$ の項を回転で消して形を判定する方法は 2次曲線と2次形式 で扱う。

さらに先へ

  • 焦点半径 $PF=a-\frac cax$ を $\frac ca$ でくくると、楕円にも放物線と同じく「準線」があることが分かる。比 $e=\frac ca$(離心率)は楕円のつぶれ具合を表し、$e$ が $0$ に近いほど円に近い(2次曲線の焦点と準線)。
  • 楕円の上の点での接線は $\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1$ で、一方の焦点から出た光は楕円で反射してもう一方の焦点に集まる(円の接線と極線 の命題「楕円の接線」、2次曲線の接線と光学的性質)。
  • 面積は $\pi ab$ と簡単だが、周の長さは $a$、$b$ の簡単な式では書けない(楕円の周の長さ)。
  • 惑星は太陽を 1 つの焦点とする楕円の上を動く(Keplerの法則(高校数学))。楕円は円錐を平面で切った切り口としても現れる(円錐の切り口としての2次曲線)。射影平面の中の円錐曲線としての見方は 円錐曲線 で扱う。

関連項目

参考文献

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