初等整数論本テキストでは、整数の性質について取り扱う。
整数の性質についての研究は初等幾何学と並んで、最も古い数学の分野のひとつである。直角三角形の3辺の長さとなる正の整数、つまり
$$a^2+b^2=c^2$$
となる正の整数 $a, b, c$ の組は非常に古く、古代バビロニアや古代エジプトでも知られていたと考えられている(たとえばバビロニアの粘土板プリンプトン322には $65^2+72^2=97^2$, $12709^2+13500^2=18541^2$ をあらわすと思われる記述がある)。$6$ の($6$ 自身を除く)約数の和が $6$ に一致し、$28, 496, 8128$ も同様の性質をもつことは、古代ギリシアのピタゴラス教団では知られており、完全数と呼ばれ崇拝の対象となっていた。ユークリッドの「原論」では公倍数や公約数、素数に関する基礎的な定理が記されている。
本テキストでは、こうした整数の性質や関係について取り扱う。
2023年6月30日