四つの元しかない体を筆算で作るところから始め、有限体の演算表、Frobenius 写像と冪表、既約多項式の次数と個数、線形符号の生成行列と検査行列、巡回符号(長さ 7 の Hamming 符号)、七点七直線の有限射影平面までを、小さい例を手で最後まで計算しながら学ぶ。各章は「定義→命題と証明→計算例→解答付き演習」の形で、演算表・行列・接続表を自分で再現できることを目標にする。前提は線形代数と、環・イデアルの初歩(商環、剰余類)である。
四元体 $\mathbb F_4=\mathbb F_2[u]/(u^2+u+1)$ を、既約多項式による剰余環として作り、足し算と掛け算の表を手で書き下す章である。冒頭で「四つの元しかない体を手で作れるか」という問いを立て、既約性の確認、商が体になること、八元体・九元体の別の筆算、八元体の二つの表示の照合を順に行う。
標数 $p$ の体で $x\mapsto x^p$ が加法を保つこと(冪が加法を保つ)を示し、四元体・八元体・九元体で冪表と軌道を計算する章である。Frobenius 写像が環準同型で、その固定元が素体になること、有限体の中で元がどのように巡回するかを具体例で見る。
$\mathbb F_q$ 上の多項式 $X^{q^n}-X$ の因数分解から、既約多項式の次数と個数を読み取る章である。既約因子の次数が $n$ を割ること、既約多項式を数える公式、既約判定を剰余計算に直す方法、小さい例($\mathbb F_2$ 上の $X^4-X$ の分解など)を扱う。有限体上で多項式が既約かどうかを、計算で判定する見通しを与える。
有限体上のベクトル空間の部分空間として線形符号を定義し、生成行列と検査行列、符号語間の距離、単一誤りの検出と訂正を扱う章である。長さ 3 の反復符号という小さい符号で、生成行列から検査行列を作り、受信語の症候から誤りの位置を読む計算を最後まで行う。
符号語の座標を巡回的に回す操作が、多項式環の商 $\mathbb F_2[t]/(t^n-1)$ での $t$ 倍に対応することを使い、巡回符号をイデアルとして記述する章である。生成多項式と検査多項式を導入し、長さ 3 の偶重み符号と、長さ 7 の巡回 Hamming 符号を具体的に計算する。$\mathbb F_8^\times$ の元を使って最小距離 3 を証明する。
$\mathbb F_2^3$ の零でないベクトル 7 個を点、2 次元部分空間を直線とする七点七直線の射影平面(Fano 平面)を、点・直線・入射をすべて列挙して調べる章である。そのうえで一般の有限体 $\mathbb F_q$ 上の射影平面で点と直線の個数が $q^2+q+1$ になること、入射行列 $B$ が $BB^T=qI+J$ を満たすことを示す。
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