Lorentz幾何学において曲率に関する条件であるGeneric条件について述べる。
Lorentz多様体に性質を議論する際にしばしば利用される曲率に関する重要な条件としてGeneric条件がある。
$(M,g)$をLorentz多様体とする。$p\in M$において、$X\in T_pM$に対してgeneric条件が満たされるとは
$$
X^eX^fX_{[a}R_{b]ef[c}X_{d]}\ne0
$$
が満たされることを言う。また左辺が0であるときgenericでないという。
non-nullベクトルがgenericでないことの幾何学的な特徴づけとして次が知られている。
$(M,g)$をLorentz多様体とする。$p\in M$において、non-nullベクトル$X\in T_pM$がgenericでないことと、$X$を含む任意の退化しない断面に関する断面曲率が0であることは同値である。
またgeneric条件の十分条件としては次が知られている。
$(M,g)$をLorentz多様体とする。$p\in M$において、$X\in T_pM$に対して、${\rm Ric}(X,X)\ne0$が成り立つとき、$X$はgenericである。
また2次元においてはnullベクトルに対して以下の特殊な結果がある。
$(M,g)$を2次元Lorentz多様体とする。全てのnullベクトルはgenericでない。従ってnullベクトル$X\in T_pM$に対して、${\rm Ric}(X,X)_p=0$である。