Eulerの多面体定理(Euler's polyhedron formula)とは、内部が空でない 3 次元の凸多面体の頂点の数 $V$、辺の数 $E$、面の数 $F$ について $V-E+F=2$ が成り立つという定理である。凸多面体を有限個の 1 次不等式で定まる有界な集合とし、頂点・辺・面を支持平面で切り取られる部分として定めると、頂点で相異なる値をとる高さの関数を選び、各辺を低い端点に、各面を最も低い頂点に割り当てて数えることで証明できる。帰結として $E\le3V-6$ などの不等式や、辺が 7 本の凸多面体がないことが従う。境界は球面と同相であり、定理は球面の Euler 標数が 2 であることの表れである。
立方体には頂点が $8$ 個、辺が $12$ 本、面が $6$ 枚あり、$8-12+6=2$ である。正四面体でも $4-6+4=2$、正二十面体でも $12-30+20=2$ となる。Euler の多面体定理(Euler's polyhedron formula)は、どの凸多面体でも頂点の数 $V$、辺の数 $E$、面の数 $F$ が
$$
V-E+F=2
$$
を満たすことを述べる。
Eulerの多面体定理(高校数学) では、1 枚の面を窓にして凸多面体を平面に広げた図(Schlegel 図)が描けることを認めて、平面の網の数え方に帰着させた。この記事では、凸多面体を有限個の 1 次不等式で定まる有界な集合として定義し(多面体 の記事の意味)、頂点・辺・面を支持平面で切り取られる部分として定めたうえで、定理を証明する。証明は、一般の向きの「高さ」の関数を 1 つ選び、各辺をその低いほうの端点に、各面をその最も低い頂点に割り当てて数える。各頂点のまわりで辺と面がどう並ぶかを確かめれば、最も低い頂点と最も高い頂点が $1$ ずつ寄与し、ほかの頂点の寄与は $0$ になる。
帰結として、$E\le3V-6$ などの不等式、辺が $7$ 本の凸多面体がないことを示す。最後に、球面の Euler標数 や高い次元の Euler の関係式との関係を述べる。
多面体 の記事に従い、$\mathbb{R}^3$ の有限個の閉半空間の共通部分を多面体、有界な多面体を凸多面体という。$c\in\mathbb{R}^3$、$\delta\in\mathbb{R}$ が $P$ の上で $c\cdot x\le\delta$ を満たすとき、$P\cap\{c\cdot x=\delta\}$ を $P$ の面(face)といい、その次元が $0,1,2$ のものを 頂点・辺・ファセット という(多面体 の定義「面・頂点・辺・ファセット」)。この記事では、ファセットを単に 面 と呼び、次元を問わない面を 一般の面 と呼ぶ。
$P\subset\mathbb{R}^3$ を内部が空でない凸多面体とする。$P$ の頂点の数を $V$、辺の数を $E$、面(ファセット)の数を $F$ と書く。
内部が空でない凸多面体は、同じ平面に乗らない有限個の点の凸包と同じものである(多面体 の定理「Minkowski–Weylの定理(凸多面体の場合)」)。頂点は有限個で、$P$ は頂点の凸包である(多面体 の定理「凸多面体は頂点の凸包」)。
内部が空でない凸多面体 $P\subset\mathbb{R}^3$ について、$V-E+F=2$ である。
証明は、次の節で面の構造についての 2 つの補題(lem-ep-face-of-face、lem-ep-vertex-figure)を準備してから、節「主定理の証明」で与える。
いくつかの凸多面体で数を確かめると次の表になる。
| 凸多面体 | $V$ | $E$ | $F$ | $V-E+F$ |
|---|---|---|---|---|
| 正四面体 | 4 | 6 | 4 | 2 |
| 立方体 | 8 | 12 | 6 | 2 |
| 正八面体 | 6 | 12 | 8 | 2 |
| 正十二面体 | 20 | 30 | 12 | 2 |
| 正二十面体 | 12 | 30 | 20 | 2 |
| $n$ 角錐($n\ge3$) | $n+1$ | $2n$ | $n+1$ | 2 |
| $n$ 角柱($n\ge3$) | $2n$ | $3n$ | $n+2$ | 2 |
| $n$ 角両錐($n\ge3$) | $n+2$ | $3n$ | $2n$ | 2 |
平面の凸 $n$ 角形の頂点を $p_1,\dots,p_n$ とし、その平面の外の点を $a$、$a$ と平面について反対側の点を $b$ とする(両錐では線分 $ab$ が $n$ 角形の内部を通るようにとる)。$n$ 角錐 $\operatorname{conv}\{a,p_1,\dots,p_n\}$ の辺は底面の $n$ 本と $ap_i$ の $n$ 本、面は底面と三角形 $ap_ip_{i+1}$ の $n$ 枚である。$n$ 角柱($n$ 角形と、それを平面の外へ平行移動したものの凸包)の辺は上下の $2n$ 本と縦の $n$ 本、面は上下 $2$ 枚と側面 $n$ 枚である。$n$ 角両錐 $\operatorname{conv}\{a,b,p_1,\dots,p_n\}$ の辺は $p_ip_{i+1}$ の $n$ 本と $ap_i$、$bp_i$ の $2n$ 本、面は三角形 $2n$ 枚である。角柱と両錐では $V$ と $F$ が入れ替わっている。立方体と正八面体、正十二面体と正二十面体も同じ関係にある。
主定理の証明には、頂点・辺・面がどうつながっているかについての 2 つの補題を使う。以下、$P\subset\mathbb{R}^3$ は内部が空でない凸多面体とする。平面の凸多角形(平面に含まれる $2$ 次元の凸多面体)については、次の初等的な性質を使う。
凸多角形 $R$ の頂点を周に沿って $q_1,\dots,q_k$($k\ge3$)と並べると、$R$ の辺($1$ 次元の一般の面)はちょうど $[q_i,q_{i+1}]$(添字は $k$ を法とする)であり、各頂点はちょうど $2$ 本の辺に含まれる(この並びと辺の記述は証明せずに使う)。$g$ を平面上の 1 次関数(定数を加えた線形関数)とする。
$G$ を $P$ の一般の面、$G'$ を(多面体としての)$G$ の一般の面とすると、$G'$ は $P$ の一般の面である。とくに、$P$ の辺は $P$ の $2$ つの頂点を結ぶ線分であり、$P$ の面は、頂点が $P$ の頂点で、辺が $P$ の辺である凸多角形である。
要点:$G=P\cap\{c\cdot x=\delta\}$、$G'=G\cap\{c'\cdot x=\delta'\}$ なら、十分大きな $\lambda$ について $G'=P\cap\{(c'+\lambda c)\cdot x=\delta'+\lambda\delta\}$ となる。
$P$ の上で $c\cdot x\le\delta$、$G$ の上で $c'\cdot x\le\delta'$ とする。$P$ の頂点 $w$ のうち $G$ に属するものでは $c\cdot w=\delta$、$c'\cdot w\le\delta'$ であり、$G$ に属さないものでは $c\cdot w< \delta$ である。頂点は有限個なので、$\lambda>0$ を大きくとると、すべての頂点で $(c'+\lambda c)\cdot w\le\delta'+\lambda\delta$ となり、等号は $w\in G'$ のときに限る。$P$ は頂点の凸包なので(多面体 の定理「凸多面体は頂点の凸包」)、この不等式は $P$ 全体で成り立つ。等号の成り立つ $x\in P$ は、頂点の凸結合 $x=\sum\mu_kw_k$ で $\mu_k>0$ となる $w_k$ がすべて等号を満たし、$G'$ に属するので、凸集合 $G'$ に属する。逆に $G'$ の点では等号が成り立つ。よって $G'$ は $P$ の一般の面である。
後半:辺は $1$ 次元の有界な多面体なので線分で、その両端は辺の頂点だから、前半により $P$ の頂点である。面は平面に含まれる $2$ 次元の有界な多面体、すなわち凸多角形で、その頂点と辺は前半により $P$ の頂点と辺である。$\square$
次の補題が、頂点のまわりで辺と面が交互に輪のように並ぶことを保証する。頂点 $v$ の近くで $P$ を平面で切った切り口 $Q$ を見る。
$v$ を $P$ の頂点とし、$c\in\mathbb{R}^3$ を、$v$ 以外の $x\in P$ で $c\cdot x< c\cdot v$ となるようにとる。$\varepsilon>0$ が十分小さければ、平面 $H:=\{c\cdot x=c\cdot v-\varepsilon\}$ による切り口 $Q:=P\cap H$ について次が成り立つ。
要点:$v$ で等号になる不等式だけで定まる錐 $v+C$ は $P$ を含み、$v$ の近くでは $P$ と一致する。$C$ の $0$ でない元では $c\cdot y< 0$ なので、$v+C$ は $v$ を頂点とし $Q$ を底とする錐であり、$v$ を含む一般の面は $Q$ の一般の面の上の錐として切り出される。
段 1($v$ の近くの形)。$P=\{x\mid a_j\cdot x\le b_j\ (j=1,\dots,m)\}$ とし、$a_j\cdot v=b_j$ となる $j$ の集合を $I$、$C:=\{y\mid a_j\cdot y\le0\ (j\in I)\}$ とおく。$P\subset v+C$ である。$I$ に属さない $j$ では $a_j\cdot v< b_j$ なので、半径 $r>0$ の球 $B$ を、その上で $a_j\cdot x< b_j$($j\notin I$)となるように $v$ のまわりにとれる。$y\in C$ なら小さい $t>0$ で $v+ty\in B\cap(v+C)\subset P$ なので、$y\ne0$ なら $c\cdot y< 0$ である。$C$ と単位球面の共通部分はコンパクトなので、$\kappa>0$ があって $C$ の上で $c\cdot y\le-\kappa\|y\|$ である。$\varepsilon< \kappa r$ とすると、$(v+C)\cap\{c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon\}$ の点は $B$ に入り、$P$ に属する。よって $P\cap\{c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon\}=(v+C)\cap\{c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon\}$ で、とくに $Q=(v+C)\cap H$ である。
段 2(1 の証明)。$y\in C$、$y\ne0$ について $s:=-c\cdot y/\varepsilon>0$ とおくと、$q:=v+y/s$ は $(v+C)\cap H=Q$ に属し、$v+y=v+s(q-v)$ である。$P\subset v+C$ なので、$P$ の点はこの形に書ける。$c\cdot(v+s(q-v))=c\cdot v-s\varepsilon$ なので、$c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon$ となるのは $s\le1$ のときで、段 1 から $P\cap\{c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon\}=\operatorname{conv}(\{v\}\cup Q)$ である。$P$ の内部の点 $p$ と、それを中心とする $P$ に含まれる球 $B(p,\rho)$ をとると、$0< t\le1$ について $v+t(B(p,\rho)-v)$ は $P$ に含まれる半径 $t\rho$ の球で、$t$ が小さければ $\{c\cdot x>c\cdot v-\varepsilon\}$ に入る。よって $\operatorname{conv}(\{v\}\cup Q)$ は平面に含まれず、$Q$ は直線に含まれない。$Q$ は平面 $H$ に含まれる有界な多面体なので、凸多角形である。
段 3(一般の面から $Q$ の一般の面へ)。$G$ を $v$ を含む一般の面とし、$P$ の上で $\ell\le0$、$G=P\cap\{\ell=0\}$ となる 1 次関数 $\ell$ をとる($\ell(v)=0$)。$Q$ の上でも $\ell\le0$ なので $G\cap H=Q\cap\{\ell=0\}$ は $Q$ の一般の面である。$x=v+s(q-v)\in P$ について $\ell(x)=s\,\ell(q)$ なので、$x\in G$ は「$s=0$ または $q\in G\cap H$」と同値である。よって $\varphi\subset Q$ について $R(\varphi):=\{v+s(q-v)\mid s\ge0,\ q\in\varphi\}$ とおくと、$G=P\cap R(G\cap H)$ である($R(\emptyset):=\{v\}$)。とくに $G$ は $G\cap H$ で決まり、$G\ne\{v\}$ なら $G\cap H\ne\emptyset$ である。
段 4($Q$ の一般の面から一般の面へ)。$\varphi$ を $Q$ の空でない一般の面とし、$Q$ の上で $m\le0$、$\varphi=Q\cap\{m=0\}$ となる 1 次関数 $m$ をとる。$\ell(x):=m(x)-\frac{m(v)}{\varepsilon}(c\cdot x-c\cdot v+\varepsilon)$ は $H$ の上で $m$ に等しく、$\ell(v)=0$ である。$x=v+s(q-v)$ では $\ell(x)=s\,m(q)\le0$ なので、$P$ の上で $\ell\le0$ であり、$G:=P\cap\{\ell=0\}$ は $v$ を含む一般の面で $G\cap H=\varphi$ である。段 3 と合わせて全単射を得る。
段 5(包含と次元)。$G=P\cap R(G\cap H)$ から包含関係は両方向に保たれる。段 2 から $G\cap\{c\cdot x\ge c\cdot v-\varepsilon\}=\operatorname{conv}(\{v\}\cup\varphi)$($\varphi=G\cap H$)であり、$G\subset R(\varphi)$ は $v$ と $\varphi$ の張るアフィン部分空間に含まれる。$v\notin H$ なので、その次元は $\dim\varphi+1$ で、$\operatorname{conv}(\{v\}\cup\varphi)$ はそれを張る。よって $\dim G=\dim\varphi+1$ である。
段 6(後半)。全単射により、$v$ を含む辺は $Q$ の頂点に、$v$ を含む面は $Q$ の辺に対応し、$e_i\subset f_j$ は $q_i\in f_j\cap H$ と同値である。凸多角形 $f_i$ の $v$ での $2$ 本の辺は $P$ の辺(lem-ep-face-of-face)で $v$ を含み $f_i$ に含まれるから、$q_i,q_{i+1}$ に対応する $e_i,e_{i+1}$ である。辺 $e=[v,w]$ を含む面はどれも $v$ を含み、$e\cap H$ を含む $Q$ の辺に対応するので、ちょうど $2$ 枚である(rem-ep-polygon)。$\square$
$P$ の頂点で相異なる値をとる 1 次関数 $h(x)=d\cdot x$ を 高さ と呼ぶ。頂点の組 $w\ne w'$ は有限個なので、平面 $\{d\mid d\cdot(w-w')=0\}$ の有限個の和集合を避けて $d$ を選べば、高さがとれる。高さを 1 つ固定し、頂点 $v$ について
頂点 $v$ が $h$ の最小または最大を与える頂点なら $1-u(v)+\lambda(v)=1$ であり、そうでなければ $1-u(v)+\lambda(v)=0$ である。
lem-ep-vertex-figure の記号を使い、$e_i=[v,w_i]$ とする。$q_i\in e_i$ は $v$ と異なるので $q_i=v+s_i(w_i-v)$($0< s_i\le1$)と書け、$g:=h-h(v)$ について $g(q_i)=s_i\bigl(h(w_i)-h(v)\bigr)\ne0$ である。凸多角形 $f_i$ で $v$ に隣り合う頂点は $w_i$ と $w_{i+1}$ なので、rem-ep-polygon の 2 により、$v$ が $f_i$ の最も低い頂点であることは $g(q_i)>0$ かつ $g(q_{i+1})>0$ と同値である。よって
$$
u(v)=\#\{i\mid g(q_i)>0\},\qquad\lambda(v)=\#\{i\mid g(q_i)>0,\ g(q_{i+1})>0\}
$$
である。
すべての $i$ で $g(q_i)>0$ のとき:$u(v)=\lambda(v)=k$ で寄与は $1$ である。このとき $Q=\operatorname{conv}\{q_1,\dots,q_k\}$ の上で $g>0$ で、lem-ep-vertex-figure の 1 により $P$ の点 $x=v+s(q-v)$ で $g(x)=s\,g(q)\ge0$ なので、$v$ は最小を与える頂点である。
すべての $i$ で $g(q_i)< 0$ のとき:$u(v)=\lambda(v)=0$ で寄与は $1$ であり、同じ理由で $v$ は最大を与える頂点である。
それ以外のとき:$0< u(v)< k$ で、rem-ep-polygon の 1 により $g(q_i)>0$ となる $i$ は巡回的に連続した $u(v)$ 個であり、$i$ と $i+1$ がともにその範囲に入る $i$ は $u(v)-1$ 個である。寄与は $1-u(v)+u(v)-1=0$ である。最小を与える頂点では、隣の頂点 $w_i$ はすべて高いので最初の場合になり、最大を与える頂点では 2 番目の場合になる。したがってこの場合の $v$ は最小も最大も与えない。$\square$
各辺は相異なる高さの $2$ 頂点を結ぶ線分なので(lem-ep-face-of-face)、低いほうの端点がただ 1 つ決まり、$\sum_vu(v)=E$ である。各面は頂点が $P$ の頂点である凸多角形なので、$h$ の最小は頂点でとられ、最も低い頂点がただ 1 つ決まり、$\sum_v\lambda(v)=F$ である。よって
$$
V-E+F=\sum_{v}\bigl(1-u(v)+\lambda(v)\bigr)
$$
である。lem-ep-local により右辺の項は、最小を与える頂点と最大を与える頂点で $1$、ほかで $0$ である。$P$ は内部が空でないので頂点は $2$ 個以上あり、$h$ は頂点で相異なる値をとるから、この $2$ 頂点は異なる。よって $V-E+F=2$ である。$\square$
証明では、各頂点 $v$ に、$v$ 自身、$v$ から上に向かう辺、$v$ を最も低い頂点にもつ面を割り当てた。高さの低い順に頂点を通過していくと、$v$ を通過したときに増える「頂点 − 辺 + 面」が $1-u(v)+\lambda(v)$ であり、それが途中の頂点では $0$、最も低い頂点と最も高い頂点では $1$ になる。関数の値の変わり方から空間の形を読むこの考え方は、Morse理論 の最も簡単な場合にあたる。
内部が空でない凸多面体 $P\subset\mathbb{R}^3$ について
$$
2E\ge3F,\quad2E\ge3V,\quad E\le3V-6,\quad E\le3F-6,\quad F\le2V-4,\quad V\le2F-4
$$
であり、$V\ge4$、$F\ge4$、$E\ge6$ である。$E=3V-6$ となるのは、すべての面が三角形のときに限る。
面 $f$ の辺の数を $n_f$ とする。lem-ep-vertex-figure によりどの辺もちょうど $2$ 枚の面に含まれ、面の辺は $P$ の辺なので(lem-ep-face-of-face)、$\sum_fn_f=2E$ である。$n_f\ge3$ から $2E\ge3F$ で、等号はすべての面が三角形のときに限る。同様に、頂点 $v$ に集まる辺の数 $k_v$ は lem-ep-vertex-figure の $k$ で $3$ 以上であり、辺には端点が $2$ つあるので $\sum_vk_v=2E\ge3V$ である。$2E\ge3F$ と $V-E+F=2$ から $E=V+F-2\le V+\frac23E-2$、すなわち $E\le3V-6$(等号は $2E=3F$ のとき)である。同様に $2E\ge3V$ から $E\le3F-6$ を得る。$F=2-V+E\le2V-4$、$V=2-F+E\le2F-4$ である。最後に $V\le2F-4\le2(2V-4)-4$ から $V\ge4$、同様に $F\ge4$、$E=V+F-2\ge6$ である。$\square$
内部が空でない凸多面体には、辺の数が $5$ 以下の面と、集まる辺の数が $5$ 以下の頂点がある。
すべての面の辺の数が $6$ 以上なら、cor-ep-inequalities の証明と同じ数え方で $2E\ge6F$ である。$2E\ge3V$ と合わせると $V-E+F\le\frac23E-E+\frac13E=0$ となり、thm-ep-main に反する。頂点についても、$2E\ge6V$ と $2E\ge3F$ から同じ矛盾が出る。$\square$
$E=7$ とすると、cor-ep-inequalities の $2E\ge3F$、$2E\ge3V$ から $F\le4$、$V\le4$ で、$V+F\le8$ である。一方 thm-ep-main から $V+F=E+2=9$ となり、矛盾する。$E=6$ は正四面体、$E=8$ は四角錐で実現され、ex-ep-families の $n$ 角錐で $6$ 以上のすべての偶数、$n$ 角柱で $3$ の倍数 $9,12,15,\dots$ が実現される。
正多面体の分類も、thm-ep-main と cor-ep-inequalities の証明の数え方から導ける(正多面体の分類)。
$P$ の境界は、頂点・辺の内部・面の内部を胞体とする $2$ 次元の胞体複体で、その Euler標数 は $V-E+F$ である。原点を $P$ の内部にとると、$P=\{x\mid a_j\cdot x\le1\}$ と書けて、多面体 の命題「凸多面体の Minkowski 汎関数」の $p_P(x)=\max_ja_j\cdot x$ は連続で $x\ne0$ なら正であり、$u\mapsto u/p_P(u)$ は単位球面から $P$ の境界 $\{p_P=1\}$ への同相写像になる(逆写像は $x\mapsto x/\|x\|$。境界が $\{p_P=1\}$ であることは 多面体 の命題「凸多面体の境界」から分かる)。したがって thm-ep-main は、球面の Euler 標数が $2$ であること(Euler標数 の例「基本的な空間の Euler 標数」)の凸多面体による表れである。Euler 標数が分け方によらないことはホモロジーを経由して示されるが(Euler標数 の系「2 つの Euler 標数は一致する」)、この記事の証明はホモロジーを使わない。
$d$ 次元の凸多面体で $j$ 次元の面の数を $f_j$ とすると、$\sum_{j=0}^{d}(-1)^jf_j=1$($f_d=1$ は $P$ 自身)が成り立つ。これを Euler の関係式(Euler–Poincaré の関係式)という。この記事では証明しない(BR15 Theorem 5.2 が主張を述べ、有理数の座標の頂点をもつ多面体について証明している)。$d=3$ では $V-E+F-1=1$ で、thm-ep-main と一致する。
角の不足の総和については、凸多面体の頂点での角の不足($2\pi$ から頂点に集まる面の角の和を引いたもの)の総和は $2\pi(V-E+F)=4\pi$ である(Descartesの角欠損定理)。これは曲面の曲率の積分と Euler 標数を結ぶ Gauss–Bonnetの定理 の多面体版である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 有界 | 非負の象限 $\{x\mid x_1,x_2,x_3\ge0\}$ | $V=1$、$E=3$、$F=3$ で $V-E+F=1$ |
| 内部が空でない | 平面 $\{x_3=0\}$ の中の正方形 $[0,1]^2\times\{0\}$ | $V=4$、$E=4$、$F=1$ で $V-E+F=1$ |
| 凸(多角形をはり合わせた立体の表面として数える) | 額縁の形の立体 | $V-E+F=16-32+16=0$ |
どの行も、外す条件のほかは主定理の仮定を満たしている。
1. 象限は 3 つの不等式 $-x_i\le0$ で定まる多面体で、内部は空でない。頂点は活性な制約が 3 つになる原点だけ(多面体 の定理「頂点の特徴づけ」)、辺は 3 本の座標軸の半直線($x_i=x_j=0$)、$2$ 次元の面は座標平面の 3 つの象限である。有界でないので頂点の凸包ではなく、たとえば $h(x)=x_1+2x_2+3x_3$ には最大を与える頂点がない。原点では 3 本の辺がすべて上に向かい、3 枚の面の最も低い頂点が原点なので、lem-ep-local の寄与 $1-3+3=1$ だけが残る。
2. 正方形は $0\le x_1,x_2\le1$、$x_3\le0$、$-x_3\le0$ で定まる有界な多面体で、内部は空である。頂点 4 個、辺 4 本で、$2$ 次元の面は正方形自身の 1 枚だけである($c=e_3$、$\delta=0$ でとれる)。このとき $V-E+F=1$ は、$d=2$ の Euler の関係式 $f_0-f_1+f_2=1$ にあたる。
3. 額縁は Eulerの多面体定理(高校数学) の例「反例:額縁(穴のあいた多面体)」の立体で、凸多角形の面をはり合わせた表面だが凸ではない。表面は球面ではなくトーラスと同相で、Euler 標数は $0$ である。凸でなくても、表面が球面と同相なら $V-E+F=2$ となる(同じ記事の例「凸でなくても 2 になる例(L 字の柱)」)。
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