順序型

同義語:order type

概要

順序型(order type)とは、全順序集合を順序同型で同一視したときの並び方の形である。整列集合の順序型は順序数で表され、整列していない型には $\omega^\ast$(自然数の逆順)、$\zeta$(整数)、$\eta$(有理数)、$\lambda$(実数)などがあり、型どうしの和と積はどちらも可換でない。可算で稠密で端点のない全順序の型はすべて $\eta$ であり(Cantor の定理)、可算な全順序はすべて有理数のある部分集合と同じ型をもつ。端点がなく完備で可算な稠密部分集合をもつ空でない全順序の型は $\lambda$ である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 全順序, 順序同型, 順序数

何を捉える概念か

自然数全体 $\mathbb N$、整数全体 $\mathbb Z$、有理数全体 $\mathbb Q$ は、どれも可算無限集合で、元の個数(濃度)では区別できない。しかし大小の順序まで込めて見ると、三つは明らかに違う形をしている。$\mathbb N$ には最小元があるが $\mathbb Z$ にはない。$\mathbb Z$ の各元には直後の元があるが、$\mathbb Q$ では異なる 2 元の間にいつも別の元がある。順序型は、全順序集合を順序同型で同じとみなしたときの「並び方の形」である。
整列集合の順序型は順序数で表される。この記事では整列していない全順序も含めて順序型を扱う。順序型には、並べて続ける「和」と、ある型を別の型の形に並べる「積」が定まり、どちらも可換でない。形の分類として基本的なのが、可算で稠密で端点のない全順序はすべて $\mathbb Q$ と同じ型であるという Cantor の定理と、そこから導かれる $\mathbb R$ の型の特徴づけである。
以下、全順序集合 $(A,<)$ の $<$ は狭義の全順序とし、順序を明示しないときは通常の大小関係を考える。

定義

順序型

全順序集合 $(A,<_A)$ と $(B,<_B)$ が順序同型であるとき、すなわち全単射 $f\colon A\to B$ で $a<_Aa'\iff f(a)<_Bf(a')$ を満たすものがあるとき、$A$ と $B$ は同じ順序型(order type)をもつといい、$\operatorname{type}(A)=\operatorname{type}(B)$ と書く。全順序集合を順序同型で同一視したときの類を順序型という。

順序同型であることは同値関係である(順序同型 の命題「恒等写像・逆写像・合成」)。$\operatorname{type}(A)=\operatorname{type}(B)$ は「$A$ と $B$ が順序同型」の略記と読めばよく、型そのものを集合として選ぶ必要はない。
整列集合(整列順序)$W$ については、$W$ と順序同型な順序数がちょうど一つあり(順序数 の定理「整列集合の順序数による表現」、HJ99 Chapter 6 Theorem 3.1、p. 111)、順序数 の定義「整列集合の順序型」はこの順序数を $\operatorname{type}(W)$ とおく。この記事の記法はそれと一致する。この表現の証明には置換公理を使うが、選択公理は使わない。
よく使う型には次の記号を用いる。

記号代表形の特徴
$n$(自然数)$n$ 元の全順序集合有限な全順序は元の個数だけで決まる
$\omega$$\mathbb N$最小元があり、最大元がない。各元に直後の元がある
$\omega^\ast$$\mathbb N$ の逆順序 $\cdots<2<1<0$最大元があり、最小元がない
$\zeta$$\mathbb Z$端点がなく、各元に直後と直前の元がある
$\eta$$\mathbb Q$可算で、稠密で、端点がない
$\lambda$$\mathbb R$稠密で、端点がなく、完備で、可算な稠密部分集合をもつ

一般に型 $\tau=\operatorname{type}(A)$ に対し、$A$ の順序を逆にした全順序の型を $\tau^\ast$ と書く。

和と積

順序型の和と積

$(I,<_I)$ を全順序集合、各 $i\in I$ について $(A_i,<_i)$ を全順序集合とする。集合 $\sum_{i\in I}A_i:=\{(i,a)\mid i\in I,\ a\in A_i\}$ に
$$ (i,a)<(i',a')\iff i<_Ii'\ \text{または}\ (i=i'\ \text{かつ}\ a<_ia') $$
で順序を入れる。これは全順序であり、$I$ の順に $A_i$ の写しを並べたものである。

  • $\sigma=\operatorname{type}(A)$、$\tau=\operatorname{type}(B)$ の和 $\sigma+\tau$ は、$I=\{0<1\}$、$A_0=A$、$A_1=B$ としたときの $\sum_iA_i$ の型である($A$ の後ろに $B$ を並べる)。
  • 積 $\sigma\cdot\tau$ は、$I=B$ とし、すべての $b\in B$ で $A_b=A$ としたときの $\sum_{b\in B}A$ の型である($B$ の形に $A$ の写しを並べる)。その台集合は $B\times A$ で、順序は第 1 成分を先に比べる辞書式順序である。

積の向きは順序数 の定義「順序数の算術」と同じである。その定義の最後の段落にあるとおり、整列集合の型(順序数)については、ここでの和と積は超限再帰で定めた順序数の和と積に一致する。$\sum_iA_i$ が全順序であることは、2 元を比べるとき $I$ の成分で決まらなければ同じ $A_i$ の中で比べればよいことから分かる(HJ99 Chapter 4 Lemma 4.5・Lemma 4.6、p. 81)。

和と積の基本性質
  1. 和と積は代表の取り方によらない。
  2. $(\sigma+\tau)+\rho=\sigma+(\tau+\rho)$、$(\sigma\cdot\tau)\cdot\rho=\sigma\cdot(\tau\cdot\rho)$、$\sigma\cdot(\tau+\rho)=\sigma\cdot\tau+\sigma\cdot\rho$。
  3. $(\sigma+\tau)^\ast=\tau^\ast+\sigma^\ast$。
  1. 順序同型 $f\colon A\to A'$、$g\colon B\to B'$ があれば、和では $(0,a)\mapsto(0,f(a))$、$(1,b)\mapsto(1,g(b))$、積では $(b,a)\mapsto(g(b),f(a))$ が順序同型である。どちらも各成分で順序を保つ全単射なので、比べ方の定義から 2 元の大小をそのまま移す。
  2. 型が $\sigma,\tau,\rho$ の全順序集合 $A,B,C$ をとる。和の結合法則では、どちらの辺も「$A$ の元、$B$ の元、$C$ の元をこの順に置き、同じ集合の中では元の順序」という全順序と順序同型である。積では、$(\sigma\cdot\tau)\cdot\rho$ の代表は型 $\sigma\cdot\tau$ の集合 $B\times A$ を $C$ の形に並べた $C\times(B\times A)$、$\sigma\cdot(\tau\cdot\rho)$ の代表は $A$ を型 $\tau\cdot\rho$ の集合 $C\times B$ の形に並べた $(C\times B)\times A$ である。どちらの順序も「まず $C$ の成分、次に $B$ の成分、最後に $A$ の成分を比べる」ものなので、$((c,b),a)\mapsto(c,(b,a))$ が順序同型である。分配法則では、$B+C$ の形に $A$ を並べることは、$B$ の形に $A$ を並べた後ろに $C$ の形に $A$ を並べることと同じであり、$(\,(0,b),a)\mapsto(0,(b,a))$、$(\,(1,c),a)\mapsto(1,(c,a))$ が順序同型を与える。
  3. $A+B$ の順序を逆にすると、$B$ の元がすべて $A$ の元より前に来て、各部分の中の順序は逆になる。これは $B^\ast+A^\ast$ である。$\square$

右からの分配法則 $(\tau+\rho)\cdot\sigma=\tau\cdot\sigma+\rho\cdot\sigma$ は一般には成り立たない。$(1+1)\cdot\omega=2\cdot\omega=\omega$ だが $1\cdot\omega+1\cdot\omega=\omega+\omega$ である(次の例の 3)。

和と積が可換でないこと
  1. $1+\omega=\omega$ だが $\omega+1\ne\omega$。$1+\omega$ は先頭に 1 点を足した $\mathbb N$ で、番号を 1 ずつずらせば $\mathbb N$ と順序同型である。$\omega+1$ には最大元があり、$\mathbb N$ にはない。
  2. $\omega^\ast+\omega=\zeta$ だが $\omega+\omega^\ast\ne\zeta$。前者は負の整数の後ろに非負の整数を並べたものである。後者には最小元($\omega$ の部分の先頭)と最大元($\omega^\ast$ の部分の末尾)がある。
  3. $2\cdot\omega=\omega$ だが $\omega\cdot2=\omega+\omega\ne\omega$。前者は 2 元の組を $\mathbb N$ の形に並べたもので、$(n,k)\mapsto2n+k$ が $\mathbb N$ への順序同型である。後者では、2 番目の写しの先頭の元より前に無限個の元があるが、$\mathbb N$ のどの元の前にも有限個の元しかない。
  4. $\eta\cdot2=\eta+\eta=\eta$ だが $2\cdot\eta\ne\eta$。前者は下の thm-order-type-cantor による(可算・稠密・端点なし)。後者は 2 元の組を $\mathbb Q$ の形に並べたもので、各組の前の元には直後の元(同じ組の後の元)があるので稠密でない。

1〜3 は順序数 の例「順序数の和と積の非可換性」と同じ現象を、型の言葉で見たものである。

Cantor の定理と η

全順序集合 $(A,<)$ が稠密であるとは、2 元以上をもち、$a< b$ ならば $a< c< b$ となる $c\in A$ があることをいう。端点とは最小元と最大元のことである。

Cantor の定理

可算で、稠密で、端点のない全順序集合は、すべて $(\mathbb Q,<)$ と順序同型である。すなわち、その型は $\eta$ である。

証明の所在

稠密で端点のない全順序集合は無限集合なので、ここでの「可算」は可算無限と同じである。この記事では証明を繰り返さない。証明は、両側の元に番号を付け、有限の部分同型を「行き」と「帰り」で交互に広げる往復論法(back-and-forth argument)による。その完全な証明は 範疇性 の定理「Cantor の定理」にあり、HJ99 Chapter 4 Theorem 4.9(pp. 83–84)にもある。下の thm-order-type-universal の証明は、その「行き」の半分だけを繰り返すものである。

可算な稠密順序の型

可算で稠密な全順序集合の型は、$\eta$、$1+\eta$、$\eta+1$、$1+\eta+1$ のちょうど一つである。

$A$ を可算で稠密な全順序集合とし、$A^\circ$ を $A$ から最小元と最大元(あれば)を除いたものとする。$A$ は 2 元 $a< b$ をもち、稠密性から $a< c< b$ となる $c$ があるので、$c\in A^\circ$ であり $A^\circ\ne\emptyset$ である。$A^\circ$ の 2 元 $x< y$ の間の $A$ の元は端点でないので $A^\circ$ に属し、$A^\circ$ は稠密である。$A^\circ$ の元 $x$ は $A$ の最大元でないので $x< y$ となる $y\in A$ があり、$x< z< y$ となる $z\in A^\circ$ がとれる。同様に $x$ より小さい元もあるので、$A^\circ$ に端点はない。$A^\circ$ は可算集合 $A$ の部分集合なので可算である。thm-order-type-cantor により $\operatorname{type}(A^\circ)=\eta$ であり、$A$ の型は端点の有無に応じて四つのいずれかになる。四つは、最小元の有無と最大元の有無で区別される。$\square$

たとえば $\mathbb Q\cap[0,1]$ の型は $1+\eta+1$、$\mathbb Q\cap(0,1]$ の型は $\eta+1$ である。また $\eta+1+\eta=\eta$ である($\mathbb Q$ を $0$ で二つに分ければ見える)。

可算な全順序は η に埋め込める

任意の可算な全順序集合 $(A,<)$ に対し、単射 $f\colon A\to\mathbb Q$ で $a< a'\iff f(a)< f(a')$ を満たすものがある。すなわち、可算な全順序集合の型は、すべて $\mathbb Q$ のある部分集合の型である。

$A$ の元を重複なく $a_0,a_1,\dots$(有限個で終わってもよい)と並べ、$\mathbb Q$ の元を $q_0,q_1,\dots$ と並べておく。$f(a_0),f(a_1),\dots$ を順に定め、各段階で「$f$ を $\{a_0,\dots,a_{k-1}\}$ に制限したものは順序を保つ」ことを保つ。
$f(a_0),\dots,f(a_{k-1})$ が定まったとする。$a_k$ より小さい $a_i$($i< k$)全体を $L$、大きいもの全体を $U$ とする。$A$ は全順序で $a_k$ はこれまでの元と異なるので、$\{a_0,\dots,a_{k-1}\}=L\cup U$ である。$L$ の元はすべて $U$ の元より小さく、帰納法の仮定から $f(L)$ の元はすべて $f(U)$ の元より小さい。そこで有理数 $r$ で
$$ f(\ell)< r< f(u)\quad(\ell\in L,\ u\in U) $$
を満たすものを探す。$L,U$ がともに空でなければ、$\max f(L)<\min f(U)$ の間に $\mathbb Q$ の稠密性で $r$ がある。一方だけが空なら、$\mathbb Q$ に端点がないことから $r$ がある。両方とも空なら($k=0$)任意の $r$ でよい。条件を満たす $q_m$ のうち $m$ が最小のものを $f(a_k)$ とする。このとき $a_i< a_k\iff f(a_i)< f(a_k)$ が $i< k$ について成り立つので、$\{a_0,\dots,a_k\}$ 上でも $f$ は順序を保つ。
こうして定めた $f$ は、任意の 2 元 $a_i,a_j$ について、$\max(i,j)$ 番目までの段階で大小を保つので、$a< a'\iff f(a)< f(a')$ を満たす。全順序なので、これから $f$ は単射でもある。$\square$

この定理は HJ99 Chapter 4 Theorem 4.10(p. 84)にある。上の証明は、最初に固定した番号付けで有理数を選ぶので選択公理を使わない。たとえば可算な順序数 $\omega\cdot\omega$ や $\omega^\omega$ も、$\mathbb Q$ の部分集合の型として実現される。可算性は外せない。$\mathbb R$ は非可算なので $\mathbb Q$ への単射がない。

実数の整列部分集合は可算

$W\subset\mathbb R$ が通常の順序で整列しているとする。$W$ の最大元でない $w$ について、$w$ より大きい $W$ の元の最小元を $w^+$ とし、開区間 $(w,w^+)$ に入る有理数 $q_m$ のうち $m$ が最小のものを $r(w)$ とする。$w< w'$ なら $w^+\le w'$ なので区間 $(w,w^+)$ と $(w',w'^+)$ は交わらず、$r$ は単射である。よって $W$ は可算である。特に非可算な順序数(非可算順序数)は、$\mathbb R$ のどの部分集合の型にもならない。

λ の特徴づけ

全順序集合 $L$ が完備であるとは、上に有界な空でない部分集合がつねに上限(最小の上界)をもつことをいう。$\mathbb R$ は完備である(実数の連続性 の定義「上限性質」)。部分集合 $P\subset L$ が $L$ で稠密であるとは、$x< y$ となる $x,y\in L$ に対し $x< p< y$ となる $p\in P$ があることをいう。$\mathbb Q$ は $\mathbb R$ で稠密である($x< y$ なら $1/n< y-x$ となる正の整数 $n$ をとれば、ある整数 $k$ で $k/n\in(x,y)$ となる)。

λ の特徴づけ

空でない全順序集合 $L$ が、端点をもたず、完備で、$L$ で稠密な可算部分集合をもつなら、$L$ は $(\mathbb R,<)$ と順序同型である。すなわち、その型は $\lambda$ である。

$P\subset L$ を $L$ で稠密な可算部分集合とする。
$P$ の型は $\eta$。 $L$ は空でなく端点がないので $x< y$ となる 2 元をもち、その間に $P$ の元がある。$P$ の 2 元 $p< q$ の間には $L$ での稠密性により $P$ の元があるので、$P$ は稠密である(2 元以上あることは、$P$ の元 $p$ と、端点がないことからとれる $y>p$ の間に $P$ の元があることから分かる)。$p\in P$ に対し、$L$ に $y>p$ があり、$p< p'< y$ となる $p'\in P$ があるので、$P$ に最大元はない。最小元がないことも同様である。thm-order-type-cantor により順序同型 $g\colon P\to\mathbb Q$ がある。
写像の定義。 $x\in L$ について $S_x=\{g(p)\mid p\in P,\ p< x\}$ とおく。$x$ より小さい $L$ の元と $x$ の間に $P$ の元があるので $S_x\ne\emptyset$ である。$x< y$ となる $y$ と、$x< p'< y$ となる $p'\in P$ をとると、$p< x$ なら $p< p'$ なので $S_x$ は $g(p')$ で上に有界である。$\mathbb R$ の完備性により $F(x):=\sup S_x\in\mathbb R$ が定まる。
順序を保つこと。 $x< y$ とする。稠密性を 2 回使って $x< p< q< y$ となる $p,q\in P$ をとる。$p'< x$ なら $p'< p$ なので $S_x$ の元はすべて $g(p)$ より小さく、$F(x)\le g(p)$ である。$q< y$ なので $g(q)\in S_y$ であり、$g(q)\le F(y)$ である。よって $F(x)\le g(p)< g(q)\le F(y)$ である。
全射であること。 $r\in\mathbb R$ をとり、$T=\{p\in P\mid g(p)< r\}$ とおく。$g$ は $\mathbb Q$ への全射なので、$r$ より小さい有理数から $T\ne\emptyset$ が分かる。$r$ より大きい有理数を $g(p_1)$ と書けば、$p\in T$ は $g(p)< g(p_1)$ なので $p< p_1$ であり、$T$ は上に有界である。$L$ の完備性により $x=\sup T$ がとれる。

  • $F(x)\ge r$:有理数 $t< r$ をとり、$t< t'< r$ となる有理数 $t'$ をとる。$t=g(p)$、$t'=g(p')$ とすると $p< p'$ で $p'\in T$ なので、$p< p'\le x$ である。よって $t\in S_x$ で $t\le F(x)$ である。$r$ より小さい有理数がすべて $F(x)$ 以下なので、$r\le F(x)$ である。
  • $F(x)\le r$:$p\in P$、$p< x$ とする。$x$ は $T$ の最小の上界なので $p$ は上界でなく、$p< p''$ となる $p''\in T$ がある。よって $g(p)< g(p'')< r$ である。$S_x$ の元はすべて $r$ より小さいので、$F(x)\le r$ である。
    以上より $F(x)=r$ である。$F$ は狭義に順序を保つ全単射なので、順序同型である(順序同型 の命題「全順序からの単調単射は順序を反映する」)。$\square$

この定理は HJ99 Chapter 4 Theorem 5.7(p. 89)にあり、そこでは $\mathbb R$ を $\mathbb Q$ の完備化として定め、完備化の一意性から導いている。上の証明は、完備化を経由せずに順序同型を直接作ったものである。この証明も選択公理を使わない。

λ を含む和
  1. $\lambda+1+\lambda=\lambda$。$s\mapsto-e^{-s}$ は $\mathbb R$ から $(-\infty,0)$ への、$s\mapsto e^s$ は $\mathbb R$ から $(0,\infty)$ への順序同型なので、$\mathbb R=(-\infty,0)\cup\{0\}\cup(0,\infty)$ の型は $\lambda+1+\lambda$ である。
  2. $\lambda+\lambda\ne\lambda$。$\lambda+\lambda$ は $\mathbb R\setminus\{0\}$ の型である。その部分集合 $(-\infty,0)$ は上に有界だが、上界は正の数 $u$ で、$u/2$ も上界なので最小の上界がない。よって $\mathbb R\setminus\{0\}$ は完備でなく、$\mathbb R$ と順序同型でない。
  3. $[0,1]$ の型は $1+\lambda+1$ で、$(0,1)$ の型は $\lambda$ である($s\mapsto1/(1+e^{-s})$)。
    2 により、Cantor の定理は非可算な集合では成り立たない。$\mathbb R$ と $\mathbb R\setminus\{0\}$ はどちらも稠密で端点をもたず、濃度も等しいが、型が異なる。

反例の表

各行は、定理の仮定を一つだけ外したものである。

外す条件反例成り立たなくなること
可算であること(thm-order-type-cantor)$\mathbb R$型が $\eta$ であること
稠密であること(thm-order-type-cantor)$\mathbb Z$型が $\eta$ であること
端点がないこと(thm-order-type-cantor)$\mathbb Q\cap[0,1]$型が $\eta$ であること
可算であること(thm-order-type-universal)$\mathbb R$$\mathbb Q$ への順序を保つ単射があること
完備であること(thm-order-type-lambda)$\mathbb Q$型が $\lambda$ であること
端点がないこと(thm-order-type-lambda)$[0,1]$型が $\lambda$ であること
稠密な可算部分集合をもつこと(thm-order-type-lambda)$\mathbb R\times[0,1]$ の辞書式順序(型 $(1+\lambda+1)\cdot\lambda$)型が $\lambda$ であること
最後の行の確認を開く

$L=\mathbb R\times[0,1]$ に第 1 成分を先に比べる辞書式順序を入れる。$(x,t)$ より大きい元 $(x+1,t)$ と小さい元 $(x-1,t)$ があるので端点はない。完備性:$S\subset L$ を空でなく上に有界とし、$x_0$ を $S$ の元の第 1 成分の上限とする。第 1 成分が $x_0$ の元が $S$ にあれば、それらの第 2 成分の上限を $t_0\in[0,1]$ として $(x_0,t_0)$ が $S$ の上限である(それより小さい元 $(y,u)$ は、$y< x_0$ なら第 1 成分 $x_0$ の $S$ の元に、$y=x_0$ なら第 2 成分が $u$ より大きい $S$ の元に越される)。第 1 成分が $x_0$ の元がなければ $(x_0,0)$ が上限である(それより小さい元は第 1 成分が $x_0$ より小さく、$S$ の元に越される)。可算な稠密部分集合はない:$P$ が $L$ で稠密なら、各 $x\in\mathbb R$ について $(x,0)$ と $(x,1)$ の間に $P$ の元があり、その第 1 成分は $x$ である。よって第 1 成分への写像 $P\to\mathbb R$ は全射であり、$P$ が可算なら $\mathbb R$ も可算になって矛盾する。$\mathbb R$ は可算な稠密部分集合 $\mathbb Q$ をもち、順序同型は稠密部分集合を稠密部分集合に移すので、$L$ は $\mathbb R$ と順序同型でない。ほかの行:$\mathbb R$ は稠密で端点がなく非可算、$\mathbb Z$ は可算で端点がなく稠密でない、$\mathbb Q\cap[0,1]$ と $[0,1]$ は端点をもつ、$\mathbb Q$ は端点がなく自分自身が稠密な可算部分集合だが、$\sqrt2$ より小さい有理数全体に上限がない。

関連項目

参考文献

[1]
Karel Hrbacek, Thomas Jech, Introduction to Set Theory, Marcel Dekker, 1999, Chapter 4 §4 Definition 4.1(p. 79)、Lemma 4.5・Lemma 4.6(p. 81、和と辞書式の積)、Theorem 4.9(pp. 83–84、Cantor の定理)、Theorem 4.10(p. 84、可算な全順序の埋め込み)、§5 Theorem 5.7(p. 89、実数の順序の特徴づけ)、Chapter 6 Theorem 3.1(p. 111、整列集合の順序数による表現)

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