Michaelの定理(パラコンパクト空間)(Michael's theorem on paracompactness)とは、正則空間 $X$ について、パラコンパクト性が、任意の開被覆が $\sigma$-局所有限な開細分をもつこと、局所有限な細分(開でなくてよい)をもつこと、局所有限な閉細分をもつことのどれとも同値になるという定理である。正則空間では「開」と「局所有限」の一方を弱めた細分を作れば足り、距離化可能空間がパラコンパクトであるという Stone の定理や、正則 Lindelöf 空間のパラコンパクト性が直ちに従う。$T_1$ 空間では、任意の開被覆が全体を覆うクッション細分(閉包の条件を課した細分)をもつことがパラコンパクト Hausdorff 性と同値になる。
Michaelの定理(パラコンパクト空間)(Michael's theorem on paracompactness)とは、正則空間について、パラコンパクト性(任意の開被覆が局所有限な開細分をもつこと)が、細分に課す条件を弱めた次のどの条件とも同値になるという定理である。
規約は パラコンパクト空間 に従う。パラコンパクト性に Hausdorff 性を含めず、正則空間は「点とそれを含まない閉集合を交わらない開集合で分離できる空間」の意味で、$T_1$ 性を含めない(正則空間 の注意「流儀の違い:$T_1$ を含めるかどうか」)。
位相空間 $X$ の被覆 $\mathcal V$ が被覆 $\mathcal U$ の細分であるとは、$\mathcal V$ が $X$ を覆い、$\mathcal V$ の各成員が $\mathcal U$ のある成員に含まれることをいう(細分)。成員がすべて開集合なら開細分、すべて閉集合なら閉細分という。$X$ の部分集合の族 $\mathcal A$ が局所有限とは、各点に、$\mathcal A$ の有限個の成員としか交わらない近傍があることをいい(局所有限(位相))、離散とは、各点に、$\mathcal A$ の高々 1 つの成員としか交わらない近傍があることをいう。可算個の局所有限な族の和として書ける族を $\sigma$-局所有限、可算個の離散な族の和として書ける族を $\sigma$-離散という。各層が $X$ を覆うことは要求しない。離散な族は局所有限なので、$\sigma$-離散な族は $\sigma$-局所有限である。
対ごとに交わらない開集合の族が離散とは限らない。たとえば $\mathbb R$ の開区間の族 $\{(1/(n+1),1/n)\mid n\ge1\}$ は対ごとに交わらないが、$0$ のどの近傍も無限個の成員と交わるので局所有限でもない。
以下で何度も使う事実として、局所有限な族 $\mathcal A$ の閉包の族も局所有限であり、$\overline{\bigcup\mathcal A}=\bigcup_{A\in\mathcal A}\overline A$ が成り立つ。とくに局所有限な閉集合の族の任意の部分族の合併は閉集合である(開被覆 の命題「局所有限な族の閉包」)。
正則空間 $X$ について、次の 4 条件は同値である。
1 ⇒ 2.局所有限な開細分は、それ自身 1 つで $\sigma$-局所有限である。
2 ⇒ 3.開被覆 $\mathcal A$ をとり、$\mathcal B=\bigcup_{n\ge1}\mathcal B_n$(各 $\mathcal B_n$ は局所有限)をその開細分とする。$V_n:=\bigcup_{U\in\mathcal B_n}U$ とおき、$n\ge1$ と $U\in\mathcal B_n$ について
$$
S_n(U):=U\setminus\bigcup_{i< n}V_i,\qquad\mathcal C:=\{S_n(U)\mid n\ge1,\ U\in\mathcal B_n\}
$$
とおく。$S_n(U)\subset U$ なので $\mathcal C$ の各成員は $\mathcal A$ のある成員に含まれる。点 $x$ をとり、$x$ が $\mathcal B_N$ のある成員に属するような最小の $N$ と、$x\in U\in\mathcal B_N$ をとる。$i< N$ では $x\notin V_i$ なので $x\in S_N(U)$ であり、$\mathcal C$ は $X$ を覆う。局所有限性を示す。$n>N$ なら $S_n(W)\subset X\setminus V_N\subset X\setminus U$ なので、$U$ は $n>N$ の層の成員と交わらない。$n\le N$ については、$\mathcal B_n$ が局所有限なので、$x$ の近傍 $W_n$ で $\mathcal B_n$ の有限個の成員としか交わらないものがあり、$S_n(W)\subset W$ から $W_n$ は $\{S_n(W)\mid W\in\mathcal B_n\}$ の有限個の成員としか交わらない。よって近傍 $U\cap W_1\cap\cdots\cap W_N$ は $\mathcal C$ の有限個の成員としか交わらない。
3 ⇒ 4.開被覆 $\mathcal A$ をとる。正則性により、各点 $x$ と $x\in A\in\mathcal A$ に対し、$x$ の開近傍 $O$ で $\overline O\subset A$ となるものがある($x$ と閉集合 $X\setminus A$ を交わらない開集合 $O\ni x$、$N\supset X\setminus A$ で分離すれば $\overline O\subset X\setminus N\subset A$)。そこで $\mathcal O$ を「閉包が $\mathcal A$ のある成員に含まれる開集合」の全体とすると、$\mathcal O$ は開被覆である。3 により $\mathcal O$ の局所有限な細分 $\mathcal C$ をとり、$\mathcal D:=\{\overline C\mid C\in\mathcal C\}$ とおく。$\mathcal D$ は $X$ を覆う閉集合の族で、局所有限な族の閉包の族なので局所有限である。$C\subset O\in\mathcal O$ なら $\overline C\subset\overline O$ は $\mathcal A$ のある成員に含まれるので、$\mathcal D$ は $\mathcal A$ の局所有限な閉細分である。
4 ⇒ 1.開被覆 $\mathcal A$ をとり、4 によりその局所有限な閉細分 $\mathcal B$ をとる。各点には $\mathcal B$ の有限個の成員としか交わらない開近傍があるので、そのような開集合の全体 $\mathcal W$ は開被覆である。4 により $\mathcal W$ の局所有限な閉細分 $\mathcal C$ をとる。$\mathcal C$ の各成員はある $W\in\mathcal W$ に含まれるので、$\mathcal B$ の有限個の成員としか交わらない。
$B\in\mathcal B$ について、$\mathcal C(B):=\{C\in\mathcal C\mid C\subset X\setminus B\}$ と
$$
E(B):=X\setminus\bigcup_{C\in\mathcal C(B)}C
$$
をおく。$\mathcal C$ は局所有限な閉集合の族なので、その部分族の合併は閉集合であり、$E(B)$ は開集合である。$\mathcal C(B)$ の成員は $B$ と交わらないので $B\subset E(B)$ である。また $C\in\mathcal C$ が $E(B)$ と交われば $C\notin\mathcal C(B)$、すなわち $C$ は $B$ と交わる。各 $B$ に対し $B\subset F(B)$ となる $F(B)\in\mathcal A$ を選び、
$$
\mathcal E:=\{E(B)\cap F(B)\mid B\in\mathcal B\}
$$
とおく。成員は開集合で $\mathcal A$ の成員に含まれ、$B\subset E(B)\cap F(B)$ なので $\mathcal E$ は $X$ を覆う。局所有限性を示す。点 $x$ の近傍 $N$ で $\mathcal C$ の有限個の成員 $C_1,\dots,C_k$ としか交わらないものをとる。$\mathcal C$ は $X$ を覆うので $N\subset C_1\cup\cdots\cup C_k$ である。$N$ が $E(B)\cap F(B)$ と交われば、ある $C_i$ が $E(B)$ と交わり、上の注意からその $C_i$ は $B$ と交わる。各 $C_i$ と交わる $B$ は有限個なので、$N$ と交わる $\mathcal E$ の成員は有限個である。よって $\mathcal E$ は $\mathcal A$ の局所有限な開細分であり、$X$ はパラコンパクトである。$\square$
正則性を使ったのは 3 ⇒ 4 だけである。したがって任意の位相空間で 4 ⇒ 1 ⇒ 2 ⇒ 3 が成り立ち、正則性はこの輪を 3 ⇒ 4 で閉じるためにだけ要る。正則性を外すと 2 ⇒ 1 が成り立たない例がある(下の節「反例と注意」)。$T_1$ 性と Hausdorff 性はどこでも使っていない。証明は Mun00 Lemma 41.3(pp. 254–257)と同じ筋であり、Engelking89 Theorem 5.1.11(p. 302)も同じ同値を述べている。どちらの本も正則性に $T_1$ 性を含めているが、上の証明はそれを使わない。
2 の「開細分」を「閉細分」に替えた条件($\sigma$-局所有限な閉細分の存在)からはパラコンパクト性は従わない(Engelking89 p. 302 の注意。この記事では証明しない)。
$X$ を正則空間とする。
1.高々可算な族 $\{U_1,U_2,\dots\}$ は 1 個の成員からなる族 $\{U_n\}$ の可算個の和で、有限な族は局所有限なので、$\sigma$-局所有限である。Lindelöf 空間では開被覆の可算な部分被覆がそのまま開細分になる。2.$\sigma$-離散な族は $\sigma$-局所有限である。どちらも thm-mich-main の 2 ⇒ 1 による。$\square$
1 は パラコンパクト空間 の命題「正則 Lindelöf 空間」と同じ主張で、そこでは細分を直接作って証明している。
距離化可能空間(距離化可能空間)はパラコンパクトである。
距離空間は正則である(正則空間 の命題「距離空間は正則」)。距離空間の任意の開被覆は $\sigma$-離散な開細分をもつ(長田–Smirnovの距離化定理 の補題「距離空間の開被覆は $\sigma$-離散な開細分をもつ」。開被覆を整列して、各成員から「半径 $1/n$ の球が入る点のうち、前の成員に入らない点」の $1/(3n)$ 近傍を作る)。cor-mich-countable の 2 によりパラコンパクトである。$\square$
この定理は A. H. Stone による(Engelking89 p. 313)。証明は Mun00 Theorem 41.4(p. 257)と同じ筋である。
$X$ を Hausdorff 空間とし、コンパクト集合の列 $K_1\subset K_2\subset\cdots$ で $K_n\subset\operatorname{int}K_{n+1}$、$X=\bigcup_n\operatorname{int}K_n$ をみたすものがあるとする(たとえば $\mathbb R^n$ と閉球 $K_n=\{|x|\le n\}$)。各点 $x$ はある $\operatorname{int}K_n$ に属するので $K_n$ は $x$ のコンパクト近傍であり、$X$ は局所コンパクトで、局所コンパクト Hausdorff 空間なので正則である(正則空間 の命題「局所コンパクト Hausdorff 空間は正則」)。開被覆は各 $K_n$ を有限個の成員で覆えるので、全体として高々可算な部分被覆をもつ。cor-mich-countable の 1 により $X$ はパラコンパクトである。
細分の成員の閉包を、成員をいくつ集めても元の被覆の対応する成員の合併に収める条件を課すと、開集合であることも局所有限であることも要求せずに、$T_1$ 空間のパラコンパクト Hausdorff 性を特徴づけられる。証明では開被覆の添字を整列し、thm-mich-main の 2 ⇒ 1 に帰着させる。以下の議論では 選択公理(添字集合の整列と、可算回の再帰的な選択)を用いる。
位相空間 $X$ の部分集合の族 $(V_\beta)_{\beta\in B}$ が族 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ のクッション細分(cushioned refinement)であるとは、写像 $f\colon B\to A$ が存在して、すべての部分集合 $B'\subset B$ について
$$\overline{\bigcup_{\beta\in B'}V_\beta}\subset\bigcup_{\beta\in B'}U_{f(\beta)}$$
が成り立つことをいう。$V_\beta$ が開集合であることは要求しない。$B'=\{\beta\}$ にとれば $\overline{V_\beta}\subset U_{f(\beta)}$ なので、クッション細分は細分である。クッション細分が $X$ を覆うことは、必要なときに別に課す。
$T_1$ 空間(T1空間)$X$ について、次は同値である。
まず、クッション細分の添字をまとめ直せることを確かめる。$(V_\beta)_{\beta\in B}$ を開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ の、$X$ を覆うクッション細分とし、$f\colon B\to A$ をその写像とする。$C_\alpha:=\overline{\bigcup_{f(\beta)=\alpha}V_\beta}$ とおく($\alpha\notin f(B)$ なら $C_\alpha=\emptyset$)。任意の $A'\subset A$ について、$\bigcup_{f(\beta)\in A'}V_\beta\subset\bigcup_{\alpha\in A'}C_\alpha\subset\overline{\bigcup_{f(\beta)\in A'}V_\beta}$ なので
$$\overline{\bigcup_{\alpha\in A'}C_\alpha}=\overline{\bigcup_{f(\beta)\in A'}V_\beta}\subset\bigcup_{f(\beta)\in A'}U_{f(\beta)}\subset\bigcup_{\alpha\in A'}U_\alpha$$
である。したがって $(C_\alpha)_{\alpha\in A}$ は、$(U_\alpha)$ と同じ添字をもつ閉集合の被覆であり、恒等写像を $f$ として $(U_\alpha)$ のクッション細分である。以後、条件 2 の下では、任意の開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ に対しこの形の閉被覆 $(C_\alpha)_{\alpha\in A}$ がとれる。
1 ⇒ 2:$X$ は正則なので(パラコンパクト空間 の命題「正則性と正規性」)、開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ に対し パラコンパクト空間 の補題「閉包を制御する細分」により局所有限な開被覆 $(W_\beta)_{\beta\in B}$ と写像 $f\colon B\to A$ で $\overline{W_\beta}\subset U_{f(\beta)}$ となるものがとれる。任意の $B'\subset B$ について、部分族 $(W_\beta)_{\beta\in B'}$ も局所有限なので、局所有限な族の閉包の等式(開被覆 の命題「局所有限な族の閉包」)により $\overline{\bigcup_{\beta\in B'}W_\beta}=\bigcup_{\beta\in B'}\overline{W_\beta}\subset\bigcup_{\beta\in B'}U_{f(\beta)}$ である。よって $(W_\beta)$ は $X$ を覆うクッション細分である。
2 ⇒ 1:まず $X$ が正規であることを示す。交わらない閉集合 $A_0,B_0$ に対し、開被覆 $\{X\setminus A_0,X\setminus B_0\}$ に対応する閉被覆 $\{F_1,F_2\}$ を上のようにとると、$F_1\subset X\setminus A_0$、$F_2\subset X\setminus B_0$ である。$X\setminus F_1$ と $X\setminus F_2$ はそれぞれ $A_0$、$B_0$ を含む開集合であり、$F_1\cup F_2=X$ なので交わらない。よって $X$ は正規であり、$T_1$ 性により一点集合が閉なので、$X$ は Hausdorff かつ正則である。
次に、任意の開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ が $\sigma$-離散な開細分をもつことを示す。$A$ を整列する。$(U_\alpha)$ に対応する閉被覆を $(C_{\alpha,1})_{\alpha\in A}$ とする。帰納的に、閉被覆 $(C_{\alpha,n})_{\alpha\in A}$ が得られたら
$$U_{\alpha,n+1}:=U_\alpha\setminus\overline{\bigcup_{\beta<\alpha}C_{\beta,n}}$$
とおく。$x\in X$ に対し $x\in U_\alpha$ となる最小の $\alpha$ をとると、クッション条件により $\overline{\bigcup_{\beta<\alpha}C_{\beta,n}}\subset\bigcup_{\beta<\alpha}U_\beta$ であり、この合併は $x$ を含まないので $x\in U_{\alpha,n+1}$ である。したがって $(U_{\alpha,n+1})_{\alpha\in A}$ は開被覆であり、これに対応する閉被覆を $(C_{\alpha,n+1})_{\alpha\in A}$ とする。$U_{\alpha,n+1}\subset U_\alpha$ なので、これは $(U_\alpha)$ のクッション細分でもある。こうして得られる閉被覆の列は次の二式を満たす。
$$\overline{\bigcup_{\beta<\alpha}C_{\beta,n}}\cap C_{\alpha,n+1}=\emptyset,\qquad C_{\alpha,n}\cap\overline{\bigcup_{\beta>\alpha}C_{\beta,n+1}}=\emptyset.$$
前者は $C_{\alpha,n+1}\subset U_{\alpha,n+1}$ による。後者は、クッション条件により $\overline{\bigcup_{\beta>\alpha}C_{\beta,n+1}}\subset\bigcup_{\beta>\alpha}U_{\beta,n+1}$ であり、$\beta>\alpha$ のとき $U_{\beta,n+1}$ は $\overline{\bigcup_{\gamma<\beta}C_{\gamma,n}}\supset C_{\alpha,n}$ と交わらないことによる。
各 $n$ と $\alpha$ に対し
$$V_{\alpha,n}:=X\setminus\overline{\bigcup_{\beta\neq\alpha}C_{\beta,n}}$$
とおく。これは開集合である。$n$ を固定すると、$\alpha\neq\alpha'$ のとき $V_{\alpha,n}\cap V_{\alpha',n}$ はどの $C_{\beta,n}$ とも交わらないが、$(C_{\beta,n})_\beta$ は被覆なので $V_{\alpha,n}\cap V_{\alpha',n}=\emptyset$ である。同じ理由で $V_{\alpha,n}\subset C_{\alpha,n}\subset U_\alpha$ である。全層を合わせた族 $(V_{\alpha,n})_{\alpha\in A,\,n\geq1}$ が $X$ を覆うことを示す。$x\in X$ に対し $\alpha(n):=\min\{\alpha\mid x\in C_{\alpha,n}\}$ とおき、$\alpha_*:=\min_n\alpha(n)$ が $n$ で達成されたとする($\alpha(n)=\alpha_*$)。$x\in C_{\alpha_*,n}$ と後の式から、$x$ は $\overline{\bigcup_{\beta>\alpha_*}C_{\beta,n+1}}$ に属さない。また $\gamma:=\alpha(n+2)\geq\alpha_*$ について $x\in C_{\gamma,n+2}$ なので、前の式($n+1$ に対するもの)から $x$ は $\overline{\bigcup_{\beta<\gamma}C_{\beta,n+1}}\supset\overline{\bigcup_{\beta<\alpha_*}C_{\beta,n+1}}$ に属さない。二つの集合の合併の閉包は閉包の合併なので、$x\notin\overline{\bigcup_{\beta\neq\alpha_*}C_{\beta,n+1}}$、すなわち $x\in V_{\alpha_*,n+1}$ である。
開被覆 $(V_{\alpha,n})_{\alpha,n}$ に対応する閉被覆を $(D_{\alpha,n})_{\alpha,n}$ とする。クッション条件を添字の部分集合 $A\times\{n\}$ に適用すると
$$H_n:=\overline{\bigcup_{\alpha\in A}D_{\alpha,n}}\subset\bigcup_{\alpha\in A}V_{\alpha,n}$$
である。正規性により、開集合 $W_n$ で $H_n\subset W_n\subset\overline{W_n}\subset\bigcup_\alpha V_{\alpha,n}$ となるものをとる($H_n$ と閉集合 $X\setminus\bigcup_\alpha V_{\alpha,n}$ を分離する)。各 $n$ について族 $(W_n\cap V_{\alpha,n})_{\alpha\in A}$ は離散である。実際、点 $y\notin\overline{W_n}$ に対しては $X\setminus\overline{W_n}$ がこの族のどの成員とも交わらない近傍であり、点 $y\in\overline{W_n}$ に対しては $y$ を含むただ一つの $V_{\alpha,n}$ が、$W_n\cap V_{\alpha,n}$ 以外の成員と交わらない開近傍である。また $D_{\alpha,n}\subset H_n\cap V_{\alpha,n}\subset W_n\cap V_{\alpha,n}$ であり $(D_{\alpha,n})$ は $X$ を覆うので、$(W_n\cap V_{\alpha,n})_{\alpha,n}$ は $X$ を覆う。各成員は $V_{\alpha,n}\subset U_\alpha$ に含まれる開集合である。こうして $(U_\alpha)$ の $\sigma$-離散な開細分が得られた。
離散な族は局所有限なので、この開細分は $\sigma$-局所有限である。$X$ は正則なので、thm-mich-main の 2 ⇒ 1 により $X$ はパラコンパクトである。$\square$
パラコンパクトな正則空間の任意の開被覆は、$\sigma$-離散な開細分をもつ。
$X$ をパラコンパクトな正則空間とする。$X$ は正規であり(パラコンパクト空間 の命題「正則性と正規性」の 2)、thm-mich-cushioned の証明の 1 ⇒ 2 の部分は正則性しか用いていないので、任意の開被覆は $X$ を覆うクッション細分をもつ。同じ証明の 2 ⇒ 1 の部分のうち $\sigma$-離散な開細分を構成する段階は、正規性と、任意の開被覆が $X$ を覆うクッション細分をもつことだけを用いている($T_1$ 性は Hausdorff 性と正則性を導くためにのみ使った)。よって主張が従う。$\square$
cor-mich-sigma-discrete と cor-mich-countable の 2 をあわせると、正則空間では、パラコンパクトであることと、任意の開被覆が $\sigma$-離散な開細分をもつことは同値である。全体正規空間がパラコンパクト Hausdorff であることの証明(全体正規空間 の定理「全体正規性とパラコンパクト性」)も、$\sigma$-離散な開細分を作って thm-mich-main の 2 ⇒ 1 に帰着させる同じ型の議論である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 正則性 | K 位相の実数直線 $\mathbb R_K$ | thm-mich-main の 2 ⇒ 1 |
| 「$\sigma$」(局所有限な族が可算個であること) | 長い直線 | 局所有限な族の和として書ける開細分があればパラコンパクトであること |
| $T_1$ 性 | 密着位相の 2 点空間 | thm-mich-cushioned の 2 ⇒ 1 |
1 行目.$\mathbb R_K$ は第 2 可算な Hausdorff 空間で、正則でない(K位相 の系「正則性から従う性質の破れ」)。第 2 可算な空間は Lindelöf なので(開被覆 の命題「第2可算空間は Lindelöf」)、任意の開被覆は可算な部分被覆、すなわち $\sigma$-局所有限な開細分をもち、2 をみたす。一方、パラコンパクト Hausdorff 空間は正則なので(パラコンパクト空間 の命題「正則性と正規性」の 1)、$\mathbb R_K$ はパラコンパクトでない。
2 行目.長い直線 $L$ は Hausdorff かつ正規なので(パラコンパクト空間 の注意「反例:長い直線」)、一点集合が閉集合であることとあわせて正則である。任意の開被覆 $\mathcal U$ は、1 個の成員からなる族 $\{U\}$($U\in\mathcal U$)の和であり、各 $\{U\}$ は局所有限である。よって「局所有限な族の(個数を問わない)和として書ける開細分」はつねにあるが、$L$ はパラコンパクトでない。2 の条件の可算性は外せない。
3 行目.2 点集合 $\{a,b\}$ に密着位相を入れると、空でない開集合は全体だけなので、任意の開被覆は全体を成員にもち、$\{X\}$ はそれの $X$ を覆うクッション細分である($\overline X=X$)。この空間はパラコンパクトだが Hausdorff でない(パラコンパクト空間 の例「Hausdorff でないパラコンパクト空間」)。$T_1$ 性は thm-mich-cushioned の 2 ⇒ 1 で Hausdorff 性を導くためにだけ使っている。
細分が覆うこと.thm-mich-main の 3・4 の細分は $X$ を覆うことを要求している。成員が開集合でない細分では、局所有限であっても各点の近傍の取り方に注意が要り、4 ⇒ 1 の証明では閉細分 $\mathcal C$ が $X$ を覆うことを使って近傍 $N$ を有限個の成員の合併に収めた。
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