DG圏

同義語:dg圏微分次数付き圏dg categorydifferential graded category

概要

DG圏(dg category)とは、可換環 $k$ 上で、2 対象の間の射全体が複体であり、合成が Leibniz 則 $d(gf)=d(g)f+(-1)^{|g|}g\,d(f)$ を満たす圏、すなわち $k$ 上の複体のモノイダル圏で豊穣化された圏である。典型例は加群の複体と任意の次数の次数付き写像からなる DG圏 $C_{\mathrm{dg}}(B)$ で、次数 $0$ の閉射の圏は複体の圏、次数 $0$ のコホモロジーをとった圏はホモトピー圏 $K(B)$ になる。写像錐やホモトピーを射の複体の中に保持するので、三角圏の DG強化として導来圏・森田理論・傾理論を扱う枠組みになり、準同値による局所化は Tabuada のモデル構造で扱われる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 複体, 豊穣圏, 鎖ホモトピー, ホモトピー圏

DG圏(differential graded category、微分次数付き圏)は、2 対象の間の射全体が単なる集合や加群ではなく複体であり、合成がその微分と両立する圏である。複体の圏 $C(B)$ では、鎖写像だけでなく任意の次数の「次数付き写像」まで射として持っておくと、射の集まりが複体になり、その次数 $0$ のコホモロジーがホモトピー圏 $K(B)$ の射になる。DG圏はこの構造を抽象化したもので、三角圏では失われる写像錐の関手性や、関手の圏・テンソル積といった構成を保ったまま導来圏を扱う枠組みになる。
この記事では、DG圏・DG関手・準同値を定義し、複体の DG圏 $C_{\mathrm{dg}}(B)$ が実際に DG圏であることと、その $Z^0$・$H^0$ が複体の圏とホモトピー圏であることを証明する。

定義

以下、$k$ を可換環とし、$\otimes=\otimes_k$ と書く。複体はコホモロジー的な番号付け(微分は次数を $1$ 上げる)で書く。複体 の記事のホモロジー的な番号付けとは $C^n=C_{-n}$ で対応する。
次数付き加群と Koszul の符号. 次数付き $k$ 加群とは $V=\bigoplus_{p\in\mathbb Z}V^p$ の形の $k$ 加群で、$V^p$ の元を次数 $p$ の斉次元といい、その次数を $|v|$ と書く。次数 $n$ の写像 $f\colon V\to W$ とは $f(V^p)\subset W^{p+n}$ を満たす $k$ 線形写像である。2 つの複体 $V,W$ のテンソル積は $(V\otimes W)^n=\bigoplus_{p+q=n}V^p\otimes W^q$ に微分
$$ d(v\otimes w)=dv\otimes w+(-1)^{|v|}v\otimes dw $$
を入れたものである。この $\otimes$ により $k$ 上の複体の圏 $C(k)$ はモノイダル圏になる(単位対象は次数 $0$ に置いた $k$)。

DG圏

$k$ 上のDG圏 $\mathcal A$ は次のデータからなる。

  1. 対象の集まり $\operatorname{ob}\mathcal A$。
  2. 対象 $X,Y$ ごとの複体 $\mathcal A(X,Y)$(射の複体)。その次数 $n$ の元を次数 $n$ の射という。
  3. $k$ 双線形な合成 $\mathcal A(Y,Z)^m\times\mathcal A(X,Y)^n\to\mathcal A(X,Z)^{m+n}$、$(g,f)\mapsto gf$。
  4. 各対象 $X$ の次数 $0$ の恒等射 $1_X\in\mathcal A(X,X)^0$。
    これらは、合成が結合的で $1_X$ が両側の単位であることと、Leibniz 則
    $$ d(gf)=d(g)\,f+(-1)^{|g|}g\,d(f)\qquad(g,f\text{ は斉次}) $$
    および $d(1_X)=0$ を満たすとする。

Leibniz 則は、合成 $\mathcal A(Y,Z)\otimes\mathcal A(X,Y)\to\mathcal A(X,Z)$ が上の微分について鎖写像であることと同じであり、$d(1_X)=0$ は単位 $k\to\mathcal A(X,X)$ が鎖写像であることと同じである。したがって DG圏とは、モノイダル圏 $(C(k),\otimes,k)$ で豊穣化された 豊穣圏 にほかならない(Kel06 §2.2、p. 3)。

DG関手と準同値

DG圏 $\mathcal A,\mathcal A'$ の間のDG関手 $F$ は、対象の対応 $X\mapsto FX$ と、次数を保ち微分と可換な $k$ 線形写像 $F\colon\mathcal A(X,Y)\to\mathcal A'(FX,FY)$ の族で、合成と恒等射を保つものである。DG関手 $F$ が準同値(quasi-equivalence)であるとは、すべての $X,Y$ で $F\colon\mathcal A(X,Y)\to\mathcal A'(FX,FY)$ が擬同型であり、誘導される関手 $H^0(F)\colon H^0(\mathcal A)\to H^0(\mathcal A')$(下の def-dg-z0-h0)が圏同値であることをいう(Kel06 §2.3、pp. 4–5)。

次数0の閉射の圏とホモトピー圏

DG圏 $\mathcal A$ について、$Z^0(\mathcal A)$ を、対象は $\mathcal A$ と同じで、射の集合を $Z^0\mathcal A(X,Y)=\ker\bigl(d\colon\mathcal A(X,Y)^0\to\mathcal A(X,Y)^1\bigr)$ とする圏とする。$H^0(\mathcal A)$ を、射の集合を $H^0\mathcal A(X,Y)=Z^0\mathcal A(X,Y)/d\,\mathcal A(X,Y)^{-1}$ とする圏とする。また $H^*(\mathcal A)$ は射を $\bigoplus_nH^n\mathcal A(X,Y)$ とする次数付きの圏である。

Leibniz 則により、閉射($df=0$)の合成は閉射で、閉射と完全な射($f=dh$)の合成は完全である($g\,dh=(-1)^{|g|}d(gh)$、$(dh)f=d(hf)$)。よって $Z^0(\mathcal A)$・$H^0(\mathcal A)$ は実際に圏になり、DG関手は関手 $Z^0(F)$・$H^0(F)$ を誘導する。

直感

$H^0(\mathcal A)$ は「射をホモトピーで割った」圏で、三角圏として扱いたいのは通常こちらである。DG圏はその下に、ホモトピーそのもの(次数 $-1$ の射)や、ホモトピーの間のホモトピー(次数 $-2$ の射)を全部保持している。写像錐は $H^0$ では同型を除いてしか決まらないが、DG圏の中では射の複体から関手的に作れる(ex-dg-cone)。この「下にある鎖のデータ」を持っておくことを、三角圏のDG強化(enhancement)という。この考え方は Bondal と Kapranov にさかのぼる(Kel06 §1.1、p. 1)。

複体の DG圏

$B$ を $k$ 上の多元環とし、右 $B$ 加群の複体 $L=(L^p,d_L)$ を考える。

複体の DG圏

複体 $L,M$ と整数 $n$ について、$\operatorname{Hom}(L,M)^n$ を次数 $n$ の写像、すなわち $B$ 線形写像の族 $f=(f^p\colon L^p\to M^{p+n})_{p\in\mathbb Z}$ 全体とし、微分を
$$ d(f)=d_M\circ f-(-1)^nf\circ d_L $$
で定める。対象を右 $B$ 加群の複体全体、射の複体を $\operatorname{Hom}(L,M)$、合成を次数付き写像の合成とするものを $C_{\mathrm{dg}}(B)$ と書く(Kel06 §2.2、p. 3)。

複体の DG圏は DG圏である

$C_{\mathrm{dg}}(B)$ は DG圏である。すなわち $d(d(f))=0$、$d(1_L)=0$ であり、Leibniz 則が成り立つ。

$f$ を次数 $n$ とする。$d(f)$ は次数 $n+1$ なので
$$ d(d(f))=d_M\bigl(d_Mf-(-1)^nfd_L\bigr)-(-1)^{n+1}\bigl(d_Mf-(-1)^nfd_L\bigr)d_L =-(-1)^nd_Mfd_L+(-1)^nd_Mfd_L=0 $$
である($d_M^2=0$、$d_L^2=0$ を使った)。$d(1_L)=d_L-d_L=0$ である。
$g\in\operatorname{Hom}(M,N)^m$、$f\in\operatorname{Hom}(L,M)^n$ とすると $gf$ は次数 $m+n$ で
$$ d(g)f+(-1)^mg\,d(f)=\bigl(d_Ng-(-1)^mgd_M\bigr)f+(-1)^mg\bigl(d_Mf-(-1)^nfd_L\bigr)=d_Ngf-(-1)^{m+n}gfd_L=d(gf) $$
である。結合性と単位性は写像の合成なので明らかである。$\square$

閉射とホモトピー

$Z^0(C_{\mathrm{dg}}(B))$ は複体と鎖写像の圏 $C(B)$ に等しく、$H^0(C_{\mathrm{dg}}(B))$ はホモトピー圏 $K(B)$ に等しい。

次数 $0$ の $f$ について $d(f)=d_Mf-fd_L$ なので、$d(f)=0$ は $f$ が鎖写像であることと同じである。次数 $-1$ の $h$ について $d(h)=d_Mh+hd_L$ なので、鎖写像 $f,g$ について $f-g=d(h)$ となる $h$ があることは、$h$ が $f$ から $g$ への鎖ホモトピーであること(鎖ホモトピー)と同じである。したがって $H^0$ の射は鎖写像の鎖ホモトピー類で、ホモトピー圏 の定義「ホモトピー圏」の $K(\operatorname{Mod}B)$ に一致する。$\square$

この命題は Kel06 §2.2(p. 4)の例である。$H^n\operatorname{Hom}(L,M)$ は、次数を $n$ ずらした複体への鎖写像のホモトピー類、すなわち $K(B)$ の射 $L\to M[n]$ と同じものになる。実際、$M[n]^p=M^{p+n}$、$d_{M[n]}=(-1)^nd_M$ とおくと、次数 $n+j$ の写像 $f\colon L\to M$ は次数 $j$ の写像 $L\to M[n]$ と同じもので、$\operatorname{Hom}(L,M[n])$ での微分は $(-1)^nd_Mf-(-1)^jfd_L=(-1)^nd(f)$ となるから、$\operatorname{Hom}(L,M[n])$ の次数 $0$ の閉射と完全な射は $\operatorname{Hom}(L,M)$ の次数 $n$ の閉射と完全な射に一致する($L$ が $B$ を次数 $0$ に置いた複体の場合は Kel06 §3.1 の式 (2)、p. 5)。

写像錐と恒等射の錐

$f\colon L\to M$ を次数 $0$ の閉射とする。$\operatorname{Cone}(f)^n=M^n\oplus L^{n+1}$ に微分 $d(m,l)=(d_Mm+f(l),-d_Ll)$ を入れた複体を $f$ の写像錐という(写像錐(複体) と同じ構成を、コホモロジー的な番号で書いたもの)。
$f=1_L$ のとき、次数 $-1$ の写像 $h(m,l)=(0,m)$ をとると
$$ d(h)(m,l)=d\bigl(h(m,l)\bigr)+h\bigl(d(m,l)\bigr)=(m,-d_Lm)+(0,d_Lm+l)=(m,l) $$
なので $1_{\operatorname{Cone}(1_L)}=d(h)$ である。よって $\operatorname{Cone}(1_L)$ は $H^0(C_{\mathrm{dg}}(B))$ で零対象と同型である。さらに $E=\operatorname{Hom}(\operatorname{Cone}(1_L),\operatorname{Cone}(1_L))$ の閉射 $\varphi$ は $\varphi=\varphi\,d(h)=(-1)^{|\varphi|}d(\varphi h)$ と完全になるので、複体 $E$ は非輪状($H^*(E)=0$)である。

例

DG代数

対象が 1 つの DG圏は、次数付き $k$ 多元環 $A$ に、次数 $1$ で $d^2=0$ かつ Leibniz 則 $d(ab)=d(a)b+(-1)^{|a|}a\,d(b)$ を満たす微分を入れたもの(DG代数)と同じである。とくに通常の $k$ 多元環は、次数 $0$ に集中した DG代数とみなせる。複体 $L$ について $\operatorname{Hom}(L,L)$ は prop-dg-cdg-is-dg により DG代数になる。

反対 DG圏

DG圏 $\mathcal A$ の反対 DG圏 $\mathcal A^{\mathrm{op}}$ は、$\mathcal A^{\mathrm{op}}(X,Y)=\mathcal A(Y,X)$ とし、$f\in\mathcal A^{\mathrm{op}}(Y,X)^p$ と $g\in\mathcal A^{\mathrm{op}}(Z,Y)^q$ の合成を $(-1)^{pq}gf$ と定めたものである(Kel06 §2.2、p. 4)。符号 $(-1)^{pq}$ がないと Leibniz 則が崩れる(rem-dg-counterexamples)。右 DG加群とは DG関手 $\mathcal A^{\mathrm{op}}\to C_{\mathrm{dg}}(k)$ のことである(Kel06 §3.1、p. 5)。

準同値は逆をもつとは限らない

$C=\operatorname{Cone}(1_k)$(次数 $-1$ と $0$ に $k$ をおき、微分を恒等写像とした複体)とし、対象が 1 つで射の複体が $E=\operatorname{Hom}(C,C)$ の DG圏を $\mathcal E$ とする。$\mathbf 0$ を、対象が 1 つで射の複体が $0$ の DG圏とする。
ただ 1 つの DG関手 $F\colon\mathcal E\to\mathbf 0$ は準同値である。実際 ex-dg-cone により $E$ は非輪状なので $E\to0$ は擬同型であり、$H^0(\mathcal E)$ も $H^0(\mathbf 0)$ も「対象が 1 つで自己準同型が零環」の圏で、$H^0(F)$ は同型である。一方、DG関手 $G\colon\mathbf 0\to\mathcal E$ は存在しない。$G$ は恒等射を恒等射に送るが、$\mathbf 0$ では恒等射が $0$ なので $G(0)=0$ でなければならず、$1_C\ne0$($C\ne0$)に矛盾する。
したがって準同値で「同じ」とみなすには、DG圏の圏を準同値で局所化する必要がある(thm-dg-tabuada)。

DG加群・導来圏・主な定理

ここからは主張と所在だけを述べ、この記事では証明しない。小さい DG圏 $\mathcal A$ について、右 DG加群の DG圏を $C_{\mathrm{dg}}(\mathcal A)$、その $Z^0$ を $C(\mathcal A)$ と書く。対象 $X$ が表す DG加群 $X^\wedge=\mathcal A(-,X)$ について、自然な同型 $\operatorname{Hom}(X^\wedge,M)\cong M(X)$(DG版の米田の補題)がある(Kel06 §3.1 の式 (1)、p. 5)。$\mathcal A$ が多元環 $B$ の DG圏(対象 1 つ)なら $C(\mathcal A)=C(B)$ である。

DG圏の導来圏

DG加群の射 $f\colon L\to M$ は、各対象 $X$ で $L(X)\to M(X)$ がコホモロジーの同型を引き起こすとき擬同型という。$C(\mathcal A)$ を擬同型で局所化した圏を $\mathcal A$ の導来圏 $D(\mathcal A)$ という(Kel06 §3.2、p. 6)。

$D(\mathcal A)$ は三角圏になり、$\mathcal A$ が多元環 $B$ なら通常の導来圏 $D(B)$(導来圏)に一致する(Kel06 §3.2・§3.4、pp. 6–7)。

Tabuadaのモデル構造

小さい DG圏の圏 $\mathrm{dgcat}_k$ には、弱同値が準同値であり、ファイブレーションが「射の複体の各成分で全射で、$H^0$ の同型を持ち上げる」DG関手であるような、余ファイブレーション的に生成されたモデル構造がある。

所在

Kel06 Theorem 4.1(p. 14)。とくに準同値で局所化した圏 $\mathrm{Hqe}$ の射は集合をなし、余ファイブラント置換からの射のホモトピー類で計算できる(同じ頁)。ex-dg-quasi-equivalence の準同値 $\mathcal E\to\mathbf 0$ は $\mathrm{Hqe}$ では同型になる。

前三角 DG圏

DG圏 $\mathcal A$ が前三角(pretriangulated)であるとは、米田埋め込み $Z^0(\mathcal A)\to C(\mathcal A)$、$X\mapsto X^\wedge$ の像が両方向のずらしと写像錐(拡大)で閉じていることをいう。このとき $H^0(\mathcal A)$ は三角圏である。また任意の小さい DG圏 $\mathcal A$ は、前三角 DG圏への普遍的な DG関手 $\mathcal A\to\operatorname{pretr}(\mathcal A)$ をもつ。

所在

Kel06 §4.5(p. 18)。三角圏 $\mathcal T$ が前三角 DG圏 $\mathcal A$ によって $\mathcal T\simeq H^0(\mathcal A)$ と表されるとき、$\mathcal A$ を $\mathcal T$ の DG強化という。

Rickardの定理(DG圏の形)

小さい DG圏 $\mathcal A,\mathcal B$ のコホモロジーが次数 $0$ に集中しているとき、次は同値である。

  1. $D(\mathcal A)$ と $D(\mathcal B)$ は三角圏として同値である。
  2. $D(\mathcal B)$ の充満部分圏 $\mathcal T$ で、対象がコンパクトな生成系をなし、$\operatorname{Hom}_{D(\mathcal B)}(T,T'[n])=0$($n\ne0$、$T,T'\in\mathcal T$)を満たし、$H^0(\mathcal A)\simeq\mathcal T$ となるものがある。
所在

Kel06 Theorem 3.12(p. 11)。同じ箇所では、これらがさらに DG森田同値とも同値であることが述べられている。1 対象の場合、条件 2 の $\mathcal T$ は 傾理論 の傾複体にあたり、射影次元 $1$ の傾加群はその典型例である。

条件を外した反例

以下、$k=\mathbb Q$ とし、$C$ は ex-dg-quasi-equivalence の複体($C^{-1}=\mathbb Qe$、$C^0=\mathbb Qe'$、$de=e'$)とする。

外す条件反例成り立たなくなること
射の複体の微分 $d(f)=d_Mf-(-1)^nfd_L$ の符号符号を除いた $d'(f)=d_Mf-fd_L$ を $\operatorname{Hom}(C,C)$ に入れる$d'^2=0$
反対 DG圏の合成の符号 $(-1)^{pq}$符号なしの合成 $f\ast g=gf$ を $\operatorname{Hom}(C,C)$ の反対側に入れるLeibniz 則
反例の確認

次数 $-1$ の写像 $h$($e'\mapsto e$)と次数 $1$ の写像 $s$($e\mapsto e'$)、次数 $0$ の写像 $p$($e\mapsto e$、$e'\mapsto0$)を使う。$d(h)=d_Ch+hd_C=1$、$d(s)=d_Cs+sd_C=0$、$hs=p$、$d(p)=d_Cp-pd_C=s$ である。
1 行目:$d'(d'(f))=-2\,d_Mfd_L$ となる。$f=h$ では $d_Chd_C$ は $e\mapsto e'$ の写像 $s\ne0$ なので、$d'^2(h)=-2s\ne0$ である。
2 行目:Leibniz 則を $\ast$ に当てると $d(s\ast h)=d(s)\ast h+(-1)^{|s|}s\ast d(h)$ が要る。左辺は $d(hs)=d(p)=s$、右辺は $h\,d(s)-d(h)\,s=-s$ で、$s\ne-s$ である。符号つきの合成 $s\circ_{\mathrm{op}}h=(-1)^{|s||h|}hs=-p$ なら左辺は $-s$ となり、右辺 $(-1)^{|ds||h|}h\,d(s)-(-1)^{|s||dh|}d(h)\,s=-s$ と一致する。

補足

文献

DG圏・DG関手・準同値・$Z^0$・$H^0$ の定義と $C_{\mathrm{dg}}(B)$ の例は Kel06 §§2.1–2.3(pp. 2–5)、DG加群と導来圏は §§3.1–3.2(pp. 5–6)にある。射の複体の微分と Leibniz 則は、DG加群の言葉で Sch04 の式 (3.19) とその後の段落(p. 17)にもある。

DG圏の射の複体を単体的集合や位相空間に取り替えたものが 単体的圏 などであり、これらはいずれも 豊穣圏 の例である。

関連項目

参考文献

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