affinoid部分領域(affinoid subdomain)とは、affinoid 空間 $X=\operatorname{Sp}A$ の部分集合 $U$ で、$\operatorname{Sp}A_U$ を $U$ に写し、像が $U$ に入る affinoid 空間の射がすべてただ一通りに経由する準同型 $A\to A_U$ をもつもののことである。このとき $\operatorname{Sp}A_U\to U$ は全単射で、関数環 $\mathcal O(U)=A_U$ は前層をなし、affinoid 部分領域は共通部分と引き戻しで閉じる。$|f_i|\le|g|$($f_i,g$ は単位イデアルを生成)で定まる有理部分領域は affinoid 部分領域で、関数環は $A\langle f/g\rangle$ である。Tate の非輪状定理と rigid 解析空間の土台になる。
前提知識: affinoid代数, Tate代数, 開写像定理(非アルキメデス体)
affinoid代数 $A$ の点の集合 $X=\operatorname{Sp}A$ の部分集合のうち、それ自身が affinoid 空間の構造を自然にもつものを affinoid 部分領域という。「自然に」とは、像がその部分集合に入る affinoid 空間の射がすべて、ただ一通りにその構造を経由することである。この普遍性から、部分集合 $U$ が関数環 $\mathcal O(U)$ をただ一つ定め、$U\mapsto\mathcal O(U)$ が前層になる。
具体例は、有限個の関数の絶対値の不等式 $|f_i|\le|g|$ で切り出される有理部分領域であり、閉円板・単位円周はその典型である。開円板 $\{|t|<1\}$ はこの意味の部分領域ではない。affinoid 部分領域による有限被覆について関数が貼り合わさることが Tateの非輪状定理 であり、それを使って rigid解析空間 が組み立てられる。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 点集合として何か | 関数環の点の集合と全単射に対応する(prop-affinoid-subdomain-points) |
| どんな操作で閉じるか | 引き戻し・共通部分・推移性(prop-affinoid-subdomain-transitivity、prop-affinoid-subdomain-pullback) |
| 具体例は | 有理・Laurent・Weierstrass 部分領域で、関数環は $A\langle f/g\rangle$ など(thm-affinoid-subdomain-rational) |
| 位相との関係は | 有理部分領域は標準位相の開集合である(lem-affinoid-subdomain-open)。一般の affinoid 部分領域も開である(この記事では証明しない) |
以下、$K$ と記号は affinoid代数 の記事のとおりとする。$K$ は自明でない非アルキメデス的な絶対値について完備な体、$\bar K$ はその代数閉包、$A,B,C$ は affinoid 代数で、表示の剰余ノルムを 1 つずつ入れる。affinoid 代数の準同型は $K$ 代数の準同型であり、自動的に連続で、剰余ノルムは表示によらず同値である(開写像定理(非アルキメデス体) の定理「準同型の自動連続性」)。$A$ 係数で係数が $0$ に収束する冪級数の環を $A\langle\zeta_1,\dots,\zeta_m\rangle$ と書き、$\|\sum_\nu a_\nu\zeta^\nu\|:=\max_\nu\|a_\nu\|$ を入れる。
準同型 $\varphi\colon A\to B$ は写像 $\varphi^*\colon\operatorname{Sp}B\to\operatorname{Sp}A$、$\mathfrak n\mapsto\varphi^{-1}(\mathfrak n)$ を定める($A/\varphi^{-1}(\mathfrak n)$ は有限次元の体 $B/\mathfrak n$ に入る整域なので体である)。元 $b$ が冪有界であるとは、$\{b^k\}_{k\ge0}$ がノルムについて有界であることをいう。冪有界性は位相だけで決まるので、表示によらない。
1 は、$A/\mathfrak m_x\to B/\mathfrak n_y$ が $K$ の有限次拡大体の間の $K$ 上の埋め込みで、絶対値の延長が一意なことによる。5 は、$B$ の表示 $\beta$ について $|b(y)|^k=|b^k(y)|\le|b^k|_\beta$(affinoid代数 の命題「点の記述と値の評価」の 2)が $k$ によらず有界なことによる。
2:表示 $\alpha\colon T_n\to A$ に対し、$T_n\langle\zeta\rangle=T_{n+m}$ から $A\langle\zeta\rangle$ への係数ごとの写像は全射である。実際、$\|a_\nu\|\to0$ の各 $a_\nu$ に $\|g_\nu\|\le2\|a_\nu\|$($a_\nu\ne0$)となる逆像 $g_\nu$ をとれば $\sum g_\nu\zeta^\nu$ が収束する。$A\langle\zeta\rangle$ は $\|\cdot\|$ について完備であり($A$ が完備なので、$c_0(K)$ と同じく確かめられる)、この全射で $T_{n+m}$ の元の像の $\|\cdot\|$ は Gauss ノルム以下なので、$\|\cdot\|$ は表示の剰余ノルム以下である。開写像定理(非アルキメデス体) の系「完備なノルムの比較」により 2 つは同値であり、以下 $A\langle\zeta\rangle$ の連続性はこのノルムで考えてよい。
3:$\varphi$ は連続なので $\|\varphi(a)\|\le M\|a\|$、冪有界性から $\|c^\nu\|\le N$ である。よって $\Phi(\sum a_\nu\zeta^\nu):=\sum\varphi(a_\nu)c^\nu$ は収束し、$\|\Phi(h)\|\le MN\|h\|$ である。多項式環 $A[\zeta]$ の上では乗法的で、$A[\zeta]$ は稠密なので、連続性から準同型である。連続な準同型は稠密な $A[\zeta]$ の上の値で決まるので一意である。
4:表示 $\gamma\colon T_m\to C$ をとり $c_i:=\gamma(t_i)$ とおく。$c_i^k=\gamma(t_i^k)$ の剰余ノルムは $1$ 以下なので $c_i$ は冪有界である。3 の $\Phi$ を $K\langle\zeta\rangle=T_m\subset A\langle\zeta\rangle$ に制限したものは、$t_i\mapsto c_i$ となる連続な準同型なので(一意性により)$\gamma$ に等しく、$\Phi$ は全射である。$\square$
逆に、すべての点で $|b(y)|\le1$ なら $b$ は冪有界である。これはこの記事では証明しない(BGR84 §6.2.3 命題 1、p. 240)。また、すべての点で値が $0$ でない元は単元である(affinoid代数 の命題「上限半ノルム」の 4)。
$X=\operatorname{Sp}A$ の部分集合 $U$ が affinoid 部分領域(affinoid subdomain)であるとは、affinoid 代数 $A_U$ と準同型 $\varphi_U\colon A\to A_U$ で、$\varphi_U^*(\operatorname{Sp}A_U)\subset U$ となり、次の普遍性をもつものが存在することをいう:準同型 $\psi\colon A\to B$ で $\psi^*(\operatorname{Sp}B)\subset U$ となるものは、ただ一つの準同型 $\psi'\colon A_U\to B$ によって $\psi=\psi'\circ\varphi_U$ と分解する。
Weierstrass 部分領域は $g=1$ の有理部分領域であり、$A\langle f/1\rangle=A\langle f\rangle$ である。これらの環は affinoid 代数の剰余環なので affinoid 代数である。
$U\subset X$ を affinoid 部分領域、$\varphi_U\colon A\to A_U$ を定義のとおりとする。
2 により $\mathcal O(U):=A_U$、$f|_U:=\varphi_U(f)$ と書き、3 の $\rho_{UV}$ を制限という。$U\mapsto\mathcal O(U)$ は affinoid 部分領域の上の前層である。1 と lem-affinoid-subdomain-basic の 1 により、$\operatorname{Sp}\mathcal O(U)$ を $U$ と同一視すると $\bigl|(f|_U)(x)\bigr|=|f(x)|$ である。
1 の要点:$x\in U$ に対し、有限次元の affinoid 代数 $A/\mathfrak m_x^k$(affinoid代数 の例「有限次元の代数」)への射影は点 $x$ だけをもつので、普遍性で $A_U$ を経由する。経由する写像と $\varphi_U$ が誘導する写像が互いに逆であることを、普遍性の一意性で示す。
$p\colon A\to A/\mathfrak m_x^k$、$p'\colon A_U\to A_U/\mathfrak m_x^kA_U$ を射影、$\sigma\colon A/\mathfrak m_x^k\to A_U/\mathfrak m_x^kA_U$ を $\varphi_U$ が誘導する写像とする。$\operatorname{Sp}(A/\mathfrak m_x^k)=\{x\}\subset U$ なので、$p=\alpha\circ\varphi_U$ となる $\alpha\colon A_U\to A/\mathfrak m_x^k$ がある。$\sigma\circ\alpha$ と $p'$ はどちらも $A_U$ から affinoid 代数 $A_U/\mathfrak m_x^kA_U$ への準同型で、$\varphi_U$ と合成すると $\sigma\circ p=p'\circ\varphi_U$ に等しい。$A_U/\mathfrak m_x^kA_U$ の点は $\operatorname{Sp}A_U$ の点なので $U$ に写り、普遍性の一意性から $\sigma\circ\alpha=p'$ である。よって $\sigma$ は全射である。$\sigma(p(a))=0$ なら $\varphi_U(a)\in\mathfrak m_x^kA_U$ であり、$\alpha(\mathfrak m_x^kA_U)$ は $\alpha(\varphi_U(\mathfrak m_x^k))=p(\mathfrak m_x^k)=0$ で生成されるので、$p(a)=\alpha(\varphi_U(a))=0$ である。よって $\sigma$ は同型である。
$k=1$ とすると $A_U/\mathfrak m_xA_U\cong A/\mathfrak m_x$ は体なので、$\mathfrak m_xA_U$ は極大イデアルで、その $\varphi_U$ による逆像は $\mathfrak m_x$ を含む真のイデアル、すなわち $\mathfrak m_x$ である。よって $x$ は像に入る。$\mathfrak n\in\operatorname{Sp}A_U$ が $x$ に写るなら $\mathfrak n\supset\mathfrak m_xA_U$ で、後者が極大なので $\mathfrak n=\mathfrak m_xA_U$ である。定義から像は $U$ に含まれるので、$\varphi_U^*$ は $U$ への全単射である。$\square$
$U\subset X$ を affinoid 部分領域とし、prop-affinoid-subdomain-points の 1 で $\operatorname{Sp}\mathcal O(U)$ を $U$ と同一視する。$W\subset U$ について、$W$ が affinoid 空間 $\operatorname{Sp}\mathcal O(U)$ の affinoid 部分領域であることと、$X$ の affinoid 部分領域であることは同値であり、そのとき 2 つの関数環は $A$ 上で同型である。
$\varphi_W\colon\mathcal O(U)\to C$ が $W$ を $\operatorname{Sp}\mathcal O(U)$ の部分領域として表すとき、$\varphi_W\circ\varphi_U$ が $W$ を $X$ の部分領域として表すことは、2 つの普遍性を続けて使えばよい。逆の向きの要点:$X$ の部分領域としての $\varphi\colon A\to C$ は $U$ に像をもつので $\theta\colon\mathcal O(U)\to C$ を経由し、$\theta$ が $\operatorname{Sp}\mathcal O(U)$ の部分領域として $W$ を表す。
前半:$\chi\colon A\to B$ で $\chi^*(\operatorname{Sp}B)\subset W$ とする。$W\subset U$ なので $\chi=\chi_1\circ\varphi_U$ となる $\chi_1\colon\mathcal O(U)\to B$ がただ一つある。$\chi_1^*$ の像は、同一視のもとで $\chi^*$ の像と同じ点の集合なので $W$ に入り、$\chi_1=\chi_2\circ\varphi_W$ となる $\chi_2$ がただ一つある。一意性は、$\chi=\chi'\circ\varphi_W\circ\varphi_U$ なら $\chi'\circ\varphi_W=\chi_1$($U$ の一意性)、$\chi'=\chi_2$($W$ の一意性)による。
後半:$\varphi\colon A\to C$ が $W$ を $X$ の部分領域として表すとし、$\varphi=\theta\circ\varphi_U$ とする。$\chi\colon\mathcal O(U)\to B$ で $\chi^*$ の像が $W$ に入るものをとる。$\chi\circ\varphi_U$ の像も $W$ に入るので $\chi\circ\varphi_U=\chi'\circ\varphi$ となる $\chi'$ がただ一つある。$\chi$ と $\chi'\circ\theta$ はどちらも $\mathcal O(U)$ からの準同型で、像が $U$ に入り、$\varphi_U$ と合成すると等しいので、$U$ の一意性から $\chi=\chi'\circ\theta$ である。$\chi=\chi''\circ\theta$ なら $\chi''\circ\varphi=\chi\circ\varphi_U$ なので $W$ の一意性から $\chi''=\chi'$ である。関数環の同型は prop-affinoid-subdomain-points の 2 による。$\square$
1 の要点:lem-affinoid-subdomain-basic の 4 により、$\varphi_U$ を延ばす全射 $\Phi\colon A\langle\zeta_1,\dots,\zeta_m\rangle\to\mathcal O(U)$ をとり、$I:=\ker\Phi$ とする。係数に $\psi$ を当てる $\psi_\zeta\colon A\langle\zeta\rangle\to B\langle\zeta\rangle$ について、$B_U:=B\langle\zeta\rangle/\psi_\zeta(I)B\langle\zeta\rangle$ と $B\to B_U$ が $(\psi^*)^{-1}(U)$ を表す($\mathcal O(U)$ を $A$ 上で $B$ に「係数拡大」したものである)。
$\psi_\zeta$ は lem-affinoid-subdomain-basic の 3($\zeta_i\mapsto\zeta_i$)で得られる連続な準同型である。$q\colon B\langle\zeta\rangle\to B_U$ を射影とする。$q\circ\psi_\zeta$ は $I$ を $0$ に送るので $\lambda\colon\mathcal O(U)\to B_U$ を誘導し、$\lambda\circ\varphi_U$ は $A\to B\to B_U$ に等しい。よって $B_U$ の点の $X$ での像は $\lambda^*$ を通るので $U$ に入り、$\operatorname{Sp}B_U$ の $\operatorname{Sp}B$ での像は $(\psi^*)^{-1}(U)$ に入る。
普遍性:$\chi\colon B\to C$ の $\chi^*$ の像が $(\psi^*)^{-1}(U)$ に入るとする。$\chi\circ\psi$ の像は $U$ に入るので $\chi\circ\psi=\theta\circ\varphi_U$ となる $\theta$ がただ一つある。$\theta(\Phi(\zeta_i))$ は冪有界なので($\theta$ は連続)、$\chi$ を延ばし $\zeta_i\mapsto\theta(\Phi(\zeta_i))$ となる連続な準同型 $\Xi\colon B\langle\zeta\rangle\to C$ がある。$\Xi\circ\psi_\zeta$ と $\theta\circ\Phi$ は $A\langle\zeta\rangle$ からの連続な準同型で、$A$ の上と $\zeta_i$ で一致するので等しい。よって $\Xi$ は $\psi_\zeta(I)$ を $0$ に送り、$\chi=\chi'\circ(B\to B_U)$ となる $\chi'\colon B_U\to C$ を誘導する。一意性:$\chi''$ も同じ性質をもてば、$\chi''\circ\lambda$ は $\theta$ と同じ普遍性の条件を満たすので $\theta$ に等しく、$\chi''(q(\zeta_i))=\theta(\Phi(\zeta_i))$ である。$\chi''\circ q$ と $\Xi$ は $B$ の上と $\zeta_i$ で一致する連続な準同型なので等しく、$\chi''=\chi'$ である。$\square$
$f_1,\dots,f_r,g\in A$ が単位イデアルを生成するとする。標準的な準同型 $A\to A\langle f/g\rangle$ は $X(f/g)$ を表す。すなわち有理部分領域は affinoid 部分領域で、$\mathcal O(X(f/g))=A\langle f/g\rangle$ である。同様に $\mathcal O(X(f))=A\langle f\rangle$、$\mathcal O(X(f,1/g))=A\langle f,1/g\rangle$ である。
$\varphi\colon A\to C:=A\langle f/g\rangle$ とし、$\zeta_i$ の像も $\zeta_i$ と書く。
像が $X(f/g)$ に入ること:$y\in\operatorname{Sp}C$、$x:=\varphi^*(y)$ とする。$\zeta_i$ の剰余ノルムは $1$ 以下なので冪有界で、$|\zeta_i(y)|\le1$ である(lem-affinoid-subdomain-basic の 5)。$C$ で $g\zeta_i=f_i$ なので、lem-affinoid-subdomain-basic の 1 により $|f_i(x)|=|g(x)|\cdot|\zeta_i(y)|\le|g(x)|$ である。
普遍性:$\psi\colon A\to B$ で $\psi^*$ の像が $X(f/g)$ に入るとする。$y\in\operatorname{Sp}B$、$x:=\psi^*(y)$ について $\psi(g)(y)\ne0$ である。実際 $g(x)=0$ なら $|f_i(x)|\le|g(x)|=0$ となり、$f_1,\dots,f_r,g$ がすべて $x$ で消えて、単位イデアルを生成することに反する。よって $\psi(g)$ は $B$ の単元であり、$h_i:=\psi(f_i)\psi(g)^{-1}$ はすべての点で $|h_i(y)|=|f_i(x)|/|g(x)|\le1$ を満たすので冪有界である(BGR84 §6.2.3 命題 1)。lem-affinoid-subdomain-basic の 3 により $\psi$ を延ばし $\zeta_i\mapsto h_i$ となる $\Psi\colon A\langle\zeta\rangle\to B$ があり、$\Psi(g\zeta_i-f_i)=\psi(g)h_i-\psi(f_i)=0$ なので $C$ を経由する。一意性:$\psi=\psi'\circ\varphi$ なら $\psi(g)\psi'(\zeta_i)=\psi(f_i)$ から $\psi'(\zeta_i)=h_i$ であり、$A\langle\zeta\rangle\to C\to B$ は連続な準同型なので lem-affinoid-subdomain-basic の 3 の一意性により $\Psi$ に等しい。
Weierstrass 部分領域は $g=1$ の場合である。Laurent 部分領域では、$C$ で $\zeta_i=f_i$、$g_j\eta_j=1$ なので像が $X(f,1/g)$ に入る。逆に像が入る条件から $|\psi(f_i)(y)|\le1$、$|\psi(g_j)(y)|\ge1$ なので、$\psi(f_i)$ は冪有界、$\psi(g_j)$ は単元で、その逆元はすべての点で絶対値 $1$ 以下なので冪有界である。$\zeta_i\mapsto\psi(f_i)$、$\eta_j\mapsto\psi(g_j)^{-1}$ として同じ議論が通る。$\square$
1 は lem-affinoid-subdomain-basic の 1 と、$\psi(f_i),\psi(g)$ も単位イデアルを生成することによる。2:右辺の分子と分母は 2 つの生成系の積の全体なので単位イデアルを生成する。$U\cap V$ が右辺に含まれるのは明らかである。逆に右辺の点 $x$ では $g(x)g'(x)\ne0$ であり(さもなければすべての積が $x$ で消える)、$|f_i(x)g'(x)|\le|g(x)g'(x)|$ から $|f_i(x)|\le|g(x)|$、同様に $|f'_j(x)|\le|g'(x)|$ である。Weierstrass・Laurent の場合は条件を並べればよい。3:$X(f,1/g)=\bigcap_iX(f_i/1)\cap\bigcap_jX(1/g_j)$ であり、$1,g_j$ は単位イデアルを生成するので 2 による。4:1 を $\varphi_U$ に当て、prop-affinoid-subdomain-transitivity と thm-affinoid-subdomain-rational を使う。$\square$
rigid解析空間 の記事のとおり、$X$ の標準位相を、すべての $h\in A$ について $x\mapsto|h(x)|$ が連続になる最も粗い位相とする。
$h\in A$、$x\in X$、$h(x)\ne0$ とすると、$\{y\in X\mid|h(y)|=|h(x)|\}$ は $x$ の近傍である。特に、有理・Weierstrass・Laurent 部分領域は標準位相の開集合である。
$s:=|h(x)|$ とし、$P\in K[T]$ を $h(x)\in K(x)$ の $K$ 上の最小多項式、$d$ をその次数とする。$P$ の $\bar K$ での根 $a_1,\dots,a_d$ は $h(x)$ の共役なので $|a_j|=s$ である。$G:=\{y\mid|P(h)(y)|< s^d\}$ は開集合で、$P(h)(x)=P(h(x))=0$ なので $x$ を含む。$y\in G$ なら $K(y)$ を $\bar K$ に埋め込んで $\prod_j|h(y)-a_j|=|P(h(y))|< s^d$ なので、ある $j$ で $|h(y)-a_j|< s$ となり、超距離不等式から $|h(y)|=|a_j|=s$ である。
$x\in X(f/g)$ をとり $s:=|g(x)|$ とすると $s>0$ である(prf-affinoid-subdomain-rational と同じ理由)。$\{|g|=s\}$ と、$|f_i(x)|=s$ なる $i$ について $\{|f_i|=s\}$、$|f_i(x)|< s$ なる $i$ について開集合 $\{|f_i|< s\}$ をとり、その共通部分を $N$ とすると、$N$ は $x$ の近傍で、$N$ の上で $|f_i|\le s=|g|$ なので $N\subset X(f/g)$ である。Weierstrass・Laurent 部分領域は有理部分領域なので(prop-affinoid-subdomain-operations の 3)開集合である。$\square$
任意の affinoid 部分領域も標準位相の開集合である。これはこの記事では証明しない(BGR84 §7.2.5 定理 3、p. 290)。同書 §7.2.1 は標準位相を閉単位多重円板 $\mathbb B^n(\bar K)$ からの商位相として定義しているが、その位相では $|h|$ が連続で Weierstrass 部分領域が開基をなすので(同 系 2・命題 3・命題 4、pp. 274–276)、上の補題と合わせて 2 つの定義は同じ位相を与える。
以下、$\mathbb B:=\operatorname{Sp}K\langle t\rangle$ を閉単位円板とする。その点は $\bar K$ の閉単位円板の元の $K$ 上の共役類である(affinoid代数 の命題「点の記述と値の評価」)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 有理部分領域の定義で $f_1,\dots,f_r,g$ が単位イデアルを生成する | $0< \lvert c\rvert< 1$ の $c$ について $\{x\in\mathbb B\mid\lvert t(x)\rvert\le\lvert ct(x)\rvert\}$ | affinoid 部分領域であること |
| 不等式が等号を許す($\le$) | 開円板 $\{x\in\mathbb B\mid\lvert t(x)\rvert< 1\}$ | affinoid 部分領域であること |
1 行目:$t$ と $ct$ は単位イデアルを生成しない(ともに点 $0$ で消える)。条件は $|t(x)|(1-|c|)\le0$ と同じなので、集合は点 $x_0$(極大イデアル $(t)$)だけである。affinoid 部分領域だとし、$A':=\mathcal O(\{x_0\})$ とする。prop-affinoid-subdomain-points の 1 により $A'$ の極大イデアルはただ一つで、$K\langle t\rangle/(t^k)\cong A'/(t^k)A'$ がすべての $k$ で成り立つ。左辺は $1,t,\dots,t^{k-1}$ を基底とし(Tate代数 の定理「Weierstrass の割り算定理(1 変数)」で $t^k$ で割る)、$k$ 次元である。一方 $A'$ は有限次元である。
affinoid代数 の定理「Noether 正規化」により、有限かつ単射な $T_d\to A'$ がある。$T_d\subset A'$ は整拡大なので、$T_d$ の各極大イデアルの上に $A'$ の極大イデアルがあり、それらは相異なる(整拡大 の定理「lying over と going up」と系「極大イデアルの縮約」)。$d\ge1$ なら、$a\in K^\circ$ について $T_d$ の極大イデアル $(t_1-a,t_2,\dots,t_d)$ は相異なり、$K^\circ$ は無限集合なので、$A'$ の極大イデアルが無限個になって矛盾する。よって $d=0$ で、$A'$ は $K$ 上有限次元である。
Weierstrass 部分領域は Laurent 部分領域であり、Laurent 部分領域は有理部分領域であるが、逆はどちらも成り立たない(単位円周 $\mathbb B(1/t)=\{|t|=1\}$ は Laurent だが Weierstrass でなく、有理だが Laurent でない例もある。BGR84 §7.2.4、pp. 286–287)。一方、任意の affinoid 部分領域は有限個の有理部分領域の和集合である。これは Gerritzen–Grauert の定理であり、この記事では証明しない(BGR84 §7.3.5 定理 1・系 3、p. 309)。Tateの非輪状定理 は、この定理によって一般の affinoid 被覆を有理被覆に帰着させる。また、有理部分領域の有理部分領域は有理部分領域である(同 §7.2.4 定理 2、p. 285)。
affinoid 部分領域の定義と普遍性からの帰結は BGR84 §7.2.2(命題 1・定義 2・命題 3・命題 4・系 5、pp. 276–278)、有理・Weierstrass・Laurent 部分領域の普遍性と操作は同 §7.2.3(命題 1・命題 4・命題 6・命題 7・系 8、pp. 280–283)、1 行目の反例は同 p. 282、冪級数への代入と $A\langle f/g\rangle$ の表示は同 §6.1.1 命題 4(p. 222)と §6.1.4 命題 1〜4(pp. 231–233)にある。引き戻しは同書では完備テンソル積で構成されるが、ここでは $A\langle\zeta\rangle$ の剰余環として直接作った。
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