写像空間の指数法則(位相空間)(exponential law for mapping spaces)とは、連続写像 $F\colon Z\times X\to Y$ と、各 $z$ に $F(z,-)$ を対応させる写像 $Z\to C(X,Y)$ とが一対一に対応するという主張である。コンパクト開位相の通常の版では $X$ が局所コンパクト Hausdorff であることを要し、$X=\mathbb{Q}$ では評価写像が連続でなくなる。積と写像空間を $k$ 化すれば $X,Z$ が $k$-空間なら成り立ち、コンパクト生成空間の間では写像空間の同相になって合成写像も連続になる。
前提知識: コンパクト開位相, コンパクト生成空間, 弱Hausdorff空間, 直積位相
写像空間の指数法則(exponential law)とは、2 変数の連続写像 $F\colon Z\times X\to Y$ と、パラメータ $z$ ごとに 1 変数の写像 $F(z,-)$ を対応させる写像 $\widehat F\colon Z\to C(X,Y)$ とを同一視してよい、という主張である。集合の写像としては $F\mapsto\widehat F$(カリー化)はいつも全単射だが、連続写像どうしの対応になるかは、写像空間 $C(X,Y)$ と直積 $Z\times X$ にどの位相を入れるかで決まる。
通常の位相空間の圏では、写像空間にコンパクト開位相を入れ、定義域 $X$ を局所コンパクト Hausdorff 空間に限ると指数法則が成り立つ(コンパクト開位相 の定理「指数法則」)。しかし $X=\mathbb{Q}$ のような局所コンパクトでない空間では、評価写像が連続でなくなり、指数法則は崩れる。一方、直積と写像空間をどちらも $k$ 化して定め直すと、$X$ と $Z$ が $k$-空間でありさえすれば指数法則が成り立ち、コンパクト生成空間 の間では写像空間どうしの同相写像にまで強まる。この記事では、この $k$ 化した版を証明し、2 つの版を比べ、写像の合成の連続性と、$k$ 化した積が商写像を保つことを導く。
記号は コンパクト生成空間 に従う。コンパクト Hausdorff 空間 $K$ からの連続写像 $u\colon K\to X$ を 試験写像 とよび、$X\times_kZ:=k(X\times Z)$ を $k$ 化した積とする。$k$-空間 $X,Z$ に対し、$X\times_kZ$ は $k$-空間の圏での直積である(コンパクト生成空間 の命題「$k$-空間の圏の直積」)。
$C(X,Y)$ を連続写像 $X\to Y$ 全体の集合とする。コンパクト集合 $L\subset X$ と開集合 $U\subset Y$ による $W(L,U)=\{f\mid f(L)\subset U\}$ を準開基とする位相が コンパクト開位相 で、これを入れた空間を $C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ と書く(コンパクト開位相)。
位相空間 $X,Y$ に対し、試験写像 $u\colon K\to X$ と開集合 $U\subset Y$ による
$$
W(u,U):=\{f\in C(X,Y)\mid f(u(K))\subset U\}
$$
を準開基とする $C(X,Y)$ の位相を入れた空間を $C_{\mathrm t}(X,Y)$ と書き、その $k$ 化 $\mathrm{Map}(X,Y):=k\,C_{\mathrm t}(X,Y)$ を $X$ から $Y$ への $k$ 化した写像空間 という。
$X$ が弱 Hausdorff なら $u(K)$ はコンパクト Hausdorff 部分空間で、逆に部分空間の包含も試験写像なので、$W(u,U)$ はコンパクト Hausdorff 部分空間 $C$ による $W(C,U)$ と同じである。したがってこの $\mathrm{Map}(X,Y)$ は コンパクト生成空間 の節「写像空間と指数法則」のものと一致する。$X$ が Hausdorff ならコンパクト集合はコンパクト Hausdorff 部分空間なので、$C_{\mathrm t}(X,Y)=C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ であり、$\mathrm{Map}(X,Y)$ はコンパクト開位相を $k$ 化したもの(May99 Chapter 5 §2、p. 41)である。
| 通常の版 | $k$ 化した版(thm-exp-main) | |
|---|---|---|
| 写像空間 | $C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ | $\mathrm{Map}(X,Y)=k\,C_{\mathrm t}(X,Y)$ |
| 直積 | 直積位相 $Z\times X$ | $Z\times_kX$ |
| 仮定 | $X$ が局所コンパクト Hausdorff | $X,Z$ が $k$-空間($Y$ は任意) |
| 結論 | カリー化が全単射 | カリー化が全単射。$X,Y,Z$ がコンパクト生成空間なら写像空間の同相 |
| 写像の合成 | 中間の空間が局所コンパクト Hausdorff なら連続 | いつも連続(cor-exp-composition) |
$X$ を $k$-空間、$Y$ を位相空間とする。評価写像
$$
\operatorname{ev}\colon\mathrm{Map}(X,Y)\times_kX\to Y,\qquad(f,x)\longmapsto f(x)
$$
は連続である。
定義域は $k$-空間なので、すべての試験写像 $t\colon K\to\mathrm{Map}(X,Y)\times_kX$ について $\operatorname{ev}\circ t$ が連続であることを示せばよい(コンパクト生成空間 の命題「連続性はコンパクト Hausdorff 空間で決まる」)。$t$ は直積位相への試験写像でもあるので(同じ記事の命題「$k$ 化」の 1)、成分 $g\colon K\to\mathrm{Map}(X,Y)$、$x\colon K\to X$ は連続である。恒等写像 $\mathrm{Map}(X,Y)\to C_{\mathrm t}(X,Y)$ は連続なので、$g\colon K\to C_{\mathrm t}(X,Y)$ も連続である。
制限 $x^*\colon C_{\mathrm t}(X,Y)\to C_{\mathrm{co}}(K,Y)$、$f\mapsto f\circ x$ は連続である。実際、コンパクト集合 $L\subset K$ は Hausdorff 空間 $K$ の閉集合なのでコンパクト Hausdorff であり、$x|_L$ は試験写像で、$(x^*)^{-1}(W(L,U))=W(x|_L,U)$ は開集合である。$K$ はコンパクト Hausdorff、とくに局所コンパクト Hausdorff なので、評価写像 $\operatorname{ev}_K\colon C_{\mathrm{co}}(K,Y)\times K\to Y$ は連続である(コンパクト開位相 の命題「評価写像の連続性」)。よって
$$
(\operatorname{ev}\circ t)(a)=g(a)(x(a))=\operatorname{ev}_K\bigl(x^*(g(a)),a\bigr)
$$
は連続写像 $a\mapsto(x^*(g(a)),a)$ と $\operatorname{ev}_K$ の合成であり、連続である。$\square$
この証明で $X$ の局所コンパクト性が要らないのは、評価を $X$ の上ではなく、試験写像の定義域であるコンパクト Hausdorff 空間 $K$ の上で行っているからである。
$X,Z$ を $k$-空間、$Y$ を位相空間とする。
1:まず各 $\widehat F(z)$ は連続である。写像 $X\to Z\times_kX$、$x\mapsto(z,x)$ は定値写像と恒等写像の組なので、$k$-空間の圏の直積の普遍性により連続であり、$\widehat F(z)$ はこれと $F$ の合成である。
$\widehat F$ の連続性を示す。$Z$ は $k$-空間なので、試験写像 $t\colon K\to Z$ について $\widehat F\circ t\colon K\to C_{\mathrm t}(X,Y)$ が連続であることを示せば、$\widehat F\colon Z\to C_{\mathrm t}(X,Y)$ が連続になり(コンパクト生成空間 の命題「連続性はコンパクト Hausdorff 空間で決まる」。値域は任意の空間でよい)、さらに $\widehat F\colon Z\to k\,C_{\mathrm t}(X,Y)$ も連続になる(同じ記事の命題「$k$ 化」の 4)。
$K$ は局所コンパクト Hausdorff なので、直積空間 $K\times X$ は $k$-空間であり(同じ記事の定理「局所コンパクト空間との直積」)、$K\times X=K\times_kX$ である。$t\times\mathrm{id}_X\colon K\times_kX\to Z\times_kX$ は直積の普遍性により連続なので、$F':=F\circ(t\times\mathrm{id}_X)$ は直積空間 $K\times X$ 上の連続写像である。準開基の元 $W(u,U)$($u\colon L\to X$ は試験写像)と、$\widehat F(t(a_0))\in W(u,U)$ となる $a_0\in K$ をとる。各 $l\in L$ について $F'(a_0,u(l))\in U$ なので、開集合 $P_l\ni a_0$、$Q_l\ni u(l)$ で $P_l\times Q_l\subset F'^{-1}(U)$ となるものがある。$L$ はコンパクトなので、開被覆 $\{u^{-1}(Q_l)\}$ から有限個 $u^{-1}(Q_{l_1}),\dots,u^{-1}(Q_{l_r})$ で $L$ が覆える。$P:=P_{l_1}\cap\dots\cap P_{l_r}$ は $a_0$ の開近傍で、$P\times u(L)\subset F'^{-1}(U)$、すなわち $P\subset(\widehat F\circ t)^{-1}(W(u,U))$ を満たす。よって $\widehat F\circ t$ は連続である($L=\emptyset$ なら逆像は $K$ 全体)。
2:$G\times\mathrm{id}_X\colon Z\times_kX\to\mathrm{Map}(X,Y)\times_kX$ は直積の普遍性により連続であり、$\check G=\operatorname{ev}\circ(G\times\mathrm{id}_X)$ なので、lem-exp-evaluation により連続である。
3:$\widehat F$ と $\check G$ が互いに逆であることは、値を $(z,x)$ で評価すれば分かる。自然性、すなわち連続写像 $a\colon X'\to X$、$b\colon Y\to Y'$、$c\colon Z'\to Z$ に対し $\widehat{b\circ F\circ(c\times a)}(z')=b\circ\widehat F(c(z'))\circ a$ となることも、両辺を $x'\in X'$ で評価すれば分かる。$\square$
$X$ が局所コンパクト Hausdorff で $Z$ が $k$-空間のときは、$Z\times_kX=Z\times X$(コンパクト生成空間 の定理「局所コンパクト空間との直積」)、$C_{\mathrm t}(X,Y)=C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ であり、$Z$ から $C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ への写像の連続性と $k\,C_{\mathrm{co}}(X,Y)$ への写像の連続性は同じなので、thm-exp-main は通常の版と同じ全単射を与える。$k$ 化した版は、パラメータ $Z$ が $k$-空間である範囲で通常の版を含む。
$Y$ が弱 Hausdorff なら、任意の空間 $X$ について $C_{\mathrm t}(X,Y)$ と $\mathrm{Map}(X,Y)$ は弱 Hausdorff であり、$\mathrm{Map}(X,Y)$ はコンパクト生成空間である。
写像 $e\colon C_{\mathrm t}(X,Y)\to Y^X=\prod_{x\in X}Y$、$f\mapsto(f(x))_{x}$ は単射で連続である(1 点からの写像は試験写像で、第 $x$ 成分の開集合 $U$ の逆像は $W(\{x\}\to X,\,U)$ である)。$Y^X$ は弱 Hausdorff 空間の直積なので弱 Hausdorff である(弱Hausdorff空間 の命題「弱 Hausdorff 空間の基本性質」の 4)。試験写像 $v\colon K\to C_{\mathrm t}(X,Y)$ について $e\circ v$ は試験写像なので $e(v(K))$ は閉集合であり、$e$ が単射なので $v(K)=e^{-1}(e(v(K)))$ も閉集合である。$k$ 化は弱 Hausdorff 性を保つ(同じ命題の 5)。$\square$
$X,Y,Z$ をコンパクト生成空間とする。カリー化は同相写像
$$
\Phi\colon\mathrm{Map}(Z\times_kX,\,Y)\xrightarrow{\ \cong\ }\mathrm{Map}\bigl(Z,\,\mathrm{Map}(X,Y)\bigr)
$$
を与える。
$k$-空間 $W,Z,X$ に対し、$(W\times_kZ)\times_kX$ と $W\times_k(Z\times_kX)$ はどちらも $k$-空間の圏での 3 つの積の普遍性をもつので、台集合の恒等写像で同相である。thm-exp-main を 2 回ずつ使うと、全単射の列
$$
C\bigl(W,\mathrm{Map}(Z\times_kX,Y)\bigr)\cong C\bigl((W\times_kZ)\times_kX,\,Y\bigr)\cong C\bigl(W\times_kZ,\mathrm{Map}(X,Y)\bigr)\cong C\bigl(W,\mathrm{Map}(Z,\mathrm{Map}(X,Y))\bigr)
$$
が得られ、合成は $g\mapsto\Phi\circ g$ である(両辺を $(w,z,x)$ で評価すれば分かる)。$W=\mathrm{Map}(Z\times_kX,Y)$、$g=\mathrm{id}$ とおくと $\Phi$ は連続である。逆向きに $W=\mathrm{Map}(Z,\mathrm{Map}(X,Y))$ として恒等写像に逆の全単射を当てると、得られる連続写像は $\Phi^{-1}$($h\mapsto((z,x)\mapsto h(z)(x))$)である。よって $\Phi$ は同相写像である。prop-exp-separation により、両辺はコンパクト生成空間である。$\square$
Hausdorff なコンパクト生成空間についてのこの同相は Ste67 Theorem 5.6(pp. 141–142)が示したもので、May99 Chapter 5 §2(p. 41)も同じ主張を述べている。HTT09 Example 1.1.3.3(p. 16)は、CW 複体どうしの写像空間にこの $k$ 化したコンパクト開位相を入れて位相圏を作っている。
$X,Y,Z$ を $k$-空間とする。合成写像
$$
\mathrm{Map}(Y,Z)\times_k\mathrm{Map}(X,Y)\to\mathrm{Map}(X,Z),\qquad(g,f)\longmapsto g\circ f
$$
は連続である。
$M:=\mathrm{Map}(Y,Z)\times_k\mathrm{Map}(X,Y)$ とおく。写像 $M\times_kX\to Z$、$((g,f),x)\mapsto g(f(x))$ は、$\mathrm{id}\times\operatorname{ev}\colon\mathrm{Map}(Y,Z)\times_k(\mathrm{Map}(X,Y)\times_kX)\to\mathrm{Map}(Y,Z)\times_kY$ と評価写像の合成(積の結合の同相を挟む)なので、lem-exp-evaluation により連続である。$M$ は $k$-空間なので、thm-exp-main の 1 によりそのカリー化である合成写像は連続である。$\square$
通常の版では、中間の空間 $Y$ が局所コンパクト Hausdorff であるという仮定のもとで合成写像の連続性が示される(コンパクト開位相 の命題「合成写像の連続性」)。$k$ 化した版ではこの仮定が要らないので、写像空間を射の空間とする位相的な圏(Cartesian閉圏 で豊穣された圏)が作れる。
$q\colon X\to X'$ を商写像、$X$ と $Z$ を $k$-空間とする。このとき $X'$ は $k$-空間であり、$q\times\mathrm{id}_Z\colon X\times_kZ\to X'\times_kZ$ は商写像である。
$X'$ が $k$-空間であることは 弱Hausdorff空間 の定理「商空間が弱 Hausdorff になる条件」の証明の冒頭と同じである。$q\times\mathrm{id}_Z$ は連続な全射なので、$A\subset X'\times Z$ について、$(q\times\mathrm{id}_Z)^{-1}(A)$ が $X\times_kZ$ の閉集合なら $A$ が $X'\times_kZ$ の閉集合であることを示せばよい。開集合が $\emptyset,\{1\},\{0,1\}$ の Sierpinski空間 $S$ をとり、$\chi(p)=0$($p\in A$)、$\chi(p)=1$($p\notin A$)で $\chi\colon X'\times Z\to S$ を定める。$\chi$ の連続性は $A$ が閉集合であることと同値である。
仮定より $\chi\circ(q\times\mathrm{id}_Z)\colon X\times_kZ\to S$ は連続なので、thm-exp-main の 1(パラメータを $X$、定義域を $Z$ とする)によりカリー化 $X\to\mathrm{Map}(Z,S)$ は連続である。これは $c(x')(z):=\chi(x',z)$ で定まる写像 $c\colon X'\to\mathrm{Map}(Z,S)$ と $q$ の合成であり(各 $c(x')$ は $q(x)=x'$ となる $x$ でのカリー化の値なので連続)、$q$ は商写像なので $c$ は連続である。thm-exp-main の 2 により $\check c=\chi\colon X'\times_kZ\to S$ は連続であり、$A$ は閉集合である。$\square$
直積位相のままでは、商写像と恒等写像の直積は商写像とは限らない。たとえば $\mathbb{R}$ の正の整数全体を 1 点につぶす商写像 $p\colon\mathbb{R}\to\mathbb{R}/\mathbb{Z}_{>0}$ と $\mathbb{Q}$ の恒等写像の直積 $p\times\mathrm{id}_{\mathbb{Q}}\colon\mathbb{R}\times\mathbb{Q}\to(\mathbb{R}/\mathbb{Z}_{>0})\times\mathbb{Q}$ は商写像でない(商写像 の節「直積との相性」。証明は Mun00 §22 Example 7、pp. 143–144。この記事では証明しない)。$\mathbb{R}$ と $\mathbb{Q}$ は距離空間なので $k$-空間であり、cor-exp-quotient によれば積を $k$ 化すれば商写像になる。cor-exp-quotient は 弱Hausdorff空間 の定理「商空間が弱 Hausdorff になる条件」の証明で使われる。
$I=[0,1]$ はコンパクト Hausdorff なので、$k$-空間 $X$ について $X\times_kI=X\times I$ である。thm-exp-main により、ホモトピー $H\colon X\times I\to Y$ は道の空間 $\mathrm{Map}(I,Y)$ への連続写像 $X\to\mathrm{Map}(I,Y)$ と同じであり、また $\mathrm{Map}(X,Y)$ の道 $I\to\mathrm{Map}(X,Y)$ とも同じである。$Y$ のループ空間 $\Omega Y$ はこの道の空間の部分空間として定まり、懸垂とループ空間の随伴(スマッシュ積)は cor-exp-homeomorphism の基点付きの形である。
評価写像 $\operatorname{ev}\colon C_{\mathrm{co}}(\mathbb{Q},\mathbb{R})\times\mathbb{Q}\to\mathbb{R}$(直積位相)は、$(0,0)$($0$ は恒等的に $0$ の関数)で連続でない。連続だとすると、$0$ を含む準開基の元の有限個の共通部分 $N=\bigcap_{i=1}^nW(L_i,U_i)$ と $0$ の開近傍 $V\subset\mathbb{Q}$ で $\operatorname{ev}(N\times V)\subset(-1,1)$ となるものがある。$L:=L_1\cup\dots\cup L_n$ はコンパクトである。$V$ は $L$ に含まれない:$V\supset(-\varepsilon,\varepsilon)\cap\mathbb{Q}$ が $L$ に含まれるなら、$\mathbb{R}$ のコンパクト集合 $L$ は閉なので $[-\varepsilon,\varepsilon]\subset L$ となり、$L\subset\mathbb{Q}$ に反する。$x\in V\setminus L$ をとり、$L$ が空でなければ
$$
f(y):=\frac{2\,d(y,L)}{d(y,L)+|y-x|}
$$
とおく($L$ が空なら $f\equiv2$)。$L$ は閉で $x\notin L$ なので分母は正で、$f$ は連続、$f|_L=0$、$f(x)=2$ である。$0\in N$ より $L_i\ne\emptyset$ なら $0\in U_i$ なので $f(L_i)=\{0\}\subset U_i$、つまり $f\in N$ だが、$\operatorname{ev}(f,x)=2\notin(-1,1)$ となり矛盾する。
したがって通常の版の指数法則は $X=\mathbb{Q}$ で崩れる:恒等写像 $G\colon C_{\mathrm{co}}(\mathbb{Q},\mathbb{R})\to C_{\mathrm{co}}(\mathbb{Q},\mathbb{R})$ は連続だが、$\check G=\operatorname{ev}$ は連続でない。一方 $\mathbb{Q}$ は距離空間なので Hausdorff な $k$-空間であり、lem-exp-evaluation により $\operatorname{ev}\colon\mathrm{Map}(\mathbb{Q},\mathbb{R})\times_k\mathbb{Q}\to\mathbb{R}$ は連続である。違いは写像空間と直積の位相を $k$ 化したところにある。
CW 複体 $Z,X$ で、$k$ 化した積 $Z\times_kX$ の位相が直積位相より真に細かいものがある(幾何学的実現と積(Milnorの定理) の例「反例:Dowker の例」)。CW 複体は Hausdorff なコンパクト生成空間である。$Y:=Z\times_kX$ とおき、恒等写像 $\mathrm{id}_Y$ のカリー化 $\eta\colon Z\to\mathrm{Map}(X,Y)$、$\eta(z)(x)=(z,x)$ は thm-exp-main により連続である。しかし $\eta$ を直積空間 $Z\times X$ 上に戻した写像は恒等写像 $Z\times X\to Z\times_kX$ であり、連続でない。thm-exp-main の 2 で $Z\times_kX$ を直積位相に替えることはできない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 通常の版での $X$ の局所コンパクト性 | ex-exp-rationals の $X=\mathbb{Q}$ | 評価写像の連続性と、カリー化が連続写像の全単射であること |
| $k$ 化した積(thm-exp-main の 2 を直積位相で読む) | ex-exp-ordinary-product | 連続写像 $G\colon Z\to\mathrm{Map}(X,Y)$ を戻した写像の連続性 |
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する