集積点

同義語:accumulation pointlimit pointcluster point

概要

集積点(accumulation point)とは、集合 $A$ に対して、その点のどの近傍にも $A$ の自分以外の点が含まれるような点のことである。たとえば $\{1,\frac{1}{2},\frac{1}{3},\dots\}$ の集積点は $0$ だけで、$0$ はこの集合に属さない。集合の閉包はその集合と集積点全体の和に等しく、集合が閉集合であることは集積点をすべて含むことと同値である。$\mathbb{R}^n$ の有界な無限部分集合はつねに集積点をもつが(集合の形の Bolzano–Weierstrass の定理)、有界でない $\mathbb{Z}$ は集積点をもたない。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 実数, 距離空間, 位相空間, 閉包

数直線上に集合 $A=\{1,\tfrac12,\tfrac13,\tfrac14,\dots\}$ の点を打つと、点は $0$ に向かっていくらでも詰まっていく。$0$ のまわりにどれほど小さい区間 $(-\varepsilon,\varepsilon)$ をとっても、$\tfrac1n<\varepsilon$ となる $n$ をとれば、点 $\tfrac1n$ がその区間に入る。このように「どれほど近くにも集合の(自分以外の)点がある」点を、その集合の 集積点 という。$0$ 自身は $A$ に属さないことに注意する。逆に $A$ の点 $\tfrac12$ は、区間 $(\tfrac12-\tfrac1{10},\tfrac12+\tfrac1{10})$ の中に $A$ の点が $\tfrac12$ しかないので、集積点でない。ほかの例では、区間 $[0,1]$ に含まれる有理数全体の集積点は $[0,1]$ のすべての点であり、整数全体 $\mathbb{Z}$ には集積点が 1 つもない。
集積点は、集合の点が「いくらでも近くに集まってくる場所」を表す。関数の極限 $\lim_{x\to c}f(x)$ は定義域の集積点 $c$ で考えるものであり、集合が閉じているかどうかは集積点をすべて含むかどうかで判定できる。本記事では、集積点を実数直線・距離空間・位相空間の順に定義し、閉包・閉集合との関係、距離空間での点列による特徴づけ、有界な無限集合が集積点をもつこと(集合の形の Bolzano–Weierstrass の定理)を証明する。

定義

実数の部分集合の集積点

$A\subset\mathbb{R}$ を実数の部分集合とし、$x\in\mathbb{R}$ とする。任意の $\varepsilon>0$ について
$$ (x-\varepsilon,x+\varepsilon)\cap(A\setminus\{x\})\neq\emptyset $$
が成り立つとき、すなわち $|y-x|<\varepsilon$ かつ $y\neq x$ を満たす $y\in A$ がつねに存在するとき、$x$ を $A$ の 集積点(accumulation point)という。

$x$ は $A$ に属していても属していなくてもよい。条件の「$y\neq x$」が要点であり、これを外すと $A$ のすべての点が条件を満たしてしまう。この定義は Leb の Definition 3.1.1(p. 113。そこでは cluster point と呼ぶ)と同じである。
同じ定義は、区間 $(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ を開球に取り替えれば距離空間で、開近傍に取り替えれば位相空間でできる。

距離空間と位相空間における集積点
  1. $(X,d)$ を距離空間、$A\subset X$、$x\in X$ とする。任意の $\varepsilon>0$ について、開球 $B(x,\varepsilon)=\{y\in X\mid d(x,y)<\varepsilon\}$ が $A\setminus\{x\}$ と交わるとき、$x$ を $A$ の集積点という。
  2. $X$ を位相空間、$A\subset X$、$x\in X$ とする。$x$ を含む任意の開集合 $U$ が $A\setminus\{x\}$ と交わるとき、$x$ を $A$ の集積点という。
    $A$ の集積点全体の集合を $A$ の 導集合 といい、$A'$ と書く。$A$ の点で $A$ の集積点でないものを $A$ の 孤立点(isolated point)という。

距離空間 $X$ に距離から定まる位相を入れると、1 と 2 の定義は一致する。$x$ を含む開集合はある開球 $B(x,\varepsilon)$ を含み、開球はそれ自身 $x$ を含む開集合だからである。$\mathbb{R}$ に通常の距離 $|x-y|$ を入れれば、1 は def-accpt-real そのものである($B(x,\varepsilon)=(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$)。開集合の代わりに $x$ の近傍($x$ を含む開集合を含む集合)を使っても同じ定義になる。
$a\in A$ が $A$ の孤立点であることは、$A\cap U=\{a\}$ となる開集合 $U$ があることと同じであり、これは $A$ に相対位相を入れた空間で $\{a\}$ が開集合であること、すなわち 離散空間 の記事の定義「点が孤立していること」の意味で $a$ が空間 $A$ の孤立点であることと同じである。
英語では accumulation point のほか、limit point、cluster point も同じ意味で使われる。ただし「点列の集積点」は、点列の値の集合の集積点とは別の概念である(ex-accpt-sequence-values)。

直感

集積点は「集合の点が、自分以外の点として、いくらでも近くに寄ってくる場所」である。$A$ の外にある集積点は、$A$ の点を使って近づくことはできるが $A$ の中にはない「縁」の点であり、$A$ の中にある集積点は、まわりにも $A$ の点がびっしりある点である。孤立点はその反対で、まわりの小さな範囲に仲間がいない点である。数直線や距離空間では、有限集合は点と点の間にすき間があるので集積点をもたず、無限集合でも $\mathbb{Z}$ のように遠くへ散らばっていれば集積点をもたない。有界な範囲に無限個の点を詰め込むと、どこかに点が集まる場所ができる。これが thm-accpt-bolzano-weierstrass である。

例と反例

数直線の集合の集積点
  1. $A=\{\tfrac1n\mid n\ge1\}$ の集積点は $0$ だけである。$0$ が集積点であることは冒頭のとおりである。$x<0$ なら区間 $(2x,0)$ は $x$ を含み $A$ と交わらない。$x>0$ なら $\tfrac1n\ge\tfrac x2$ となる $n$ は有限個($n\le\tfrac2x$)なので、区間 $(\tfrac x2,\tfrac{3x}2)$ に入る $A$ の点は有限個であり、その中の $x$ と異なる点と $x$ との距離の最小値、および $\tfrac x2$ より小さい $\varepsilon>0$ をとれば、$(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ は $x$ 以外の $A$ の点を含まない。よって $A'=\{0\}$ であり、$A$ のすべての点は孤立点である。
  2. 開区間 $(0,1)$ の集積点全体は閉区間 $[0,1]$ である。$\varepsilon$ を小さくするほど条件は強くなるので、$0<\varepsilon<1$ の場合を示せばよい。$x\in[0,1]$ と $0<\varepsilon<1$ について、$x\le\tfrac12$ なら $x+\tfrac\varepsilon2$、$x>\tfrac12$ なら $x-\tfrac\varepsilon2$ が $(0,1)$ に属し、$x$ から距離 $\tfrac\varepsilon2$ の点である。$x<0$ や $x>1$ では、$x$ から $[0,1]$ までの距離より小さい $\varepsilon$ をとれば $(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ は $(0,1)$ と交わらない。
  3. $A=\mathbb{Q}\cap[0,1]$(有理数のうち $[0,1]$ に属するもの)の集積点全体は $[0,1]$ である。$x\in[0,1]$ と $\varepsilon>0$ について、$x<1$ なら開区間 $(x,\min\{x+\varepsilon,1\})$、$x=1$ なら開区間 $(\max\{1-\varepsilon,0\},1)$ は、長さが正で $[0,1]$ に含まれ、$x$ を含まず、$(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ に含まれる。有理数は $\mathbb{R}$ で稠密なので、この開区間は有理数を含み、それは $x$ と異なる $A$ の点である。$[0,1]$ の外の点は 2 と同じ理由で集積点でない。$A$ は可算集合だが、集積点の集合は $[0,1]$ 全体である。
  4. $\mathbb{Z}$ には集積点がない。$x\in\mathbb{R}$ について、区間 $(x-\tfrac12,x+\tfrac12)$ は長さ $1$ の開区間なので、整数を高々 1 つしか含まない(相異なる 2 つの整数の差は $1$ 以上)。この区間に $x$ と異なる整数 $m$ があれば $\varepsilon:=|m-x|$ とし、なければ $\varepsilon:=\tfrac12$ とすると、$(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ は $x$ と異なる整数を含まない。とくにすべての整数は $\mathbb{Z}$ の孤立点である。
  5. $[0,1)\cup\{2\}$ の集積点全体は $[0,1]$ であり、$2$ は孤立点である(Leb の Definition 3.1.1 の後の例 (iv))。

1 と 2 で見たように、集積点は集合に属するとは限らず($0\notin A$、$1\notin(0,1)$)、集合の点は集積点とは限らない($\tfrac1n$、$2$)。一般に $A'\subset A$ も $A\subset A'$ も成り立たない。

反例:有界でない無限集合と、完備でない空間の中の無限集合
  1. $\mathbb{Z}$ は無限集合だが集積点をもたない(ex-accpt-real-examples の 4)。$\mathbb{Z}$ は「無限集合である」を満たし「有界である」を満たさない。したがって thm-accpt-bolzano-weierstrass の仮定から有界性を除くと、「無限集合は集積点をもつ」という結論が破れる。
  2. $\sqrt2=1.41421356\cdots$ の小数第 $n$ 位までの切り捨てを $a_n$ とする($a_0=1$、$a_1=1.4$、$a_2=1.41$、…)。各 $a_n$ は有理数で $1\le a_n\le2$、$0\le\sqrt2-a_n<10^{-n}$ である。$\sqrt2$ は無理数なので $a_n\neq\sqrt2$ であり、$a_n\to\sqrt2$ だから値の集合 $S=\{a_n\mid n\ge0\}$ は無限集合である(有限集合なら $\sqrt2$ との距離の最小値が正で、$10^{-n}$ より大きくなる)。$\mathbb{R}$ の中での $S$ の集積点は $\sqrt2$ だけである。実際、$x\neq\sqrt2$ について $\varepsilon:=|x-\sqrt2|/2$ とおくと、$|a_n-\sqrt2|\ge\varepsilon$ となる $n$ は有限個なので、$(x-\varepsilon,x+\varepsilon)$ に入る $S$ の点は有限個であり、ex-accpt-real-examples の 1 と同じく $\varepsilon$ を小さくすれば $x$ 以外の点を含まなくなる。したがって、$\mathbb{Q}$ を通常の距離で距離空間とみると、$S$ は $\mathbb{Q}$ の有界な無限部分集合だが、$\mathbb{Q}$ の中に集積点をもたない。この例は、thm-accpt-bolzano-weierstrass が $\mathbb{R}^n$ の完備性(完備距離空間)に依存し、「有界な無限集合は集積点をもつ」という含意が $\mathbb{Q}$ では破れることを示す。
反例:$T_1$ でない空間では有限集合も集積点をもちうる

2 点集合 $X=\{a,b\}$ に密着位相(開集合は $\emptyset$ と $X$ だけ)を入れ、$A=\{b\}$ とする。$a$ を含む開集合は $X$ だけで、これは $a$ と異なる $A$ の点 $b$ を含むので、$a$ は $A$ の集積点である(T1空間 の記事の例「反例:$T_1$ でない空間の集積点」)。距離空間では有限集合は集積点をもたない(cor-accpt-finite)が、この空間は $T_1$ 空間でなく、1 点からなる有限集合 $A$ が集積点をもつ。この例は「有限集合は集積点をもたない」という含意が一般の位相空間では破れることを示す。

反例:点列の集積点と値の集合の集積点

位相空間 $X$ の点列 $(x_n)_{n\ge1}$ について、点 $p$ の任意の近傍が無限個の番号 $n$ について $x_n$ を含むとき、$p$ を点列 $(x_n)$ の集積点という(第1可算公理 の記事の命題「点列の集積点は部分列の極限」の用法)。これは値の集合 $S=\{x_n\mid n\ge1\}$ の集積点とは別の概念である。

  • $x_n=(-1)^n$ とすると、$1$ と $-1$ はどちらも点列 $(x_n)$ の集積点である($x_n=1$ となる $n$、$x_n=-1$ となる $n$ がそれぞれ無限個ある)。しかし値の集合 $S=\{-1,1\}$ は有限集合なので、$\mathbb{R}$ の中に集積点をもたない(cor-accpt-finite)。定数列 $x_n=0$ でも、$0$ は点列の集積点だが $S=\{0\}$ の集積点ではない。これらの例は、「点列の集積点は値の集合の集積点である」という含意を破る。
  • 逆向きは距離空間では成り立つ。$p$ が $S$ の集積点なら、prop-accpt-metric により各開球 $B(p,\varepsilon)$ は $S$ の相異なる点を無限個含み、相異なる値は相異なる番号から来るので、$x_n\in B(p,\varepsilon)$ となる $n$ は無限個ある。
    距離空間では、点列の集積点は収束する部分列の極限にほかならない。集積点から収束する部分列が作れることは 第1可算公理 の記事の同じ命題(距離空間は第1可算空間である)であり、逆に部分列 $(x_{n_k})$ が $p$ に収束すれば、$p$ の任意の近傍は十分大きいすべての $k$ について $x_{n_k}$ を含むので、$p$ は点列の集積点である。

条件を 1 つ外した反例を表にまとめる。各行の確認は上の反例の箱にある。

外す条件反例成り立たなくなること
有界(thm-accpt-bolzano-weierstrass)$\mathbb{Z}\subset\mathbb{R}$無限集合は集積点をもつ
空間の完備性($\mathbb{R}$ を $\mathbb{Q}$ に替える)$\sqrt2$ の小数切り捨て全体 $S\subset\mathbb{Q}$有界な無限集合は集積点をもつ
$T_1$(距離空間であること)密着位相の $\{a,b\}$ と $A=\{b\}$有限集合は集積点をもたない
値の集合をとること(点列の集積点に替える)$x_n=(-1)^n$点列の集積点は値の集合の集積点である

性質

閉包と閉集合

閉包は集合と導集合の和

$X$ を位相空間、$A\subset X$ とする。

  1. $x\in X$ が $A$ の集積点であることと、$x$ が $A\setminus\{x\}$ の閉包に属することは同値である。
  2. $\overline A=A\cup A'$ である。
  3. $A$ が閉集合であることと、$A'\subset A$($A$ がその集積点をすべて含むこと)は同値である。
閉包の開集合による判定を使う

閉包 の記事の命題「触点による特徴づけ」により、$x\in\overline B$ であることは、$x$ を含む任意の開集合 $U$ が $B$ と交わることと同値である。
1:$B=A\setminus\{x\}$ にこの判定を使うと、$x\in\overline{A\setminus\{x\}}$ は「$x$ を含む任意の開集合が $A\setminus\{x\}$ と交わる」ことと同値であり、これは集積点の定義そのものである。
2:$A\subset\overline A$ である。$x\in A'$ なら、$x$ を含む任意の開集合は $A\setminus\{x\}\subset A$ と交わるので、判定により $x\in\overline A$ である。よって $A\cup A'\subset\overline A$ である。逆に $x\in\overline A$ で $x\notin A$ とすると、$A\setminus\{x\}=A$ なので、$x$ を含む任意の開集合は $A\setminus\{x\}$ と交わり、$x\in A'$ である。よって $\overline A\subset A\cup A'$ である。
3:$A$ が閉集合であることは $A=\overline A$ と同値である($\overline A$ は $A$ を含む最小の閉集合)。2 により $\overline A=A\cup A'$ なので、$A=\overline A$ は $A'\subset A$ と同値である。$\square$

2 と 3 は 閉集合 の記事の注意「集積点と境界による言い換え」でも述べる内容であり、1 は Leb の Exercise 7.5.13(p. 295。距離空間の場合)にある。例えば $A=\{\tfrac1n\mid n\ge1\}$ は $A'=\{0\}\not\subset A$ なので閉集合でなく、$\overline A=A\cup\{0\}$ である。$\mathbb{Z}$ は $\mathbb{Z}'=\emptyset\subset\mathbb{Z}$ なので $\mathbb{R}$ の閉集合である。

距離空間での特徴づけ

距離空間での集積点の特徴づけ

$(X,d)$ を距離空間、$A\subset X$、$x\in X$ とする。次の 3 条件は同値である。

  1. $x$ は $A$ の集積点である。
  2. 任意の $\varepsilon>0$ について、開球 $B(x,\varepsilon)$ は $A$ の点を無限個含む。
  3. $A$ の点からなる点列 $(a_k)_{k\ge1}$ で、項が互いに相異なり、どの項も $x$ と異なり、$x$ に収束するものが存在する。
距離が真に減る点列を作る

1 ⇒ 3:$r_1:=1$ とし、$a_1\in B(x,r_1)\cap(A\setminus\{x\})$ をとる。$a_1,\dots,a_k$ まで定まったとき、$r_{k+1}:=\min\{\tfrac1{k+1},\,d(a_k,x)\}$ とおく。$a_k\neq x$ なので $r_{k+1}>0$ であり、1 により $B(x,r_{k+1})\cap(A\setminus\{x\})$ は空でないので、その点を $a_{k+1}$ とする。こうして帰納的に点列 $(a_k)$ が定まる。作り方から $d(a_{k+1},x)< r_{k+1}\le d(a_k,x)$ なので、$d(a_k,x)$ は $k$ について真に減少し、項は互いに相異なる。また $0< d(a_k,x)< r_k\le\tfrac1k$ なので $a_k\to x$ である。
3 ⇒ 2:$\varepsilon>0$ とする。$a_k\to x$ なので、ある $K$ があって $k\ge K$ ならば $a_k\in B(x,\varepsilon)$ である。$a_K,a_{K+1},\dots$ は相異なる $A$ の点なので、$B(x,\varepsilon)$ は $A$ の点を無限個含む。
2 ⇒ 1:$B(x,\varepsilon)$ は $A$ の点を無限個含むので、その中には $x$ と異なるものがある。$\square$

1 ⇔ 3 から「項が互いに相異なる」を除いた形は Leb の Proposition 3.1.2(pp. 113–114。実数の場合)と Definition 7.5.14 の後の注意(p. 292。距離空間の場合)にある。条件 3 で「項が $x$ と異なる」を外すと、定数列 $x,x,\dots$ が $x$ に収束するので、$A$ のすべての点が条件を満たしてしまう。

有限集合は集積点をもたない

距離空間の有限部分集合は集積点をもたない。

条件 2 を否定する

$A$ が有限集合なら、どの開球も $A$ の点を有限個しか含まないので、prop-accpt-metric の条件 2 が成り立たず、どの点も $A$ の集積点でない。$\square$

より一般に、T1空間 の記事の命題「集積点の近傍にある点の個数」は、$T_1$ 空間(1 点集合が閉集合である位相空間。距離空間はこれに含まれる)で prop-accpt-metric の 1 ⇔ 2 と同じことを示している。$T_1$ でない空間では成り立たないことは ex-accpt-non-t1 のとおりである。

導集合は閉集合

距離空間 $X$ の任意の部分集合 $A$ について、導集合 $A'$ は $X$ の閉集合である。

小さい開球を大きい開球に入れる

$A'\subset\overline{A'}$ はつねに成り立つので、$\overline{A'}\subset A'$ を示せば $\overline{A'}=A'$ となり、$A'$ は閉集合である。$x\in\overline{A'}$、$\varepsilon>0$ とする。$B(x,\varepsilon)$ は $x$ を含む開集合なので、閉包 の判定により $A'$ の点 $y$ を含む。$\delta:=\varepsilon-d(x,y)>0$ とおくと、三角不等式により $B(y,\delta)\subset B(x,\varepsilon)$ である。$y\in A'$ なので、prop-accpt-metric により $B(y,\delta)$ は $A$ の点を無限個含み、したがって $B(x,\varepsilon)$ も $A$ の点を無限個含む。$\varepsilon$ は任意なので、再び prop-accpt-metric により $x\in A'$ である。$\square$

ex-accpt-non-t1 の空間では $A'=\{a\}$ の閉包が $X$ 全体になるので、この命題も一般の位相空間では成り立たない。$T_1$ 空間では成り立つ(T1空間 の記事の同じ命題の 2)。

有界な無限集合の集積点

集合の形のBolzano–Weierstrassの定理

$n\ge1$ とする。$n$ 次元 Euclid空間 $\mathbb{R}^n$(通常の距離 $\|x-y\|$ を入れる)の有界な無限部分集合は、$\mathbb{R}^n$ の中に集積点をもつ。とくに実数の有界な無限部分集合は集積点をもつ。

立方体を 2 等分し続ける

$A\subset\mathbb{R}^n$ を有界な無限集合とする。有界なので、ある $M>0$ について $A\subset Q_0:=[-M,M]^n$ である。
閉立方体の列 $Q_0\supset Q_1\supset Q_2\supset\cdots$ で、$Q_k$ は 1 辺の長さ $2M/2^k$ の閉立方体 $\prod_{i=1}^n[u_k^{(i)},v_k^{(i)}]$ であり、$A\cap Q_k$ が無限集合であるものを帰納的に作る。$Q_0$ はこれを満たす。$Q_k$ が定まったとき、各座標の区間 $[u_k^{(i)},v_k^{(i)}]$ を中点で左半分と右半分に分けると、$Q_k$ は 1 辺の長さが半分の $2^n$ 個の閉立方体の和になる。$A\cap Q_k$ は無限集合であり、有限個の有限集合の和は有限集合なので、この $2^n$ 個のうち少なくとも 1 つ $Q$ について $A\cap Q$ は無限集合である。各座標で左半分を右半分より先に並べる辞書式の順で、そのような $Q$ のうち最初のものを $Q_{k+1}$ とする。選び方は規則で一通りに決まる。
各座標 $i$ について、閉区間の列 $[u_k^{(i)},v_k^{(i)}]$($k=0,1,2,\dots$)は減少しているので、区間 の記事の定理「区間縮小法」により共通の点 $p_i$ がある。$p:=(p_1,\dots,p_n)$ はすべての $Q_k$ に属する。
$p$ が $A$ の集積点であることを示す。$\varepsilon>0$ とし、$\sqrt n\cdot2M/2^k<\varepsilon$ となる $k$ をとる。$q\in Q_k$ なら、$p$ と $q$ はともに $Q_k$ に属するので各座標で $|q_i-p_i|\le2M/2^k$ であり、
$$ \|q-p\|=\Bigl(\sum_{i=1}^n(q_i-p_i)^2\Bigr)^{1/2}\le\sqrt n\cdot\frac{2M}{2^k}<\varepsilon $$
である。よって $Q_k\subset B(p,\varepsilon)$ であり、$B(p,\varepsilon)$ は無限集合 $A\cap Q_k$ を含むので $A$ の点を無限個含む。prop-accpt-metric により $p$ は $A$ の集積点である。$\square$

$n=1$ の場合は Leb の Exercise 2.3.9(p. 81)で、点列の形の Bolzano–Weierstrass の定理(同書 Theorem 2.3.8、p. 78。点列 の記事の系「有界列は収束する部分列をもつ」)の「集合の形」として述べられている。点列の形から導くには、無限集合から相異なる点の列を取り出す必要がある。上の証明はその代わりに、無限個の点を含む小立方体を決まった規則で選んでいる。
仮定はどちらも外せない。$\mathbb{Z}$ は有界でない無限集合で集積点をもたず、$\mathbb{Q}$ の中では有界な無限集合が集積点をもたないことがある(ex-accpt-bw-counterexamples)。証明では、有界性を $Q_0$ をとるところで、$\mathbb{R}$ の完備性を区間縮小法のところで使っている。

孤立点と離散的な集合

def-accpt-general により、集合 $A$ の点は、$A$ の集積点であるか $A$ の孤立点であるかのちょうど一方である。したがって $A$ は $A\cap A'$ と孤立点全体の集合との交わらない和に分かれる。両極端として、次の 2 種類の集合がある。

  • $A'=\emptyset$ である集合。$A$ のすべての点は孤立点であり、prop-accpt-closure の 3 により $A$ は閉集合である。$\mathbb{Z}$ や有限集合がこの例である。すべての点が孤立点であっても $A'=\emptyset$ とは限らない。$\{\tfrac1n\mid n\ge1\}$ はすべての点が孤立点だが、集積点 $0$ をもち、閉集合でない(ex-accpt-real-examples の 1)。
  • $A'=A$ である集合、すなわち孤立点をもたない閉集合。このような集合を 完全集合(孤立点) という。$[0,1]$ や $\mathbb{R}$ は完全集合であり、Cantor集合 も完全集合である(Cantor集合 の記事の命題「完全性と完全不連結性」)。

関数の極限と集積点

関数の極限を考える点

$S\subset\mathbb{R}$、$f\colon S\to\mathbb{R}$、$c\in\mathbb{R}$ とする。$f(x)\to L$($x\to c$)とは、任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があって、$x\in S\setminus\{c\}$ かつ $|x-c|<\delta$ ならば $|f(x)-L|<\varepsilon$ となることをいう。Leb の Definition 3.1.3(p. 114)はこれを $c$ が $S$ の集積点である場合に定めている。$c$ が $S$ の集積点でなければ、ある $\delta>0$ について $S\setminus\{c\}$ の点で $|x-c|<\delta$ を満たすものがないので、上の条件はどの $L$ についても空虚に成り立ち、極限が一つに定まらない(同書 Exercise 3.1.15、p. 121)。$c$ が集積点なら極限は高々 1 つである(同書 Proposition 3.1.4、p. 114)。また $c\in S$ が $S$ の孤立点なら、$S$ 上のどの関数も $c$ で連続である(同書 Proposition 3.2.2、p. 122)。

複素解析の 一致の定理 は、領域上の 2 つの正則関数が一致する点の集合がその領域に集積点をもてば、2 つの関数は全体で一致することを述べる。ここでも「集積点をもつ」という条件は、一致する点が 1 点に集まってくることを表している。

関連項目

参考文献

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