Kleimanの判定法(豊富性)(Kleiman's ampleness criterion)とは、代数閉体上の射影スキーム $X$ の上の可逆層 $\mathcal{L}$ が豊富であるための必要十分条件は、1 次元サイクルの数値的同値類の実ベクトル空間で曲線の類が張る錐の閉包 $\overline{NE}(X)$ の $0$ でないすべての元と $\mathcal{L}$ との交叉数が正であることだ、という定理である。証明の鍵は、曲線との交叉数が $0$ 以上の nef な可逆層は部分多様体とも $0$ 以上の交叉数をもつという Kleiman の定理で、中井–Moishezon の判定法と合わせて、nef な類に豊富な類を足すと豊富になる。帰結として、豊富な類の錐は nef な類の錐の内部であり、nef な類の錐はその閉包である。
前提知識: 豊富な可逆層, 中井–Moishezonの判定法, 数値的同値, 交叉数
Kleimanの判定法(Kleiman's ampleness criterion)は、射影スキーム $X$ の上の可逆層 $\mathcal{L}$ が豊富な可逆層であるための必要十分条件を、曲線の類が張る凸錐の言葉で与える定理である。$X$ の曲線の類を数値的同値で割った有限次元の実ベクトル空間 $N_1(X)_{\mathbb{R}}$ の中で、曲線の類が張る錐の閉包を $\overline{NE}(X)$ とすると、$\mathcal{L}$ が豊富であることは、$\mathcal{L}$ との交叉数が $\overline{NE}(X)$ の $0$ でないすべての元で正になることと同値である。S. Kleiman が 1966 年の論文で示した。
中井–Moishezonの判定法は、すべての次元の部分多様体 $V$ について $(\mathcal{L}^{\dim V}\cdot V)>0$ を求める。Kleiman の判定法が見るのは曲線との交叉数だけだが、その代わり、曲線の類そのものではなく、その極限(錐の閉包の元)での正値性を求める。曲線の類だけでは足りないことは Mumford の例が示す(ex-kleiman-mumford)。証明の中心は、すべての曲線との交叉数が $0$ 以上の可逆層(nef な可逆層)は、すべての部分多様体とも $0$ 以上の交叉数をもつという Kleiman の定理である(thm-kleiman-nef)。帰結として、豊富な類のなす錐は nef な類のなす錐の内部であり、nef な類のなす錐はその閉包である(cor-kleiman-cones)。この判定法は、錐定理から始まる極小モデル理論の基本的な道具である。
この記事を通して、$k$ を代数閉体、$X$ を $k$ 上の射影スキームとし、閉埋め込み $X\subset\mathbb{P}^N_k$ を 1 つ固定して $\mathcal{H}:=\mathcal{O}_X(1)$ とおく。$X$ の曲線とは、$1$ 次元の整な閉部分スキームのことをいう。
交叉数は 交叉数 の定義「交叉数」に従う。可逆層 $\mathcal{L},\mathcal{M}$ と、台の次元が $d$ 以下の連接層 $\mathcal{F}$ について、$\mathcal{L}$ を $j$ 個、$\mathcal{M}$ を $d-j$ 個並べた交叉数を $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{M}^{d-j}\cdot\mathcal{F})$ と書く。交叉数は各変数について対称かつ多重線型で、$\mathcal{F}$ について短完全列で加法的であり、台の次元が $d$ 未満の層では $0$ になる(交叉数 の定理「交叉数の対称性と多重線型性」)。とくに整数 $a,b$ について、二項展開
$$
\bigl((\mathcal{L}^{\otimes b}\otimes\mathcal{M}^{\otimes a})^{d}\cdot\mathcal{F}\bigr)=\sum_{j=0}^{d}\binom{d}{j}b^{j}a^{d-j}\,(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{M}^{d-j}\cdot\mathcal{F})
$$
が成り立つ。曲線 $C$ について $(\mathcal{L}\cdot C)$ は $\mathcal{L}|_C$ の次数である(交叉数 の命題「1 次元の台をもつ層の交叉数」)。閉部分スキーム $\iota\colon Y\to X$ の上の連接層 $\mathcal{G}$ については $H^i(X,\iota_*\mathcal{G})=H^i(Y,\mathcal{G})$ なので(Har77 III, Lemma 2.10, p. 209)、交叉数は $X$ の上で計算しても $Y$ の上で計算しても同じである。
数値的同値 の記号に従い、可逆層の数値的同値類の群を $N^1(X)$、曲線の整数係数の形式和を数値的同値で割った群を $N_1(X)$ とし、交叉数が定める双線型写像 $N^1(X)\times N_1(X)\to\mathbb{Z}$ を $(\,\cdot\,)$ と書く。$N^1(X)$ は有限生成な自由アーベル群である(数値的同値 の節「$N^1(X)$ の構造」。Néron–Severi の定理による。この記事では証明しない)。$N^1(X)_{\mathbb{R}}:=N^1(X)\otimes\mathbb{R}$、$N_1(X)_{\mathbb{R}}:=N_1(X)\otimes\mathbb{R}$ とおき、交叉数を双線型に延ばす。$N^1(X)_{\mathbb{R}}$ では加法の記号を使い、$\mathcal{L}^{\otimes b}\otimes\mathcal{M}^{\otimes a}$ の類を $b\mathcal{L}+a\mathcal{M}$ と書く。
$N_1(X)$ は有限生成な自由アーベル群であり、交叉数は完全な双線型形式 $N^1(X)_{\mathbb{R}}\times N_1(X)_{\mathbb{R}}\to\mathbb{R}$ を定める。とくに $N_1(X)_{\mathbb{R}}$ は有限次元で、$z\in N_1(X)_{\mathbb{R}}$ がすべての可逆層 $\mathcal{E}$ について $(\mathcal{E}\cdot z)=0$ をみたせば $z=0$ である。
要点:$N_1(X)$ は $N^1(X)$ の双対の部分群で、その張る部分空間の零化空間は有理数の点で張られる。
$\rho$ を $N^1(X)$ の階数とする。$N_1(X)$ の定義により、$z\mapsto(\,\cdot\,z)$ は単射 $N_1(X)\to\operatorname{Hom}(N^1(X),\mathbb{Z})\cong\mathbb{Z}^{\rho}$ を与えるので、$N_1(X)$ は階数 $\rho$ 以下の自由アーベル群である。$\mathbb{R}$ は $\mathbb{Z}$ 上平坦なので、誘導される $\iota\colon N_1(X)_{\mathbb{R}}\to\operatorname{Hom}(N^1(X)_{\mathbb{R}},\mathbb{R})$ は単射である。
全射を示す。像 $W$ が全体でないとすると、$W$ の零化空間 $W^{\perp}=\{x\in N^1(X)_{\mathbb{R}}\mid w(x)=0\ (w\in W)\}$ は $0$ でない。$W$ は $N_1(X)$ の有限個の生成元の像で張られ、それらは $N^1(X)$ の基底に関して整数係数の 1 次式なので、$W^{\perp}$ は整数係数の連立 1 次方程式の解空間であり、有理数の解で張られる。よって $0$ でない $x\in N^1(X)\otimes\mathbb{Q}$ が $W^{\perp}$ に入り、分母を払って $x\in N^1(X)$ としてよい。$x$ はすべての曲線と交叉数 $0$ をもつので、$N^1(X)$ の定義により $x=0$ となって矛盾する。よって $\iota$ は同型で、形式は完全である。最後の主張は $N^1(X)_{\mathbb{R}}$ が可逆層の類で張られることによる。$\square$
$N_1(X)_{\mathbb{R}}$ の部分集合
$$
NE(X):=\Bigl\{\sum_i a_i[C_i]\ \Bigm|\ a_i\in\mathbb{R}_{\ge0},\ C_i\text{ は曲線(有限和)}\Bigr\}
$$
を曲線の錐といい、その閉包を $\overline{NE}(X)$ と書く($N_1(X)_{\mathbb{R}}$ は有限次元なので、位相はノルムのとり方によらない)。$D\in N^1(X)_{\mathbb{R}}$ が nef(numerically effective)であるとは、すべての曲線 $C$ について $(D\cdot C)\ge0$ となることをいう。可逆層は、その類が nef のとき nef であるという。
$D$ が nef なら $D$ は $NE(X)$ の上で $0$ 以上であり、$z\mapsto(D\cdot z)$ は連続なので $\overline{NE}(X)$ の上でも $0$ 以上である。$\overline{NE}(X)$ は凸錐の閉包なので、閉じた凸錐である。この錐の記号は 錐定理 の定義「曲線の錐」と同じである。曲線 $C$ について $(\mathcal{H}\cdot C)>0$ なので(中井–Moishezonの判定法 の補題「豊富な可逆層の交叉数は正」)、曲線の類は $N_1(X)$ の中で $0$ でない。
$k$ を代数閉体、$X$ を $k$ 上の射影スキーム、$\mathcal{L}$ を $X$ 上の可逆層とする。$\mathcal{L}$ が豊富であるための必要十分条件は、$\overline{NE}(X)$ の $0$ でないすべての元 $z$ について
$$
(\mathcal{L}\cdot z)>0
$$
が成り立つことである。
証明は prf-kleiman-main で与える。十分性では、錐の切り口のコンパクト性から $b\mathcal{L}-a\mathcal{H}$ が nef になることを示し、nef な類に豊富な類を足すと豊富になることを、中井–Moishezonの判定法 と次の節の Kleiman の定理で示す。
次の 2 つの補題で、交叉数の正負を、整な部分スキームとの交叉数に帰着させる。
$\mathcal{L}$ を可逆層、$j\ge0$ とし、次元 $j$ のすべての整な閉部分スキーム $V$ について $(\mathcal{L}^{j}\cdot V)\ge0$ とする。このとき、台の次元が $j$ 以下のすべての連接層 $\mathcal{F}$ について $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{F})\ge0$ である。
要点:連接層を整な閉部分スキームのイデアル層で順に割り、交叉数の加法性で各成分の和に分ける。
Noether スキームの連接層は、連接な部分層の列 $0=\mathcal{F}_0\subset\mathcal{F}_1\subset\dots\subset\mathcal{F}_r=\mathcal{F}$ で、各商 $\mathcal{F}_i/\mathcal{F}_{i-1}$ が整な閉部分スキーム $Z_i$ の上の $0$ でないイデアル層 $\mathcal{I}_i\subset\mathcal{O}_{Z_i}$ の押し出しと同型になるものをもつ(Stacks Lemma 30.12.3, Tag 01YF)。$Z_i\subset\operatorname{Supp}\mathcal{F}$ なので $\dim Z_i\le j$ である。交叉数は短完全列について加法的なので $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{F})=\sum_i(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{I}_i)$ であり、各項が $0$ 以上であることを示せばよい。
$\dim Z_i< j$ なら台の次元が $j$ 未満なので $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{I}_i)=0$ である。$\dim Z_i=j$ なら、$\mathcal{I}_i$ の $Z_i$ の生成点での茎は関数体 $K(Z_i)$ の $0$ でないイデアル、すなわち $K(Z_i)$ 全体なので、$\mathcal{O}_{Z_i}/\mathcal{I}_i$ の台は $Z_i$ の真の閉部分集合で、次元は $j$ 未満である。完全列 $0\to\mathcal{I}_i\to\mathcal{O}_{Z_i}\to\mathcal{O}_{Z_i}/\mathcal{I}_i\to0$ から $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{I}_i)=(\mathcal{L}^{j}\cdot Z_i)\ge0$ である。$\square$
$Y\subset\mathbb{P}^{M}_k$ を閉部分スキーム、$\mathcal{A}:=\mathcal{O}_Y(1)$ とし、$\mathcal{L}$ を $Y$ 上の可逆層、$\mathcal{F}$ を台の次元が $d$ 以下の $Y$ 上の連接層、$0\le j\le d$ とする。このとき、台の次元が $j$ 以下の連接層 $\mathcal{G}$ で
$$
(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{A}^{d-j}\cdot\mathcal{F})=(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{G})
$$
となるものがある。
要点:随伴点を通らない超平面で切ると、交叉数を変えずに台の次元が 1 つ下がる。
$d-j$ についての帰納法で示す。$d=j$ なら $\mathcal{G}=\mathcal{F}$ とすればよい。$d>j$ とする。$\mathcal{F}$ の随伴点は有限個である(交叉数 の定義「随伴点」のあとの注意)。各点 $x\in\mathbb{P}^{M}_k$ について、$x$ で消える 1 次形式の全体は 1 次形式の空間の真の部分空間であり(ある座標 $x_i$ は $x$ で消えない)、無限体 $k$ の上の有限次元ベクトル空間は有限個の真の部分空間の和集合にならない。よって $\mathcal{F}$ のどの随伴点でも消えない 1 次形式 $\ell$ があり、$s:=\ell|_Y\in\Gamma(Y,\mathcal{A})$ は $\mathcal{F}$ のどの随伴点でも消えない。交叉数 の補題「制限の公式」により$$(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{A}^{d-j}\cdot\mathcal{F})=(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{A}^{d-j-1}\cdot\mathcal{F}/s\mathcal{F})$$であり、$\mathcal{F}/s\mathcal{F}$ の台の次元は $d-1$ 以下である。帰納法の仮定を $\mathcal{F}/s\mathcal{F}$ と $d-1$ に当てはめればよい。$\square$
$\mathcal{L}$ を $X$ 上の nef な可逆層とする。
1 から 2 が従うこと。 lem-kleiman-hyperplane を $Y=X$、$\mathcal{A}=\mathcal{H}$ に当てはめると、台の次元が $j$ 以下の $\mathcal{G}$ で $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{H}^{d-j}\cdot\mathcal{F})=(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{G})$ となるものがあり、1 と lem-kleiman-filtration によりこれは $0$ 以上である。この議論は、1 が次元 $j$ の整な閉部分スキームについて成り立てば、その $j$ について 2 が成り立つことを示している。
1 の証明。 $n:=\dim V$ についての帰納法で示す。$n=0$ なら $(\mathcal{L}^{0}\cdot V)=\chi(\mathcal{O}_V)=\dim_kH^0(V,\mathcal{O}_V)>0$ であり、$n=1$ なら nef の定義そのものである。$n\ge2$ とし、次元が $n$ 未満の整な閉部分スキームについて 1 が成り立つとする。上の注意により、
$(*)$ 台の次元が $d$ 以下の連接層 $\mathcal{F}$ と $j\le d$、$j< n$ について $(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{H}^{d-j}\cdot\mathcal{F})\ge0$
が成り立つ。$p_j:=(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{H}^{n-j}\cdot V)$($0\le j\le n$)とおく。$(*)$ により $j< n$ で $p_j\ge0$ であり、$\mathcal{H}$ は豊富なので $p_0=(\mathcal{H}^{n}\cdot V)>0$ である(中井–Moishezonの判定法 の補題「豊富な可逆層の交叉数は正」)。示すべきは $p_n\ge0$ である。多項式
$$
P(t):=\sum_{j=0}^{n}\binom{n}{j}p_j\,t^{n-j},\qquad
Q(t):=\sum_{j=0}^{n-1}\binom{n-1}{j}p_{j+1}\,t^{n-1-j},\qquad
R(t):=t\sum_{j=0}^{n-1}\binom{n-1}{j}p_j\,t^{n-1-j}
$$
を考える。$\binom{n}{j}=\binom{n-1}{j-1}+\binom{n-1}{j}$ から $P=Q+R$ である。正の整数 $a,b$ に対し $\mathcal{M}_{a,b}:=\mathcal{L}^{\otimes b}\otimes\mathcal{H}^{\otimes a}$ とおくと、二項展開から
$$
(\mathcal{M}_{a,b}^{\,n}\cdot V)=b^{n}P(a/b),\qquad(\mathcal{L}\cdot\mathcal{M}_{a,b}^{\,n-1}\cdot V)=b^{n-1}Q(a/b)
$$
である。
要点:$p_n<0$ なら $P$ はただ 1 つの正の根 $t_0$ をもつ。$t>t_0$ の有理数では $\mathcal{M}_{a,b}$ が豊富になり(中井–Moishezon の判定法)、そこから $Q(t_0)\ge0$、また $R(t_0)>0$ が出て $P(t_0)>0$ と矛盾する。
$p_n=P(0)<0$ と仮定して矛盾を導く。$P$ の定数項以外の係数は $0$ 以上で、$t^{n}$ の係数 $p_0$ は正なので、$t>0$ で $P'(t)\ge np_0t^{n-1}>0$ であり、$P(t)\to\infty$($t\to\infty$)である。よって $P(t_0)=0$ となる $t_0>0$ がただ 1 つあり、$t>t_0$ で $P(t)>0$ である。
段 1:有理数 $t=a/b>t_0$($a,b$ は正の整数)について、$V$ 上の可逆層 $\mathcal{M}:=\mathcal{M}_{a,b}|_V$ は豊富である。$V$ の整な閉部分スキーム $Y$($d=\dim Y\ge1$)について $(\mathcal{M}^{d}\cdot Y)>0$ を示せば、$V$ 上の 中井–Moishezonの判定法 から従う。$Y=V$ なら $(\mathcal{M}^{n}\cdot V)=b^{n}P(t)>0$ である。$Y\ne V$ なら $V$ は整なので $d< n$ であり、$$(\mathcal{M}^{d}\cdot Y)=\sum_{j=0}^{d}\binom{d}{j}b^{j}a^{d-j}(\mathcal{L}^{j}\cdot\mathcal{H}^{d-j}\cdot Y)$$の各項は、$j< d$ では $(*)$ により、$j=d$ では帰納法の仮定により $0$ 以上で、$j=0$ の項 $a^{d}(\mathcal{H}^{d}\cdot Y)$ は正である。
段 2:有理数 $t=a/b>t_0$ について $Q(t)\ge0$ である。段 1 により $\mathcal{M}$ は豊富なので、ある $r\ge1$ で $\mathcal{M}^{\otimes r}$ は $V$ 上で非常に豊富であり(豊富な可逆層 の定理「豊富な可逆層の冪は非常に豊富である」)、閉埋め込み $V\subset\mathbb{P}^{M}_k$ で $\mathcal{O}_V(1)\cong\mathcal{M}^{\otimes r}$ となるものがある。lem-kleiman-hyperplane をこの埋め込み、$\mathcal{F}=\mathcal{O}_V$、$d=n$、$j=1$ に当てはめると、台の次元が $1$ 以下の $\mathcal{G}$ で $(\mathcal{L}\cdot(\mathcal{M}^{\otimes r})^{n-1}\cdot V)=(\mathcal{L}\cdot\mathcal{G})$ となるものがあり、nef の定義と lem-kleiman-filtration($j=1$)によりこれは $0$ 以上である。多重線型性から $(\mathcal{L}\cdot(\mathcal{M}^{\otimes r})^{n-1}\cdot V)=r^{n-1}b^{n-1}Q(t)$ なので $Q(t)\ge0$ である。$Q$ は連続で、$t_0$ より大きい有理数は $t_0$ に収束する列をなすので、$Q(t_0)\ge0$ である。
段 3:$R(t_0)=t_0\sum_{j=0}^{n-1}\binom{n-1}{j}p_jt_0^{\,n-1-j}$ の各項は $0$ 以上で、$j=0$ の項 $t_0^{\,n}p_0$ は正なので、$R(t_0)>0$ である。
以上から $P(t_0)=Q(t_0)+R(t_0)>0$ となり、$P(t_0)=0$ に反する。よって $(\mathcal{L}^{n}\cdot V)=p_n\ge0$ である。$\square$
この証明は Vak25 の Kleiman の定理(Theorem 20.4.6、p. 591)の証明(pp. 592–593)と同じ筋で、細部を 交叉数 の記号で書いたものである。
大域切断で生成される可逆層 $\mathcal{M}$ は nef である。
要点:曲線への制限が $0$ でない切断をもち、その零点の長さが次数になる。
曲線 $C$ の点 $x$ をとると、$x$ で消えない $\mathcal{M}$ の大域切断があり、その $C$ への制限 $t\in\Gamma(C,\mathcal{M}|_C)$ は $0$ でない。$C$ は整なので $t$ は生成点で $0$ でなく、$t$ 倍写像 $\mathcal{O}_C\to\mathcal{M}|_C$ は単射である。その余核 $\mathcal{T}$ の台は $t$ の零点の集合で、$C$ の真の閉部分集合だから有限集合である。よって $H^i(C,\mathcal{T})=0$($i\ge1$)で、$(\mathcal{M}\cdot C)=\chi(\mathcal{M}|_C)-\chi(\mathcal{O}_C)=\chi(\mathcal{T})=\dim_kH^0(C,\mathcal{T})\ge0$ である。$\square$
$\mathcal{N}$ を nef な可逆層とする。整数 $b\ge0$、$a\ge1$ について $\mathcal{N}^{\otimes b}\otimes\mathcal{H}^{\otimes a}$ は豊富である。
$\mathcal{M}:=\mathcal{N}^{\otimes b}\otimes\mathcal{H}^{\otimes a}$ とおく。整な閉部分スキーム $Y$($d=\dim Y\ge1$)について、二項展開から
$$
(\mathcal{M}^{d}\cdot Y)=\sum_{j=0}^{d}\binom{d}{j}b^{j}a^{d-j}(\mathcal{N}^{j}\cdot\mathcal{H}^{d-j}\cdot Y)
$$
である。thm-kleiman-nef の 2 により各項は $0$ 以上で、$j=0$ の項 $a^{d}(\mathcal{H}^{d}\cdot Y)$ は正である。中井–Moishezonの判定法 により $\mathcal{M}$ は豊富である。$\square$
必要性。 $\mathcal{L}$ を豊富とする。曲線 $C$ について $(\mathcal{L}\cdot C)>0$ なので(中井–Moishezonの判定法 の補題「豊富な可逆層の交叉数は正」)、$\mathcal{L}$ は nef で、$\overline{NE}(X)$ の上で $0$ 以上である。$z\in\overline{NE}(X)$ が $(\mathcal{L}\cdot z)=0$ をみたすとして、$z=0$ を示す。任意の可逆層 $\mathcal{E}$ をとる。$\mathcal{L}$ は豊富なので、ある $m\ge1$ で $\mathcal{E}\otimes\mathcal{L}^{\otimes m}$ は大域切断で生成され、lem-kleiman-gg により nef である。よって
$$
(\mathcal{E}\cdot z)=(\mathcal{E}\cdot z)+m(\mathcal{L}\cdot z)=\bigl((\mathcal{E}+m\mathcal{L})\cdot z\bigr)\ge0
$$
である。$\mathcal{E}$ を双対 $\mathcal{E}^{\vee}$ に替えると $-(\mathcal{E}\cdot z)\ge0$ なので、$(\mathcal{E}\cdot z)=0$ である。$\mathcal{E}$ は任意なので、lem-kleiman-duality により $z=0$ である。
十分性。 $\dim X\le0$ なら、$X$ は Artin 局所環の $\operatorname{Spec}$ の有限個の非交和でアフィンであり、アフィンな Noether スキームの上ではすべての連接層が大域切断で生成されるので、$\mathcal{L}$ は豊富である。$\dim X\ge1$ とする。長さ $\dim X$ の既約閉集合の鎖 $Z_0\subsetneq Z_1\subsetneq\cdots$ の $Z_1$ は次元 $1$ なので($\dim Z_1\ge2$ なら鎖をもっと長くできる)、$X$ は曲線 $C$ を含み、$[C]\ne0$ である。$N_1(X)_{\mathbb{R}}$ にノルムを 1 つ固定し、
$$
S:=\{z\in\overline{NE}(X)\mid\|z\|=1\}
$$
とおく。$S$ は有界な閉集合なのでコンパクトで、$[C]/\|[C]\|\in S$ だから空でない。仮定から $z\mapsto(\mathcal{L}\cdot z)$ は $S$ の上で正なので、最小値 $c>0$ をとる。$K:=\max_{z\in S}|(\mathcal{H}\cdot z)|$ とおき、正の整数 $a,b$ を $a/b< c/(K+1)$ となるようにとる。$z\in S$ について
$$
\bigl((b\mathcal{L}-a\mathcal{H})\cdot z\bigr)\ge bc-aK>0
$$
であり、$\overline{NE}(X)$ の $0$ でない元は $S$ の元の正の実数倍なので、$b\mathcal{L}-a\mathcal{H}$ は $\overline{NE}(X)$ の上で $0$ 以上である。曲線の類は $\overline{NE}(X)$ に入るから、$\mathcal{N}:=\mathcal{L}^{\otimes b}\otimes\mathcal{H}^{\otimes(-a)}$ は nef である。lem-kleiman-nef-plus-ample(指数を $1$ と $a$ にとる)により $\mathcal{N}\otimes\mathcal{H}^{\otimes a}\cong\mathcal{L}^{\otimes b}$ は豊富であり、豊富な可逆層 の命題「テンソル積と冪」により $\mathcal{L}$ も豊富である。$\square$
$S$ のコンパクト性には、$N_1(X)_{\mathbb{R}}$ が有限次元であること(lem-kleiman-duality)と、錐の閉包をとっていることを使っている。
$\operatorname{Nef}(X)\subset N^1(X)_{\mathbb{R}}$ を nef な類の全体、$\operatorname{Amp}(X)$ を豊富な可逆層の類の正の実数係数の有限和の全体とする。
要点:正値の条件は開であり、有理数の点が稠密なので、その条件をみたす実の類は有理の類の正の結合として書ける。
$\dim X\le0$ なら曲線がなく、$N^1(X)=0$ で主張は明らかである。以下 $\dim X\ge1$ とし、prf-kleiman-main の $S$ を使う。1 の右辺の条件をみたす $D$ の全体を $\mathcal{P}$ とする。$\mathcal{P}=\{D\mid\min_{z\in S}(D\cdot z)>0\}$ であり、$|\min_S(D\cdot z)-\min_S(D'\cdot z)|\le\max_S|((D-D')\cdot z)|$ なので $D\mapsto\min_S(D\cdot z)$ は連続で、$\mathcal{P}$ は開集合である。
1:豊富な可逆層の類は thm-kleiman-main により $\mathcal{P}$ に入り、$\mathcal{P}$ は正の結合で閉じているので $\operatorname{Amp}(X)\subset\mathcal{P}$ である。逆に $D\in\mathcal{P}$ とする。$N^1(X)$ の基底 $e_1,\dots,e_{\rho}$ を固定し、座標を使う。$\mathcal{P}$ は開なので、有理数 $\delta>0$ を $D+[-\delta,\delta]^{\rho}\subset\mathcal{P}$ となるようにとる。有理数の座標をもつ点 $q$ で各座標が $D$ と $\delta/2$ 未満しか違わないものをとると、$D$ は立方体 $q+[-\delta/2,\delta/2]^{\rho}$ に入り、この立方体の頂点(有理数の座標をもつ)はすべて $D+[-\delta,\delta]^{\rho}\subset\mathcal{P}$ に入る。立方体の点は頂点の $0$ 以上の係数の凸結合で書ける(座標ごとに区間の両端の凸結合をとり、積をとる)ので、$D$ は $\mathcal{P}$ の有理点 $v_i$ の正の係数の有限和である。各 $v_i$ の正の整数倍 $m_iv_i$ は $N^1(X)$ の元で、ある可逆層 $\mathcal{L}_i$ の類であり、$\mathcal{L}_i$ は $\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ の上で正だから thm-kleiman-main により豊富である。よって $D\in\operatorname{Amp}(X)$ である。
2:1 により $\operatorname{Amp}(X)=\mathcal{P}$ で、これは開である。曲線の類は $\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ に入るので $\mathcal{P}\subset\operatorname{Nef}(X)$、したがって $\mathcal{P}$ は $\operatorname{Nef}(X)$ の内部に含まれる。逆に $D$ が $\operatorname{Nef}(X)$ の内点なら、十分小さい $\varepsilon>0$ で $D-\varepsilon\mathcal{H}$ は nef であり、$z\in\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ について $(D\cdot z)\ge\varepsilon(\mathcal{H}\cdot z)>0$($\mathcal{H}\in\mathcal{P}$)なので $D\in\mathcal{P}$ である。
3:$\operatorname{Nef}(X)$ は閉半空間 $\{(D\cdot C)\ge0\}$ の共通部分なので閉じており、$\operatorname{Amp}(X)\subset\operatorname{Nef}(X)$ からその閉包も $\operatorname{Nef}(X)$ に入る。逆に $D$ が nef なら、$\varepsilon>0$ について $D+\varepsilon\mathcal{H}$ は $\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ の上で正だから $\operatorname{Amp}(X)$ に入り、$\varepsilon\to0$ で $D$ に収束する。$\square$
2 から、豊富な類 $D$ と任意の類 $E$ について、十分小さい $\varepsilon>0$ で $D+\varepsilon E$ は豊富である。また、豊富であることが数値的同値類だけで決まること(中井–Moishezonの判定法 の系「豊富性は数値的な性質である」)も、thm-kleiman-main から改めて読み取れる。この 2 つの錐の記述は Vak25 Theorem 20.4.7(p. 592)にある。
$X=\mathbb{P}^n_k$($n\ge1$)では $\operatorname{Pic}(X)=\mathbb{Z}\,[\mathcal{O}(1)]$ で(射影空間の因子類群)、$N^1(X)=\mathbb{Z}$ である。直線 $\ell$ について $(\mathcal{O}(1)\cdot\ell)=1$、次数 $e$ の曲線 $C$ について $(\mathcal{O}(1)\cdot C)=e$ なので、lem-kleiman-duality により $N_1(X)_{\mathbb{R}}=\mathbb{R}[\ell]$、$[C]=e[\ell]$ であり、$\overline{NE}(X)=NE(X)=\mathbb{R}_{\ge0}[\ell]$ である。よって $\mathcal{O}(d)$ が豊富であることと $d>0$ は同値であり、$\mathcal{O}(d)$ が nef であることと $d\ge0$ は同値である。
$\pi\colon X\to B$ を滑らかな射影曲線の上の幾何的線織曲面とし、記号は 錐定理 の節「$\mathbb{P}^1$ 束の曲線の錐」に従う($C_0$ は切断、$f$ はファイバーの類、$e=-C_0^2$)。$e\ge0$ なら、同記事の定理「$e\ge0$ の線織曲面の錐」により $\overline{NE}(X)=\mathbb{R}_{\ge0}[C_0]+\mathbb{R}_{\ge0}[f]$ である。2 本の半直線が張る錐の $0$ でない元は $s[C_0]+u[f]$($s,u\ge0$、$(s,u)\ne(0,0)$)なので、因子 $D\equiv aC_0+bf$ がその上で正であることは、$D\cdot C_0=b-ae>0$ かつ $D\cdot f=a>0$ と同値である。したがって thm-kleiman-main により
$$
D\equiv aC_0+bf\ \text{が豊富}\iff a>0\ \text{かつ}\ b>ae
$$
であり、同じく $D$ が nef であることは $a\ge0$ かつ $b\ge ae$ と同値である。これは Har77 V 命題 2.20(p. 382)の (b) を、錐の計算から導いたものである(同書は中井–Moishezon の判定法で示している)。$B=\mathbb{P}^1$、$e=0$ の場合が $\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1$ で、$\mathcal{O}(a,b)$ が豊富であることは $a,b>0$ と同値である(中井–Moishezonの判定法 の例「射影直線の積」)。
$k=\mathbb{C}$、$E$ を楕円曲線、$X=E\times E$ とし、$H$ を豊富な因子とする。$X$ は滑らかな射影曲面なので $N^1(X)_{\mathbb{R}}=N_1(X)_{\mathbb{R}}$ と同一視でき、錐定理 の例「アーベル曲面の丸い錐」により
$$
\overline{NE}(X)=\{z\mid z^2\ge0,\ H\cdot z\ge0\}
$$
である。このとき、因子 $D$ が豊富であることは $D^2>0$ かつ $D\cdot H>0$ と同値である。とくに豊富錐は円錐の内部 $\{z^2>0,\ H\cdot z>0\}$ で、$\rho(X)\ge3$(同記事の例による)なので、その閉包は有限個の半直線では張られない。
錐定理 の例「アーベル曲面の丸い錐」の証明と同じく、Hodge 指数定理により $e_0:=H/\sqrt{H^2}$ と $H$ に直交する部分空間の正規直交基底をとって $u=u_0e_0+u'$ と書くと、$u\cdot v=u_0v_0-\langle u',v'\rangle$ であり、$\overline{NE}(X)=\{u_0\ge|u'|\}$ である。$z\in\overline{NE}(X)$ で $z_0=0$ なら $z'=0$ なので、$0$ でない $z$ では $z_0>0$ である。$D=d_0e_0+d'$ とする。$d_0>|d'|$ なら、$0$ でない $z\in\overline{NE}(X)$ について $D\cdot z\ge d_0z_0-|d'||z'|\ge(d_0-|d'|)z_0>0$ である。逆に $D$ が $\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ の上で正なら、$z=e_0+w$($d'\ne0$ なら $w=d'/|d'|$、$d'=0$ なら $w=0$)は $\overline{NE}(X)$ の $0$ でない元で、$D\cdot z=d_0-|d'|>0$ である。$d_0>|d'|$ は $D^2=d_0^2-|d'|^2>0$ かつ $D\cdot H=d_0\sqrt{H^2}>0$ と同値なので、thm-kleiman-main から主張が従う。$\square$
非特異射影曲面 $X$ と因子 $D$ で、すべての曲線 $C$ について $D\cdot C>0$ だが $D^2=0$ となるものが存在する(Mumford の例。Har77 V 例 1.10.1(p. 366)がこの例の存在を述べている。この記事では構成を述べない)。$D^2=0$ なので $D$ は豊富でない(中井–Moishezonの判定法 の補題「豊富な可逆層の交叉数は正」)。一方 $NE(X)$ の $0$ でない元 $\sum a_i[C_i]$ はある $a_i>0$ をもつので、$D$ は $NE(X)\setminus\{0\}$ の上で正である。thm-kleiman-main により $D\cdot z\le0$ となる $z\in\overline{NE}(X)\setminus\{0\}$ があり、$D$ は nef なので $D\cdot z=0$ である。この $z$ は $NE(X)$ に入らない。したがってこの曲面では $NE(X)$ は閉じておらず、判定法の閉包は省けない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| thm-kleiman-main の閉包($\overline{NE}(X)$ を $NE(X)$ に替える) | Mumford の例(ex-kleiman-mumford) | 十分性($NE(X)\setminus\{0\}$ の上で正だが、豊富でない) |
| thm-kleiman-main の不等号が真であること($\ge0$ に弱める) | $\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1$ 上の $\mathcal{O}(1,0)$ | 十分性(nef だが、ファイバー $F_P=\{P\}\times\mathbb{P}^1$ との交叉数が $0$ で、豊富でない) |
| thm-kleiman-nef の nef 性 | $\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1$ 上の $\mathcal{O}(1,-1)$ | $(\mathcal{L}^{2})\ge0$(実際は $(\mathcal{L}^{2})=-2$) |
| lem-kleiman-nef-plus-ample の $a\ge1$($a=0$ に替える) | $\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1$ 上の $\mathcal{N}=\mathcal{O}(1,0)$、$b=1$ | 豊富であること($\mathcal{N}$ 自身は豊富でない) |
$\mathbb{P}^1\times\mathbb{P}^1$ の記号は 中井–Moishezonの判定法 の例「射影直線の積」に従う:$(\mathcal{O}(a,b)\cdot F_P)=b$、$(\mathcal{O}(a,b)\cdot G_Q)=a$($G_Q=\mathbb{P}^1\times\{Q\}$)、$(\mathcal{O}(a,b)^{2})=2ab$ である。2 行目と 4 行目の $\mathcal{O}(1,0)$ は大域切断で生成されるので lem-kleiman-gg により nef であり、$F_P$ との交叉数が $0$ なので thm-kleiman-main の必要性により豊富でない。3 行目の $\mathcal{O}(1,-1)$ は $F_P$ との交叉数が $-1$ なので nef でなく、$(\mathcal{O}(1,-1)^{2})=2\cdot1\cdot(-1)=-2<0$ である。
thm-kleiman-main の射影性の仮定は外せない(Fuj10 Theorem 4.10(p. 13)のあとの注意。この記事では例を述べない)。$X$ が固有だが射影的でないなら豊富な可逆層は存在しないが、$0$ は nef なので、cor-kleiman-cones の 3 は成り立たない(Vak25 p. 592 の注意)。一方、Kleiman の定理(thm-kleiman-nef の 1)は $X$ が固有な場合にも成り立つ(Vak25 Theorem 20.4.6 のあとの注意が Kleiman の原論文を挙げている。この記事では証明しない)。$\mathbb{C}$ 上の代数的スキームの間の射影射 $\pi\colon X\to S$ については、$\pi$ で点に写る曲線が張る相対的な錐 $\overline{NE}(X/S)$ を使って、$\mathcal{L}$ が $\pi$ に関して豊富であることと $\overline{NE}(X/S)\setminus\{0\}$ の上で正であることが同値になる(Fuj10 Theorem 4.10。この記事では証明しない)。
錐定理は、$\overline{NE}(X)$ の $K_X$ 負の側が有理曲線の類の端射線で生成されることを述べる。その記事では、豊富な因子 $H$ について切り口 $\{z\in\overline{NE}(X)\mid H\cdot z\le1\}$ がコンパクトであること(同記事の補題「錐の切り口のコンパクト性」)を、この記事の thm-kleiman-main から導いている。
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