Cottonテンソル(Cotton tensor)とは、次元 $n\ge3$ の擬リーマン多様体の Schouten テンソル $P$ の共変微分を反対称化した $(0,3)$ 型テンソル場 $C_{ijk}=\nabla_kP_{ij}-\nabla_jP_{ik}$ である。どの 2 つの添字で縮約しても $0$ になり、Weyl テンソルの発散は $-(n-3)C$ に等しい。計量を $e^{2\rho}g$ に変えたときの変化は Weyl テンソルを含む項だけなので、3 次元では共形不変である。局所共形平坦であることは $W\equiv0$ かつ $C\equiv0$ と同値であり(Weyl–Schouten の定理)、Weyl テンソルがいつも $0$ になる 3 次元では、Cotton テンソルの消滅が局所共形平坦性の判定条件になる。
前提知識: Weylテンソル, 共形変換, リッチの恒等式と可積分条件, Riemann曲率テンソル
Cottonテンソル(Cotton tensor)は、次元 $n\ge3$ の擬リーマン多様体の Schouten テンソル $P$ の共変微分を反対称化した $(0,3)$ 型テンソル場である。Weylテンソル は 3 次元では恒等的に $0$ になり、共形平坦性について何も教えない。その代わりを務めるのが Cotton テンソルで、3 次元では計量を正の関数倍しても変わらず、局所共形平坦であることと Cotton テンソルが恒等的に $0$ であることが同値になる(Weyl–Schouten の定理)。
この記事では、Cotton テンソルの対称性と跡が $0$ であること、Weyl テンソルの発散との関係、共形変換による変化の公式を証明し、それらを使って Weyl–Schouten の定理を全次元 $n\ge3$ で証明する。証明の中心は、共形因子を求める過剰決定な方程式の可積分条件を リッチの恒等式と可積分条件 の定理で調べることにある。
記法は Weylテンソル に従う。$(M,g)$ を $n\ge3$ 次元の擬リーマン多様体、$\nabla$ をそのリーマン接続、$R(X,Y)Z=\nabla_X\nabla_YZ-\nabla_Y\nabla_XZ-\nabla_{[X,Y]}Z$、$\mathrm{Rm}(X,Y,Z,U):=g(R(Z,U)Y,X)$ とし、$\odot$ は Kulkarni–Nomizu 積、$\mathrm{Ric}$ と $S$ はリッチテンソルとスカラー曲率である。Schouten テンソルと Weyl テンソルは
$$
P=\frac1{n-2}\Bigl(\mathrm{Ric}-\frac S{2(n-1)}\,g\Bigr),\qquad W=\mathrm{Rm}-P\odot g
$$
であり、$\mathrm{Ric}=(n-2)P+(\operatorname{tr}_gP)\,g$、$\operatorname{tr}_gP=\frac S{2(n-1)}$ が成り立つ(Weylテンソル の定理「Ricci 分解」の証明)。1 次微分形式 $\omega$ に対し $g(\omega^\sharp,\cdot)=\omega$ となるベクトルを $\omega^\sharp$、$|\omega|^2:=g(\omega^\sharp,\omega^\sharp)$ と書く。
対称な $(0,2)$ 型テンソル場 $Q$ に対し
$$
(d^\nabla Q)(X,Y;Z):=(\nabla_XQ)(Y,Z)-(\nabla_YQ)(X,Z)
$$
とおく($Q$ を $T^*M$ に値をもつ 1 次微分形式とみたときの外共変微分)。$d^\nabla Q$ は $X,Y$ について反対称な $(0,3)$ 型テンソル場である。
$n\ge3$ 次元の擬リーマン多様体 $(M,g)$ の Cottonテンソル $C$ を
$$
C(X,Y,Z):=(\nabla_ZP)(X,Y)-(\nabla_YP)(X,Z)
$$
で定める。すなわち $C(X,Y,Z)=(d^\nabla P)(Z,Y;X)$ である。局所座標の成分では $C_{ijk}=\nabla_kP_{ij}-\nabla_jP_{ik}$ である。
$n=3$ では $P=\mathrm{Ric}-\frac S4\,g$ なので、Cotton テンソルはリッチテンソルとスカラー曲率の 1 階微分だけで書ける:$C(X,Y,Z)=(\nabla_Z\mathrm{Ric})(X,Y)-(\nabla_Y\mathrm{Ric})(X,Z)-\frac14\bigl((ZS)g(X,Y)-(YS)g(X,Z)\bigr)$。$P$ が平行($\nabla P=0$)なら $C=0$ である。
$n\ge3$ とする。
1 は定義から直ちにわかる。2:$P$ の対称性を使って 6 項を並べると
$$
(\nabla_ZP)(X,Y)-(\nabla_YP)(X,Z)+(\nabla_XP)(Y,Z)-(\nabla_ZP)(Y,X)+(\nabla_YP)(Z,X)-(\nabla_XP)(Z,Y)=0
$$
である。3:$j,k$ の縮約は 1 から $0$ である。縮約された第 2 Bianchi 恒等式(リッチテンソル の命題「縮約された第2 Bianchi 恒等式」)$\nabla_aR^a{}_{ijk}=\nabla_jR_{ki}-\nabla_kR_{ji}$ の $i,k$ を縮約すると、$g^{ik}R^a{}_{ijk}=R_j{}^a$(曲率テンソルの対称性)から $\nabla_aR_j{}^a=\nabla_jS-\nabla^aR_{ja}$、すなわち $\nabla^aR_{aj}=\frac12\nabla_jS$ を得る。よって $J:=\operatorname{tr}_gP=\frac S{2(n-1)}$ とおくと
$$
\nabla^aP_{aj}=\frac1{n-2}\Bigl(\frac12-\frac1{2(n-1)}\Bigr)\nabla_jS=\frac{\nabla_jS}{2(n-1)}=\nabla_jJ
$$
である。したがって $g^{ij}C_{ijk}=\nabla_kJ-\nabla^iP_{ik}=0$、$g^{ik}C_{ijk}=\nabla^iP_{ij}-\nabla_jJ=0$ である。$\square$
$n\ge3$ のとき、Weyl テンソルの第 1 添字についての発散は
$$
\nabla^aW_{aijk}=-(n-3)\,C_{ijk}
$$
を満たす。
$\mathrm{Rm}_{aijk}=R_{aijk}$ であり、縮約された第 2 Bianchi 恒等式を添字を下げて書くと $\nabla^aR_{aijk}=\nabla_jR_{ik}-\nabla_kR_{ij}$ である。$\mathrm{Ric}=(n-2)P+Jg$ を代入すると
$$
\nabla^aR_{aijk}=(n-2)(\nabla_jP_{ik}-\nabla_kP_{ij})+(\nabla_jJ)g_{ik}-(\nabla_kJ)g_{ij}
$$
である。一方 $(P\odot g)_{aijk}=P_{aj}g_{ik}+P_{ik}g_{aj}-P_{ak}g_{ij}-P_{ij}g_{ak}$ なので、prf-cotton-algebraic の $\nabla^aP_{aj}=\nabla_jJ$ を使って
$$
\nabla^a(P\odot g)_{aijk}=(\nabla_jJ)g_{ik}+\nabla_jP_{ik}-(\nabla_kJ)g_{ij}-\nabla_kP_{ij}
$$
である。引くと $\nabla^aW_{aijk}=(n-3)(\nabla_jP_{ik}-\nabla_kP_{ij})=-(n-3)C_{ijk}$ を得る。Lee18 Proposition 7.32(p. 219)の $\operatorname{tr}_g(\nabla W)=(n-3)C$ と右辺の符号が逆なのは、rem-cotton-convention の Weyl テンソルの流儀の違いによる。$\square$
$n\ge4$ で $W\equiv0$ なら $C\equiv0$ である。
prop-cotton-divergence から直ちに従う。$n=3$ では Weylテンソル の定理「3 次元の曲率テンソル」により $W\equiv0$ であり、この系に当たる主張は何もいわない。3 次元で曲率の情報を担うのは Cotton テンソルである。
$\rho$ を $M$ 上の滑らかな関数、$\tilde g:=e^{2\rho}g$ とし、$\tilde g$ の量にはチルダを付ける。Weylテンソル の節「共形変換による変化」と同じく、$G:=\operatorname{grad}\rho$、$|d\rho|^2:=g(G,G)$、
$$
A:=\nabla^2\rho-d\rho\otimes d\rho+\frac12|d\rho|^2\,g
$$
とおく。そこで示されているとおり $\tilde P=P-A$、$\tilde W=e^{2\rho}W$ である(定理「Weyl テンソルの共形不変性」)。
対称な $(0,2)$ 型テンソル場 $Q$ と 1 次微分形式 $\omega$ に対し、対称な $(0,2)$ 型テンソル場
$$
\Phi_Q(\omega):=Q+\omega\otimes\omega-\frac12|\omega|^2\,g
$$
を考える。$A$ の定義は $\nabla^2\rho=\Phi_A(d\rho)$ と書ける。以下の計算はすべてこの形の式の微分の計算に帰着する。
$Q$ を対称な $(0,2)$ 型テンソル場、$\omega$ を点 $p$ の近傍で定義された 1 次微分形式とし、$p$ においてすべての $X,Y$ について $(\nabla_X\omega)(Y)=\Phi_Q(\omega)(X,Y)$ が成り立つとする。このとき $p$ において
$$
(\nabla_X\Phi_Q(\omega))(Y,Z)-(\nabla_Y\Phi_Q(\omega))(X,Z)=(d^\nabla Q)(X,Y;Z)-(Q\odot g)(\omega^\sharp,Z,X,Y)
$$
が成り立つ。
$\nabla g=0$ と $X|\omega|^2=2(\nabla_X\omega)(\omega^\sharp)$ から
$$
(\nabla_X\Phi_Q(\omega))(Y,Z)=(\nabla_XQ)(Y,Z)+(\nabla_X\omega)(Y)\,\omega(Z)+\omega(Y)\,(\nabla_X\omega)(Z)-(\nabla_X\omega)(\omega^\sharp)\,g(Y,Z)
$$
である。$p$ では仮定から $(\nabla_X\omega)(Y)=Q(X,Y)+\omega(X)\omega(Y)-\frac12|\omega|^2g(X,Y)$、$(\nabla_X\omega)(\omega^\sharp)=Q(X,\omega^\sharp)+\frac12|\omega|^2\omega(X)$ である。これらを代入して $X,Y$ を入れ替えたものを引くと、$X,Y$ について対称な項($Q(X,Y)\omega(Z)$、$\omega(X)\omega(Y)\omega(Z)$、$|\omega|^2g(X,Y)\omega(Z)$ を含む項)は消え、$|\omega|^2$ を含む残りの 4 項も打ち消し合って
$$
(d^\nabla Q)(X,Y;Z)+\omega(Y)Q(X,Z)-\omega(X)Q(Y,Z)-Q(X,\omega^\sharp)g(Y,Z)+Q(Y,\omega^\sharp)g(X,Z)
$$
が残る。
$|\omega|^2$ を含む項は、第 3 項から $-\frac12|\omega|^2\omega(Y)g(X,Z)$、第 4 項から $-\frac12|\omega|^2\omega(X)g(Y,Z)$ で、$X,Y$ を入れ替えて引くと $-\frac12|\omega|^2\bigl(\omega(Y)g(X,Z)-\omega(X)g(Y,Z)\bigr)-\frac12|\omega|^2\bigl(\omega(X)g(Y,Z)-\omega(Y)g(X,Z)\bigr)=0$ である。また Kulkarni–Nomizu 積の定義から
$$(Q\odot g)(\omega^\sharp,Z,X,Y)=Q(X,\omega^\sharp)g(Y,Z)+\omega(X)Q(Y,Z)-Q(Y,\omega^\sharp)g(X,Z)-\omega(Y)Q(X,Z)$$
であり、残った 4 項はこの $-1$ 倍である。
任意の滑らかな関数 $\rho$ に対し
$$
(d^\nabla A)(X,Y;Z)=(A\odot g)(G,Z,X,Y)-\mathrm{Rm}(G,Z,X,Y)
$$
が成り立つ。
$\omega:=d\rho$ とおくと $\omega^\sharp=G$ で、各点で $(\nabla_X\omega)(Y)=\nabla^2\rho(X,Y)=\Phi_A(\omega)(X,Y)$ である。よって lem-cotton-commutator の左辺は $(\nabla^2_{X,Y}\omega-\nabla^2_{Y,X}\omega)(Z)$ に等しく、リッチの恒等式(Riemann曲率テンソル の命題「リッチの恒等式」の 3)によりこれは $-\omega(R(X,Y)Z)=-g(R(X,Y)Z,G)=-\mathrm{Rm}(G,Z,X,Y)$ である。lem-cotton-commutator の右辺と等置すればよい。$\square$
$n\ge3$、$\tilde g=e^{2\rho}g$ のとき
$$
\tilde C(X,Y,Z)=C(X,Y,Z)-W(G,X,Y,Z)
$$
である。とくに $n=3$ では $\tilde C=C$ であり、$(0,3)$ 型テンソル場としての Cotton テンソルは共形変換で変わらない。
共形変換 の命題「共形変換によるリーマン接続の変化」により $\tilde\nabla_XY=\nabla_XY+D(X,Y)$、$D(X,Y)=(X\rho)Y+(Y\rho)X-g(X,Y)G$ である。対称な $Q$ について $(\tilde\nabla_XQ)(Y,Z)=(\nabla_XQ)(Y,Z)-Q(D(X,Y),Z)-Q(Y,D(X,Z))$ であり、$X,Y$ を入れ替えて引くと $Q(D(X,Y),Z)$ の項は $D$ の対称性で消える。残りを $D$ の定義で展開すると
$$
(d^{\tilde\nabla}Q)(X,Y;Z)=(d^\nabla Q)(X,Y;Z)-(X\rho)Q(Y,Z)+(Y\rho)Q(X,Z)+g(X,Z)Q(Y,G)-g(Y,Z)Q(X,G)
$$
となり、後ろの 4 項は prf-cotton-commutator と同じ計算で $-(Q\odot g)(G,Z,X,Y)$ に等しい。$Q=\tilde P=P-A$ を代入し、prop-cotton-identity と $\mathrm{Rm}=W+P\odot g$ を使うと
$$
(d^{\tilde\nabla}\tilde P)(X,Y;Z)=(d^\nabla P)(X,Y;Z)-(P\odot g)(G,Z,X,Y)+\mathrm{Rm}(G,Z,X,Y)=(d^\nabla P)(X,Y;Z)+W(G,Z,X,Y)
$$
である。$C(Z,Y,X)=(d^\nabla P)(X,Y;Z)$ なので $\tilde C(Z,Y,X)=C(Z,Y,X)+W(G,Z,X,Y)$、文字を付け替えて $W$ の後ろの 2 つの引数の反対称性を使えば主張を得る。$n=3$ では $W=0$(Weylテンソル の定理「3 次元の曲率テンソル」)なので $\tilde C=C$ である。$\square$
$n\ge4$ では Cotton テンソルは一般に共形不変でない(ex-cotton-s2s2)。$W\equiv0$ の計量どうしでは $\tilde C=C$ である。
局所共形平坦の定義は 共形変換 の定義「共形平坦」による:各点の近傍 $U$ と $U$ 上の関数 $\rho$ で、$e^{2\rho}g$ の曲率テンソルが $U$ 上で恒等的に $0$ になるものがとれることをいう。
$n\ge3$ 次元の擬リーマン多様体 $(M,g)$ について、次は同値である。
1 ⇒ 2. $p$ の近傍 $U$ と $\rho$ で $\tilde g=e^{2\rho}g$ が平坦なものをとる。$\widetilde{\mathrm{Rm}}=0=0+0\odot\tilde g$ なので、Ricci 分解の一意性(Weylテンソル の定理「Ricci 分解」の 2)から $\tilde W=0$、$\tilde P=0$ であり、したがって $\tilde C=0$ である。$W=e^{-2\rho}\tilde W=0$ で、thm-cotton-conformal から $C=\tilde C+W(G,\cdot,\cdot,\cdot)=0$ である。
2 ⇒ 1. $\tilde P=P-A=0$ となる $\rho$ を探す。$\omega=d\rho$ と書けば、これは $\nabla^2\rho=\Phi_P(d\rho)$、すなわち $\omega$ についての方程式
$$
\nabla_X\omega=\Phi_P(\omega)(X,\cdot)\qquad(X\in\mathfrak X(M))
$$
に $\omega$ が閉形式であるという条件を付けたものである。この 1 次微分形式 $\omega$ についての方程式を方程式 (E) と呼ぶ。
(i) 方程式 (E) は完全積分可能である. リッチの恒等式と可積分条件 の定理「テンソル方程式の可積分条件」を $F(X;\omega):=\Phi_P(\omega)(X,\cdot)$ に当てる。点 $p$、$v\in T_p^*M$ と、$\omega(p)=v$ かつ $p$ で $(\nabla\omega)_p=\Phi_P(v)$ となる $\omega$ をとり、$H(Y):=\Phi_P(\omega)(Y,\cdot)$ とおく。lem-cotton-commutator から、$p$ において
$$
\bigl((\nabla_XH)(Y)-(\nabla_YH)(X)\bigr)(Z)=(d^\nabla P)(X,Y;Z)-(P\odot g)(v^\sharp,Z,X,Y)
$$
である。一方 $(R(X,Y)\omega)(Z)=-\omega(R(X,Y)Z)=-\mathrm{Rm}(v^\sharp,Z,X,Y)=-W(v^\sharp,Z,X,Y)-(P\odot g)(v^\sharp,Z,X,Y)$ である。$d^\nabla P(X,Y;Z)=C(Z,Y,X)$ なので、可積分条件は
$$
C(Z,Y,X)+W(v^\sharp,Z,X,Y)=0\qquad(\text{すべての }p,\ v,\ X,Y,Z)
$$
であり、$W\equiv0$、$C\equiv0$ のもとで成り立つ。よって方程式 (E) は完全積分可能である。
(ii) 解は閉形式である. $p$ の近傍で方程式 (E) の解 $\omega$ を 1 つとる(たとえば $\omega(p)=0$ のもの)。捩れがないので $d\omega(X,Y)=X(\omega(Y))-Y(\omega(X))-\omega([X,Y])=(\nabla_X\omega)(Y)-(\nabla_Y\omega)(X)$ であり、$\Phi_P(\omega)$ が対称なので $d\omega=0$ である。Poincaréの補題 により、$p$ を含む座標球の上で $\omega=d\rho$ となる $\rho$ がある。
(iii) 平坦化. この $\rho$ について $\nabla^2\rho=\Phi_P(d\rho)$ なので $A=\Phi_P(d\rho)-d\rho\otimes d\rho+\frac12|d\rho|^2g=P$、すなわち $\tilde P=P-A=0$ である。また $\tilde W=e^{2\rho}W=0$ である。Ricci 分解から $\widetilde{\mathrm{Rm}}=\tilde W+\tilde P\odot\tilde g=0$ となり、$e^{2\rho}g$ はその座標球の上で平坦である。
最後の主張:$n=3$ では $W\equiv0$ がいつも成り立つ。$n\ge4$ では $W\equiv0$ から $C\equiv0$ が従う(cor-cotton-weyl-zero)。$\square$
$n=3$ と $n\ge4$ に分けた形が Lee18 Theorem 7.37(p. 220)であり、Lee も同じ方程式 (E) の可積分条件から証明している(Lemma 7.38、p. 221)。共形不変性の $n=3$ の場合は Lee18 Proposition 7.34(p. 219。証明は Problem 7-10、p. 223)である。上の証明では、可積分条件が「すべての初期値 $v$ について」要求されるので、$v=0$ から $C\equiv0$ が、$v$ を動かして $W\equiv0$ が、それぞれ必要になることも読み取れる。2 次元では Schouten テンソルが定義されず、Riemann 計量は等温座標、Lorentz 計量は光的座標によって、いつでも局所共形平坦である。
$\nabla P=0$ なら $C=0$ である。$n\ge3$ の定曲率空間($P=\frac K2g$)、より一般に Einstein 計量 $\mathrm{Ric}=\lambda g$($\lambda$ は定数、$P=\frac\lambda{2(n-1)}g$)はこの場合に当たる。積多様体 $S^2\times S^2$、$S^2\times H^2$、円柱 $\mathbb R\times S^{n-1}$ も、Weylテンソル の例「球面の積」「円柱 $\mathbb R\times S^{n-1}$」で計算されている $P$ が因子の計量の定数係数の和なので $\nabla P=0$、したがって $C=0$ である(積多様体のリーマン接続は因子の接続の和で(Riemann曲率テンソル の命題「積多様体の曲率」)、因子の計量の引き戻しは平行である)。
$(\Sigma,h)$ を Gauss 曲率 $K$ の 2 次元リーマン多様体、$\varepsilon=\pm1$ とし、$M=\mathbb R\times\Sigma$ に $g=\varepsilon\,dt^2+h$ を入れる($K$ は射影で $M$ 上の関数とみる。$\varepsilon=1$ ならリーマン計量、$\varepsilon=-1$ なら Lorentz 計量)。リッチテンソル の命題「積多様体のリッチテンソル」と例「2次元多様体」から $\mathrm{Ric}=Kh$、$S=2K$ なので
$$
P=\mathrm{Ric}-\frac S4\,g=\frac K2\,(h-\varepsilon\,dt^2)
$$
である(積の接続と曲率の公式は、Koszul の公式から $\varepsilon=-1$ でも同じ計算で成り立つ)。$h$ と $dt^2$(の引き戻し)は平行なので $\nabla_ZP=\frac12(ZK)(h-\varepsilon\,dt^2)$ であり、$e$ を $\Sigma$ に接するベクトルとすると
$$
C(\partial_t,\partial_t,e)=(\nabla_eP)(\partial_t,\partial_t)-(\nabla_{\partial_t}P)(\partial_t,e)=-\frac\varepsilon2\,eK
$$
である。したがって $K$ が定数でない点の近くで $C\ne0$ であり、thm-cotton-weyl-schouten により $\mathbb R\times\Sigma$ はそこで局所共形平坦でない。たとえば $\Sigma$ を $\mathbb R^3$ の放物面 $z=x^2+y^2$(誘導計量)にとると、Gauss曲率 の例「平面・球面・円柱・グラフ」の公式から $K=4/(1+4x^2+4y^2)^2$ で、定数でない。逆に $\Sigma=S^2$、$\varepsilon=1$ なら $C=0$ で、これは Weylテンソル の例「円柱 $\mathbb R\times S^{n-1}$」($n=3$)で見た局所共形平坦性と合う。
$S^2\times S^2$ では ex-cotton-parallel より $C=0$ である。一方 Weylテンソル の例「球面の積」により、$e_1$ を第 1 因子、$e_3$ を第 2 因子の単位接ベクトルとすると $W(e_1,e_3,e_1,e_3)=-\frac13$ である。点 $p$ の近くで $\operatorname{grad}\rho=e_1$($p$ において)となる $\rho$ をとり $\tilde g=e^{2\rho}g$ とすると、thm-cotton-conformal から
$$
\tilde C_p(e_3,e_1,e_3)=0-W(e_1,e_3,e_1,e_3)=\frac13\ne0
$$
である。よって $n\ge4$ では Cotton テンソルは共形不変でない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $n=3$(共形不変性の主張で) | $S^2\times S^2$ と $e^{2\rho}g$(ex-cotton-s2s2) | $\tilde C=C$ |
| $C\equiv0$($n=3$ の定理で) | $\mathbb R\times$ 放物面(ex-cotton-product) | 局所共形平坦($W\equiv0$ は成り立つ) |
| $W\equiv0$($n\ge4$ の定理で、$C\equiv0$ は保つ) | $S^2\times S^2$ | 局所共形平坦($C\equiv0$ は成り立つ) |
| 局所的な主張 | 球面 $S^3$ | $C\equiv0$ なら大域的に共形平坦 |
2 行目では $n=3$ なので $W\equiv0$ は自動的に成り立ち、外しているのは $C\equiv0$ だけである。3 行目の $S^2\times S^2$ は $W\ne0$(Weylテンソル の例「球面の積」)なので、thm-cotton-weyl-schouten の 1 ⇒ 2 により局所共形平坦でない。4 行目:$S^3$ は定曲率なので $C\equiv0$ で局所共形平坦だが、$S^3$ 全体で平坦になる共形因子はない(Weylテンソル の例「表の反例の確かめ」の 3 行目と同じ議論)。
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