特定点位相

同義語:particular point topologyincluded point topology

概要

特定点位相(particular point topology)とは、集合 $X$ の一点 $p$ を固定し、空集合と $p$ を含む部分集合の全体を開集合とする位相である。$p$ を含む集合の閉包は $X$、含まない集合は閉集合となり、収束・分離公理・コンパクト性・可算性が台集合の大きさだけで決まる。$|X|\ge2$ なら $T_0$ だが $T_1$ でなく、弧状連結だが弧連結でなく、どの点を止めても可縮である。Hausdorff 性を外すと崩れる定理の反例として使われ、任意の空間の閉拡大へ一般化される。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 位相空間, 閉包, 分離公理, コンパクト空間

特定点位相(particular point topology)とは、集合 $X$ の一点 $p$ を固定し、空集合と $p$ を含む部分集合の全体を開集合とする位相である。空でない開集合がすべて $p$ を共有するので、閉包・内部・収束・連結性などがすべて具体的に計算できる。その結果、Hausdorff 性を外すと崩れる多くの定理について、どの仮定が要るのかを一つの空間で確かめられる。たとえば、コンパクト集合が閉とは限らないこと、コンパクト近傍をもつ点がコンパクトな閉包をもつ開近傍をもつとは限らないこと、可分性が部分空間に遺伝しないこと、弧状連結でも弧連結とは限らないことが、この空間で起こる。
以下、記号 $p$ はつねにこの特別な点を表し、$q,r$ は $p$ と異なる点を表す。

定義

一点を含む集合を開集合とする位相

$X$ を空でない集合、$p\in X$ とする。
$$\tau_p:=\{\emptyset\}\cup\{U\subset X\mid p\in U\}$$
を $X$ 上の特定点位相(particular point topology)といい、$p$ をその特定点という。

$\tau_p$ が位相であることは次のように確かめられる。$\emptyset$ と $X$ は $\tau_p$ に属する。$\tau_p$ の元の族の合併は、空でない元を一つでも含めば $p$ を含み、そうでなければ空集合である。二つの元の共通部分は、両方が空でなければ $p$ を含み、そうでなければ空集合である。
$X=\{p,q\}$ が二点のとき、開集合は $\emptyset,\{p\},X$ の三つであり、$p\mapsto1$、$q\mapsto0$ で Sierpiński空間 と同相になる。$X$ が一点のときは離散空間である。本記事の主張の多くは、$X$ が一点か、二点か、三点以上か、有限か無限か、可算か非可算かで成否が分かれるので、仮定にその区別を明記する。

直感

$p$ は「どの開集合にも入り込む点」である。空でない開集合が必ず $p$ を含むので、どの点の近くにも $p$ がいて、$p$ だけで $X$ 全体が稠密になる。逆に $p$ を含まない集合はどれも閉集合で、その内部は空である。点 $q\neq p$ の近傍としていちばん小さいものは $\{p,q\}$ で、$q$ は $p$ とだけ結びついている。この「各点が $p$ にだけつながった星形」の構造から、以下のほとんどの性質が一行の計算で決まる。

基本の計算

最小開近傍・閉包・内部・導集合

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. $p$ を含む最小の開集合は $\{p\}$ であり、$q\neq p$ を含む最小の開集合は $\{p,q\}$ である。
  2. 閉集合は $X$ と、$p$ を含まない部分集合の全体である。
  3. $A\subset X$ について、$p\in A$ なら $\overline{A}=X$、$p\notin A$ なら $\overline{A}=A$ である。
  4. $A\subset X$ について、$p\in A$ なら $\operatorname{int}A=A$、$p\notin A$ なら $\operatorname{int}A=\emptyset$ である。
  5. $A$ の導集合(自分以外の $A$ の点を任意の近傍が含む点の全体)$A'$ は、$p\in A$ なら $X\setminus\{p\}$、$p\notin A$ なら $\emptyset$ である。
  6. $D\subset X$ が稠密であることと $p\in D$ は同値である。とくに空でない開集合はどれも稠密であり、$X$ 以外の閉集合の内部は空である。
  1. $\{p\}$ と $\{p,q\}$ は $p$ を含むので開集合である。$q$ を含む開集合は空でないので $p$ も含み、$\{p,q\}$ を含む。
  2. 補集合が開集合であることは、補集合が $X$ 全体(つまりもとの集合が空)か $p$ を含むことと同値である。後者はもとの集合が $p$ を含まないことである。
  3. $p\in A$ なら、どの点のどの開近傍も空でないので $p$ を含み、$A$ と交わる。よって $\overline{A}=X$ である。$p\notin A$ なら 2 により $A$ 自身が閉集合である。
  4. $p\in A$ なら $A$ は開集合である。$p\notin A$ なら $A$ に含まれる空でない開集合はない。
  5. $p$ は最小開近傍 $\{p\}$ が $A\setminus\{p\}$ と交わらないので、どの $A$ の導集合にも属さない。$q\neq p$ については、最小開近傍 $\{p,q\}$ が $A\setminus\{q\}$ と交わることと $p\in A$ が同値であり、最小開近傍と交われば $q$ のすべての開近傍と交わる。
  6. 3 により、$\overline{D}=X$ と $p\in D$ は同値である($p\notin D$ なら $\overline{D}=D\neq X$)。空でない開集合は $p$ を含むので稠密である。$X$ 以外の閉集合は $p$ を含まないので、4 によりその内部は空である。$\square$

点列や部分集合の「集まり方」も同じ計算から決まる。点列 $(a_n)$ が点 $x$ に収束するとは $x$ の任意の開近傍に有限個を除くすべての項が入ることをいい、$x$ が点列の集積点であるとは $x$ の任意の開近傍に無限個の添字の項が入ることをいう(項の重複は数える)。

点列の収束と集積点の判定

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れ、$(a_n)_{n\ge1}$ を $X$ の点列とする。$q\neq p$ とする。

  1. $a_n\to p$ であることと、有限個を除くすべての $n$ で $a_n=p$ であることは同値である。
  2. $a_n\to q$ であることと、有限個を除くすべての $n$ で $a_n\in\{p,q\}$ であることは同値である。
  3. $p$ が集積点であることと、$a_n=p$ となる $n$ が無限個あることは同値である。
  4. $q$ が集積点であることと、$a_n\in\{p,q\}$ となる $n$ が無限個あることは同値である。

各点の任意の開近傍はその点の最小開近傍を含む(prop-ppt-closure の 1)。したがって、収束・集積の条件を最小開近傍 $\{p\}$、$\{p,q\}$ について確かめれば十分であり、逆に最小開近傍について条件が成り立たなければ収束・集積しない。$\square$

最終的に一定でないのに収束する点列

$X=\{p,q\}$ とし、$a_{2k-1}=p$、$a_{2k}=q$ とする。この点列は最終的に一定ではないが、prop-ppt-sequence の 2 により $q$ に収束する。また定数列 $c_n=p$ は $q$ にも収束し、$q$ はその集積点でもあるが、$q$ は一度も項として現れない。Hausdorff 空間では収束する点列の極限はただ一つで、定数列の集積点はその値だけであるが、この空間ではどちらも成り立たない。
一方、$p$ が点列に有限回しか現れなければ、2 により $q$ に収束する点列は有限個を除いて $q$ に等しく、4 により集積点 $q\neq p$ は無限回現れる値である。

集合の側では、$p$ を含む集合 $Y$ について、$q\neq p$ はすべて $Y$ の集積点(導集合の点)である(prop-ppt-closure の 5)。しかし最小開近傍 $\{p,q\}$ は $Y$ と高々二点でしか交わらないので、$q$ の任意の開近傍が $Y$ の点を無限個含むという意味の $\omega$-集積点にはならない。$p$ についても最小開近傍 $\{p\}$ が一点しか含まないので同様であり、この空間ではどの部分集合も $\omega$-集積点をもたない。とくに $p$ を含む可算無限集合 $S$ の点を重複なく並べた点列は、どの並べ方でも集積点をもたない(prop-ppt-sequence の 3・4 で、該当する添字が高々一つまたは二つしかない)。集合としての集積点と、点列としての集積点は別の概念である(集積点 の例「反例:点列の集積点と値の集合の集積点」)。

分離公理

分離公理の名前は 分離公理 の記事に従う。正則性条件・完全正則性条件・正規性条件・遺伝正規性条件には $T_1$ を含めず、$T_3$・$T_{3.5}$・$T_4$・$T_5$ はそれぞれの条件に $T_1$ を加えたものである。

分離公理の成否

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. $X$ はつねに $T_0$ である。
  2. $|X|\ge2$ なら、$X$ は $T_1$ でも $T_2$ でもなく、正則性条件も完全正則性条件も満たさない。
  3. 正規性条件と遺伝正規性条件は、$|X|\le2$ のとき成り立ち、$|X|\ge3$ のとき成り立たない。
    とくに $|X|\ge2$ なら $X$ は $T_3$ でも $T_4$ でもない($T_1$ でないから)。
  1. 相異なる二点の一方が $p$ なら、開集合 $\{p\}$ が $p$ だけを含む。二点 $x,y$ がどちらも $p$ でなければ、開集合 $\{p,x\}$ は $x$ を含み $y$ を含まない。
  2. $q\neq p$ をとる。$\{p\}$ は $p$ を含まない集合ではないので閉でなく(prop-ppt-closure の 2)、$T_1$ でない(分離公理 の命題「$T_1$ と一点集合の閉性」)。空でない開集合はすべて $p$ を含むので、互いに素な空でない開集合は存在せず、$T_2$ でない。閉集合 $\{q\}$ と点 $p\notin\{q\}$ を含む開集合はどちらも $p$ を含むので、正則性条件も成り立たない。完全正則性条件が成り立つとすると、$f(p)=0$、$f(q)=1$ となる連続関数 $f\colon X\to[0,1]$ があり、$f^{-1}([0,1/2))$ と $f^{-1}((1/2,1])$ が $p$ と $q$ をそれぞれ含む互いに素な空でない開集合になって矛盾する。
  3. $|X|\ge3$ なら $q,r\neq p$ を相異なるようにとれる。$\{q\}$ と $\{r\}$ は互いに素な閉集合であり、また $\overline{\{q\}}\cap\{r\}=\{q\}\cap\{r\}=\emptyset$ なので分離された二集合でもある。それらを含む開集合はどちらも $p$ を含むので、正規性条件も遺伝正規性条件も成り立たない。
    $|X|=1$ なら $X$ は離散空間で、すべての条件が成り立つ。$X=\{p,q\}$ のとき、閉集合は $\emptyset,\{q\},X$ なので、互いに素な閉集合の組は一方が空集合であり、空集合と $X$ という開集合で分けられる。分離された二集合 $A,B$ がともに空でないとすると、一方が $p$ を含めばその閉包は $X$ で他方と交わり、どちらも $p$ を含まなければ両方とも $\{q\}$ で互いに素でない。よって分離された二集合の一方は空であり、同じく開集合で分けられる。$\square$

3 の二点の場合は、互いに素な空でない閉集合の組や、ともに空でない分離された二集合の組が存在しないために条件が成り立つ。$T_1$ を含む 正規空間 の意味では、二点の場合も正規空間ではない。

コンパクト性と可算性

コンパクト集合と被覆の性質

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. $K\subset X$ がコンパクトであることと、$K$ が有限集合であることは同値である。とくに $X$ がコンパクトであることと $X$ が有限であることは同値であり、可算コンパクトであることも $X$ が有限であることと同値である。
  2. $X$ が Lindelöf空間 であることと、$X$ が高々可算であることは同値である。
  3. 各点 $x$ は有限な開近傍($x=p$ なら $\{p\}$、$x\neq p$ なら $\{p,x\}$)をもち、これは $x$ のコンパクト近傍で、$x$ の近傍基をなす。
  4. 各点がコンパクトな閉包をもつ開近傍をもつことと、$X$ が有限であることは同値である。
  5. $X$ が極限点コンパクト(任意の無限部分集合が集積点をもつ)であることと、$X$ が有限であることは同値である。
  6. $X$ 上の連続関数 $f\colon X\to\mathbb{R}$ はすべて定数である。とくに $X$ は 擬コンパクト空間 である。

要点:無限集合 $K$ は、$p$ を避けるなら離散な部分空間、$p$ を含むなら二点集合 $\{p,q\}$ による被覆が有限部分被覆をもたない。6 は空でない開集合がすべて交わることから従う。

詳しい証明を開く

1.有限集合は、相対開被覆から各点を含む元を一つずつ選べば有限部分被覆を得るのでコンパクトである。$K$ を無限集合とする。$p\notin K$ なら、任意の $B\subset K$ について $B=K\cap(\{p\}\cup B)$ は相対開集合なので $K$ は離散であり、一点集合による被覆が有限部分被覆をもたない。$p\in K$ なら、$\{\{p,q\}\mid q\in K\setminus\{p\}\}$ は $K$ を覆う開集合族だが、有限個の合併は有限集合なので $K$ を覆わない。可算コンパクト性については、$X$ が無限なら可算無限集合 $Q\subset X\setminus\{p\}$ をとり、開被覆 $\{X\setminus Q\}\cup\{\{p,q\}\mid q\in Q\}$($X\setminus Q$ は $p$ を含むので開)を考えると、可算だが有限部分被覆をもたない。

2.$X$ が高々可算なら、開被覆から各点を含む元を一つずつ選べば(可算個の選択)高々可算な部分被覆を得る。$X$ が非可算なら、開被覆 $\{\{p,q\}\mid q\neq p\}$ の高々可算な部分族の合併は高々可算なので $X$ を覆わない。

3.$\{p\}$ と $\{p,x\}$ は有限なのでコンパクトな開集合であり、prop-ppt-closure の 1 によりそれぞれの点の最小開近傍だから近傍基をなす。

4.$X$ が有限なら $X$ 自身がコンパクトな閉包をもつ開近傍である。$X$ が無限なら、どの点の開近傍も空でないので $p$ を含み、その閉包は $X$ であって、1 によりコンパクトでない。

5.$X$ が有限なら無限部分集合がないので条件は自明に成り立つ。$X$ が無限なら $A=X\setminus\{p\}$ は無限集合で、$p\notin A$ だから prop-ppt-closure の 5 により $A'=\emptyset$ である。

6.$f(a)\neq f(b)$ とすると、$f(a)$ と $f(b)$ を含む互いに素な開区間の逆像は互いに素な空でない開集合になるが、空でない開集合はどれも $p$ を含むので矛盾する。$\square$

無限集合 $X$ の特定点位相は、3 の意味で各点がコンパクト近傍の基をもつが、4 の意味のコンパクトな閉包をもつ開近傍はもたない。局所コンパクト空間 の記事は、Hausdorff 性のない空間でこの二つの条件が分かれる例としてこの空間を挙げている。また 1 から、コンパクト集合 $\{p\}$ の閉包は $X$ なので、$|X|\ge2$ ならコンパクト集合が閉集合とは限らない。無限集合 $X$ ではメタコンパクトでもない(メタコンパクト空間 の例「反例:特定点位相」)。

可算公理と可分性

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. $X$ は 第1可算公理 を満たす。
  2. $X$ が 第2可算公理 を満たすことと、$X$ が高々可算であることは同値である。
  3. $X$ はつねに 可分空間 である。
  4. 部分空間 $X\setminus\{p\}$ は離散空間であり、閉集合である。$X$ が非可算なら、この部分空間は可分でない。

要点:各点の最小開近傍が局所基になり、開基は各 $q\neq p$ について $\{p,q\}$ を含まなければならない。$\{p\}$ は稠密である。

詳しい証明を開く

1. 各点の最小開近傍一つが局所基になる。

2. $X$ が高々可算なら、$\{\{p\}\}\cup\{\{p,q\}\mid q\neq p\}$ は高々可算な開基である(空でない開集合 $U$ は、$U$ の各点の最小開近傍の合併である)。逆に $\mathcal{B}$ を開基とし、$q\neq p$ とすると、開集合 $\{p,q\}$ の点 $q$ について $q\in B\subset\{p,q\}$ となる $B\in\mathcal{B}$ があり、$B$ は空でないので $p$ も含み、$B=\{p,q\}$ である。よって $q\mapsto\{p,q\}$ は $X\setminus\{p\}$ から $\mathcal{B}$ への単射であり、$X$ が非可算なら $\mathcal{B}$ も非可算である。

3. prop-ppt-closure の 6 により、$\{p\}$ が稠密である。

4. 任意の $B\subset X\setminus\{p\}$ は $(X\setminus\{p\})\cap(\{p\}\cup B)$ と書けるので相対開集合であり、補集合 $\{p\}$ は開集合である。非可算な離散空間は可分でない。$\square$

4 は、可分性が閉部分空間にも遺伝しないことを示す標準的な例で、可分空間 の命題「可分性は部分空間に遺伝しない」の証明に使われている空間はこの空間そのもの(非可算集合 $S$ に点 $a$ を足した $S\cup\{a\}$ の特定点位相)である。$X$ が非可算なら可分で第1可算なのに第2可算でないので、距離空間で成り立つ「可分なら第2可算」(第2可算公理 の定理「距離空間における同値性」)は、距離化可能性を外すと成り立たない。

連結性

空でない位相空間の空でない開集合がどれも交わるとき、その空間は 既約空間 である(既約空間の記事の命題「既約性の同値条件」の (R2)。hyperconnected ともいう)。これと双対に、空でない閉集合がどれも交わる空間を ultraconnected という。空でない位相空間 $X$ の点 $x$ は、$X$ が連結で $X\setminus\{x\}$ が 完全不連結空間 であるとき分散点(dispersion point)という。

連結性・弧状連結性・散在性

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. $X$ は既約であり、したがって 連結空間 かつ 局所連結空間 である。
  2. $X$ が ultraconnected であることと $|X|\le2$ は同値である。
  3. 任意の $a,b\in X$ に対し、$f(0)=a$、$f(1)=b$、$0< t<1$ で $f(t)=p$ と定めた $f\colon[0,1]\to X$ は連続である。とくに $X$ は弧状連結かつ局所弧状連結である。
  4. $|X|\ge2$ なら、$[0,1]$ から $X$ への連続な単射は存在しない。とくに相異なる二点を結ぶ弧はなく、$X$ は弧連結でない。
  5. $X$ は散在的(空でない部分集合がどれも孤立点をもつ。孤立点)である。
  6. $|X|\ge2$ なら $p$ は $X$ の分散点である。

要点:空でない開集合がすべて $p$ を共有することから 1 と 3 が、$\{p\}$ と $\{p,q\}$ が開集合であることから 4 が従う。5・6 は $X\setminus\{p\}$ が離散であることによる。

詳しい証明を開く

1. 空でない開集合はどれも $p$ を含むので交わる。既約空間の空でない開集合はどれも連結である(既約空間 の命題「既約性の同値条件」の (R6))から、$X$ は連結であり、空でない開集合全体が連結な開集合からなる開基になるので局所連結である。

2. $|X|\ge3$ なら、相異なる $q,r\neq p$ について $\{q\}$ と $\{r\}$ は互いに素な空でない閉集合である。$|X|=1$ なら空でない閉集合は $X$ だけであり、$X=\{p,q\}$ なら空でない閉集合は $\{q\}$ と $X$ だけで、どの二つも交わる。

3. 空でない開集合 $U$ は $p$ を含むので、$f^{-1}(U)$ は $(0,1)$ に、$a\in U$ なら $0$ を、$b\in U$ なら $1$ を加えた集合であり、$[0,1]$ の開集合である。空でない開集合 $W$ は $p$ を含むので、$a,b\in W$ ならこの $f$ の像は $W$ に入り、$W$ は弧状連結である。よって空でない開集合全体が弧状連結な開集合からなる開基になる。

4. 連続な単射 $h\colon[0,1]\to X$ があったとする。像が $p$ を含むなら、$h^{-1}(\{p\})$ は一点集合であり、$\{p\}$ が開集合なので $[0,1]$ の開集合になるが、$[0,1]$ の一点集合は開集合でない。像が $p$ を含まないなら、像の点 $q=h(t)$ について $h^{-1}(\{p,q\})=\{t\}$ が同じ矛盾を与える。弧(弧状連結空間 の定義「弧連結性」)は連続な単射なので、相異なる二点を結ぶ弧もない。

5. 空でない $A\subset X$ をとる。$p\in A$ なら $\{p\}$ が開集合なので $p$ は $A$ の孤立点である。$p\notin A$ なら、prop-ppt-countability の 4 と同じ理由で $A$ の相対位相は離散であり、$A$ のすべての点が孤立点である。

6. 1 により $X$ は連結である。$X\setminus\{p\}$ は離散空間(prop-ppt-countability の 4)なので、二点以上の部分集合は一点とその補集合に分けられて連結でなく、完全不連結である。$\square$

5 と 1 は、$T_1$ を仮定しない空間では「散在的なら完全不連結」が成り立たないことを示している。実際 $|X|\ge2$ のとき $X$ は散在的だが連結である。3 と 4 は、弧状連結空間 の定理「Hausdorff 空間での一致」で Hausdorff 性を外せないことを示す。4 の証明は、弧を単射な道の意味で使う流儀でも、埋め込みの意味で使う流儀でもそのまま通る。

Baire の性質

疎集合・第1類集合と Baire 性

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れ、$A\subset X$ とする。

  1. $A$ が疎集合であることと $p\notin A$ は同値である。
  2. $A$ が第1類集合であることと $p\notin A$ は同値である。とくに $X$ は第2類集合である。
  3. $X$ は Baire 空間(Baireのカテゴリー定理 の定義「空間の Baire 性」)である。

要点:$p$ を含まない集合は閉で内部が空であり、稠密な集合は $p$ を含む集合である。

詳しい証明を開く

1. $p\notin A$ なら $\overline{A}=A$ で、その内部は空である(prop-ppt-closure の 3・4)。$p\in A$ なら $\overline{A}=X$ で内部は $X\neq\emptyset$ である。

2. 疎集合の可算個の合併は $p$ を含まない。逆に $p$ を含まない集合はそれ自身が疎集合である。$p\in X$ なので $X$ は第1類でない。

3. 稠密な開集合はすべて $p$ を含む(prop-ppt-closure の 6)ので、その可算個の共通部分も $p$ を含み、稠密である。$\square$

周りの空間によって「第1類」かどうかが変わることにも注意する。$q\neq p$ について $\{q\}$ は $X$ の中では疎集合だから第1類だが、一点空間 $\{q\}$ の中では空集合だけが疎集合なので、$\{q\}$ はそれ自身の中で第2類である。また空でない開集合 $W$ の相対位相は $W$ 上の特定点位相(特定点 $p$)なので、$W$ もそれ自身の中で第2類である。

ホモトピーとホモロジー

特定点位相の空間は Hausdorff でないが、ホモトピーの不変量は一点と同じになる。しかも、どの点を止めても一点へ縮められる。

どの点を止めても縮められること

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れ、$b\in X$ を任意にとる($b=p$ でもよい)。$H_b\colon X\times[0,1]\to X$ を
$$ H_b(x,t)=\begin{cases}x&(t=0)\\ b&(t=1,\ \text{または}\ 0< t<1\ \text{かつ}\ x=b)\\ p&(0< t<1\ \text{かつ}\ x\neq b)\end{cases} $$
と定めると、$H_b$ は($X\times[0,1]$ に積位相を入れて)連続であり、すべての $t$ で $H_b(b,t)=b$ である。したがって $\{b\}$ は $X$ の強変位レトラクト(変位レトラクト)であり、$X$ は 可縮空間 である。とくに、すべての基点 $b$ とすべての $n\ge1$ について ホモトピー群 $\pi_n(X,b)$ は自明である。

空でない開集合 $U$ をとる($p\in U$)。$b\in U$ なら、定義の場合分けを $t=0$、$0< t<1$、$t=1$ ごとに見ると
$$H_b^{-1}(U)=(U\times[0,1])\cup(X\times(0,1])$$
である。$b\notin U$ なら $b\neq p$ であり、$X\setminus\{b\}$ は $p$ を含むので開集合で、
$$H_b^{-1}(U)=(U\times[0,1))\cup\bigl((X\setminus\{b\})\times(0,1)\bigr)$$
である($t=1$ では値が $b\notin U$、$0< t<1$ では $x\neq b$ のとき値 $p\in U$、$x=b$ のとき値 $b\notin U$)。どちらも積位相の開集合である。空集合の逆像は空なので $H_b$ は連続である。$H_b(x,0)=x$、$H_b(x,1)=b$、$H_b(b,t)=b$ なので、$H_b$ は恒等写像から定値写像への $\{b\}$ を止めたホモトピーである。基点付き写像 $f\colon(S^n,*)\to(X,b)$ について $H_b(f(z),t)$ が $f$ から定値写像への基点を止めたホモトピーを与えるので、$\pi_n(X,b)$ は自明である。$\square$

一般の可縮空間では、指定した点を止めた収縮があるとは限らない(可縮空間 の注意「指定した点を止める収縮」)。特定点位相ではどの点でもそれができる。

特異ホモロジーと Čech コホモロジー

$X$ に特定点位相 $\tau_p$ を入れる。

  1. 整数係数の特異ホモロジーは $H_0(X;\mathbb{Z})\cong\mathbb{Z}$、$n>0$ で $H_n(X;\mathbb{Z})=0$ であり、特異コホモロジー環は次数 $0$ の $\mathbb{Z}$ だけからなる。
  2. $X$ のすべての開被覆の脈体(nerve)の単体的コホモロジーを細分について順極限した Čech コホモロジーは、$\check H^0(X;\mathbb{Z})\cong\mathbb{Z}$、$n>0$ で $\check H^n(X;\mathbb{Z})=0$ である。

要点:1 のコホモロジーの部分はホモトピー不変性(特異ホモロジー の定理「ホモトピー不変性」)と thm-ppt-contraction からも従う。ホモロジーも含めて、特定点 $p$ を頂点とする錐で特異鎖を直接縮められる。2 は、どの開被覆でも空でない元の有限個の共通部分が $p$ を含むので、脈体が空でない元を頂点とする全単体になることによる。

錐による直接の計算を開く

標準単体 $\Delta^{n+1}$ の重心座標を $(t_0,\dots,t_{n+1})$ とし、面 $\{t_0=0\}$ を $(t_1,\dots,t_{n+1})$ で $\Delta^n$ と同一視する。特異単体 $\sigma\colon\Delta^n\to X$ に対し、$c\sigma\colon\Delta^{n+1}\to X$ を、$t_0>0$ なら $p$、$t_0=0$ なら $\sigma(t_1,\dots,t_{n+1})$ と定める。$X$ 以外の閉集合 $F$ は $p$ を含まないので、$(c\sigma)^{-1}(F)$ は面 $\{t_0=0\}$ の中の閉集合 $\sigma^{-1}(F)$ であり、$\Delta^{n+1}$ でも閉である。よって $c\sigma$ は連続である。頂点 $0$ の向かいの面への制限は $\sigma$、$i\ge1$ のとき頂点 $i$ の向かいの面への制限は $c(\sigma$ の頂点 $i-1$ の向かいの面への制限$)$ なので、$n\ge1$ で $\partial(c\sigma)=\sigma-c(\partial\sigma)$、$n=0$ で $\partial(c\sigma)=\sigma-[p]$ となる。$c$ を線形に延ばし、$\varepsilon\colon C_0\to\mathbb{Z}$ を各点を $1$ に送る写像とすると、$\partial c+c\partial=\mathrm{id}-[p]\varepsilon$(右辺の第 2 項は次数 $0$ だけ)が成り立つ。よって $n>0$ の輪体 $z$ は $z=\partial(cz)$ で境界であり、次数 $0$ では $z-\varepsilon(z)[p]$ が境界なので $\varepsilon$ が $H_0\cong\mathbb{Z}$ を与える。コチェインは $\varphi\mapsto\varphi\circ c$ を前合成して同様に縮み、$H^0$ は全点で同じ値をとる関数 $\mathbb{Z}$、$n>0$ で $H^n=0$ である。次数 $0$ の cup積 は値の積なので、環として $\mathbb{Z}$ である。

Čech の側:開被覆 $\mathcal{U}$ の空でない元はすべて $p$ を含むので、空でない元の有限個の共通部分は空でなく、脈体は $\mathcal{U}$ の空でない元の全体を頂点集合とする全単体である。全単体は一頂点 $v$ への錐 $[w_0,\dots,w_n]\mapsto[v,w_0,\dots,w_n]$ で縮むので、単体的コホモロジーは次数 $0$ の定数関数 $\mathbb{Z}$ だけである。細分の写像は定数関数を定数関数に送るので、順極限も $\mathbb{Z}$ である。$\square$

$X$ が無限集合なら、有限な開被覆だけでは極限がとれない:開被覆 $\{\{p,q\}\mid q\neq p\}$ は有限な開被覆による細分をもたない(有限な細分の各元は二点集合に含まれ、有限個では $X$ を覆えない)。2 の値は有限な開被覆だけで計算しても同じだが、それは脈体がどれも全単体だからであり、有限な開被覆の族がすべての開被覆の族の中で共終だからではない。

同じ非可算集合の上の余可算位相との比較

非可算集合 $S$ と点 $p\in S$ について、特定点位相 $(S,\tau_p)$ と 余可算位相 $(S,\tau_{\mathrm{coc}})$ を比べる。どちらも空でない開集合の有限個がつねに交わる(余可算位相では補集合の高々可算な和が $S$ にならないから)。そのため既約で連結、Čech コホモロジーは同じ値になる。しかし点を結ぶ道の様子がまったく違う。

性質特定点位相余可算位相
$T_1$でないである
可分・第1可算であるでない
第2可算でないでない
コンパクト部分集合有限集合だけ有限集合だけ
弧状連結成分全体で一つ一点ずつ
可縮であるでない
$\pi_n$($n\ge1$、どの基点でも)自明自明
特異 $H_0$$\mathbb{Z}$$\bigoplus_{S}\mathbb{Z}$
特異 $H_n$($n>0$)$0$$0$
Čech $\check H^0$/$\check H^n$($n>0$)$\mathbb{Z}$/$0$$\mathbb{Z}$/$0$

余可算位相の列は、コンパクト集合が有限集合だけで有限部分空間が離散になることから、道と特異単体がすべて定値になることで確かめられる。

余可算位相の列の確かめを開く

無限集合 $K\subset S$ は可算無限集合 $\{d_1,d_2,\dots\}$ を含み、開集合 $U_n=(S\setminus\{d_m\}_{m\ge1})\cup\{d_n\}$ の族は $K$ を覆うが有限部分被覆をもたないので、コンパクト集合は有限集合だけである。有限な部分空間は $T_1$ なので離散である。道や特異単体の像はコンパクトで連結だから一点であり、道はすべて定値になる。よって弧状連結成分は一点ずつで、特異鎖複体は各点の鎖複体の直和になり、$H_0=\bigoplus_S\mathbb{Z}$、$n>0$ で $H_n=0$、$\pi_n$ も自明である。可縮なら収縮 $H$ から $x\neq x_0$ を $x_0$ に結ぶ定値でない道 $t\mapsto H(x,t)$ ができるので、可縮でない。「コンパクト集合が有限」という共通点から有限部分空間が離散だとは言えないことは、特定点位相の二点集合 $\{p,q\}$ が離散でないことに表れている。

同相だが比べられない位相

二つの特定点位相

$X$ を二点以上の集合とし、相異なる $p,q\in X$ をとる。$p$ と $q$ を入れ替えて他の点を止める全単射 $h\colon X\to X$ について、$\tau_q$ の空でない開集合 $U$($q\in U$)の逆像 $h^{-1}(U)$ は $p$ を含むので $\tau_p$ の開集合であり、逆も同様だから、$h\colon(X,\tau_p)\to(X,\tau_q)$ は同相写像である。一方 $\{p\}\in\tau_p\setminus\tau_q$、$\{q\}\in\tau_q\setminus\tau_p$ なので、$\tau_p$ と $\tau_q$ はどちらも他方を含まない(位相の強弱 の意味で比較不能である)。同じ集合の上で同相な位相どうしでも、強弱が比べられるとは限らない。

一般化:閉拡大位相

特定点位相は、離散空間に一点を「すべての開集合に入り込む点」として付け加えたものと見られる。離散空間の代わりに任意の位相空間をとると次の構成になる。

閉拡大

$(Y,\tau)$ を空でない位相空間、$p\notin Y$ とし、$Y^*=Y\cup\{p\}$ とおく。
$$\tau^*:=\{\emptyset\}\cup\{\{p\}\cup U\mid U\in\tau\}$$
を $Y^*$ 上の閉拡大位相(closed extension topology)といい、$(Y^*,\tau^*)$ を $(Y,\tau)$ の閉拡大という。

閉拡大の閉集合と相対位相
  1. $\tau^*$ は $Y^*$ 上の位相であり、$\{p\}$ は開集合である。
  2. $Y^*$ 以外の $Y^*$ の閉集合は、ちょうど $Y$ の閉集合である。とくに $Y$ は $Y^*$ の閉集合である。
  3. $Y$ に $Y^*$ から入る相対位相は $\tau$ である。
  4. $Y$ が離散空間なら、$\tau^*$ は $Y^*$ 上の特定点位相 $\tau_p$ である。とくに、任意の特定点位相 $(X,\tau_p)$ は離散空間 $X\setminus\{p\}$ の閉拡大である。

要点:空でない開集合の合併と共通部分は $p$ を含む形のままであり、$Y^*$ 以外の閉集合は $p$ を含まない。

詳しい証明を開く

1. 空でない元の族の合併は $\{p\}\cup\bigcup U_i$、二つの空でない元の共通部分は $\{p\}\cup(U\cap V)$ で、どちらも $\tau^*$ に属する。$U=\emptyset$、$U=Y$ から $\{p\}$ と $Y^*$ が属する。

2. $F\neq Y^*$ が閉なら補集合は空でない開集合なので $p$ を含み、$F\subset Y$ である。$Y^*\setminus F=\{p\}\cup(Y\setminus F)$ が開であることと $Y\setminus F\in\tau$ は同値である。

3. $(\{p\}\cup U)\cap Y=U$ である。

4. $\tau$ が $Y$ のすべての部分集合からなれば、$\tau^*$ は空集合と $p$ を含むすべての部分集合からなる。$\square$

閉拡大の分離公理と連結性

$(Y^*,\tau^*)$ を空でない位相空間 $(Y,\tau)$ の閉拡大とする。

  1. $Y^*$ が $T_0$ であることと $Y$ が $T_0$ であることは同値である。
  2. $Y^*$ は $T_1$ でも $T_2$ でもなく、正則性条件を満たさない。
  3. $Y^*$ が正規性条件を満たすことと、$Y$ に互いに素な空でない閉集合の組が存在しないことは同値である。
  4. $Y^*$ が遺伝正規性条件を満たすことと、$Y$ にともに空でない分離された二集合の組が存在しないことは同値である。
  5. $Y^*$ は既約であり、連結・局所連結・弧状連結・局所弧状連結である。
  6. $A\subset Y^*$ が疎集合であることと $p\notin A$ は同値である。$Y^*$ は第2類集合であり、Baire 空間である。

要点:空でない開集合はすべて $p$ を含むので、互いに交わる。$Y$ の閉集合は $Y^*$ でも閉で、$p$ を含む集合の閉包は $Y^*$ である。

詳しい証明を開く

1.$Y$ の相異なる二点を区別する $Y^*$ の開集合 $\{p\}\cup U$ と、同じ二点を区別する $U\in\tau$ は対応する。$p$ と $y\in Y$ は $\{p\}$ で区別される。

2.$Y$ は空でないので $y\in Y$ がとれる。$y$ を含み $p$ を含まない開集合はないので $T_1$ でない。空でない開集合はすべて交わるので $T_2$ でない。閉集合 $Y$ と点 $p$ を含む開集合はどちらも $p$ を含むので、正則性条件も成り立たない。

3.$Y^*$ の互いに素な閉集合 $A,B$ の一方が $Y^*$ なら他方は空である。そうでなければ両方とも $Y$ の閉集合である。両方が空でなければ、それらを含む開集合は $p$ で交わるので分けられない。一方が空なら空集合と $Y^*$ で分けられる。

4.$A\ni p$ なら空でない開集合はすべて $A$ と交わるので $\overline{A}=Y^*$ であり、$B$ と分離されるには $B=\emptyset$ が要る。$A\subset Y$ なら、$A$ を含む $Y^*$ の閉集合は $Y^*$ と $A$ を含む $Y$ の閉集合なので、$Y^*$ での閉包は $Y$ での閉包に等しい。よってともに空でない分離された二集合は、$Y$ の中のともに空でない分離された二集合にちょうど一致し、それがあれば $p$ で交わるので開集合で分けられない。空集合を含む組は 3 と同様に分けられる。

5.既約であることと連結・局所連結は thm-ppt-connected の 1 と同じ議論による。弧状連結性と局所弧状連結性は、$0< t<1$ で値 $p$ をとる thm-ppt-connected の 3 の道が、そのまま連続な道になることから従う(証明は $Y$ の位相を使わない)。

6.$p\notin A$ なら閉包は $Y$ に含まれ、空でない開集合は $p$ を含むので内部は空である。$p\in A$ なら閉包は $Y^*$ である。以下は prop-ppt-baire と同じである。$\square$

3 の条件は「$Y$ が正規性条件を満たす」より強い。たとえば二点の離散空間は正規性条件を満たすが、その閉拡大は三点集合の特定点位相で、正規性条件を満たさない(thm-ppt-separation の 3)。一方、一般の閉拡大では点 $y\in Y$ の開近傍は $Y$ での開近傍に $p$ を足したものであり、prop-ppt-closure の 1 のような二点の最小開近傍があるとは限らない。そのためコンパクト集合や可算性についての結果は $Y$ の位相に応じて変わる。

反例の表

外す条件反例成り立たなくなること
Hausdorff 性二点以上の集合 $X$ の特定点位相のコンパクト集合 $\{p\}$コンパクト集合は閉集合である
Hausdorff 性無限集合 $X$ の特定点位相各点がコンパクト近傍をもてば、コンパクトな閉包をもつ開近傍をもつ
Hausdorff 性二点以上の集合 $X$ の特定点位相弧状連結なら弧連結である
部分空間が開集合であること非可算集合 $X$ の特定点位相の閉部分空間 $X\setminus\{p\}$可分空間の部分空間は可分である
距離化可能性非可算集合 $X$ の特定点位相可分なら第2可算である
$T_1$二点以上の集合 $X$ の特定点位相散在的な空間は完全不連結である

1 行目は prop-ppt-compact の 1 と prop-ppt-closure の 3、2 行目は同じ命題の 3・4、3 行目は thm-ppt-connected の 3・4、4・5 行目は prop-ppt-countability(開部分空間なら可分性は遺伝する:可分空間 の命題「開部分空間」)、6 行目は thm-ppt-connected の 1・5 による。どの行の空間も、外した条件以外の仮定は満たしている。

出典

特定点位相・閉拡大位相とそれらの性質の一覧は SS78 の Examples 8–12(pp. 44–46)にある。

関連項目

参考文献

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