単体的ホモトピー論

同義語:simplicial homotopy theory

概要

単体的ホモトピー論(simplicial homotopy theory)とは、位相空間のホモトピー論を単体的集合の上で組み立て直し、単体の貼り合わせという組合せ的な手段で調べる分野である。中心の対象は、すべてのホーンが延びる Kan 複体と、幾何学的実現が弱ホモトピー同値になる写像(弱同値)であり、単体的集合の圏はこれらとともに Kan–Quillen モデル構造をもつモデル圏になる。実現と特異単体的集合の随伴はホモトピー圏の同値を与えるので、空間の問いを単体的集合の問いに置き換えられる。各次数が群で面・退化写像が準同型である単体的群はいつも Kan 複体である(Moore の定理)。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 単体的集合, ホモトピー群, モデル圏

単体的ホモトピー論(simplicial homotopy theory)は、位相空間のホモトピー論を単体的集合の上で組み立て直し、組合せ的な手段で調べる分野である。中心にある対象は、ホーンの充填条件をみたす単体的集合である Kan複体 と、幾何学的実現が弱ホモトピー同値になる写像(弱同値)である。単体的集合の圏はこの弱同値とともにモデル圏になり(Kan–Quillen モデル構造)、そのホモトピー圏は位相空間のホモトピー圏と同値になる。このため、空間についての問いを、単体の貼り合わせという有限的な操作の問いに置き換えて考えることができる。
この記事では、分野の基本の概念を定義し、主な定理を地図にまとめる。代表的な定理として、単体的群がいつも Kan 複体であること(Moore の定理)を完全に証明する。最後に、関連する記事を学ぶ順に並べる。

基本の概念

以下、単体的集合の圏を $\mathbf{sSet}$、標準 $n$ 単体を $\Delta^n$、その境界を $\partial\Delta^n$、$k$ 番目のホーンを $\Lambda^n_k$ と書く(単体的集合 の定義「境界とホーン」)。$n$ 単体の集合 $X_n$ の面写像を $d_i\colon X_n\to X_{n-1}$、退化写像を $s_j\colon X_n\to X_{n+1}$ と書く。

Kan ファイブレーション・Kan 複体・弱同値・単体的ホモトピー
  1. 単体的写像 $p\colon X\to Y$ が Kan ファイブレーションであるとは、すべての $n\ge1$、$0\le k\le n$ と、$p\circ a=b\circ\iota$ をみたす写像 $a\colon\Lambda^n_k\to X$、$b\colon\Delta^n\to Y$($\iota$ は包含)に対し、$c\circ\iota=a$、$p\circ c=b$ をみたす $c\colon\Delta^n\to X$ があることをいう。
  2. $X\to\Delta^0$ が Kan ファイブレーションであるとき、$X$ を Kan 複体という。すなわち、すべての写像 $\Lambda^n_k\to X$ が $\Delta^n$ に延びる。
  3. 単体的写像 $f\colon X\to Y$ が弱同値であるとは、幾何学的実現 $\lvert f\rvert\colon\lvert X\rvert\to\lvert Y\rvert$ が弱ホモトピー同値であることをいう。
  4. 写像 $f,g\colon K\to X$ について、$H|_{K\times\{0\}}=f$、$H|_{K\times\{1\}}=g$ をみたす写像 $H\colon K\times\Delta^1\to X$ を、$f$ から $g$ への単体的ホモトピーという。

ホーンからの写像は、面の族として具体的に書ける。写像 $\Lambda^n_k\to X$ は、$(n-1)$ 単体の族 $(x_0,\dots,x_{k-1},x_{k+1},\dots,x_n)$ で
$$ d_ix_j=d_{j-1}x_i\qquad(i< j,\ i\ne k,\ j\ne k) $$
をみたすものと一対一に対応し、それが $\Delta^n$ に延びることは、$d_ix=x_i$($i\ne k$)となる $x\in X_n$ があることと同じである(GJ09 Corollary I.3.2、p. 10)。この条件をみたす族を、以下両立する族という。
Kan 複体 $X$ では、頂点を辺で結ぶ関係が同値関係になり(Kan複体 の命題「Kan 複体の連結成分」)、境界を頂点 $v$ に送る $n$ 単体を境界を止めたホモトピーで割った集合 $\pi_n(X,v)$ は $n\ge1$ で群、$n\ge2$ で可換群になる(GJ09 Theorem I.7.2、p. 26)。これは実現のホモトピー群 $\pi_n(\lvert X\rvert,v)$ と同型である(Kan複体 の注意「ホモトピー群と位相空間との比較」)。Kan 複体でない単体的集合では、ホモトピー群は Kan 複体に取り替えてから考える。

例と反例
  1. 位相空間 $T$ の特異単体的集合 $\operatorname{Sing}T$ は Kan 複体である(Kan複体 の定理「特異単体的集合は Kan 複体である」)。
  2. 小さい圏の脈体が Kan 複体であることと、その圏が亜群であることは同値である(Kan複体 の定理「脈体が Kan 複体であるための条件」)。とくに群 $G$ の脈体 $BG$ は Kan 複体である。
  3. 反例:$\Delta^1$ は Kan 複体でない。頂点 $0,1,2$ をそれぞれ $0,1,0$ に送るホーン $\Lambda^2_0\to\Delta^1$ は $\Delta^2$ に延びない。延長は順序を保つ写像 $[2]\to[1]$ で与えられるはずだが、$1\mapsto1$、$2\mapsto0$ は順序を保たない(単体的集合 の例「$\Delta^1$ はKan複体でない」)。この例は「すべての単体的集合は Kan 複体である」という主張を破る。

主な定理の地図

分野の柱になる定理を、主張の要点と、証明を置いた記事とともに並べる。

定理主張の要点記事
Kan–Quillen モデル構造単射・Kan ファイブレーション・弱同値が $\mathbf{sSet}$ のモデル構造をなす。すべての対象がコファイブラントで、ファイブラント対象は Kan 複体Kan–Quillenモデル構造
実現と特異単体的集合随伴 $\lvert\cdot\rvert\dashv\operatorname{Sing}$ はホモトピー圏の同値を与える幾何学的実現、ホモトピー仮説
Kan 複体の Whitehead の定理Kan 複体の間の写像は、弱同値であることと単体的ホモトピー同値であることが同値Kan–Quillenモデル構造
実現の CW 構造$\lvert X\rvert$ は非退化単体を胞体とする CW 複体幾何学的実現
積の実現$\lvert K\times L\rvert$ と実現の積の比較幾何学的実現と積(Milnorの定理)
Kan の $\operatorname{Ex}^\infty$$\operatorname{Ex}^\infty X$ は Kan 複体で、$X\to\operatorname{Ex}^\infty X$ は弱同値Ex∞関手
Moore の定理単体的群は Kan 複体この記事
Dold–Kan 対応単体的アーベル群と非負次数の鎖複体の圏同値Dold–Kan対応
Joyal の定理準圏が Kan 複体であることと、ホモトピー圏が亜群であることは同値Joyalの定理(準圏がKan複体である条件)

実現と特異単体的集合の随伴がホモトピー圏の同値を与えることは GJ09 Theorem I.11.4(p. 63)、それが Quillen 同値であることは Hov99 Theorem 3.6.7 にある。モデル構造の存在は GJ09 Theorem I.11.3(p. 62)、Hov99 Theorem 3.6.5 にある。この記事ではこれらを証明しない。

代表的な定理:単体的群は Kan 複体である

単体的群

各 $G_n$ が群で、すべての面写像 $d_i$ と退化写像 $s_j$ が群の準同型である単体的集合 $G$ を単体的群という。同じことだが、単体圏の反対圏から群の圏への関手である。$G_n$ の単位元を $e$ と書く。

準同型なので $d_i(e)=e$、$s_j(e)=e$ であり、面写像と退化写像は積と逆元を保つ。

Moore の定理

単体的群 $G$ は Kan 複体である。

$n\ge1$、$0\le k\le n$ とし、$G_{n-1}$ の元の両立する族 $(x_i)_{i\ne k}$ を任意にとる。$d_jx=x_j$(すべての $j\ne k$)をみたす $x\in G_n$ を作ればよい。使う単体的恒等式は、単体的集合 の命題「単体的恒等式」の
$$ d_id_j=d_{j-1}d_i\ (i< j),\quad d_is_j=s_{j-1}d_i\ (i< j),\quad d_js_j=d_{j+1}s_j=\operatorname{id},\quad d_is_j=s_jd_{i-1}\ (i>j+1) $$
である。
手順 1($k$ より小さい添字). $w_{-1}:=e\in G_n$ とおき、$i=0,1,\dots,k-1$ について順に
$$ u_i:=(d_iw_{i-1})^{-1}x_i\in G_{n-1},\qquad w_i:=w_{i-1}\cdot s_i(u_i)\in G_n $$
と定める($i\le k-1\le n-1$ なので $s_i\colon G_{n-1}\to G_n$ が定義される)。$0\le j\le i$ について $d_jw_i=x_j$ となることを $i$ についての帰納法で示す。$j=i$ なら、$d_is_i=\operatorname{id}$ より $d_iw_i=d_iw_{i-1}\cdot u_i=x_i$ である。$j< i$ なら $d_js_i=s_{i-1}d_j$ であり、
$$ d_ju_i=(d_jd_iw_{i-1})^{-1}d_jx_i=(d_{i-1}d_jw_{i-1})^{-1}d_jx_i=(d_{i-1}x_j)^{-1}d_jx_i=e $$
となる。ここで二つ目の等号は $d_jd_i=d_{i-1}d_j$、三つ目は帰納法の仮定 $d_jw_{i-1}=x_j$、最後は両立条件 $d_jx_i=d_{i-1}x_j$($j< i< k$)による。よって $d_js_i(u_i)=s_{i-1}(e)=e$ で、$d_jw_i=d_jw_{i-1}=x_j$ である。
手順 2($k$ より大きい添字). $v_{n+1}:=w_{k-1}$ とおき($k=0$ なら $v_{n+1}=e$)、$i=n,n-1,\dots,k+1$ について順に
$$ u'_i:=(d_iv_{i+1})^{-1}x_i\in G_{n-1},\qquad v_i:=v_{i+1}\cdot s_{i-1}(u'_i)\in G_n $$
と定める。$j< k$ または $i\le j\le n$ をみたす $j$ について $d_jv_i=x_j$ となることを、$i$ を下げる帰納法で示す($v_{n+1}$ については手順 1 の結果である)。

  • $j=i$ のとき:$d_is_{i-1}=\operatorname{id}$ より $d_iv_i=d_iv_{i+1}\cdot u'_i=x_i$。
  • $j>i$ のとき:$d_js_{i-1}=s_{i-1}d_{j-1}$ であり、$d_{j-1}d_i=d_id_j$ と帰納法の仮定 $d_jv_{i+1}=x_j$ から $d_{j-1}u'_i=(d_ix_j)^{-1}d_{j-1}x_i$ となる。両立条件 $d_ix_j=d_{j-1}x_i$($k< i< j$)によりこれは $e$ で、$d_jv_i=d_jv_{i+1}=x_j$。
  • $j< k$ のとき:$j\le k-1\le i-2$ なので $d_js_{i-1}=s_{i-2}d_j$ であり、$d_jd_i=d_{i-1}d_j$ と $d_jv_{i+1}=x_j$ から $d_ju'_i=(d_{i-1}x_j)^{-1}d_jx_i$ となる。両立条件 $d_jx_i=d_{i-1}x_j$($j< k< i$)によりこれは $e$ で、$d_jv_i=d_jv_{i+1}=x_j$。
    以上から $x:=v_{k+1}$($k=n$ なら $x=w_{n-1}$)は、すべての $j\ne k$ について $d_jx=x_j$ をみたす。

証明は、まだ合っていない面を一つずつ、退化写像で持ち上げた元を掛けて直していく形になっている。掛ける元 $s_i(u_i)$ はすでに合わせた面では単位元に写るので、それまでの調整を壊さない。群の逆元はこの補正の各段で使われており、逆元がないと議論が成り立たない(下の反例の表の 1 行目)。この定理は GJ09 Lemma I.3.4(p. 12)に Moore の補題として述べられている。
Moore の定理から、単体的群の準同型についても持ち上げが得られる。単体的群の準同型 $f\colon G\to H$ とは、各 $f_n\colon G_n\to H_n$ が群の準同型である単体的写像のことである。

全射な準同型は Kan ファイブレーション

単体的群の準同型 $f\colon G\to H$ で、各 $f_n$ が全射であるものは Kan ファイブレーションである。

$n\ge1$、$0\le k\le n$ とし、$G_{n-1}$ の両立する族 $(x_i)_{i\ne k}$ と、$d_iy=f(x_i)$($i\ne k$)をみたす $y\in H_n$ をとる。$d_jx=x_j$($j\ne k$)かつ $f(x)=y$ となる $x\in G_n$ を作ればよい。$f_n$ は全射なので $f(z)=y$ となる $z\in G_n$ がある。$x'_i:=x_i\cdot(d_iz)^{-1}$ とおくと、$f(x'_i)=f(x_i)\cdot d_i(f(z))^{-1}=d_iy\cdot(d_iy)^{-1}=e$ なので $x'_i$ は核 $K_{n-1}:=\ker f_{n-1}$ に入る。各 $K_m=\ker f_m$ は面写像・退化写像で保たれるので、$K$ は $G$ の部分単体的群である。さらに $i< j$($i,j\ne k$)について
$$ d_ix'_j=d_ix_j\cdot(d_id_jz)^{-1}=d_{j-1}x_i\cdot(d_{j-1}d_iz)^{-1}=d_{j-1}x'_i $$
なので、$(x'_i)$ は $K$ の両立する族である。thm-sht-moore を $K$ に当てると、$d_iw=x'_i$($i\ne k$)をみたす $w\in K_n$ がある。$x:=w\cdot z$ とおけば $d_ix=x'_i\cdot d_iz=x_i$($i\ne k$)、$f(x)=f(w)f(z)=y$ である。

単体的群では、連結成分の集合も群の言葉で書ける。

単体的群の連結成分

単体的群 $G$ について、$N:=d_0(\ker d_1)$($d_0,d_1\colon G_1\to G_0$)は $G_0$ の正規部分群であり、頂点 $x,y\in G_0$ について、$x$ から $y$ への辺($d_1z=x$、$d_0z=y$ をみたす $z\in G_1$)があることと $yx^{-1}\in N$ は同値である。とくに連結成分の集合 $\pi_0G$ は剰余群 $G_0/N$ と一対一に対応する。

$N$ は部分群 $\ker d_1$ の準同型 $d_0$ による像なので部分群である。$g\in G_0$、$z\in\ker d_1$ について $z_g:=s_0(g)\,z\,s_0(g)^{-1}$ とおくと、$d_1s_0=\operatorname{id}$ より $d_1z_g=geg^{-1}=e$、$d_0s_0=\operatorname{id}$ より $d_0z_g=g\,d_0(z)\,g^{-1}$ である。よって $N$ は正規である。
$d_1z=x$、$d_0z=y$ をみたす辺 $z\in G_1$ があるとする。$z':=z\cdot s_0(x)^{-1}$ は $d_1z'=xx^{-1}=e$、$d_0z'=yx^{-1}$ をみたすので $yx^{-1}\in N$ である。逆に $yx^{-1}=d_0z'$、$d_1z'=e$ なら、$z:=z'\cdot s_0(x)$ は $d_1z=x$、$d_0z=yx^{-1}x=y$ をみたす辺である。最後の主張は、Kan 複体では辺で結ばれる関係が同値関係で、それが同じ連結成分に入る関係と一致すること(Kan複体 の命題「Kan 複体の連結成分」)と thm-sht-moore から従う。

単体的群の例
  1. 群 $H$ に対し、すべての $G_n$ を $H$、すべての面写像・退化写像を恒等写像とする定値単体的群。これは定値単体的集合で、Kan 複体である(Kan複体 の例「定値単体的集合」)。
  2. 可換群 $A$ の脈体 $BA$($n$ 単体の集合が $A^n$)は、成分ごとの和で単体的群になる。面写像に現れる隣り合う成分の和 $(a,b)\mapsto a+b$ が準同型であるのは $A$ が可換だからである。
  3. 位相群 $T$ の特異単体的集合 $\operatorname{Sing}T$ は、単体ごとの積で単体的群になる。
  4. 単体的アーベル群は Dold–Kan対応 により非負次数の鎖複体と対応する。可換群 $A$ を次数 $m$ だけに置いた鎖複体に対応する単体的アーベル群は、Moore の定理により Kan 複体であり、Eilenberg–MacLane空間 $K(A,m)$ の単体的なモデルになる。
外す条件反例成り立たなくなること
各 $G_n$ の逆元(単体的モノイドにとどめる)自然数の加法モノイド $\mathbb N$ の脈体 $N(\mathbb N)$($n$ 単体の集合 $\mathbb N^n$、成分ごとの和)Kan 複体である
面写像・退化写像が準同型であること(各 $X_n$ に群の構造があるだけ)$\Delta^1$ の各 $(\Delta^1)_n$(元の個数 $n+2$)に巡回群 $\mathbb Z/(n+2)$ の構造を勝手に入れたものKan 複体である

1 行目の $N(\mathbb N)$ は、$\mathbb N$ が可換なので 2 の例と同じ理由で単体的可換モノイドになるが、$\mathbb N$ を一対象の圏とみたものは亜群でないので Kan 複体でない(Kan複体 の定理「脈体が Kan 複体であるための条件」)。2 行目は、上の例と反例の 3 で見たとおり $\Delta^1$ が Kan 複体でないことによる。

学ぶ順

分野の記事を、前の記事の結果を使う順に並べる。

  1. 単体的集合:単体的恒等式、標準単体と米田の補題、境界とホーン。
  2. 幾何学的実現:実現と特異単体的集合の随伴、実現の CW 構造。
  3. Kan複体、Kanファイブレーション:充填条件、連結成分、亜群の脈体。
  4. 可縮空間(単体的集合):単体的ホモトピーと可縮性。
  5. Kan–Quillenモデル構造:アノダイン拡大、極小ファイブレーション、Kan 複体の Whitehead の定理。
  6. 単体的モデル圏、ホモトピー極限:写像空間とホモトピー不変な極限。
  7. 発展:Bousfield局所化(弱同値を増やすモデル構造の取り替え)、ホモトピー固定点(群作用のホモトピー不変な固定点)、単体的前層とA¹ホモトピー論。
    並行して、Dold–Kan対応 でホモロジー代数とのつながりを、Ex∞関手 で Kan 複体への取り替えの組合せ的な構成を学べる。

∞圏との関係

Kan 複体はすべてのホーンが延びる単体的集合である。内側のホーン $\Lambda^n_k$($0< k< n$)だけが延びる単体的集合が準圏であり、∞圏の模型になる。この見方では Kan 複体は「すべての射が可逆な ∞ 圏」すなわち ∞ 亜群の模型であり、空間のように振る舞う(HTT09 §1.1.2、pp. 8–9)。Kan 複体を対象とする空間の∞圏は、∞ 圏の写像空間の値域になる。準圏が Kan 複体になる条件は Joyalの定理(準圏がKan複体である条件) が与える。単体的ホモトピー論の道具(Kan–Quillen モデル構造、単体的モデル圏、ホモトピー極限)は、∞ 圏論の基礎を組むときの土台として使われる。

関連項目

参考文献

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