平面3次曲線(plane cubic curve)とは、射影平面 $\mathbb{P}^2$ の中で 3 次の斉次多項式の零点として定まる曲線のことである。代数閉体上の既約な平面 3 次曲線は、非特異なもの(楕円曲線)、結節点を 1 つもつもの、尖点を 1 つもつものに分かれる。標数が $2,3$ でなければ、既約な平面 3 次曲線は変曲点 $O$ を基点とする Weierstrass 形に変形でき、非特異な点 $P$ に $[P-O]$ を対応させる写像は次数 $0$ の Picard 群への全単射になる。このとき 3 つの非特異な点の和が $0$ になることは、3 点が重複度込みで 1 本の直線の切り口になることと同値である。
平面 3 次曲線(plane cubic curve)とは、射影平面 $\mathbb{P}^2$ の中で 3 次の斉次多項式 $F(x,y,z)$ の零点として定まる曲線である。既約な平面 3 次曲線は、非特異なもの(楕円曲線)、結節点を 1 つもつもの、尖点を 1 つもつものの 3 つの型に分かれる。特異なものは型ごとに射影変換で 1 つの標準形に移る(標数が $2,3$ でないとき)が、非特異なものは連続的な不変量 $j$ をもつ。
平面 3 次曲線の中心にあるのは「直線との 3 つの交点」から作る群の構造である。標数が $2,3$ でないとき、変曲点 $O$ を 1 つ固定すると、非特異な点 $P$ に次数 $0$ の Picard 群の元 $[P-O]$ を対応させる写像が全単射になり、3 つの非特異な点の和が $0$ になることは、3 点が 1 本の直線の上に重複度込みで並ぶことと同値になる(thm-pc-collinear)。$2[P-O]=0$ となる点は接線が $O$ を通る点、$3[P-O]=0$ となる点は変曲点である($O$ 以外では、それぞれ位数がちょうど $2$、$3$ の点)。群は、非特異なら楕円曲線そのもの、結節なら乗法群、尖点なら加法群になる。
この記事では、変曲点を Hesse 行列式で判定して非特異な 3 次曲線が変曲点をもつことを示し(prop-pc-hessian)、特異な既約 3 次曲線の標準形(thm-pc-singular)と、変曲点を基点とする Weierstrass 形への変形(thm-pc-weierstrass)を証明したうえで、直線と群の関係を証明する。以下、$k$ は代数閉体とする。
$0$ でない 3 次の斉次多項式 $F\in k[x,y,z]$ を、$0$ でない定数倍の違いを同一視して考えたものを平面 3 次曲線といい、$C=V(F)\subset\mathbb{P}^2$ と書く。$F$ が既約なとき $C$ は既約であるという。$C$ の非特異な点の集合を $C_{\mathrm{ns}}$ と書く。
既約な 3 次曲線は直線を成分にもたないので、すべての直線で切り口が定まる。既約な 3 次曲線の多重点は高々 1 個で、重複度は $2$ である(点の重複度 の定理「射影平面曲線の重複度と次数」の 2 と 4)。多重点 $S$ を通る直線 $L$ では $I(S,C\cap L)\ge2$ なので、$C\cdot L$ の残りは高々 1 点である。とくに、$S$ を通る直線は $C_{\mathrm{ns}}$ の点を 2 つ(重複度込み)含むことができない。この事実を以下で何度も使う。
$F$ の Hesse 行列式を $H_F:=\det\bigl(\partial^2F/\partial x_i\partial x_j\bigr)_{0\le i,j\le2}$($(x_0,x_1,x_2)=(x,y,z)$)とおく。$H_F$ は $0$ か $3(\deg F-2)$ 次の斉次式であり、連鎖律により正則行列 $M$ について $H_{F\circ M}(x)=(\det M)^2H_F(Mx)$ である(Hesse 行列が $M^{\mathsf T}(\operatorname{Hess}F)(Mx)M$ になる)。とくに $H_F$ の零点集合は座標のとり方によらない。
$C=V(F)$ を次数 $d\ge2$ の射影平面曲線とし、$k$ の標数は $2$ でなく、$d-1$ は $k$ で $0$ でないとする。$P\in C_{\mathrm{ns}}$ で $T_P$ が $C$ の成分でないとき、$P$ が変曲点であることと $H_F(P)=0$ は同値である。
射影変換で $P=(0:0:1)$、$T_P=\{y=0\}$ とし、$F$ を定数倍して $f(x,y):=F(x,y,1)=y+ax^2+bxy+cy^2+(\text{3 次以上の項})$ としてよい。$T_P$ との交点数は $f(x,0)=ax^2+(\text{3 次以上})$ の $x=0$ での位数なので(点の重複度 の定理「直線による重複度の特徴づけ」の 3)、$P$ が変曲点であることは $a=0$ と同値である。
$F_i:=\partial F/\partial x_i$ は $d-1$ 次の斉次式なので、Euler の等式 $\sum_jx_j\,\partial F_i/\partial x_j=(d-1)F_i$ と $\sum_jx_jF_j=dF$ が成り立つ。$P=(0,0,1)$ を代入すると、$F_{iz}(P)=(d-1)F_i(P)$、$F_z(P)=dF(P)=0$ である。$F_x(P)=f_x(0,0)=0$、$F_y(P)=f_y(0,0)=1$ なので、$F_{xz}(P)=0$、$F_{yz}(P)=d-1$、$F_{zz}(P)=0$ であり、$F_{xx}(P)=2a$、$F_{xy}(P)=b$、$F_{yy}(P)=2c$ である。よって
$$
H_F(P)=\det\begin{pmatrix}2a&b&0\\b&2c&d-1\\0&d-1&0\end{pmatrix}=-2a(d-1)^2
$$
であり、標数が $2$ でなく $d-1\ne0$ なので、$H_F(P)=0$ と $a=0$ は同値である。$\square$
$k$ の標数が $2$ でなければ、非特異な平面 3 次曲線は変曲点をもつ。
非特異な射影平面曲線は既約なので(Bézoutの定理 の系「非特異な射影平面曲線は既約」)、直線を成分にもたず、prop-pc-hessian が $d=3$($d-1=2\ne0$)で全点に使える。$H_F=0$ か、$H_F$ が $F$ で割り切れるなら、$C$ のすべての点が変曲点である。そうでなければ $H_F$ は $F$ と共通成分をもたない 3 次式で、Bézoutの定理 により $C\cap V(H_F)$ は重複度込みで $9$ 点、とくに空でなく、その点は変曲点である。$\square$
標数 $0$ では、非特異な 3 次曲線の変曲点はちょうど $9$ 個であり(Ful08 Problem 5.23 の Corollary、p. 59)、既約な 3 次曲線の変曲点の個数は $1$・$3$・$9$ のいずれかである(同 Problem 7.22 (c)、p. 94)。この記事では証明しない。
二重点 $S$ の接錐(点の重複度 の定義「超曲面の点の重複度と接錐」)が相異なる 2 直線なら $S$ を結節点、1 本の直線の 2 重なら二重接線の二重点という(尖点(特異点) の注意「定義についての注意」の 3)。
$C$ を特異点 $S$ をもつ既約な平面 3 次曲線とする。$S$ は $C$ のただ 1 つの特異点で、$m_S(C)=2$ である。
前半は 点の重複度 の定理「射影平面曲線の重複度と次数」の 2 と 4 である。$S=(0:0:1)$ とすると、$F(x,y,1)$ の最低次の成分が 2 次なので $F=z\,f_2(x,y)+f_3(x,y)$($f_j$ は $j$ 次の斉次式、$f_2\ne0$)と書ける。
1:$f_2$ は比例しない 2 つの 1 次式の積で、$(x,y)$ の 1 次変換で $f_2=xy$ とできる。$f_3=ax^3+bx^2y+cxy^2+dy^3$ とし、$z$ を $z-bx-cy$ に替えると $F=xyz+ax^3+dy^3$ となる。$a=0$ なら $y$ が、$d=0$ なら $x$ が $F$ を割り切るので、既約性から $ad\ne0$ である。$d\beta^3=a$ となる $\beta\in k$ をとり、$y$ を $\beta y$ に、$z$ を $-(a/\beta)z$ に替えると $F=a(x^3+y^3-xyz)$ となる。
標数が $2$ でないとき、$G:=y^2z-x^3-x^2z=z(y^2-x^2)-x^3$ は $z$ について 1 次で、係数 $y^2-x^2$ と $x^3$ は互いに素なので既約である。原点 $(0:0:1)$ での接錐は $y^2-x^2=(y-x)(y+x)$ で、2 つの因子は比例しないから結節点である。よって前段により $V(G)$ も $V(x^3+y^3-xyz)$ と射影同値である。
2:1 次変換で $f_2=y^2$ とし、$z$ を $z$ と $x,y$ の 1 次式の和に替えて $f_3$ の $xy^2$、$y^3$ の項を消すと、$F=y^2z+ax^3+bx^2y$ となる。$a=0$ なら $y$ が $F$ を割り切るので $a\ne0$ であり、尖点(特異点) の定理「尖点の判定」により $S$ は接線 $y=0$ の尖点である。標数が $3$ でなければ、同記事の定理「尖点をもつ 3 次曲線の標準形」により $C$ は $V(y^2z-x^3)$ と射影同値である。$\square$
標数 $0$ での分類は Ful08 Problem 5.24 (b)(p. 59)にもある。標数 $2$ では $y^2z-x^3-x^2z$ の接錐は $(x+y)^2$ になり、原点は結節点でない(特異曲線のPicard群 の反例の表)。
$C=V(F)$ を既約な平面 3 次曲線、$O$ を $C$ の変曲点とする。
要点:$C\cdot T_O=3O$ から $F(x,y,0)$ は $x^3$ の定数倍で、$O$ の非特異性から $y^2z$ の係数が $0$ でない。あとは平方完成と平行移動である。
1:射影変換で $O=(0:1:0)$、$T_O=\{z=0\}$ とする。$C\cdot T_O=3O$ なので、2 変数の 3 次式 $F(x,y,0)$ の零点は $(0:1)$ だけで重複度 $3$ であり、$F(x,y,0)=c\,x^3$ である。$c=0$ なら $z$ が $F$ を割り切るので $c\ne0$ である。よって $F=cx^3+z\,G(x,y,z)$($G$ は 2 次式)と書ける。$O$ で $F_x=3cx^2+zG_x$、$F_y=zG_y$ は $0$ であり、$F_z(O)=G(0,1,0)$ は $G$ の $y^2$ の係数 $e$ に等しいから、$O$ が非特異であることから $e\ne0$ である。よって $F=cx^3+ey^2z+yz(\beta x+\gamma z)+z\,g(x,z)$($g$ は $x,z$ の 2 次式)である。$\mu^2=-c/e$ となる $\mu$ をとり $y$ を $\mu y$ に替えて全体を $-c$ で割ると、Weierstrass 方程式の形になる。
2:$y$ を $y-\tfrac12(a_1x+a_3z)$ に替えると $y^2z=x^3+b_2x^2z+b_4xz^2+b_6z^3$ の形になり、$x$ を $x-\tfrac{b_2}{3}z$ に替えると $x^2z$ の項が消える。どちらも $(0:1:0)$ と $\{z=0\}$ を保つ。非特異性の判定は 楕円曲線 の命題「滑らかさと判別式」である。
3:$f(x):=x^3+\alpha x+\beta$ とおく。$O$ は非特異で、アフィン部分の特異点 $(x_0,y_0)$ では $2y_0=0$、$f(x_0)=f'(x_0)=0$ なので、$f$ は重根 $x_0$ をもつ。根の和は $0$ なので根は $x_0,x_0,-2x_0$ である。$x_0\ne0$ なら、$s^2=27x_0^3$ となる $s$ をとり $x=3x_0X+x_0Z$、$y=sY$、$z=Z$ とおくと、$(x-x_0z)^2(x+2x_0z)=27x_0^3X^2(X+Z)$ から $Y^2Z=X^3+X^2Z$ となる($3x_0\ne0$ に標数 $3$ でないことを使う)。$x_0=0$ なら $f=x^3$ で $y^2z=x^3$ である。どちらの変換も $(0:1:0)$ を保つ。$\square$
1 は Ful08 Problem 5.24 (a)(p. 59)の内容である。特異な既約 3 次曲線では $(0:1:0)$ は $y^2z=x^3+x^2z$ と $y^2z=x^3$ の変曲点なので、thm-pc-singular と合わせて、既約な平面 3 次曲線はすべて変曲点をもつ(非特異なら標数 $2$ でないとき cor-pc-flex-exists、特異なら結節は標数 $2$ でないとき、尖点は標数 $3$ でないとき)。
$C$ を既約な平面 3 次曲線、$O$ を変曲点とする。$\operatorname{Pic}^0(C)$ を次数 $0$ の Picard 群とする($C$ が特異なら 特異曲線のPicard群 の $\operatorname{Pic}^0$、非特異なら次数 $0$ の因子類群)。$C_{\mathrm{ns}}$ の点の局所環は離散付値環なので、$C_{\mathrm{ns}}$ の点の整数係数の和は Cartier 因子を定める。そこで
$$
\kappa\colon C_{\mathrm{ns}}\longrightarrow\operatorname{Pic}^0(C),\qquad P\longmapsto[P-O]
$$
とおく。
$L$、$L'$ を $C$ の特異点を通らない直線とし、$\ell$、$\ell'$ をそれらを定める 1 次式とする。このとき関数体の元 $\ell/\ell'$ の Cartier 因子は $C\cdot L-C\cdot L'$ に等しい。とくに $C\cdot L$ と $C\cdot L'$ は線型同値である。
$P\in C_{\mathrm{ns}}$ で $P$ を通らない直線の 1 次式 $m$ をとると、$\ell/m$ の $P$ での零の位数は $I(P,C\cap L)$ に等しい(交点数(平面曲線) の性質 (viii))。よって $\ell/\ell'=(\ell/m)/(\ell'/m)$ の位数は $I(P,C\cap L)-I(P,C\cap L')$ である。特異点 $S$ があれば $\ell,\ell'$ は $S$ で $0$ でないので、$\ell/\ell'$ は $S$ の局所環の単元である。したがって $\ell/\ell'$ の Cartier 因子は、$S$ の近くで $0$、$C_{\mathrm{ns}}$ の上で $C\cdot L-C\cdot L'$ である。$\square$
$k$ の標数を $2,3$ でないとし、$C$ を既約な平面 3 次曲線、$O$ を変曲点とする。
1:射影変換で $\kappa$ の性質は変わらないので、thm-pc-weierstrass の 2 により $C$ は $y^2z=x^3+\alpha xz^2+\beta z^3$、$O=(0:1:0)$ としてよい。$C$ が非特異なら $(C,O)$ は楕円曲線で(楕円曲線 の命題「滑らかさと判別式」)、$\kappa$ は同記事の定理「群構造と因子類群」の写像なので全単射である。$C$ が特異なら、thm-pc-weierstrass の 3 により $C$ は $y^2z=x^3+x^2z$ か $y^2z=x^3$ で $O=(0:1:0)$ としてよく、特異曲線のPicard群 の例「射影3次曲線の次数0のPicard群」により $\kappa$ は全単射である。
2:$C\cdot T_O=3O$ で、$T_O$ は特異点を通らない(通れば $C\cdot T_O$ が $O$ と特異点の両方を含む)。$C\cdot L=P+Q+R$ なら $L$ も特異点を通らない(節「定義と記号」の最後の注意)。lem-pc-line-class により $P+Q+R-3O$ は主因子で、$\kappa(P)+\kappa(Q)+\kappa(R)=0$ である。逆に $\kappa(P)+\kappa(Q)+\kappa(R)=0$ とする。$P,Q$ を通る直線($P=Q$ なら $T_P$)を $L$ とすると、$L$ は $C_{\mathrm{ns}}$ の点を重複度込みで 2 つ含むので特異点を通らず、$C\cdot L=P+Q+R'$($R'\in C_{\mathrm{ns}}$)と書ける。前半により $\kappa(R')=-\kappa(P)-\kappa(Q)=\kappa(R)$ で、1 により $R'=R$ である。
3:$C\cdot T_P=2P+R$($R\in C_{\mathrm{ns}}$)と書くと、2 により $\kappa(R)=-2\kappa(P)$ である。よって $2\kappa(P)=0$ は $\kappa(R)=0=\kappa(O)$、すなわち $R=O$ と同値である。$R=O$ なら $O\in T_P$ である。逆に $O\in T_P$ のとき、$O\ne P$ なら $O$ は $C\cdot T_P=2P+R$ に現れるので $R=O$ であり、$O=P$ なら $C\cdot T_O=3O$ から $R=O$ である。
4:$P$ が変曲点なら $C\cdot T_P=3P$ で、2 により $3\kappa(P)=0$ である。逆に $3\kappa(P)=0$ なら、3 の記号で $\kappa(R)=-2\kappa(P)=\kappa(P)$ なので $R=P$、すなわち $C\cdot T_P=3P$ で $P$ は変曲点である。
最後の主張:$P,Q$ を通る直線の 3 番目の交点を $R$、$O$ と $R$ を通る直線の 3 番目の交点を $R'$ とすると、2 により $\kappa(R)=-\kappa(P)-\kappa(Q)$、$\kappa(R')=-\kappa(O)-\kappa(R)=\kappa(P)+\kappa(Q)$ である。$\square$
非特異な場合、これは 楕円曲線 の定義「弦と接線による加法」の群であり、曲線 $y^2z=x^3-xz^2$ の場合の群の構成は Har77 II Example 6.10.2(p. 139)にあり、同じ曲線についての 2〜4 に当たる主張が Har77 II Exercise 6.6 (a)–(c)(pp. 147–148)にある。3 と 4 は「位数を割り切る」形で述べており、「位数がちょうど $2$($3$)」と言うには $P\ne O$ が要る(節「反例」)。
標数を $2,3$ でないとする。$C\colon y^2z=x^3-xz^2$ は $f(x)=x^3-x$ が相異なる根 $0,\pm1$ をもつので非特異で、$O=(0:1:0)$ は $C\cdot\{z=0\}=3O$ から変曲点である。$O$ を通る直線は $z=0$ と $x=ez$($e\in k$)で、$x=ez$ が接線になるのは $y^2=e^3-e$ が $y$ について重根をもつとき、すなわち $e\in\{0,\pm1\}$ のときに限る。thm-pc-collinear の 3 により、$2\kappa(P)=0$ をみたす点は $O$ と $(e:0:1)$($e=0,\pm1$)のちょうど 4 個である(楕円曲線 の命題「位数 2 の点」と一致する)。
標数を $2,3$ でないとし、$C\colon y^2z=x^3+x^2z$、$O=(0:1:0)$ とする。$t\mapsto(t^2-1:t(t^2-1):1)$ は $t\ne\pm1$ で $C_{\mathrm{ns}}$ のアフィン部分を表し、特異曲線のPicard群 の例「射影3次曲線の次数0のPicard群」により $\kappa$ は $\operatorname{Pic}^0(C)\cong k^\times$ との同一視で $t\mapsto(t+1)/(t-1)$ になる。原点を通らない直線 $y=mx+c$($c\ne0$)との交点は $p(t):=t^3-mt^2-t+(m-c)$ の根 $t_1,t_2,t_3$ で、
$$
\prod_{i=1}^3\frac{t_i+1}{t_i-1}=\frac{p(-1)}{p(1)}=\frac{-c}{-c}=1
$$
となり、thm-pc-collinear の 2 と合う。4 により変曲点は $(t+1)/(t-1)$ が $1$ の 3 乗根になる点で、$O$ と 2 つのアフィンな点の計 3 個である。尖点 3 次曲線 $y^2z=x^3$ では同じ計算が加法群 $(k,+)$ で起こる(尖点(特異点) の定理「尖点 3 次曲線の非特異点は加法群」)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 2 の「切り口として重複度込みで」 | ex-pc-smooth の $C$ で $P=Q=O$、$R=(0:0:1)$ | 集合 $\{P,Q,R\}=\{O,R\}$ は 1 本の直線にのるが、和は $\kappa(R)\ne0$ |
| 「位数がちょうど 2」と読むときの $P\ne O$ | $P=O$ | $T_O$ は $O$ を通るが、$\kappa(O)=0$ の位数は $1$ |
| 「位数がちょうど 3」と読むときの $P\ne O$ | $P=O$ | $O$ は変曲点だが、位数は $1$ |
| $O$ が変曲点 | ex-pc-smooth の $C$ で基点を $O'=(0:0:1)$ にとる | $C\cdot\{z=0\}=3O$ だが $3[O-O']=[O-O']\ne0$ |
| 既約(thm-pc-singular) | $xyz=0$(3 直線) | 特異点が $(1:0:0)$、$(0:1:0)$、$(0:0:1)$ の 3 個 |
| 標数 $2$ でない(thm-pc-singular の 1 の後半) | 標数 $2$ の $y^2z=x^3+x^2z$ | 接錐が $(x+y)^2$ で、原点は結節点でない |
要点:基点を変えると切り口の類 $3O$ と $3O'$ がずれ、位数を割り切ることと位数そのものは $O$ で食い違う。
1 行目:$\kappa(O)=0$ なので和は $\kappa(R)$ で、$R\ne O$ だから $\kappa$ の単射性により $0$ でない。2 点はつねに 1 本の直線にのるが、切り口は重複度込みで $2O+R$ にならない($O$ と $R$ を通る直線 $x=0$ の切り口は $O+2R$、$T_O$ の切り口は $3O$)。
2・3 行目:$C\cdot T_O=3O$ なので $T_O\ni O$ で $O$ は変曲点だが、$\kappa(O)=0$ である。
4 行目:$O'=(0:0:1)$ での接線は $x=0$ で、$C\cdot\{x=0\}=2O'+O$ なので $O'$ は変曲点でない。thm-pc-collinear(基点 $O$)の 3 により $2[O'-O]=0$、$[O'-O]\ne0$ である。基点を $O'$ にすると $C\cdot\{z=0\}=3O$ の 3 点の和は $3[O-O']=[O-O']+2[O-O']=[O-O']\ne0$ である。
5 行目:$F=xyz$ の偏微分 $yz,xz,xy$ は 3 つの座標点で同時に $0$ になる。6 行目は 特異曲線のPicard群 の反例の表の 2 行目と同じ計算である。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する