局所連結空間 (locally connected space) とは、空間の局所的な(微視的な)形状が連結であることを保証する位相空間のクラスである。具体的には、任意の点の任意の近傍の中に、より小さな連結な近傍が含まれる空間を指す。この性質は、空間全体が大域的に連結であるか否かとは独立しており、例えば「連結だが局所連結ではない」病的な空間や、「非連結だが局所連結である」空間が存在する。多様体やCW複体など、幾何学で扱われる主要な空間は局所連結性を満たす。
局所連結性は、ある点の「十分近く」がどのような形状をしているかを規定する概念である。
位相空間 $X$ が局所連結(locally connected)であるとは、$X$ の各点 $x$ が、連結な開近傍からなる基本近傍系を持つことをいう。
すなわち、任意の点 $x \in X$ とその任意の開近傍 $U$ に対して、ある連結な開集合 $V$ が存在し、
$$x \in V \subseteq U$$
を満たすことである。
これは、「$X$ の開集合系が、連結な開集合からなる基底を持つ」と言い換えることもできる。
「連結性」が大域的(global)な性質であるのに対し、「局所連結性」は局所的(local)な性質である。これらは互いに独立しており、一方の性質が他方を保証するものではない。
この関係を整理すると、以下の4つのパターンすべてが存在する。
| 連結 である | 連結 ではない | |
|---|---|---|
| 局所連結である | $\mathbb{R}^n$、円周 $S^1$ | $(0, 1) \cup (2, 3)$ |
| 局所連結ではない | 位相幾何学者の正弦曲線 | $\mathbb{Q}$(有理数全体の集合) |
局所連結でない空間の代表例は、境界付近で激しい振動や集積が起こっているものである。
平面 $\mathbb{R}^2$ 上の集合
$$S = \left\{ \left( x, \sin \frac{1}{x} \right) \;\middle|\; 0 < x \le 1 \right\} \cup \{ (0, y) \mid -1 \le y \le 1 \}$$
は、連結であるが局所連結ではない。
$$C = ([0, 1] \times \{0\}) \cup (\{0\} \times [0, 1]) \cup \bigcup_{n=1}^{\infty} \left( \left\{\frac{1}{n}\right\} \times [0, 1] \right)$$
この空間も連結であるが、点 $(0, 1)$ において局所連結ではない。
$y$ 軸上の点 $(0, 1)$ の近傍は、無数の「歯」によって分断されており、その近傍内で $(0, 1)$ と右側の歯をつなぐ道は、一度 $x$ 軸 ($y=0$) まで降りてから登るしかなく、小さな近傍内に収まらないためである。
局所連結空間においては、連結成分の位相的性質が非常に良くなる。これは解析学や幾何学で局所連結性が仮定される主な理由の一つである。
位相空間 $X$ が局所連結であるための必要十分条件は、$X$ の任意の開集合 $U$ の連結成分が、すべて($X$ の)開集合となることである。
通常の位相空間では、連結成分は常に「閉集合」であるが、「開集合」であるとは限らない(例:有理数集合 $\mathbb{Q}$ の連結成分は一点集合であり、開集合ではない)。局所連結空間では、開集合の連結成分が再び開集合になることが保証される。
より強い概念である「局所弧状連結性」との関係も重要である。
しかし、逆は成立しない。「局所連結だが局所弧状連結ではない」という奇妙な空間も存在する。
これは「連結だが弧状連結ではない空間」の例を無限個用意し、一点に集積させるような操作で構成することができる。