射影正規(projectively normal)とは、射影空間の閉部分スキーム $X\subset\mathbb{P}^n_k$ の斉次座標環 $S(X)$ が整閉整域であること、すなわちアフィン錐が正規であることをいう。射影正規なら正規だが、逆は成り立たず、射影直線と同型な 4 次の有理曲線 $[s^4:s^3t:st^3:t^4]$ は射影正規でない。射影空間の Veronese 埋め込みの像は射影正規であり、性質は埋め込みに依存する。代数閉体上の空でない連結な正規閉部分スキームでは、すべての $m\ge0$ で $\Gamma(\mathbb{P}^n,\mathcal{O}(m))\to\Gamma(X,\mathcal{O}_X(m))$ が全射であることと同値である。
前提知識: 射影多様体, 正規スキーム, 整閉整域, Proj(次数付き環の射影スキーム), 射影空間への射
正規性(正規スキーム)は局所環が整閉整域であるという局所的な性質で、スキームそのものに対して定まる。射影空間の中の閉部分スキーム $X\subset\mathbb{P}^n_k$ には、もう 1 つ自然な環、すなわち斉次座標環 $S(X)$ がある。$S(X)$ は $X$ 上の錐(アフィン錐)の座標環であり、$S(X)$ が整閉整域であるとき $X$ を射影正規(projectively normal)という。
射影正規なら正規であるが、逆は成り立たない。同じ射影直線 $\mathbb{P}^1_k$ でも、4 次の Veronese 埋め込みの像は射影正規であり、それを 1 点から射影した $\mathbb{P}^3_k$ の中の 4 次の有理曲線は射影正規でない。射影正規性は埋め込みに依存する性質であり、代数閉体上の空でない連結な正規閉部分スキームでは、「次数 $m$ の斉次多項式が $X$ 上の $\mathcal{O}_X(m)$ の切断をすべて与えること」と同値になる。
$k$ を体、$S=k[x_0,\dots,x_n]$ とし、$X\subset\mathbb{P}^n_k$ を閉部分スキーム、$\mathcal{I}_X$ をそのイデアル層とする。
$I:=\bigoplus_{m\ge0}\Gamma(\mathbb{P}^n_k,\mathcal{I}_X(m))$ は $S$ の斉次イデアルである。$S(X):=S/I$ を $X$ の(与えられた埋め込みに関する)斉次座標環という。
$\mathcal{I}_X(m)\subset\mathcal{O}(m)$ と $\Gamma(\mathbb{P}^n_k,\mathcal{O}(m))=S_m$(Serreのひねり層の定理「大域切断は斉次多項式」)により $I_m\subset S_m$ である。完全列 $0\to\mathcal{I}_X(m)\to\mathcal{O}(m)\to\mathcal{O}_X(m)\to0$ の大域切断をとると、$I_m$ は制限写像 $S_m\to\Gamma(X,\mathcal{O}_X(m))$ の核であり、
$$
S(X)_m\hookrightarrow\Gamma(X,\mathcal{O}_X(m))
$$
が単射になる。$X$ は斉次イデアル $I$ の定める閉部分スキームであり、$X\cong\operatorname{Proj}S(X)$ である(Har77 II 系 5.16 (a) とその証明、p. 119–120。この記事では証明しない)。$k$ が代数閉体で $X$ が射影多様体(被約で既約)なら、$I$ は $X$ の上で消える斉次多項式全体のなすイデアルであり、$S(X)$ は古典的な斉次座標環に一致する($X$ は被約で $k$ 上有限型なので、$\mathcal{O}_X(m)$ の切断はすべての閉点で消えれば $0$ である。射影多様体)。
閉部分スキーム $X\subset\mathbb{P}^n_k$ が(与えられた埋め込みに関して)射影正規(projectively normal)であるとは、斉次座標環 $S(X)$ が整閉整域であることをいう。
$X$ が空なら $\mathcal{I}_X=\mathcal{O}$ で $I=S$、$S(X)=0$ は整域でないので、射影正規な $X$ は空でない。正規スキームの定理「アフィン局所判定」と整閉整域の定理「整閉性の局所判定」により、$S(X)$ が整閉整域であることは、アフィン錐 $\operatorname{Spec}S(X)\subset\mathbb{A}^{n+1}_k$ が整で正規なスキームであることと同値である。したがって射影正規性は、$X$ 自身ではなく錐の頂点まで含めた正規性を問う条件である。
$X\subset\mathbb{P}^n_k$ が射影正規なら、$X$ は正規である。すなわち $X$ の局所環はすべて整閉整域である。
$R:=S(X)$ とおく。$X\cong\operatorname{Proj}R$ なので、点 $x\in X$ に対応する斉次素イデアルを $\mathfrak{p}$、$\mathfrak{p}$ に属さない斉次元の全体を $T$ とすると、$\mathcal{O}_{X,x}\cong R_{(\mathfrak{p})}=(T^{-1}R)_0$ である(Proj(次数付き環の射影スキーム)の定理「Proj はスキームである」の 1)。$T^{-1}R$ は整域 $R$ の商体 $K$ の部分環であり、整閉整域の定理「整閉整域の局所化」により整閉整域である。$R_{(\mathfrak{p})}$ は $K$ の部分環なので整域である。
$\alpha$ を $R_{(\mathfrak{p})}$ の商体の元で $R_{(\mathfrak{p})}$ 上整なものとする。$R_{(\mathfrak{p})}$ の元は同じ次数の斉次元の比なので、分母を払うと $\alpha=f/g$($f,g\in R$ は同じ次数 $e$ の斉次元、$g\neq0$)と書ける。$\alpha$ は $T^{-1}R$ 上整で $K$ に属するから、$T^{-1}R$ の整閉性により $\alpha\in T^{-1}R$ である。$T^{-1}R$ は $\mathbb{Z}$ 次数付き環なので $\alpha=\sum_d\alpha_d$($\alpha_d$ は次数 $d$ の成分)と分解できる。$g\alpha=f$ の次数 $e+d$ の成分を比べると、$d\neq0$ なら $g\alpha_d=0$ であり、$T^{-1}R$ は整域なので $\alpha_d=0$ である。よって $\alpha=\alpha_0\in(T^{-1}R)_0=R_{(\mathfrak{p})}$ であり、$R_{(\mathfrak{p})}$ は整閉である。$\square$
逆は成り立たない。thm-pn-quartic の曲線は射影直線と同型なので正規だが、射影正規でない。
$d\ge1$ とし、$S^{(d)}:=\bigoplus_{m\ge0}S_{md}$ を、次数を $m$ と読み替えた次数付き環とする(Veronese 部分環)。
$\nu_d\colon\mathbb{P}^n_k\to\mathbb{P}^N_k$ を $d$ 次の Veronese 埋め込み(Veronese埋め込み)、$X:=\nu_d(\mathbb{P}^n_k)$ をその像の閉部分スキームとする。
1:$\mathbb{P}^N_k$ の座標を次数 $d$ の単項式 $M$ で添字づけて $y_M$ と書く。$\nu_d$ は閉埋め込みで $\nu_d^*\mathcal{O}(1)\cong\mathcal{O}(d)$、$\nu_d^*y_M=M$ である(射影空間への射の例「Veronese 埋め込み」)。$\nu_d$ による同型 $\mathbb{P}^n_k\cong X$ のもとで $\mathcal{O}_X(m)$ は $\mathcal{O}(md)$ に対応するので、制限写像 $k[y]_m\to\Gamma(X,\mathcal{O}_X(m))\cong S_{md}$ は $y$ の単項式 $y_{M_1}\cdots y_{M_m}$ を $M_1\cdots M_m$ に写す。次数 $md$ の単項式はすべて次数 $d$ の単項式 $m$ 個の積なので、この写像は全射である。定義のあとの注意により $S(X)_m$ はこの写像の像と同型であり、$S(X)\cong S^{(d)}$ を得る。
2:$S^{(d)}$ は整域 $S$ の部分環なので整域である。まず $S\cap\operatorname{Frac}(S^{(d)})=S^{(d)}$ を示す。$\beta\in S$ が $b\beta=a$($a,b\in S^{(d)}$、$b\neq0$)をみたすとし、$\beta$ の零でない斉次成分の個数についての帰納法を使う。$\beta$ の最低次の成分を $\beta_e$、$b$ の最低次の成分を $b_c$ とすると、$b\beta$ の最低次の成分は $b_c\beta_e\neq0$ で、これは $a$ の成分なので次数 $c+e$ は $d$ の倍数である。$c$ も $d$ の倍数なので $e$ も $d$ の倍数で、$\beta_e\in S^{(d)}$ である。$\beta-\beta_e=(a-\beta_eb)/b$ は成分の個数が少なく、$a-\beta_eb\in S^{(d)}$ なので、帰納法の仮定により $\beta-\beta_e\in S^{(d)}$ である。
次に $\alpha\in\operatorname{Frac}(S^{(d)})$ が $S^{(d)}$ 上整とすると、$\alpha$ は $S$ 上整で $\operatorname{Frac}(S)$ に属する。$S$ は一意分解整域なので整閉であり(整閉整域の定理「一意分解整域の整閉性」)、$\alpha\in S$ である。前段により $\alpha\in S^{(d)}$ である。$\square$
$d=1$ では $X=\mathbb{P}^n_k$ で $S(X)=S$ である。$n=1$ のとき、$\nu_d(\mathbb{P}^1_k)\subset\mathbb{P}^d_k$ は $d$ 次の有理正規曲線であり、斉次座標環は $k[s,t]$ の次数が $d$ の倍数の部分 $k[s^d,s^{d-1}t,\dots,t^d]$ である。Veronese埋め込みの命題「同型な多様体の異なる斉次座標環」が示すように、$\mathbb{P}^1_k$ と $\nu_2(\mathbb{P}^1_k)$ の斉次座標環は同型でないが、どちらも射影正規である。
$k$ を体とし、$\varphi\colon\mathbb{P}^1_k\to\mathbb{P}^3_k$ を $[s:t]\mapsto[s^4:s^3t:st^3:t^4]$ で定まる射、$Y:=\varphi(\mathbb{P}^1_k)$ とする。
1:$\varphi$ は $\mathcal{O}(4)$ と切断 $s^4,s^3t,st^3,t^4$ の組に対応する($s^4$ と $t^4$ だけで $\mathcal{O}(4)$ を生成する)。射影空間への射の命題「座標近傍による閉埋め込みの判定」を確かめる。$u:=t/s$、$v:=s/t$ とおく。座標 $x_0=s^4$ の近傍の逆像は $D_+(s)=\operatorname{Spec}k[u]$ で、環準同型は $x_1/x_0,x_2/x_0,x_3/x_0\mapsto u,u^3,u^4$ なので全射である。$x_3=t^4$ の近傍でも同様に $v^4,v^3,v$ が像に入り全射である。$x_1=s^3t$ の近傍の逆像は $D_+(st)=\operatorname{Spec}k[u,u^{-1}]$ で、像は $s/t=u^{-1}$、$t^2/s^2=u^2$、$t^3/s^3=u^3$ を含み、$u=u^3\cdot(u^{-1})^2$ なので全射である。$x_2=st^3$ の近傍でも像は $u^{-3},u^{-2},u$ を含み、$u^{-1}=u^{-2}\cdot u$ なので全射である。よって $\varphi$ は閉埋め込みである。$\mathbb{P}^1_k$ の局所環は体か離散付値環なので、$Y$ は正規である。
2:$\varphi^*\mathcal{O}(1)\cong\mathcal{O}(4)$ なので、$\mathcal{O}_Y(m)$ は $\mathcal{O}_{\mathbb{P}^1}(4m)$ に対応し、制限写像 $k[x_0,\dots,x_3]_m\to\Gamma(Y,\mathcal{O}_Y(m))\cong k[s,t]_{4m}$ は $x_0,x_1,x_2,x_3$ に $s^4,s^3t,st^3,t^4$ を代入する写像である。定義のあとの注意により $S(Y)_m$ はその像 $R_m:=R\cap k[s,t]_{4m}$ と同型で、$S(Y)\cong R$ である。$\alpha:=s^2t^2=(s^3t)^2/s^4$ は $R$ の商体に属し、$\alpha^2=s^4\cdot t^4\in R$ なので $R$ 上整である。一方 $\alpha$ は $s,t$ について 4 次なので、$R$ に属するなら $R_1=ks^4+ks^3t+kst^3+kt^4$ に属するはずだが、そうではない。よって $R$ は整閉でない。$\square$
$Y$ は、有理正規曲線 $C=\nu_4(\mathbb{P}^1_k)\subset\mathbb{P}^4_k$(座標 $s^4,s^3t,s^2t^2,st^3,t^4$)を、$C$ 上にない点 $[0:0:1:0:0]$ から $\mathbb{P}^3_k$ へ射影したものである(射影空間への射の例「点からの射影」)。射影で座標 $s^2t^2$ が失われ、斉次座標環に欠けた単項式が整元として現れる。次の判定法の言葉では、$\Gamma(\mathbb{P}^3_k,\mathcal{O}(1))$(4 次元)から $\Gamma(Y,\mathcal{O}_Y(1))\cong k[s,t]_4$(5 次元)への制限写像が全射でないことにあたる。$C$ は完備線型系 $|\mathcal{O}(4)|$ のすべての切断で埋め込まれ、$Y$ はその一部の切断で埋め込まれている。
$k$ を代数閉体、$X\subset\mathbb{P}^n_k$ を空でない連結な正規閉部分スキームとする。
$R:=S(X)$、$R':=\bigoplus_{m\ge0}\Gamma(X,\mathcal{O}_X(m))$ とおく。$R'$ は切断の積で次数付き環になり、定義のあとの注意により $R$ は $R'$ の次数付き部分環とみなせる。
段 1($X$ は整):$X$ の局所環は整域なので、どの点もただ 1 つの既約成分に属する(2 つの既約成分に属する点の局所環は極小素イデアルを 2 つ以上もつ)。よって有限個の既約成分は互いに交わらず、それぞれ開かつ閉である。$X$ は空でなく連結なので既約であり、局所環が整域なので被約でもある。$K$ を $X$ の関数体とする。
段 2($R'$ は整域):$X$ は空でないので、座標を並べ替えて $U:=X\cap D_+(x_0)\neq\emptyset$ としてよい。$U$ 上で $x_0$ は $\mathcal{O}_X(1)$ を生成するので、$s\in R'_m$ は $U$ 上で $s=f\,x_0^m$($f\in\mathcal{O}_X(U)\subset K$)と一意に書ける。$\varphi(s):=fT^m$ と定めると、$\varphi\colon R'\to K[T]$ は次数を保つ環準同型で、単射である。
$s$ が $U$ 上で $0$ とする。$\mathcal{O}_X(1)$ が生成元 $e$ で自明になるアフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}B$ の上で $s=be^m$($b\in B$)と書くと、$X$ は整なので $B$ は整域で、$b$ は空でない開集合 $U\cap V$ の上で $0$ だから $B$ の商体の中で $0$、すなわち $b=0$ である。このような $V$ が $X$ を覆うので $s=0$ である。
$\lambda\in k^\times$ について $T\mapsto\lambda T$ は $K[T]$ の自己同型 $\sigma_\lambda$ を定め、$R'$ の次数 $m$ の部分を $\lambda^m$ 倍するので $R'$ と $L$ を保つ。よって $\sigma_\lambda(\alpha)=\sum_m\lambda^ma_mT^m$ も $L$ に属し $R'$ 上整である。$\alpha$ の次数を $D$ とし、相異なる $\lambda_0,\dots,\lambda_D\in k^\times$ をとると、Vandermonde 行列 $(\lambda_j^m)$ は可逆なので、各 $a_mT^m$ は $\sigma_{\lambda_0}(\alpha),\dots,\sigma_{\lambda_D}(\alpha)$ の $k$ 係数の 1 次結合である。$L$ の中で $R'$ 上整な元は環をなすので、$a_mT^m$ は $R'$ 上整である。
2 の「空でない」は外せない。$X=\emptyset$ は正規(局所環の条件が空)で、空集合を連結とみなす流儀では連結でもあり、制限写像は $0$ への写像として全射だが、$S(X)=0$ は整域でない。$X$ が空でなく 2 の全射性が成り立てば、$m=0$ で $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)=k$ となるので、$X$ は連結である。たとえば $\mathbb{P}^1_k$ の 2 点 $\{[1:0],[0:1]\}$ は正規だが、$S(X)=k[x,y]/(xy)$ は整域でなく射影正規でない。このとき $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)=k\times k$ で、$m=0$ の全射性も破れている。
$k$ を代数閉体、$n\ge2$ とし、$X=V_+(F)\subset\mathbb{P}^n_k$ を次数 $e\ge1$ の斉次多項式 $F$ の定める超曲面とする。$\mathcal{I}_X\cong\mathcal{O}(-e)$($F$ 倍)であり、完全列 $0\to\mathcal{O}(m-e)\to\mathcal{O}(m)\to\mathcal{O}_X(m)\to0$ と $H^1(\mathbb{P}^n_k,\mathcal{O}(m-e))=0$($n\ge2$、Har77 III 定理 5.1、p. 225)から、すべての $m$ で制限写像は全射であり、$S(X)=S/(F)$ である。$m=0$ の全射性から $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)=k$ で $X$ は連結である。したがって thm-pn-criterion の 2 により、$X$ が射影正規であることと $X$ が正規であることは同値である。たとえば非特異な 2 次曲面 $xy=zw$ は正規なので射影正規であり、環 $k[x,y,z,w]/(xy-zw)$ は整閉整域である。
$k$ を代数閉体、$X$ を $k$ 上の空でない連結な正規射影スキーム、$\mathcal{L}$ を非常に豊富な可逆層とし、$\Gamma(X,\mathcal{L})$ の基底 $s_0,\dots,s_n$ が定める射 $X\to\mathbb{P}^n_k$(完備線型系 $|\mathcal{L}|$ による埋め込み)を考える。$\mathcal{L}$ を与える閉埋め込みの切断が張る部分空間は 射影空間への射の定理「点と接ベクトルの分離による判定」の条件 1・2 をみたし、条件 1・2 は部分空間を大きくしても保たれるので、この射も閉埋め込みである。このとき $\mathcal{O}_X(1)\cong\mathcal{L}$ で、$m=1$ の制限写像は全射である。$X$ は整で $k$ 上固有なので $\Gamma(X,\mathcal{O}_X)=k$ であり、$m=0$ の制限写像も全射である。thm-pn-criterion の 2 により、この埋め込みが射影正規であることは、すべての $m\ge2$ について積の写像 $\operatorname{Sym}^m\Gamma(X,\mathcal{L})\to\Gamma(X,\mathcal{L}^{\otimes m})$ が全射であることと同値であり、$X$ と $\mathcal{L}$ だけで決まる条件になる。thm-pn-quartic の $Y$ は完備でない線型系による埋め込みの例である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $X$ が空でない(thm-pn-criterion の 2) | $X=\emptyset$ | 制限写像の全射性 $\Rightarrow$ 射影正規 |
| $X$ が正規(thm-pn-criterion の 2) | 尖点をもつ 3 次曲線 $y^2z=x^3$ | 制限写像の全射性 $\Rightarrow$ 射影正規 |
| すべての $m$ で全射(thm-pn-criterion の 2) | 4 次の有理曲線 $Y\subset\mathbb{P}^3_k$(thm-pn-quartic。$m=1$ で全射でない) | 射影正規であること |
| 埋め込みを固定する | $\mathbb{P}^1_k\cong Y$ | 射影正規性が多様体の同型で保たれること |
$X=V_+(F)$、$F=y^2z-x^3$ とすると $\mathcal{I}_X\cong\mathcal{O}(-3)$($F$ 倍)で、完全列 $0\to\mathcal{O}(m-3)\to\mathcal{O}(m)\to\mathcal{O}_X(m)\to0$ と $H^1(\mathbb{P}^2_k,\mathcal{O}(m-3))=0$(Har77 III 定理 5.1、p. 225)から、すべての $m$ で制限写像は全射である。一方 $z=1$ の部分 $\operatorname{Spec}k[x,y]/(y^2-x^3)$ は原点で正規でない(正規スキームの例「尖点と欠けた整元」と同じく、$y/x$ が整だが属さない)ので、thm-pn-normal の対偶により $X$ は射影正規でない。
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