Chern類の構成(射影束)

同義語:射影束によるChern類の構成construction of Chern classes via projective bundles

概要

Chern類の構成(射影束)(construction of Chern classes via projective bundles)とは、パラコンパクト Hausdorff 空間 $B$ 上の階数 $n$ の複素ベクトル束 $E$ について、射影化 $\pi\colon P(E)\to B$ 上の 2 次の整数係数の類 $x$ の冪 $1,\dots,x^{n-1}$ が $H^*(P(E);\mathbb Z)$ の $H^*(B;\mathbb Z)$ 上の基底になることを使い、$x^n+\pi^*c_1(E)x^{n-1}+\cdots+\pi^*c_n(E)=0$ の係数で整数係数の類 $c_i(E)$ を定める方法である。この類は自然性・Whitney の和公式・正規化をみたし、Chern 類の存在を与える。最高次の $c_n(E)$ は実化の Euler 類に等しい。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Chern類, 分裂原理, Leray–Hirschの定理(一般の係数環), ベクトル束の分類定理, カップ積

射影束による Chern 類の構成とは、パラコンパクト Hausdorff 空間 $B$ 上の階数 $n$ の複素ベクトル束 $E$ について、各ファイバーの直線の全体を束ねた射影化 $\pi\colon P(E)\to B$ の上に 2 次の整数係数の類 $x_E$ をとり、関係式
$$ x_E^{\,n}+\pi^*c_1(E)\,x_E^{\,n-1}+\cdots+\pi^*c_n(E)=0 $$
の係数として $c_i(E)\in H^{2i}(B;\mathbb Z)$ を定める方法である。$H^*(P(E);\mathbb Z)$ は $1,x_E,\dots,x_E^{\,n-1}$ を基底とする自由 $H^*(B;\mathbb Z)$ 加群になるので、係数はただ 1 通りに決まる。Grothendieck の考えに沿った構成で、BT82 §20 は滑らかな多様体の上で実係数の de Rham コホモロジーを使って同じ構成を行っている(同書 p. 266)。
この記事では、こうして定めた類が Chern類 の定義「Chern類の公理的定義」の 3 条件(自然性・Whitney の和公式・正規化)を整数係数で満たすことを完全に証明する(cch-thm-axioms)。同記事の命題「公理からの一意性」と合わせると、Chern 類の存在と一意性がそろう。道具は、射影化のコホモロジーの基底(Leray–Hirschの定理(一般の係数環))と、直和の射影化を 2 つの開集合に分ける議論(分裂原理)である。さらに、最高次の類 $c_n(E)$ が実化 $E_{\mathbb R}$ の Euler類 に等しいこと(cch-cor-euler)を示し、正規化を外すと一意性が崩れる反例を挙げる。

設定

この記事を通じて、底空間はパラコンパクト Hausdorff 空間(パラコンパクト空間)、ベクトル束は有限階数の複素ベクトル束とし、コホモロジーは整数係数の特異コホモロジー $H^*(-):=H^*(-;\mathbb Z)$ とする。偶数次の類はカップ積について他のすべての類と可換である(カップ積 の定理「次数付き可換性」)。
射影化 $P(E)$、射影 $\pi\colon P(E)\to B$、トートロジー直線部分束 $L_E\subset\pi^*E$(点 $\ell\in P(E)$ の上のファイバーは直線 $\ell$ そのもの)は、分裂原理 の定義「ベクトル束の射影化」と命題「トートロジー直線部分束」に従う。各ファイバーで線形単射な連続写像 $g\colon E\to\mathbb C^\infty$(ファイバーごとに単射な写像)とその Gauss 写像 $\bar g\colon B\to\mathbb{CP}^\infty$ は ベクトル束の分類定理 の定義「ファイバーごとに単射な写像とGauss写像」に従う。底空間がパラコンパクト Hausdorff なので $g$ は存在する(同記事の定理「ファイバーごとに単射な写像の存在と一意性」)。$g$ は連続写像
$$ P(g)\colon P(E)\to\mathbb{CP}^\infty,\qquad P(g)([v])=\mathbb C\,g(v) $$
を誘導する(分裂原理 の命題「ファイバーごとに単射な写像が誘導する写像」の 2)。$\mathbb{CP}^\infty$ 上のトートロジー直線束を $\gamma^1$ と書く。
$H^*(\mathbb{CP}^\infty)=\mathbb Z[h]$($\deg h=2$)である(無限次元射影空間 の定理「無限次元射影空間のコホモロジー環」)。生成元 $h$ の符号は、$\mathbb{CP}^1$ への制限 $h_1$ が複素構造の向きの基本類について $\langle h_1,[\mathbb{CP}^1]\rangle=1$ となるように選ぶ。$\mathbb{CP}^m$ への制限を $h_m$ と書く。制限 $H^2(\mathbb{CP}^\infty)\to H^2(\mathbb{CP}^m)$ は同型である(同記事の補題「有限段への制限」)。Chern類 の定義「複素射影空間の超平面類」によれば、包含による引き戻しは超平面類を超平面類に送る。$H^2(\mathbb{CP}^m)\to H^2(\mathbb{CP}^1)$ は同型なので、$h_m$ はその超平面類に等しい。$\mathbb{CP}^m$ 上のトートロジー直線束を $\gamma_m$、その双対を $\mathcal O(1):=\gamma_m^\vee$ と書く。

射影化の類と定義

射影化の 2 次の類

階数 $n\ge1$ の束 $E\to B$ とファイバーごとに単射な写像 $g$ について
$$ x_E:=P(g)^*h\in H^2(P(E)) $$
とおく。

2 次の類の基本性質

$E$ を $B$ 上の階数 $n\ge1$ の束とする。

  1. $x_E$ は $g$ の選び方によらない。
  2. 各 $b\in B$ について、$x_E$ のファイバー $\pi^{-1}(b)$ への制限を $x_b$ とすると、$1,x_b,\dots,x_b^{\,n-1}$ は $H^*(\pi^{-1}(b))$ の $\mathbb Z$ 上の基底である。
  3. $B'$ 上の階数 $n'\ge1$ の束 $E'$、連続写像 $f\colon B'\to B$、各ファイバーで線形単射な $f$ の上の束写像 $\varphi\colon E'\to E$ について、$\pi\circ P(\varphi)=f\circ\pi'$ かつ $x_{E'}=P(\varphi)^*x_E$ である($\pi'$ は $P(E')$ の射影)。

要点:1 は $P(g_0)$ と $P(g_1)$ のホモトピー、2 は射影化の 2 次の類の既知の性質、3 は $P(-)$ の関手性である。

証明を開く

1:$g_0,g_1$ をファイバーごとに単射な写像とする。ベクトル束の分類定理 の定理「ファイバーごとに単射な写像の存在と一意性」の 2 により、各 $G_t$ がファイバーごとに単射な連続写像 $G\colon E\times[0,1]\to\mathbb C^\infty$ で $G_0=g_0$、$G_1=g_1$ となるものがある。$H([v],t):=\mathbb C\,G(v,t)$ とおく。$q\colon E_0\to P(E)$ を商写像とすると、$H\circ(q\times\mathrm{id})$ は $G$ と $y\mapsto\mathbb Cy$ の合成である。後者は $\mathbb C^\infty\setminus\{0\}$ 上で連続であり(同記事の命題「普遍束とGauss写像」の 1、$r=1$)、$q\times\mathrm{id}$ は商写像なので(分裂原理 の補題「射影化の商写像」の 3)、$H$ は連続である。$H$ は $P(g_0)$ と $P(g_1)$ を結ぶホモトピーなので、特異コホモロジー の定理「ホモトピー不変性」により $P(g_0)^*h=P(g_1)^*h$ である。

2:分裂原理 の命題「複素ベクトル束の射影化の 2 次の類」を、$H^2(\mathbb{CP}^\infty)$ の生成元 $c=h$ に当てる。

3:$g\circ\varphi$ は $E'$ のファイバーごとに単射な写像であり、分裂原理 の命題「ファイバーごとに単射な写像が誘導する写像」により $\pi\circ P(\varphi)=f\circ\pi'$、$P(g\circ\varphi)=P(g)\circ P(\varphi)$ である。1 により $x_{E'}=P(g\circ\varphi)^*h=P(\varphi)^*P(g)^*h=P(\varphi)^*x_E$ である。$\square$

射影化のコホモロジーの基底と関係式

$E$ を $B$ 上の階数 $n\ge1$ の束とし、$x:=x_E$ とおく。

  1. $(b_j)_j\mapsto\sum_{j=0}^{n-1}\pi^*b_j\,x^j$ は同型 $\bigoplus_{j=0}^{n-1}H^{*-2j}(B)\to H^*(P(E))$ である。すなわち $H^*(P(E))$ は $1,x,\dots,x^{n-1}$ を基底とする自由 $H^*(B)$ 加群であり、とくに $\pi^*$ は単射である。
  2. $a_i\in H^{2i}(B)$($1\le i\le n$)の組で
    $$ x^n+\pi^*a_1\,x^{n-1}+\pi^*a_2\,x^{n-2}+\cdots+\pi^*a_n=0 $$
    をみたすものが、ただ 1 つある。

1:cch-lem-class の 2 により、$x$ は Leray–Hirschの定理(一般の係数環) の系「射影化の任意の係数環でのコホモロジー」の仮定をみたす。同系を $R=\mathbb Z$ で当てればよい。
2:$x^n\in H^{2n}(P(E))$ に 1 を当てると、$b_j\in H^{2n-2j}(B)$($0\le j\le n-1$)がただ一組あって $x^n=\sum_j\pi^*b_j\,x^j$ となる。$a_i:=-b_{n-i}$ とおけば関係式をみたす。別の組 $(a_i')$ も関係式をみたせば、差をとって $\sum_{i=1}^n\pi^*(a_i-a_i')\,x^{n-i}=0$ となり、1 の同型の単射性から $a_i=a_i'$ である。これは 分裂原理 の定理「射影化の整数係数のコホモロジー」の 3 と同じ議論である。$\square$

射影束の関係式で定める類

階数 $n\ge1$ の束 $E$ について、cch-thm-projective の 2 の組を $c_i(E):=a_i\in H^{2i}(B)$ と書き、$c_0(E):=1$、$c_i(E):=0$($i>n$)とおく。すなわち $c_i(E)$ は
$$ x_E^{\,n}+\pi^*c_1(E)\,x_E^{\,n-1}+\cdots+\pi^*c_n(E)=0 $$
をみたすただ 1 つの組である。階数 $0$ の束では $c_0=1$、$c_i=0$($i\ge1$)とする。和 $c(E):=\sum_{i\ge0}c_i(E)\in H^*(B)$ を考える。

この定義は Chern類 の定義「射影束公式によるChern類」と同じものである。実際、同記事の定理「直線束の分類」の $c_1(L)=f^*h$($L\cong f^*\mathcal O(1)$)は、$L^\vee\cong f^*\gamma^1$ と次の命題の 1・2($c_1(\gamma^1)=-h$)、主定理の自然性から $c_1(L)=-c_1(L^\vee)=-f^*c_1(\gamma^1)=f^*h$ となり、この記事の $c_1$ と一致する。よって同定義の $\xi=c_1(S^\vee)$ は、次の命題の 4 により $x_E$ に等しい(同定義の $S$ はこの記事の $L_E$ である)。ただし同記事では直線束の $c_1$ を分類写像で先に定めてから $\xi$ をとるのに対し、この記事では $x_E$ を Gauss 写像から直接定め、直線束の $c_1$ は定義の $n=1$ の場合として得る。

直線束と正規化

直線束の場合の類

$L$ を $B$ 上の複素直線束、$g$ をそのファイバーごとに単射な写像、$\bar g$ をその Gauss 写像とする。

  1. $c(L)=1+c_1(L)$ かつ $c_1(L)=-\bar g^*h$ である。とくに同型な直線束の $c_1$ は等しい。
  2. 双対束について $c_1(L^\vee)=-c_1(L)$ である。
  3. $\mathbb{CP}^m$($m\ge1$)の上で $c(\gamma_m)=1-h_m$、$c(\mathcal O(1))=1+h_m$ である。
  4. 階数 $n\ge1$ の任意の束 $E$ について $x_E=-c_1(L_E)=c_1(L_E^\vee)$ である。

要点:階数 $1$ では $P(L)=B$ なので $x_L$ は Gauss 写像の引き戻しになる。2 は、双対束が共役束と同型であり、共役が $\mathbb{CP}^1$ の上で向きを逆にすることによる。

証明を開く

1:$\pi\colon P(L)\to B$ は全単射で、分裂原理 の命題「射影化の局所自明性」の 2 により局所的に $U\times\mathbb{CP}^0\to U$ と同相なので、同相写像である。$\ell=L_b$ について $P(g)(\ell)=g(L_b)=\bar g(b)$ なので $P(g)=\bar g\circ\pi$、$x_L=\pi^*\bar g^*h$ である。定義の関係式は $x_L+\pi^*c_1(L)=0$、すなわち $\pi^*(\bar g^*h+c_1(L))=0$ であり、$\pi^*$ は同型なので $c_1(L)=-\bar g^*h$ である。束同型 $\psi\colon L'\to L$ について、$g\circ\psi$ は $L'$ のファイバーごとに単射な写像で、Gauss 写像は $\bar g$ のままなので、$c_1(L')=c_1(L)$ である(cch-lem-class の 1 により $c_1$ は $g$ によらない)。

2:$g$ から作った計量(分裂原理 の補題「ファイバーごとに単射な写像の受け継ぎ」の 3)により、部分束・商束・双対束 の命題「計量による双対束の同一視」から $L^\vee\cong\overline L$(共役束:同じ空間で $\lambda$ 倍を $\bar\lambda$ 倍に替えたもの)である。$\kappa_0\colon\mathbb C^\infty\to\mathbb C^\infty$ を成分ごとの複素共役とすると、$\kappa_0\circ g$ は $\overline L$ の各ファイバーで複素線形かつ単射であり、その Gauss 写像は $\kappa\circ\bar g$ である。ここで $\kappa\colon\mathbb{CP}^\infty\to\mathbb{CP}^\infty$、$\kappa(\mathbb Cy)=\mathbb C\kappa_0(y)$ で、$y\mapsto\mathbb Cy$ が商写像なので(ベクトル束の分類定理 の命題「普遍束とGauss写像」の 1)$\kappa$ は連続である。1 により $c_1(L^\vee)=c_1(\overline L)=-\bar g^*\kappa^*h$ である。

$\kappa^*h=-h$ を示す。$\kappa$ は $\mathbb{CP}^1$ を保つ。Riemann球面 の定理「Riemann 面としての構造と射影直線との一致」の (R3) の $[a_0:a_1]\mapsto a_1/a_0$ と命題「立体射影の式」で $\mathbb{CP}^1$ を $S^2$ と同一視すると、$\kappa|_{\mathbb{CP}^1}$ は $w\mapsto\bar w$、すなわち鏡映 $(x_1,x_2,x_3)\mapsto(x_1,-x_2,x_3)$ になる。その写像度は $-1$ である(写像度 の定理「鏡映の写像度」)。普遍係数定理 の定理「特異コホモロジーの普遍係数定理」により $H^2(\mathbb{CP}^1)=\operatorname{Hom}(H_2(\mathbb{CP}^1),\mathbb Z)$ なので、$\kappa|_{\mathbb{CP}^1}^*$ は $H^2(\mathbb{CP}^1)$ に $-1$ 倍で作用する。包含 $i_1\colon\mathbb{CP}^1\to\mathbb{CP}^\infty$ について $i_1^*\kappa^*h=(\kappa|_{\mathbb{CP}^1})^*h_1=-h_1=i_1^*(-h)$ であり、$i_1^*$ は $H^2$ で同型なので $\kappa^*h=-h$ である。よって $c_1(L^\vee)=\bar g^*h=-c_1(L)$ である。

3:$\gamma_m\subset\mathbb{CP}^m\times\mathbb C^{m+1}$ について、$g(\ell,v):=v\in\mathbb C^{m+1}\subset\mathbb C^\infty$ はファイバーごとに単射であり、Gauss 写像は包含 $\mathbb{CP}^m\to\mathbb{CP}^\infty$ である。1 により $c_1(\gamma_m)=-h_m$、2 により $c_1(\mathcal O(1))=h_m$ である。

4:$P(E)$ はパラコンパクト Hausdorff 空間である(分裂原理 の補題「射影化のパラコンパクト性」)。$(\ell,w)\mapsto g(w)$ は $L_E$ のファイバーごとに単射な写像で、その Gauss 写像は $P(g)$ である(同記事の命題「トートロジー直線部分束」の 3)。1 により $c_1(L_E)=-P(g)^*h=-x_E$ であり、2 により $-c_1(L_E)=c_1(L_E^\vee)$ である。$\square$

主定理:3 条件の確かめ

射影束の関係式で定めた類の 3 条件

cch-def-chern の $c$ は、パラコンパクト Hausdorff 空間上の複素ベクトル束について次をみたす。

  1. 自然性:パラコンパクト Hausdorff 空間 $B'$ と連続写像 $f\colon B'\to B$ について、$c(f^*E)=f^*c(E)$ である。とくに同型な束の $c$ は等しい。
  2. Whitney の和公式:$B$ 上の束 $E_1,E_2$ について、$c(E_1\oplus E_2)=c(E_1)\,c(E_2)$ である。
  3. 正規化:$\mathbb{CP}^m$($m\ge1$)の上で $c(\mathcal O(1))=1+h_m$ である。また、階数 $n$ の束について $c_i(E)=0$($i>n$)である。
    したがって $c$ は Chern類 の定義「Chern類の公理的定義」の 3 条件をみたす。同記事の命題「公理からの一意性」により、3 条件をみたす規則は $c$ ただ 1 つである。
関係式の一意性と直和の射影化の被覆

1. $E'\to B'$ を階数 $n$ の束、$\varphi\colon E'\to E$ を $f$ の上の束写像で各ファイバーで線形同型なものとし、$c(E')=f^*c(E)$ を示す。引き戻し $f^*E$ と $(b',e)\mapsto e$ はこの形であり、同型 $E'\cong E$ は $f=\mathrm{id}$ の場合である。$n=0$ なら両辺は $1$ である。$n\ge1$ とし、$x':=x_{E'}$ とおく。cch-lem-class の 3 により $x'=P(\varphi)^*x_E$、$P(\varphi)^*\pi^*=\pi'^*f^*$ である。$E$ の定義の関係式に環準同型 $P(\varphi)^*$ を当てると
$$ x'^{\,n}+\pi'^*\bigl(f^*c_1(E)\bigr)\,x'^{\,n-1}+\cdots+\pi'^*\bigl(f^*c_n(E)\bigr)=0 $$
となる。$f^*c_i(E)\in H^{2i}(B')$ なので、cch-thm-projective の 2 の一意性($E'$ について)から $c_i(E')=f^*c_i(E)$ である。$i>n$ では両辺とも $0$ である。
2. 一方の階数が $0$ なら、$E_1\oplus0\cong E_1$ と 1 による。$n_k:=\operatorname{rank}E_k\ge1$、$n:=n_1+n_2$、$E:=E_1\oplus E_2$ とし、$\iota_1(v)=(v,0)$、$\iota_2(v)=(0,v)$ とおく。分裂原理 の命題「直和の射影化と補集合の変形レトラクト」により、次がなりたつ。

  • $P(\iota_k)\colon P(E_k)\to P(E)$ は閉集合 $P_k$ への同相写像である。
  • $U_1:=P(E)\setminus P_2$、$U_2:=P(E)\setminus P_1$ は開集合で、$P_k\subset U_k$、$U_1\cup U_2=P(E)$ である。
  • 制限 $H^*(U_k)\to H^*(P_k)$ は同型である。
    $x:=x_E$ とし、$E$ のファイバーごとに単射な写像 $g$ をとる。$g\circ\iota_k$ は $E_k$ のファイバーごとに単射な写像なので、cch-lem-class の 3 により $P(\iota_k)^*x=x_{E_k}$、$\pi\circ P(\iota_k)=\pi_k$($\pi_k$ は $P(E_k)$ の射影)である。
    $$ a_k:=\sum_{i=0}^{n_k}\pi^*c_i(E_k)\,x^{n_k-i}\in H^{2n_k}(P(E))\qquad(k=1,2) $$
    とおくと、$P(\iota_k)^*a_k=\sum_i\pi_k^*c_i(E_k)\,x_{E_k}^{\,n_k-i}$ は $E_k$ の定義の関係式の左辺なので $0$ である。$P(\iota_k)$ は $P_k$ への同相写像なので $a_k|_{P_k}=0$ であり、$H^*(U_k)\to H^*(P_k)$ が同型なので $a_k|_{U_k}=0$ である。対 $(P(E),U_k)$ の長完全列
    $$ H^{2n_k}(P(E),U_k)\xrightarrow{\ j_k^*\ }H^{2n_k}(P(E))\to H^{2n_k}(U_k) $$
    により、$a_k=j_k^*\alpha_k$ となる $\alpha_k\in H^{2n_k}(P(E),U_k)$ がある。$U_1,U_2$ は開集合なので相対カップ積 $\alpha_1\smile\alpha_2\in H^{2n}(P(E),U_1\cup U_2)$ が定まる(カップ積 の定義「開集合の対の相対カップ積」)。$U_1\cup U_2=P(E)$ なのでこの群は $0$ である。同記事の定理「相対カップ積の基本性質」の 3(絶対版との両立)により
    $$ a_1\,a_2=j_1^*\alpha_1\smile j_2^*\alpha_2=j^*(\alpha_1\smile\alpha_2)=0 $$
    である($j^*\colon H^*(P(E),P(E))\to H^*(P(E))$)。$\pi^*$ は環準同型で $x$ は偶数次なので、展開すると
    $$ 0=a_1a_2=x^n+\sum_{k=1}^{n}\pi^*d_k\,x^{n-k},\qquad d_k:=\sum_{i+j=k}c_i(E_1)\,c_j(E_2)\in H^{2k}(B) $$
    である。cch-thm-projective の 2 の一意性から $c_k(E)=d_k$($1\le k\le n$)である。$k>n$ では $i>n_1$ か $j>n_2$ のどちらかなので $d_k=0=c_k(E)$ である。よって $c(E)=c(E_1)\,c(E_2)$ である。

3. 前半は cch-prop-line の 3、後半は定義である。
最後の主張:Chern類 の定義「Chern類の公理的定義」は、パラコンパクト Hausdorff 空間上の複素ベクトル束に $c_0=1$ の類の列を与える規則で、自然性・Whitney の和公式・正規化($c(\mathcal O(1))=1+h$ と、階数を超える類が $0$)をみたすものである。1〜3 はこれらそのものである。$\square$

BT82 §21(pp. 275–277)は、Whitney の和公式をまず直線束の直和の場合に、1 の分割で閉形式を切り落とす議論で示し、分裂原理で一般の場合に移している。上の証明は、その切り落としの代わりに、直和の射影化の 2 つの開集合 $U_1,U_2$ と相対カップ積を使い、分裂原理を経ずに直接示した。

系

自明な束と消えない切断
  1. 自明束 $B\times\mathbb C^n$ について $c=1$ である。
  2. 階数 $n$ の束 $E$ が、各点で一次独立な $k$ 本の連続な切断をもつなら、$c_i(E)=0$($i>n-k$)である。とくに、至るところ $0$ でない切断をもつ階数 $n\ge1$ の束では $c_n(E)=0$ である。

1:$B$ が 1 点で $E=\mathbb C^n$($n\ge1$)なら、$P(E)=\mathbb{CP}^{n-1}$ であり、包含 $g\colon\mathbb C^n\subset\mathbb C^\infty$ について $P(g)$ は包含なので $x_E=h_{n-1}$ である。$H^{2n}(\mathbb{CP}^{n-1})=0$(複素射影空間 の命題「コホモロジー群と制限」の 1)なので $x_E^{\,n}=0$ であり、関係式の一意性から $c_i(E)=0$($i\ge1$)である。一般の $B$ では、自明束は 1 点への写像による引き戻しなので、cch-thm-axioms の 1 から従う。
2:切断 $s_1,\dots,s_k$ について、$(b,a)\mapsto\sum_ja_js_j(b)$ は自明束 $B\times\mathbb C^k$ から $E$ への束写像で、各ファイバーで単射である。部分束・商束・双対束 の定理「階数一定の束写像の核と像」によりその像 $T$ は部分束で、$T$ は自明束に同型である。同記事の補題「計量の存在」と定理「直交補束と商束」により $E\cong T\oplus T^\perp$ で、$T^\perp$ の階数は $n-k$ である。Whitney の和公式と 1 により $c(E)=c(T^\perp)$ であり、$i>n-k$ で $c_i(T^\perp)=0$ である。$\square$

射影化のコホモロジー環

階数 $n\ge1$ の束 $E$ について、$X$ を $2$ 次の不定元として、$X\mapsto x_E$ は環の同型
$$ H^*(B)[X]\big/\bigl(X^n+c_1(E)X^{n-1}+\cdots+c_n(E)\bigr)\xrightarrow{\ \cong\ }H^*(P(E)) $$
を誘導する(係数は $\pi^*$ で送る)。

要点:基底 $1,x,\dots,x^{n-1}$ と、モニックな多項式による割り算である。

証明を開く

$X$ を $H^*(B)$ のすべての元と可換な不定元とする。$x_E$ は偶数次なので $H^*(P(E))$ の中心にあり、$\sum_jb_jX^j\mapsto\sum_j\pi^*b_j\,x_E^{\,j}$ は環準同型である。cch-thm-projective の 1 により全射である。$F:=X^n+c_1(E)X^{n-1}+\cdots+c_n(E)$ は定義の関係式により核に入る。係数 $c_i(E)$ は偶数次なので $F$ は中心にあり、$F$ が生成する両側イデアルは $F\cdot H^*(B)[X]$ である。任意の $p\in H^*(B)[X]$ は、最高次の係数が $1$ の $F$ による割り算で $p=qF+r$($r$ の $X$ についての次数は $n$ 未満)と書ける。$p$ が核に入れば $r$ の像 $\sum_{j< n}\pi^*r_j\,x_E^{\,j}$ が $0$ で、cch-thm-projective の 1 の単射性から $r=0$ である。よって核は $(F)$ である。$\square$

射影直線上の 2 つの射影化

$B=\mathbb{CP}^1$ とし、$H^*(\mathbb{CP}^1)=\mathbb Z[h_1]/(h_1^2)$ である(複素射影空間 の定理「複素射影空間のコホモロジー環」)。$E:=\underline{\mathbb C}\oplus\mathcal O(1)$ と $E':=\underline{\mathbb C}^2$($\underline{\mathbb C}$ は自明な直線束)を比べる。Whitney の和公式・cch-cor-section の 1・正規化から $c(E)=1+h_1$、$c(E')=1$ である。cch-cor-ring により($\pi^*h_1$ を $h_1$ と書く)
$$ H^*(P(E))=\mathbb Z[h_1,x]/(h_1^2,\ x^2+h_1x),\qquad H^*(P(E'))=\mathbb Z[h_1,x']/(h_1^2,\ x'^2) $$
である。2 つの環は同型でない。どちらも $H^4$ は $h_1x$(または $h_1x'$)で生成される $\mathbb Z$ である。$H^2(P(E'))$ の元の平方は $(ah_1+bx')^2=2ab\,h_1x'$ で、つねに生成元の偶数倍である。一方 $P(E)$ では $x^2=-h_1x$ で、平方が生成元の奇数倍になる元がある。$P(E')=\mathbb{CP}^1\times\mathbb{CP}^1$ であり、$c_1$ の違いが全空間のコホモロジー環の違いとして現れている。

Euler 類との関係

複素ベクトル束 $E$ の実化 $E_{\mathbb R}$ には、複素基底 $v_1,\dots,v_n$ から作った実基底 $v_1,iv_1,\dots,v_n,iv_n$ の向き(複素構造の向き)を入れる(複素ベクトル束 の命題「実化の標準的な向き」)。

直線束の実化の Euler 類

複素直線束 $L\to B$ について $e(L_{\mathbb R})=c_1(L)$ である。

要点:$\mathbb{CP}^1$ 上の $\gamma_1$ に、零点が 1 つで指数 $-1$ の切断をとり、$\mathbb{CP}^\infty$ を経て一般の $L$ に引き戻す。

証明を開く

$\mathbb{CP}^1$ に複素構造の向きを入れ、$a:=(1,0)$、$\langle x,y\rangle:=\sum_k\overline{x_k}\,y_k$ とする。$s([z]):=\frac{\langle z,a\rangle}{\langle z,z\rangle}z$ は $z$ を $\lambda z$ に替えても変わらず、$\gamma_1$ の連続な切断($a$ の直線 $\mathbb Cz$ への直交射影)である。$s([z])=0$ は $\overline{z_0}=0$、すなわち $[z]=[0:1]$ のときに限る。$z_1\ne0$ の上の正則な座標 $w=z_0/z_1$ と、局所枠 $u(w)=(w,1)$ による複素線形な(したがって向きを保つ)自明化をとると、$s=\frac{\bar w}{1+|w|^2}u(w)$ である。$|w|=\varepsilon$ の上で $\bar w/|w|$ は $v\mapsto\bar v$ という $S^1$ の鏡映なので、Euler類 の定義「孤立零点の指数」の指数は $-1$ である(写像度 の定理「鏡映の写像度」)。同記事の定理「零点の指数の和と Euler 数」により $\langle e((\gamma_1)_{\mathbb R}),[\mathbb{CP}^1]\rangle=-1$ である。$\alpha\mapsto\langle\alpha,[\mathbb{CP}^1]\rangle$ は同型 $H^2(\mathbb{CP}^1)\to\mathbb Z$ で $\langle h_1,[\mathbb{CP}^1]\rangle=1$ なので、$e((\gamma_1)_{\mathbb R})=-h_1$ である。

$\mathbb{CP}^\infty$ は CW 複体なのでパラコンパクト Hausdorff である(無限次元射影空間 の定理「位相と胞体の構造」、パラコンパクト空間 の定理「CW 複体のパラコンパクト性」)。$\gamma^1$ の $\mathbb{CP}^1$ への制限は $\gamma_1$ なので、Euler 類の自然性(Euler類 の命題「Euler 類の基本性質」の 1)から $i_1^*e(\gamma^1_{\mathbb R})=-h_1=i_1^*(-h)$ であり、$i_1^*$ は $H^2$ で同型なので $e(\gamma^1_{\mathbb R})=-h$ である。

一般の $L$ について、$L\cong\bar g^*\gamma^1$ は複素線形な束同型なので(ベクトル束の分類定理 の命題「普遍束とGauss写像」の 3)、複素構造の向きを保つ。向きを保つ束同型で Thom 類は Thom 類に移るので(Euler類 の命題「Euler 類の基本性質」の 1 の証明と同じく Thom 類の一意性による)、$e(L_{\mathbb R})=\bar g^*e(\gamma^1_{\mathbb R})=-\bar g^*h=c_1(L)$ である(cch-prop-line の 1)。$\square$

最高次の類と実化の Euler 類

階数 $n\ge1$ の束 $E\to B$ について、$c_n(E)=e(E_{\mathbb R})$ である。

旗束への引き戻し

分裂原理 の定理「分裂原理」の旗束 $p\colon\mathrm{Fl}(E)\to B$ をとる。同定理の 1〜3 により、$p^*E\cong L_1\oplus\cdots\oplus L_n$($L_j$ は複素直線束)、$p^*\colon H^*(B)\to H^*(\mathrm{Fl}(E))$ は単射、$\mathrm{Fl}(E)$ はパラコンパクト Hausdorff である。Whitney の和公式と cch-prop-line の 1 から $c(p^*E)=\prod_j(1+c_1(L_j))$、とくに $c_n(p^*E)=\prod_jc_1(L_j)$ である。$v_j\in L_j$ からなる複素基底の向き $v_1,iv_1,\dots,v_n,iv_n$ は、$(L_j)_{\mathbb R}$ の向きを順に並べた直和の向きなので、Euler類 の命題「直和の Euler 類」をくり返し使い、cch-lem-euler-line から $e((p^*E)_{\mathbb R})=\prod_je((L_j)_{\mathbb R})=\prod_jc_1(L_j)$ である。両辺の自然性から $p^*c_n(E)=c_n(p^*E)=e((p^*E)_{\mathbb R})=p^*e(E_{\mathbb R})$ であり、$p^*$ の単射性から $c_n(E)=e(E_{\mathbb R})$ である。$\square$

BT82 p. 278 も同じ順で示している。cch-cor-section の 2 の最後の主張は、この系と Euler 類の性質(Euler類 の命題「Euler 類の基本性質」の 4)からも従う。

係数と生成元の選び方

係数環を替えた構成と生成元の選び方

単位元をもつ可換環 $R$ について、$x_E$ の $R$ 係数への像 $x_{E,R}$ の冪も $H^*(P(E);R)$ の $H^*(B;R)$ 上の基底になる(Leray–Hirschの定理(一般の係数環) の系「射影化の任意の係数環でのコホモロジー」)。定義の関係式に係数の写像 $\mathbb Z\to R$ を当てると、$x_{E,R}$ の関係式の係数は $c_i(E)$ の像である。BT82 §20(pp. 267–273)は、滑らかな多様体の上で実係数の de Rham コホモロジーを使い、直線束の $c_1$ を実化の Euler 類として同じ構成を行う。
一方、生成元の選び方は結果を変える。$\mathbb Q$ 係数で $x'=\lambda x_{E,\mathbb Q}$($\lambda\in\mathbb Q^\times$)を使っても冪は基底になるが、
$$ x'^{\,n}+\sum_{i=1}^n\lambda^ic_i(E)\,x'^{\,n-i}=\lambda^n\Bigl(x_E^{\,n}+\sum_{i=1}^nc_i(E)\,x_E^{\,n-i}\Bigr)=0 $$
($c_i(E)$ と $x_E$ は $\mathbb Q$ 係数への像)なので、得られる係数は $\lambda^ic_i(E)$ である。整数係数で $\lambda x_E$($\lambda\in\mathbb Z$)の冪がファイバーの基底になるのは、$n\ge2$ なら $\lambda=\pm1$ のときだけである。$\lambda=-1$ は $x_E$ の代わりに $c_1(L_E)$ を使うことにあたり、係数は $(-1)^ic_i(E)=c_i(E^\vee)$ になる(Chern類 の命題「双対束と行列式束のChern類」の 1)。

反例

各行は 1 つの条件だけを外す。

外す条件反例成り立たなくなること
正規化 $c(\mathcal O(1))=1+h_m$(cch-thm-axioms の 3 の前半)$c^{(2)}(E):=\sum_i2^ic_i(E)$残りの条件(自然性・Whitney の和公式・階数を超える類が $0$)だけでの一意性
$x$ の冪がファイバーで $\mathbb Z$ 上の基底であること(cch-lem-class の 2)1 点上の $\mathbb C^2$ と $x'=2h_1\in H^2(\mathbb{CP}^1)$$H^*(P(E))$ が $1,x'$ を基底とする自由加群になること
複素ベクトル束であること1 点上の実ベクトル束 $\mathbb R^3$、$P(\mathbb R^3)=\mathbb{RP}^2$$H^*(P(E))$ が自由 $H^*(B)$ 加群になること
cch-cor-section の 2 の逆向き($c_n(E)=0$ を仮定にする)$S^6$ 上の自明でない階数 $2$ の複素ベクトル束至るところ $0$ でない切断の存在
表の反例の確かめ

要点:1 行目は倍率をかけても 3 条件のうち正規化以外が保たれること、2・3 行目はファイバーのコホモロジー、4 行目は直線束が $S^6$ の上で自明であることによる。

確かめを開く

1 行目:自然性と、階数を超える類が $0$ であることは $c$ から引き継ぐ。Whitney の和公式は $\sum_{i+j=k}2^ic_i(E_1)\,2^jc_j(E_2)=2^kc_k(E_1\oplus E_2)$ による。しかし $\mathbb{CP}^1$ 上で $c^{(2)}(\mathcal O(1))=1+2h_1\ne1+h_1$ である($H^2(\mathbb{CP}^1)\cong\mathbb Z$ で $h_1\ne0$)。よって正規化を除いた条件では $c$ と $c^{(2)}$ を区別できない。$c^{(2)}$ は cch-rem-coefficients の $\lambda=2$ の係数である。

2 行目:$H^2(\mathbb{CP}^1)=\mathbb Zh_1$ の元 $h_1$ は $\mathbb Z\cdot2h_1$ に入らない。

3 行目:$H_1(\mathbb{RP}^2)=\mathbb Z/2$、$H_2(\mathbb{RP}^2)=0$(実射影空間 の定理「実射影空間のホモロジー」)なので、普遍係数定理 の定理「特異コホモロジーの普遍係数定理」により $H^2(\mathbb{RP}^2)\cong\operatorname{Ext}(\mathbb Z/2,\mathbb Z)\cong\mathbb Z/2$ である。$B$ は 1 点で $H^*(B)=\mathbb Z$ なので、捩れをもつ $H^*(\mathbb{RP}^2)$ は自由 $H^*(B)$ 加群でない。

4 行目:Chern類 の例「反例:Chern類が等しいが同型でない束」の 1 により、$S^6$ 上には自明でない階数 $2$ の束 $E$ があり、$c(E)=1$、とくに $c_2(E)=0$ である。$E$ に至るところ $0$ でない切断があれば、cch-prf-cor-section の 2 の議論で $E\cong\underline{\mathbb C}\oplus T^\perp$($T^\perp$ は直線束)となる。$S^6$ は CW 複体で $H^2(S^6)=0$ なので、Chern類 の定理「直線束の分類」により $T^\perp$ は自明であり、$E$ が自明になって矛盾する。

関連項目

参考文献

[1]
Raoul Bott, Loring W. Tu, Differential Forms in Algebraic Topology, Springer, 1982, 第 IV 章の導入(p. 266)、§20(pp. 267–273。射影束の関係式 (20.6) p. 270、性質 (20.10) pp. 271–273)、§21(Whitney の和公式 pp. 275–277、最高次の Chern 類と Euler 類 p. 278)

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