基本領域

同義語:基本域fundamental domain

概要

基本領域(fundamental domain)とは、群 $G$ が位相空間 $X$ に作用するとき、どの軌道とも交わり、内部の点 $x$ については軌道 $Gx$ と $x$ だけで交わる閉集合のことで、単位正方形(整数の平行移動)、モジュラー群の基本領域、有限鏡映群の部屋の閉包がその例である。$G$ が Euclid 空間に等長変換で固有不連続に作用し、点 $x_0$ の安定化群が自明なら、軌道 $Gx_0$ の中で最も近い点が $x_0$ であるような点の集まり $D$(Dirichlet 領域)は凸な基本領域で、像 $gD$ は局所有限に空間を覆う。測度を保つ可算群について、測度の意味の基本領域の体積は取り方によらず、格子では基本平行体と Voronoi 胞体の体積が等しい。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 群の作用, 等長写像, 格子(群), Lebesgue測度

基本領域は、群が空間に作用するとき、各軌道の代表を集めた「1 枚分の領域」である。平面を整数の平行移動で動かすときの単位正方形、上半平面 にモジュラー群が作用するときの縦に長い三角形、有限鏡映群 の部屋の閉包などがその例である。基本領域の貼り合わせ方を調べると商空間がわかり、基本領域の体積は群の「大きさ」を測る量になる。この記事では一般の定義を述べ、次のことを示す。

問い答え
基本領域はいつ存在するかEuclid 空間に等長変換で固有不連続に作用する群なら、安定化群が自明な点を中心とする Dirichlet 領域が基本領域になる(thm-fd-dirichlet)
基本領域の体積は取り方によるか測度を保つ可算群なら、測度の意味の基本領域はどれも同じ体積をもつ(thm-fd-volume)
定理の仮定は外せるか固有不連続性・安定化群が自明なこと・等長性のどれか 1 つを外すと、Dirichlet 領域が基本領域でない例がある(ex-fd-counter)

定義

群 $G$ が位相空間 $X$ に 同相写像 で作用しているとする(群の作用)。$x$ の軌道を $Gx$、安定化群を $G_x$、集合 $A$ の内部を $A^\circ$、閉包を $\overline{A}$ と書く。

基本領域

$X$ の閉集合 $F$ が次の 2 条件を満たすとき、$F$ を $G$ の作用の 基本領域(fundamental domain)という。

  • (F1) どの軌道も $F$ と交わる。すなわち $\bigcup_{g\in G}gF=X$ である。
  • (F2) $x\in F^\circ$ なら $Gx\cap F=\{x\}$ である。
    $F$ がどの軌道ともちょうど 1 点で交わるとき、$F$ を 強い基本領域(strict fundamental domain)という。

これは Dav07 Definition 5.1.3 と同じ定義である。(F2) により $F^\circ$ の異なる 2 点は同じ軌道に属さないので、射影 $X\to X/G$ を $F$ に制限した写像は全射で、$F^\circ$ の上では単射である。軌道の同一視は $F$ の境界だけで起こり、集合としては $X/G$ は $F$ の境界の点を貼り合わせて得られる。これを位相空間としても使えるようにするため、$F=\overline{F^\circ}$ や、コンパクト集合と交わる $gF$ が有限個であること(局所有限性)を基本領域の定義に加えることも多い。

固有不連続な作用

$G$ の $X$ への作用が 固有不連続(properly discontinuous)であるとは、どのコンパクト集合 $K\subset X$ についても $\{g\in G\mid gK\cap K\neq\emptyset\}$ が有限集合であることをいう。

例

基本領域の例
  1. $\mathbb{Z}^n$ が $\mathbb{R}^n$ に平行移動で作用するとき、$[0,1]^n$ は基本領域である。境界の点 $(0,y)$ と $(1,y)$ は同じ軌道にあるので強い基本領域ではない。$[0,1)^n$ は各軌道とちょうど 1 点で交わるが閉集合でない。一般に格子 $\Lambda$(格子(群))の基本平行体 $P$ の閉包は $\Lambda$ の平行移動による作用の基本領域である(同記事の定義「格子」のあとの $V=P+\Lambda$ の分解)。
  2. 無限二面体群 $D_\infty$($x\mapsto\pm x+k$、$k\in\mathbb{Z}$ の全体、Coxeter系 の例「無限二面体群」)が $\mathbb{R}$ に作用するとき、$[0,\frac12]$ は強い基本領域である。$x$ を $1$ を法として $[0,1)$ に移し、$\frac12$ より大きければ $x\mapsto1-x$ を当てればよく、$y=\pm x+k$($x,y\in[0,\frac12]$)なら $k=0$ で $y=x$ か、$x=y=\frac12$ である。像 $[\frac k2,\frac{k+1}2]$ が $\mathbb{R}$ を整数と半整数の点で区切る。
  3. $\mathbb{R}^2$ に角 $2\pi/m$($m\ge2$)の回転で生成される位数 $m$ の巡回群が作用するとき、中心角 $2\pi/m$ の閉じた扇形は基本領域で、2 本の縁の半直線は回転で互いに移る。
  4. 有限鏡映群 の部屋の閉包は強い基本領域である(同記事の定理「有限鏡映群の基本定理」の 4)。たとえば $\mathbb{R}^n$ の座標の置換の群では $\{x_1\ge x_2\ge\cdots\ge x_n\}$ が強い基本領域である。
  5. 上半平面 $\mathfrak{H}$ への $\mathrm{SL}_2(\mathbb{Z})$ の作用では、$\mathcal{F}=\{\lvert\operatorname{Re}\tau\rvert\le\frac12,\ \lvert\tau\rvert\ge1\}$ が基本領域である。(F1) は同記事の定理「基本領域」の 1、(F2) は同定理の 2($\mathcal{F}$ の異なる 2 点が同じ軌道にあるのは境界の点どうしだけ)である。
  6. Kleinの壺 の定理「Klein の壺の 3 つの模型」の 1 の群 $\Gamma$($\mathbb{R}^2$ の変換 $(x,y)\mapsto(x+\frac m2,(-1)^my+n)$ の全体)について、長方形 $[0,\frac12]\times[0,1]$ は基本領域で、その境界の貼り合わせが Klein の壺を与える。

主定理 1:Dirichlet 領域

以下、$G$ は $\mathbb{R}^n$ に等長変換(等長写像)で作用する群とする。$x_0\in\mathbb{R}^n$ について
$$ D=D_{x_0}:=\{x\in\mathbb{R}^n\mid \lvert x-x_0\rvert\le\lvert x-gx_0\rvert\ \ (g\in G)\} $$
を $x_0$ を中心とする Dirichlet 領域(Dirichlet domain)という(Dav07 Complement 6.6.10)。軌道 $Gx_0$ の点のうち $x$ に最も近いものが $x_0$ であるような $x$ の集まりである。$\lvert x-x_0\rvert^2\le\lvert x-y\rvert^2$ は $2(x,y-x_0)\le\lvert y\rvert^2-\lvert x_0\rvert^2$ と同値なので、$D$ は閉半空間の共通部分で、凸な閉集合である。

軌道の有限性

$G$ が $\mathbb{R}^n$ に固有不連続に作用するとき、どの $x_0$ と $r>0$ についても $\{g\in G\mid\lvert gx_0-x_0\rvert\le r\}$ は有限集合である。とくに $G$ は可算群である。

閉球を K にとる

$K$ を $x_0$ を中心とする半径 $r$ の閉球とすると、$\lvert gx_0-x_0\rvert\le r$ なら $gx_0\in gK\cap K$ である。$r=1,2,\dots$ についての有限集合の和が $G$ 全体なので、$G$ は可算である。$\square$

Dirichlet 領域は基本領域

$G$ が $\mathbb{R}^n$ に等長変換で固有不連続に作用し、$x_0$ の安定化群 $G_{x_0}$ が自明であるとする。$D=D_{x_0}$ について次が成り立つ。

  1. $gD=D_{gx_0}$($g\in G$)であり、$\bigcup_{g\in G}gD=\mathbb{R}^n$ である。
  2. $x_0\in D^\circ$ であり、$D=\overline{D^\circ}$ である。
  3. $g\neq1$ なら $D^\circ\cap gD=\emptyset$ である。とくに $D$ は基本領域である。
  4. 有界集合と交わる $gD$ は有限個である。
最も近い軌道の点を選ぶ

1:$g$ は等長なので、$x\in gD$、すなわち $\lvert g^{-1}x-x_0\rvert\le\lvert g^{-1}x-hx_0\rvert$($h\in G$)は $\lvert x-gx_0\rvert\le\lvert x-ghx_0\rvert$($h\in G$)と同値で、$gh$ は $G$ 全体を動くので $gD=D_{gx_0}$ である。$x\in\mathbb{R}^n$ と $r:=\lvert x-x_0\rvert$ について、$\lvert x-hx_0\rvert\le r$ となる $h$ は $\lvert hx_0-x_0\rvert\le2r$ を満たし、lem-fd-orbit により有限個で、$h=1$ を含む。その中で $\lvert x-hx_0\rvert$ を最小にする $g$ は全体の最小を与え、$x\in D_{gx_0}=gD$ である。
2:$\lvert gx_0-x_0\rvert\le1$ となる $g$ は有限個で(lem-fd-orbit)、$G_{x_0}$ が自明なので $g\neq1$ なら $gx_0\neq x_0$ である。よって $g\neq1$ ならつねに $\lvert gx_0-x_0\rvert\ge\delta$ となる $0<\delta\le1$ がとれる。$\lvert x-x_0\rvert< \delta/2$ なら $g\neq1$ について $\lvert x-gx_0\rvert\ge\delta-\lvert x-x_0\rvert>\delta/2>\lvert x-x_0\rvert$ なので、$x_0$ を中心とする半径 $\delta/2$ の開球 $B$ は $D$ に含まれる。$D$ は凸なので、$y\in D$ と $t\in[0,1)$ について、$x_0$ のまわりの開球を $y$ の方へ縮めた $(1-t)B+ty$ は $D$ に含まれ、$(1-t)x_0+ty\in D^\circ$ である。$t\to1$ として $y\in\overline{D^\circ}$ である。
3:$x\in D\cap gD$($g\neq1$)なら、$\lvert x-x_0\rvert\le\lvert x-gx_0\rvert$ と、1 から $\lvert x-gx_0\rvert\le\lvert x-x_0\rvert$ が成り立つので、$f(y):=\lvert y-gx_0\rvert^2-\lvert y-x_0\rvert^2$ について $f(x)=0$ である。$f(y)=-2(y,gx_0-x_0)+\lvert gx_0\rvert^2-\lvert x_0\rvert^2$ は 1 次関数で、$gx_0\neq x_0$ なので $\varepsilon>0$ について $f(x+\varepsilon(gx_0-x_0))=-2\varepsilon\lvert gx_0-x_0\rvert^2<0$、すなわち $x+\varepsilon(gx_0-x_0)\notin D$ である。よって $x\notin D^\circ$ である。$x\in D^\circ$、$gx\in D$ なら、$x\in D^\circ\cap g^{-1}D$ から $g=1$ なので、(F2) が成り立つ。(F1) は 1 である。
4:有界集合が半径 $R$ の閉球 $\{\lvert x-x_0\rvert\le R\}$ に含まれるとする。$x\in gD$ なら $\lvert x-gx_0\rvert\le\lvert x-x_0\rvert\le R$ なので $\lvert gx_0-x_0\rvert\le2R$ で、そのような $g$ は有限個である。$\square$

$G$ が $\mathrm{Isom}(\mathbb{R}^n)$ の部分群で固有不連続に作用するなら、安定化群が自明な点は必ずある。単位元でない等長変換の固定点の全体は真のアフィン部分空間で測度 $0$ であり、$G$ は可算なので(lem-fd-orbit)、それらの和も測度 $0$ だからである。
Dav07 Complement 6.6.10 は、有限鏡映群 で $x_0$ を部屋の内部にとると Dirichlet 領域が部屋の閉包そのものになることを注意している(この記事では証明しない)。一般には Dirichlet 領域は $x_0$ の取り方で形が変わる。

正方格子と三角格子の Dirichlet 領域

格子 $\Lambda\subset\mathbb{R}^n$ の平行移動の作用で $x_0=0$ とすると、$D_0=\{x\mid 2(x,v)\le\lvert v\rvert^2\ (v\in\Lambda)\}$ は原点に最も近い点の集まり(Voronoi 胞体)である。$\Lambda=\mathbb{Z}^2$ なら $D_0=[-\frac12,\frac12]^2$ の正方形である。三角格子 $\Lambda=\mathbb{Z}(1,0)+\mathbb{Z}(\frac12,\frac{\sqrt3}2)$ なら、原点に最も近い 6 点 $\pm(1,0)$、$\pm(\frac12,\frac{\sqrt3}2)$、$\pm(\frac12,-\frac{\sqrt3}2)$ の垂直二等分線で囲まれた正六角形になる(六角形の頂点は原点から $1/\sqrt3$ の距離にあり、ほかの格子点 $v$ は $\lvert v\rvert\ge\sqrt3$ なので、その二等分線は原点から $\frac{\sqrt3}2>\frac1{\sqrt3}$ 以上離れていて六角形を削らない)。正六角形の面積 $\frac{\sqrt3}2$ は基本平行体の面積 $\lvert\det\rvert=\frac{\sqrt3}2$ に等しい(thm-fd-volume の例)。

主定理 2:基本領域の体積

$\mathbb{R}^n$ の Lebesgue 測度を $\mu$ とする(Lebesgue測度)。

測度の意味の基本領域

可算群 $G$ が $\mathbb{R}^n$ に、$\mu$ を保ち逆写像も可測な可測全単射で作用しているとする。可測集合 $F$ が $\mu\bigl(\mathbb{R}^n\setminus\bigcup_{g\in G}gF\bigr)=0$ と、$g\neq h$ なら $\mu(gF\cap hF)=0$ を満たすとき、$F$ を 測度の意味の基本領域 という。

基本領域の体積は取り方によらない

$F,F'$ が測度の意味の基本領域なら $\mu(F)=\mu(F')$ である(値 $\infty$ を含む)。

片方の基本領域で切り分けて移す

$A_g:=F\cap gF'$ とおく。$g\neq h$ なら $A_g\cap A_h\subset gF'\cap hF'$ は測度 $0$ で、$F\setminus\bigcup_gA_g\subset\mathbb{R}^n\setminus\bigcup_ggF'$ も測度 $0$ である。$G$ を $g_1,g_2,\dots$ と並べ、$B_k:=A_{g_k}\setminus\bigcup_{j< k}A_{g_j}$ とおくと、$B_k$ は互いに交わらず、$\mu(A_{g_k}\setminus B_k)\le\sum_{j< k}\mu(A_{g_k}\cap A_{g_j})=0$ である。可算加法性から
$$ \mu(F)=\sum_k\mu(B_k)=\sum_{g\in G}\mu(F\cap gF')=\sum_{g\in G}\mu(g^{-1}F\cap F') $$
で、最後は $g^{-1}$ が $\mu$ を保つことによる。$g^{-1}$ は $G$ 全体を動くので、右辺は $F$ と $F'$ の役割を入れ替えた同じ式で $\mu(F')$ に等しい。$\square$

格子(群) の証明「基本領域の取り替え」は、互いに交わらない平行移動の場合のこの議論である。閉じた基本領域から測度の意味の基本領域を得るには次を使う。

境界が測度 0 の基本領域

$G\subset\mathrm{Isom}(\mathbb{R}^n)$ が固有不連続に作用する部分群で、$F$ が基本領域、$\mu(F\setminus F^\circ)=0$ なら、$F$ は測度の意味の基本領域である。

内部の点を固定する元

$G$ は可算である(lem-fd-orbit)。(F1) から $\bigcup gF=\mathbb{R}^n$ である。$g\neq h$ について $gF\cap hF=g(F\cap kF)$($k=g^{-1}h\neq1$)で、$y\in F^\circ\cap kF$ なら $k^{-1}y\in F$ なので (F2) から $k^{-1}y=y$ である。$k\neq1$ は等長変換なので、固定点の全体 $\{y\mid ky=y\}$ は真のアフィン部分空間で測度 $0$ である。よって $F\cap kF\subset(F\setminus F^\circ)\cup\{y\mid ky=y\}$ は測度 $0$ で、$g$ は測度を保つので $\mu(gF\cap hF)=0$ である。$\square$

たとえば格子 $\Lambda$ について、基本平行体の閉包と Dirichlet 領域 $D_0$(ex-fd-voronoi)はどちらも境界が有限個の超平面に含まれる基本領域なので、$D_0$ の体積は $\operatorname{covol}(\Lambda)$(格子(群) の定理「部分格子の指数と体積」の前の定義)に等しい。

$D_0$ が有限個の半空間で切り出されることを開く

基本平行体の閉包 $\overline{P}$ の直径を $\rho$ とする。$x\in D_0$ について、$x-v\in\overline{P}$ となる $v\in\Lambda$ をとると $\lvert x\rvert\le\lvert x-v\rvert\le\rho$ である。$E_v:=\{x\mid2(x,v)\le\lvert v\rvert^2\}$、$D':=\bigcap_{0< \lvert v\rvert\le4\rho}E_v$(有限個の共通部分)とおく。$D_0\subset D'$ である。$x\in D'$、$\lvert x\rvert>\rho$ とすると、$D'$ は凸で $0$ を含むので、線分 $[0,x]$ 上の $\rho< \lvert y\rvert<2\rho$ の点 $y$ は $D'$ に属し、$\lvert v\rvert>4\rho$ なら $2(y,v)\le2\lvert y\rvert\lvert v\rvert<4\rho\lvert v\rvert< \lvert v\rvert^2$ なので $y\in E_v$、よって $y\in D_0$ で $\lvert y\rvert\le\rho$ に反する。したがって $D'\subset\{\lvert x\rvert\le\rho\}$ で、同じ計算から $D'\subset D_0$、$D_0=D'$ である。$D'$ の境界は超平面 $2(x,v)=\lvert v\rvert^2$($0< \lvert v\rvert\le4\rho$)の有限個の和に含まれる。

反例:条件を外すと

thm-fd-dirichlet の仮定を 1 つずつ外す。各行は 1 つの条件だけを破る。

外す条件反例成り立たなくなること
固有不連続$G=\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\sqrt2$ が $\mathbb{R}$ に平行移動で作用、$x_0=0$(F1)
$x_0$ の安定化群が自明$G=\{\pm1\}$ が $\mathbb{R}$ に $x\mapsto\pm x$ で作用、$x_0=0$(F2)
等長変換$g(x)=(x^3+1)^{1/3}$ で生成される $\mathbb{Z}$ が $\mathbb{R}$ に作用、$x_0=0$(F1)
反例の確かめ

1 行目:等長変換で、安定化群は自明である。$G$ は $\mathbb{R}$ で稠密なので($\sqrt2$ は無理数)、$x\neq0$ について $\lvert x-g\rvert< \lvert x\rvert$ となる $g\in G$ がある。よって $D_0=\{0\}$、$\bigcup gD_0=G\neq\mathbb{R}$ である。$K=[0,1]$ について $gK\cap K\neq\emptyset$ となる $g$ は $G\cap[-1,1]$ の無限個である。
2 行目:等長変換で固有不連続($G$ は有限)である。$\lvert x-0\rvert\le\lvert x-(-0)\rvert$ なので $D_0=\mathbb{R}$ で、$1\in D_0^\circ$ だが $-1\in G\cdot1\cap D_0$ である。
3 行目:$g^k(x)=(x^3+k)^{1/3}$ で、$\varphi(x)=x^3$ により平行移動 $y\mapsto y+1$ と同じ形なので、固有不連続で $G_0$ は自明である。$0$ の軌道は $k^{1/3}$($k\in\mathbb{Z}$)で、$0$ に最も近いのは $\pm1$ なので $D_0=[-\frac12,\frac12]$ である($\lvert k\rvert\ge2$ の二等分点 $k^{1/3}/2$ は $\pm\frac12$ より外にある)。$g^kD_0=[(k-\frac18)^{1/3},(k+\frac18)^{1/3}]$ で、$k\ge1$ なら左端は $(\frac78)^{1/3}>0.95$ 以上、$k\le-1$ なら右端は負なので、たとえば $0.7$ はどの $g^kD_0$ にも入らない。

関連項目

参考文献

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