Gottlieb群(Gottlieb group)とは、空間 $X$ の点 $x$ について、恒等写像から恒等写像へのホモトピーのもとで $x$ が描くループの類全体のなす基本群 $\pi_1(X,x)$ の部分群 $G_1(X,x)$ である。$X$ が $k$-空間なら自己写像の空間の評価写像による基本群の像でもあり、評価部分群ともいう。$G_1(X,x)$ はつねに基本群の中心に含まれ、2 次以上のホモトピー群に自明に作用し、ホモトピー同値で保たれる。H空間では基本群全体、連結な CW 複体の $K(\pi,1)$ 空間ではちょうど中心になる一方、2 以上の偶数次元の実射影空間では基本群が可換でも自明である。
前提知識: 基本群, 基点の取り替え(基本群), ホモトピー群, Eilenberg–MacLane空間
Gottlieb 群(Gottlieb group)$G_1(X,x)$ は、恒等写像から恒等写像へのホモトピーのもとで基点 $x$ が描くループの類を集めた、基本群 $\pi_1(X,x)$ の部分群である。$X$ が $k$-空間なら、写像空間の言葉では、恒等写像を基点とする自己写像の空間 $\mathrm{Map}(X,X)$ のループを、点 $x$ での値をとる写像(評価写像)で $X$ に送った像であり、評価部分群ともいう。名前は D. H. Gottlieb にちなむ。
Gottlieb 群はつねに基本群の中心に含まれ、高次のホモトピー群に自明に作用する。逆向きの包含は一般には成り立たないが、空間が H 空間なら Gottlieb 群は基本群全体であり、CW 複体の $K(\pi,1)$ 空間なら Gottlieb 群はちょうど基本群の中心になる。実射影空間 $\mathbb{RP}^n$($n\ge2$)では、基本群 $\mathbb{Z}/2$ は可換なのに、Gottlieb 群は $n$ が奇数なら全体、偶数なら自明である。
以下 $I:=[0,1]$ とし、道・道の積 $\gamma\cdot\delta$・逆の道 $\bar\gamma$・基点の取り替え $\Phi_C[\gamma]=[\bar C\cdot\gamma\cdot C]$ の記号は 基点の取り替え(基本群) に従う。
$X$ を位相空間、$x\in X$ とする。連続写像 $F\colon X\times I\to X$ で $F(\cdot,0)=F(\cdot,1)=\mathrm{id}_X$ を満たすものを、恒等写像の 巡回ホモトピー という。巡回ホモトピー $F$ について基点の軌跡 $F(x,\cdot)$ は $x$ を基点とするループであり、その類全体
$$
G_1(X,x):=\bigl\{[F(x,\cdot)]\ \bigm|\ F\text{ は恒等写像の巡回ホモトピー}\bigr\}\subset\pi_1(X,x)
$$
を $X$ の $x$ における Gottlieb 群 という。
基点の取り替え(基本群) の命題「写像のループから来る元の部分群」はこの集合を $E(X,x)$ と書いている。
$X$ を $k$-空間(たとえば距離空間、局所コンパクト空間、CW 複体)とし、$\mathrm{Map}(X,X)$ に 写像空間の指数法則(位相空間) の定義「$k$ 化した写像空間」の位相を入れる。$\operatorname{ev}_x\colon\mathrm{Map}(X,X)\to X$、$f\mapsto f(x)$ は連続で、
$$
G_1(X,x)=(\operatorname{ev}_x)_*\bigl(\pi_1(\mathrm{Map}(X,X),\mathrm{id}_X)\bigr)
$$
である。
開集合 $U\subset X$ について、$\operatorname{ev}_x^{-1}(U)$ は一点から値 $x$ をとる試験写像 $u$ による準開基の元 $W(u,U)$ であり(同記事の定義「$k$ 化した写像空間」)、$k$ 化は位相を細かくするので、$\operatorname{ev}_x$ は連続である。$I$ はコンパクト Hausdorff なので $X\times_kI=X\times I$ であり、同記事の定理「指数法則($k$ 化した版)」により、連続写像 $F\colon X\times I\to X$ と連続写像 $\hat F\colon I\to\mathrm{Map}(X,X)$、$\hat F(t)=F(\cdot,t)$ は一対一に対応する(同記事の例「ホモトピーと道の空間」)。$F$ が恒等写像の巡回ホモトピーであることは、$\hat F$ が $\mathrm{id}_X$ を基点とするループであることと同じで、$\operatorname{ev}_x\circ\hat F=F(x,\cdot)$ である。$\square$
この形で、$n\ge1$ について $G_n(X,x):=(\operatorname{ev}_x)_*\pi_n(\mathrm{Map}(X,X),\mathrm{id}_X)\subset\pi_n(X,x)$ を $n$ 次の Gottlieb 群 という。$G_1$ は上の定義と一致する。この記事では主に $G_1$ を扱う。
$X$ を位相空間、$x\in X$ とする。
要点:巡回ホモトピーをつなぐと軌跡がつながる。中心に入ることは、恒等写像どうしのホモトピーが基点の取り替えを恒等写像にすることから、作用が自明なことは、球面の写像を巡回ホモトピーで動かすと基点がループを描くことから出る。
1:$F(y,t):=y$ の軌跡は定値なので単位元は $G_1(X,x)$ に入る。巡回ホモトピー $F,F'$ について、$t\le\frac12$ で $F(y,2t)$、$t\ge\frac12$ で $F'(y,2t-1)$ とおくと、閉集合 $X\times[0,\frac12]$、$X\times[\frac12,1]$ の上の連続写像の貼り合わせとして連続な巡回ホモトピーで、軌跡は二つの軌跡の積である。$F(y,1-t)$ の軌跡は逆の道である。よって部分群である。巡回ホモトピー $F$ に 基本群 の命題「ホモトピー不変性」の 1 を $f=g=\mathrm{id}_X$ で当てると $\mathrm{id}=\Phi_C\circ\mathrm{id}$($C:=F(x,\cdot)$)であり、基点の取り替え(基本群) の定理「道の取り替えと内部自己同型」の証明のとおり $\Phi_C$ は $[C]$ による内部自己同型なので、$[C]$ はすべての元と可換である。
2:$C:=F(x,\cdot)$、$[a]\in\pi_n(X,x)$ を $a\colon(I^n,\partial I^n)\to(X,x)$ で代表させ、$c:=(\frac12,\dots,\frac12)$、$r(s):=2\max_i|s_i-\frac12|$ とする。$r(s)\le\frac12$ では $K(s,v):=F(a(c+2(s-c)),v)$、$r(s)\ge\frac12$ では $K(s,v):=C(v(2-2r(s)))$ とおく。$r(s)=\frac12$ では $c+2(s-c)\in\partial I^n$ なので前者は $F(x,v)=C(v)$ で、後者と一致する。$K$ は連続で、$r(s)=1$ では値 $C(0)=x$ をとるので、各 $v$ で $\pi_n(X,x)$ の元を代表する。$v=0$ は $a$ に定値の殻をつけたもので $[a]$ を代表し、$v=1$ は $F(\cdot,1)=\mathrm{id}$ より、$a$ を縮めて動径方向に $C$ を入れたもの、すなわち 基点の取り替え(ホモトピー群) の定義「道に沿った基点の取り替え」の $\beta_C$ の代表 $T_Ca$ である。よって $\beta_C[a]=[a]$ である。$\square$
これは 基点の取り替え(基本群) の命題「写像のループから来る元の部分群」と同じ内容である。とくに $G_1(X,x)$ は可換群である。
要点:1 は $(s,t)\mapsto F(C(s),t)$ という正方形の境界を読む。2 は、ホモトピー逆写像を挟んで巡回ホモトピーを $Y$ に移し、ずれを基点の取り替えで吸収する。
1:$Q(s,t):=F(C(s),t)$ は $I\times I$ から $X$ への連続写像で、$Q(s,0)=Q(s,1)=C(s)$、$Q(0,t)=F(x,t)$、$Q(1,t)=F(y,t)$ である。$I\times I$ は凸なので、$(0,0)$ から左の辺と上の辺をたどる道と、下の辺と右の辺をたどる道は端点を止めてホモトピックであり、$Q$ で写すと $F(x,\cdot)\cdot C\simeq C\cdot F(y,\cdot)$ を得る。よって $[F(y,\cdot)]=[\bar C\cdot F(x,\cdot)\cdot C]$ である。別の道 $C'$ では、$\Phi_{C'}$ と $\Phi_C$ はループ $C'\cdot\bar C$ の類による内部自己同型の分だけ違い(基点の取り替え(基本群) の定理「道の取り替えと内部自己同型」)、thm-gg-basic により $G_1(X,x)$ の元は中心にあるので、制限は一致する。
2:$g$ を $h$ のホモトピー逆写像、$H\colon Y\times I\to Y$ を $\mathrm{id}_Y$ から $hg$ へのホモトピー、$L\colon X\times I\to X$ を $\mathrm{id}_X$ から $gh$ へのホモトピーとし、$E:=L(x,\cdot)$($x$ から $gh(x)$ への道)、$D:=H(h(x),\cdot)$($h(x)$ から $hgh(x)$ への道)とおく。$X$ の巡回ホモトピー $F$ に対し、$t\in[0,\frac13]$ で $H(y,3t)$、$[\frac13,\frac23]$ で $h(F(g(y),3t-1))$、$[\frac23,1]$ で $H(y,3-3t)$ とおくと、継ぎ目で値が一致する $Y$ の巡回ホモトピー $K$ が得られる。$h(x)$ での軌跡は $D\cdot(h\circ F(gh(x),\cdot))\cdot\bar D$ で、1 により $[F(gh(x),\cdot)]=\Phi_E[F(x,\cdot)]$ だから、基点の取り替え(基本群) の命題「基点の取り替えの自然性」と合わせて$$[K(h(x),\cdot)]=\Phi_{\bar D}\bigl(h_*\Phi_E[F(x,\cdot)]\bigr)=\Phi_{(h\circ E)\cdot\bar D}\bigl(h_*[F(x,\cdot)]\bigr)$$である。$(h\circ E)\cdot\bar D$ は $h(x)$ のループなので、右辺は $h_*[F(x,\cdot)]$ の共役である。左辺は $G_1(Y,h(x))$ の元で中心にあるから、共役で動かず、$h_*[F(x,\cdot)]$ 自身が $G_1(Y,h(x))$ に入る。よって $h_*(G_1(X,x))\subset G_1(Y,h(x))$ であり、同様に $g_*(G_1(Y,h(x)))\subset G_1(X,gh(x))$ である。一方 基本群 の命題「ホモトピー不変性」の 1 により $g_*h_*=(gh)_*=\Phi_E$ で、1 により $\Phi_E(G_1(X,x))=G_1(X,gh(x))$ なので、$$G_1(X,gh(x))=g_*h_*(G_1(X,x))\subset g_*(G_1(Y,h(x)))\subset G_1(X,gh(x))$$となり、すべて等しい。$g_*$ は同型なので(同じ命題の 2)、$h_*(G_1(X,x))=G_1(Y,h(x))$ である。$\square$
$X$ が弧状連結なら、1 により $G_1(X,x)$ は基点によらず標準的に同一視され、$G_1(X)$ と書ける。
$(X,\mu,e)$ を H空間 とする(同記事の定義「H 空間」。単位元はホモトピーを込めたものでよい)。このとき $G_1(X,e)=\pi_1(X,e)$ である。
定義のホモトピー $R,L\colon X\times I\to X$($R(y,0)=\mu(y,e)$、$R(y,1)=y$、$L(y,0)=\mu(e,y)$、$L(y,1)=y$、$R(e,t)=L(e,t)=e$)をとる。$e$ を基点とするループ $\alpha$ に対し、$t\in[0,\frac13]$ で $L(y,1-3t)$、$[\frac13,\frac23]$ で $\mu(\alpha(3t-1),y)$、$[\frac23,1]$ で $L(y,3t-2)$ とおくと、継ぎ目の値は $\mu(e,y)$ で一致し、両端は $y$ なので、恒等写像の巡回ホモトピー $F$ が得られる。$L(e,\cdot)=e$ なので、$F(e,\cdot)$ は定値道と $\mu(\alpha(\cdot),e)$ と定値道をつないだものであり、$\mu(\alpha(\cdot),e)$ と端点を止めてホモトピックである。$(s,u)\mapsto R(\alpha(s),u)$ は $\mu(\alpha(\cdot),e)$ から $\alpha$ への端点を止めたホモトピーである($R(e,u)=e$)。よって $[\alpha]=[F(e,\cdot)]\in G_1(X,e)$ である。$\square$
thm-gg-basic と合わせると、H 空間の基本群は可換で(H空間 の定理「H 空間の基本群は可換」)、高次のホモトピー群に自明に作用する。位相群、とくに円周 $S^1$ とトーラス $T^n$、$\mathrm{SO}(3)\cong\mathbb{RP}^3$ はその例である(H空間 の例「位相群と単位球面」)。
$X$ を連結な CW 複体で $K(\pi,1)$ であるもの(Eilenberg–MacLane空間)とし、$x\in X$ とする。このとき $G_1(X,x)$ は $\pi_1(X,x)$ の中心 $Z(\pi_1(X,x))$ に等しい。
prop-gg-invariance の 1 により、$\Phi_C$ は中心を中心に写す同型でもあるので、$x$ が $0$ 胞体の場合に示せばよい。包含 $G_1\subset Z$ は thm-gg-basic である。$z\in Z(\pi_1(X,x))$ をとる。$S^1\subset\mathbb{C}$ に $0$ 胞体 $1$ と $1$ 胞体 $1$ つの CW 構造を入れると、$X\times S^1$ は連結な CW 複体で(Hat02 Appendix, Theorem A.6, p. 524)、$(x,1)$ は $0$ 胞体である。基本群 の命題「直積の基本群」と定理「円周の基本群」により $\pi_1(X\times S^1,(x,1))\cong\pi_1(X,x)\times\mathbb{Z}$ で、$\mathbb{Z}$ の生成元はループ $t\mapsto(x,e^{2\pi it})$ の類である。$z$ は中心にあるので $\psi(a,k):=az^k$ は準同型であり、Hat02 §1.B Proposition 1B.9(p. 90)により、$\psi$ を誘導する基点付き写像 $Q\colon(X\times S^1,(x,1))\to(X,x)$ がある。$Q_0:=Q|_{X\times\{1\}}$ は $\pi_1(X,x)$ に恒等写像を誘導するので、同じ命題の一意性により $\mathrm{id}_X$ と $x$ を止めてホモトピックである。$X\times\{1\}$ は部分複体なので、CW 対のホモトピー拡張性質(コファイブレーション の例「CW 対と良い基点」)によりこのホモトピーを $X\times S^1$ 全体のホモトピー $Q_s$ に延ばせ、$Q_1|_{X\times\{1\}}=\mathrm{id}_X$ となる。どの $s$ でも $Q_s(x,1)=x$ なので、$(s,t)\mapsto Q_s(x,e^{2\pi it})$ は基点を止めたループのホモトピーであり、$[Q_1(x,e^{2\pi i\,\cdot})]=[Q(x,e^{2\pi i\,\cdot})]=\psi(1,1)=z$ である($\psi(1,1)$ の第 1 成分は単位元、第 2 成分は $\mathbb{Z}$ の $1$)。$F(y,t):=Q_1(y,e^{2\pi it})$ は恒等写像の巡回ホモトピーで、$x$ での軌跡の類は $z$ である。よって $z\in G_1(X,x)$ である。$\square$
$n\ge2$ とし、$p\colon S^n\to\mathbb{RP}^n$ を商写像、$e_0\in S^n$、$x:=p(e_0)$ とする。$\pi_1(\mathbb{RP}^n,x)\cong\mathbb{Z}/2$ で、$e_0$ から $-e_0$ への道 $\lambda$ の像 $\ell:=p\circ\lambda$ の類が生成元である(ホモトピー群 の例「実射影空間での基本群の計算」)。
1:$n=2m-1$ のとき $S^n\subset\mathbb{C}^m$ とし、$F(p(v),t):=p(e^{\pi it}v)$ とおく。$p(-v)=p(v)$ と $e^{\pi it}(-v)=-(e^{\pi it}v)$ から矛盾なく定まり、$I$ は局所コンパクトなので $p\times\mathrm{id}_I$ は商写像で(Hat02 Appendix, Proposition A.17, p. 532)、$F$ は連続である。$F(\cdot,0)=\mathrm{id}$、$F(p(v),1)=p(-v)=p(v)$ なので巡回ホモトピーであり、$x$ での軌跡は $e_0$ から $-e_0$ への道 $t\mapsto e^{\pi it}e_0$ の像なので、生成元を表す。
2:$n$ は偶数とする。$p$ は被覆写像なので $p_*\colon\pi_n(S^n,e_0)\to\pi_n(\mathbb{RP}^n,x)$ は同型で(ホモトピー群 の命題「被覆空間と$n$-単純性」)、$\pi_n(S^n,e_0)\cong\mathbb{Z}$ は写像度で与えられる(同記事の例「球面自身: $\pi_n(S^n)\cong\mathbb{Z}$」)。写像度 $1$ の $a\colon(I^n,\partial I^n)\to(S^n,e_0)$ をとり、prf-gg-basic の記号で、$r(s)\le\frac12$ では $b(s):=A(a(c+2(s-c)))$($A$ は対蹠写像)、$r(s)\ge\frac12$ では $b(s):=\lambda(2-2r(s))$ とおく。継ぎ目では $A(e_0)=-e_0=\lambda(1)$、外側では $\lambda(0)=e_0$ なので $b$ は $\pi_n(S^n,e_0)$ の元を代表し、$p\circ A=p$ より $p\circ b=T_\ell(p\circ a)$ である。殻を $\lambda(1-u(2r(s)-1))$($u\in I$)として縮めると、$b$ は $I^n/\partial I^n\cong S^n$ からの写像として $A\circ a$ とホモトピックになる。写像度はホモトピー不変で合成について乗法的であり、$A$ の写像度は $(-1)^{n+1}=-1$ なので(写像度 の命題「写像度の基本性質」「直交変換の写像度」)、$\deg b=-1$ である。よって $\beta_\ell(p_*[a])=-p_*[a]\ne p_*[a]$ であり、thm-gg-basic の 2 から $[\ell]\notin G_1(\mathbb{RP}^n,x)$ である。$\square$
Kleinの壺 $K$ の基本群は $\Gamma\cong\langle\alpha,\beta\mid\alpha\beta\alpha^{-1}\beta\rangle$ で、各元は $\beta^n\alpha^m$($n,m\in\mathbb{Z}$)とただ 1 通りに書ける(同記事の命題「Klein の壺の基本群」とその証明)。$K$ は CW 複体の $K(\Gamma,1)$ なので(Eilenberg–MacLane空間 の例「円周とトーラス」の閉曲面の場合)、thm-gg-aspherical により
$$
G_1(K)=Z(\Gamma)=\{\alpha^{2k}\mid k\in\mathbb{Z}\}\cong\mathbb{Z}
$$
である。実際、$\alpha\beta\alpha^{-1}=\beta^{-1}$ から $\alpha^m\beta=\beta^{(-1)^m}\alpha^m$、$\alpha\beta^n=\beta^{-n}\alpha$ なので、$g=\beta^n\alpha^m$ について $g\beta=\beta g$ は $m$ が偶数であること、$g\alpha=\alpha g$ は $\beta^{2n}=1$ すなわち $n=0$ であることと同値である。$\Gamma$ は可換でないので $K$ は H 空間ではないが、Gottlieb 群は自明でない。
円周 $2$ つの一点和 $S^1\vee S^1$ は CW 複体の $K(F_2,1)$ で(Eilenberg–MacLane空間 の例「円周とトーラス」)、$F_2$ は基底 $a,b$ の 自由群 である。$F_2$ の中心は自明なので、thm-gg-aspherical により $G_1(S^1\vee S^1)=1$ である。
元を既約語で表す(自由群 の定理「既約語の群」。既約語の表示は一意である)。$w$ が $a$ と可換だとし、$w=a^kw'$($w'$ は $a^{\pm1}$ で始まらない既約語)と書く。$w'\ne1$ なら、$aw'$ は $a$ で始まる既約語だが、$w'a$ を既約化した語は $w'$ と同じ最初の文字($a^{\pm1}$ でない)で始まるので、$aw'\ne w'a$ となり、$aw=wa$ に反する。よって $w\in\langle a\rangle$ であり、同様に $b$ と可換なら $w\in\langle b\rangle$ である。既約語 $a^k$ と $b^l$ が等しいのは $k=l=0$ のときだけなので、中心は $\{1\}$ である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $i\ge2$ で $\pi_i(X)=0$(thm-gg-aspherical) | $X=\mathbb{RP}^2$ | $G_1(X)=Z(\pi_1(X))$ |
| $X$ が H 空間(thm-gg-h-space) | $X$ を Klein の壺とする | $G_1(X)=\pi_1(X)$ |
| $h$ がホモトピー同値写像(prop-gg-invariance の 2) | 包含 $h\colon\mathbb{RP}^1\to\mathbb{RP}^2$ | $h_*(G_1(X,x))\subset G_1(Y,h(x))$ |
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する