単調性定理(o-極小)

同義語:monotonicity theorem (o-minimal)

概要

単調性定理(o-極小)(monotonicity theorem, o-minimal)とは、o-極小構造 $(M,<,\dots)$ で定義可能な 1 変数関数 $f\colon(a,b)\to M$ について、区間を有限個の点で切ると、各小区間の上で $f$ が定数であるか、狭義単調かつ連続になるという定理である。狭義単調な小区間の像は開区間で、分点は $f$ を定義するパラメータで定義可能にとれる。o-極小性は定義可能な 1 変数の集合についての条件だが、この定理により定義可能な関数の振る舞いまで制限され、各点での片側極限の存在や、不連続点が有限個であることが従う。胞体分解定理の 1 次元の場合にあたる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: o-極小構造, 定義可能集合, 全順序, 順序位相

単調性定理(monotonicity theorem)は、o-極小構造で定義可能な 1 変数関数 $f\colon(a,b)\to M$ が、区間を有限個の点で切ると、各小区間の上で定数であるか、狭義単調かつ連続になることを述べる定理である。o-極小性は「定義可能な 1 変数の集合は有限個の点と区間の和である」という集合についての条件だが、単調性定理はそれが定義可能な 1 変数の関数の振る舞いまで強く制限することを示す。
実数体の上の半代数的な関数や、制限された解析関数・指数関数を加えた o-極小な構造(o-極小構造 の例「制限された解析関数と指数関数」)で定義可能な関数は、どれも区分的に単調で連続になり、$\sin x$ のように無限回増減を繰り返す関数は現れない。単調性定理は、o-極小構造の胞体分解定理の 1 次元の場合にあたり、高次元の議論の土台になる。この記事では、単調性定理を完全に証明し、片側極限の存在などの帰結と、仮定を外したときの反例を述べる。

設定

以下、$\mathcal M=(M,<,\dots)$ を o-極小構造とする(o-極小構造 の定義「o-極小構造」)。$<$ は稠密で端点のない全順序であり、「定義可能」はパラメータ付きで $\mathcal M$ で定義可能なことを指す。関数は、グラフが定義可能なとき定義可能という。$\overline M:=M\cup\{-\infty,+\infty\}$ とし、$a< b$ となる $a,b\in\overline M$ について開区間 $(a,b):=\{x\in M\mid a< x< b\}$ を考える。$M$ には開区間を基とする順序位相(順序位相)を入れる。
o-極小構造では、定義可能な空でない集合 $A\subset M$ は $\overline M$ の中に上限と下限をもつ(o-極小構造 の命題「定義可能な完備性」。上に有界でなければ上限は $+\infty$)。定義可能集合 $X\subset M$ が定義可能に連結であるとは、$X$ の中で開かつ閉な定義可能集合が $\emptyset$ と $X$ だけであることをいう(o-極小構造 の節「連結性による特徴づけ」の定義と同じ)。

1 変数の定義可能集合の基本性質

$S\subset M$ を定義可能集合とする。

  1. $S$ が無限集合なら、$S$ は開区間を含む。
  2. $c\in M\cup\{-\infty\}$ と $b\in\overline M$($c< b$)に対し、$c< c'\le b$ となる $c'$ があって、$(c,c')\subset S$ または $(c,c')\cap S=\emptyset$ である。左側についても同様である。

$S$ は有限個の点と有限個の開区間の和である。1:点は有限個なので、無限集合なら開区間を少なくとも 1 つ含む。2:$S$ を表す点と区間の端点のうち $M$ に属するものは有限個である。そのうち $c$ より大きいものがあればその最小のもの、なければ $b$ を $c''$ とし、$c'$ を $c< c'\le\min(c'',b)$ ととる(順序の稠密性)。$(c,c')$ の中には $S$ の点も端点もないので、$(c,c')$ は $S$ を表すどの開区間にも含まれるか交わらないかのどちらかであり、結論が従う。$\square$

区間は定義可能に連結

開区間 $I$ の定義可能な部分集合 $S$ が $I$ の中で開かつ閉なら、$S=\emptyset$ または $S=I$ である。

$s\in S$、$t\in I\setminus S$ があるとして矛盾を導く。$s< t$ とする(逆も同様)。定義可能な集合 $\{x\in[s,t]\mid[s,x]\subset S\}$ は $s$ を含み、その上限を $e\in[s,t]$ とする。$e\in S$ なら、$S$ は開なので $e$ を含む開区間が $S$ に含まれる。$t\notin S$ より $e< t$ で、$e$ より少し大きい $x$ について $[s,x]\subset S$ となり、$e$ が上限であることに反する。$e\notin S$ なら $e>s$ であり、$I\setminus S$ は開なので、ある $e'< e$ について $(e',e]\cap S=\emptyset$ である。上限の定義から $x\in(e',e]$ で $[s,x]\subset S$ となるものがあるが、$x\in S\cap(e',e]$ となり矛盾である。$\square$

証明の準備

証明の中心は、「2 点の比較」を小区間の上で一様にそろえる 2 つの補題である。

一様な幅の取り出し

$I=(a,b)$ を開区間とし、$g\colon I\to M\cup\{+\infty\}$ を、すべての $x\in I$ で $x< g(x)$ を満たす定義可能な関数とする。このとき開区間 $J\subset I$ で、すべての $x,y\in J$ について $y< g(x)$ となるものがある。

「$d$ より左の値が $g(d)$ を超えない」点の集合
$$ D:=\{d\in I\mid \text{すべての }x\in(a,d)\text{ について }g(x)\le g(d)\} $$
は定義可能である。lem-mo-basic の 2 により、ある $\alpha\in(a,b]$ について $(a,\alpha)\subset D$ か $(a,\alpha)\cap D=\emptyset$ である。
$(a,\alpha)\subset D$ の場合。 $\gamma\in(a,\alpha)$ をとり、$\gamma< \delta< \min\bigl(\alpha,g(\gamma)\bigr)$ となる $\delta$ を選ぶ($g(\gamma)>\gamma$ と稠密性による)。$J:=(\gamma,\delta)$ とする。$x,y\in J$ なら $x\in D$ で $\gamma\in(a,x)$ なので $g(\gamma)\le g(x)$ であり、$y< \delta< g(\gamma)\le g(x)$ である。
$(a,\alpha)\cap D=\emptyset$ の場合。 $\beta\in(a,\alpha)$ をとる。$\beta\notin D$ なので $g(t_0)>g(\beta)$ となる $t_0\in(a,\beta)$ がある。とくに $c:=g(\beta)\in M$ で $c>\beta$ である。$S:=\{x\in(a,\beta)\mid g(x)>c\}$ は無限集合である。実際、$t_k\in S$ が得られたとき、$t_k\in(a,\alpha)$ は $D$ に属さないので $g(t_{k+1})>g(t_k)>c$ となる $t_{k+1}\in(a,t_k)$ があり、$t_0>t_1>t_2>\cdots$ は $S$ の相異なる元である。lem-mo-basic の 1 により $S$ は開区間 $J$ を含む。$x,y\in J$ なら $y< \beta< c< g(x)$ である。$\square$

2 点の関係が均質な小区間

$I$ を開区間、$X\subset M^2$ を定義可能集合とする。開区間 $J\subset I$ で、「$x< y$ となるすべての $x,y\in J$ について $(x,y)\in X$」か「$x< y$ となるすべての $x,y\in J$ について $(x,y)\notin X$」のどちらかが成り立つものがある。

$I=(a,b)$ とし、$u\in I$ について $X_u:=\{y\mid(u,y)\in X\}$ とおく。lem-mo-basic の 2 により、各 $u$ について $u< v$ となる $v$ で $(u,v)\subset X_u$ か $(u,v)\cap X_u=\emptyset$ となるものがある。前者が成り立つ $u$ の集合を $Y_1$、後者を $Y_2$ とすると、どちらも定義可能で $Y_1\cup Y_2=I$ なので、一方は無限集合で開区間 $I'$ を含む。必要なら $X$ を補集合 $M^2\setminus X$ に替えて $I'\subset Y_1$ としてよい。$u\in I'$ について
$$ g(u):=\sup\{v\in(u,b)\mid(u,v)\subset X_u\}\in M\cup\{+\infty\} $$
とおく($b=+\infty$ のこともある)。$g$ は定義可能で $g(u)>u$ であり、$u< y< g(u)$ なら $y\in X_u$ である。lem-mo-uniform-width を $g$ に当てて、開区間 $J\subset I'$ で $y< g(x)$($x,y\in J$)となるものをとる。$x< y$ が $J$ の元なら $x< y< g(x)$ なので $(x,y)\in X$ である。$\square$

単調な小区間

$f\colon I\to M$ を開区間 $I$ 上の定義可能な関数とする。開区間 $J\subset I$ で、$f$ が $J$ 上で定数、狭義増加、狭義減少のいずれかであるものがある。

lem-mo-ramsey を $X_<:=\{(x,y)\mid f(x)< f(y)\}$ と $I$ に当てて開区間 $J_1$ をとる。$J_1$ 上で「$x< y\Rightarrow f(x)< f(y)$」なら $f$ は $J_1$ 上で狭義増加である。そうでなければ $J_1$ 上で「$x< y\Rightarrow f(x)\ge f(y)$」であり、lem-mo-ramsey を $X_=:=\{(x,y)\mid f(x)=f(y)\}$ と $J_1$ に当てて開区間 $J_2\subset J_1$ をとる。$J_2$ 上で「$x< y\Rightarrow f(x)=f(y)$」なら $f$ は定数であり、そうでなければ $x< y$ のとき $f(x)>f(y)$ なので狭義減少である。$\square$

狭義単調なら連続な小区間がある

$f\colon I\to M$ が開区間 $I$ 上の定義可能な狭義増加関数なら、開区間 $J\subset I$ と開区間 $K$ で、$f|_J$ が $J$ から $K$ への順序を保つ全単射になるものがある。とくに $f$ は $J$ 上で連続である。狭義減少でも同様である。

$f$ は単射なので像 $f(I)$ は無限の定義可能集合であり、開区間 $K$ を含む(lem-mo-basic の 1)。$J:=\{x\in I\mid f(x)\in K\}$ とおく。$x< z< y$、$x,y\in J$ なら $f(x)< f(z)< f(y)$ なので $z\in J$ であり、$J$ は凸な定義可能集合、したがって 1 つの区間である。$f|_J\colon J\to K$ は順序を保つ全単射で、$K$ が最大元も最小元ももたないので $J$ ももたず、$J$ は開区間である。
連続性:$x\in J$ と $f(x)$ を含む開区間 $W$ をとる。$K\cap W$ は $f(x)$ を含む開区間なので、$c< f(x)< d$ となる $c,d\in K\cap W$ があり、$c=f(x_1)$、$d=f(x_2)$($x_1< x< x_2$)と書ける。$z\in(x_1,x_2)$ なら $f(z)\in(c,d)\subset W$ である。$\square$

局所的な単調性から区間全体の単調性

$f\colon I\to M$ を開区間 $I$ 上の定義可能な関数とし、各 $x\in I$ に、$x$ を含む開区間で $f$ が狭義増加になるものがあるとする。このとき $f$ は $I$ 上で狭義増加である。「狭義増加」を「定数」「狭義減少」に替えても同様である。

$I=(a,b)$、$x\in I$ を固定し、$e:=\sup\{y\in(x,b)\mid f\text{ は }[x,y]\text{ 上で狭義増加}\}$ とおく。この集合は仮定から空でない定義可能集合なので、上限は $\overline M$ にある。$e< b$ とすると、$e$ を含む開区間 $(e_1,e_2)$ で $f$ は狭義増加であり、上限の定義から $y\in(\max(x,e_1),e)$ で $f$ が $[x,y]$ 上で狭義増加となるものがある。$u< v$ が $[x,y]\cup(e_1,e_2)$ の元なら、同じ部分にあれば $f(u)< f(v)$、$u\in[x,y]$、$v\in(y,e_2)$ なら $f(u)\le f(y)< f(v)$ である。よって $e< z< e_2$ となる $z$ について $f$ は $[x,z]$ 上で狭義増加であり、$e$ が上限であることに反する。したがって $e=b$ で、$x< y$ なら $f(x)< f(y)$ である。$\square$

単調性定理

単調性定理

$f\colon(a,b)\to M$ を定義可能な関数とする($a,b\in\overline M$)。点 $a=a_0< a_1< \cdots< a_k=b$($a_1,\dots,a_{k-1}\in M$)があって、各区間 $(a_{i-1},a_i)$ の上で $f$ は定数であるか、狭義単調かつ連続である。狭義単調な区間 $(a_{i-1},a_i)$ では、像 $f\bigl((a_{i-1},a_i)\bigr)$ は開区間で、$f$ はその上への順序を保つか逆にする全単射である。さらに分点 $a_1,\dots,a_{k-1}$ は、$f$、$a$、$b$ を定義するのに使ったパラメータで定義可能にとれる。

点 $x\in(a,b)$ がよいとは、$x$ を含む開区間 $J$ で、$f|_J$ が定数であるか、狭義増加かつ連続であるか、狭義減少かつ連続であるものがあることをいう。よくない点の集合 $E$ は、$f$、$a$、$b$ のパラメータで定義可能である。
$E$ は有限集合である。 無限集合なら $E$ は開区間 $J$ を含む(lem-mo-basic の 1)。prop-mo-monotone-piece により開区間 $J_1\subset J$ で $f$ が定数か狭義単調なものがあり、狭義単調なら lem-mo-continuous-piece により開区間 $J_2\subset J_1$ で $f$ が連続なものがある。$J_2$(定数なら $J_1$)の点はよい点であり、$J\subset E$ に反する。
各小区間での形。 $E=\{a_1< \cdots< a_{k-1}\}$ とし、$a_0:=a$、$a_k:=b$ とする。区間 $I:=(a_{i-1},a_i)$ を 1 つ固定し、$I$ の点のうち「$f$ がその点の近くで定数」「狭義増加かつ連続」「狭義減少かつ連続」であるものの集合を $S_=$、$S_<$、$S_>$ とする。これらは定義可能で $I$ の開集合であり、$I$ を覆う。互いに交わらない:たとえば $x\in S_=\cap S_<$ なら、$x$ を含む 2 つの開区間の共通部分(無限集合)の上で $f$ が定数かつ狭義増加となって矛盾する。よって $S_=$ の補集合 $S_< \cup S_>$ は開で、$S_=$ は $I$ の中で開かつ閉であり、lem-mo-interval-connected により $\emptyset$ か $I$ である。$S_<$、$S_>$ も同様なので、どれか 1 つが $I$ 全体である。lem-mo-local-global により $f$ は $I$ 上で定数か狭義増加か狭義減少であり、連続性は各点の近くで成り立つので $I$ 上で連続である。
像。 $f$ が $I$ 上で狭義増加かつ連続とする(減少も同様)。$u< v< w$ で $u=f(x)$、$w=f(z)$($x< z$、$x,z\in I$)とし、$v$ が像に入らないとする。$L:=\{y\in(x,z)\mid f(y)< v\}$、$U:=\{y\in(x,z)\mid f(y)>v\}$ は定義可能で、連続性により $(x,z)$ の開集合であり、$(x,z)$ を覆い、交わらない。$f$ の $x$ と $z$ での連続性により $L$ と $U$ は空でなく、lem-mo-interval-connected に反する。よって像は凸な定義可能集合で、$f$ が狭義増加なので最大元も最小元ももたない。像の下限と上限を $c,d\in\overline M$ とすると、像は $(c,d)$ に等しい。
分点の定義可能性。 $E$ の $i$ 番目の元 $a_i$ は、「$x\in E$ で、$E$ の元のうち $x$ より小さいものがちょうど $i-1$ 個ある」という論理式で、$E$ と同じパラメータで定義される。$\square$

この定理は Pillay–Steinhorn による(PS86 Theorem 4.2、p. 578。主要な補題は同 Lemma 4.3、p. 579 で、場合分けによって示されている)。実数の上の o-極小な構造については vdD86 p. 191 と vdDM96 4.1(p. 12)が述べている。ここでの証明は、lem-mo-uniform-width と lem-mo-ramsey で 2 点の比較を小区間の上で均質にそろえる形に組み立てた。

帰結

片側極限の存在

$f\colon(a,b)\to M$ を定義可能な関数とすると、各 $c\in[a,b)$ で右側極限 $\lim_{x\to c+}f(x)$ が $\overline M$ の中に存在する。左側極限も同様である。

thm-mo-main により、$c$ のすぐ右の区間 $(c,c')$ で $f$ は定数か狭義単調である。定数なら明らかである。狭義増加なら $L:=\inf f\bigl((c,c')\bigr)\in\overline M$(定義可能な完備性)とおく。$L$ を含む $\overline M$ の開区間 $(p,q)$($L=-\infty$ なら $[-\infty,q)$)に対し、下限の定義から $f(x_1)< q$ となる $x_1\in(c,c')$ があり、$x\in(c,x_1)$ なら $L\le f(x)\le f(x_1)< q$ である。よって $f(x)\to L$ である。狭義減少なら上限をとる。$\square$

定義可能集合の上の関数

$X\subset M$ を定義可能集合、$f\colon X\to M$ を定義可能な関数とする。$X$ は有限個の点と開区間の交わらない和であって、各開区間の上で $f$ が定数であるか狭義単調かつ連続であるようにできる。とくに $f$ が連続でない点は有限個である。

$X$ は有限個の点と開区間の和であり、開区間たちは交わらないようにとれる。各開区間に thm-mo-main を当てて分点を点として加えればよい。開区間の内部の点では $f$ は($X$ の中で)連続なので、連続でない点は有限個の点のどれかである。$\square$

$\mathbb R$ の上の o-極小な構造では、cor-mo-one-sided-limit により定義可能な関数は各点で片側極限をもち、$x\to+\infty$ のときも極限が $\overline{\mathbb R}$ に存在する。たとえば $\sin(1/x)$ のように $0$ の近くで振動する関数は、o-極小な構造では定義できない。

例

半代数的な関数

実数体 $(\mathbb R,+,\cdot,<)$ は o-極小で、定義可能な関数は半代数的な関数である(o-極小構造、半代数的集合)。

  1. $f(x)=x^3-x$ では、分点は $\pm1/\sqrt3$ でよい。$(-\infty,-1/\sqrt3)$ と $(1/\sqrt3,+\infty)$ で狭義増加、$(-1/\sqrt3,1/\sqrt3)$ で狭義減少である。
  2. $f(x)=\lvert x^2-1\rvert$ では、分点は $-1,0,1$ でよい。$\pm1$ は微分できない点、$0$ は増減の変わる点だが、単調性定理は微分可能性を求めない。
  3. $f(x)=1/x$($x\neq0$)、$f(0)=0$ では、分点は $0$ である。$(-\infty,0)$ と $(0,+\infty)$ でそれぞれ狭義減少で連続であり、$0$ での右側極限は $+\infty$、左側極限は $-\infty$ である。

反例

外す条件反例成り立たなくなること
構造の o-極小性$(\mathbb R,+,\cdot,<,\sin)$ で定義可能な $\sin$区間を有限個に分けて単調にできること
$f$ の定義可能性$\mathbb R$ 上の有理数の指示関数単調な小区間の存在(prop-mo-monotone-piece)
$f$ の定義可能性有理数で跳ぶ狭義増加関数狭義単調なら連続な小区間がある(lem-mo-continuous-piece)
$f$ の定義可能性$\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ 上の $1/\pi$ で跳ぶ関数狭義単調で連続な関数の像が区間であること
反例の確かめ

1 行目。 $(\mathbb R,+,\cdot,<,\sin)$ は o-極小でない(o-極小構造 の反例「正弦関数を加えた構造」)。この構造で定義可能な $\sin\colon(0,+\infty)\to\mathbb R$ は、$(k\pi-\pi/2,k\pi+\pi/2)$ ごとに増加と減少を交互に繰り返すので、有限個の区間に分けて各区間で単調にすることはできない。
2 行目。 実数体の上で $f:=1_{\mathbb Q}$(有理数で $1$、無理数で $0$)を考える。どの開区間にも有理数と無理数があるので、$f$ はどの開区間でも定数でなく、値が $0$ と $1$ だけなので狭義単調でもない。$f^{-1}(1)=\mathbb Q$ は有限個の点と区間の和でないので、$f$ はどの o-極小な構造でも定義できない。
3 行目。 $(q_n)_{n\ge1}$ を $(0,1)$ の有理数の番号付けとし、$f(x):=x+\sum_{q_n< x}2^{-n}$($0< x< 1$)とおく。$f$ は狭義増加である。$x>q_m$ なら和に $2^{-m}$ が入るので $f(x)\ge f(q_m)+2^{-m}$ となり、$f$ は各 $q_m$ で連続でない。有理数は稠密なので、$f$ が連続な開区間はない。
4 行目。 実代数的数の体 $\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ は実閉体なので o-極小である(o-極小構造 の命題「実閉体は o-極小」、実閉体 の例「実代数的数の体」)。$I:=(0,1)$($\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ の区間)の上で、$x< 1/\pi$ なら $f(x)=x$、$x>1/\pi$ なら $f(x)=x+1$ とおく($1/\pi$ は $I$ に属さない)。$f$ は狭義増加で、$I$ の各点はどちらか一方の側の開区間に含まれるので $f$ は連続である。しかし $f(1/4)=1/4$、$f(1/2)=3/2$ の間の $1$ は像に入らず、像は区間でない。$f$ が定義可能だとすると、thm-mo-main の分点は $\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ の元なので $1/\pi$ と異なり、$a_{i-1}< 1/\pi< a_i$ となる小区間 $(a_{i-1},a_i)$ がある。$a_{i-1}< x< 1/\pi< z< a_i$ となる $x,z\in\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ をとると $f(x)< 1< f(z)$ で、$1$ は像に入らないので、この小区間の像は開区間でなく定理に反する。よって $f$ は $\mathbb R_{\mathrm{alg}}$ で定義できない。

各行は、左の条件だけを外したものである。2〜4 行目は、単調性定理の証明が $f$ の定義可能性(とくに定義可能集合についての o-極小性と定義可能な完備性)を各段で使っていることを示す。

関連項目

参考文献

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