孤立点

同義語:isolated pointCantor–Bendixsonの定理Cantor–Bendixson theorem凝縮点condensation point

概要

孤立点(isolated point)とは、位相空間の部分集合 $A$ の点 $p$ であって、$p$ を含むある開集合と $A$ の共通部分が $\{p\}$ だけになるもののことである。$A$ の点は孤立点か $A$ の集積点のちょうど一方であり、$\mathbb{Z}$ の点はすべて孤立点、$\mathbb{Q}$ には孤立点がない。可算な開基をもつ空間では孤立点は高々可算個であり、空でない完備距離空間は、可算なら孤立点をもち、孤立点をもたなければ Cantor 集合を含んで非可算になる。$\mathbb{R}^n$ の閉集合は、孤立点をもたない閉集合(完全集合)と可算集合にただ一通りに分かれ(Cantor–Bendixson の定理)、とくに可算か実数全体と同じ濃度をもつ。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 位相空間, 集積点, 相対位相

集合 $A$ の点のうち、まわりに $A$ のほかの点がない点を 孤立点 という。整数全体 $\mathbb{Z}$ のどの点も、長さ $1$ 未満の開区間で囲めば仲間が見えなくなるので孤立点である。反対に、$\mathbb{Q}$ や $\mathbb{R}$ の点はどれほど小さな区間で囲んでも仲間が入ってくるので孤立点ではない。$A$ の点は、孤立点であるか $A$ の集積点であるかのちょうど一方である。
孤立点は定義こそ短いが、空間の大きさと強く結びつく。可算な開基をもつ空間では孤立点は高々可算個しかない。完備な距離空間では、孤立点をもたない空でない閉集合は非可算であり、Cantor 集合の写しを含む(閉集合でなければ成り立たず、$\mathbb{Q}\subset\mathbb{R}$ は孤立点をもたない可算集合である)。そして $\mathbb{R}^n$ の閉集合は、孤立点をもたない閉集合(完全集合)と可算集合とにただ一通りに分かれる(Cantor–Bendixson の定理)。本記事ではこれらを証明する。

定義

孤立点

$X$ を位相空間、$A\subset X$ とする。点 $p\in A$ が $A$ の 孤立点(isolated point)であるとは、$p$ を含む開集合 $U$ で
$$ U\cap A=\{p\} $$
となるものがあることをいう。$A$ の孤立点の全体を $\operatorname{Iso}(A)$ と書く。$A=X$ のとき、すなわち一点集合 $\{p\}$ が $X$ の開集合であるとき、$p$ を空間 $X$ の孤立点という。

$A$ に相対位相を入れると、$A$ の開集合は $U\cap A$($U$ は $X$ の開集合)の形の集合なので、$p$ が $A$ の孤立点であることは、$p$ が空間 $A$ の孤立点である($\{p\}$ が $A$ の開集合である)ことと同じである。したがって孤立点は $A$ の相対位相だけで決まる。空間の孤立点の定義は 離散空間 の記事の定義「点が孤立していること」や Stacks の Definition 5.27.2 と同じであり、すべての点が孤立点である空間が離散空間である。距離空間では、$p\in A$ が孤立点であることは、ある $\varepsilon>0$ について開球 $B(p,\varepsilon)$ と $A$ の共通部分が $\{p\}$ になることと同値である(開球が近傍の基本系をなすため)。
集積点 の記事の定義「距離空間と位相空間における集積点」により、$A$ の点は $A$ の孤立点であるか $A$ の集積点であるかのちょうど一方である。$A$ の集積点全体(導集合)を $A'$ と書くと、$\operatorname{Iso}(A)=A\setminus A'$ である。

自己稠密集合・完全集合・散在的な空間

$X$ を位相空間とする。

  1. $A\subset X$ が孤立点を一つももたないとき、$A$ は 自己稠密(dense-in-itself)であるという。
  2. $X$ の閉集合で孤立点をもたないものを 完全集合(perfect set)という。
  3. $X$ の空でない部分集合がどれも孤立点をもつとき、$X$ は 散在的(scattered)であるという。

$A$ が閉集合であることは $A'\subset A$ と同値であり(集積点 の記事の命題「閉包は集合と導集合の和」の 3)、自己稠密であることは $A\subset A'$ と同値なので、完全集合とは $A'=A$ となる集合のことである。空集合は完全集合である。

直感

孤立点は「近くに仲間がいない点」である。閉集合から孤立点を取り除くと導集合が残り、これもまた閉集合である。孤立点を取り除く操作を続けると、最後に「どの点のまわりにも仲間が詰まっている」部分、すなわち完全集合が残る。$\mathbb{R}^n$ の閉集合では、取り除かれる部分は可算個の点にすぎず、残る完全集合は空でなければ連続体と同じ濃度をもつ。孤立点の有無は、集合が「点の寄せ集め」なのか「連続体のように詰まっている」のかを分ける指標である。

例と反例

基本的な例
  1. $\mathbb{Z}\subset\mathbb{R}$ の各点 $n$ は、$(n-\tfrac12,n+\tfrac12)\cap\mathbb{Z}=\{n\}$ なので孤立点である。
  2. $A=\{0\}\cup\{1/n\mid n\ge1\}\subset\mathbb{R}$ では、各 $1/n$ は孤立点であり、$0$ は孤立点でない(集積点 の記事の例「数直線の集合の集積点」の 1)。$\operatorname{Iso}(A)=A\setminus\{0\}$ である。
  3. 一点集合がすべて閉集合である空間(T1空間)では、有限集合 $A$ の点はすべて孤立点である。$p\in A$ について $A\setminus\{p\}$ は有限個の閉集合の和集合なので閉集合であり、$U:=X\setminus(A\setminus\{p\})$ は $p$ を含む開集合で $U\cap A=\{p\}$ となる。
  4. $\mathbb{Q}$ と $\mathbb{R}$ は $\mathbb{R}$ の中で孤立点をもたない。どちらも、どの開区間も無限個の元を含むからである。$\mathbb{R}$ と $[0,1]$ は完全集合であり、$\mathbb{Q}$ は自己稠密だが閉集合でないので完全集合でない。Cantor集合 は完全集合である(Cantor集合 の記事の命題「完全性と完全不連結性」)。
代数曲線の孤立点

実数 $x,y$ についての方程式 $y^2=x^2(x-1)$ の解の集合 $C\subset\mathbb{R}^2$ を考える。原点 $(0,0)$ は $C$ の孤立点である。実際、$(x,y)\in C$ で $x<1$ ならば、$x^2(x-1)\le0\le y^2$ から $y^2=x^2(x-1)=0$、したがって $y=0$ かつ $x=0$ となる。よって開集合 $U=\{(x,y)\mid x<1\}$ について $U\cap C=\{(0,0)\}$ である。$C$ のほかの点はすべて $x\ge1$ の部分にあり、そこでは $C$ は $y=\pm x\sqrt{x-1}$ の二つのグラフの和集合なので孤立点をもたない。
一方、よく似た $y^2=x^2(x+1)$ の解の集合 $C_1$ では、原点は孤立点でない。$0< t<1$ について $(t,t\sqrt{t+1})\in C_1$ であり、$t\to0$ でこれらの点は原点に近づく。原点で曲線が交差する $C_1$ と、原点だけが離れて浮いている $C$ とは、原点の近くの形がまったく違う。どちらの原点も、2 変数の多項式の偏微分がともに $0$ になる点(代数曲線の特異点)であり、実数の解だけを見ると、特異点の近くの形はこのように孤立点になることもならないこともある。

導集合をくり返しとる

$$ K:=\{0\}\cup\{2^{-m}\mid m\ge1\}\cup\{2^{-m}+2^{-m-n}\mid m,n\ge1\}\subset\mathbb{R} $$
とする。各 $m\ge1$ について、開区間 $(2^{-m},2^{-m+1})$ に入る $K$ の点は $2^{-m}+2^{-m-n}$($n\ge1$)だけであり、これらは $n$ について狭義単調減少で $2^{-m}$ に収束する。

詳細

$2^{-m}+2^{-m-n}$ は区間 $(2^{-m},\,2^{-m}+2^{-m-1}]$ に入る。添字が $m+1$ 以上の点は $2^{-m-1}+2^{-m-2}<2^{-m}$ 以下であり、添字が $m-1$ 以下の点($m\ge2$ のとき)と $2^{-m+1}$ 自身は $2^{-m+1}$ 以上である。$0$ はこの区間に入らない。


よって各 $2^{-m}+2^{-m-n}$ は、隣の点との間の開区間をとれば $K$ から切り離せるので孤立点であり、$\operatorname{Iso}(K)=\{2^{-m}+2^{-m-n}\mid m,n\ge1\}$ である。$2^{-m}$ は $2^{-m}+2^{-m-n}$($n\to\infty$)の極限、$0$ は $2^{-m}$($m\to\infty$)の極限なので孤立点でない。$K$ は閉集合で、導集合をくり返しとると
$$ K'=\{0\}\cup\{2^{-m}\mid m\ge1\},\qquad K''=\{0\},\qquad K'''=\emptyset $$
となる。孤立点を取り除く操作を 3 回くり返すと空集合になる。この回数は $K$ の点の「集まり方の深さ」を表し、一般には有限回で終わらず、順序数で番号を付けて超限回くり返す必要がある(rem-iso-cantor-bendixson-rank)。

性質

開集合への制限

開集合で切り取っても孤立点は変わらない

$W\subset X$ を開集合、$A\subset X$、$p\in A\cap W$ とする。$p$ が $A\cap W$ の孤立点であることと、$A$ の孤立点であることは同値である。とくに、自己稠密な集合と開集合の共通部分は自己稠密である。

開集合 $U\cap W$ をとる

$p$ が $A$ の孤立点で $U\cap A=\{p\}$ なら、$U\cap(A\cap W)=\{p\}$ である。逆に $U\cap(A\cap W)=\{p\}$ となる開集合 $U\ni p$ があれば、$U\cap W$ は $p$ を含む開集合で $(U\cap W)\cap A=\{p\}$ である。$\square$

孤立点の個数

第2可算空間の孤立点は高々可算

$X$ を第2可算公理を満たす位相空間とする。このとき、任意の部分集合 $A\subset X$ について $\operatorname{Iso}(A)$ は高々可算である。

孤立点ごとに開基の元を割り当てる

$\{B_0,B_1,B_2,\dots\}$ を $X$ の高々可算な開基とする(開基が有限なら添字は有限個でよい)。$p\in\operatorname{Iso}(A)$ とし、$U\cap A=\{p\}$ となる開集合 $U\ni p$ をとる。開基の定義により $p\in B_k\subset U$ となる $k$ があり、このとき $B_k\cap A=\{p\}$ である($p\in B_k\cap A\subset U\cap A=\{p\}$)。そこで
$$ k(p):=\min\{k\mid B_k\cap A=\{p\}\} $$
と定める。$k(p)=k(q)=k$ なら $\{p\}=B_k\cap A=\{q\}$ なので $p=q$ である。よって $p\mapsto k(p)$ は $\operatorname{Iso}(A)$ から自然数全体への単射であり、$\operatorname{Iso}(A)$ は高々可算である。$\square$

Mos09 の演習 2A.3(p. 51)は、可分な完備距離空間の場合の同じ主張である。
$\mathbb{R}^n$ は第2可算である(有理点を中心とし有理数を半径とする開球の全体が開基になる。第2可算公理 の記事の例「有理点を中心とする開球の族」)。したがって $\mathbb{R}^n$ の部分集合で、すべての点が孤立点であるもの(たとえば $\mathbb{Z}^n$ や ex-iso-iterated-derived の $\operatorname{Iso}(K)$)は高々可算である。また、$\mathbb{R}^n$ の部分集合 $A$ から高々可算個の点を除けば、残りはすべて $A$ の集積点である。

可算な完備距離空間には孤立点がある

次の定理は Baireのカテゴリー定理 の帰結である。Baireのカテゴリー定理 の記事の用語で、Baire 空間とは稠密な開集合の可算個の共通部分がつねに稠密になる空間であり、空でない完備距離空間は Baire 空間である(同記事の定理「Baire のカテゴリー定理」)。

可算な Baire 空間の孤立点

$X$ を空でない Baire 空間とし、一点集合がすべて閉集合であるとする(たとえば $X$ は空でない完備距離空間)。$X$ が高々可算集合ならば、$\operatorname{Iso}(X)$ は $X$ で稠密である。とくに $X$ は孤立点をもつ。

一点集合による可算被覆

$W$ を $X$ の空でない開集合とし、$W$ が孤立点を含むことを示す。$W$ に相対位相を入れると、Baireのカテゴリー定理 の記事の命題「開部分空間への遺伝」により $W$ は空でない Baire 空間である。$W$ は高々可算なので、点を並べて $W=\{w_1,w_2,\dots\}$ と書ける(有限なら同じ点をくり返す)。各 $\{w_n\}$ は $X$ の閉集合なので $W$ の閉集合でもある。Baireのカテゴリー定理 の記事の系「閉集合による可算被覆」を $W=\bigcup_n\{w_n\}$ に適用すると、ある $n$ について $\{w_n\}$ の $W$ での内部は空でない。すなわち $\{w_n\}$ は $W$ の開集合であり、$W$ が $X$ の開集合なので $\{w_n\}$ は $X$ の開集合である。よって $w_n\in W$ は $X$ の孤立点である。$\square$

孤立点のない完備距離空間は非可算

孤立点をもたない空でない完備距離空間は非可算である。とくに、$\mathbb{R}^n$ の空でない完全集合は非可算である。

前半は thm-iso-baire の対偶である。後半は、$\mathbb{R}^n$ の閉集合が $\mathbb{R}^n$ の距離について完備であり、完全集合は相対位相で孤立点をもたないことによる。この系は次の節で、「連続体と同じ濃度をもつ」という形に強められる。
$\mathbb{Q}$ は可算で孤立点をもたないので、thm-iso-baire により Baire 空間でない。これは Baireのカテゴリー定理 の記事の例「有理数全体は Baire 空間でない」と同じ結論であり、$\mathbb{Q}$ の位相と両立する完備な距離が存在しないことを示している。

完全集合は Cantor 集合を含む

完全集合への Cantor 集合の埋め込み

$(X,d)$ を孤立点をもたない空でない完備距離空間とする。このとき、$0$ と $1$ の無限列全体の空間 $\{0,1\}^{\mathbb{N}}$(直積位相)から $X$ への連続な単射 $f$ が存在し、$f$ は像への同相写像である。とくに $X$ は Cantor集合 と同相な部分集合を含み、$X$ の濃度は $2^{\aleph_0}$ 以上である。

証明では、有限の $0,1$ の列 $s$(長さ $|s|=n$)ごとに点 $x_s$ と半径 $r_s$ を選び、閉球 $\overline{B}(x_s,r_s)=\{z\mid d(z,x_s)\le r_s\}$ を 2 つに枝分かれさせていく。無限列 $\alpha$ に沿った閉球の縮小列の極限点を $f(\alpha)$ とする。

閉球を二つずつに枝分かれさせる

構成。長さ $n$ の列 $s$ ごとに、$x_s\in X$ と $0< r_s\le2^{-n}$ を、次の 2 条件を満たすように帰納的に選ぶ。

  • (a) $i=0,1$ について $\overline{B}(x_{si},r_{si})\subset B(x_s,r_s)$($si$ は $s$ の後ろに $i$ を付けた列)。
  • (b) $\overline{B}(x_{s0},r_{s0})\cap\overline{B}(x_{s1},r_{s1})=\emptyset$。
    空列には任意の点 $x_\emptyset$ と $r_\emptyset=1$ をあてる。$x_s,r_s$ が決まったとき、$x_s$ は孤立点でないので、開球 $B(x_s,r_s)$ は $x_s$ と異なる点 $y$ を含む。$\delta:=d(x_s,y)$ とおくと $0<\delta< r_s$ である。
    $$ x_{s0}:=x_s,\qquad x_{s1}:=y,\qquad r_{s0}=r_{s1}:=\min\Bigl\{\frac{\delta}{3},\ \frac{r_s-\delta}{2},\ 2^{-n-1}\Bigr\} $$
    とおく。$d(z,x_s)\le r_{s0}$ なら $d(z,x_s)\le\delta/3< r_s$、$d(z,y)\le r_{s1}$ なら $d(z,x_s)\le r_{s1}+\delta\le(r_s-\delta)/2+\delta< r_s$ なので (a) が成り立つ。$z$ が二つの閉球の両方に入れば $\delta\le d(x_s,z)+d(z,y)\le 2\delta/3$ となり矛盾するので (b) が成り立つ。

極限点。$\alpha=(\alpha_0,\alpha_1,\dots)\in\{0,1\}^{\mathbb{N}}$ について、最初の $n$ 項からなる列を $\alpha|n$ と書く。(a) により閉球 $\overline{B}(x_{\alpha|n},r_{\alpha|n})$ は $n$ について縮小していくので、$m\ge n$ なら $x_{\alpha|m}\in\overline{B}(x_{\alpha|n},r_{\alpha|n})$、すなわち $d(x_{\alpha|m},x_{\alpha|n})\le2^{-n}$ である。よって $(x_{\alpha|n})_n$ は Cauchy列であり、完備性から極限 $f(\alpha)\in X$ をもつ。閉球は閉集合なので、すべての $n$ について $f(\alpha)\in\overline{B}(x_{\alpha|n},r_{\alpha|n})$ である。
単射。$\alpha\ne\beta$ とし、初めて異なる項を第 $n$ 項とすると、$s:=\alpha|n=\beta|n$ で、$\alpha|(n+1)$ と $\beta|(n+1)$ は $s0$ と $s1$ である。$f(\alpha)$ と $f(\beta)$ は (b) の交わらない二つの閉球に別々に入るので $f(\alpha)\ne f(\beta)$ である。
連続性。$\alpha$ と $\varepsilon>0$ を与え、$2^{1-n}<\varepsilon$ となる $n$ をとる。最初の $n$ 項が $\alpha$ と一致する列の全体 $U$ は、$n$ 個の準開基の元 $\{\beta\mid\beta_i=\alpha_i\}$($i< n$)の共通部分なので、直積位相の開集合である。$\beta\in U$ なら $f(\alpha),f(\beta)\in\overline{B}(x_{\alpha|n},r_{\alpha|n})$ なので $d(f(\alpha),f(\beta))\le2\cdot2^{-n}<\varepsilon$ である。よって $f$ は $\alpha$ で連続である。
像への同相。$\{0,1\}^{\mathbb{N}}$ は Cantor 集合と同相であり(Cantor集合 の記事の命題「直積空間との同相」)、したがってコンパクトである。コンパクト空間の閉集合はコンパクトで、その連続像はコンパクトであり、距離空間のコンパクト集合は閉集合である(コンパクト空間 の記事の命題「保存と閉性」)。よって $f$ は閉集合を閉集合に写し、連続な単射なので像への同相写像である。$\{0,1\}^{\mathbb{N}}$ の濃度は $2^{\aleph_0}$ である。$\square$

構成で点 $y$ を選ぶ操作は可算回くり返される(選択公理の弱い形である従属選択を使う)。$X$ が $\mathbb{R}^n$ の空でない完全集合なら、$X$ は $\mathbb{R}^n$ に含まれるので濃度は $2^{\aleph_0}$ 以下でもあり、Bernstein の定理(濃度)によりちょうど $2^{\aleph_0}$ である。この構成は Mos09 の 1A.2(p. 11)と 1A.3(p. 12)に、可分な完備距離空間の場合として述べられている。

Cantor–Bendixson の定理

閉集合の点を、まわりに「非可算個の仲間がいる点」とそうでない点に分ける。$F\subset X$ について、点 $x\in X$ が $F$ の 凝縮点(condensation point)であるとは、$x$ を含むどの開集合 $U$ についても $U\cap F$ が非可算であることをいう。

Cantor–Bendixson の定理

$X$ を第2可算な位相空間、$F\subset X$ を閉集合とし、$F$ の凝縮点全体を $P$、$C:=F\setminus P$ とする。

  1. $P\subset F$ であり、$P$ は完全集合、$C$ は高々可算集合である。したがって $F$ は完全集合と高々可算集合の交わらない和 $F=P\sqcup C$ に分かれる。
  2. さらに $X$ が完備距離空間なら、この分解はただ一通りである。すなわち $F=P'\sqcup C'$、$P'$ が完全集合、$C'$ が高々可算集合なら、$P'=P$、$C'=C$ である。また $F$ が非可算なら $P\ne\emptyset$ であり、$F$ は Cantor 集合と同相な部分集合を含む。
凝縮点の集合を調べる

$\{B_0,B_1,\dots\}$ を $X$ の高々可算な開基とする。
1:$P\subset F$ で $P$ は閉集合。$x\notin F$ なら、開集合 $X\setminus F$ は $x$ を含み $F$ と交わらないので $x\notin P$ である。$x\notin P$ なら、$x$ を含む開集合 $U$ で $U\cap F$ が高々可算なものがあり、$U$ の各点 $y$ にとっても $U$ は $y$ を含む開集合なので $y\notin P$ である。よって $X\setminus P$ は開集合である。
$C$ は高々可算。$y\in C$ なら、$y$ を含む開集合 $U$ で $U\cap F$ が高々可算なものがあり、$y\in B_k\subset U$ となる $k$ について $B_k\cap F$ も高々可算である。したがって $K:=\{k\mid B_k\cap F\text{ は高々可算}\}$ とおくと $C\subset\bigcup_{k\in K}(B_k\cap F)$ であり、右辺は高々可算個の高々可算集合の和集合なので高々可算である(各 $B_k\cap F$ の数え上げを選ぶところで可算選択公理を使う)。
$P$ は孤立点をもたない。$x\in P$ と $x$ を含む開集合 $U$ をとる。$U\cap F$ は非可算で、$U\cap C$ は高々可算なので、$U\cap P=(U\cap F)\setminus(U\cap C)$ は非可算である。とくに $U\cap P$ は $x$ 以外の点を含み、$x$ は $P$ の孤立点でない。以上で 1 が示された。
2:$X$ を完備距離空間とし、$F=P'\sqcup C'$ を 1 の形の分解とする。
$P'\subset P$。$x\in P'$ と $x$ を含む開集合 $U$ をとる。$P'$ は完備距離空間 $X$ の閉集合なので、それ自身完備距離空間であり、Baire 空間である。$U\cap P'$ は $P'$ の開集合なので Baire 空間であり(Baireのカテゴリー定理 の記事の命題「開部分空間への遺伝」)、$x$ を含むので空でなく、lem-iso-open により孤立点をもたない。一点集合は閉集合である。よって thm-iso-baire により $U\cap P'$ は非可算であり、$U\cap F$ も非可算である。したがって $x\in P$ である。
$P\subset P'$。$x\in P\setminus P'$ があったとする。$P'$ は閉集合なので $U:=X\setminus P'$ は $x$ を含む開集合であり、$U\cap F\subset C'$ は高々可算である。これは $x$ が凝縮点であることに反する。
よって $P=P'$、$C=F\setminus P=C'$ である。$F$ が非可算なら、$C$ が高々可算なので $P\ne\emptyset$ である。$P$ は完備距離空間の閉集合で、相対位相で孤立点をもたないので、thm-iso-cantor-scheme により Cantor 集合と同相な部分集合を含む。$\square$

$P$ を $F$ の 完全核(perfect kernel)という。この定理は Mos09 の 2A.1(p. 50)に、可分な完備距離空間(Polish 空間)の場合として、凝縮点を使う同じ方針の証明とともにある。$\mathbb{R}^n$ は第2可算な完備距離空間なので、次が従う。

閉集合についての連続体仮説

$\mathbb{R}^n$ の閉集合は、高々可算であるか、濃度がちょうど $2^{\aleph_0}$(実数全体と同じ)であるかのどちらかである。

thm-iso-cantor-bendixson の 2 と thm-iso-cantor-scheme の後の注意による。連続体仮説は「$\mathbb{R}$ の非可算な部分集合はすべて $\mathbb{R}$ と同じ濃度をもつ」という主張であり、ZFC からは証明も反証もできないが、閉集合に限れば成り立つ。この系は Mos09 の 2A.2(p. 51)にもある。

Cantor–Bendixson の分解の例
  1. $F=[0,1]\cup\{2\}\cup\{2+1/n\mid n\ge1\}$ なら、$P=[0,1]$、$C=\{2\}\cup\{2+1/n\mid n\ge1\}$ である。$C$ には孤立点でない点 $2$ も入る。
  2. ex-iso-iterated-derived の $K$ は可算なので、凝縮点をもたず、$P=\emptyset$、$C=K$ である。
  3. Cantor 集合は完全集合なので $P$ は Cantor 集合全体、$C=\emptyset$ である(2 の一意性による)。

条件を外した反例

外す条件反例成り立たなくなること
第2可算非可算集合上の離散空間孤立点は高々可算
完備(Baire)$\mathbb{Q}$高々可算なら孤立点をもつ/孤立点のない空でない空間は非可算
孤立点をもたない$\{0\}\cup\{1/n\mid n\ge1\}$空でない完備距離空間は非可算
$F$ は閉集合$[0,1)\subset\mathbb{R}$完全集合と高々可算集合への分解
完備(分解の一意性)$X=F=\mathbb{Q}$分解はただ一通り
反例の確認
  1. 非可算集合 $X$ に離散位相を入れると、すべての点が孤立点なので $\operatorname{Iso}(X)=X$ は非可算である。$X$ は第2可算でない(第2可算公理 の記事の注意「反例:非可算集合上の離散空間」)。破る含意は「孤立点は高々可算」である。
  2. $\mathbb{Q}$ は可算で孤立点をもたない(ex-iso-basic の 4)。$\mathbb{Q}$ は距離空間であるが、完備でなく Baire 空間でもない。破る含意は thm-iso-baire と cor-iso-uncountable の結論である。
  3. $\{0\}\cup\{1/n\mid n\ge1\}$ は $\mathbb{R}$ の閉集合なので完備距離空間であるが、可算である。孤立点 $1/n$ をもつので cor-iso-uncountable の仮定を満たさない。
  4. $[0,1)=P\sqcup C$、$P$ は $\mathbb{R}$ の完全集合、$C$ は高々可算、と分けられたとする。$P$ は有界閉集合なのでコンパクトであり、空でなければ最大元 $M<1$ をもつ。すると $(M,1)\subset C$ となり $C$ が非可算になって矛盾する。$P=\emptyset$ なら $C=[0,1)$ が非可算で矛盾する。破る含意は「完全集合と高々可算集合への分解」である(凝縮点の集合は $[0,1]$ で、$[0,1)$ に含まれない)。
  5. $X=\mathbb{Q}$(第2可算)と閉集合 $F=\mathbb{Q}$ では、凝縮点がないので 1 の分解は $P=\emptyset$、$C=\mathbb{Q}$ である。一方 $\mathbb{Q}$ は $X$ の中で閉集合で孤立点をもたないので完全集合であり、$P'=\mathbb{Q}$、$C'=\emptyset$ も分解である。$X$ は完備でなく、分解の一意性が破れる。

補足

導集合の超限くり返しと Cantor–Bendixson 階数

閉集合 $F$ について、$F^{(0)}=F$、$F^{(\xi+1)}=(F^{(\xi)})'$、極限順序数 $\lambda$ では $F^{(\lambda)}=\bigcap_{\xi<\lambda}F^{(\xi)}$ と超限帰納法で定める。$F$ が閉集合なら $F'\subset F$ なので列は減少していく。$X$ が第2可算な完備距離空間(たとえば $\mathbb{R}^n$)なら、ある可算順序数 $\lambda$ で $F^{(\lambda+1)}=F^{(\lambda)}$ となって止まり、$F^{(\lambda)}$ は完全集合、$F\setminus F^{(\lambda)}$ は高々可算である。したがって thm-iso-cantor-bendixson の 2 の一意性により、$F^{(\lambda)}$ は完全核 $P$ に一致する。止まる最小の $\lambda$ を $F$ の Cantor–Bendixson 階数という。ex-iso-iterated-derived の $K$ の階数は $3$ である。止まることとその性質は、この記事では証明しない(Mos09 の演習 2A.4(p. 51)に、Cantor–Bendixson の定理の別証明として述べられている)。

「孤立」を含む別の用語
  1. 孤立特異点:複素関数 $f$ が点 $a$ の近くで $a$ を除いて正則であるとき、$a$ を $f$ の孤立特異点という。$a$ は $f$ の定義域に属さない点であり、本記事の意味での孤立点とは別の概念である。
  2. 孤立零点:領域上の恒等的に $0$ でない正則関数の零点は、零点集合の孤立点である。これは 一致の定理 の記事の系「零点集合の離散性」の主張であり、本記事の意味での孤立点の例である。

関連項目

参考文献

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