Schoenfliesの定理(Schoenflies theorem)とは、平面 $\mathbb{R}^2$ の Jordan 曲線(円周と同相な集合)$\Sigma$ から単位円周 $S^1$ への任意の同相写像が $\mathbb{R}^2$ 全体の同相写像に延びるという定理である。とくに $\Sigma$ の内部の閉包は閉円板と同相で、外部も円板の外側と同相になる。Jordan 曲線定理が補集合の成分の個数を述べるのに対し、この定理は成分の形まで決める。証明は、内部を横断弧で次々に細かく切り分け、円板の側も同じ組合せで切り分けて、対応の極限として同相写像を作る。3 次元では $S^2$ と同相な曲面でも外側が単連結でないことがあり(Alexander の角付き球面)、この定理は平面に特有である。
前提知識: Jordan曲線定理, Mayer–Vietoris完全列, 同相写像, 弧状連結空間
平面の Jordan 曲線(円周と同相な集合)は平面をちょうど 2 つの部分、有界な内部と有界でない外部に分ける(Jordan曲線定理)。Schoenflies の定理はこれを強めて、内部とその閉包の「形」まで決める。すなわち、平面の同相写像で Jordan 曲線を円周に移すものがあり、とくに内部の閉包は閉円板と同相である。さらに、曲線から円周への同相写像を 1 つ与えると、それを平面全体の同相写像に延ばせる。
Jordan 曲線定理が成分の個数を数える定理であるのに対し、Schoenflies の定理は成分を具体的な同相写像で標準形に移す定理である。ホモロジーで分かるのは、球面の中で見て成分のホモロジーが一点と同じことまでで、成分そのものの形は分からない。実際、$3$ 次元では $S^2$ と同相な曲面が $\mathbb{R}^3$ を 2 つに分けても、外側の成分が単連結でないことがある(Alexander の角付き球面)。つまり Schoenflies の定理は平面に特有の現象を述べている。
この記事では、平面の Schoenflies の定理を完全に証明する。証明は、内部を「横断弧」で次々に切り分け、円板の側も同じ組合せで切り分けていき、切り分けた小片の対応の極限として同相写像を作る方法による。材料は Jordan曲線定理 の記事の定理と Mayer–Vietoris 完全列だけである。この定理は、曲面が三角形分割できること(Radóの定理)の証明の中心の道具でもある。
以下、$\mathbb{R}^2$ には通常の距離 $\lvert x-y\rvert$ を入れ、部分集合 $X$ の直径を $\operatorname{diam}X$、$\mathbb{R}^2$ の開円板を $B(p,r)$ と書く。$D:=\{\lvert x\rvert< 1\}$ を開単位円板、$\bar D$ を閉単位円板、$S^1=\partial D$ を単位円周とする。$\mathbb{R}^2$ を $S^2$ から北極 $N$ を除いたものと立体射影で同一視することがある(Jordan曲線定理 の記事の節「立体射影と球冠」)。
$\Sigma\subset\mathbb{R}^2$ を Jordan 曲線($S^1$ と同相な部分集合)とする。$\mathbb{R}^2\setminus\Sigma$ の有界な成分を $\Sigma$ の内部といい、$\operatorname{int}\Sigma$ と書く(Jordan曲線定理)。ある Jordan 曲線の内部になっている開集合を Jordan 領域という。Jordan 領域 $U$ の境界 $\partial U$ は $U$ を内部にもつ Jordan 曲線そのものであり、閉包は $\bar U=U\cup\partial U$ である。
$U$ を Jordan 領域とする。$[0,1]$ と同相な集合を弧といい、$[0,1]$ の端点に対応する 2 点を弧の端点という。弧 $C$ で、端点 $a\ne b$ が $\partial U$ にあり、端点以外の点 $C^\circ:=C\setminus\{a,b\}$ がすべて $U$ にあるものを $U$ の横断弧(cross-cut)という。
弧の端点以外の点を弧の内点という。弧も Jordan 曲線もコンパクトであり、コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な単射は像への同相写像である。とくに、端点だけを共有する 2 つの弧の和は Jordan 曲線である(2 つの弧をそれぞれ上半円と下半円に対応させると、連続な全単射 $S^1\to$(和集合)が得られる。Jordan曲線定理 の例「無限回振動する Jordan 曲線」と同じ議論)。
$\Sigma\subset\mathbb{R}^2$ を Jordan 曲線とし、$f\colon\Sigma\to S^1$ を同相写像とする。このとき、同相写像 $\Phi\colon\mathbb{R}^2\to\mathbb{R}^2$ で $\Phi|_\Sigma=f$ となるものがある。$\Phi$ は $\Sigma$ の内部を開単位円板 $D$ へ、外部を $\{\lvert x\rvert>1\}$ へ写す。とくに、内部の閉包 $\operatorname{int}\Sigma\cup\Sigma$ は閉円板 $\bar D$ と同相である。
Jordan 曲線定理は、曲線が平面を 2 つの領域に分けることだけを述べる。Schoenflies の定理はそれより強く、どんなに複雑な Jordan 曲線も、平面全体の同相写像で円周に移せると主張する。この性質は平面に特有である。3 次元では、Alexander の角付き球面は $S^2$ と同相な $\mathbb{R}^3$ の部分集合だが、その外部は単連結でなく、$\mathbb{R}^3$ の同相写像で標準的な球面に移せない(ex-sch-cx-horned)。曲線が滑らかまたは折れ線であれば証明は易しいが、一般の Jordan 曲線には、この記事の横断弧による細分の方法が要る。
証明の中心は次の定理である。$U,U'$ の役割は対称であり、$U'=D$ とすれば内部の閉包が閉円板と同相であることが分かる。
$\Sigma,\Sigma'\subset\mathbb{R}^2$ を Jordan 曲線、$U:=\operatorname{int}\Sigma$、$U':=\operatorname{int}\Sigma'$ とし、$f\colon\Sigma\to\Sigma'$ を同相写像とする。このとき、同相写像 $h\colon\bar U\to\bar U'$ で $h|_\Sigma=f$ となるものがある。
この定理は、$\Sigma'$ を円周 $S^1$ にとると、すべての Jordan 曲線の閉内部が閉円板と同相であり、しかも同相写像で境界の同相写像 $f$ を延ばせることを述べている。$f$ を $\Sigma$ 全体の同相写像として任意に与えられることが要点で、内部を円板に写す同相写像が存在するというだけの主張より強い。証明では、$U$ 側と $U'$ 側の細分を交互に細かくして、面ごとの同相写像の極限として $h$ を作る。
証明は thm-sch-disk を先に示し(節「証明」)、外部を反転で内部に移して thm-sch-main を導く。
Jordan 曲線の内部を横断弧で切ると、ちょうど 2 つに分かれ、それぞれがまた Jordan 領域になる。これが証明全体で繰り返し使う基本の補題である。
$\Sigma\subset S^2$ を Jordan 曲線、$W$ を $S^2\setminus\Sigma$ の成分の 1 つとする。弧 $C\subset S^2$ の端点 $a\ne b$ が $\Sigma$ にあり、$C^\circ:=C\setminus\{a,b\}\subset W$ であるとする。$\Sigma$ から $a,b$ を除いた 2 つの開いた弧の閉包を $\Sigma_1,\Sigma_2$($a$ と $b$ を結ぶ弧)とする。このとき $W\setminus C$ はちょうど 2 つの成分 $W_1,W_2$ をもち、$W_i$ は Jordan 曲線 $\Sigma_i\cup C$ の補集合 $S^2\setminus(\Sigma_i\cup C)$ の成分であって、$\partial W_i=\Sigma_i\cup C$ である($i=1,2$)。
要点:3 本の弧 $\Sigma_1,\Sigma_2,C$ の和 $\Theta$ の補集合は、Mayer–Vietoris 完全列でちょうど 3 つの成分をもつと分かる。1 つは $S^2\setminus\Sigma$ のもう一方の成分で、残る 2 つが $W\setminus C$ の成分であり、境界を見れば $\Sigma_1\cup C$ と $\Sigma_2\cup C$ の成分だと分かる。
$\Sigma_i\cup C$ は端点だけを共有する 2 つの弧の和なので Jordan 曲線である。$\Theta:=\Sigma\cup C$、$A:=S^2\setminus(\Sigma_1\cup C)$、$B:=S^2\setminus(\Sigma_2\cup C)$ とおく。$A,B$ は開集合で、$\Sigma_1\cap\Sigma_2=\{a,b\}\subset C$ だから $A\cap B=S^2\setminus\Theta$、$A\cup B=S^2\setminus C$ である。弧 $C$ は $D^1$ と同相なので、Jordan曲線定理 の定理「円板の補集合」により $\tilde H_i(S^2\setminus C)=0$(すべての $i\ge-1$)である。同じ記事の補題「空集合を許す Mayer–Vietoris 完全列」の部分
$$0=\tilde H_1(A\cup B)\to\tilde H_0(A\cap B)\to\tilde H_0(A)\oplus\tilde H_0(B)\to\tilde H_0(A\cup B)=0$$
と、定理「Jordan–Brouwerの分離定理」による $\tilde H_0(A)\cong\tilde H_0(B)\cong\mathbb{Z}$ から $\tilde H_0(S^2\setminus\Theta)\cong\mathbb{Z}^2$ であり、補題「被約 0 次ホモロジーと弧状連結成分」と補題「球面の開集合の成分」により $S^2\setminus\Theta$ はちょうど 3 つの成分をもち、それらは開集合である。
$V$ を $S^2\setminus\Sigma$ の $W$ でない方の成分とする。$C^\circ\subset W$ なので $V\cap\Theta=\emptyset$ であり、分離定理により $\bar V=V\cup\Sigma\subset V\cup\Theta$ なので、$V$ は $S^2\setminus\Theta$ の中で開かつ閉な連結集合、すなわち成分である。$S^2\setminus\Theta=V\sqcup(W\setminus C)$ なので、残る 2 つの成分が $W\setminus C$ の成分であり、$W\setminus C$ はちょうど 2 つの成分をもつ。
$\Sigma_2^\circ:=\Sigma_2\setminus\{a,b\}$ は連結で $\Sigma_1\cup C$ と交わらないので、$S^2\setminus(\Sigma_1\cup C)$ の一方の成分に含まれる。他方の成分を $W_1$ とすると $W_1\cap\Theta=\emptyset$ で、分離定理により $\bar W_1=W_1\cup\Sigma_1\cup C\subset W_1\cup\Theta$ だから、$W_1$ は $S^2\setminus\Theta$ の成分であり、$\partial W_1=\Sigma_1\cup C$ である。$C^\circ\not\subset\Sigma$ なので $\partial W_1\ne\Sigma=\partial V$、よって $W_1\ne V$ であり、$W_1$ は $W\setminus C$ の成分の 1 つである。同様に $S^2\setminus(\Sigma_2\cup C)$ の $\Sigma_1^\circ$ を含まない方の成分 $W_2$ は $W\setminus C$ の成分で、$\partial W_2=\Sigma_2\cup C$ である。$\Sigma_1^\circ\not\subset\Sigma_2\cup C$ なので $\partial W_1\ne\partial W_2$、よって $W_1\ne W_2$ であり、$W\setminus C=W_1\sqcup W_2$ である。$\square$
$\Sigma\subset\mathbb{R}^2$ で $W=\operatorname{int}\Sigma$ のとき($\mathbb{R}^2=S^2\setminus\{N\}$ とみて $N$ は外部にある)、$W_1,W_2\subset W$ は有界なので、$W_i$ は Jordan 曲線 $\Sigma_i\cup C$ の内部である。つまり Jordan 領域を横断弧で切ると、2 つの Jordan 領域に分かれ、境界は元の境界の 2 つの弧に横断弧を足したものになる。
Jordan 曲線は至るところで振動していてよいので、内部の点から曲線上の点へ「まっすぐ近づける」とは限らない。それでも、曲線の近くでは内部は局所的に連結で、曲線上のどの点にも内部から弧で到達できる。
$\Sigma\subset\mathbb{R}^2$ を Jordan 曲線、$E\subset\mathbb{R}^2$ を閉集合(空でもよい)、$p\in\Sigma\setminus E$ とし、$W$ を $\mathbb{R}^2\setminus(\Sigma\cup E)$ の成分とする。任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があって、$W\cap B(p,\delta)$ の任意の 2 点は $W\cap B(p,\varepsilon)$ の中の折れ線で結べる。
要点:$\Sigma$ を $p$ の近くの小さな弧 $\alpha$ と残りの弧 $\beta$ に分け、$S^2$ の中で「$\alpha$ の補集合」と「$\beta$ と遠方の補集合」に Mayer–Vietoris 完全列を使う。$\Sigma$ 全体の補集合の完全列と比べると(下の図式)、2 点が $W$ の中で結べることから、$p$ の近くで結べることが従う。
$$
\xymatrix{
\tilde H_1(P\cup Q) \ar[r]^-{\partial} \ar@{=}[d] & \tilde H_0(P\cap Q) \ar[r]^-{\Phi} \ar[d]^{\iota} & \tilde H_0(P)\oplus\tilde H_0(Q) \ar[d] \\
\tilde H_1(P\cup Q') \ar[r]^-{\partial'} & \tilde H_0(P\cap Q') \ar[r]^-{\Phi'} & \tilde H_0(P)\oplus\tilde H_0(Q')
}
$$
図式の縦の写像は包含が誘導する写像で、図式は可換である:$\iota\circ\partial=\partial'$ である。
$\psi\colon\mathbb{R}^2\to S^2\setminus\{N\}$ を逆立体射影(同相写像)とし、$\varepsilon':=\min(\varepsilon,\operatorname{dist}(p,E))$($E=\emptyset$ なら $\varepsilon':=\varepsilon$)とおく。同相写像 $\gamma\colon S^1\to\Sigma$ をとり、$S^1$ の閉じた弧 $I\ne S^1$ を、$\gamma^{-1}(p)$ が $I$ の内点で $\gamma(I)\subset B(p,\varepsilon')$ となるようにとる($\gamma$ の連続性)。$\alpha:=\gamma(I)$、$\beta:=\gamma(\overline{S^1\setminus I})$ は弧で、$\alpha\cap\beta=\{c,d\}$($\alpha$ の端点)であり、$p\notin\beta$ である。$\delta:=\min(\varepsilon',\operatorname{dist}(p,\beta))>0$ とおく。
$O:=S^2\setminus\psi(B(p,\varepsilon'))$($N$ を含む閉集合)とし、$P:=S^2\setminus\psi(\alpha)$、$Q:=S^2\setminus(\psi(\beta)\cup O)$、$Q':=S^2\setminus\psi(\beta)$ とおく。$\alpha\subset B(p,\varepsilon')$ なので $\psi(\alpha)\cap O=\emptyset$ であり、$P\cup Q=P\cup Q'=S^2\setminus\psi(\{c,d\})$、$P\cap Q=\psi(B(p,\varepsilon')\setminus\Sigma)$、$P\cap Q'=S^2\setminus\psi(\Sigma)$ である。Jordan曲線定理 の補題「空集合を許す Mayer–Vietoris 完全列」の 2 つの列は、鎖の段の短完全列から作られ、連結準同型は「和集合の輪体を $P$ の鎖と $Q$ の鎖の和に分けて境界をとる」ことで定まる。包含 $Q\subset Q'$ はこの分け方を保つので、上の図式は可換である。
下の行:$\psi(\alpha),\psi(\beta)$ は弧なので、同じ記事の定理「円板の補集合」により $\tilde H_1(P)=\tilde H_1(Q')=0$ であり、完全性から $\partial'$ は単射である。
$x,y\in W\cap B(p,\delta)$ とし、$z:=[\psi(y)]-[\psi(x)]\in\tilde H_0(P\cap Q)$(係数の和が $0$ の $0$ 鎖の類)とおく。$P$ は弧状連結(「円板の補集合」)なので $z$ の $\tilde H_0(P)$ での像は $0$ である。線分 $[x,y]\subset B(p,\delta)$ は $\beta$ とも $\mathbb{R}^2\setminus B(p,\varepsilon')$ とも交わらないので、$z$ の $\tilde H_0(Q)$ での像も $0$ である。よって $\Phi(z)=0$ で、上の行の完全性から $z=\partial w$ となる $w$ がある。$\iota(z)=\partial'(w)$ であり、$x,y$ は $S^2\setminus\psi(\Sigma)$ の同じ弧状連結成分($W$ を含む成分)にあるので $\iota(z)=0$ である。$\partial'$ は単射なので $w=0$、$z=0$ であり、Jordan曲線定理 の補題「被約 0 次ホモロジーと弧状連結成分」により $x,y$ は $B(p,\varepsilon')\setminus\Sigma$ の同じ弧状連結成分 $G$ にある。
$G$ は $\mathbb{R}^2$ の開集合(開集合の弧状連結成分)で、$B(p,\varepsilon')\cap E=\emptyset$ だから $\Sigma\cup E$ と交わらず、$x\in W$ を含むので $G\subset W\cap B(p,\varepsilon)$ である。開集合 $G$ の中で $x$ と折れ線で結べる点の全体は $G$ の中で開かつ閉なので $G$ 全体であり、$x,y$ は $G$ の中の折れ線で結べる。$\square$
折れ線の道は、同じ端点を結ぶ折れ線の弧を含む:道の像は有限個の線分の和で、線分どうしの交点と端点で分けると有限グラフになるので、その中で 2 つの端点を結ぶ単純な道をとればよい。以下この事実を断らずに使う。
(i) lem-sch-local の状況で、さらに $p\in\bar W$ とする。任意の $u\in W$ に対し、$u$ と $p$ を端点とする弧 $A$ で $A\setminus\{p\}\subset W$ となるものがある。
(ii) $U$ を Jordan 領域とし、$a\ne b$ を $\partial U$ の 2 点とする。$a,b$ を端点とする $U$ の横断弧がある。
要点:(i) $p$ に近づく $W$ の点の列を、lem-sch-local で得られる小さな折れ線の弧で次々に結ぶ。弧が遠くの弧と交わらないように半径を選び、隣どうしの弧の重なりだけを切り落とすと、$p$ で終わる 1 本の弧になる。(ii) 内部の 1 点から $a$ と $b$ への弧を (i) で作り、つなぎ合わせる。
(i) $\delta(\sigma)$ で、lem-sch-local が $\varepsilon=\sigma$ に対して与える $\delta$ を表す($\delta$ は小さくしても条件を満たすので、$\sigma$ が小さいほど $\delta(\sigma)$ も小さく選べる)。$u_0:=u$、$\sigma_1:=\min(1,\lvert u-p\rvert/2)$ とし、$u_1\in W\cap B(p,\delta(\sigma_1))$ と、$W$ の中で $u_0$ と $u_1$ を結ぶ折れ線の弧 $Q_0$ をとる($W$ は連結な開集合)。$k\ge1$ について $u_k\in W\cap B(p,\delta(\sigma_k))$ と $Q_0,\dots,Q_{k-1}$ が決まったとき、$\rho_{k-1}:=\operatorname{dist}(p,Q_0\cup\dots\cup Q_{k-1})>0$($W$ のコンパクト集合と $p\notin W$)とし、$\sigma_{k+1}:=\min(\sigma_k/2,\rho_{k-1})$、$u_{k+1}\in W\cap B(p,\delta(\sigma_{k+1}))$($\delta(\sigma_{k+1})\le\delta(\sigma_k)$ となるように選ぶ)とし、$Q_k$ を $W\cap B(p,\sigma_k)$ の中で $u_k$ と $u_{k+1}$ を結ぶ折れ線の弧とする。すると $Q_j\subset B(p,\sigma_j)$($j\ge1$)、$\sigma_j\to0$ であり、$j\ge i+2$ なら $Q_j\subset B(p,\sigma_{i+2})\subset B(p,\rho_i)$ なので $Q_i\cap Q_j=\emptyset$ である。また $u_0\notin B(p,\sigma_1)\supset Q_1$ である。
$v_0:=u_0$ とする。$v_k\in Q_k$、$v_k\notin Q_{k+1}$ が決まったとき、$Q_k$ を $v_k$ から $u_{k+1}$ へたどって最初に $Q_{k+1}$ に属する点を $w_k$ とし($u_{k+1}\in Q_k\cap Q_{k+1}$ なので存在する)、$Q_k$ の $v_k$ から $w_k$ までの部分弧を $R_k$、$v_{k+1}:=w_k$ とする。$v_{k+1}\in Q_k$ で $Q_k\cap Q_{k+2}=\emptyset$ だから $v_{k+1}\notin Q_{k+2}$ である。$v_k\ne w_k$ なので $R_k$ は弧で、$R_k\cap Q_{k+1}=\{w_k\}$ だから $R_k\cap R_{k+1}=\{v_{k+1}\}$、$\lvert i-j\rvert\ge2$ なら $R_i\cap R_j=\emptyset$ である。$c\colon[0,1]\to\mathbb{R}^2$ を、$[1-2^{-k},1-2^{-k-1}]$ を $R_k$ へ $1-2^{-k}\mapsto v_k$ となる同相写像で写し、$c(1):=p$ として定める。$R_k\subset B(p,\sigma_k)$ と $\sigma_k\to0$ から $c$ は $1$ で連続であり、$p\notin W$ なので $c$ は単射である。よって $A:=c([0,1])$ は弧で、$A\setminus\{p\}=\bigcup_kR_k\subset W$ である。
(ii) $\Sigma:=\partial U$、$E:=\emptyset$、$W:=U$ とし、$u\in U$ をとる。$\partial U=\Sigma$ の点はすべて $\bar U$ にあるので、(i) により $u$ と $a$、$u$ と $b$ を結ぶ弧 $A_a,A_b$ で $A_a\setminus\{a\},A_b\setminus\{b\}\subset U$ となるものがある。$A_b$ を $b$ からたどって最初に $A_a$ に属する点を $z$ とする($u\in A_a\cap A_b$)。$b\notin A_a$、$a\notin A_b$ なので $z\ne a,b$ であり、$A_b$ の $b$ から $z$ までの部分弧と $A_a$ の $z$ から $a$ までの部分弧は $z$ だけを共有するので、和は $a,b$ を端点とする弧で、端点以外は $U$ にある。$\square$
$U$ を Jordan 領域とする。任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があって、$\operatorname{diam}C< \delta$ となる $U$ の任意の横断弧 $C$ について、$U\setminus C$ の 2 つの成分(lem-sch-theta)の一方は直径が $\varepsilon$ より小さい。
要点:横断弧の端点は $\partial U$ の上で近いので、$\partial U$ の一様連続なパラメータ表示で見ると、端点を結ぶ $\partial U$ の短い方の弧も小さい。その弧と横断弧で囲まれる側が小さい成分である。
$\gamma\colon S^1\to\partial U$ を同相写像とする。$\gamma$ の一様連続性により、$\lvert s-t\rvert\le2\eta$ なら $\lvert\gamma(s)-\gamma(t)\rvert< \varepsilon/2$ となる $\eta\in(0,1)$ がある。$\gamma^{-1}$ の一様連続性により、$\delta\in(0,\varepsilon/2]$ を、$a,b\in\partial U$、$\lvert a-b\rvert< \delta$ なら $\lvert\gamma^{-1}(a)-\gamma^{-1}(b)\rvert< \eta$ となるようにとる。
$C$ を $\operatorname{diam}C< \delta$ の横断弧、$a,b$ をその端点、$s:=\gamma^{-1}(a)$、$t:=\gamma^{-1}(b)$ とする。$\lvert s-t\rvert< \eta$ である。$S^1$ の $s,t$ を結ぶ短い方の弧 $I$ の上では $s$ からの距離が単調に増えるので $I\subset\{\lvert s'-s\rvert\le\eta\}$ であり、$I$ の 2 点の距離は $2\eta$ 以下、よって $\Sigma_1:=\gamma(I)$ の直径は $\varepsilon/2$ 以下である。lem-sch-theta により、$U\setminus C$ の成分 $W_1$ で $\partial W_1=\Sigma_1\cup C$ となるものがある。$\Sigma_1$ と $C$ は $a$ を共有するので、$\operatorname{diam}(\Sigma_1\cup C)\le\operatorname{diam}\Sigma_1+\operatorname{diam}C< \varepsilon/2+\delta\le\varepsilon$ である。
有界な開集合 $W_1$ の直径は境界の直径以下である:$x\ne y\in W_1$ について、$x$ から $y$ と反対向きに進む半直線が最初に $W_1$ を出る点 $x'$、$y$ から $x$ と反対向きに進む半直線が最初に $W_1$ を出る点 $y'$ はともに $\partial W_1$ にあり、$\lvert x-y\rvert\le\lvert x'-y'\rvert$ だからである。よって $\operatorname{diam}W_1\le\operatorname{diam}(\Sigma_1\cup C)< \varepsilon$ である。$\square$
ここで $\delta$ は曲線 $\partial U$ ごとに決まる。曲線が細い「くびれ」をもつと、くびれを渡る短い弧でも両側が大きいことがあり、そのときは $\delta$ はくびれの幅より小さくとる必要がある($\gamma^{-1}$ の一様連続性がそれを保証する)。
$U$ を Jordan 領域とする。弧の有限列 $C_1,\dots,C_m$ が $U$ の横断弧による細分であるとは、$G_0:=\partial U$、$G_j:=G_{j-1}\cup C_j$ とおくとき、各 $C_j$ が $U\setminus G_{j-1}$ のある成分の横断弧であることをいう。$U\setminus G_j$ の成分を $G_j$ の面という。
def-sch-subdivision の状況で、各 $j$ について次が成り立つ。
(i) $G_j$ の面はちょうど $j+1$ 個あり、どれも Jordan 領域で、境界は $G_j$ に含まれる。$C_j$ を面 $F$($G_{j-1}$ の面)に加えると、$F$ は 2 つの面 $F_1,F_2$ に分かれ、$\partial F_i=K_i\cup C_j$ である。ここで $K_1,K_2$ は $\partial F$ を $C_j$ の端点で分けた 2 つの弧である。ほかの面は変わらない。
(ii) $G_j$ の内部は空であり、$\bar U$ は $G_j$ の面の閉包の和である。面 $F$ の閉包について $\bar F\cap G_j=\partial F$ であり、異なる 2 つの面の閉包の共通部分は $G_j$ に含まれる。
(i) は $j$ に関する帰納法と lem-sch-theta(Jordan 領域を横断弧で切った後の注意)からすぐに従う。(ii) 弧と Jordan 曲線は内部が空である:弧 $A\cong[0,1]$ が開円板 $B$ を含むとすると、$B$ の像は $[0,1]$ の 2 点以上を含む連結集合、すなわち区間 $J$ で、$J$ の内点を 1 つ除くと非連結になるが、$B$ から対応する点を除いても連結なので矛盾する。Jordan 曲線は 2 つの弧の和である。内部が空な閉集合 $A_1,A_2$ の和も内部が空である(開集合 $V\subset A_1\cup A_2$ が空でないとすると、$V\setminus A_1$ は $A_2$ に含まれる開集合なので空、よって $V\subset A_1$ となり矛盾)。したがって $G_j$ の内部は空で、$U\setminus G_j$ は $U$ で稠密であり、$\partial U\subset\bar U$ も合わせて $\bar U$ は $U\setminus G_j$ の閉包、すなわち有限個の面の閉包の和である。面 $F$ は開集合で $G_j$ と交わらず、$\bar F\setminus F=\partial F\subset G_j$ だから $\bar F\cap G_j=\partial F$ である。異なる面は交わらない開集合なので、閉包の共通部分は境界の上、すなわち $G_j$ にある。$\square$
次の補題が、面を細かくする手段である。方眼の線分のうち格子点を通るもの(有限個)だけで切ると、残りの面は、方眼の 1 つの升目の中の小片と、lem-sch-short の小さく切り取られた部分をつないだものにしかならない。
$U$ を Jordan 領域、$\varepsilon>0$ とする。線分からなる $U$ の横断弧による細分で、すべての面の直径が $\varepsilon$ より小さいものがある。
要点:lem-sch-short の $\delta$($\varepsilon/3$ に対するもの)より細かい方眼をとり、格子点を通る方眼の線分で切る。残りの面の中の方眼の線分は短い横断弧で、小さい部分を切り取る。面を「升目の中の小片」を頂点、「短い線分」を辺とする木とみて向きを付けると、面は 1 つの小片に小さい部分を付けたものになる。
方眼.$\delta$ を lem-sch-short が $\varepsilon/3$ に対して与えるものとし、$s:=\min(\delta,\varepsilon)/5$ とおく。直線 $x=ks$、$y=ks$($k\in\mathbb{Z}$)の和を $\Gamma$、格子点の集合を $(s\mathbb{Z})^2$ とする。方眼の直線 $L$ について、$U\cap L$ の成分は開線分で、端点は $\bar U\setminus U=\partial U$ にある($U$ は有界)。これを方眼線分と呼ぶ。方眼線分は、端点を加えると $U$ の横断弧である。格子点を含む方眼線分は、$U$ の中の格子点が有限個なので有限個である。
細分.まず格子点を含む横の方眼線分を 1 本ずつ加える。互いに交わらず、$\partial U$ とは端点でしか交わらないので、それぞれがその時点のある面の横断弧である。次に格子点を含む縦の方眼線分を、その上の格子点(どれも加えた横の方眼線分の上にある)で分け、分けた線分を 1 本ずつ加える。縦の方眼線分は横の方眼線分と格子点でしか交わらないので、分けた線分の内部は既存の $G$ と交わらず、端点は $G$ にあり、面の横断弧である。得られる細分の最後のグラフを $G$ とする。
残る線分.$U\cap\Gamma$ の点で $G$ にないものは、格子点を含まない方眼線分 $\sigma$ の上にある。$\sigma$ は方眼の 1 辺(隣り合う格子点の間の開線分)に含まれるので長さは $s$ 以下で、$G$ とは交わらない(同じ直線上のほかの方眼線分とは交わらず、垂直な方眼線分とは格子点でしか交わらない)。$\sigma$ を自由線分と呼ぶ。$\overline\sigma$ は直径が $s$ 以下($s< \delta$)の $U$ の横断弧なので、lem-sch-short により $U\setminus\sigma$ の一方の成分 $W_\sigma$ は直径が $\varepsilon/3$ より小さい。他方を $B_\sigma$ とする。
面の木.$F$ を $G$ の面とする。方眼の開いた升目 $Q^\circ$ について $U\cap Q^\circ$ の成分を小片と呼ぶ。小片の直径は $s\sqrt2$ 以下で、連結で $G$ と交わらないので 1 つの面に含まれる。自由線分も連結で $G$ と交わらないので 1 つの面に含まれる。$F$ は、$F$ に含まれる小片と自由線分の和である。自由線分 $\sigma$ が升目 $Q,Q'$ の共通の辺にあるとき、$z\in\sigma$ の十分小さい開円板 $D_z\subset U$ から $\sigma$ を除くと $Q^\circ$ 側と $Q'^\circ$ 側の 2 つの半円板に分かれる。$Q^\circ$ 側の半円板の $z\in\sigma$ にわたる和は連結なので 1 つの小片 $P$ に含まれ、同様に $Q'^\circ$ 側は 1 つの小片 $P'$ に含まれる。$\partial W_\sigma$ と $\partial B_\sigma$ はどちらも $\sigma$ を含む(lem-sch-theta)ので、2 つの半円板は $U\setminus\sigma$ の異なる成分にある。したがって $P$ と $P'$ は $U\setminus\sigma$ の異なる成分にある。
$F$ の小片を頂点、$F$ の自由線分 $\sigma$ を $P$ と $P'$ を結ぶ辺とするグラフ $T$ を考える。$T$ の連結成分ごとに小片と自由線分の和をとると互いに交わらない開集合になるので、$F$ の連結性から $T$ は連結である。辺 $\sigma$ を除いた $T$ の中で $P$ と $P'$ を結ぶ道があれば $F\setminus\sigma$ の中で $P$ と $P'$ がつながるが、これは上に反する。よって $T$ のどの辺も橋で、$T$ は木であり、$T$ から $\sigma$ を除いた 2 つの部分の頂点は、それぞれ $U\setminus\sigma$ の 1 つの成分に含まれる。各辺 $\sigma$ に、$W_\sigma$ 側の端から $B_\sigma$ 側の端への向きを付ける。
場合 1:ある小片 $P$ から出る辺が 2 本 $\sigma_1,\sigma_2$ ある。$P\subset W_{\sigma_1}\cap W_{\sigma_2}$ であり、$\sigma_2$ は $P$ に隣接するので $\sigma_2\subset W_{\sigma_1}$、同様に $\sigma_1\subset W_{\sigma_2}$ である。$B_{\sigma_1}\cup\sigma_1$ は連結で $\sigma_2$ と交わらず、$\sigma_1\subset W_{\sigma_2}$ を含むので $B_{\sigma_1}\subset W_{\sigma_2}$ である。よって $U\subset\overline{W_{\sigma_1}}\cup\overline{W_{\sigma_2}}$ で、2 つは $P$ で交わるから $\operatorname{diam}F\le\operatorname{diam}U\le2\varepsilon/3$ である。
場合 2:どの小片からも出る辺は高々 1 本である。ある小片 $N_0$ から出る辺をたどって $N_0\to N_1\to\cdots$ と進む。無限に続くとき、辺 $\sigma_i\colon N_i\to N_{i+1}$ について、$W_{\sigma_i}\cup\sigma_i\cup N_{i+1}$ は連結で $\sigma_{i+1}$ と交わらず($\sigma_{i+1}$ は $N_{i+1}$ に隣接し $B_{\sigma_i}$ にある)、$N_{i+1}\subset W_{\sigma_{i+1}}$ を含むので $W_{\sigma_i}\subset W_{\sigma_{i+1}}$ である。$T$ の任意の頂点 $N$ はある $W_{\sigma_i}$ に含まれる:そうでなければ $N_0$ から $N$ への $T$ の道がすべての $\sigma_i$ を通ることになり、有限の道であることに反する。よって $F\subset\bigcup_i\overline{W_{\sigma_i}}$ であり、増大列なので $\operatorname{diam}F\le\varepsilon/3$ である。有限で止まるとき、止まった小片 $P^*$ から出る辺はない。このとき $T$ のすべての辺は $P^*$ の方を向く:$P^*$ から辺 $\sigma$ への道の辺の向きを見ると、最初の辺は $P^*$ を向き、$\sigma$ が $P^*$ から離れる向きなら途中に出る辺が 2 本の頂点があるからである。したがって $P^*$ 以外の頂点 $N$ は、$P^*$ から $N$ への道の最初の辺 $\sigma$ について $W_\sigma$ 側にあり、$F\subset\overline{P^*}\cup\bigcup_\sigma\overline{W_\sigma}$($\sigma$ は $P^*$ に隣接する辺)である。各 $\overline{W_\sigma}$ は $\overline{P^*}$ と交わるので $\operatorname{diam}F\le s\sqrt2+2\varepsilon/3< \varepsilon$ である。
どの場合も $\operatorname{diam}F< \varepsilon$ である($T$ が 1 頂点だけのときは場合 2 の有限の場合に含まれる)。$\square$
一方の Jordan 領域に横断弧による細分があるとき、もう一方の Jordan 領域に「同じ組合せ」の細分を作れる。
$U,U'$ を Jordan 領域、$\varphi_0\colon\partial U\to\partial U'$ を同相写像、$C_1,\dots,C_m$ を $U$ の横断弧による細分とし、$G_j$ を def-sch-subdivision のとおりとする。このとき $U'$ の横断弧による細分 $C'_1,\dots,C'_m$(グラフ $G'_j$)と、$\varphi_0$ を延ばす同相写像 $\varphi\colon G_m\to G'_m$ で次を満たすものがある:$\varphi(C_j)=C'_j$ であり、各 $j$ について $G_j$ の面と $G'_j$ の面の全単射 $F\mapsto F^*$ があって $\varphi(\partial F)=\partial F^*$、さらに $G_{j'}$($j'\ge j$)の面 $F'\subset F$ には $F'^*\subset F^*$ が対応する。$\partial U'$ が折れ線(有限個の線分の和)なら、$C'_j$ も折れ線にとれる。
$j$ に関する帰納法で $C'_j$ と $\varphi|_{G_j}$ を作る。$j=0$ では $\varphi:=\varphi_0$、$U^*:=U'$ とする。$C_j$ が $G_{j-1}$ の面 $F$ の横断弧で、端点が $a\ne b$ のとき、$\varphi(a)\ne\varphi(b)$ は $\partial F^*$ の点なので、lem-sch-access (ii) により $F^*$ の横断弧 $C'_j$ で端点が $\varphi(a),\varphi(b)$ のものがある。$C_j\to C'_j$ の同相写像で $a\mapsto\varphi(a)$、$b\mapsto\varphi(b)$ となるものをとり、$\varphi$ を $G_j$ に延ばす($G_{j-1}$ と $C_j$ は $a,b$ でしか交わらないので連続で、コンパクトから Hausdorff への連続な全単射なので同相)。prop-sch-faces (i) により $F$ は $\partial F_i=K_i\cup C_j$ の 2 つの面に、$F^*$ は $\partial F'_i=\varphi(K_i)\cup C'_j$ の 2 つの面に分かれる($\varphi(K_1),\varphi(K_2)$ は $\partial F^*$ を $\varphi(a),\varphi(b)$ で分けた 2 つの弧)ので、$F_i^*:=F'_i$ とすればよい。ほかの面の対応は変えない。
折れ線の場合:$\partial F^*$ が折れ線の Jordan 曲線なら、$\partial F^*$ の 2 点 $a'\ne b'$ を結ぶ折れ線の横断弧がある。
$r>0$ を、$B(a',r)$ が $a'$ を含む $\partial F^*$ の辺($a'$ が頂点なら 2 本、辺の内点ならその 1 本)としか交わらず、$b'\notin\overline{B(a',r)}$ となるように小さくとる。$B(a',r)\setminus\partial F^*$ は $a'$ を頂点とする 2 つの開いた扇形からなり、それぞれ連結なので $F^*$ か外部のどちらかに含まれる。$\partial F^*$ は内部と外部の両方の境界なので(Jordan曲線定理)、ちょうど一方の扇形 $S_a$ が $F^*$ に含まれる。扇形は頂点から見て星形なので、$a''\in S_a$ をとると線分 $[a',a'']$ は $a'$ 以外 $F^*$ にある。$b'$ についても同様に $b''$ をとる。$F^*$ の中で $a''$ と $b''$ を結ぶ折れ線と 2 本の線分をつないだ折れ線の道は、$a',b'$ を端点とし、$a',b'$ をそれぞれ 1 回しか通らない。これに含まれる $a'$ と $b'$ を結ぶ折れ線の弧が求めるものである。
段 1(両側を交互に細かくする).$G_0:=\Sigma$、$G'_0:=\Sigma'$、$\varphi_0:=f$ から始めて、$U$ の横断弧による細分と $U'$ の横断弧による細分を並行して延ばしていく。途中の各時点で、$U$ 側のグラフ $G$、$U'$ 側のグラフ $G'$、同相写像 $\varphi\colon G\to G'$、面の全単射 $F\mapsto F^*$($\varphi(\partial F)=\partial F^*$)が prop-sch-transfer の関係にあるようにする。$n=1,2,\dots$ の順に次を行う。
段 2(写像 $h$ の定義).$G_\infty:=\bigcup_nG_n$ とする。$x\in G_\infty$ なら $h(x):=\varphi_n(x)$($x\in G_n$ となる $n$ について。$n$ によらない)とする。$x\in\bar U\setminus G_\infty$ なら、各 $n$ で $x$ はただ 1 つの面 $F_n(x)$ にあり、$F_{n+1}(x)\subset F_n(x)$ だから $F_{n+1}(x)^*\subset F_n(x)^*$ である。閉包 $\overline{F_n(x)^*}$ は空でないコンパクト集合の減少列で直径が $0$ に近づくので、共通部分はただ 1 点であり、それを $h(x)$ とする。
段 3(面の閉包を面の閉包へ写すこと).任意の $n$ と $G_n$ の任意の面 $F$ について $h(\bar F)\subset\overline{F^*}$ である。
$x\in\bar F$ とする。$x\notin G_\infty$ なら $x\in F$($\bar F\cap G_n=\partial F$)なので $F_n(x)=F$ であり、$h(x)\in\overline{F^*}$ である。$x\in\partial F$ なら $h(x)=\varphi_n(x)\in\partial F^*$ である。$x\in F\cap G_m$($m>n$)なら、$G_m$ の内部は空なので $x$ は $F$ に含まれる $G_m$ の面(有限個)の点の極限であり、そのような面 $F'$ で $x\in\partial F'$ となるものがある(prop-sch-faces (ii))。$h(x)=\varphi_m(x)\in\partial F'^*\subset\overline{F^*}$ である。
$U:=\operatorname{int}\Sigma$、$E$ を外部とする。thm-sch-disk を $\Sigma'=S^1$ に使うと、$f$ を延ばす同相写像 $h_1\colon\bar U\to\bar D$ がある。
外部を内部に移す。$c\in U$ をとり、反転 $\iota(z):=c+(z-c)/\lvert z-c\rvert^2$ と $\iota_0(z):=z/\lvert z\rvert^2$ を考える。$\iota$ は $S^2=\mathbb{R}^2\cup\{\infty\}$ の同相写像で $c$ と $\infty$ を入れ替え、$\iota_0$ は $0$ と $\infty$ を入れ替えて $S^1$ の各点を固定する。$\Sigma_1:=\iota(\Sigma)$ は $\mathbb{R}^2$ の Jordan 曲線である。$E\cup\{\infty\}$ は $S^2\setminus\Sigma$ の成分なので、$\iota(E\cup\{\infty\})$ は $S^2\setminus\Sigma_1$ の成分で、$\iota(\infty)=c$ を含み、$\infty=\iota(c)\in\iota(U)$ を含まない。よってそれは $\Sigma_1$ の内部 $U_1$ であり、$\iota$ は $E\cup\Sigma\cup\{\infty\}$ を $\bar U_1$ へ写す。
$g:=f\circ\iota^{-1}\colon\Sigma_1\to S^1$ に thm-sch-disk を使って $H\colon\bar U_1\to\bar D$ を得る。$w:=H(c)\in D$ とし、$m(z):=(z-w)/(1-\bar wz)$($\bar D$ の同相写像で $S^1$ を $S^1$ へ、$w$ を $0$ へ写す。$\mathbb{R}^2=\mathbb{C}$ とみる)と、$S^1$ の同相写像 $m^{-1}|_{S^1}$ の放射状の延長 $R(r\zeta):=r\,m^{-1}(\zeta)$($0\le r\le1$、$\zeta\in S^1$。下の ex-sch-alexander)をとる。$H':=R\circ m\circ H$ は $\bar U_1\to\bar D$ の同相写像で、$H'(c)=0$、$H'|_{\Sigma_1}=g$ である。
$\Psi:=\iota_0\circ H'\circ\iota$ は $E\cup\Sigma\cup\{\infty\}$ から $\{\lvert x\rvert\ge1\}\cup\{\infty\}$ への同相写像で、$\Psi(\infty)=\iota_0(0)=\infty$、$\Sigma$ の上では $\iota_0(g(\iota(z)))=\iota_0(f(z))=f(z)$ である。$\Phi$ を $\bar U$ の上で $h_1$、$E\cup\Sigma$ の上で $\Psi$ として定めると、2 つの閉集合の上の連続写像が $\Sigma$ の上で一致するので連続で、全単射であり、逆写像も閉集合 $\bar D$ と $\{\lvert x\rvert\ge1\}$ の上で連続なので連続である。よって $\Phi$ は $\mathbb{R}^2$ の同相写像で $\Phi|_\Sigma=f$ である。$\square$
$\Sigma,\Sigma'\subset\mathbb{R}^2$ を Jordan 曲線とする。任意の同相写像 $f\colon\Sigma\to\Sigma'$ は、$\mathbb{R}^2$ の同相写像に延びる。また $S^2$ の Jordan 曲線について、$S^2\setminus\Sigma$ の 2 つの成分の閉包はどちらも閉円板と同相である。
同相写像 $f'\colon\Sigma'\to S^1$ を 1 つとり、thm-sch-main で $f'\circ f$ と $f'$ を延ばした同相写像を $\Phi,\Phi'$ とすると、$\Phi'^{-1}\circ\Phi$ が $f$ を延ばす。$S^2$ の場合は、回転で北極が $\Sigma$ にないようにして立体射影すると、成分の閉包は $\bar D$ と $\{\lvert x\rvert\ge1\}\cup\{\infty\}$ に同相であり、後者は $\iota_0$ で $\bar D$ に移る。$\square$
prop-sch-transfer の状況で、$\varphi\colon G_m\to G'_m$ は同相写像 $\Phi\colon\bar U\to\bar U'$ に延びる。とくに $\Phi(C_j)=C'_j$ であり、$\partial U'$ が折れ線なら $C'_j$ を折れ線にとれる。
$G_m$ の各面 $F$ について、$\varphi|_{\partial F}\colon\partial F\to\partial F^*$ を thm-sch-disk で同相写像 $\Phi_F\colon\bar F\to\overline{F^*}$ に延ばす。prop-sch-faces (ii) により $\bar U$ は有限個の閉集合 $\bar F$ の和で、異なる面の閉包は $G_m$ の上でしか交わらず、そこでは $\Phi_F$ はどれも $\varphi$ に一致する。よって $\Phi_F$ と $\varphi$ を合わせた $\Phi$ は連続である。面の全単射と $\varphi$ の全単射性から $\Phi$ は全単射であり、コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な全単射なので同相写像である。$\square$
cor-sch-graph は、Jordan 領域の中に横断弧を次々に引いて作った図形は、同相写像で折れ線の図形に直せることを述べている。これは Radóの定理 の証明で、座標近傍の中の曲線を折れ線に直すのに使う。
$g\colon S^1\to S^1$ を同相写像とし、$R(r\zeta):=r\,g(\zeta)$($0\le r\le1$、$\zeta\in S^1$)とおく。$\lvert R(x)\rvert=\lvert x\rvert$ なので $R$ は原点でも連続であり、$r\zeta\mapsto r\,g^{-1}(\zeta)$ が逆写像なので、$R$ は $g$ を延ばす $\bar D$ の同相写像である。つまり $\Sigma$ が円周そのもののときは thm-sch-disk は自明である。延長は一意でない:$g=\mathrm{id}$ でも、$T(r\zeta):=re^{2\pi ir}\zeta$($\mathbb{R}^2=\mathbb{C}$ とみる)は $S^1$ と原点を動かさない恒等写像でない $\bar D$ の同相写像である。
正方形の周 $\Sigma=\partial[-1,1]^2$ では、$x\mapsto(\|x\|_\infty/\|x\|_2)\,x$($0\mapsto0$)が $[-1,1]^2$ から $\bar D$ への同相写像で、$\Sigma$ を $S^1$ へ写す(Jordan曲線定理 の定理「円板の補集合」の証明と同じ写像)。凸な領域では、内部の 1 点から放射状に縮めることで同じように具体的な同相写像が作れる。thm-sch-disk の内容は、このような「中心から見渡せる」形をもたない一般の Jordan 曲線でも同じ結論が成り立つことである。
Jordan曲線定理 の例「無限回振動する Jordan 曲線」の曲線 $J$($f(x)=x\sin(1/x)$ のグラフと折れ線の和)は、原点の近くで正の $x$ 軸と無限回交わるので、原点から放射状に内部を見渡すことはできない。それでも thm-sch-main により、平面の同相写像で $J$ を円周に移せ、内部の閉包は閉円板と同相である。証明の中では、原点の近くの内部の 2 点は lem-sch-local により原点の近くで結べ、原点は lem-sch-access により内部から弧で到達できる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 平面(球面)の中の曲線 | トーラスの子午線 | 補集合が 2 つの成分に分かれ、閉包が閉円板 |
| 次元が 2 | Alexander の角付き球面($\mathbb{R}^3$ の中の $S^2$) | 空間の同相写像で標準的な球面に移せる |
| 境界が Jordan 曲線 | 切れ目の入った円板 | 閉包と境界の組が $(\bar D,S^1)$ と同相 |
トーラス $T=S^1\times S^1$ の子午線 $M=\{1\}\times S^1$ は $S^1$ と同相だが、$T\setminus M=(S^1\setminus\{1\})\times S^1$ は連結で、成分は 1 つしかない。その閉包 $T$ は $H_1(T)\cong\mathbb{Z}^2$(Mayer–Vietoris完全列 の例「トーラスのホモロジー」)なので、可縮な閉円板とは同相でない。破れる条件は「曲線が平面(または球面)の中にある」ことで、証明では Jordan曲線定理 の分離定理(球面の中の Jordan 曲線)を使っていた。
$\mathbb{R}^3$ の中に、$S^2$ と同相な部分集合 $S$(Alexander の角付き球面)で、$\mathbb{R}^3\setminus S$ の有界でない成分が単連結でないものがある(Hat02 Example 2B.2、pp. 170–172。この記事では証明しない)。$\mathbb{R}^3$ に無限遠点を足した $S^3$ の中で見ると、$S^3\setminus S$ はそれでも 2 つの成分に分かれ、各成分のホモロジーは一点と同じである(Jordan曲線定理 の定理「Jordan–Brouwerの分離定理」)。一方、標準的な球面 $S^2\subset\mathbb{R}^3$ の外側 $\{\lvert x\rvert>1\}$ は $S^2\times(1,\infty)$ と同相で、$S^2$ が単連結(球面のホモトピー群 の命題「消滅域と対角線」)なので単連結である。$\mathbb{R}^3$ の同相写像はコンパクト集合の逆像をコンパクトにするので、閉包がコンパクトでない成分を閉包がコンパクトでない成分へ写す。したがって $\mathbb{R}^3$ の同相写像で $S$ を $S^2$ に移すものはない。$3$ 次元では、thm-sch-main の「曲線を標準形に移す同相写像がある」という結論が、「$S^{n-1}$ と同相な集合」という仮定だけでは成り立たない。
$U:=D\setminus\{(t,0)\mid0\le t< 1\}$ は有界な連結開集合だが、境界 $\partial U=S^1\cup\{(t,0)\mid0\le t\le1\}$ は Jordan 曲線でない:点 $(1/2,0)$ を除くと非連結になるが、$S^1$ はどの 1 点を除いても連結である。したがって組 $(\bar U,\partial U)$ から $(\bar D,S^1)$ への同相写像はない(あれば $\partial U$ と $S^1$ が同相になる)。$\bar U$ そのものは閉円板だが、$U$ の点が境界へ近づく仕方(切れ目の上下から近づく)は円板と違う。lem-sch-local の結論も、切れ目の点 $p=(1/2,0)$ では成り立たない:$p$ の上下の $U$ の点は、$p$ の近くでは結べない。
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