Erdős–Stoneの定理(Erdős–Stone theorem)とは、整数 $r,s\ge1$ と $\varepsilon>0$ を固定すると、$n$ が十分大きければ $(1-\frac1r+\varepsilon)\frac{n^2}2$ 本以上の辺をもつ $n$ 頂点の単純グラフは、各部が $s$ 頂点の完全 $(r+1)$ 部グラフを含むという極値グラフ理論の定理である。系として、辺をもつグラフ $H$ を含まない $n$ 頂点のグラフの辺の最大数は $(1-\frac1{\chi(H)-1}+o(1))\binom n2$ となり(Erdős–Simonovits)、主要項は彩色数 $\chi(H)$ だけで決まる。$H$ が二部グラフなら主要項は $0$ で、この式からは増え方は分からない。
前提知識: Turánの定理, 彩色数, 部分グラフ, ハイパーグラフ, Kővári–Sós–Turánの定理
$n$ 頂点のグラフが、$r+1$ 個の頂点が互いに隣接する形 $K_{r+1}$ を含まないとき、辺の本数は Turán グラフ $T(n,r)$ の辺の本数 $t(n,r)\approx\bigl(1-\frac1r\bigr)\frac{n^2}2$ 以下である(Turánの定理)。禁止するグラフ $H$ を一般のグラフにすると、$H$ を含まない $n$ 頂点のグラフの辺の本数の最大値 $\operatorname{ex}(n,H)$ を正確に求めることは難しい。しかし $n^2$ の係数だけなら、$H$ の形によらず彩色数 $\chi(H)$ だけで決まり、
$$
\operatorname{ex}(n,H)=\Bigl(1-\frac1{\chi(H)-1}+o(1)\Bigr)\binom n2\qquad(n\to\infty)
$$
となる。P. Erdős と A. H. Stone は 1946 年に、Turán の閾値を $\varepsilon n^2$ 程度超える辺をもつ大きいグラフが各部の大きい完全多部グラフを含むことを示し、Erdős と M. Simonovits は 1966 年に、そこから一般の $H$ についての上の式がすぐ従うことを注意した(Zha23 注意 1.5.2、p. 27)。この記事では、前者を Erdős–Stone の定理、後者を Erdős–Simonovits の式と呼ぶ。
この記事では、$K_{r+1}$ が多数あること(超飽和)と、$k$ 元集合を辺とするハイパーグラフへの Kővári–Sós–Turánの定理 の拡張を組み合わせる、正則性補題を使わない証明を述べる(Erdős による証明。Zha23 注意 1.5.2、p. 27)。$H$ が二部グラフのときは式の主要項が $0$ になり、増え方について何も言わないことにも注意する。
この記事では、グラフはループも平行辺ももたない有限の無向の単純グラフとし、$e(G)$ を辺の本数とする。グラフ $G$ のある部分グラフが $H$ とグラフ同型であるとき、$G$ は $H$ を 含む という。$H$ を辺を 1 本以上もつグラフとし、$H$ を含まない $n$ 頂点のグラフの辺の本数の最大値を $\operatorname{ex}(n,H)$ と書く($H$ の 極値数)。
$r\ge1$ とする。頂点を $r$ 個の部(互いに交わらない集合)に分け、異なる部の 2 頂点をすべて結び、同じ部の 2 頂点は結ばないグラフを 完全 $r$ 部グラフ という。$n$ 頂点を大きさの差が高々 $1$ の $r$ 個の部に分けたものを Turán グラフ $T(n,r)$ といい、その辺の本数を $t(n,r)$ と書く。$s\ge1$ について、$r$ 個の部の大きさがすべて $s$ の完全 $r$ 部グラフを $K_r(s)$ と書く。$K_r(1)=K_r$、$K_2(s)=K_{s,s}$ であり、$K_3(2)$ は正八面体の頂点と辺のなすグラフである。
$k\ge1$ とする。有限集合 $V$ と、$V$ の $k$ 元部分集合の族 $E$ の組 $(V,E)$ を $k$-一様ハイパーグラフ といい、$E$ の元を 辺 という。互いに交わらない $V$ の部分集合 $V_1,\dots,V_k$ で、各 $V_i$ から 1 個ずつ選んだ $k$ 個の頂点の集合 $\{v_1,\dots,v_k\}$($v_i\in V_i$)がすべて辺であるものを、部の大きさ $\lvert V_1\rvert,\dots,\lvert V_k\rvert$ の完全 $k$ 部部分 という。
$k=2$ なら $2$-一様ハイパーグラフはグラフで、部の大きさ $s,s$ の完全 2 部部分は $K_{s,s}$ である。グラフ $G$ の互いに隣接する $k$ 個の頂点の集合($K_k$ をなす集合)をすべて辺とすると、$G$ の頂点集合の上の $k$-一様ハイパーグラフができる。これを $G$ の $k$-クリークのハイパーグラフ と呼ぶことにする。
整数 $r\ge1$、$s\ge1$ と実数 $\varepsilon>0$ を固定する。$n_0$ があって、$n\ge n_0$ のとき、$n$ 頂点のグラフ $G$ が
$$
e(G)\ge\Bigl(1-\frac1r+\varepsilon\Bigr)\frac{n^2}2
$$
をみたせば、$G$ は $K_{r+1}(s)$ を含む。
$s=1$ の場合は Turánの定理 の系「辺の密度による形」(辺が $(1-\frac1r)\frac{n^2}2$ より多ければ $K_{r+1}$ を含む)から、すべての $n$ について従う。Erdős–Stone の定理は、閾値を $\varepsilon n^2/2$ だけ超えると、$K_{r+1}$ の各頂点を $s$ 個ずつに「ふくらませた」グラフまで現れることを述べている。証明は節「証明」の prf-es-main で述べる。
$H$ を辺をもつグラフとし、$r:=\chi(H)-1\ (\ge1)$ とおく。このとき $n\to\infty$ で
$$
\operatorname{ex}(n,H)=\Bigl(1-\frac1r+o(1)\Bigr)\frac{n^2}2=\Bigl(1-\frac1{\chi(H)-1}+o(1)\Bigr)\binom n2
$$
である。したがって $H$ の Turán 密度 $\pi(H):=\lim_{n\to\infty}\operatorname{ex}(n,H)/\binom n2$ は $1-\frac1{\chi(H)-1}$ に等しい。
$H$ が辺をもつ二部グラフなら $\chi(H)=2$、$r=1$ なので、cor-es-simonovits は $\operatorname{ex}(n,H)=o(n^2)$ しか言わない。たとえば $\operatorname{ex}(n,K_{2,2})$ は $\frac12n^{3/2}$ 程度、$\operatorname{ex}(n,K_{s,t})$ は高々 $n^{2-1/s}$ の定数倍であり(Kővári–Sós–Turánの定理)、二部グラフの極値数の増え方は $n^2$ より小さい冪の範囲で $H$ ごとに異なる。この意味で、Erdős–Simonovits の式は二部グラフについて 退化 している。一方 $\chi(H)\ge3$ なら主要項は $\frac14n^2$ 以上で、誤差 $o(n^2)$ は主要項に比べて小さい。
証明は 2 つの補題による。1 つめは、閾値を超えると $K_{r+1}$ が $n^{r+1}$ の定数倍個あること(超飽和)、2 つめは、辺が $n^k$ の定数倍個ある $k$-一様ハイパーグラフは大きい完全 $k$ 部部分をもつことである。
整数 $r\ge1$ と実数 $\varepsilon>0$ を固定する。$\delta>0$ と $n_1$ があって、$n\ge n_1$ の $n$ 頂点のグラフ $G$ が $e(G)\ge\bigl(1-\frac1r+\varepsilon\bigr)\frac{n^2}2$ をみたせば、$G$ の $(r+1)$-クリーク($K_{r+1}$ をなす $r+1$ 個の頂点の集合)は $\delta n^{r+1}$ 個以上ある。
$e(G)\le\binom n2< \frac{n^2}2$ なので、そのような $G$ があるなら $\varepsilon< \frac1r$ である。以下 $\varepsilon< \frac1r$ とし、整数 $M\ge r+1$ を $M-1\ge2/\varepsilon$ となるようにとる。$n\ge M$ とし、$V(G)$ の $M$ 元部分集合 $S$ 全体($\binom nM$ 個)を考える。
平均.各辺はその両端を含む $\binom{n-2}{M-2}$ 個の $S$ に含まれるので、誘導部分グラフ $G[S]$ の辺の本数の平均は
$$
e(G)\frac{\binom{n-2}{M-2}}{\binom nM}=e(G)\frac{M(M-1)}{n(n-1)}\ge\Bigl(1-\frac1r+\varepsilon\Bigr)\frac{n^2}{n(n-1)}\binom M2\ge\Bigl(1-\frac1r+\varepsilon\Bigr)\binom M2
$$
である。
よい部分集合.$e(G[S])>(1-\frac1r)\frac{M^2}2$ となる $S$ を「よい」と呼び、その割合を $a$ とする。$M-1\ge2/\varepsilon$ から $\frac\varepsilon2\binom M2\ge(1-\frac1r)\frac M2$ なので、よくない $S$ は $e(G[S])\le(1-\frac1r)\frac{M^2}2\le(1-\frac1r+\frac\varepsilon2)\binom M2$ をみたす。よい $S$ でも $e(G[S])\le\binom M2$ なので、平均と比べて
$$
1-\frac1r+\varepsilon\le a+(1-a)\Bigl(1-\frac1r+\frac\varepsilon2\Bigr)
$$
であり、整理すると $\frac\varepsilon2\le a\bigl(\frac1r-\frac\varepsilon2\bigr)\le a$ である。
数える.よい $S$ は、Turánの定理 の系「辺の密度による形」により $(r+1)$-クリークを含む。1 つの $(r+1)$-クリークを含む $S$ は $\binom{n-r-1}{M-r-1}$ 個なので、$(r+1)$-クリークの個数を $Q$ とすると $Q\binom{n-r-1}{M-r-1}\ge a\binom nM$ である。$\binom nM\binom M{r+1}=\binom n{r+1}\binom{n-r-1}{M-r-1}$($M$ 元集合とその中の $r+1$ 元集合の組を 2 通りに数える)と、$\binom n{r+1}\ge\bigl(\frac n{r+1}\bigr)^{r+1}$ により
$$
Q\ge\frac\varepsilon2\cdot\frac{\binom n{r+1}}{\binom M{r+1}}\ge\frac{\varepsilon}{2\binom M{r+1}(r+1)^{r+1}}\,n^{r+1}
$$
である。$\delta:=\varepsilon\big/\bigl(2\binom M{r+1}(r+1)^{r+1}\bigr)$、$n_1:=M$ とすればよい。$\square$
2 つめの補題は、Kővári–Sós–Turánの定理 の証明の数え方を、一様性 $k$ について帰納的に繰り返したものである。そこで使った関数 $f_s$($x\ge s-1$ で $x(x-1)\cdots(x-s+1)/s!$、$x< s-1$ で $0$)が $\mathbb R$ 上で非減少かつ凸で、整数 $d\ge0$ で $f_s(d)=\binom ds$ となること(同記事の補題「二項係数の凸な延長」)をここでも使う。
整数 $k\ge1$、$s\ge1$ と実数 $\delta>0$ を固定する。$N$ があって、$n\ge N$ 頂点の $k$-一様ハイパーグラフが $\delta n^k$ 本以上の辺をもてば、部の大きさがすべて $s$ の完全 $k$ 部部分をもつ。
$k$ についての帰納法で、すべての $s,\delta$ について示す。
$k=1$.辺は 1 元集合 $\{v\}$ で、$\delta n$ 個以上ある。$n\ge s/\delta$ なら $s$ 個の頂点 $v$ で $\{v\}$ が辺のものがとれ、それらを $V_1$ とすればよい。
$k\ge2$.$k-1$ のときは成り立つとする。$(V,E)$ を $n$ 頂点で $\lvert E\rvert\ge\delta n^k$ の $k$-一様ハイパーグラフとする($E\ne\emptyset$ なので $n\ge k$ である)。$V$ の $(k-1)$ 元部分集合 $T$ に対し、$T$ に属さない頂点 $v$ で $T\cup\{v\}\in E$ となるものの集合を $D(T)$ とし、$d(T):=\lvert D(T)\rvert$ とおく。各辺は $k$ 通りに $T\cup\{v\}$ と書けるので $\sum_Td(T)=k\lvert E\rvert$ であり、$T$ は $\binom n{k-1}\le n^{k-1}/(k-1)!$ 個なので、$d(T)$ の平均 $\mu$ は $\mu\ge k!\,\delta n$ をみたす。
$T$ と、$D(T)$ に含まれる $s$ 元集合 $S$ の組 $(T,S)$ の個数を $Y$ とすると、$Y=\sum_T\binom{d(T)}s=\sum_Tf_s(d(T))$ である。Jensenの不等式と $f_s$ の単調性により $Y\ge\binom n{k-1}f_s(\mu)\ge\binom n{k-1}f_s(k!\,\delta n)$ である。$x:=k!\,\delta n\ge2s$ なら $x-s+1\ge x/2$ なので $f_s(x)\ge(x-s+1)^s/s!\ge(x/2)^s/s!$ であり、$\binom n{k-1}\ge\bigl(\frac n{k-1}\bigr)^{k-1}$ とあわせて
$$
Y\ge\Bigl(\frac n{k-1}\Bigr)^{k-1}\Bigl(\frac{k!\,\delta}2\Bigr)^s\frac{n^s}{s!}
$$
である。$s$ 元集合 $S$ は $\binom ns\le n^s/s!$ 個なので、ある $S$ について、$S\subset D(T)$ となる $T$ が $\delta'n^{k-1}$ 個以上ある。ここで $\delta':=(k!\,\delta/2)^s/(k-1)^{k-1}$ である。
その $S$ を固定する。$S\subset D(T)$ なら $T\cap S=\emptyset$ である($D(T)$ は $T$ の外の頂点からなる)。そこで、頂点集合 $V\setminus S$ の上の $(k-1)$-一様ハイパーグラフで、$S\subset D(T)$ となる $T$ をすべて辺とするものを考えると、$n-s$ 頂点で $\delta'n^{k-1}\ge\delta'(n-s)^{k-1}$ 本以上の辺をもつ。$n-s$ が $k-1$ のときの $N$($s,\delta'$ に対するもの)以上なら、帰納法の仮定により、$V\setminus S$ の互いに交わらない部分集合 $V_1,\dots,V_{k-1}$(大きさ $s$)で、各 $V_i$ から 1 個ずつ選んだ $T=\{v_1,\dots,v_{k-1}\}$ がすべて $S\subset D(T)$ をみたすものがある。$V_k:=S$ とおくと、$v_k\in S$ について $T\cup\{v_k\}\in E$ なので、$V_1,\dots,V_k$ が求める完全 $k$ 部部分である。
したがって $N$ を、$n\ge s/\delta$ の条件($k=1$)、または $k!\,\delta n\ge2s$ と $n-s$ が $k-1$ のときの $N$ 以上であることの条件($k\ge2$)がみたされる大きさにとればよい。$\square$
$r,s,\varepsilon$ に対し lem-es-supersaturation の $\delta,n_1$ をとり、$k:=r+1$、$s$、$\delta$ に対し lem-es-hypergraph の $N$ をとる。$n_0:=\max\{n_1,N\}$ とする。
$n\ge n_0$ とし、$G$ を $e(G)\ge(1-\frac1r+\varepsilon)\frac{n^2}2$ の $n$ 頂点のグラフとする。lem-es-supersaturation により、$G$ の $(r+1)$-クリークのハイパーグラフは $\delta n^{r+1}$ 本以上の辺をもつ。lem-es-hypergraph により、互いに交わらない頂点の集合 $V_1,\dots,V_{r+1}$(大きさ $s$)で、各 $V_i$ から 1 個ずつ選んだ $r+1$ 個の頂点がつねに $(r+1)$-クリークをなすものがある。
$i\ne j$、$u\in V_i$、$w\in V_j$ とする。ほかの $V_l$($l\ne i,j$)から頂点を 1 個ずつ選んで $u,w$ に加えると $(r+1)$-クリークができるので、$u$ と $w$ は隣接する。よって $V_1,\dots,V_{r+1}$ は $G$ の中で $K_{r+1}(s)$ をなす。$\square$
下から.$T(n,r)$ は部ごとに色を変えれば $r$ 色で塗り分けられるので、$T(n,r)$ が $H$ を含めば $\chi(H)\le r$ となり(彩色数 の命題「部分グラフと連結成分」)、$\chi(H)=r+1$ に反する。よって $\operatorname{ex}(n,H)\ge t(n,r)$ である。$T(n,r)$ の部の大きさ $n_1,\dots,n_r$ は $n/r+1$ 以下なので $\sum_in_i^2\le(n/r+1)n$ であり、
$$
t(n,r)=\frac12\Bigl(n^2-\sum_in_i^2\Bigr)\ge\Bigl(1-\frac1r\Bigr)\frac{n^2}2-\frac n2
$$
である。
上から.$H$ の $(r+1)$ 色の彩色をとり、色ごとの頂点の集合を $C_1,\dots,C_{r+1}$ とする。$h:=v(H)$ とおくと $\lvert C_i\rvert\le h$ であり、$C_i$ を $K_{r+1}(h)$ の第 $i$ の部に単射で写すと、$H$ の辺は異なる色の頂点を結ぶので $K_{r+1}(h)$ の辺に写る。よって $H$ は $K_{r+1}(h)$ に含まれる。$\varepsilon>0$ に対し、thm-es-main を $s=h$ で使うと、$n$ が十分大きければ $(1-\frac1r+\varepsilon)\frac{n^2}2$ 本以上の辺をもつ $n$ 頂点のグラフは $K_{r+1}(h)$、したがって $H$ を含む。よって $\operatorname{ex}(n,H)<(1-\frac1r+\varepsilon)\frac{n^2}2$ である。
上下の評価から $\operatorname{ex}(n,H)\big/\frac{n^2}2\to1-\frac1r$ であり、$\binom n2\big/\frac{n^2}2\to1$ なので $\operatorname{ex}(n,H)/\binom n2$ も同じ極限をもつ。$\square$
cor-es-simonovits により、Turán 密度は彩色数だけで決まる。
| $H$ | $\chi(H)$ | $\pi(H)$ | 注意 |
|---|---|---|---|
| $K_{r+1}$($r\ge1$) | $r+1$ | $1-\frac1r$ | Turánの定理 と一致する |
| 奇数の長さの閉路 $C_{2k+1}$($k\ge1$) | $3$ | $\frac12$ | 三角形と同じ |
| Petersenグラフ | $3$ | $\frac12$ | 三角形を含まない |
| 正八面体 $K_3(2)$ | $3$ | $\frac12$ | |
| 5 頂点の閉路に 1 頂点を加えて全部と結んだ車輪 | $4$ | $\frac23$ | $K_4$ を含まない |
| 辺をもつ二部グラフ | $2$ | $0$ | rem-es-bipartite |
$C_5$ と Petersen グラフは三角形を含まない(互いに隣接する頂点は 2 個まで)が、彩色数は $3$ である(彩色数 の例「Petersen グラフの彩色数」)。よって $\pi(C_5)=\pi(\text{Petersen})=\frac12$ で、三角形 $K_3$ と同じである。「$H$ に含まれる最大の完全グラフ」で $\pi(H)$ が決まるのではない。実際、prf-es-simonovits の下からの評価に使う Turán グラフ $T(n,2)$ は二部グラフなので、奇閉路を含む $H$ をどれも含まない。車輪についても、$C_5$ の塗り分けには 3 色が要り、中心は $C_5$ のすべての頂点と隣接するので 4 色目が要る。$C_5$ の 3 色の彩色に中心の 4 色目を足せば塗り分けられるので $\chi=4$ であり、$T(n,3)$ は 3 色で塗れるのでこの車輪を含まない。
次の表の各行は、この記事の主張の仮定を 1 つだけ外したときに結論が成り立たなくなる例である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| thm-es-main の「$\varepsilon>0$」 | $r$ が $n$ を割り切るときの $G=T(n,r)$($\varepsilon=0$) | $K_{r+1}(s)$ を含む($K_{r+1}$ すら含まない) |
| thm-es-main の「$n\ge n_0$」 | $r=1$、$s=2$、$\varepsilon=\frac12$、$G=K_3$ | $K_{2,2}$ を含む |
| cor-es-simonovits の誤差項 $o(1)$($0$ にする) | $H$ を 2 つの互いに交わらない三角形 | $\operatorname{ex}(n,H)\le\frac14n^2$ |
| lem-es-hypergraph の「辺が $\delta n^k$ 本以上($\delta$ は定数)」 | $k=2$、$s=2$、Kővári–Sós–Turánの定理 の極グラフ | 部の大きさ $2,2$ の完全 2 部部分をもつ |
1 行目:$r\mid n$ なら $T(n,r)$ の部はすべて $n/r$ 個の頂点をもち、$e(T(n,r))=\binom r2(n/r)^2=(1-\frac1r)\frac{n^2}2$ である。$r+1$ 個の頂点のうち 2 個は同じ部に入るので、$K_{r+1}$ を含まない。
2 行目:$e(K_3)=3\ge(1-1+\frac12)\frac92=\frac94$ だが、$K_{2,2}$ は 4 頂点をもつので 3 頂点のグラフには含まれない。
3 行目:$H$ は 6 頂点・彩色数 $3$ で、$r=2$ である。$n\ge4$ とし、完全二部グラフ $K_{\lceil n/2\rceil,\lfloor n/2\rfloor}$ の大きいほうの部の 2 頂点 $u,v$ を結んだグラフを $G$ とする。二部グラフは三角形を含まないので、$G$ の三角形はどれも辺 $uv$ を使い、$u,v$ を共有する。よって $G$ は互いに交わらない 2 つの三角形を含まず、$\operatorname{ex}(n,H)\ge\lfloor n^2/4\rfloor+1$ であり、これはどの $n\ge4$ でも $\frac14n^2$ を超える。逆に $H=K_{r+1}$、$r\nmid n$ なら $\operatorname{ex}(n,H)=t(n,r)<(1-\frac1r)\frac{n^2}2$ である(Turánの定理 の系「辺の密度による形」)。誤差項は正にも負にもなりうる。
4 行目:極グラフ $\mathrm{ER}_q$ は $q^2+q+1$ 頂点で $\frac12(q+1)(q^2+q+1)$ 本以下、すなわち $n^2$ よりずっと少ない $O(n^{3/2})$ 本の辺しかもたず、$K_{2,2}$ を含まない(Kővári–Sós–Turánの定理 の命題「極グラフの性質」)。辺の割合が $0$ に近づくと、lem-es-hypergraph の結論は保証されない。
Szemerédiの正則性補題 を使う別証明もある(Zha23 定理 2.6.7、pp. 75–76)。$\chi(H)=r+1$ とし、$e(G)\ge(1-\frac1r+\varepsilon)\frac{n^2}2$ とする。$G$ の頂点を有限個の組に分け、ほとんどの組の間で辺が一様に分布するようにし(正則分割)、一様でない組・辺の少ない組・小さい組の間の辺を除いても辺は $(1-\frac1r+\frac\varepsilon4)\frac{n^2}2$ 本より多く残る。残ったグラフは Turánの定理 により $K_{r+1}$ を含み、その頂点が属する組(同じ組が重なってもよい)のどの 2 つの間でも辺は一様かつ密なので、数え上げの補題によって $H$ を埋め込める。この記事ではこの証明を述べない。
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