Milnor超曲面(Milnor hypersurface)とは、$1\le b< a$ について、実射影空間の積 $\mathbb{RP}^a\times\mathbb{RP}^b$ の中で $\sum_{j=0}^{b}u_jv_j=0$ をみたす点 $([u],[v])$ の全体 $H_{a,b}$ のことで、$a+b-1$ 次元の閉じた滑らかな超曲面である。法束は 2 つのトートロジー直線束のテンソル積に同型で、$2\le b< a$ なら Newton 多項式による特性数($s$ 数)は $\binom{a+b}{a}\bmod 2$ に等しい。$s$ 数は境界と正の次元の積で消えるので、$p,q\ge1$ について $2^p(2q+1)-1$ 次元の $H_{2^{p+1}q,2^p}$ は非有向同境環の分解できない元であり、Thom の定理のもとで奇数次元の生成元にとれる。
前提知識: 同境, Stiefel–Whitney類, 実射影空間, Leray–Hirschの定理
偶数次元の実射影空間 $\mathbb{RP}^{2k}$ は Euler 標数が奇数なので境界にならず、非有向同境環 $\mathfrak{N}_*$ の中で $0$ でない(同境)。一方、奇数次元の $\mathbb{RP}^{2k-1}$ は境界になってしまう。Thom の定理によれば $\mathfrak{N}_*$ は $\mathbb{Z}/2$ 上の多項式環で、$2^r-1$ の形でない各次元 $i\ge2$ に生成元を 1 つずつもつ。偶数次元の生成元には $\mathbb{RP}^{i}$ がとれるが、奇数次元 $5,9,11,13,\dots$ の生成元には別の多様体が要る。それを与えるのが Milnor 超曲面(Milnor hypersurface)である。実射影空間の積 $\mathbb{RP}^a\times\mathbb{RP}^b$ の中で、斉次座標の「部分的な内積」が $0$ になる点の全体として定義される。
この記事では、Milnor 超曲面が閉じた滑らかな多様体であること、その法束と安定な接束、$\mathbb{Z}/2$ 係数のコホモロジーと基本類での値の公式を示し、そこから Newton 多項式で定まる特性数($s$ 数)を $s_{a+b-1}[H_{a,b}]\equiv\binom{a+b}{a}\pmod2$($2\le b< a$)と計算する。$s$ 数は境界と正の次元の閉多様体の積の上で消えるので、$s$ 数が $1$ になる Milnor 超曲面は $\mathfrak{N}_*$ の中で分解できない。Thom の定理を認めれば、これらが奇数次元の生成元にとれることもこの記事で証明する。奇数次元の実射影空間が境界になることは、具体的な円板束を作って示す。
この記事では、多様体(境界付きのものを含む)は Hausdorff かつ第 2 可算な $C^\infty$ 級の多様体とし、「滑らか」は $C^\infty$ 級を指す。閉多様体はコンパクトで境界のない多様体で、連結とは限らない。コホモロジーの係数はすべて $\mathbb{Z}/2$ とし、係数を省いて書く。$\mathbb{Z}/2$ 係数のカップ積は可換である(cup-i積 の系「mod 2 のカップ積の可換性」)。閉多様体 $N$ の $\mathbb{Z}/2$ 係数の基本類を $[N]$ と書く(向き付け可能でなくても定まる。Hat02 Theorem 3.26、p. 236)。
$\mathbb{RP}^n$ の点を、$0$ でないベクトル $u\in\mathbb{R}^{n+1}$ の定める直線 $[u]$ と書く。$\gamma_n\to\mathbb{RP}^n$ をトートロジー直線束($[u]$ の上のファイバーが直線 $\mathbb{R}u$)とし、$\alpha_n:=w_1(\gamma_n)\in H^1(\mathbb{RP}^n)$ とおく。$H^*(\mathbb{RP}^n)=\mathbb{Z}/2[\alpha_n]/(\alpha_n^{n+1})$ である(実射影空間 の定理「$\mathbb{Z}/2$ 係数のコホモロジー環」、Stiefel–Whitney類 の補題「トートロジー直線束」)。
$a,b$ を $1\le b< a$ をみたす整数とし、$M:=\mathbb{RP}^a\times\mathbb{RP}^b$ とおく。
$$
H_{a,b}:=\Bigl\{([u],[v])\in M\Bigm|\ \sum_{j=0}^{b}u_jv_j=0\Bigr\}
$$
を Milnor 超曲面という。ここで $u=(u_0,\dots,u_a)$、$v=(v_0,\dots,v_b)$ である。$u$ や $v$ を $0$ でない実数倍しても和は $0$ でない実数倍されるだけなので、条件は代表のとり方によらない。
$v\in\mathbb{R}^{b+1}$ に対し $\hat v:=(v_0,\dots,v_b,0,\dots,0)\in\mathbb{R}^{a+1}$ とおくと、条件は標準内積で $\langle u,\hat v\rangle=0$ と書ける。以下、$d:=a+b-1$、$\iota\colon H_{a,b}\to M$ を包含写像とし、$H:=H_{a,b}$ と略す。$\mathrm{pr}_1,\mathrm{pr}_2$ を $M$ の 2 つの射影として
$$
L:=\mathrm{pr}_1^*\gamma_a,\quad K:=\mathrm{pr}_2^*\gamma_b,\quad E:=L\otimes K,\quad x:=\mathrm{pr}_1^*\alpha_a,\quad y:=\mathrm{pr}_2^*\alpha_b
$$
とおき、$H$ への制限を $\bar x:=\iota^*x$、$\bar y:=\iota^*y$ と書く。Künnethの公式 により $H^*(M)=\mathbb{Z}/2[x,y]/(x^{a+1},y^{b+1})$ であり(Hat02 Theorem 3.15、p. 216 と Theorem 3.19、p. 220)、$M$ は連結な閉多様体なので、$0$ でない最高次の類 $x^ay^b$ について $\langle x^ay^b,[M]\rangle=1$ である。
$H_{a,b}$ は $M$ の空でないコンパクトな滑らかな部分多様体で、次元は $d=a+b-1$ である。とくに $H_{a,b}$ は $d$ 次元の閉多様体である。
要点:$S^a\times S^b$ 上の関数 $f(u,v)=\langle u,\hat v\rangle$ は $0$ を正則値にもち、その零点集合は 4 枚の被覆 $q$ による $H$ の逆像である。
$q\colon S^a\times S^b\to M$、$q(u,v):=([u],[v])$ は 4 枚の被覆写像で、局所微分同相である($\mathbb{RP}^n$ の滑らかな構造は $S^n\to\mathbb{RP}^n$ が局所微分同相になるように入る)。$f(u,v):=\langle u,\hat v\rangle$ とおくと、$\sigma,\tau\in\{\pm1\}$ について $f(\sigma u,\tau v)=\sigma\tau f(u,v)$ なので、$\tilde H:=f^{-1}(0)$ は $q^{-1}(H)$ に等しい。
$(u,v)\in\tilde H$ では $\hat v\perp u$ なので、$(\hat v,0)$ は $T_{(u,v)}(S^a\times S^b)=u^\perp\times v^\perp$ の元であり、$df(\hat v,0)=\langle\hat v,\hat v\rangle=|v|^2=1\ne0$ である。よって $0$ は $f$ の正則値で、正則値定理 により $\tilde H$ は $S^a\times S^b$ の $(a+b-1)$ 次元の閉じた滑らかな部分多様体である。
$p\in H$ と $(u,v)\in q^{-1}(p)$ をとり、$(u,v)$ の開近傍 $W$ を、$q|_W$ が開集合 $q(W)$ への微分同相になるようにとる。$q^{-1}(H)=\tilde H$ なので $H\cap q(W)=q(\tilde H\cap W)$ であり、これは部分多様体 $\tilde H\cap W$ の微分同相による像である。よって $H$ は $p$ の近くで $(a+b-1)$ 次元の部分多様体である。$H=q(\tilde H)$ はコンパクト集合の像なのでコンパクトである。$b< a$ なので $u=e_{b+1}$、$v=e_0$ がとれ、$([u],[v])\in H$ である。$\square$
$\pi:=\mathrm{pr}_2\circ\iota\colon H\to\mathbb{RP}^b$ は、ファイバー $\mathbb{RP}^{a-1}$ のファイバー束である。$[v]$ の上のファイバーは $\hat v^\perp\subset\mathbb{R}^{a+1}$ の中の直線の全体 $P(\hat v^\perp)$ であり、包含 $P(\hat v^\perp)\to\mathbb{RP}^a$ による $\alpha_a$ の引き戻しは $H^1(P(\hat v^\perp))\cong\mathbb{Z}/2$ の生成元である。とくに $H$ は連結である。
要点:$H$ は、自明束の中の直線 $\mathbb{R}\hat v$ の直交補束 $V$ の各ファイバーの直線の全体と同じものである。
$[v]\mapsto\mathbb{R}\hat v$ は自明束 $\mathbb{RP}^b\times\mathbb{R}^{a+1}$ の直線部分束 $\hat K$ を定め、$v\mapsto\hat v$ は束の同型 $K\cong\hat K$ を与える。その直交補束 $V:=\hat K^\perp$(ファイバー $\hat v^\perp$)は階数 $a$ の実ベクトル束であり(ベクトル束の計量)、$H$ は $V$ の各ファイバーの直線の全体 $P(V)$ と同じ集合である。開集合 $U\subset\mathbb{RP}^b$ の上の $V$ の局所自明化 $U\times\mathbb{R}^a\cong V|_U$ は、直線を直線に写して同相写像 $U\times\mathbb{RP}^{a-1}\cong\pi^{-1}(U)$ を与える(連続な全単射で、逆も局所自明化の逆から連続である)。よって $\pi$ はファイバー束である。
ファイバー $P(\hat v^\perp)$ の上で $\gamma_a$ はそのトートロジー直線束に制限され、$P(\hat v^\perp)\cong\mathbb{RP}^{a-1}$ なので、Stiefel–Whitney類 の補題「トートロジー直線束」と自然性から引き戻しは $\alpha_{a-1}$ に対応し、$0$ でない。
$\mathbb{RP}^b$ と $\mathbb{RP}^{a-1}$ は連結で、ファイバー束の射影は開写像である。$H=A\sqcup B$ を空でない開集合への分割とすると、連結な各ファイバーは $A$ か $B$ の一方に含まれるので、$\mathbb{RP}^b=\pi(A)\sqcup\pi(B)$ は空でない開集合への分割になり、矛盾する。$\square$
$b=1$ のとき、$H_{a,1}$ は円周 $\mathbb{RP}^1$ 上の $\mathbb{RP}^{a-1}$ 束であり、たとえば $H_{2,1}$ は円周上の円周束、すなわち閉曲面である。
$E=L\otimes K$ の $([u],[v])$ の上のファイバーは $\mathbb{R}u\otimes\mathbb{R}v$ である。単位ベクトル $u\in S^a$、$v\in S^b$ について $f(u,v):=\langle u,\hat v\rangle$ とおくと、$\zeta([u],[v]):=f(u,v)\,u\otimes v$ は単位ベクトルの代表のとり方によらない($u,v$ を $\sigma u,\tau v$ に替えると両方の因子が $\sigma\tau$ 倍される)ので、$E$ の連続な切断 $\zeta$ が定まり、その零点集合は $H$ である。
要点:$f$ の微分は $\pm$ の作用と両立して $E$ に値をとる束写像 $D$ に降り、$D$ の核が $TH$ になる。
1:$p=q(u,v)\in H$ と $\xi\in T_pM$ について、$\tilde\xi:=(dq_{(u,v)})^{-1}\xi$ とし $D(\xi):=df_{(u,v)}(\tilde\xi)\,u\otimes v$ とおく。$g:=(\sigma,\tau)$ を $S^a\times S^b$ の微分同相 $(u,v)\mapsto(\sigma u,\tau v)$ とみると、$q\circ g=q$ なので別の持ち上げ $g(u,v)$ での持ち上げは $dg(\tilde\xi)$ であり、$f\circ g=\sigma\tau f$ から $df_{g(u,v)}(dg\,\tilde\xi)\,(\sigma u\otimes\tau v)=\sigma\tau\,df_{(u,v)}(\tilde\xi)\cdot\sigma\tau\,u\otimes v=D(\xi)$ となる。よって $D$ は持ち上げによらず定まり、局所的に $q$ の局所逆で書けるので連続な束写像である。prf-mh-smooth により各点で $df\ne0$ なので $D$ はファイバーごとに全射で、核は $dq(T\tilde H)=TH$ である。$TM|_H$ に計量をとり(ベクトル束の計量)、$TH$ の直交補束 $\nu$ をとると、$D|_\nu\colon\nu\to E|_H$ はファイバーごとに単射かつ全射なので束の同型で、$TM|_H=TH\oplus\nu\cong TH\oplus E|_H$ である。
2:積多様体の接束は $TM\cong\mathrm{pr}_1^*T\mathbb{RP}^a\oplus\mathrm{pr}_2^*T\mathbb{RP}^b$ であり、Stiefel–Whitney類 の補題「実射影空間の接束」(MS74 Theorem 4.5、p. 45)により $T\mathbb{RP}^n\oplus\varepsilon^1\cong(n+1)\gamma_n$ である。1 と合わせて $TH\oplus E|_H\oplus\varepsilon^2\cong TM|_H\oplus\varepsilon^2\cong(a+1)L|_H\oplus(b+1)K|_H$ である。
3:$H^1(M)$ は $x,y$ を基底とし、$x,y$ の $\mathbb{RP}^a\times\{[e_0]\}$ への制限は $\alpha_a,0$、$\{[e_0]\}\times\mathbb{RP}^b$ への制限は $0,\alpha_b$ である。$\mathbb{RP}^a\times\{[e_0]\}$ の上で $K$ は自明なので $E\cong L$ であり、$w_1(E)$ の制限は $\alpha_a$ である。同様にもう一方の制限は $\alpha_b$ なので $w_1(E)=x+y$ である。$E$ は直線束なので $w(E)=1+x+y$ である。2 に Whitney の和公式を当て、$w(L)=1+x$、$w(K)=1+y$ を $H$ に制限すれば $w(TH)$ の式を得る($w(E|_H)$ は可逆である。Stiefel–Whitney類 の命題「基本性質」)。$\square$
要点:1 は Leray–Hirsch の定理、2 は自明束の分解 $\varepsilon^{a+1}\cong L|_H\oplus K|_H\oplus Q$ に Whitney の和公式を当てたもの、3 は 1 の基底で次数を数えたものである。
1:prop-mh-fibration により $\bar x$ の各ファイバー $\mathbb{RP}^{a-1}$ への制限は生成元 $\alpha_{a-1}$ なので、$1,\bar x,\dots,\bar x^{a-1}$ の制限は $H^*(\mathbb{RP}^{a-1})$ の基底である。Leray–Hirschの定理 の定理「特異コホモロジーの Leray–Hirsch の定理」(体 $\mathbb{Z}/2$、ファイバーはコンパクトな滑らかな多様体 $\mathbb{RP}^{a-1}$)から 1 の前半が従う。$\mathrm{pr}_2\circ\iota=\pi$ なので $\bar y=\pi^*\alpha_b$ である。
2:$H$ の点 $([u],[v])$ では $u\perp\hat v$ なので、自明束 $\varepsilon^{a+1}=H\times\mathbb{R}^{a+1}$ の中で直線部分束 $L|_H$(ファイバー $\mathbb{R}u$)と $\hat K|_H$(ファイバー $\mathbb{R}\hat v$、prf-mh-fibration の記号)は直交する。その和の直交補束を $Q$(階数 $a-1$)とすると $\varepsilon^{a+1}\cong L|_H\oplus K|_H\oplus Q$ であり、Whitney の和公式から $1=(1+\bar x)(1+\bar y)\,w(Q)$、すなわち$$w(Q)=(1+\bar x)^{-1}(1+\bar y)^{-1}=\sum_{i,k\ge0}\bar x^{\,i}\bar y^{\,k}$$である(係数が $\mathbb{Z}/2$ なので符号は要らない)。$Q$ の階数は $a-1$ なので $w_a(Q)=0$ であり、次数 $a$ の部分が 2 の式である。
3:1 により次数 $d$ の元は $\sum_{l=0}^{a-1}\pi^*(c_l)\,\bar x^{\,l}$($c_l\in H^{d-l}(\mathbb{RP}^b)$)と一意に書ける。$H^{d-l}(\mathbb{RP}^b)\ne0$ となるのは $d-l\le b$、すなわち $l\ge a-1$ のときだけなので、$H^d(H)=\pi^*H^b(\mathbb{RP}^b)\,\bar x^{\,a-1}$ は $\bar y^{\,b}\bar x^{\,a-1}\ne0$ で生成される 1 次元の空間である。$H$ は連結な $d$ 次元の閉多様体なので $H_d(H)=\mathbb{Z}/2\cdot[H]$ であり(Hat02 Theorem 3.26、p. 236)、普遍係数定理により $\langle\cdot,[H]\rangle\colon H^d(H)\to\mathbb{Z}/2$ は同型である。よって $0$ でない元 $\bar x^{\,a-1}\bar y^{\,b}$ の値は $1$ である。$\square$
すべての $\beta\in H^d(M)$ について
$$
\langle\iota^*\beta,[H]\rangle=\langle\beta\,(x+y),[M]\rangle
$$
である。
要点:$H^d(M)$ の基底 $x^{a-1}y^b$、$x^ay^{b-1}$ について、両辺がともに $1$ であることを prop-mh-cohomology の 2・3 で確かめる。
両辺は $\beta$ について線形である。$H^d(M)$ の基底は、$r+s=d$、$r\le a$、$s\le b$ をみたす $x^ry^s$、すなわち $x^{a-1}y^b$ と $x^ay^{b-1}$ である。
$\beta=x^{a-1}y^b$:prop-mh-cohomology の 3 により左辺は $\langle\bar x^{\,a-1}\bar y^{\,b},[H]\rangle=1$ である。右辺は $x^ay^b+x^{a-1}y^{b+1}=x^ay^b$ なので $1$ である。
$\beta=x^ay^{b-1}$:prop-mh-cohomology の 2 により $\bar x^{\,a}=\sum_{i=0}^{a-1}\bar x^{\,i}\bar y^{\,a-i}$ である。$y^{b+1}=0$ なので $\bar y^{\,k}=0$($k>b$)であり、$$\bar x^{\,a}\bar y^{\,b-1}=\sum_{i=0}^{a-1}\bar x^{\,i}\bar y^{\,a-i+b-1}=\bar x^{\,a-1}\bar y^{\,b}$$($a-i\ge1$ なので $i=a-1$ の項だけが残る)。よって左辺は $1$ である。右辺は $x^{a+1}y^{b-1}+x^ay^b=x^ay^b$ なので $1$ である。$\square$
この公式は、$\iota_*[H]\in H_d(M)$ の Poincaré 双対が $E$ の $\mathbb{Z}/2$ 係数の Euler 類 $w_1(E)=x+y$ であることを言いかえたものである。ここでは $H$ のコホモロジーを直接計算して示した。
空間 $B$ 上の実ベクトル束 $F$ について、可換環 $R:=\prod_{k\ge0}H^k(B)$ の形式的冪級数 $w_T(F):=\sum_{k\ge0}w_k(F)\,T^k\in R[\![T]\!]$ を考える。定数項が $1$ なので $w_T(F)$ は可逆であり、
$$
\frac{T\,w_T'(F)}{w_T(F)}=\sum_{n\ge1}s_n(F)\,T^n
$$
で $s_n(F)$ を定める($w_T'$ は $T$ についての形式微分)。$s_n(F)$ は $w_k(F)$ の多項式で、各項の次数の和は $n$ なので $s_n(F)\in H^n(B)$ である。これを $F$ の $s$ 類という。$n$ 次元の閉多様体 $N$ について
$$
s_n[N]:=\langle s_n(TN),[N]\rangle\in\mathbb{Z}/2
$$
を $N$ の $s$ 数という。
形式的に $w_T(F)=\prod_i(1+t_iT)$ と分解すれば $T w_T'/w_T=\sum_i t_iT/(1+t_iT)=\sum_{n\ge1}\bigl(\sum_it_i^n\bigr)T^n$($\bmod 2$)なので、$s_n$ は「$\sum_it_i^n$」を基本対称式 $w_k$ で書いたもの、すなわち Newtonの恒等式 の冪和の多項式に $w_k$ を代入したものである。$s_n[N]$ は Stiefel–Whitney 数のいくつかの和である。
$F,F'$ を $B$ 上の実ベクトル束とする。
要点:2 は Whitney の和公式と対数微分の加法性、3 は等比級数の展開である。
1 は Stiefel–Whitney 類の自然性と、$g^*$ が環準同型であることから従う。2:Whitney の和公式 $w_T(F\oplus F')=w_T(F)\,w_T(F')$ と、可換環上の定数項 $1$ の冪級数 $P,P_1$ についての等式 $(PP_1)'/(PP_1)=P'/P+P_1'/P_1$(積の微分の規則)から従う。3:$w_T(\ell)=1+w_1(\ell)T$ なので $T w_1(\ell)/(1+w_1(\ell)T)=\sum_{n\ge1}w_1(\ell)^nT^n$ である(係数が $\mathbb{Z}/2$ なので符号は要らない)。自明束では $w_T=1$ なので $s_n=0$ である。$\square$
$\mathfrak{N}_n$ を $n$ 次元の非有向同境群、$\mathfrak{N}_*=\bigoplus_n\mathfrak{N}_n$ を積 $[P]\cdot[Q]:=[P\times Q]$ による同境環とする(同境)。$n\ge1$ について、$\mathfrak{N}_*$ の正の次数の 2 元の積の和全体を $\mathfrak{D}_n\subset\mathfrak{N}_n$ と書き、その元を分解できる元という。$\mathfrak{N}_n$ の元はどれも 1 つの閉多様体の類(代表の非交和)なので、$\mathfrak{D}_n$ の元は、正の次元の閉多様体 $P_i,Q_i$ による $\bigl[\bigsqcup_i P_i\times Q_i\bigr]$ の形の類である。
$n\ge1$ とする。
要点:2 は Pontryagin の定理、3 は多様体の次元を超える次数のコホモロジーが $0$ であることによる。
1:$H^n(N\sqcup N')=H^n(N)\oplus H^n(N')$ で、$T(N\sqcup N')$ の各成分への制限は $TN,TN'$、基本類は $[N]+[N']$(の包含による像)である。
2:$s_n(TN)$ は $w_k(TN)$ の単項式で次数の和が $n$ のものの和なので、$s_n[N]$ は Stiefel–Whitney 数の和である。Stiefel–Whitney類 の定理「境界の Stiefel–Whitney 数(Pontryagin)」により、それらはすべて $0$ である。
3:$T(P\times Q)\cong\mathrm{pr}_P^*TP\oplus\mathrm{pr}_Q^*TQ$ なので、lem-mh-s-props の 1・2 により $s_n(T(P\times Q))=\mathrm{pr}_P^*s_n(TP)+\mathrm{pr}_Q^*s_n(TQ)$ である。$n>\dim P$ なので $H_n(P)=0$(Hat02 Theorem 3.26 (c))、普遍係数定理から $H^n(P)=0$ で $s_n(TP)=0$ である。$Q$ も同様である。
$N_0$ と $N_1$ が同境なら $N_0\sqcup N_1$ は境界なので、1・2 から $s_n[N_0]=s_n[N_1]$ である。よって写像は代表によらず、1 から準同型であり、1・3 から $\mathfrak{D}_n$ の上で $0$ である。$\square$
$2\le b< a$ とし、$d=a+b-1$ とする。
$$
s_d[H_{a,b}]\equiv\binom{a+b}{a}\pmod 2
$$
である。
prop-mh-normal の 2 の両辺に lem-mh-s-props を当てる。$E|_H$、$L|_H$、$K|_H$ は直線束で、$w_1$ はそれぞれ $\bar x+\bar y$、$\bar x$、$\bar y$ である(prop-mh-normal の 3)。よって
$$
s_d(TH)+(\bar x+\bar y)^d=(a+1)\,\bar x^{\,d}+(b+1)\,\bar y^{\,d}
$$
である。$b\ge2$ なので $d=a+b-1>a$ であり、$x^d=\mathrm{pr}_1^*\alpha_a^{\,d}=0$、したがって $\bar x^{\,d}=0$ である。$d>b$ なので同様に $\bar y^{\,d}=0$ である。よって $s_d(TH)=(\bar x+\bar y)^d=\iota^*\bigl((x+y)^d\bigr)$ であり、prop-mh-evaluation により
$$
s_d[H]=\bigl\langle(x+y)^{a+b},[M]\bigr\rangle=\sum_{r=0}^{a+b}\binom{a+b}{r}\bigl\langle x^ry^{a+b-r},[M]\bigr\rangle
$$
である。$r>a$ なら $x^r=0$、$r< a$ なら $a+b-r>b$ で $y^{a+b-r}=0$ なので、残るのは $r=a$ の項だけで、$\langle x^ay^b,[M]\rangle=1$ から $s_d[H]\equiv\binom{a+b}{a}$ である。$\square$
$i>1$ を奇数で、$2^r-1$ の形でないものとする。
1:$i+1$ は正の偶数なので $i+1=2^pu$($p\ge1$、$u$ は正の奇数)とただ一通りに書ける($2$ で割り切れる限り割る)。$u=1$ なら $i=2^p-1$ となり仮定に反するので $u\ge3$、$u=2q+1$($q\ge1$)である。
2:$b=2^p\ge2$、$a=2^{p+1}q\ge2^{p+1}>b$、$a+b=2^p(2q+1)=i+1$ である。$\mathbb{Z}/2[T]$ では $(1+T)^2=1+T^2$ をくり返して $(1+T)^{2^p}=1+T^{2^p}$ なので
$$
(1+T)^{a+b}=\bigl(1+T^{2^p}\bigr)^{2q+1}
$$
であり、$T^{2^p}=T^b$ の係数を比べると $\binom{a+b}{b}\equiv2q+1\equiv1$ である。$\binom{a+b}{a}=\binom{a+b}{b}$ なので、thm-mh-s-number により $s_i[H_{a,b}]=1$ である。
3:prop-mh-s-hom により $s_i$ は $\mathfrak{N}_i$ 上の準同型で $\mathfrak{D}_i$ の上で $0$ になるが、$[H_{a,b}]$ の値は $1$ である。$\square$
$\mathfrak{N}_*$ は $\mathbb{Z}/2$ 上の多項式環であり、$i\ge2$ かつ $i$ が $2^r-1$ の形でない各次数 $i$ にちょうど 1 つずつ生成元 $z_i$ をもつ:$\mathfrak{N}_*=\mathbb{Z}/2[z_2,z_4,z_5,z_6,z_8,z_9,\dots]$。
この定理はこの記事では証明しない(May99 Chapter 25 §1、p. 219。証明は、$\mathfrak{N}_*$ を Thom 空間のなすスペクトルのホモトピー群と同一視することによる。同書 §2 以降)。
これを認めると、生成元の具体的なとり方が $s$ 数で決まる。
thm-mh-thom を認める。$i\ge2$ が $2^r-1$ の形でない各 $i$ について、$u_i\in\mathfrak{N}_i$ を $s_i(u_i)=1$ となる元とすると、$\mathfrak{N}_*=\mathbb{Z}/2[u_i]$($u_i$ を変数とする多項式環)である。とくに
$$
u_i=[\mathbb{RP}^i]\ (i\text{ が偶数}),\qquad u_i=[H_{2^{p+1}q,\,2^p}]\ (i=2^p(2q+1)-1\text{ が奇数})
$$
ととれる。
要点:$u_i$ は $z_i$ と分解できる元の和なので、$Z_i\mapsto u_i$ は多項式環の同型を与える。
$A:=\mathfrak{N}_*=\mathbb{Z}/2[z_i]$ とする。生成元の次数は $2$ 以上で、各次数の生成元は 1 つなので、各 $A_n$ は次数 $n$ の単項式を基底とする有限次元の空間である。正の次数の 2 元の積は長さ $2$ 以上の単項式の和であり、逆も成り立つので、$\mathfrak{D}_n$ は長さ $2$ 以上の単項式で張られ、$A_i=\mathfrak{D}_i\oplus\mathbb{Z}/2\cdot z_i$ である。$s_i(u_i)=1$ で $s_i$ は $\mathfrak{D}_i$ の上で $0$ なので(prop-mh-s-hom)、$u_i\notin\mathfrak{D}_i$、すなわち $u_i=z_i+e_i$($e_i\in\mathfrak{D}_i$)である。$e_i$ は次数が $i$ より小さい $z_k$ の多項式である。
多項式環 $\mathbb{Z}/2[Z_i]$($\deg Z_i=i$)から $A$ への環準同型 $\varphi$ を $Z_i\mapsto u_i$ で定める。$i$ についての帰納法で $z_i=u_i+e_i$ は $\varphi$ の像に入るので、$\varphi$ は全射である。両辺は各次数で同じ有限の次元をもつ(同じ次数の変数の多項式環)ので、$\varphi$ は同型である。
偶数 $i$ では、Stiefel–Whitney類 の補題「実射影空間の接束」と lem-mh-s-props から $s_i(T\mathbb{RP}^i)=(i+1)\alpha_i^{\,i}=\alpha_i^{\,i}$ であり、$\mathbb{RP}^i$ は連結なので $s_i[\mathbb{RP}^i]=1$ である。奇数 $i$ は cor-mh-indecomposable による。$\square$
May99 p. 220 は、この生成元の組を挙げている。thm-mh-thom を認めると、$i=2^r-1$ のときは次数 $i$ の生成元がないので、同じ議論で $\mathfrak{N}_i=\mathfrak{D}_i$ となり、$s_i$ は $i$ 次元のすべての閉多様体で $0$ である。
偶数次元の実射影空間は分解できず(ex-mh-rp-sn)、thm-mh-thom を認めれば cor-mh-generators の生成元にとれる。奇数次元の実射影空間は、具体的な円板束の境界になる。$k\ge1$ とし、$\lambda\to\mathbb{CP}^{k-1}$ を複素トートロジー直線束(直線 $\ell\subset\mathbb{C}^k$ の上のファイバーが $\ell$)、$\lambda\otimes\lambda$ を複素直線束としてのテンソル積とする。$\mathbb{C}^k$ の標準 Hermite 内積から $\lambda\otimes\lambda$ に $|v\otimes v'|=|v||v'|$ となる計量が入る。
$W:=\{w\in\lambda\otimes\lambda\mid|w|\le1\}$ は $2k$ 次元のコンパクトな滑らかな境界付き多様体で、その境界 $\{|w|=1\}$ は $\mathbb{RP}^{2k-1}$ と微分同相である。とくに $[\mathbb{RP}^{2k-1}]=0\in\mathfrak{N}_{2k-1}$ である。
要点:$\mathbb{C}^k$ の単位球面 $S^{2k-1}$ から境界への写像 $v\mapsto v\otimes v$ は、局所座標で円周の 2 倍写像 $\theta\mapsto\theta^2$ になり、$v$ と $-v$ だけを同じ点に送る。
$U_j:=\{\ell\in\mathbb{CP}^{k-1}\mid\ell\not\subset\{z_j=0\}\}$ とし、$\ell\in U_j$ について $\sigma_j(\ell)$ を $\ell$ の単位ベクトルで第 $j$ 成分が正の実数のものとする。$\ell=\mathbb{C}z$ なら $\sigma_j(\ell)=\frac{\bar z_j}{|z_j|}\frac{z}{|z|}$ なので $\sigma_j$ は $U_j$ 上で滑らかである。$U_j\times\mathbb{C}\to(\lambda\otimes\lambda)|_{U_j}$、$(\ell,c)\mapsto c\,\sigma_j(\ell)\otimes\sigma_j(\ell)$ は局所自明化で、$|c\,\sigma_j\otimes\sigma_j|=|c|$ である。$U_j\cap U_l$ の上では $\sigma_l=\theta_{lj}\sigma_j$($|\theta_{lj}|=1$、滑らか)なので座標変換は $c\mapsto\theta_{lj}^{-2}c$ であり、$|c|$ を保つ。よって $W$ は局所的に $U_j\times\{|c|\le1\}$ と微分同相な $2k$ 次元のコンパクトな境界付き多様体で(底空間の実次元は $2k-2$)、境界は $\partial W=\{|w|=1\}$ である。
$\phi\colon S^{2k-1}\to\partial W$、$\phi(v):=v\otimes v\in\lambda_{\mathbb{C}v}\otimes\lambda_{\mathbb{C}v}$ とおく。$v_j\ne0$ となる $v$ は $v=\theta\,\sigma_j(\mathbb{C}v)$($\theta:=v_j/|v_j|$)と書け、$v\mapsto(\mathbb{C}v,\theta)$ は $\{v\in S^{2k-1}\mid v_j\ne0\}$ から $U_j\times S^1$ への微分同相(逆は $(\ell,\theta)\mapsto\theta\,\sigma_j(\ell)$)である。この座標と上の局所自明化で $\phi$ は $(\ell,\theta)\mapsto(\ell,\theta^2)$ と書けるので、$\phi$ は全射な局所微分同相である。$\phi(v)=\phi(v')$ なら $\mathbb{C}v=\mathbb{C}v'$、$v'=\mu v$($|\mu|=1$)で $\mu^2=1$、すなわち $v'=\pm v$ である。よって $\phi$ は $S^{2k-1}/\{\pm1\}=\mathbb{RP}^{2k-1}$ から $\partial W$ への全単射な局所微分同相、すなわち微分同相を誘導する。$\square$
$k=1$ では $\mathbb{CP}^0$ は 1 点で、$W$ は円板、境界は $\mathbb{RP}^1=S^1$ である。
$T\mathbb{RP}^n\oplus\varepsilon^1\cong(n+1)\gamma_n$ と lem-mh-s-props から $s_n[\mathbb{RP}^n]\equiv n+1\pmod2$ である。$n$ が偶数なら $1$ で、$\mathbb{RP}^n$ は分解できない。$n$ が奇数なら $0$ で、prop-mh-odd-rp と prop-mh-s-hom の 2 に合っている。
thm-mh-s-number による $s_d[H_{a,b}]$($2\le b< a$)の値は次のとおりである。
| $(a,b)$ | 次元 $d$ | $\binom{a+b}{a}$ | $s_d[H_{a,b}]$ |
|---|---|---|---|
| $(3,2)$ | $4$ | $10$ | $0$ |
| $(4,2)$ | $5$ | $15$ | $1$ |
| $(5,2)$ | $6$ | $21$ | $1$ |
| $(4,3)$ | $6$ | $35$ | $1$ |
| $(6,2)$ | $7$ | $28$ | $0$ |
| $(5,3)$ | $7$ | $56$ | $0$ |
| $(8,2)$ | $9$ | $45$ | $1$ |
$(4,2)$ と $(8,2)$ は cor-mh-indecomposable の $(p,q)=(1,1),(1,2)$ にあたり、$\mathfrak{N}_5,\mathfrak{N}_9$ で分解できない。次元 $6$ では $[H_{5,2}]$、$[H_{4,3}]$ も分解できない。thm-mh-thom を認めれば、cor-mh-generators により $[H_{4,2}]$、$[H_{8,2}]$ は $\mathfrak{N}_5,\mathfrak{N}_9$ の生成元にとれ、$[H_{5,2}]$、$[H_{4,3}]$ は $[\mathbb{RP}^6]$ の代わりに生成元にとれる。次元 $7=2^3-1$ では $\binom{8}{a}$($0< a<8$)はすべて偶数で、cor-mh-generators の後の注意と合っている。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $b\ge2$ | $H_{2,1}$ | $s_d[H_{a,b}]\equiv\binom{a+b}{a}$ |
| 奇数 $i>1$ が $2^r-1$ の形でない | $i=7$、$a+b=8$ の $H_{a,b}$ | $a+b-1=i$ となる $H_{a,b}$ で $s_i[H_{a,b}]=1$ のものがある |
| Stiefel–Whitney 数がすべて $0$($s_n$ だけでなく) | $\mathbb{RP}^2\times\mathbb{RP}^2$ | $s_n[N]=0$ なら $N$ は境界 |
1 行目:$b=1$、$d=a$ とする。prf-thm-mh-s-number の最初の等式は $b=1$ でも成り立ち、$(b+1)\bar y^{\,d}=0$、$a\ge2>b$ なので、$s_a(TH)=\iota^*\bigl((a+1)x^a+(x+y)^a\bigr)$ である。prop-mh-evaluation により
$$
s_a[H_{a,1}]=(a+1)\langle x^ay,[M]\rangle+\binom{a+1}{a}\langle x^ay,[M]\rangle=2(a+1)\equiv0
$$
である($(x+y)^{a+1}$ の展開で残るのは $x^ay$ の項だけ)。$a=2$ では $\binom{3}{2}=3$ は奇数なので、公式は成り立たない。
2 行目:$a+b=8$、$2\le b< a$ なら $\binom{8}{a}$ は偶数なので、thm-mh-s-number により $s_7[H_{a,b}]=0$ である。残る $H_{7,1}$ でも 1 行目の計算により $s_7[H_{7,1}]=0$ である。thm-mh-thom を認めれば、$\mathfrak{N}_7$ には分解できない元がない(cor-mh-generators の後の注意)。
3 行目:prop-mh-s-hom の 3 により $s_4[\mathbb{RP}^2\times\mathbb{RP}^2]=0$ である。表の「外す条件」は、同境 の定理「Pontryagin と Thom の定理」の 2(Stiefel–Whitney 数がすべて $0$ の閉多様体は境界になる)の仮定である。一方 $\chi(\mathbb{RP}^2\times\mathbb{RP}^2)=1$ は奇数なので、同境 の定理「境界の Euler 標数は偶数」により $\mathbb{RP}^2\times\mathbb{RP}^2$ は境界にならない。$s$ 数は分解できる元を見分けない。
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