Chern–Weil理論(Chern–Weil theory)とは、主束やベクトル束に接続を選び、その曲率 $F$ を共役で不変な多項式 $P$ に代入した微分形式 $P(F)$ によって特性類を表す理論である。$P(F)$ は閉形式で、その de Rham 類は接続の取り方によらず、束の引き戻しと両立するので、不変多項式の環から実係数・複素係数のコホモロジーへの環準同型(Chern–Weil 準同型)が得られる。$\det(I+\frac{i}{2\pi}F)$ は Chern 類を、実ベクトル束の $\det(I+\frac1{2\pi}F)$ は Pontryagin 類を表し、計量と両立する接続の Pfaffian は Euler 類を表す。
前提知識: 接続, 曲率形式, 主束の接続, de Rhamコホモロジー, Chern類
Chern–Weil 理論(Chern–Weil theory)は、ベクトル束や主束の特性類を、接続の曲率から作る微分形式で表す理論である。滑らかな多様体 $M$ 上の主 $G$ 束に接続を 1 つ選ぶと、局所的には Lie 環 $\mathfrak g$ に値をとる曲率の 2 形式 $F$ が得られる。$\mathfrak g$ 上の多項式 $P$ で共役で変わらないもの(不変多項式)に $F$ を代入すると、$M$ 上の微分形式 $P(F)$ が定まる。中心の定理は次の 3 つである。
この記事では多様体・写像・束はすべて $C^\infty$ 級とする。$\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$ とし、$G$ を $\mathrm{GL}_r(\mathbb K)$ の閉部分群(行列 Lie 群)、$\mathfrak g\subset M_r(\mathbb K)$ をその Lie 環とする。$X\in\mathfrak g$ なら $\exp(tX)\in G$($t\in\mathbb R$)である。
$p\colon\mathcal P\to M$ を接続形式 $\omega$ をもつ主 $G$ 束(主束の接続)とし、開被覆 $\{U_\alpha\}$ と局所切断 $s_\alpha\colon U_\alpha\to\mathcal P$、変換関数 $g_{\alpha\beta}\colon U_\alpha\cap U_\beta\to G$($s_\beta=s_\alpha g_{\alpha\beta}$)をとる。局所接続形式 $A_\alpha:=s_\alpha^*\omega$ と曲率の局所形 $F_\alpha$ は $\mathfrak g$ に値をとる 1 形式・2 形式で、行列の記法で
$$
F_\alpha=dA_\alpha+A_\alpha\wedge A_\alpha,\qquad A_\beta=g_{\alpha\beta}^{-1}A_\alpha g_{\alpha\beta}+g_{\alpha\beta}^{-1}dg_{\alpha\beta},\qquad F_\beta=g_{\alpha\beta}^{-1}F_\alpha g_{\alpha\beta}
$$
を満たす(主束の接続 の定理「局所接続形式の変換則と貼り合わせ」、曲率形式 の命題「曲率 2 形式」)。逆に、変換則を満たす $\mathfrak g$ 値 1 形式の族 $\{A_\alpha\}$ は接続形式をただ 1 つ定める(同じ定理の 3)。
ベクトル束 $E\to M$ と接続 $\nabla$(接続)は $G=\mathrm{GL}_r(\mathbb K)$ の場合にあたる。局所枠 $e_1,\dots,e_r$ について $\nabla e_j=\sum_iA_{ij}\otimes e_i$ で接続行列 $A$ を定めると、曲率行列は $F=dA+A\wedge A$ で、枠を $g$ で取り替えると $g^{-1}Fg$ に変わる(接続 の命題「接続行列と曲率行列」、曲率形式 の命題「同伴ベクトル束の曲率」)。
$\mathfrak g$ を実ベクトル空間とみなし、基底 $X_1,\dots,X_d$ をとる。複素係数の多項式 $\hat P\in\mathbb C[x_1,\dots,x_d]$ によって $P(\sum_ax_aX_a)=\hat P(x_1,\dots,x_d)$ と書ける関数 $P\colon\mathfrak g\to\mathbb C$ を $\mathfrak g$ 上の 多項式関数 という(基底の取り方によらない概念である)。多項式関数 $P$ が、すべての $g\in G$、$X\in\mathfrak g$ について
$$
P(gXg^{-1})=P(X)
$$
を満たすとき、$P$ を $G$ の 不変多項式(invariant polynomial)という。$k$ 次斉次の不変多項式の全体を $I^k(G)$、その直和を $I^\bullet(G)$ と書く。$I^\bullet(G)$ は関数の積について環をなす。
$k$ 次斉次の多項式関数 $P$ について、$P(X)=\sum_{a_1,\dots,a_k}c_{a_1\cdots a_k}x_{a_1}\cdots x_{a_k}$(係数 $c$ は添字について対称)と書く。$\mathfrak g$ 値 2 形式 $F=\sum_aF^aX_a$($F^a$ は実の 2 形式)について
$$
P(F):=\sum_{a_1,\dots,a_k}c_{a_1\cdots a_k}\,F^{a_1}\wedge\cdots\wedge F^{a_k}
$$
とおく。偶数次の形式どうしは可換なので、これは多項式 $\hat P$ に $F^1,\dots,F^d$ を代入したものであり、基底を取り替えても同じ形式になる。斉次でない $P$ には斉次成分ごとに定める。
$P\in I^k(G)$ とする。局所形式 $P(F_\alpha)\in\Omega^{2k}(U_\alpha;\mathbb C)$ は $U_\alpha\cap U_\beta$ の上で一致し、$M$ 上の形式 $P(F)$ に貼り合わさる。$P(F)$ は局所切断の取り方によらない。
要点:各点で $F_\beta=h^{-1}F_\alpha h$ は $\mathfrak g$ の一次変換 $X\mapsto h^{-1}Xh$ を成分に施したもので、$P$ はこの変換で変わらない。
点 $x\in U_\alpha\cap U_\beta$ を固定し、$h:=g_{\alpha\beta}(x)$、$h^{-1}X_ah=\sum_b\lambda_{ba}X_b$($\lambda_{ba}\in\mathbb R$)とおく。$F_\beta(x)=h^{-1}F_\alpha(x)h$ なので、$x$ での値について $F_\beta^b=\sum_a\lambda_{ba}F_\alpha^a$ である。多項式 $Q(X):=P(h^{-1}Xh)$ の係数は、$P$ の係数 $c$ と $\lambda$ から上と同じ一次変換で計算され、$Q(F_\alpha)(x)=P(F_\beta)(x)$ となる(どちらも $\hat P$ に $\sum_a\lambda_{ba}F_\alpha^a$ を代入したもの)。$P$ は不変なので $Q=P$ であり、$P(F_\beta)(x)=P(F_\alpha)(x)$ である。別の局所切断 $s'_\alpha=s_\alpha g$ についても、$F$ が $g^{-1}Fg$ に変わるだけなので同じ議論が当てはまる。$\square$
接続の引き戻しを次のように定める。$f\colon N\to M$ を写像とすると、引き戻し束 $f^*\mathcal P=N\times_M\mathcal P$ は局所切断 $(\mathrm{id},s_\alpha\circ f)$ と変換関数 $g_{\alpha\beta}\circ f$ をもつ。$f^*A_\alpha$ はこの変換関数について変換則を満たすので、$f^*\mathcal P$ の接続を定める。これを $f^*\omega$ と書く。その曲率の局所形は $d(f^*A_\alpha)+f^*A_\alpha\wedge f^*A_\alpha=f^*F_\alpha$ である。
$x_0\in U_\alpha$ とする。$x_0$ の近傍 $V\subset U_\alpha$ と写像 $h\colon V\to G$ で、$h(x_0)=I$ かつ局所切断 $s_\alpha h$ に関する局所接続形式 $A'=h^{-1}A_\alpha h+h^{-1}dh$ が $A'(x_0)=0$ を満たすものがある。
$x_0$ を原点とする座標 $(y_1,\dots,y_n)$ を $V$ 上にとり、$A_\alpha(x_0)=\sum_jX'_j\,dy_j$($X'_j\in\mathfrak g$)と書く。$h(y):=\exp\bigl(-\sum_jy_jX'_j\bigr)$ とおくと $h$ は $G$ に値をとり、$h(x_0)=I$ である。$\exp$ の原点での微分は恒等写像なので $dh(x_0)=-\sum_jX'_j\,dy_j$ である。よって $A'(x_0)=A_\alpha(x_0)+dh(x_0)=0$ である。$\square$
$P\in I^\bullet(G)$ とし、$F$ を主 $G$ 束 $\mathcal P\to M$ の接続 $\omega$ の曲率とする。
ここで $H^\bullet_{dR}(M;\mathbb C)$ は複素数値の微分形式の de Rham コホモロジーで、$H^\bullet_{dR}(M)\otimes\mathbb C$ に等しい。
3 から示す。曲率の局所形は $f^*F_\alpha$ であり、$P(f^*F_\alpha)$ は $\hat P$ に $f^*F_\alpha^a$ を代入したものなので $f^*P(F_\alpha)$ に等しい。
1:$x_0\in M$ を固定し、lem-cw-normal-gauge の $h$ をとって局所切断 $s_\alpha h$ に替える。lem-cw-welldefined により $P(F)$ はこの局所切断の $F'=dA'+A'\wedge A'$ から計算してよい。$d(A'\wedge A')=dA'\wedge A'-A'\wedge dA'$ なので
$$
dF'=dA'\wedge A'-A'\wedge dA'
$$
であり($dA'=F'-A'\wedge A'$ を代入すると Bianchi の恒等式 $dF'=F'\wedge A'-A'\wedge F'$ になる)、$A'(x_0)=0$ から $dF'(x_0)=0$ である。$F'$ の成分 $F'^a$ についても $dF'^a(x_0)=0$ である。$P(F')$ は $F'^a$ の外積の一次結合なので、Leibniz 則により $dP(F')$ の各項は因子 $dF'^a$ を含み、$x_0$ で $0$ である。$x_0$ は任意なので $dP(F)=0$ である。
2:$\omega_0,\omega_1$ を 2 つの接続とし、局所接続形式を $A^0_\alpha,A^1_\alpha$ とする。$q\colon M\times\mathbb R\to M$ を射影、$t$ を $\mathbb R$ の座標として、引き戻し束 $q^*\mathcal P$ の上で
$$
\tilde A_\alpha:=(1-t)\,q^*A^0_\alpha+t\,q^*A^1_\alpha
$$
とおく。変換則は $g=g_{\alpha\beta}\circ q$ について $g^{-1}\tilde A_\alpha g+g^{-1}dg=(1-t)q^*A^0_\beta+t\,q^*A^1_\beta=\tilde A_\beta$ となるので(係数の和が $1$)、$\{\tilde A_\alpha\}$ は $q^*\mathcal P$ の接続を定める。その曲率を $\tilde F$ とすると、1 により $P(\tilde F)$ は $M\times\mathbb R$ 上の閉形式である。$\iota_\varepsilon(x):=(x,\varepsilon)$ とおくと、$q\circ\iota_\varepsilon=\mathrm{id}$ と $\iota_\varepsilon^*t=\varepsilon$ から $\iota_\varepsilon^*\tilde A_\alpha=A^\varepsilon_\alpha$($\varepsilon=0,1$)であり、3 により $\iota_\varepsilon^*P(\tilde F)=P(F^\varepsilon)$ である。$\iota_0$ と $\iota_1$ は $(s,x)\mapsto(x,s)$ で $C^\infty$ 級ホモトピックなので、de Rhamコホモロジー の系「ホモトピー不変性と Poincaré の補題」の 1(実部と虚部に分けて使う)により
$$
[P(F^0)]=\iota_0^*[P(\tilde F)]=\iota_1^*[P(\tilde F)]=[P(F^1)]
$$
である。$\square$
MS74 Appendix C(pp. 296–298)は 1 を恒等式 $[P'(X),X]=0$ と Bianchi の恒等式で示す。上の証明は $x_0$ で $A'=0$ となる局所切断でその計算を省いた。
thm-cw-main により、$P\in I^\bullet(G)$ に $[P(F)]$ を対応させる写像
$$
w\colon I^\bullet(G)\to H^{\mathrm{even}}_{dR}(M;\mathbb C),\qquad I^k(G)\to H^{2k}_{dR}(M;\mathbb C)
$$
は主 $G$ 束 $\mathcal P$ だけで決まる。$(PQ)(F)=P(F)\wedge Q(F)$ なので $w$ は環準同型である。これを $\mathcal P$ の Chern–Weil 準同型(Weil 準同型)という。同型な束は同じ $w$ を与え、thm-cw-main の 3 により $w$ は引き戻しと両立する。
$G$ がコンパクトな Lie 群なら、$\mathfrak g$ 上の実数値の不変多項式の環は、分類空間 $BG$ の実係数コホモロジー環 $H^\bullet(BG;\mathbb R)$ と同型である(MS74 Appendix C の p. 311 の注意。同書も証明を述べておらず、この記事では証明しない)。$\mathrm{SL}(2m,\mathbb R)$ のようなコンパクトでない群ではこれが成り立たないことも同じ箇所に注意されている。
$E$ を階数 $r$ の複素ベクトル束、$\nabla$ をその接続、$F$ を曲率行列とする。
$$
c(E,\nabla):=\det\Bigl(I+\frac{i}{2\pi}F\Bigr)=\sum_{k=0}^rc_k(E,\nabla),\qquad c_k(E,\nabla)=\sigma_k\Bigl(\frac{i}{2\pi}F\Bigr)\in\Omega^{2k}(M;\mathbb C)
$$
を $\nabla$ の Chern 形式 という。$E$ が実ベクトル束のときは
$$
p_j(E,\nabla):=\sigma_{2j}\Bigl(\frac1{2\pi}F\Bigr)\in\Omega^{4j}(M),\qquad p(E,\nabla):=\sum_jp_j(E,\nabla)
$$
を Pontryagin 形式 という。
thm-cw-main により、これらの形式の de Rham 類は $E$ だけで決まる。次の定理はそれが位相的に定義された特性類と一致することを述べる。
$E$ を複素ベクトル束とすると、$[c_k(E,\nabla)]$ は Chern 類 $c_k(E)\in H^{2k}(M;\mathbb Z)$(Chern類)の、係数の準同型 $\mathbb Z\to\mathbb C$ と de Rhamの定理 の同型による $H^{2k}_{dR}(M;\mathbb C)$ での像に等しい。$E$ が実ベクトル束なら、$[p_j(E,\nabla)]$ は Pontryagin 類 $p_j(E)$(Pontryagin類)の $H^{4j}_{dR}(M)$ での像に等しい。
MS74 Appendix C の Theorem(p. 306)と Corollary 1(p. 308)による(この記事では証明しない)。同書は直線束で比例定数を決め、直線束の直和の場合を経て普遍束から一般の場合を導く。同書は曲率の符号と向きの規約が異なるので(p. 304 の注意)、上はそれを読み替えた形である。Pontryagin 形式の式は、複素化 $E\otimes\mathbb C$ が同じ曲率行列 $F$ の接続をもつことと、$p_j(E)=(-1)^jc_{2j}(E\otimes\mathbb C)$(Pontryagin類 の定義)、$(-1)^j\sigma_{2j}(\tfrac{i}{2\pi}F)=\sigma_{2j}(\tfrac1{2\pi}F)$ から出る。
$L$ を複素直線束、$\nabla$ をその接続、$F$ を曲率とし、$\mathfrak U=\{U_\alpha\}$ を $L$ を自明化する良い被覆、$e_\alpha$ を局所枠、$e_\beta=e_\alpha g_{\alpha\beta}$ とする。$g_{\alpha\beta}=\exp(2\pi i\ell_{\alpha\beta})$ となる交代的な $\ell_{\alpha\beta}$ をとり、$n:=\delta\ell$ とおく。$n$ は整数値の Čech 2 余輪体で、Čech–de Rham複体 の定理「de Rham と Čech の同型」(複素係数)により $[c_1(L,\nabla)]=[\tfrac{i}{2\pi}F]$ は $[n]$ に対応する。
要点:$\alpha_\alpha:=A_\alpha/(2\pi i)$ とおくと、全複体で $D(\ell+\alpha)=n+\tfrac1{2\pi i}F$ となる。
良い被覆の交わりは $\mathbb R^m$ と微分同相で単連結なので、$U_{\alpha\beta}$ 上で $g_{\alpha\beta}$ の対数がとれ、$\alpha<\beta$ で選んで $\ell_{\beta\alpha}:=-\ell_{\alpha\beta}$ とおけば交代的になる($g_{\beta\alpha}=g_{\alpha\beta}^{-1}$)。$g_{\alpha\gamma}=g_{\alpha\beta}g_{\beta\gamma}$ から $\exp(2\pi in_{\alpha\beta\gamma})=1$ で、$n_{\alpha\beta\gamma}$ は連結な $U_{\alpha\beta\gamma}$ 上の整数値連続関数、すなわち定数である。$A_\alpha$ を $1\times1$ の接続行列とすると、変換則 $A_\beta=A_\alpha+g_{\alpha\beta}^{-1}dg_{\alpha\beta}=A_\alpha+2\pi i\,d\ell_{\alpha\beta}$ から $(\delta\alpha)_{\alpha\beta}=\alpha_\beta-\alpha_\alpha=d\ell_{\alpha\beta}$ であり、$d\alpha_\alpha=F/(2\pi i)$ である($A\wedge A=0$)。$\ell\in K^{1,0}$、$\alpha\in K^{0,1}$ で $D=\delta+(-1)^pd$ なので、$D\ell=n-d\ell$、$D\alpha=d\ell+r(\tfrac1{2\pi i}F)$ であり、$D(\ell+\alpha)=n+r(\tfrac1{2\pi i}F)$ である。よって全複体のコホモロジーで $i_*[n]=-r_*[\tfrac1{2\pi i}F]=r_*[\tfrac{i}{2\pi}F]$ である。実部と虚部に分ければ同記事の実係数の同型がそのまま使える。$\square$
Chern類 の定義「連結準同型による直線束の第1Chern類」の連結準同型を Čech 余鎖で計算すると $\delta[L]$ は $[n]$ で表されるので、Čech の段階で $[c_1(L,\nabla)]$ は $c_1(L)$ の像である。特異コホモロジーとの比較には de Rhamの定理 の比較同型を使う。
1:$E$ と $E'$ の局所枠を並べた枠では、直和の接続行列は $A$ と $A'$ を対角に並べたブロック行列で、曲率行列も $F$ と $F'$ のブロック対角行列である。ブロック対角行列の行列式は各ブロックの行列式の積なので(成分は可換な偶数次の形式)、$\det(I+\tfrac{i}{2\pi}F\oplus F')=\det(I+\tfrac{i}{2\pi}F)\det(I+\tfrac{i}{2\pi}F')$ である。2:$F=0$ なら $\sigma_k(\tfrac{i}{2\pi}F)=0$($k\ge1$)であり、像については thm-cw-chern による。$\square$
2 は整係数の Chern 類が $0$ であることまでは言わない。平坦な束の Chern 類は捩れ元になりうる(MS74 Appendix C の pp. 308–309 の注意)。
$E$ を実ベクトル束、$\nabla$ を任意の接続とする。$\sigma_{2j+1}(F)$ は完全形式である。$E$ に Euclid 計量(ファイバーごとの内積)があり、$\nabla$ が計量と両立する($d\langle s,s'\rangle=\langle\nabla s,s'\rangle+\langle s,\nabla s'\rangle$)なら、$\sigma_{2j+1}(F)=0$ である。
計量と両立する接続はつねにある。
自明化する開被覆に従属する 1 の分割(1の分割)$\{\rho_\lambda\}$ をとる。局所的な内積を $\rho_\lambda$ で足し合わせると Euclid 計量 $\langle\ ,\ \rangle$ が得られる。各 $U_\lambda$ で Gram–Schmidt の直交化により正規直交枠 $e_1,\dots,e_r$ をとり、$\nabla_\lambda(\sum_jf_je_j):=\sum_jdf_j\otimes e_j$ とおくと、$\nabla_\lambda$ は計量と両立する。$\sum_\lambda\rho_\lambda\nabla_\lambda$ は Leibniz 則を満たし(係数の和が $1$)、両立の条件は $\nabla$ について一次式なので、計量と両立する接続である。
このため、実ベクトル束の実係数の特性類のうち $\sigma_k$ から得られるものは Pontryagin 類で尽きる。向き付けられた階数 $2m$ の実ベクトル束で計量と両立する接続をとると、正規直交で向きと合う枠では $F$ が $\mathfrak{so}(2m)$ に値をとるので、Pfaffian から閉形式 $\mathrm{Pf}(\tfrac1{2\pi}F)$ が得られる。その類は Euler 類(Euler類)の実係数での像に等しい(一般化された Gauss–Bonnet の定理。MS74 Appendix C、p. 311。この記事では証明しない)。$m=1$ では、$\mathrm{Pf}(F)$ は向きと合う正規直交枠での $F$ の $(1,2)$ 成分である。単位球面ではこれが面積要素に等しく、積分が Euler 標数 $2$ の $2\pi$ 倍になることを ex-cw-sphere で確かめる(曲面の場合は Gauss–Bonnetの定理)。
$\mathbb{CP}^1$ 上のトートロジー直線束 $\mathcal O(-1)$(Chern類 の定義「複素射影空間の超平面類」)を考える。Hopf 束 $S^3\to\mathbb{CP}^1$(右作用 $z\cdot\lambda=z\lambda$、$\lambda\in\mathrm U(1)$)について、$[(z,c)]\mapsto cz$ は同伴直線束 $S^3\times_{\mathrm U(1)}\mathbb C$($(z\lambda,c)\sim(z,\lambda c)$)から $\mathcal O(-1)$ への同型である。主束の接続 の例「Hopf 束の標準接続」の接続が誘導する $\mathcal O(-1)$ の接続の曲率は、曲率形式 の命題「同伴ベクトル束の曲率」により $1\times1$ 行列 $F$ で、同記事の例「Hopf 束の曲率と Hopf 束が自明でないこと」の計算から
$$
\int_{\mathbb{CP}^1}c_1(\mathcal O(-1),\nabla)=\frac{i}{2\pi}\int_{\mathbb{CP}^1}F=\frac{i}{2\pi}\cdot2\pi i=-1
$$
である(向きは複素構造の向き)。一方 $c_1(\mathcal O(-1))=-h$、$\langle h,[\mathbb{CP}^1]\rangle=1$ なので(Chern類 の系「直線束の全Chern類と双対」)、thm-cw-chern の符号と正規化 $\tfrac{i}{2\pi}$ が合っている。
単位球面 $S^2\subset\mathbb R^3$ の緯度 $x\in(-\tfrac\pi2,\tfrac\pi2)$ と経度 $y$ による座標 $(\cos x\cos y,\cos x\sin y,\sin x)$ では、計量は $dx^2+\cos^2x\,dy^2$ である。$f_1:=(\cos x)^{-1}\partial_y$、$f_2:=\partial_x$ は正規直交枠で、外向き法線から定まる向きと合う。Levi-Civita 接続について
$$
A=\begin{pmatrix}0&-\sin x\,dy\\ \sin x\,dy&0\end{pmatrix},\qquad F=dA=\begin{pmatrix}0&\cos x\,dy\wedge dx\\ -\cos x\,dy\wedge dx&0\end{pmatrix}
$$
であり($A\wedge A=0$)、$\mathrm{Pf}(F)=\cos x\,dy\wedge dx$ は向きと合う面積要素である。よって $\int_{S^2}\mathrm{Pf}(\tfrac1{2\pi}F)=\tfrac{4\pi}{2\pi}=2$ で、接束の Euler 数 $2$(Euler類 の例「球面の接束」)と一致する。
Christoffel 記号は $\Gamma^x_{yy}=\sin x\cos x$、$\Gamma^y_{xy}=\Gamma^y_{yx}=-\tan x$ で、ほかは $0$ である。よって $\nabla\partial_x=dy\otimes(-\tan x\,\partial_y)=-\sin x\,dy\otimes f_1$ であり、$\nabla f_1=d(\tfrac1{\cos x})\otimes\partial_y+\tfrac1{\cos x}\bigl(dx\otimes(-\tan x\,\partial_y)+dy\otimes\sin x\cos x\,\partial_x\bigr)=\sin x\,dy\otimes f_2$ である(第 1 項と第 2 項が打ち消す)。$\nabla f_j=\sum_iA_{ij}\otimes f_i$ と比べて上の $A$ を得る。$A$ の成分はどれも $dy$ の倍なので $A\wedge A=0$ で、$d(-\sin x\,dy)=-\cos x\,dx\wedge dy=\cos x\,dy\wedge dx$ である。点 $(1,0,0)$($x=y=0$)では $f_1=(0,1,0)$、$f_2=(0,0,1)$ で、法線 $(1,0,0)$ と並べた行列式は $1$ なので向きが合う。座標の及ばない子午線の半分は測度 $0$ なので積分に影響しない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| lem-cw-welldefined の $P$ の共役不変性 | $\mathbb R^2$ 上の自明束 $\mathbb C^2$、$A=\begin{pmatrix}0&0\\0&x\,dy\end{pmatrix}$、$P(X)=X_{11}$ | $P(F)$ が局所枠の取り方によらないこと |
| prop-cw-odd の「実ベクトル束」 | $\mathbb{CP}^1$ 上の複素直線束 $\mathcal O(-1)$(ex-cw-hopf) | $\sigma_1(\tfrac{i}{2\pi}F)$ が完全形式であること |
| Pfaffian による Euler 類の表示の「計量と両立する接続」 | 種数 $g\ge2$ の閉曲面上の、平坦な接続をもつ向き付けられた階数 $2$ の実ベクトル束で Euler 数が $1-g$ のもの(Milnor) | 曲率から Euler 類が決まること |
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