Reidemeister 捩れ(Reidemeister torsion)とは、基底付きの非輪状な鎖複体に、境界の像の基底を経由した基底の取り替えの行列式の交代積として定まる体の元を対応させる不変量であり、有限 CW 複体 $X$ と基本群の指標 $\chi$ に対しては、普遍被覆の胞体鎖複体を $\chi$ でねじったものの捩れとして、$\pm\chi(\pi_1(X))$ 倍を除いて定まる。捩れは短完全列で積になり、レンズ空間 $L(p;q)$ では $\chi$ が生成元を $\omega\neq1$ に写すとき $(\omega-1)(\omega^r-1)$($qr\equiv1 \bmod p$)になる。これによりホモトピー同値な $L(7;1)$ と $L(7;2)$ が微分同相でないことがわかり、捩れはホモトピー不変量より細かい。
Reidemeister 捩れ(Reidemeister torsion)は、ホモロジーがすべて消える(非輪状な)鎖複体に、各項の基底の取り方から決まる体の元を対応させる不変量である。CW 複体に対しては、普遍被覆の胞体鎖複体を基本群の指標でねじって作る。ホモロジー群や基本群が一致し、ホモトピー同値でさえある多様体を区別できるのが特徴で、レンズ空間 $L(7;1)$ と $L(7;2)$ はその最小の例の一つである。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 鎖複体の捩れはどう定まるか | 境界の像の基底の取り方によらず、各項の基底だけで決まる(lem-rt-independent) |
| 短完全列とどう関係するか | 捩れは積になる(thm-rt-multiplicative) |
| レンズ空間の捩れはいくつか | $(\omega-1)(\omega^r-1)$($qr\equiv1$)(thm-rt-lens) |
| 何が区別できるか | ホモトピー同値な $L(7;1)$ と $L(7;2)$ が微分同相でないこと(cor-rt-l7) |
$F$ を体とする。$F$ ベクトル空間 $W$ の 2 つの順序付き基底 $b=(b_1,\dots,b_k)$、$c=(c_1,\dots,c_k)$ について、$b_j=\sum_iA_{ij}c_i$ となる行列 $A$ の行列式を $[b/c]:=\det A\in F^\times$ と書く。行列式 の乗法性から $[b/c][c/d]=[b/d]$、$[c/c]=1$ である。
有限次元の $F$ ベクトル空間の有限な 鎖複体 $C\colon0\to C_n\xrightarrow{\partial}C_{n-1}\to\cdots\to C_0\to0$ で、各 $C_i$ に順序付き基底 $c_i$ が与えられたものを考える。すべてのホモロジー群が $0$ であるとき $C$ は 非輪状(acyclic)であるという。$B_i:=\partial(C_{i+1})\subset C_i$ とおく。$C$ が非輪状なら $\ker(\partial\colon C_i\to C_{i-1})=B_i$ なので、
$$
0\to B_i\to C_i\xrightarrow{\ \partial\ }B_{i-1}\to0
$$
は完全である。各 $B_i$ の基底 $b_i$ を選び、$B_{i-1}$ の基底 $b_{i-1}$ の各元の $\partial$ による逆像を 1 つずつ選んだ組を $\tilde b_{i-1}\subset C_i$ と書くと、$b_i$ と $\tilde b_{i-1}$ を並べた $b_i\tilde b_{i-1}$ は $C_i$ の基底である。
基底付きの非輪状な鎖複体 $C$ の 捩れ(torsion)を
$$
\tau(C):=\prod_{i=0}^n\,[\,b_i\tilde b_{i-1}/c_i\,]^{(-1)^i}\ \in F^\times
$$
と定める($b_{-1}$、$b_n$ は空とする)。
1.逆像を $\tilde b_{i-1}'$ に替えると、各元の差は $\ker\partial=B_i$ に入るので、$b_i\tilde b_{i-1}'$ を $b_i\tilde b_{i-1}$ で表す行列はブロック上三角で対角ブロックが単位行列であり、$[b_i\tilde b_{i-1}'/b_i\tilde b_{i-1}]=1$ である。次に $b_i$ を $b_i'$ に替える。$b_i'$ の逆像は、$b_i$ の逆像 $\tilde b_i$ を $b_i'$ を $b_i$ で表す行列と同じ行列で組み合わせたものにとれるので、
$$
[b_i'\tilde b_{i-1}/c_i]=[b_i'/b_i]\,[b_i\tilde b_{i-1}/c_i],\qquad [b_{i+1}\tilde b_i'/c_{i+1}]=[b_i'/b_i]\,[b_{i+1}\tilde b_i/c_{i+1}]
$$
である。$[b_i'/b_i]$ は $\tau$ の $i$ 番目の因子に指数 $(-1)^i$、$i+1$ 番目の因子に指数 $(-1)^{i+1}$ で現れて打ち消し合う。
2.$[x/c_i']=[x/c_i][c_i/c_i']$ からただちに従う。並べ替えの行列の行列式は $\pm1$ である。$\square$
$C_{i+1}=C_i=F^k$(標準基底)で、$\partial\colon C_{i+1}\to C_i$ が正則行列 $A$ で与えられ、ほかの項が $0$ の鎖複体を考える。$B_i=C_i$ で $b_i$ を標準基底にとると $\tilde b_i=A^{-1}b_i$ なので、$\tau(C)=[A^{-1}b_i/c_{i+1}]^{(-1)^{i+1}}=(\det A)^{(-1)^i}$ である。とくに $i=0$、$k=1$、$A=(a)$ なら $\tau=a$ である。
$0\to C'\to C\to C''\to0$ を基底付きの非輪状な鎖複体の短完全列とし、各 $i$ で $c_i$ は $c_i'$ の像と $c_i''$ の逆像を並べたものとする。このとき $\tau(C)=\pm\tau(C')\tau(C'')$ である。
$C'$ を $C$ の部分複体とみなし、射影を $\pi\colon C\to C''$ とする。まず $0\to B_i'\to B_i\xrightarrow{\pi}B_i''\to0$ が完全であることを示す。$\pi(B_i)=\partial\pi(C_{i+1})=B_i''$ である。$x=\partial y\in B_i$($y\in C_{i+1}$)が $\pi(x)=0$ を満たすなら $\partial\pi(y)=0$ で、$C''$ は非輪状なので $\pi(y)=\partial\pi(w)$ となる $w\in C_{i+2}$ がある。$y-\partial w\in C_{i+1}'$ で $x=\partial(y-\partial w)\in B_i'$ である。逆の包含 $B_i'\subset B_i\cap C_i'$ は明らかである。
$B_i'$、$B_i''$ の基底 $b_i'$、$b_i''$ を選び、$b_i''$ の $B_i$ への逆像 $\beta_i$ をとって $b_i:=b_i'\beta_i$ とする。$C_i$ での逆像は、$b_{i-1}'$ の $C_i'$ での逆像 $\tilde b_{i-1}'$ と、$\beta_{i-1}$ の $C_i$ での逆像 $\tilde\beta_{i-1}$ を並べたものにとる。$\pi(\tilde\beta_{i-1})$ は $b_{i-1}''$ の $C_i''$ での逆像である。$C_i$ の基底 $b_i'\tilde b_{i-1}'\beta_i\tilde\beta_{i-1}$ を $c_i=c_i'\hat c_i''$($\hat c_i''$ は $c_i''$ の逆像)で表す行列は、前半が $C_i'$ に入るのでブロック上三角になり、対角ブロックは $[b_i'\tilde b_{i-1}'/c_i']$ と $[b_i''\pi(\tilde\beta_{i-1})/c_i'']$ の行列である。並べ替えの符号を除いて $[b_i\tilde b_{i-1}/c_i]=\pm[b_i'\tilde b_{i-1}'/c_i'][b_i''\pi(\tilde\beta_{i-1})/c_i'']$ であり、$(-1)^i$ 乗して掛ければよい。$\square$
これは Mil66 Theorem 3.1(pp. 365–367)の体の場合である。同所は基底の並べ替えを無視できる群 $\bar K_1$ で議論するので、符号は現れない。
$X$ を有限で連結な CW複体、$\pi:=\pi_1(X)$、$\tilde X\to X$ を 普遍被覆 とする。$\tilde X$ には $X$ の胞体の持ち上げからなる CW 複体の構造が入り、$\pi$ は被覆変換として胞体を自由に置換する。よって胞体鎖複体 $C(\tilde X)$(胞体ホモロジー)は群環 $\mathbb{Z}[\pi]$ 上の自由加群の鎖複体で、$X$ の各胞体 $e$ について持ち上げ $\tilde e$ を 1 つ選び向きを付けたものが基底になる(Mil66 §7、p. 377)。
群準同型 $\chi\colon\pi\to F^\times$(指標)は環準同型 $\mathbb{Z}[\pi]\to F$ に延び、$a\cdot g:=a\chi(g)$ により $F$ は右 $\mathbb{Z}[\pi]$ 加群になる。
$$
C^\chi(X):=F\otimes_{\mathbb{Z}[\pi]}C(\tilde X)
$$
は $1\otimes\tilde e$ を基底とする $F$ ベクトル空間の鎖複体である。
$C^\chi(X)$ が非輪状のとき、その捩れ $\tau(C^\chi(X))$ の、部分群 $\pm\chi(\pi):=\{\pm\chi(g)\mid g\in\pi\}$ による類
$$
\Delta_\chi(X)\in F^\times/\pm\chi(\pi)
$$
を、$X$ の指標 $\chi$ に関する Reidemeister 捩れ という。
$\Delta_\chi(X)$ は、持ち上げ $\tilde e$ の選び方、向き、胞体の並べ方によらない。
持ち上げ $\tilde e$ を $g\tilde e$($g\in\pi$)に替えると、$1\otimes g\tilde e=\chi(g)\otimes\tilde e$ なので、基底の 1 つの元が $\chi(g)$ 倍になる。向きを逆にすると $-1$ 倍、並べ替えでは行列式が $\pm1$ である。lem-rt-independent の 2 により、$\tau$ は $\pm\chi(g)$ の積倍しか変わらない。$\square$
$\pm\chi(\pi)$ の元は、$F=\mathbb{C}$ で $\pi$ が有限なら絶対値が $1$ なので、絶対値 $\lvert\Delta_\chi(X)\rvert$ は正の実数として定まる。
$X=S^1$ を 0 胞体 $v$ と 1 胞体 $e$ で作ると、$\tilde X=\mathbb{R}$、$\pi=\langle t\rangle\cong\mathbb{Z}$($t$ は $1$ だけの平行移動)で、$\tilde v=0$、$\tilde e=[0,1]$ について $\partial\tilde e=t\tilde v-\tilde v=(t-1)\tilde v$ である。$\chi(t)=\omega\neq1$ なら $C^\chi$ は $F\xrightarrow{\ \omega-1\ }F$ で非輪状であり、ex-rt-basic により $\Delta_\chi(S^1)=\omega-1$ である。
同じ $S^1$ を 0 胞体 $v_1,v_2$ と 1 胞体 $e_1,e_2$ に分割すると、持ち上げをうまく選んで $\partial\tilde e_1=\tilde v_2-\tilde v_1$、$\partial\tilde e_2=t\tilde v_1-\tilde v_2$ とでき、$C^\chi$ の境界写像の行列は $\begin{pmatrix}-1&\omega\\ 1&-1\end{pmatrix}$ で行列式は $1-\omega$ である。細分しても $\pm$ を除いて同じ値になる。$\omega=1$ なら $\partial=0$ で $H_0\neq0$ となり、捩れは定まらない。
一般に、$\Delta_\chi$ は CW 複体の細分で変わらず(Mil66 §7 の Combinatorial Invariance Theorem 7.1、p. 378 と §8、p. 386)、滑らかな多様体については $C^1$ 級の三角形分割を通じて微分同相写像で変わらない不変量になる(同 §9、p. 389 以降)。正確には、微分同相写像 $f\colon X\to Y$ と $\pi_1(Y)$ の指標 $\chi$ について $\Delta_{\chi\circ f_\ast}(X)=\Delta_\chi(Y)$ である。この記事では証明しない。
$p\ge2$、$q$ を $p$ と互いに素な整数、$\zeta:=e^{2\pi i/p}$ とし、$G=\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ の生成元 $g$ を $S^3\subset\mathbb{C}^2$ に $g(z_1,z_2):=(\zeta z_1,\zeta^qz_2)$ で作用させる。商が レンズ空間 $L(p;q)$ で、$S^3\to L(p;q)$ は普遍被覆、$\pi_1(L(p;q))$ は $g$ に対応する元(同じ記号 $g$ で書く)で生成される位数 $p$ の巡回群である(同記事の命題「基本群の計算」)。$qr\equiv1\pmod p$ となる整数 $r$ をとる。
$S^3$ には $G$ の作用で胞体が自由に置換される CW 構造があり、各次元 $k=0,1,2,3$ で胞体 $\tilde e^k$ を 1 つずつ選んで向きを付けると、$\mathbb{Z}[G]$ 上の鎖複体 $C(S^3)$ は $N:=1+g+\cdots+g^{p-1}$ として、各境界の符号を除いて
$$
\partial\tilde e^1=(g-1)\tilde e^0,\qquad \partial\tilde e^2=N\tilde e^1,\qquad \partial\tilde e^3=(g^r-1)\tilde e^2
$$
となる。商 $L(p;q)$ は各次元に 1 つずつの胞体をもつ CW 複体である。
胞体は具体的に次のとおりである(Hat02 Example 2.43、pp. 144–145 の構成の 3 次元の場合)。$j\in\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ について、0 胞体は点 $(\zeta^j,0)$、1 胞体は大円 $\{(z_1,0)\}$ の弧 $\{(e^{i\theta},0)\mid2\pi j/p\le\theta\le2\pi(j+1)/p\}$、2 胞体は円板 $D_j:=\{(w\sin\phi,\ \zeta^j\cos\phi)\mid\lvert w\rvert=1,\ 0\le\phi\le\pi/2\}$、3 胞体は $D_j$ と $D_{j+1}$ に挟まれた $\{(w\sin\phi,\ e^{i\theta}\cos\phi)\mid2\pi j/p\le\theta\le2\pi(j+1)/p\}$ である。$g$ は弧と 0 胞体を番号 $1$ だけ、$D_j$ と 3 胞体を番号 $q$ だけずらすので、$g^r$ が $D_j$ を $D_{j+1}$ に写す。$D_j$ の縁は大円 $\{(z_1,0)\}$ を 1 周するので弧の和 $N\tilde e^1$ であり、3 胞体の縁は $g^rD_j$ と $D_j$ を逆向きに合わせたものである。向きを込めた境界の式は Mil66 §12.3(p. 404)にある(同所の $L(r_1,\dots,r_n)$ の記号では $L(p;q)$ は $r_1=1$、$r_2=r$ に当たる)。各境界の符号は胞体の向きの取り方で変わるが、捩れの $\pm$ の不定性に吸収される。
$\chi\colon\pi_1(L(p;q))\to\mathbb{C}^\times$ を指標とし、$\omega:=\chi(g)$ とおく。$\omega\neq1$ なら $C^\chi(L(p;q))$ は非輪状で
$$
\Delta_\chi\bigl(L(p;q)\bigr)=(\omega-1)(\omega^r-1)\quad\text{(}\pm\omega^{\mathbb{Z}}\text{ 倍を除いて)}
$$
である。とくに $\omega=\zeta^k$ なら $\lvert\Delta_\chi\rvert=4\,\lvert\sin(\pi k/p)\sin(\pi kr/p)\rvert$ である。
$g^p=1$ なので $\omega^p=1$ で、$\omega\neq1$ から $\chi(N)=1+\omega+\cdots+\omega^{p-1}=(\omega^p-1)/(\omega-1)=0$ である。また $\omega^r\neq1$ である($\omega^r=1$ なら $qr=1+ps$ と書いて $\omega=\omega^{qr-ps}=1$ となる)。lem-rt-lens-cells により $C^\chi$ は
$$
\mathbb{C}\xrightarrow{\ \pm(\omega^r-1)\ }\mathbb{C}\xrightarrow{\ 0\ }\mathbb{C}\xrightarrow{\ \pm(\omega-1)\ }\mathbb{C}
$$
(左から次数 $3,2,1,0$)である。これは次数 $1,0$ の部分複体 $C'$ と、次数 $3,2$ の商複体 $C''$ の短完全列に分かれ、どちらも同型写像 1 つからなるので非輪状であり、$C^\chi$ も非輪状である。ex-rt-basic により $\tau(C')=\pm(\omega-1)$、$\tau(C'')=(\pm(\omega^r-1))^{(-1)^2}$ で、thm-rt-multiplicative により $\tau(C^\chi)=\pm(\omega-1)(\omega^r-1)$ である。絶対値は $\lvert e^{i\theta}-1\rvert=2\lvert\sin(\theta/2)\rvert$ から従う。$\square$
これは Mil66 §12(p. 406)の式 $\Delta(L)\sim(t^{r_1}-1)\cdots(t^{r_n}-1)$ の 3 次元の場合を、指標で数に落としたものである。
$L(7;1)$ と $L(7;2)$ はホモトピー同値だが、微分同相でない。
ホモトピー同値であることは レンズ空間 の例「ホモトピー同値だが同相でない組」による。微分同相写像 $f\colon L(7;1)\to L(7;2)$ があったとすると、$f_\ast$ は基本群の同型なので、$\chi\mapsto\chi\circ f_\ast$ は自明でない指標の間の全単射で、前節で引いた微分同相写像による不変性(lem-rt-lens-cells の CW 構造は $C^1$ 級の三角形分割に細分できる。Mil66 §12.3、p. 404)から $\lvert\Delta_{\chi\circ f_\ast}(L(7;1))\rvert=\lvert\Delta_\chi(L(7;2))\rvert$ である。よって、自明でない指標全体にわたる $\lvert\Delta_\chi\rvert$ の値の多重集合が一致するはずである。
$s_j:=\sin(\pi j/7)$ とおくと $0< s_1< s_2< s_3$ である。$L(7;1)$ では $r=1$ で、thm-rt-lens により $\omega=\zeta^k$($k=1,\dots,6$)の値は $4s_1^2,4s_2^2,4s_3^2$ が 2 回ずつである。$L(7;2)$ では $2\cdot4\equiv1\pmod7$ より $r=4$ で、$\lvert\sin(4\pi/7)\rvert=s_3$、$\lvert\sin(8\pi/7)\rvert=s_1$、$\lvert\sin(12\pi/7)\rvert=s_2$ から、$k=1,2,3$ の値は $4s_1s_3$、$4s_2s_1$、$4s_3s_2$ で、$k$ と $7-k$ で同じ値になる。前者の最小値は $4s_1^2$、後者の最小値は $4s_1s_2>4s_1^2$ なので多重集合は一致せず、矛盾である。$\square$
3 次元多様体では同相と微分同相は同値なので(レンズ空間 の定理「レンズ空間の分類」の 3)、$L(7;1)$ と $L(7;2)$ は同相でもない。一般に $L(p;q)$ と $L(p;q')$ が同相なら $q'\equiv\pm q^{\pm1}\pmod p$ であることも捩れから示せるが、そのためには円分体の直積である環 $\mathbb{Q}[\pi]/(N)$ の可逆元 $g^a-1$($1\le a< p/2$、$a$ は $p$ と互いに素)の間に乗法的な関係がないこと(Franz の独立性補題)が要る(Mil66 12.6–12.7、p. 406。証明は同所でも Franz の論文に譲られている)。この記事では証明しない。
thm-rt-lens の仮定は $\omega\neq1$ の 1 つである。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\omega=\chi(g)\neq1$ | 自明な指標 $\chi=1$ | $C^\chi$ が非輪状であること($H_0\neq0$) |
表の行:$\chi=1$ なら $\chi(N)=p\neq0$ で、$C^\chi$ は $\mathbb{C}\xrightarrow{0}\mathbb{C}\xrightarrow{p}\mathbb{C}\xrightarrow{0}\mathbb{C}$ となり、$H_0\cong\mathbb{C}$、$H_3\cong\mathbb{C}$ なので捩れは定まらない。これは $L(p;q)$ の有理係数ホモロジーである。単連結な $S^2$ のように自明な指標しかない空間では、Reidemeister 捩れはそもそも定義されない。
反例:Reidemeister 捩れはホモトピー不変量ではない。$L(7;1)$ と $L(7;2)$ は「ホモトピー同値である」を満たすが「同じ Reidemeister 捩れをもつ(基本群の同型で指標を対応させて一致する)」を満たさない(cor-rt-l7 の証明の計算)。破れるのは「ホモトピー同値なら捩れが一致する」という含意である。捩れが不変なのは、ホモトピー同値よりも細かい単純ホモトピー同値であり、その障害が Whitehead 捩れである(Mil66 §7、§12 の Lemma 12.5、p. 405。h同境定理 も参照)。
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