エネルギー条件

同義語:energy condition

概要

エネルギー条件(energy condition)とは、時空の対称テンソル場 $T$(エネルギー運動量テンソル)に課す符号の条件の総称で、光的な $\ell$ について $T(\ell,\ell)\ge0$ とする光的エネルギー条件、時間的な $v$ について $T(v,v)\ge0$ とする弱エネルギー条件、強エネルギー条件、エネルギーの流れが因果的であることを求める優勢エネルギー条件がある。Einstein 方程式のもとで、光的エネルギー条件はリッチ曲率の光的収束条件と同値であり、宇宙定数が $0$ なら強エネルギー条件は時間的収束条件 $\mathrm{Ric}(v,v)\ge0$ と同値である。完全流体では密度と圧力の不等式になり、これらの条件は特異点定理の仮定に使われる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 時空, リッチテンソル, Einstein方程式

一般相対論では、時空の計量 $g$ は Einstein 方程式によって物質のエネルギー運動量テンソル $T$ と結ばれる。どんな $T$ でも許すと、どんな計量も「何かの物質の解」になってしまうので、物質の側に「観測者が測るエネルギー密度は負でない」「エネルギーは光より速く流れない」といった符号の条件を課す。これがエネルギー条件である。Einstein 方程式を通すと、このうち光的エネルギー条件と(宇宙定数が $0$ のときの)強エネルギー条件はリッチ曲率の符号の条件、すなわち時間的・光的な測地線が互いに近づく(収束する)という幾何学的な条件に言い換えられ、特異点定理の仮定として使われる。
以下、$(M,g)$ は 時空 の記事の意味の時空(符号 $(-,+,\dots,+)$)で $\dim M=n\ge3$ とし、因果的類別・未来向きもその記事の定義を使う。$T$ を $M$ 上の対称な $(0,2)$ 型テンソル場とする。$v\in T_pM$ に対し、ベクトル $J_v\in T_pM$ を $g(J_v,w)=-T(v,w)$(すべての $w$)で定める。$T_pM$ の正規直交基底 $e_0,\dots,e_{n-1}$、$\epsilon_\mu:=g(e_\mu,e_\mu)$ について $\operatorname{tr}_gT:=\sum_\mu\epsilon_\mu T(e_\mu,e_\mu)$ とおく。

定義

エネルギー条件

点 $p\in M$ で、対称テンソル $T$ が次を満たすとき、それぞれの条件が $p$ で成り立つという。すべての点で成り立つとき、$T$(または時空)がその条件を満たすという。

  1. 光的エネルギー条件(null energy condition, NEC):任意の光的ベクトル $\ell\in T_pM$ について $T(\ell,\ell)\ge0$。
  2. 弱エネルギー条件(weak energy condition, WEC):任意の時間的ベクトル $v\in T_pM$ について $T(v,v)\ge0$。
  3. 強エネルギー条件(strong energy condition, SEC):任意の時間的ベクトル $v$ について $T(v,v)-\dfrac{\operatorname{tr}_gT}{n-2}\,g(v,v)\ge0$。
  4. 優勢エネルギー条件(dominant energy condition, DEC):WEC が成り立ち、かつ任意の未来向き因果的ベクトル $v$ について $J_v$ は未来向き因果的か零である。
収束条件

時空 $(M,g)$ のリッチテンソル $\mathrm{Ric}$ について、

  1. 任意の時間的ベクトル $v$ について $\mathrm{Ric}(v,v)\ge0$ であることを時間的収束条件(timelike convergence condition)、
  2. 任意の光的ベクトル $\ell$ について $\mathrm{Ric}(\ell,\ell)\ge0$ であることを光的収束条件(null convergence condition)
    という。

4 次元での 4 つのエネルギー条件の一覧と、その「幾何的な形」(リッチテンソルや Einstein テンソルで書いた形)は Cur17 §2.1(p. 6)にある。収束条件の名前と、宇宙定数が $0$ のとき時間的収束条件が強エネルギー条件と呼ばれることは SG15 p. 8 による。これらの条件はどれも各点の線形代数の条件であり、計量の符号の流儀を $(+,-,\dots,-)$ に替えると不等号の向きが変わる箇所があるので、文献を比べるときは流儀に注意する。

直感

$v$ を単位時間的ベクトル(観測者の 4 元速度)とすると、$T(v,v)$ はその観測者が測るエネルギー密度であり、WEC は「どの観測者が測ってもエネルギー密度は負でない」という条件である。$J_v$ はその観測者が測るエネルギー運動量の流れで、DEC は「エネルギーの流れは光速を超えない」ことを表す。NEC は光の速さで動く極限の観測者に対する WEC である。
SEC と時間的収束条件は「重力は引力として働く」ことを表す。時間的または光的な測地線の束の膨張率 $\theta$ は Raychaudhuri 方程式に従い、回転のない束では $\theta$ の変化率が $-\mathrm{Ric}(u,u)$ 以下になるので、$\mathrm{Ric}(u,u)\ge0$ なら測地線は互いに近づき、やがて焦点を結ぶ(SG15 p. 8 の式 (4)–(6))。この「収束」が名前の由来であり、Generic条件(Lorentz幾何) の Hawking–Penrose の特異点定理は「任意の因果的ベクトル $v$ について $\mathrm{Ric}(v,v)\ge0$」を、捕捉面 の記事の Penrose の特異点定理は光的収束条件を仮定する。

性質

未来向き因果的ベクトルの双対的な特徴付け

$X\in T_pM$ について、$X$ が未来向き因果的か零であることと、任意の未来向き因果的ベクトル $w$ について $g(X,w)\le0$ であることは同値である。また、任意の光的ベクトルは時間的ベクトルの極限である。

未来向きの正規直交基底 $e_0,\dots,e_{n-1}$($e_0$ が未来向き時間的)をとり、$X=x^0e_0+\sum_{i\ge1}x^ie_i$、$x':=(x^1,\dots,x^{n-1})$ と書く。
最後の主張:$\ell$ を光的とし、$\ell$ を $\pm\ell$ に替えて未来向きとしてよい。$\varepsilon>0$ について $g(\ell+\varepsilon e_0,\ell+\varepsilon e_0)=2\varepsilon g(\ell,e_0)-\varepsilon^2< 0$(時空 の命題「時間錐の性質」の 3 により $g(\ell,e_0)< 0$)なので、$\ell+\varepsilon e_0$ は時間的で、$\varepsilon\to0$ で $\ell$ に収束する。
$\Rightarrow$:$X$ が未来向き因果的で、$w$ も未来向き因果的とする。どちらかが時間的なら、同じ命題の 3 により $g(X,w)< 0$ である。両方が光的なら、$w$ を未来向き時間的な $w+\varepsilon e_0$ で近似して $g(X,w)=\lim g(X,w+\varepsilon e_0)\le0$ である。
$\Leftarrow$:$x'\ne0$ なら $w:=e_0+\sum_i(x^i/\lvert x'\rvert)e_i$ は未来向き光的で、$g(X,w)=-x^0+\lvert x'\rvert\le0$ なので $x^0\ge\lvert x'\rvert>0$、すなわち $X$ は未来向き因果的である。$x'=0$ なら $w=e_0$ として $-x^0\le0$ なので、$X=x^0e_0$ は未来向き時間的か零である。$\square$

条件の間の含意
  1. WEC ならば NEC、SEC ならば NEC、時間的収束条件ならば光的収束条件である。さらに WEC は「任意の因果的ベクトル $v$ について $T(v,v)\ge0$」と、時間的収束条件は「任意の因果的ベクトル $v$ について $\mathrm{Ric}(v,v)\ge0$」と同値である。
  2. DEC は「任意の未来向き因果的ベクトル $v,w$ について $T(v,w)\ge0$」と同値である。特に DEC ならば WEC、したがって NEC である。

1.光的な $\ell$ は時間的ベクトル $v_k$ の極限である(lem-energy-condition-dual-cone)。$T(v_k,v_k)\ge0$ から極限で $T(\ell,\ell)\ge0$ を得る。SEC では $g(v_k,v_k)\to g(\ell,\ell)=0$ なので、同じく $T(\ell,\ell)\ge0$ を得る。$\mathrm{Ric}$ についても同じである。後半はこれと定義を合わせたものである。
2.DEC を仮定し、$v,w$ を未来向き因果的とする。$J_v$ は未来向き因果的か零なので、lem-energy-condition-dual-cone により $T(v,w)=-g(J_v,w)\ge0$ である。逆を仮定する。時間的な $v$ について、$v$ か $-v$ が未来向きなので $T(v,v)=T(-v,-v)\ge0$ であり、WEC が成り立つ。未来向き因果的な $v$ について、任意の未来向き因果的な $w$ で $g(J_v,w)=-T(v,w)\le0$ なので、同じ補題により $J_v$ は未来向き因果的か零である。$\square$

逆向きの含意はどれも成り立たない(下の反例の表)。SEC は WEC を含意しない:SEC はエネルギー密度が負でも満たされうる(Cur17 p. 8)。

Einstein方程式による言い換え

時空 $(M,g)$($n\ge3$)が宇宙定数 $\Lambda$ をもつ Einstein方程式
$$ \mathrm{Ric}-\frac12S\,g+\Lambda g=8\pi T $$
を満たすとする($S$ はスカラー曲率)。このとき
$$ \mathrm{Ric}=8\pi\Bigl(T-\frac{\operatorname{tr}_gT}{n-2}\,g\Bigr)+\frac{2\Lambda}{n-2}\,g $$
であり、次が成り立つ。

  1. NEC と光的収束条件は同値である($\Lambda$ によらない)。
  2. $\Lambda=0$ なら、SEC と時間的収束条件は同値である。
  3. $\Lambda\le0$ なら、SEC ならば時間的収束条件である。

方程式のトレースをとると、$\operatorname{tr}_gg=n$、$\operatorname{tr}_g\mathrm{Ric}=S$ により $S-\frac n2S+n\Lambda=8\pi\operatorname{tr}_gT$、すなわち $\frac12S=\frac{n\Lambda-8\pi\operatorname{tr}_gT}{n-2}$ である。これを $\mathrm{Ric}=8\pi T+\bigl(\frac12S-\Lambda\bigr)g$ に代入し、$\frac{n\Lambda}{n-2}-\Lambda=\frac{2\Lambda}{n-2}$ を使うと式を得る。光的な $\ell$ では $g(\ell,\ell)=0$ なので $\mathrm{Ric}(\ell,\ell)=8\pi T(\ell,\ell)$ であり、1 が従う。時間的な $v$ では
$$ \mathrm{Ric}(v,v)=8\pi\Bigl(T(v,v)-\frac{\operatorname{tr}_gT}{n-2}g(v,v)\Bigr)+\frac{2\Lambda}{n-2}g(v,v) $$
であり、$\Lambda=0$ なら最後の項は消えて 2 が従う。$\Lambda\le0$ なら $g(v,v)< 0$ より最後の項は $0$ 以上なので 3 が従う。$\square$

$n=2$ では Einstein テンソル $\mathrm{Ric}-\frac12Sg$ が恒等的に $0$ になる(2 次元では $\mathrm{Ric}=\frac S2g$)ので、この言い換えは意味をもたない。

完全流体

完全流体のエネルギー条件

点 $p$ で、$u\in T_pM$ を未来向きの単位時間的ベクトル($g(u,u)=-1$)、$\rho,P\in\mathbb R$ とし、
$$ T=(\rho+P)\,u^\flat\otimes u^\flat+P\,g,\qquad u^\flat:=g(u,\cdot) $$
とおく(完全流体。$\rho$ はエネルギー密度、$P$ は圧力)。このとき $p$ で

  1. NEC $\iff$ $\rho+P\ge0$。
  2. WEC $\iff$ $\rho\ge0$ かつ $\rho+P\ge0$。
  3. SEC $\iff$ $\rho+P\ge0$ かつ $(n-3)\rho+(n-1)P\ge0$。
  4. DEC $\iff$ $\rho\ge\lvert P\rvert$。
    $n=4$ では 3 は $\rho+P\ge0$ かつ $\rho+3P\ge0$ である。

$u^\perp$ の上で $g$ は正定値なので(時空 の命題「時間的ベクトルの直交補空間」)、$w\in u^\perp$ について $\lvert w\rvert:=\sqrt{g(w,w)}$ とおく。
未来向きの単位時間的ベクトル $v$ を $v=\gamma u+w$($w\in u^\perp$)と書くと、$\gamma=-g(u,v)$ で、$-1=-\gamma^2+\lvert w\rvert^2$ と未来向きであることから $\gamma\ge1$ である。逆に任意の $\gamma\ge1$ について、単位ベクトル $e\in u^\perp$ をとれば $v=\gamma u+\sqrt{\gamma^2-1}\,e$ がそのような $v$ である。$T(cv,cv)=c^2T(v,v)$ なので、時間的ベクトルについての条件は未来向きの単位ベクトルについて調べれば足りる。
1.光的な $\ell$ は $\ell=a u+w$($a\ne0$、$w\in u^\perp$、$\lvert w\rvert=\lvert a\rvert$)と書け、$T(\ell,\ell)=(\rho+P)a^2$ である。
2.$T(v,v)=(\rho+P)\gamma^2-P=(\rho+P)(\gamma^2-1)+\rho$ である。これが任意の $\gamma\ge1$ で $0$ 以上であることは、$\gamma=1$ と $\gamma\to\infty$ を見て、$\rho\ge0$ かつ $\rho+P\ge0$ と同値である。
3.$\operatorname{tr}_gT=-(\rho+P)+nP$ なので
$$ T(v,v)-\frac{\operatorname{tr}_gT}{n-2}g(v,v)=(\rho+P)\gamma^2-P+\frac{nP-\rho-P}{n-2}=(\rho+P)(\gamma^2-1)+\frac{(n-3)\rho+(n-1)P}{n-2} $$
であり、2 と同じく $\gamma=1$ と $\gamma\to\infty$ を見ればよい。
4.prop-energy-condition-implications の 2 により、DEC は未来向き因果的な $v,w$ について $T(v,w)=(\rho+P)g(u,v)g(u,w)+P\,g(v,w)\ge0$ となることと同値である。
$\Rightarrow$:$v=w=u$ とすると $T(u,u)=\rho\ge0$ である。単位ベクトル $e\in u^\perp$ について $u\pm e$ は未来向き光的で、$g(u,u\pm e)=-1$、$g(u+e,u-e)=-2$ なので、$T(u+e,u+e)=\rho+P\ge0$、$T(u+e,u-e)=\rho-P\ge0$ である。よって $\rho\ge\lvert P\rvert$ である。
$\Leftarrow$:未来向き因果的な $v,w$ を $v=\alpha u+v'$、$w=\beta u+w'$($v',w'\in u^\perp$)と書くと、$\alpha=-g(u,v)>0$、$\beta>0$、$\lvert v'\rvert\le\alpha$、$\lvert w'\rvert\le\beta$ である。$c:=-g(v,w)=\alpha\beta-g(v',w')$ は lem-energy-condition-dual-cone により $0$ 以上で、Cauchy–Schwarz の不等式により $c\le\alpha\beta+\lvert v'\rvert\lvert w'\rvert\le2\alpha\beta$ である。$T(v,w)=(\rho+P)\alpha\beta-Pc$ であり、$P\le0$ なら両項とも $0$ 以上、$P>0$ なら $T(v,w)\ge(\rho+P)\alpha\beta-2P\alpha\beta=(\rho-P)\alpha\beta\ge0$ である。$\square$

Cur17 p. 6 の「有効な形」(主圧力で書いた形)は、4 次元で主圧力がすべて等しい場合にこの命題と一致する。

例

塵と放射

塵($P=0$、$\rho\ge0$)と放射($P=\rho/(n-1)$、$\rho\ge0$)は、prop-energy-condition-perfect-fluid により 4 つのエネルギー条件をすべて満たす。放射では $(n-3)\rho+(n-1)P=(n-2)\rho\ge0$、$\rho\ge\lvert P\rvert$ である。$\rho=P=0$ は真空であり、すべての条件を満たす。

de Sitter時空と宇宙定数

$H>0$ とし、$M=\mathbb R\times S^{n-1}$、$g=-dt^2+H^{-2}\cosh^2(Ht)\,g_{S^{n-1}}$ を($n$ 次元の)de Sitter 時空とする(時空 の例「de Sitter時空」)。Warped積多様体 の例「Robertson–Walker時空」の公式($d=n-1$、$k=1$、$a=H^{-1}\cosh(Ht)$)で $a\ddot a=\cosh^2(Ht)$、$\dot a^2+1=\cosh^2(Ht)$ なので、
$$ \mathrm{Ric}(\partial_t,\partial_t)=-(n-1)H^2,\qquad\mathrm{Ric}(\partial_t,\tilde V)=0,\qquad\mathrm{Ric}(\tilde V,\tilde W)=(n-1)H^2\,g(\tilde V,\tilde W) $$
となり、$\mathrm{Ric}=(n-1)H^2g$ である。よって単位時間的な $v$ で $\mathrm{Ric}(v,v)=-(n-1)H^2< 0$ となり時間的収束条件は成り立たないが、光的な $\ell$ では $\mathrm{Ric}(\ell,\ell)=0$ なので光的収束条件は成り立つ。
この時空は $S=n(n-1)H^2$ により $T=0$、$\Lambda=\frac{(n-1)(n-2)}{2}H^2>0$ の Einstein 方程式を満たす。$\Lambda$ を右辺へ移して $\Lambda=0$、$T_\Lambda:=-\frac{\Lambda}{8\pi}g$ の方程式とみることもでき、$T_\Lambda$ は $\rho=\frac{\Lambda}{8\pi}$、$P=-\rho$ の完全流体である。prop-energy-condition-perfect-fluid により $T_\Lambda$ は DEC・WEC・NEC を満たすが、$(n-3)\rho+(n-1)P=-2\rho< 0$ なので SEC を満たさない。これは thm-energy-condition-einstein の 2 と合っている。

反例:条件を外すと

外す条件反例成り立たなくなること
WEC(NEC だけを課す)完全流体 $\rho=-1$、$P=2$時間的な $v$ について $T(v,v)\ge0$
DEC(WEC だけを課す)完全流体 $\rho=1$、$P=2$$J_v$ が未来向き因果的か零
SEC(DEC だけを課す)$\Lambda=0$ で $T=T_\Lambda$ の de Sitter 時空時間的収束条件(thm-energy-condition-einstein の 2 の結論)
$\Lambda=0$$T=0$、$\Lambda>0$ の de Sitter 時空SEC ならば時間的収束条件(thm-energy-condition-einstein の 2)

1 行目:$\rho+P=1\ge0$ なので NEC は成り立つが、$T(u,u)=\rho=-1$ である。2 行目:$\rho\ge0$、$\rho+P\ge0$ なので WEC は成り立つ。単位ベクトル $e\in u^\perp$ と $v=u+e$ について $J_v=-(\rho+P)g(u,v)u-Pv=\rho u-Pe$ であり、$g(J_v,J_v)=-\rho^2+P^2=3>0$ なので $J_v$ は空間的である。3・4 行目は ex-energy-condition-de-sitter による。4 行目の時空は $T=0$ なので SEC を満たすが、時間的収束条件を満たさない。
これらのほかに、点ごとの条件ではなく測地線に沿って平均した条件(平均化した光的エネルギー条件など)も研究されている(Cur17 §2.2、p. 12 以降)。量子論的な場では点ごとの条件が破れうるためである。

関連項目

参考文献

[1]
Erik Curiel, A Primer on Energy Conditions, D. Lehmkuhl, G. Schiemann, E. Scholz (eds.), Towards a Theory of Spacetime Theories, Einstein Studies 13, Birkhäuser, ch., 2017, arXiv 版:§2.1(点ごとのエネルギー条件の一覧、p. 6)、pp. 7–8(解釈と含意)、§2.2(平均化した条件、p. 12 以降)

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