除外点位相(excluded point topology)とは、集合 $X$ の一点 $p$ を固定し、$X$ 自身と $p$ を含まない部分集合の全体を開集合とする位相である。$p$ の近傍は $X$ だけで、$X\setminus\{p\}$ は離散な開部分空間になり、$X$ はコンパクト・連結・可縮で、どの点列も $p$ に収束する。$|X|\ge2$ なら $T_0$ で正規性条件と遺伝正規性条件を満たすが、$T_1$ でなく、閉集合 $\{p\}$ は $G_\delta$ 集合でない。このとき弧状連結だが弧連結でないなど、Hausdorff 性を外したときの反例を与える。
除外点位相(excluded point topology)とは、集合 $X$ の一点 $p$ を固定し、$X$ 自身と、$p$ を含まない部分集合の全体を開集合とする位相である。$p$ の近傍は $X$ だけであり、$p$ 以外の点はすべて開集合 $\{q\}$ をなす。その結果、空間全体はコンパクトで連結なのに、$p$ を除くと離散空間が残る。二点以上の集合では、$T_0$ で正規性条件と遺伝正規性条件を満たすが $T_1$ でなく、閉な一点 $\{p\}$ が $G_\delta$ 集合にならない、弧状連結だが弧連結でない、などの反例を与える。
以下、記号 $p$ はつねにこの特別な点を表し、$q,r$ は $p$ と異なる点を表す。
$X$ を空でない集合、$p\in X$ とする。
$$\tau^p:=\{X\}\cup\{U\subset X\mid p\notin U\}$$
を $X$ 上の除外点位相(excluded point topology)という。
$\tau^p$ が位相であることは次のように確かめられる。$\emptyset$ は $p$ を含まず、$X$ は定義により $\tau^p$ に属する。開集合の族の合併は、$X$ を含めば $X$、含まなければ $p$ を含まない。二つの開集合の共通部分は、一方が $X$ なら他方そのもの、そうでなければ $p$ を含まない。
除外点位相の開集合は、同じ点 $p$ についての 特定点位相 の閉集合($X$ と $p$ を含まない集合)とちょうど同じ族である。つまり特定点位相の開集合と閉集合の役割を入れ替えたものが除外点位相である。
$X=\{p,q\}$ のとき、開集合は $\emptyset,\{q\},X$ であり、$q\mapsto1$、$p\mapsto0$ で Sierpiński空間 と同相になる。この場合は特定点位相(特定点 $q$)とも一致する。三点以上のとき、除外点位相はどの特定点位相とも同相でない(下の thm-ept-connected の 4 と、特定点位相が既約であること)。以下では、各主張に必要な台集合の大きさ(二点以上か三点以上か)を個別に書く。
$p$ は「どの開集合にも入れない点」である。$p$ を含む開集合は $X$ だけなので、$p$ に近づくことはどの点からも自由にでき、どんな点列も $p$ に収束する。一方 $p$ 以外の点は孤立していて、互いに完全に切り離されている。$p$ が全体をつなぐ一点の「蝶番」になっていて、それを外すとばらばらの点だけが残る。
$X$ に除外点位相 $\tau^p$ を入れる。
分離公理の名前は 分離公理 の記事に従う。正則性条件・正規性条件・遺伝正規性条件・完全正規性条件には $T_1$ を含めない。部分集合 $A,B$ が分離されているとは $\overline{A}\cap B=A\cap\overline{B}=\emptyset$ であることをいう。
$X$ に除外点位相 $\tau^p$ を入れる。$A,B\subset X$ が分離されていることは、「$A=\emptyset$ または $B=\emptyset$、あるいは $A,B$ が $X\setminus\{p\}$ の互いに素な部分集合であること」と同値である。とくに $A,B$ がともに空でないとき、分離されていることと、$A,B$ が $X\setminus\{p\}$ の互いに素な部分集合であることは同値である。
一方が空なら、$\overline{\emptyset}=\emptyset$ なので二つの共通部分はともに空である。ともに空でないとき、prop-ept-closure の 2 より $\overline{A}\cap B=(A\cap B)\cup(\{p\}\cap B)$、$A\cap\overline{B}=(A\cap B)\cup(A\cap\{p\})$ なので、両方が空であることは $A\cap B=\emptyset$、$p\notin A$、$p\notin B$ と同値である。$\square$
一方が空の場合を除くことは省けない。$A=\emptyset$、$B=\{p\}$ は分離されているが、$B$ は $X\setminus\{p\}$ に含まれない。
$X$ に除外点位相 $\tau^p$ を入れ、$|X|\ge2$ とする。
2 と 3 から、正規性条件を満たしても閉集合が $G_\delta$ 集合とは限らない。つまり完全正規性条件の後半(閉集合がすべて $G_\delta$)は正規性条件から出ない。また遺伝正規性条件を満たす $T_1$ 空間は正規性条件を満たす $T_1$ 空間、すなわち $T_4$ 空間なので Hausdorff である(分離公理 の定理「$T_4$ から $T_0$ までの含意」)が、$|X|\ge2$ の除外点位相は $T_0$ で遺伝正規性条件を満たすのに Hausdorff でない。$T_1$ を $T_0$ に弱めると、この含意は成り立たない。
空でない閉集合がどれも交わる空間を ultraconnected という。空でない開集合がどれも交わる空間は 既約空間(hyperconnected ともいう)である。連結な空間 $X$ の点 $x$ について $X\setminus\{x\}$ が 完全不連結空間 であるとき、$x$ を $X$ の分散点(dispersion point)という。
$X$ に除外点位相 $\tau^p$ を入れる。
$H\colon X\times[0,1]\to X$ を、$t<1$ で $H(x,t)=x$、$t=1$ で $H(x,1)=p$ と定める。$p$ を含まない開集合 $U$ の逆像は $U\times[0,1)$、$X$ の逆像は $X\times[0,1]$ で、どちらも積位相の開集合なので $H$ は連続である。$H(p,t)=p$ なので、$\{p\}$ は $X$ の強変位レトラクト(変位レトラクト)であり、$X$ は 可縮空間 である。弧連結でない(thm-ept-connected の 5)のに可縮である。
$|X|\ge3$ の除外点位相は、ultraconnected だが既約でない。特定点位相 の三点以上の場合は逆に、既約だが ultraconnected でない。どちらも散在的で連結なので、$T_1$ を仮定しなければ「散在的なら完全不連結」は成り立たない($T_1$ 空間では、二点以上の連結集合 $C$ の孤立点 $x$ について $\{x\}$ が $C$ の開かつ閉な部分集合になるので、成り立つ)。
2 はコンパクトで第1可算な空間が点列コンパクトであること(第1可算公理 の系「コンパクトならば点列コンパクト」)の具体例でもある。Hausdorff でない空間では点列の極限はただ一つとは限らず、ここでは $p$ がすべての点列の極限になる。
一方、非可算集合 $X$ の除外点位相はコンパクトなので Lindelöf空間 だが、開部分空間 $X\setminus\{p\}$ は非可算な離散空間なので Lindelöf でも可分でもない。コンパクト性・Lindelöf 性は閉部分空間には遺伝するが、開部分空間には遺伝しない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| Hausdorff 性 | 二点以上の集合 $X$ の除外点位相のコンパクト集合 $\{q\}$ | コンパクト集合は閉集合である |
| 部分空間が閉集合であること | 無限集合 $X$ の除外点位相の開部分空間 $X\setminus\{p\}$ | コンパクト空間の部分空間はコンパクトである |
| Hausdorff 性 | 二点以上の集合 $X$ の除外点位相 | 弧状連結なら弧連結である |
| $T_1$($T_0$ は残す) | 二点以上の集合 $X$ の除外点位相 | 遺伝正規性条件を満たせば Hausdorff である |
| $T_1$ | 二点以上の集合 $X$ の除外点位相 | 散在的な空間は完全不連結である |
| 距離化可能性 | 二点以上の集合 $X$ の除外点位相 | 閉集合は $G_\delta$ 集合である |
1 行目は $\{q\}$ が有限なのでコンパクトで、$p$ を含まないので閉でないこと(prop-ept-closure の 1)、2 行目は thm-ept-connected の 1 と prop-ept-closure の 3、3 行目は thm-ept-connected の 3・5、4 行目は thm-ept-separation の 1・2、5 行目は thm-ept-connected の 2・7、6 行目は thm-ept-separation の 3 による(距離空間では閉集合は $G_\delta$ 集合である:Gδ集合 の命題「距離空間の閉集合は $G_\delta$-集合」)。
除外点位相の性質の一覧は SS78 の Examples 13–15(pp. 47–48)にある。そこでは二点の場合を Sierpiński 空間として除き、三点以上を仮定して性質を述べている。
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