大域角形式(global angular form)とは、ファイバー計量をもつ向き付けられたベクトル束の単位球面束 $p\colon S\to M$ 上の形式 $\psi$ で、各ファイバーでの積分が $1$ であり、$M$ 上のある形式 $e$ について $d\psi=-p^*e$ をみたすものである。底空間が束を自明化する有限の開被覆をもてば、$\psi$ から Thom 類の代表 $d(\rho(|v|)\psi)$ が作れ、$e$ の類は Euler 類に等しい。階数 $2$ では局所的な正規直交枠の角度と 1 の分割から具体的に構成でき、$\psi$ を閉形式に選べるのは Euler 類が $0$ のときに限る。
前提知識: ベクトル束, Thom同型, ファイバーに沿った積分, Euler類
大域角形式(global angular form)とは、ファイバー計量をもつ向き付けられた階数 $n$ の実ベクトル束 $V\to M$ の単位球面束 $p\colon S\to M$ の上の $(n-1)$ 形式 $\psi$ で、各ファイバー $S_x\cong S^{n-1}$ での積分が $1$ であり、
$$
d\psi=-p^*e
$$
を $M$ 上のある $n$ 形式 $e$ についてみたすものをいう。各ファイバーに制限すると $\psi$ は球面の「角度の形式」($n=2$ なら $d\theta/2\pi$)の類を与えるが、$\psi$ 自身は一般に閉形式でなく、そのずれを測る $e$ は閉形式で、底空間が束を自明化する有限の開被覆をもてば、その類は $V$ の Euler類 である。
$\psi$ から Thom 類を代表する形式 $d\bigl(\rho(|v|)\,\psi\bigr)$ が作れ($\rho$ は原点の近くで $-1$、遠くで $0$ の関数)、逆に Thom 類から大域角形式が作れる。階数 $2$ なら、局所的な正規直交枠の角度 $\theta_\alpha$ と 1 の分割から具体的に構成でき、$e$ は変換関数の回転角から計算できる。この記事では大域角形式を定義し、底空間が束を自明化する有限の開被覆をもつ場合に (1) どの大域角形式の $e$ も Euler 類を代表すること、(2) 存在すること、(3) 階数 $2$ の構成を完全に証明し、$S^2$ の接束で $\int_{S^2}e=2$ を変換関数から計算する。同じ仮定の下で、$\psi$ を閉形式に選べるのは Euler 類が $0$ のときに限ることも示す。
多様体はすべて $C^\infty$ 級、$H^\bullet$ は de Rham コホモロジーとする。$\pi\colon V\to M$ を向き付けられた階数 $n\ge2$ の実ベクトル束とし(向きは Thom同型 の記事の意味)、ファイバー計量(各ファイバーの内積で、点について $C^\infty$ 級に変わるもの。1の分割 で存在する)$|\cdot|$ を 1 つ固定する。
$$
S:=\{v\in V\mid |v|=1\},\qquad p:=\pi|_S\colon S\to M,\qquad r\colon V\setminus M\to S,\ r(v)=v/|v|
$$
とおく($V\setminus M$ は零切断の補集合)。$S$ は $|v|^2$ の正則値 $1$ の逆像なので閉部分多様体で、$p$ は固有な沈め込み、ファイバー $S_x$ は内積空間 $V_x$ の単位球面である。$S_x$ には単位円板 $D_x$ の境界としての向き(外向きの法線を先頭に置くと $V_x$ の向きになる向き)を入れる。これで $p$ はファイバーの向きをもち、ファイバーに沿った積分 $p_*\colon\Omega^q(S)\to\Omega^{q-n+1}(M)$ が定まる(ファイバーに沿った積分)。
$S$ 上の $(n-1)$ 形式 $\psi$ が $V$ の大域角形式であるとは、次をみたすことをいう。
$p$ は全射な沈め込みなので $p^*\colon\Omega^\bullet(M)\to\Omega^\bullet(S)$ は単射であり、2 の $e$ は $\psi$ からただ 1 つに決まる。$p^*de=-dd\psi=0$ から $de=0$ で、$e$ は閉形式である。BT82 は、階数 $2$ では同じものを $V\setminus M$ の上の形式(ここでの $r^*\psi$)として(pp. 71–73)、球面束では球面束の上の形式として(p. 121)扱っている。
以下の 2 つの定理では、Thom同型 の定理「Thom 同型」と同じく、$M$ が各元の上で $V$ が自明になる有限の開被覆をもつ(たとえば $M$ がコンパクト)と仮定する。このとき Thom 類 $\Phi\in H^n_{cv}(V)$ と Euler 類 $e(V):=s^*\Phi\in H^n(M)$($s$ は零切断。同記事の定義「Euler 類」)が定まる。
$\psi$ を $V$ の大域角形式、$d\psi=-p^*e$ とする。$\rho\colon[0,\infty)\to[-1,0]$ を、$[0,1/3]$ で $-1$、$[2/3,\infty)$ で $0$ の $C^\infty$ 級関数とし、
$$
\Phi_\psi:=d\bigl(\rho(|v|)\,r^*\psi\bigr)=\rho'(|v|)\,d|v|\wedge r^*\psi-\rho(|v|)\,\pi^*e\qquad(V\setminus M\text{ 上})
$$
とおく。$\Phi_\psi$ は $|v|<1/3$ で $\pi^*e$ に等しく、$V$ 全体の閉形式に延び、Thom 類を代表する。とくに
$$
[e]=e(V)
$$
であり、$[e]$ は大域角形式やファイバー計量の選び方によらない。
$p\circ r=\pi$ なので $r^*d\psi=-\pi^*e$ であり、上の式の 2 つ目の等号が成り立つ。$0<|v|<1/3$ では $\rho=-1$、$\rho'=0$ なので $\Phi_\psi=\pi^*e$ であり、零切断の近傍では $\pi^*e$ と定めれば $V$ 全体の $C^\infty$ 級形式になる。$V\setminus M$ では完全形式、零切断の近傍では $d\pi^*e=\pi^*de=0$ なので閉である。$|v|>2/3$ では $\rho=0$ なので $\Phi_\psi=0$ であり、台は $\{|v|\le2/3\}$ に含まれ、垂直コンパクト台をもつ(コンパクト集合 $K\subset M$ の上の $\{|v|\le2/3\}$ はコンパクト)。
ファイバー $V_x$ での積分を計算する。$P\colon(0,\infty)\times S_x\to V_x\setminus\{0\}$、$P(t,u)=tu$ は微分同相で、$dP(\partial_t)=u$ が外向きの法線なので、$(0,\infty)\times S_x$ の積の向き($t$ が先)を $V_x$ の向きへ写す。$|P(t,u)|=t$、$r(P(t,u))=u$ であり、$\pi^*e$ は $V_x$ に制限すると $0$($\pi$ は $V_x$ の上で定数で、$e$ の次数は $n\ge1$)なので、$P^*(\Phi_\psi|_{V_x})=\rho'(t)\,dt\wedge\psi|_{S_x}$ である。原点は測度 $0$ なので
$$
\int_{V_x}\Phi_\psi=\int_0^\infty\rho'(t)\,dt\cdot\int_{S_x}\psi=\bigl(0-(-1)\bigr)\cdot1=1
$$
である。Thom同型 の命題「Thom 類の特徴づけと Thom 同型の逆写像」の 2 により $[\Phi_\psi]=\Phi$ である。零切断 $s$ の像は $|v|<1/3$ に入るので $s^*\Phi_\psi=s^*\pi^*e=e$ であり、$e(V)=s^*\Phi=[e]$ である。$\square$
これは BT82 (6.40) と Proposition 6.41(p. 74)が階数 $2$ について述べていることを、一般の階数で示したものである。
$V$ には大域角形式が存在する。
第 1 段:台を単位円板束の中へ.Thom 類を代表する閉形式 $\Phi_0\in\Omega^n_{cv}(V)$ をとる。各点 $x_0\in M$ のコンパクト近傍 $K$ の上で $\operatorname{supp}\Phi_0\cap\pi^{-1}(K)$ はコンパクトなので $|v|$ は有界である。内部が $M$ を覆うそのような近傍の局所有限な族 $\{K_i\}$、$\pi^{-1}(K_i)\cap\operatorname{supp}\Phi_0$ の上の $|v|$ の上界 $c_i$、$\operatorname{supp}\chi_i\subset K_i$ の 1 の分割 $\{\chi_i\}$ をとり $R:=1+\sum_i\chi_ic_i$ とおく。$R$ は正の $C^\infty$ 級関数で、$\chi_i(x)>0$ なら $x\in K_i$ なので、$v\in\operatorname{supp}\Phi_0\cap V_x$ について $|v|\le\min_{\chi_i(x)>0}c_i< R(x)$ である。$h(v):=R(\pi(v))\,v$ は $V$ の微分同相で各ファイバー上で正の定数倍なので、$\Phi_1:=h^*\Phi_0$ は閉で垂直コンパクト台をもち、各ファイバーでの積分は $\Phi_0$ と同じ $1$ である。よって $\Phi_1$ も Thom 類を代表し(Thom同型 の同じ命題の 2)、台は $\{|v|<1\}$ に含まれる。
第 2 段:ホモトピー.$e:=s^*\Phi_1$ とおく。$H(t,v):=\varphi(t)v$($\varphi$ は $t\le0$ で $0$、$t\ge1$ で $1$ の $C^\infty$ 級関数)は $s\circ\pi$ と $\mathrm{id}_V$ を結ぶ $C^\infty$ 級ホモトピーなので、ホモトピー不変性(de Rhamコホモロジー の系「ホモトピー不変性と Poincaré の補題」)により $\Phi_1-\pi^*e=d\beta$ となる $\beta\in\Omega^{n-1}(V)$ がある。$j\colon S\hookrightarrow V$ を包含とし、$\psi:=j^*\beta$ とおく。
第 3 段:確認.$\operatorname{supp}\Phi_1\cap S=\emptyset$ なので $j^*\Phi_1=0$ であり、$d\psi=j^*(\Phi_1-\pi^*e)=-p^*e$ である。$D_x$ は $V_x$ の閉単位円板で、境界 $S_x$ の向きは $D_x$ の境界の向きなので、Stokes の定理(Stokesの定理)により
$$
\int_{S_x}\psi=\int_{D_x}d\beta=\int_{D_x}\Phi_1-\int_{D_x}\pi^*e=\int_{V_x}\Phi_1=1
$$
である($\Phi_1$ の台は開円板束の中、$\pi^*e|_{V_x}=0$)。よって $\psi$ は大域角形式である。$\square$
階数 $2$ では、次の節の構成により $M$ の有限被覆の仮定なしに存在がわかる。一般の階数の球面束について BT82 (11.11)–(11.12)(p. 122)は Čech–de Rham 複体による構成を与えている。
$n=2$ とする。$M$ の開被覆 $\{U_\alpha\}$ と、各 $U_\alpha$ の上の向きに合う正規直交枠 $(e^\alpha_1,e^\alpha_2)$ をとる(局所自明化の枠に Gram–Schmidt の直交化を施し、必要なら $e^\alpha_2$ の符号を変える)。$p^{-1}(U_\alpha)$ の点 $v=\cos\theta\,e^\alpha_1+\sin\theta\,e^\alpha_2$ の角度 $\theta=\theta_\alpha$ は $2\pi$ の整数倍を除いて定まるので、$d\theta_\alpha$ は $p^{-1}(U_\alpha)$ 上の 1 形式である。$U_\alpha\cap U_\beta$ の上で 2 つの枠は回転で移り合い、その回転角は局所的には $C^\infty$ 級関数 $\varphi$ で、$\theta_\beta-\theta_\alpha=p^*\varphi$($2\pi$ の整数倍を除く)である。よって
$$
p^*a_{\alpha\beta}=\frac{1}{2\pi}(d\theta_\beta-d\theta_\alpha)
$$
となる閉 1 形式 $a_{\alpha\beta}$ が $U_\alpha\cap U_\beta$ 上にただ 1 つあり、3 重の交わりで $a_{\alpha\beta}+a_{\beta\gamma}=a_{\alpha\gamma}$ である。
$\{\rho_\gamma\}$ を $\{U_\gamma\}$ に従属する 1 の分割とし、$U_\alpha$ 上の 1 形式 $\xi_\alpha:=\sum_\gamma\rho_\gamma\,a_{\gamma\alpha}$ をとる。このとき
$$
\psi:=\frac{d\theta_\alpha}{2\pi}-p^*\xi_\alpha\quad(p^{-1}(U_\alpha)\text{ 上}),\qquad e:=d\xi_\alpha=\sum_\gamma d\rho_\gamma\wedge a_{\gamma\alpha}\quad(U_\alpha\text{ 上})
$$
はそれぞれ $S$ 上、$M$ 上の形式として矛盾なく定まり、$\psi$ は $d\psi=-p^*e$ をみたす大域角形式である。
$\rho_\gamma a_{\gamma\alpha}$ は $U_\gamma\cap U_\alpha$ 上の形式を $U_\alpha$ 上へ $0$ で延ばしたもので、$\operatorname{supp}\rho_\gamma\subset U_\gamma$ なので $C^\infty$ 級である。$U_\alpha\cap U_\beta$ の上で、$a_{\gamma\beta}-a_{\gamma\alpha}=a_{\alpha\beta}$ と $\sum_\gamma\rho_\gamma=1$ から
$$
\xi_\beta-\xi_\alpha=\sum_\gamma\rho_\gamma(a_{\gamma\beta}-a_{\gamma\alpha})=a_{\alpha\beta}
$$
である。したがって $\bigl(\tfrac{d\theta_\beta}{2\pi}-p^*\xi_\beta\bigr)-\bigl(\tfrac{d\theta_\alpha}{2\pi}-p^*\xi_\alpha\bigr)=p^*a_{\alpha\beta}-p^*a_{\alpha\beta}=0$ で $\psi$ は大域的に定まり、$a_{\alpha\beta}$ が閉なので $d\xi_\beta=d\xi_\alpha$ で $e$ も定まる。$d\psi=-p^*d\xi_\alpha=-p^*e$ である。各 $\theta_\alpha$ の向きでは、点 $u=(\cos\theta,\sin\theta)$ の外向きの法線 $u$ と $\partial_\theta=(-\sin\theta,\cos\theta)$ の組の行列式が $1$ なので、$S_x$ の境界の向きは $\theta$ の増える向きである。$p^*\xi_\alpha$ はファイバーに制限すると $0$ なので、$\int_{S_x}\psi=\int_0^{2\pi}d\theta/2\pi=1$ である。$\square$
これは BT82 Exercise 6.36 と (6.36.1)–(6.38)(pp. 72–73)の構成である。$M$ の有限被覆を仮定すれば、thm-gaf-euler により $[e]=e(V)$ である。
$V=M\times\mathbb R^n$(標準の内積)なら $S=M\times S^{n-1}$ で、$\sigma$ を $S^{n-1}$ 上の積分が $1$ の $(n-1)$ 形式とすると $\psi=\mathrm{pr}_2^*\sigma$ は閉な大域角形式で、$e=0$ である。
$M=S^2$ を閉上半球 $D_+$ と閉下半球 $D_-$ に分け、$U_0\supset D_+$、$U_1\supset D_-$ を開集合、$C:=D_+\cap D_-$(赤道)に $D_+$ の境界の向きを入れる。$V$ を $S^2$ 上の向き付けられた階数 $2$ の束とし、prop-gaf-rank2 を被覆 $\{U_0,U_1\}$ で行うと
$$
\int_{S^2}e=-\int_Ca_{01}
$$
である。右辺は、赤道を一周する間に枠 $0$ に対する枠 $1$ の角度 $\theta_1-\theta_0$ が増える量を $2\pi$ で割り、符号を変えたものである。
$U_0$ では $e=d\xi_0$、$U_1$ では $e=d\xi_1$ である。$D_-$ の境界の向きは $C$ と逆なので、Stokes の定理により $\int_{S^2}e=\int_{D_+}d\xi_0+\int_{D_-}d\xi_1=\int_C\xi_0-\int_C\xi_1=-\int_Ca_{01}$ である。$\square$
$S^2\subset\mathbb R^3$ に単位球体の境界の向きを入れる。$U_0=S^2\setminus\{(0,0,-1)\}$ 上の座標 $\zeta=(x+iy)/(1+z)$ と $U_1=S^2\setminus\{(0,0,1)\}$ 上の座標 $w=(x-iy)/(1-z)$ は $\zeta w=(x^2+y^2)/(1-z^2)=1$ をみたす。北極で $\zeta\approx(x+iy)/2$ なので $\zeta$ は向きを保つ座標で、$w=1/\zeta$ は正則なので $w$ も向きを保つ。$D_+=\{|\zeta|\le1\}$ で、$C$ は $\zeta$ 平面の単位円を反時計回りに回る。
$TS^2$ に $\mathbb R^3$ の内積を入れると、等角な座標の座標ベクトル場 $\partial_{\operatorname{Re}\zeta},\partial_{\operatorname{Im}\zeta}$ を正規化したものが $U_0$ 上の向きに合う正規直交枠で、単位接ベクトル $X$ の角度は $\theta_0(X)=\arg d\zeta(X)$ である。同様に $\theta_1(X)=\arg dw(X)=\arg\bigl(-\zeta^{-2}d\zeta(X)\bigr)$ なので
$$
\theta_1-\theta_0=\pi-2\arg\zeta\pmod{2\pi}
$$
である。赤道を一周すると $\arg\zeta$ は $2\pi$ 増えるので、$\int_Ca_{01}=\frac{1}{2\pi}(-4\pi)=-2$ であり、prop-gaf-two-charts により $\int_{S^2}e(TS^2)=2$ である。これは $S^2$ の Euler 標数 $2$ と一致する(Euler類 の例「球面の接束」)。
$M$ は thm-gaf-euler の仮定をみたすとする。$V$ が閉形式の大域角形式をもつための必要十分条件は $e(V)=0$ である。
$\psi$ が閉なら $p^*e=-d\psi=0$ で、$p^*$ の単射性から $e=0$、thm-gaf-euler により $e(V)=[e]=0$ である。逆に大域角形式 $\psi$(thm-gaf-existence)について $[e]=e(V)=0$ なら $e=d\beta$ と書け、$\psi':=\psi+p^*\beta$ は $d\psi'=-p^*e+p^*d\beta=0$ をみたす。$p^*\beta$ はファイバーに制限すると $0$($n-1\ge1$)なので $p_*\psi'=1$ で、$\psi'$ は閉な大域角形式である。$\square$
閉な大域角形式 $\psi'$ は各ファイバーで $H^{n-1}(S^{n-1})$ の生成元に制限されるので、$M$ が束を自明化する有限の良い被覆をもてば Leray–Hirschの定理 により $H^\bullet(S)\cong H^\bullet(M)\otimes H^\bullet(S^{n-1})$ である。$e(V)\ne0$ のときのずれは Gysin列 が記述する。BT82(p. 119)は、ファイバーの生成元に制限される大域的な閉形式が存在するのは向き付け可能で Euler 類が $0$ のときに限ることを、Čech–de Rham 複体で述べている。
$n$ が偶数のとき、thm-gaf-euler の $\Phi_\psi$ について $\Phi_\psi\wedge\Phi_\psi-\Phi_\psi\wedge\pi^*e=d\bigl(-(\rho^2+\rho)(|v|)\,r^*\psi\wedge\pi^*e\bigr)$ であり、右辺の括弧の中は垂直コンパクト台をもつ $V$ 上の形式に延びる。とくに $H^{2n}_{cv}(V)$ で $\Phi^2=\pi^*e(V)\wedge\Phi$ である。
要点:$\Phi_\psi=d\rho\wedge\psi-\rho e$ を展開し、$d\rho\wedge d\rho=0$ と、偶数次の $e$ が可換であることを使う。
$V\setminus M$ の上で $\psi$、$e$ をそれぞれ $r^*\psi$、$\pi^*e$ の略とし、$\rho=\rho(|v|)$ と書く。$\Phi_\psi=d\rho\wedge\psi-\rho e$ で、$(d\rho\wedge\psi)\wedge(d\rho\wedge\psi)=\pm d\rho\wedge d\rho\wedge\psi\wedge\psi=0$、$e$ は偶数次なので $e\wedge d\rho\wedge\psi=d\rho\wedge\psi\wedge e$ である。よって $\Phi_\psi^2=-2\rho\,d\rho\wedge\psi\wedge e+\rho^2e\wedge e$、$\Phi_\psi\wedge e=d\rho\wedge\psi\wedge e-\rho\,e\wedge e$ で、差は $-(2\rho+1)d\rho\wedge\psi\wedge e+(\rho^2+\rho)e\wedge e$ である。一方 $d\psi=-e$、$de=0$ から $d\bigl(-(\rho^2+\rho)\psi\wedge e\bigr)=-(2\rho+1)d\rho\wedge\psi\wedge e+(\rho^2+\rho)e\wedge e$ で一致する。$\rho^2+\rho$ は $|v|<1/3$($\rho=-1$)と $|v|>2/3$($\rho=0$)で $0$ なので、括弧の中は $0$ で延びて垂直コンパクト台をもつ。零切断の近くでは両辺とも $0$ で、等式は $V$ 全体で成り立つ。$\square$
BT82 Exercise 6.43(p. 75)は階数 $2$ についてこの $\Phi^2$ を求める問いである。射影公式で $\pi_*(\Phi^2)=e(V)$ となり、Thom 類の 2 乗は Thom 同型で Euler 類に対応する。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 束の向き付け | $S^1$ 上の Möbius 束と自明な直線束の直和 | ファイバーでの積分が $1$ になる大域角形式の存在 |
| $e(V)=0$(prop-gaf-closed) | $S^2$ の接束 | 大域角形式を閉形式に選べること |
1 行目.$V=L\oplus\varepsilon$($L$ は Möbiusの帯 の直線束、$\varepsilon$ は自明な直線束)は向き付けできない。$S_x$ の向きを連続に選ぶことは、外向きの法線を先頭に置けば $V_x$ の向きを連続に選ぶことと同じなので、$S_x$ に連続な向きはなく、「各ファイバーでの積分が $1$」という条件が意味をもたない。実際 $S$ は Klein の壺で、ファイバーの向きは一周すると反転する(ファイバーに沿った積分 の反例の表の 3 行目)。
2 行目.ex-gaf-sphere により $e(TS^2)\ne0$ なので、prop-gaf-closed により $TS^2$ の大域角形式は閉形式に選べない。とくに $TS^2$ の単位接束の上には、各ファイバーでの積分が $1$ の閉 1 形式がない。
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