距離

$$\newcommand{abs}[1]{\left\lvert #1 \right\rvert} \newcommand{cG}[0]{\mathcal{G}} \newcommand{diam}[0]{\operatorname{Diam}} \newcommand{la}[0]{\leftarrow} \newcommand{lt}[0]{\left} \newcommand{Mod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{mR}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{p}[0]{\prime} \newcommand{ra}[0]{\rightarrow} \newcommand{rad}[0]{\operatorname{rad}} \newcommand{rt}[0]{\right} $$

グラフ $G = (V,E)$$2$頂点 $v$, $w\in V$距離 (distance) とは、$v$$w$ を結ぶ道の長さの最小値をいい、$d(v, w)$ によりあらわす。
$v$$w$ を結ぶ道が存在しないときは $d(v, w)=\infty$ と定める。
与えられた頂点 $v\in V$ について、$v$ と他の頂点の距離 $d(v, w) ~ (w\in V)$ の最大値を $G$$v$-半径といい、
$$\rad (G, v)=\max_{w\in V} d(v, w)$$
によりあらわす。

$v$-半径の最小値を $G$半径 (radius) といい、
$$\rad (G)=\min_{v\in V} \rad(G, v)=\min_{v\in V}\max_{w\in V} d(v, w)$$
によりあらわす。
$v$-半径の最大値、つまりあらゆる$2$頂点 $v, ~ w\in V$ に関する $d(v, w)$ の最大値を $G$直径 (diameter) といい、
$$\diam (G)=\max_{v\in V} \rad(G, v)=\max_{v, ~ w\in V} d(v, w)$$
によりあらわす。

完全グラフ $K_n$ においては、異なる$2$頂点間の距離はつねに $1$ となるので、半径、直径はともに $1$ となる。

性質

通常の距離空間と同様に、グラフの距離については三角不等式が成り立つ。

$u, v, w\in V$ について、つねに
$$d(u, w)\leq d(u, v)+d(v, w)$$
が成り立つ。

$m=d(u, v)$ とおいて、$u$$v$ を結ぶ最短の道をひとつとり、
$$u_0=u, u_1, \ldots, u_m=v$$ とおく。
同様に、$n=d(u, v)$ とおいて、$w$$v$ を結ぶ最短の道をひとつとり、$$w_0=w, w_1, \ldots, w_n=v$$ とおく。
$u_i=w_j$ となる $j$ が存在する $i$ で最小のものをとり($u_m=w_n=v$ だから、このような $i$ は少なくともひとつ存在する)、これを $s$ とおく。
さらに $u_s=w_j$ となる $j$ をひとつとり、これを $t$ とおく。
このとき、$0\leq i\leq s-1$, $0\leq j\leq t-1$ の範囲には $u_i=w_j$ となる $i$, $j$ は存在しないから
$$u=u_0, u_1, \ldots, u_s=w_t, w_{t-1}, \ldots, w_0=w$$
$u, w$ を結ぶ道となるので、
$$d(u, w)\leq s+t\leq d(u, v)+d(v, w)$$
が成り立つ。

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