Frobenius群

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定義

有限群 $G$ がFrobenius群であるとは、$\{1\}$ でない部分群 $H$ が存在して、任意の $g \in G \setminus H$ について $H \cap H^g = \{1\}$ となるようなものが取れることをいう。またこのような $H$ をFrobenius補群という。

同値な定義

$G$ がFrobenius群であることは、推移的な $G$-集合 $X$ であって、以下の条件を充たすものが存在することと同値である。

  • ある非自明な元 $g \neq 1$ であって固定点を持つものが存在する。
  • 非自明な元 $g \neq 1$ について、$g$ の固定点は高々ひとつである。

具体例

  • 奇数 $q$ について、二面体群 $D_{2q}$ はFrobenius群である。
証明

$D_{2q}=\langle a,b: a^q = b^2 = 1, bab^{-1}=a^{-1} \rangle$ について、部分群 $\{1,b\}$ を $H$ とおく。 このとき、任意の $D_{2q}\setminus H$ の元は、$1$ 以上 $q$ 未満の整数 $n$ によって、$a^n$ もしくは $a^nb$ と表せる。以下 $n$ は $1$ 以上 $q$ 未満の整数であるとする。

$g = a^n$ の場合、$H^g=\{1,a^nba^{-n}\}=\{1, a^{2n}b\}$ となり、$H\cap H^g = \{1\}$ が成り立つ。

$g = a^nb$ の場合、$H^g=H^{a^n}$ であるため、$H\cap H^g = \{1\}$ が成り立つ。従って $D_{2q}$ はFrobenius群である。

Frobenius核

部分群 $H$ をFrobenius補群とするFrobenius群 $G$ について、Frobenius核とは、部分集合 $\left( G-\bigcup_{g \in G} H^g \right)\cup \{1\} \subset G$ のことをいう。このとき、Frobenius核は $G$ の正規部分群となる。