2次曲線の焦点と準線(foci and directrices of conics)とは、楕円・双曲線・放物線を距離で定める見方である。焦点 $(\pm c,0)$ について、$0<c<a$ なら $PF+PF'=2a$ は楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{a^2-c^2}=1$、$0<a<c$ なら $|PF-PF'|=2a$ は双曲線 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{c^2-a^2}=1$ と同値で、焦点までの距離は $x$ の 1 次式の絶対値 $|a-ex|$($e=c/a$)になる。点 $F$ を通らない直線 $\ell$ と $e>0$ について、$F$ までの距離が $\ell$ までの距離の $e$ 倍の点全体は、$e<1$ なら楕円、$e=1$ なら放物線、$e>1$ なら双曲線であり、$e$(離心率)が形を決める。
紙に画鋲を 2 本刺し、輪にした糸をかけて鉛筆でぴんと張りながら 1 周させると、楕円が描ける。鉛筆の先 $\mathrm{P}$ から 2 本の画鋲 $\mathrm{F}$、$\mathrm{F}'$ までの距離の和 $\mathrm{PF}+\mathrm{PF}'$ が、糸の長さで決まる一定の値になるからである。2 点 $\mathrm{F}$、$\mathrm{F}'$ を楕円の焦点という。
高校では、この定義から楕円の方程式 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ を導き、双曲線は「距離の差が一定」、放物線は「焦点と直線(準線)までの距離が等しい」として習う。まず、具体的な曲線で距離を測ってみる。
楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$($a=5$、$b=3$)と 2 点 $\mathrm{F}(4,0)$、$\mathrm{F}'(-4,0)$ を考える($4^2=5^2-3^2$)。楕円上の 3 点で $\mathrm{PF}+\mathrm{PF}'$ を計算する。
放物線 $y^2=4x$ と点 $\mathrm{F}(1,0)$、直線 $\ell:x=-1$ を考える。放物線上の点 $\mathrm{P}$ から $\ell$ に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とする。
2 つの例から、次の問いが出てくる。
| 高校の計算 | この記事での見方 | ボックス |
|---|---|---|
| 2 乗して根号を外す | 焦点までの距離は $x$ の 1 次式(双曲線ではその絶対値。焦点半径の公式) | thm-fdc-ellipse、thm-fdc-hyperbola |
| 放物線の焦点と準線 | 楕円・双曲線にも準線がある | cor-fdc-ellipse-directrix、cor-fdc-hyperbola-directrix |
| 楕円・双曲線・放物線を別々に習う | 離心率 $e<1$、$e=1$、$e>1$ で 1 つにまとまる | thm-fdc-unified |
| $B^2-4AC$(2 次の係数から作る判別式)の符号で形を見分ける | 判別式は $4(e^2-1)$ に等しい | prop-fdc-discriminant |
平面上の点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{F}$ の距離を $\mathrm{PF}$、点 $\mathrm{P}$ と直線 $\ell$ の距離を $\mathrm{PH}$($\mathrm{H}$ は $\mathrm{P}$ から $\ell$ に下ろした垂線の足)と書く。
どれも「距離の条件を満たす点の集まり(軌跡)」としての定義である。2 点からの距離の比が一定の軌跡(Apollonius の円)は 複素数平面と図形 で扱う。1 と 2 の条件 $2a>\mathrm{FF}'$、$2a<\mathrm{FF}'$ を外すとどうなるかは、後の ex-fdc-degenerate-sum、ex-fdc-degenerate-difference で見る。以下では座標を、焦点が $x$ 軸上で原点について対称になるようにとる:$\mathrm{F}(c,0)$、$\mathrm{F}'(-c,0)$($c>0$)。このとき $\mathrm{FF}'=2c$ である。
どの点 $\mathrm{P}(x,y)$ についても、次の等式が成り立つ。これが以下の証明すべての鍵である。
$$
\mathrm{PF}'^2-\mathrm{PF}^2=\bigl((x+c)^2+y^2\bigr)-\bigl((x-c)^2+y^2\bigr)=4cx
$$
($(x+c)^2-(x-c)^2=(x^2+2cx+c^2)-(x^2-2cx+c^2)=4cx$ である。)2 つの距離の 2 乗の差が $x$ の 1 次式になるので、距離の和か差が分かれば、距離そのものが $x$ の 1 次式で求まる。
$0< c< a$ とし、$b:=\sqrt{a^2-c^2}$、$e:=\dfrac ca$ とおく。$\mathrm{F}(c,0)$、$\mathrm{F}'(-c,0)$ について、点 $\mathrm{P}(x,y)$ に関する次の 2 つは同値である。
方針:1 ⇒ 2 は、上の等式 $\mathrm{PF}'^2-\mathrm{PF}^2=4cx$ から $\mathrm{PF}$ を $x$ の 1 次式で表してから 2 乗する。2 ⇒ 1 は、$y^2$ を消して $\mathrm{PF}^2$ を完全平方の形にし、根号を正しく外す。
段 1(1 ⇒ 2:差を求める)。$\mathrm{PF}+\mathrm{PF}'=2a$ とする。$\mathrm{PF}'^2-\mathrm{PF}^2=(\mathrm{PF}'-\mathrm{PF})(\mathrm{PF}'+\mathrm{PF})$ なので、$4cx=(\mathrm{PF}'-\mathrm{PF})\cdot2a$ であり、$\mathrm{PF}'-\mathrm{PF}=\dfrac{2cx}a=2ex$ である。
段 2(1 ⇒ 2:距離を求める)。和 $\mathrm{PF}'+\mathrm{PF}=2a$ と差 $\mathrm{PF}'-\mathrm{PF}=2ex$ から、引いて 2 で割ると $\mathrm{PF}=a-ex$、足して 2 で割ると $\mathrm{PF}'=a+ex$ である。
段 3(1 ⇒ 2:2 乗して整理する)。$\mathrm{PF}^2=(x-c)^2+y^2$ と $\mathrm{PF}=a-ex$ から
$$
(x-c)^2+y^2=(a-ex)^2
$$
である。左辺は $x^2-2cx+c^2+y^2$、右辺は $ex=\frac{cx}a$ を使って $a^2-2cx+\frac{c^2}{a^2}x^2$ である。$-2cx$ が両辺で打ち消し合い、
$$
\Bigl(1-\frac{c^2}{a^2}\Bigr)x^2+y^2=a^2-c^2,\qquad\text{すなわち}\qquad \frac{b^2}{a^2}x^2+y^2=b^2
$$
となる($a^2-c^2=b^2$)。両辺を $b^2>0$ で割ると 2 を得る。
段 4(2 ⇒ 1:$\mathrm{PF}^2$ を計算する)。2 を仮定すると $y^2=b^2\bigl(1-\frac{x^2}{a^2}\bigr)=b^2-\frac{b^2}{a^2}x^2$ である。これと $b^2=a^2-c^2$ を代入して
$$
\mathrm{PF}^2=x^2-2cx+c^2+(a^2-c^2)-\frac{a^2-c^2}{a^2}x^2=\frac{c^2}{a^2}x^2-2cx+a^2=(a-ex)^2
$$
である。同様に $\mathrm{PF}'^2=\frac{c^2}{a^2}x^2+2cx+a^2=(a+ex)^2$ である。
段 5(2 ⇒ 1:根号を外す)。$\sqrt{u^2}=|u|$ なので $\mathrm{PF}=|a-ex|$、$\mathrm{PF}'=|a+ex|$ である。2 から $\frac{x^2}{a^2}\le1$、すなわち $|x|\le a$ であり、$0< e<1$ なので $|ex|\le ea< a$ である。よって $a-ex>0$、$a+ex>0$ で、$\mathrm{PF}=a-ex$、$\mathrm{PF}'=a+ex$ となる。足すと $\mathrm{PF}+\mathrm{PF}'=2a$ で、1 が成り立つ。
焦点半径の公式は、1 ⇒ 2 の向きでは段 2、2 ⇒ 1 の向きでは段 5 で得られている。$\square$
段 5 で $|x|\le a$ を使ったのが、「2 乗しても余分な点が紛れ込まない」ことの中身である。ex-fdc-ellipse-start の点 $\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$ では $e=\frac45$ で、公式どおり $\mathrm{PF}=5-\frac45\cdot3=\frac{13}5$、$\mathrm{PF}'=5+\frac{12}5=\frac{37}5$ である。
焦点半径の公式 $\mathrm{PF}=a-ex$ を $e$ でくくると、準線が現れる。
thm-fdc-ellipse の楕円上の点 $\mathrm{P}$ について、直線 $\ell:x=\dfrac ae$ までの距離を $\mathrm{PH}$ とすると $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ である。同様に、直線 $\ell':x=-\dfrac ae$ までの距離を $\mathrm{PH}'$ とすると $\mathrm{PF}'=e\cdot\mathrm{PH}'$ である。つまり楕円は、焦点 $\mathrm{F}$、準線 $\ell$、離心率 $e=\frac ca<1$ の曲線(def-fdc-conics の 3)である。
thm-fdc-ellipse から $\mathrm{PF}=a-ex=e\bigl(\frac ae-x\bigr)$ である。楕円上では $x\le a$ であり、$0< e<1$ から $a<\frac ae$ なので、$\frac ae-x>0$ である。点 $(x,y)$ と直線 $x=\frac ae$ の距離は $\bigl|\frac ae-x\bigr|=\frac ae-x$ なので、$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ である。$\mathrm{F}'$ についても、$\mathrm{PF}'=a+ex=e\bigl(x+\frac ae\bigr)$ と $x\ge-a>-\frac ae$ から同じように示せる。
逆向き($\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を満たす点が楕円上にあること)は、後の thm-fdc-unified で一般の形で示す。実際、焦点 $\mathrm{F}(c,0)$ と準線 $x=\frac ae$ の距離は $d=\frac ae-c=\frac{a^2}c-c=\frac{b^2}c$ で、thm-fdc-unified の式に $e=\frac ca$ と $d=\frac{b^2}c$ を入れると $A=a$、$B=b$、中心と焦点の距離 $C=x_0=c$ となり、同じ楕円である(ここでは準線が焦点の右にあり、thm-fdc-unified では左にあるので、向きは左右が逆である)。$\square$
楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{9}=1$ 上の点 P で、2 つの焦点までの距離の和が $\frac{13}5+\frac{37}5=10$、焦点 F までの距離と準線 $x=\frac{25}4$ までの距離の比が $\frac{13}5:\frac{13}4=4:5$ になることを見る図。
$e=\frac ca$ は、楕円の「つぶれ具合」を表す。$b=a\sqrt{1-e^2}$ なので、$e$ が $0$ に近いほど $b$ は $a$ に近く円に近い。$e$ が $1$ に近いほど細長い。
$0< a< c$ とし、$b:=\sqrt{c^2-a^2}$、$e:=\dfrac ca$ とおく。$\mathrm{F}(c,0)$、$\mathrm{F}'(-c,0)$ について、点 $\mathrm{P}(x,y)$ に関する次の 2 つは同値である。
方針:thm-fdc-ellipse の証明と同じ道筋をたどる。今度は差 $\mathrm{PF}'-\mathrm{PF}$ が分かっているので、等式 $\mathrm{PF}'^2-\mathrm{PF}^2=4cx$ から和を求める。
段 1(1 ⇒ 2:和を求める)。1 から $\mathrm{PF}'-\mathrm{PF}=2a\varepsilon$ となる $\varepsilon\in\{1,-1\}$ がある。$4cx=(\mathrm{PF}'-\mathrm{PF})(\mathrm{PF}'+\mathrm{PF})=2a\varepsilon(\mathrm{PF}'+\mathrm{PF})$ なので、$\mathrm{PF}'+\mathrm{PF}=\dfrac{2cx}{a\varepsilon}=2\varepsilon ex$ である($\frac1\varepsilon=\varepsilon$)。
段 2(1 ⇒ 2:距離を求める)。和から差を引いて 2 で割ると $\mathrm{PF}=\varepsilon ex-\varepsilon a=\varepsilon(ex-a)$ である。
段 3(1 ⇒ 2:2 乗して整理する)。$\varepsilon^2=1$ なので $(x-c)^2+y^2=(ex-a)^2$ である。左辺は $x^2-2cx+c^2+y^2$、右辺は $\frac{c^2}{a^2}x^2-2cx+a^2$ で、
$$
\Bigl(1-\frac{c^2}{a^2}\Bigr)x^2+y^2=a^2-c^2,\qquad\text{すなわち}\qquad -\frac{b^2}{a^2}x^2+y^2=-b^2
$$
となる($c^2-a^2=b^2$)。両辺を $-b^2$ で割ると 2 を得る。
段 4(2 ⇒ 1:$\mathrm{PF}^2$ を計算する)。2 を仮定すると $y^2=\frac{b^2}{a^2}x^2-b^2$ である。$b^2=c^2-a^2$ を代入して
$$
\mathrm{PF}^2=x^2-2cx+c^2+\frac{c^2-a^2}{a^2}x^2-(c^2-a^2)=\frac{c^2}{a^2}x^2-2cx+a^2=(ex-a)^2
$$
である。同様に $\mathrm{PF}'^2=(ex+a)^2$ である。よって $\mathrm{PF}=|ex-a|$、$\mathrm{PF}'=|ex+a|$ である。
段 5(2 ⇒ 1:枝ごとに絶対値を外す)。2 から $\frac{x^2}{a^2}=1+\frac{y^2}{b^2}\ge1$ なので $|x|\ge a$ であり、$e>1$ から $e|x|\ge ea>a$ である。
thm-fdc-hyperbola の双曲線上の点 $\mathrm{P}$ について、直線 $\ell:x=\dfrac ae$ までの距離を $\mathrm{PH}$ とすると $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ である。$\mathrm{F}'$ と直線 $\ell':x=-\dfrac ae$ についても同様である。つまり双曲線は、焦点 $\mathrm{F}$、準線 $\ell$、離心率 $e=\frac ca>1$ の曲線である。
thm-fdc-hyperbola から $\mathrm{PF}=|ex-a|=e\bigl|x-\frac ae\bigr|$ であり($e>0$)、$\bigl|x-\frac ae\bigr|$ は点 $(x,y)$ と直線 $x=\frac ae$ の距離である。よって $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ である。$\mathrm{PF}'=|ex+a|=e\bigl|x+\frac ae\bigr|$ についても同じである。逆向き($\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を満たす点が双曲線上にあること)も thm-fdc-unified から分かる。焦点 $\mathrm{F}(c,0)$ と準線 $x=\frac ae$ の距離は $d=c-\frac ae=c-\frac{a^2}c=\frac{b^2}c$ で、$e=\frac ca$ と合わせて thm-fdc-unified の 3 に入れると $A=a$、$B=b$、$x_0=-c$ となる(準線は焦点の左にあり、向きも同じ)。$\square$
双曲線 $\frac{x^2}{4}-\frac{y^2}{5}=1$ 上の点 P$(4,\sqrt{15})$ で、2 つの焦点までの距離の差が $8-4=4$、焦点 F までの距離と準線 $x=\frac43$ までの距離の比が $4:\frac83=3:2$ になることを見る図。破線は漸近線。
楕円では $e<1$、双曲線では $e>1$ になった。放物線は定義から $e=1$ である。次の節では逆に、$e$ を与えて「$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$」から出発し、3 つの曲線がすべて現れることを示す。
焦点を原点 $\mathrm{F}(0,0)$ に、準線を $\ell:x=-d$($d>0$ は焦点と準線の距離)に置く。点 $\mathrm{P}(x,y)$ について $\mathrm{PF}=\sqrt{x^2+y^2}$、$\mathrm{PH}=|x+d|$ である。
$d>0$、$e>0$ とし、$\mathrm{F}(0,0)$、$\ell:x=-d$ とする。$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を満たす点 $\mathrm{P}(x,y)$ 全体は、次の曲線である。
方針:両辺を 2 乗して根号と絶対値を外し、$x$ について平方完成する。最後に、中心と焦点の位置を計算して、$\mathrm{F}$ が焦点、$e$ が離心率になっていることを確かめる。
段 1(2 乗する)。両辺は $0$ 以上なので、$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}\iff\mathrm{PF}^2=e^2\mathrm{PH}^2\iff x^2+y^2=e^2(x+d)^2$ である($|x+d|^2=(x+d)^2$)。右辺を展開して移項すると
$$
(1-e^2)x^2-2e^2dx+y^2=e^2d^2
$$
となる。
段 2($e=1$)。$x^2$ の項が消えて $-2dx+y^2=d^2$、すなわち $y^2=2dx+d^2=2d\bigl(x+\frac d2\bigr)$ である。これは放物線 $y^2=4pX$ で $p=\frac d2$、$X=x+\frac d2$ としたもので、頂点は $\mathrm{F}$ と $\ell$ の中点 $\bigl(-\frac d2,0\bigr)$ である。
段 3($e\ne1$:平方完成)。$1-e^2\ne0$ なので、$x$ の部分を平方完成する。$x_0:=\frac{e^2d}{1-e^2}$ とおくと
$$
(1-e^2)x^2-2e^2dx=(1-e^2)\bigl(x^2-2x_0x\bigr)=(1-e^2)(x-x_0)^2-(1-e^2)x_0^2
$$
であり、$(1-e^2)x_0^2=\frac{e^4d^2}{1-e^2}$ である。段 1 の式は
$$
(1-e^2)(x-x_0)^2+y^2=e^2d^2+\frac{e^4d^2}{1-e^2}=\frac{e^2d^2\bigl((1-e^2)+e^2\bigr)}{1-e^2}=\frac{e^2d^2}{1-e^2}
$$
となる。
段 4($0< e<1$)。$1-e^2>0$ なので、両辺を $\frac{e^2d^2}{1-e^2}>0$ で割ると
$$
\frac{(1-e^2)^2}{e^2d^2}(x-x_0)^2+\frac{1-e^2}{e^2d^2}y^2=1
$$
であり、これは $A=\frac{ed}{1-e^2}$、$B=\frac{ed}{\sqrt{1-e^2}}$ とした 2 の式である。さらに
$$
A^2-B^2=\frac{e^2d^2}{(1-e^2)^2}-\frac{e^2d^2(1-e^2)}{(1-e^2)^2}=\frac{e^4d^2}{(1-e^2)^2}=x_0^2
$$
なので $C=x_0$ である。楕円の中心は $(x_0,0)$ で、焦点は $(x_0\pm C,0)$、すなわち $(0,0)$ と $(2x_0,0)$ である。$\mathrm{F}(0,0)$ は焦点の 1 つであり、$\frac CA=\frac{e^2d}{1-e^2}\cdot\frac{1-e^2}{ed}=e$ である。
段 5($e>1$)。$1-e^2<0$ なので、段 3 の式の両辺に $-1$ を掛けて $(e^2-1)(x-x_0)^2-y^2=\frac{e^2d^2}{e^2-1}$ とし、右辺 $>0$ で割ると、$A=\frac{ed}{e^2-1}$、$B=\frac{ed}{\sqrt{e^2-1}}$ とした 3 の式を得る。$x_0=\frac{e^2d}{1-e^2}=-\frac{e^2d}{e^2-1}<0$ である。
$$
A^2+B^2=\frac{e^2d^2}{(e^2-1)^2}+\frac{e^2d^2(e^2-1)}{(e^2-1)^2}=\frac{e^4d^2}{(e^2-1)^2}=x_0^2
$$
なので $C=|x_0|=-x_0$ であり、焦点 $(x_0\pm C,0)$ の一方は $(x_0+C,0)=(0,0)=\mathrm{F}$ である。$\frac CA=\frac{e^2d}{e^2-1}\cdot\frac{e^2-1}{ed}=e$ である。
段 1〜5 の変形はすべて同値なので、定理が成り立つ。$\square$
$\mathrm{F}(0,0)$、$\ell:x=-3$($d=3$)とする(図 3 と同じ向きの置き方。図 3 は $d=1$)。
焦点 F$(0,0)$ と準線 $x=-1$ を共有し、離心率 $e$ だけを変えた曲線の族。$e=0.5$、$0.8$ は楕円、$e=1$ は放物線、$e=1.5$、$3$ は双曲線(2 つの枝は準線の両側に分かれる)であることを見る図。
cor-fdc-ellipse-directrix、cor-fdc-hyperbola-directrix と合わせると、次のことが分かる。
thm-fdc-unified では準線を $y$ 軸に平行に置いた。準線が斜めのときは、方程式に $xy$ の項が現れる。そのときの形の判定は、2 次形式の判別式で行う(2次曲線と2次形式、2次形式と2次曲線の判別式)。焦点と準線から作った曲線では、その判別式が離心率だけで決まる。この節の $A,B,C$ は方程式の 2 次の係数で、thm-fdc-unified の半軸 $A,B$ や中心と焦点の距離 $C$ とは関係ない。
直線 $\ell:ux+vy+w=0$($u^2+v^2=1$)と、$\ell$ 上にない点 $\mathrm{F}(p,q)$、$e>0$ をとる。$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を 2 乗して得られる方程式
$$
(x-p)^2+(y-q)^2=e^2(ux+vy+w)^2
$$
を $Ax^2+Bxy+Cy^2+Dx+Ey+G=0$ の形に整理すると、2 次の部分の判別式は
$$
B^2-4AC=4(e^2-1)
$$
である。したがって $B^2-4AC<0\iff e<1$、$=0\iff e=1$、$>0\iff e>1$ である。
段 1(点と直線の距離)。$u^2+v^2=1$ なので、点 $(x,y)$ と $\ell$ の距離は $\mathrm{PH}=\frac{|ux+vy+w|}{\sqrt{u^2+v^2}}=|ux+vy+w|$ である(点と直線の距離の公式)。両辺 $0$ 以上の $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を 2 乗すると、上の方程式になる。
段 2(2 次の項の係数)。左辺の 2 次の項は $x^2+y^2$ である。右辺の 2 次の項は $e^2(ux+vy)^2=e^2u^2x^2+2e^2uv\,xy+e^2v^2y^2$ である。右辺を左辺に移すと
$$
A=1-e^2u^2,\qquad B=-2e^2uv,\qquad C=1-e^2v^2
$$
である。
段 3(判別式の計算)。
$$
B^2-4AC=4e^4u^2v^2-4\bigl(1-e^2u^2-e^2v^2+e^4u^2v^2\bigr)=4\bigl(e^2(u^2+v^2)-1\bigr)=4(e^2-1)
$$
である。最後に $u^2+v^2=1$ を使った。符号についての主張は、$e>0$ から $e^2-1$ と $e-1$ の符号が同じであることによる。$\square$
焦点 $\mathrm{F}(0,0)$、準線 $\ell:x+y=2$ とする。$u=v=\frac1{\sqrt2}$、$w=-\sqrt2$ と正規化すると $\mathrm{PH}=\frac{|x+y-2|}{\sqrt2}$ である。
逆向きの主張、つまり「$B^2-4AC$ の符号で楕円・放物線・双曲線が決まる(退化しない場合)」は、回転で $xy$ の項を消す方法(主軸変換)で 2次曲線と2次形式 が証明している。prop-fdc-discriminant はその分類と離心率の分類が一致することを、係数の計算だけで確かめたものである。
定義の条件を外すと何が崩れるかを、表にまとめる。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 楕円で $2a>\mathrm{FF}'$ | 軌跡が楕円になること(線分または空集合になる) | ex-fdc-degenerate-sum |
| 双曲線で $2a<\mathrm{FF}'$ | 軌跡が双曲線になること(2 本の半直線または空集合) | ex-fdc-degenerate-difference |
| 双曲線の定義の絶対値 | 2 つの枝がそろうこと(片方の枝だけになる) | ex-fdc-degenerate-difference |
| 焦点が準線の上にない | thm-fdc-unified の曲線になること(直線・1 点・2 直線になる) | ex-fdc-focus-on-directrix |
| 円($c=0$) | 焦点と準線で表せること | ex-fdc-circle |
$\mathrm{F}(4,0)$、$\mathrm{F}'(-4,0)$($\mathrm{FF}'=8$)とする。
$\mathrm{F}(3,0)$、$\mathrm{F}'(-3,0)$($\mathrm{FF}'=6$)とする。
$\mathrm{F}(0,0)$、$\ell:x=0$ とし、焦点が準線の上にある場合($d=0$)に $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ を考える。2 乗すると $x^2+y^2=e^2x^2$、すなわち $(1-e^2)x^2+y^2=0$ である。
円 $x^2+y^2=r^2$ は、def-fdc-conics の 1 で 2 つの焦点を一致させた($c=0$)ものとみなせるが、焦点と準線の曲線(def-fdc-conics の 3)ではない。実際、thm-fdc-unified により $0< e<1$ の曲線は楕円で、$\frac BA=\sqrt{1-e^2}<1$ なので、長軸と短軸の長さが違う。したがって $\frac BA=1$ の円にはならない。また $e=1$ の曲線は放物線、$e>1$ の曲線は双曲線で、どちらも有界でない(原点からいくらでも遠い点を含む)ので、これも円にはならない。
ただし、円は焦点と準線の曲線の極限にはなる。$e\,d=r$ を保ったまま $e\to0$(準線を無限に遠ざける)とすると、$A=\frac{r}{1-e^2}\to r$、$B=\frac{r}{\sqrt{1-e^2}}\to r$、$x_0=\frac{er}{1-e^2}\to0$ となり、曲線は円 $x^2+y^2=r^2$ に近づく。この意味で、円は「離心率 $0$ の 2 次曲線」と呼ばれる。
焦点を原点に置いた thm-fdc-unified の置き方は、極座標 で書くと 1 本の式になる(高校数学の極座標と極方程式そのものは 極座標と極方程式 で扱う)。点 $\mathrm{P}$ の極座標を $(r,\theta)$ とすると、$x=r\cos\theta$、$\mathrm{PF}=r$ である。
$\mathrm{F}(0,0)$、$\ell:x=-d$($d>0$)、$e>0$ とする。準線に関して $\mathrm{F}$ と同じ側($x>-d$)にある点 $\mathrm{P}$ について、
$$
\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}\iff r=\frac{ed}{1-e\cos\theta}\quad(\text{ただし }1-e\cos\theta>0)
$$
である。$e\le1$ のときは、曲線全体が準線に関して $\mathrm{F}$ と同じ側にある。
段 1(同値)。$x>-d$ なので $\mathrm{PH}=x+d=r\cos\theta+d$ である。よって $\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}\iff r=e(r\cos\theta+d)\iff r(1-e\cos\theta)=ed$ である。右辺 $ed>0$、$r\ge0$ なので、この式が成り立てば $r>0$ かつ $1-e\cos\theta>0$ であり、両辺を $1-e\cos\theta$ で割って $r=\frac{ed}{1-e\cos\theta}$ を得る。逆も同じ式変形をさかのぼればよい。
段 2($e\le1$ の場合)。$\mathrm{P}(x,y)$ が $x\le-d$ にあるとする。このとき $\mathrm{PH}=|x+d|=-x-d$ である。一方 $\mathrm{PF}=\sqrt{x^2+y^2}\ge\sqrt{x^2}=|x|=-x$ なので、$\mathrm{PF}\ge-x=\mathrm{PH}+d>\mathrm{PH}$ である。$e\le1$ なら $e\cdot\mathrm{PH}\le\mathrm{PH}<\mathrm{PF}$ となり、$\mathrm{PF}=e\cdot\mathrm{PH}$ は成り立たない。よって $e\le1$ の曲線の点はすべて $x>-d$ にある。$\square$
Kepler の第 1 法則は「惑星の軌道は、太陽を 1 つの焦点とする楕円である」というものである(SH16 §7.5)。太陽を極に置くと、軌道は prop-fdc-polar の形 $r=\frac{ed}{1-e\cos\theta}$ で書ける(SH16 の定理 7.11 は同じ式を $r=\frac{ep}{1\pm e\cos\theta}$ などの形で述べている)。Newton の万有引力の法則と運動の第 2 法則を合わせて解くと、軌道はこの形の曲線(2 次曲線)になり、全エネルギーが負なら $e<1$(楕円または円)、$0$ なら $e=1$(放物線)、正なら $e>1$(双曲線)となる。この事実は本記事では証明しない。出典は LSM16 §13.5 である(同書の式 13.10 は、焦点を極として $\frac\alpha r=1+e\cos\theta$ の形で書いている)。3 種類の曲線を 1 つの式で表す離心率は、天体の運動を扱うための自然な言葉である。
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