最近の用語解説

最小重複度Cohen–Macaulay局所環

最小重複度Cohen–Macaulay局所環とは、d次元Cohen–Macaulay局所環のHilbert–Samuel重複度が、embedding codimension c=edim(R)−d に対するAbhyankarの下界 c+1 をちょうど達成する環である。残差体が無限なら、極大イデアルの最小還元 Q に対する m²=Qm で特徴づけられ、接錐のHilbert級数は (1+cz)/(1−z)^d になる。正則局所環だけでなく非Gorenstein環にも現れ、自由分解・Tor・Extの振る舞いが強く制約される。
7時間前

nearly Gorenstein環

nearly Gorenstein環とは、Cohen–Macaulay局所環の標準加群から環へのすべての準同型の像を足し合わせたcanonical traceが、極大イデアルを含む環である。canonical traceは非Gorenstein locusを切り出し、非Gorensteinのnearly Gorenstein環では極大イデアルそのものになる。Gorenstein環は常にこの条件を満たし、一次元ではalmost Gorenstein環から従うが、高次元や冪級数拡大では両概念を区別する必要がある。
7時間前

almost Gorenstein局所環

almost Gorenstein局所環とは、Cohen–Macaulay局所環をその標準加群へ埋め込んだとき、余核を生成元数と重複度が一致するUlrich加群にできる環である。Gorenstein環では余核が0になるが、almost Gorenstein環では制御された非零の余核を許す。一次元数値半群環などに非Gorensteinの例があり、正則元による商や次数付き版では追加条件を区別する必要がある。
7時間前

stretched Cohen–Macaulay局所環

stretched Cohen–Macaulay局所環とは、ある最小還元で割った非体Artin局所環において、極大イデアルの二乗が単項イデアルになるCohen–Macaulay局所環である。Artin還元のHilbert関数は平方零なら一次部分で止まり、それ以外では二次以降に1次元の層が細く続く。Gorenstein性とは独立で、Cohen–Macaulay型に応じて残差体と有限生成加群のPoincaré級数に明示的な共通分母をもつ。
7時間前

quasi-Gorenstein環

quasi-Gorenstein環とは、ネーター局所環のうち、最高次局所コホモロジーが剰余体の入射包と同型になる環である。標準加群が存在すれば、その条件は標準加群が環自身と同型になることに等しい。Gorenstein環と違ってCohen–Macaulay性を定義に含めないため、次元3以上では下位局所コホモロジーが残るquasi-Gorenstein環が存在する。
11時間前

一般化Cohen–Macaulay環

一般化Cohen–Macaulay環とは、正次元ネーター局所環のうち、最高次より下の局所コホモロジーがすべて有限長となる環である。Cohen–Macaulay環ではこれらが消滅するのに対し、一般化Cohen–Macaulay環は閉点に現れる欠陥の大きさを有限長に制限する。パラメータ・イデアルについて長さとHilbert–Samuel重複度の差が一様に有界であることでも特徴づけられ、十分深いパラメータ・イデアルではその差を下位局所コホモロジーの長さから計算できる。
12時間前

Buchsbaum環

Buchsbaum環(ブックスバウム環)とは、すべてのパラメータ系について、正則列からのずれを表すcolon加群が極大イデアルで消えるネーター局所環である。Cohen–Macaulay環を含む一方、非Cohen–Macaulayな例もあり、長さとHilbert–Samuel重複度の差がパラメータ・イデアルによらないことでも特徴づけられる。下位局所コホモロジーは極大イデアルで消えるが、この条件だけでは一般にBuchsbaum性を特徴づけない。
13時間前

超曲面局所環

超曲面局所環は、完備化が正則局所環を一つの本質的な非零方程式で割った商として表されるネーター局所環である。ここで真の超曲面とは、最小提示の方程式が極大イデアルの二乗に入り、埋込次元がKrull次元より1大きい非正則の場合をいう。超曲面局所環はGorensteinかつCohen–Macaulayで、その完備化上では有限生成加群の最小自由分解が十分高い次数から周期1または2になる。
13時間前

正則環

正則環は、すべての素イデアルでの局所化が正則局所環となるネーター環である。正則局所環では、極大イデアルの最小生成元数である埋込次元がKrull次元に一致し、剰余体が有限射影次元をもつこととも同値である。正則局所環はCohen–Macaulay環・一意分解整域・Gorenstein環となるが、一般の正則環全体が整域になるとは限らない。
13時間前

完全交叉局所環

完全交叉局所環は、極大イデアル進完備化が正則局所環を正則列で割った商として表されるネーター局所環である。正則列は各方程式が先行する方程式で割った商でも非零因子になることを要求し、その長さだけ次元が下がる。完全交叉局所環はGorensteinかつCohen–Macaulayであり、定義に現れるKoszul複体は商環の有限自由分解を与える。
14時間前

最近の参考書

ネットとフィルターによる位相空間論の表紙
ネットとフィルターによる位相空間論
旧Mathpediaの二つの完成稿を、原稿ごとの境界と番号体系を保って二部構成にした参考書である。第I部はネット、第II部はフィルターを用いて、閉包・連続性・Hausdorff性・コンパクト性・直積位相・Tychonoffの定理を並行して扱う。さらに、二つの定式化を往復するための編集補節を加えた。 【第I部・ネット】 本稿においては、ネットの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。ネットは単純に述べれば点列を一般化した概念である。位相空間論においてネットを用いるメリットは、位相的性質をネットの収束により直観的に扱うことが出来る点であり、複雑な関数空間の位相を取り扱う関数解析の議論においては頻繁に用いられる。点列は、距離空間に代表される第一可算空間における収束の問題を扱うのに十分有効であるが、関数解析学における弱位相、弱 $*$-位相のような第一可算性のない位相における収束の問題を扱う際、必ずしも十分ではない。しかし点列の収束をネットの収束に一般化することで、位相空間の可算性に関わらず点列による収束の議論と全く同様の議論が有効になる。また、ネットの概念を用いればある種の命題の証明がほとんど自明化されることもある。ネットはフィルターと同値な概念であり、同様にフィルターによる位相空間論も展開されるが、こちらは集合論の議論において用いられることが多い。本稿においてはネットによる閉性、連続性、Hausdorff 性、コンパクト性などの基本的な位相的性質の特徴付けを行う。また点列との対比のため可算性のある位相空間において、それらの点列による特徴付けを、実際に位相空間の可算性を用いて行う。そして最後にネットにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示す。 【第II部・フィルター】 本稿においては、フィルターの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。位相空間におけるフィルターは単純に述べれば点列を抽象化した概念である。位相空間論においてフィルターを用いるメリットは、位相的性質を収束を中心に扱うことと、超フィルターという強力な概念を駆使することで、収束に関わる性質(特に Hausdorff性 やコンパクト性)を上手く扱えることである。抽象的な位相空間を取り扱う一般位相の議論においては頻繁に用いられる。フィルターはネットと同値な概念であり、同様にネットによる位相空間論も展開されるが、こちらは関数解析の議論において用いられることが多い。本稿においてはフィルターによるコンパクト性やHausdorff 性などの基本的な位相的性質の特徴づけを行い、フィルターにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示すことを目標とする。
1日前
位相空間論の表紙
位相空間論
このテキストでは、現代数学のどの方面に進むにあたっても必要となる位相空間論の基本事項を、証明をつけた形で解説する。読者には、集合と写像の言葉への慣れを期待する。たとえば、和集合・共通部分などの集合の操作や、全射・単射・像・逆像などの概念には親しんでいるものとする。さらに、具体例を理解するためには、連続性の $\varepsilon$-$\delta$ 論法を用いた定義や、数列の収束の定義、実数の基本性質などを理解していることが望ましい。 現代数学では、点の集まりとしての集合に構造を付加することにより、多彩な概念を構成していく。例えば、代数学においては、集合に加法や乗法などの演算という構造を付加して群、環、体などといった概念を考える。位相空間は、集合にある種の構造を付加することで、写像の連続性や点列の収束など、ある種の「近さ」にまつわる議論を可能にしたものである。つまり、端的に言えば、位相空間とは「近さ」が定義される場所である。 座標平面 $\mathbb{R}^2$ の中には、我々が慣れ親しんだ数多くの図形、たとえば、線分、円、三角形、四角形がある。こうした図形には、自然に「近さ」の概念があると考えられるが、実際にこれらの図形は $\mathbb{R}^2$ からの相対位相という自然な方法で、位相空間とみなすことができる。しかし、図形を位相空間とみなすことは、同時に「近さ」以外の要素を捨象することでもある。その結果として、通常では同じとは思えない図形が、位相空間として同一(正式な用語では「同相」)となることがある。実際、いま述べた円、三角形、四角形はすべて互いに同相である。しかし、線分はこれらと同相ではない。このように、位相空間の立場では図形がかなり「粗く」分類されることになるが、この立場での図形の分類を目指す学問が位相幾何学である。 上に述べたことからも、位相空間論は幾何学の基礎として重要なことは推察されると思うが、位相空間論の重要性は幾何学に留まるものではない。数学の様々な分野で、直観的には図形とは思えない集合に位相空間の構造を与えることで、ある種の図形的考察が可能となる。一つ例を挙げれば、関数解析学においては、関数のなす集合に位相空間としての構造を与えることで「関数空間」をつくり、関数を点とする一種の図形として取り扱うことで解析学の問題解決に豊富な道具を提供している。
1日前
微分方程式の初歩の表紙
微分方程式の初歩
常微分方程式の初期値問題から、Sobolev空間版Gaussの発散定理、楕円型正則性、調和関数、Laplace–Poisson方程式、波動方程式へ進む。
1日前
Hilbert空間上の作用素論の表紙
Hilbert空間上の作用素論
有界・非有界作用素、射影値測度、スペクトル定理、極分解、直和・テンソル積、コンパクト作用素、摂動論、作用素イデアル、von Neumann環、解析ベクトルを体系的に扱う。
2日前
複素解析の基礎の表紙
複素解析の基礎
複素微分と正則関数、冪級数、複素線積分、Cauchy理論、Laurent展開と留数、複素Banach空間値正則関数までを扱う。
2日前
Euclid空間における微積分とベクトル解析の表紙
Euclid空間における微積分とベクトル解析
Euclid空間の多変数微分法から、Euclid空間内の多様体、微分形式、計量、Riemann測度、向き、Stokesの定理までを体系的に扱う。
2日前
測度と積分の表紙
測度と積分
測度空間論の基礎用語から、測度と積分の基本定理、$L^p$ 空間の完備性と双対性、局所コンパクトHausdorff空間上のRadon測度とLebesgue測度、Bochner積分へ進む。
2日前
位相線形空間と関数解析の基礎の表紙
位相線形空間と関数解析の基礎
ノルムと内積から、セミノルム位相・汎弱位相、Hahn–Banachの定理、Krein–Milmanの端点定理、Fréchet空間と関数解析の基本定理へ進む。
2日前
グラフ理論入門の表紙
グラフ理論入門
グラフ理論について基礎的な内容を解説する。
20231015
加法的整数論の表紙
加法的整数論
加法的整数論は、整数や自然数などの加法的な性質について扱う理論である。すなわち $\mathbb{Z}$, $\mathbb{N}$, より一般にある加法半群 $G$ の要素 $g$ を、$G$ の部分集合 $A_1, A_2, \ldots, A_k$ の要素の和 $$g=a_1+a_2+\ldots +a_k\ (a_i\in A_i)$$ としてあらわす方法について扱う理論である。 すべての自然数が$4$つの平方数の和であらわされるというLagrangeの定理、 $4$ 以上のすべての偶数が$2$つの素数の和であらわされるというGoldbachの予想、 与えられた数 $n$ 以下のすべての整数が、ある部分集合 $A$ について、一定の個数以下の $A$ の要素の和であらわされるとき、 そのような部分集合 $A$ で要素の数が可能な限り少ないものをもとめる郵便切手の問題などが加法的整数論で取り扱われる。
2023929

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