最近の用語解説

ハワイの耳飾り

ハワイの耳飾り(Hawaiian earring)とは、平面内で原点を共有しながら半径が0へ収束する可算個の円周の和集合である。コンパクトかつ局所弧状連結だが、原点のどの近傍も非自明な小円周を含むため半局所単連結でなく、通常の万有被覆をもたない。可算ウェッジとの位相の違いと、被覆空間論の仮定の必要性を示す標準的な反例である。
3分前

単項生成可換モノイド

単項生成可換モノイド(monogenic commutative monoid)とは、ただ1つの元の自然数倍ですべての元が得られる可換モノイドである。自然数の加法モノイドからの全射像として特徴づけられ、無限の場合は自然数モノイド、有限の場合は繰り返しが始まる指数と周期の組で分類される。自然数上の合同関係と分類定理を完全証明する。
15分前

整モノイド

整モノイド(integral monoid)とは、可換モノイドからその群化への自然な準同型が単射となる可換モノイドである。これは加法の消去律と同値であり、整モノイドは群の部分モノイドとして扱える。擬整性との違い、部分モノイドや直積による保存、冪等元による反例、任意の可換モノイドを普遍的に整化する整モノイド化を解説する。
23分前

可換モノイド

可換モノイド(commutative monoid)とは、結合的かつ可換な二項演算と単位元を備えた集合である。加法記法では単位元を $0$ と書き、自然数の加法や集合の合併が基本例となる。群とは異なり逆元を仮定せず、部分モノイド、生成系、単元、消去律、冪等元、合同関係、群化などを通じて構造を調べる。
33分前

可換モノイドの合同関係

可換モノイドの合同関係(congruence relation on a commutative monoid)とは、可換モノイド上の加法と両立する同値関係である。合同関係による商集合には自然に可換モノイド構造が入り、すべての合同関係は全射準同型の核合同関係として得られる。商の普遍性、第一同型定理、合同関係の生成を通じて、生成元と関係式による表示の基礎を与える。
42分前

可換モノイドの表示

可換モノイドの表示(presentation of a commutative monoid)とは、可換モノイドを生成元と関係式によって記述し、二つの自由可換モノイドの間の平行射の余等化子として表す方法である。任意の可換モノイドは表示をもち、有限表示なら有限生成である。さらにRédeiの定理により、可換モノイドでは有限生成性と有限表示性が同値になる。
51分前

可換モノイドの群化

可換モノイドの群化(group completion)とは、可換モノイド $M$ の元の形式差 $a-b$ を用いてアーベル群 $M^{\mathrm{gp}}$ を作る普遍構成である。$M$ から任意のアーベル群への準同型は $M^{\mathrm{gp}}$ を経由して一意に分解し、群化はアーベル群から可換モノイドへの忘却関手の左随伴を与える。自然写像 $M\to M^{\mathrm{gp}}$ が単射であることは $M$ の消去律と同値である。
58分前

自由可換モノイド

自由可換モノイド(free commutative monoid)とは、集合 $S$ の元を生成元とし、可換モノイドの公理以外の関係を課さずに作るモノイド $\mathbb N^{(S)}$ である。その元は $S$ 上の有限台をもつ非負整数値関数であり、$S$ から任意の可換モノイドへの写像は一意に準同型へ延長する。この構成は可換モノイドから集合への忘却関手の左随伴を与える。
1時間前

有限生成モノイド

有限生成モノイド(finitely generated monoid)とは、有限個の元の和で全要素を表せるモノイドである。可換の場合、これは有限階数の自由可換モノイド $\mathbb N^r$ の商であることと同値である。さらにRédeiの定理により、有限生成可換モノイドでは関係式も有限個に選べるため、有限表示をもつ。有限生成性は準同型像と有限直積で保たれる。
1時間前

シャープモノイド

シャープモノイド(sharp monoid)とは、加法記法の可換モノイド $P$ で単元群が $P^\times=\{0\}$ となるものである。一般の可換モノイドから単元をすべて零と同一視した商 $\overline P=P/P^\times$ はシャープになり、シャープモノイドへの任意の準同型はこの商を一意に経由する。$\mathbb N^r$ はシャープだが、アーベル群は零群でない限りシャープではない。sharp化はintegral・fine・saturatedという標準的条件を保つ。
1時間前

最近の参考書

Chern 類の公理的理論(Grothendieck「La théorie des classes de Chern」を読む)の表紙
Chern 類の公理的理論(Grothendieck「La théorie des classes de Chern」を読む)
本書は、A. Grothendieck の論文「La théorie des classes de Chern」(Bulletin de la Société Mathématique de France 第 86 巻、1958 年、137–154 頁)を道案内にして、代数的ベクトル束の Chern 類の公理的理論を解説する参考書である。原論文は Borel と Serre による Riemann–Roch の定理の解説論文の付録として書かれた 18 頁の短い論文で、非特異な代数多様体の上のベクトル束の Chern 類を、Grassmann 多様体を使わずに、射影束のサイクル類環の構造だけから定義し、関手性・正規化・加法性の三つの性質で一意に特徴づけた。Chow 環でも Hodge 型のコホモロジーでも整係数コホモロジーでも同じ議論が通るこの定式化は、その後の交叉理論と Riemann–Roch の定理の標準的な道具になった。 本書は原論文の翻訳ではない。原論文の節の順序ではなく、射影束と旗多様体による分裂、公理系とそのモデル、Chern 類の定義と特徴づけ、λ 環と Chow 環への応用、正則切断の零点サイクル、という主題ごとに五つの章を立て、現代の記号と言葉で書き直した。各頁は、その頁で示すこと、背景と動機、定義と準備、主結果と証明、例と反例、その後の発展、原論文との対応という同じ形で書いてある。 原論文は「いつものように旗多様体へ移って」「形式的に確かめられる」「ここでは証明しない」で多くの段を済ませている。本書はその段を補って証明を閉じ、各主張が、本書の中で証明し切れたもの(完結)、引用した定理に依るもの(条件付き)、証明を閉じられなかったもの(未完結)、そのままでは成り立たないもの(偽)のどれに当たるかを区別して示す。λ 環の構造を与える普遍多項式の存在、横断性の局所計算、Chow 環と $K$ 群の随伴次数付き環の比較の式は本書で補い、原論文が証明を与えない式は、後代の Chern 指標による説明と分けて扱う。 読むには、スキーム論と局所自由層、Chow 環と交叉理論の初歩、層コホモロジーの基本が要る。第 2 章の後半では Hodge 型のコホモロジーと Leray スペクトル系列が、第 4 章では Grothendieck 群と対称関数が加わる。すべてを先に学ぶ必要はない。分野ごとの要点、頁ごとに要る前提の対応表、読む順序の案は第 0 章の「本書の読み方」に、全頁に共通する記号と約束は「記号と約束」にまとめた。各章で何を扱い、原論文の何を補い、どこを直したかは、下の目次の各章の説明に書いた。
15時間前
代数的 de Rham コホモロジー(Grothendieck の de Rham コホモロジー論文を読む)の表紙
代数的 de Rham コホモロジー(Grothendieck の de Rham コホモロジー論文を読む)
本書は、A. Grothendieck の論文「On the de Rham cohomology of algebraic varieties」(Publications Mathématiques de l'IHÉS 第 29 巻、1966 年、95–103 頁)を道案内にして、代数的 de Rham コホモロジーの理論を解説する参考書である。原論文は M. F. Atiyah に宛てた 1963 年 10 月の書簡の抜粋に、同年 11 月と 1965 年 7 月の注を付けた 9 頁の短い論文で、複素数体上の非特異な代数多様体の複素係数コホモロジーが、代数的な微分形式の複体だけで計算できるという比較定理を示した。この定理は、Atiyah と Hodge の第二種積分の理論を純代数的なものに置き換え、Hodge–de Rham スペクトル系列、周期、Gauss–Manin 接続、標数 p の結晶コホモロジーへ続く道を開いた。 本書は原論文の翻訳ではない。書簡の順序ではなく、代数的 de Rham コホモロジーの定義、比較定理とその証明、第二種積分と周期、Hodge–de Rham スペクトル系列、相対 de Rham コホモロジーと標数 p、という主題ごとに五つの章を立て、現代の記号と言葉で書き直した。各頁は、その頁で示すこと、背景と動機、定義と準備、主結果と証明、例と反例、その後の発展、原論文との対応という同じ形で書いてある。 原論文は書簡なので、多くの段が「標準的な議論で」「容易に確かめられる」で済まされている。本書はその段を補って証明を閉じ、各主張が、本書の中で証明し切れたもの(完結)、引用した定理に依るもの(条件付き)、証明を閉じられなかったもの(未完結)、そのままでは成り立たないもの(偽)のどれに当たるかを区別して示す。原論文の後半にある期待や推測は、著者自身が注で撤回したもの(標数 p での Betti 数との一致は Serre の反例で破れる)と、後に定理になったもの(Gauss–Manin 接続、標数 p での退化)を分けて扱い、後代の結果は引用であることを明示する。 読むには、可換環論とホモロジー代数、スキーム論と連接層のコホモロジー、複素解析空間と GAGA の初歩が要る。第 3 章からは Hodge 理論と楕円曲線の周期、第 4 章と第 5 章ではアーベル多様体とエタールコホモロジーの初歩が加わる。すべてを先に学ぶ必要はない。分野ごとの要点、頁ごとに要る前提の対応表、読む順序の案は第 0 章の「本書の読み方」に、全頁に共通する記号と約束は「記号と約束」にまとめた。各章で何を扱い、原論文の何を補い、どこを直したかは、下の目次の各章の説明に書いた。
1日前
Brauer群の理論(GrothendieckのBrauer群 I–III を読む)の表紙
Brauer群の理論(GrothendieckのBrauer群 I–III を読む)
本書は、A. Grothendieck の連続講演「Le groupe de Brauer」I(Azumaya 代数)・II(コホモロジー論)・III(補足と計算)を道案内にして、スキームの Brauer 群の理論を解説する参考書である。I と II は Séminaire Bourbaki の 1964/65 年と 1965/66 年の講演で、III を加えた 3 篇が論文集『Dix exposés sur la cohomologie des schémas』(North-Holland・Masson、1968 年)に収められている。原論文は、体の中心単純環の同値類として古典的に定義されていた Brauer 群を、スキームの上の理論に作り直し、エタールコホモロジーの言葉で計算できるようにして、双対性と双有理不変量へつないだ。 本書は原論文の翻訳ではない。原論文の節の順序ではなく、Azumaya 代数、コホモロジー的 Brauer 群、低次元の計算、fppf 位相、純性と双有理不変性、双対性、高次の双有理不変量と予想、という主題ごとに七つの章を立て、現代の記号と言葉で書き直した。各頁は、その頁で示すこと、背景と動機、定義と準備、主結果と証明、例と反例、その後の発展、原論文との対応という同じ形で書いてある。 原論文は、当時の読者が EGA と SGA 4 を手元に置いていることを前提に、多くの段を「よく知られている」「直ちに分かる」で済ませている。本書はその段を補って証明を閉じ、各主張が、本書の中で証明し切れたもの(完結)、引用した定理や仮定に依るもの(条件付き)、証明を閉じられなかったもの(未完結)、印字のままでは成り立たないもの(偽)のどれに当たるかを区別して示す。エタールコホモロジーの基本定理、曲面の交叉理論、Weil 予想の Deligne による証明など、外部から引く結果は引用であることを明示し、各頁の末尾に原論文の番号と頁との対応表を置く。 読むには、可換環論、ホモロジー代数、スキーム論、層とエタールコホモロジー、Galois コホモロジーと類体論の初歩が要る。第 2 章の後半からは代数曲面と ℓ 進の道具が、第 7 章の最後では Hodge 理論の初歩が加わる。すべてを先に学ぶ必要はない。分野ごとの要点、頁ごとに要る前提の対応表、読む順序の案、全頁に共通する記号と約束は、最初の章の頁「前提知識と読み方」にまとめた。各章で何を扱い、原論文の何を補い、どこを直したかは、下の目次の各章の説明に書いた。
3日前
ネットとフィルターによる位相空間論の表紙
ネットとフィルターによる位相空間論
旧Mathpediaの二つの完成稿を、原稿ごとの境界と番号体系を保って二部構成にした参考書である。第I部はネット、第II部はフィルターを用いて、閉包・連続性・Hausdorff性・コンパクト性・直積位相・Tychonoffの定理を並行して扱う。さらに、二つの定式化を往復するための編集補節を加えた。 【第I部・ネット】 本稿においては、ネットの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。ネットは単純に述べれば点列を一般化した概念である。位相空間論においてネットを用いるメリットは、位相的性質をネットの収束により直観的に扱うことが出来る点であり、複雑な関数空間の位相を取り扱う関数解析の議論においては頻繁に用いられる。点列は、距離空間に代表される第一可算空間における収束の問題を扱うのに十分有効であるが、関数解析学における弱位相、弱 $*$-位相のような第一可算性のない位相における収束の問題を扱う際、必ずしも十分ではない。しかし点列の収束をネットの収束に一般化することで、位相空間の可算性に関わらず点列による収束の議論と全く同様の議論が有効になる。また、ネットの概念を用いればある種の命題の証明がほとんど自明化されることもある。ネットはフィルターと同値な概念であり、同様にフィルターによる位相空間論も展開されるが、こちらは集合論の議論において用いられることが多い。本稿においてはネットによる閉性、連続性、Hausdorff 性、コンパクト性などの基本的な位相的性質の特徴付けを行う。また点列との対比のため可算性のある位相空間において、それらの点列による特徴付けを、実際に位相空間の可算性を用いて行う。そして最後にネットにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示す。 【第II部・フィルター】 本稿においては、フィルターの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。位相空間におけるフィルターは単純に述べれば点列を抽象化した概念である。位相空間論においてフィルターを用いるメリットは、位相的性質を収束を中心に扱うことと、超フィルターという強力な概念を駆使することで、収束に関わる性質(特に Hausdorff性 やコンパクト性)を上手く扱えることである。抽象的な位相空間を取り扱う一般位相の議論においては頻繁に用いられる。フィルターはネットと同値な概念であり、同様にネットによる位相空間論も展開されるが、こちらは関数解析の議論において用いられることが多い。本稿においてはフィルターによるコンパクト性やHausdorff 性などの基本的な位相的性質の特徴づけを行い、フィルターにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示すことを目標とする。
16日前
位相空間論の表紙
位相空間論
このテキストでは、現代数学のどの方面に進むにあたっても必要となる位相空間論の基本事項を、証明をつけた形で解説する。読者には、集合と写像の言葉への慣れを期待する。たとえば、和集合・共通部分などの集合の操作や、全射・単射・像・逆像などの概念には親しんでいるものとする。さらに、具体例を理解するためには、連続性の $\varepsilon$-$\delta$ 論法を用いた定義や、数列の収束の定義、実数の基本性質などを理解していることが望ましい。 現代数学では、点の集まりとしての集合に構造を付加することにより、多彩な概念を構成していく。例えば、代数学においては、集合に加法や乗法などの演算という構造を付加して群、環、体などといった概念を考える。位相空間は、集合にある種の構造を付加することで、写像の連続性や点列の収束など、ある種の「近さ」にまつわる議論を可能にしたものである。つまり、端的に言えば、位相空間とは「近さ」が定義される場所である。 座標平面 $\mathbb{R}^2$ の中には、我々が慣れ親しんだ数多くの図形、たとえば、線分、円、三角形、四角形がある。こうした図形には、自然に「近さ」の概念があると考えられるが、実際にこれらの図形は $\mathbb{R}^2$ からの相対位相という自然な方法で、位相空間とみなすことができる。しかし、図形を位相空間とみなすことは、同時に「近さ」以外の要素を捨象することでもある。その結果として、通常では同じとは思えない図形が、位相空間として同一(正式な用語では「同相」)となることがある。実際、いま述べた円、三角形、四角形はすべて互いに同相である。しかし、線分はこれらと同相ではない。このように、位相空間の立場では図形がかなり「粗く」分類されることになるが、この立場での図形の分類を目指す学問が位相幾何学である。 上に述べたことからも、位相空間論は幾何学の基礎として重要なことは推察されると思うが、位相空間論の重要性は幾何学に留まるものではない。数学の様々な分野で、直観的には図形とは思えない集合に位相空間の構造を与えることで、ある種の図形的考察が可能となる。一つ例を挙げれば、関数解析学においては、関数のなす集合に位相空間としての構造を与えることで「関数空間」をつくり、関数を点とする一種の図形として取り扱うことで解析学の問題解決に豊富な道具を提供している。
16日前
微分方程式の初歩の表紙
微分方程式の初歩
常微分方程式の初期値問題から、Sobolev空間版Gaussの発散定理、楕円型正則性、調和関数、Laplace–Poisson方程式、波動方程式へ進む。
16日前
Hilbert空間上の作用素論の表紙
Hilbert空間上の作用素論
有界・非有界作用素、射影値測度、スペクトル定理、極分解、直和・テンソル積、コンパクト作用素、摂動論、作用素イデアル、von Neumann環、解析ベクトルを体系的に扱う。
16日前
複素解析の基礎の表紙
複素解析の基礎
複素微分と正則関数、冪級数、複素線積分、Cauchy理論、Laurent展開と留数、複素Banach空間値正則関数までを扱う。
17日前
Euclid空間における微積分とベクトル解析の表紙
Euclid空間における微積分とベクトル解析
Euclid空間の多変数微分法から、Euclid空間内の多様体、微分形式、計量、Riemann測度、向き、Stokesの定理までを体系的に扱う。
17日前
測度と積分の表紙
測度と積分
測度空間論の基礎用語から、測度と積分の基本定理、$L^p$ 空間の完備性と双対性、局所コンパクトHausdorff空間上のRadon測度とLebesgue測度、Bochner積分へ進む。
17日前

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