Tonelliの定理(Tonelli's theorem)とは、σ-有限な測度空間 $(X,\mu)$、$(Y,\nu)$ の積の上の、積 σ-代数について可測な関数 $f\colon X\times Y\to[0,\infty]$ について、内側の積分が外側の変数の可測関数になり、積測度についての積分が 2 通りの順序の累次積分のどちらとも(値が $\infty$ の場合も含めて)等しい、という定理である。可積分性の仮定は要らず、数え上げ測度に当てると、非負の項の二重級数の和の順序を入れ替えてよいことが従う。符号の変わる関数では、絶対値にこの定理を当てて積分の有限性を確かめてから Fubini の定理を使う。非負性・σ-有限性・積 σ-代数についての可測性のどれを外しても、2 つの累次積分が一致しない例がある。
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特異ホモロジー(singular homology)とは、位相空間 $X$ の特異単体(標準単体 $\Delta^n$ からの連続写像)を基底とする自由アーベル群に、面の交代和で境界作用素を入れた特異鎖複体のホモロジー群 $H_n(X)$ である。連続写像は準同型を誘導し、$H_n$ は位相空間の圏からアーベル群の圏への関手になる。$H_0(X)$ は弧状連結成分ごとの $\mathbb{Z}$ の直和、一点では $n\neq0$ で $H_n=0$ であり、弧状連結な空間では $H_1(X)$ は基本群のアーベル化に一致する。ホモトピー不変性・対の長完全列・切除を満たす通常ホモロジー理論で、アーベル群 $G$ を係数とする $H_n(X;G)$ は普遍係数定理により整数係数の群から計算できる。
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Fubiniの定理(Fubini's theorem)とは、2 つの σ-有限な測度空間の直積の上の積測度についての積分が、2 通りの順序の累次積分に等しいという定理である。非負の可測関数については無条件に成り立ち(Tonelli の定理)、符号の変わる関数については絶対値の積分が有限であれば成り立つ。積測度は長方形 $A\times B$ に $\mu(A)\nu(B)$ を割り当てるただ 1 つの測度で、$\mathbb{R}^{p+q}$ の Lebesgue 測度は Borel 集合の上で $\mathbb{R}^p$ と $\mathbb{R}^q$ の Lebesgue 測度の積測度である。系として、積測度の零集合はほとんどすべての切り口が零集合である集合として判定できる。σ-有限性や絶対可積分性を外すと、2 つの累次積分は一致しなくなる。
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特異コホモロジー(singular cohomology)とは、位相空間 $X$ の特異単体(標準単体からの連続写像)が生成する特異鎖複体 $C_\bullet(X)$ にアーベル群 $A$ への準同型をとって得られる余鎖複体 $\operatorname{Hom}(C_\bullet(X),A)$ のコホモロジー $H^n(X;A)$ である。任意の位相空間に対して定まり、連続写像で反変に引き戻され、ホモトピー不変で、対の長完全列と Mayer–Vietoris 完全列をもつ。カップ積により次数付き可換環になり、閉多様体では Poincaré 双対、可微分多様体では de Rham の定理、局所可縮なパラコンパクト空間では定数層の層コホモロジーとの一致が成り立つ。球面・トーラス・射影空間の計算がその典型例であり、Warsaw 円のような局所可縮でない空間では Čech コホモロジーと食い違う。
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正則スキーム(regular scheme)とは、局所 Noether なスキームで、すべての点の局所環が正則局所環(Krull 次元と極大イデアルの最小生成元数が一致する Noether 局所環)であるものをいう。体上の多様体の非特異性を基礎体を使わずに局所環で述べたもので、$\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ や $\mathbb{P}^n_{\mathbb{Z}}$ のように体の上にないスキームにも使える。正則スキームは正規で局所分解的であり、Noether で連結なら整で、Noether・整・分離的なら因子類群と Picard 群が一致する。体上滑らかなスキームは正則であり、完全体の上では逆も成り立つが、完全体でない体の上では正則だが滑らかでない曲線がある。
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入射加群(injective module)とは、環 $R$ 上の加群 $E$ で、部分加群から $E$ への準同型がつねに全体へ延びるもの、すなわち $\operatorname{Hom}_R(-,E)$ が完全になるものである。それを含む加群の直和因子にいつもなること、$\operatorname{Ext}^1_R(-,E)=0$ と同値で、Baer の判定法により左イデアルからの延長を確かめれば足りる。可換環の上では平坦加群の $\mathbb Q/\mathbb Z$ への双対が入射的である。可換 Noether 環の上では素イデアル $\mathfrak p$ についての $\operatorname{Ext}^1_R(R/\mathfrak p,E)$ の消滅で判定でき、局所化と直和で保たれ、$E(R/\mathfrak p)$ たちの直和に分かれる。
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Hodge指数定理(Hodge index theorem)とは、代数閉体上の滑らかで連結な射影曲面 $X$ の豊富な因子 $H$ と、$D\cdot H=0$ をみたし数値的に $0$ と同値でない因子 $D$ について、自己交点数が $D^2<0$ となるという定理である。言い換えると、数値的同値類の群を実数係数に広げた空間の上で、交点形式は符号 $(1,\rho-1)$ をもつ($\rho$ は Picard 数)。曲面の Riemann–Roch の定理から任意の標数で証明でき、$(D^2)(H^2)\le(D\cdot H)^2$ という逆向きの Cauchy–Schwarz 不等式を与える。曲線の積に当てると、有限体上の曲線の有理点の個数についての Weil の評価が導かれる。
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Hilbert多項式(Hilbert polynomial)とは、体上の射影スキーム $X$ と非常に豊富な可逆層 $\mathcal{O}_X(1)$ を固定したとき、連接層 $\mathcal{F}$ について Euler 標数 $\chi(\mathcal{F}(n))$ にすべての整数 $n$ で一致する多項式 $P_{\mathcal{F}}$ のことである。$n$ が十分大きければ $P_{\mathcal{F}}(n)$ は大域切断の空間の次元に等しく、$\mathcal{F}\ne0$ ならその次数は台の次元に等しい。$\mathcal{F}=\mathcal{O}_X$ のときは先頭の係数から $X$ の次数が、定数項から算術種数が読み取れ、Noether 整スキームを底とする平坦な族ではファイバーの Hilbert 多項式が一定になる。
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完備局所環(complete local ring)とは、局所環 $(A,\mathfrak m)$ で自然な写像 $A\to\varprojlim_n A/\mathfrak m^n$ が同型になるもの、すなわち極大イデアルの冪で測る位相について分離かつ完備なものである。形式的冪級数環や $p$ 進整数環が代表例で、Noether 局所環の完備化はつねに完備 Noether 局所環になる。完備 Noether 局所環の上では有限生成加群はすべて完備で部分加群は閉じており、冪等元が剰余環から持ち上がるので有限代数は完備局所環の直積に分かれ、共通部分が零のイデアルの減少列は極大イデアルの冪に追いつく。完備 Noether 局所環は Cohen の構造定理により形式的冪級数環の剰余環として書け、Hensel の補題や優秀性をもつので、局所環の問題を調べる基本の舞台になる。
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正則局所環(regular local ring)とは、Noether 局所環 $(A,\mathfrak{m},k)$ で Krull 次元 $\dim A$ と埋め込み次元 $\dim_k\mathfrak{m}/\mathfrak{m}^2$ が一致するもの、すなわち極大イデアルが $\dim A$ 個の元で生成されるものである。非特異点の局所環を一般化した概念で、随伴次数環が多項式環になること、剰余体の射影次元が有限であることと同値である。正則局所環は整域・一意分解整域・Cohen–Macaulay・正規で、局所化も正則である。$k[\![x_1,\dots,x_n]\!]$、$\mathbb{Z}_p$、離散付値環が代表例で、尖点 $y^2=x^3$ の原点の局所環は正則でない。各点の局所環が正則なスキームを正則スキームといい、完全体上局所有限型なら滑らかさと同値である。
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