アデール(adele)とは、代数体 $K$ のすべての素点 $v$ での完備化 $K_v$ の元の組 $(x_v)_v$ で、有限個を除くすべての有限素点で $x_v$ が整数環 $\mathcal{O}_v$ に属するものをいう。その全体 $\mathbb{A}_K$ は、$\mathcal{O}_v$ に関する制限直積位相について局所コンパクトな位相環になり、アデール環と呼ばれる。$K$ は対角に埋め込まれて $\mathbb{A}_K$ の離散部分環になり、商 $\mathbb{A}_K/K$ はコンパクトである($\mathbb{Z}\subset\mathbb{R}$ と $\mathbb{R}/\mathbb{Z}$ の類似)。$0$ でない $x\in K$ は積公式 $\prod_v\lvert x\rvert_v=1$ を満たす。
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特異値分解(singular value decomposition)とは、任意の $m\times n$ 複素行列 $A$ をユニタリ行列 $U$、$V$ と、非負の数 $\sigma_1\ge\sigma_2\ge\cdots$ を対角に並べた行列 $\Sigma$ によって $A=U\Sigma V^*$ と書くことであり、$\sigma_i$ は $A^*A$ の固有値の平方根で $A$ の特異値と呼ばれる。分解は $A^*A$ のスペクトル定理から存在し、特異値は一意に決まる。正の特異値の個数は階数に等しく、最大の特異値は作用素ノルム、特異値の 2 乗和は Frobenius ノルムの 2 乗であり、上位 $k$ 個の項で打ち切った行列は作用素ノルムで最良の階数 $k$ 以下の近似になる。極分解、条件数、Moore–Penrose 逆行列、低階数近似の基礎となる分解である。
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Gysin列(Gysin sequence)とは、向き付けられた階数 $n$ の実ベクトル束の球面束 $p\colon S\to M$ について、$H^q(M)\to H^q(S)\to H^{q-n+1}(M)\to H^{q+1}(M)\to\cdots$ と続く長完全列で、写像は引き戻し、ファイバーに沿った積分、Euler 類を掛ける写像(符号を除く)である。de Rham コホモロジーでは大域角形式を使って全空間の複体を底空間の 2 つの複体と比べて示され、整数係数の特異コホモロジーでは Thom 同型と対の長完全列から得られる。Euler 類が $0$ なら列は短完全列に分かれ、複素射影空間のコホモロジー環の計算などに使われる。
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行列式束(determinant line bundle)とは、階数 $r$ のベクトル束 $E$ の各ファイバーの最高次の外冪を集めた直線束 $\det E=\bigwedge^rE$ であり、$E$ の変換関数が $g_{\alpha\beta}$ なら変換関数は $\det g_{\alpha\beta}$ である。直和・双対・テンソル積・引き戻しと両立し、短完全列では $\det E\cong\det E'\otimes\det E''$ となる。パラコンパクト Hausdorff 空間の上の実ベクトル束が向き付け可能であることは行列式束が自明であることと同値で、複素ベクトル束では $c_1(\det E)=c_1(E)$ が成り立つ。標準束や曲線の上のベクトル束の次数の定義に使われる。
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Riemannの拡張定理(Riemann's extension theorem)とは、開集合 $U$ から 1 点 $p$ を除いた $U\setminus\{p\}$ 上の正則関数 $F$ が $p$ の近傍で有界ならば、$F$ は $p$ で極限を持ち $U$ 全体の正則関数に一意に拡張されるという定理であり、除去可能特異点定理とも呼ばれる。$(z-p)^2F(z)$ が $U$ 上正則で、その Taylor 展開が $(z-p)^2$ で割り切れることから従う。有界性は $\lim_{z\to p}(z-p)F(z)=0$ や Laurent 展開に負冪がないことと同値で、孤立特異点を除去可能特異点・極・真性特異点に分類する出発点になる。Riemann 面上でも成り立ち、有界な整関数の Riemann 球面への拡張は Liouville の定理の証明に使われる。
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Fréchet空間(Fréchet space)とは、局所凸で距離化可能かつ完備な位相ベクトル空間のことである。位相は点を分ける可算個の半ノルム $p_1,p_2,\dots$ で定まり、$d(x,y)=\sum_k2^{-k}p_k(x-y)/(1+p_k(x-y))$ が位相を与える平行移動不変な距離になる。Banach空間のほか、開集合上の連続関数や滑らかな関数の空間、正則関数の空間、Schwartz空間 $\mathcal{S}(\mathbb{R}^n)$ が例であり、滑らかな関数の空間や $\mathcal{S}(\mathbb{R}^n)$ の位相はどのノルムからも生じない。完備距離空間なのでBaireの定理が使え、Fréchet空間から局所凸空間への連続線形写像の族は各点で有界なら同程度連続で、連続線形写像の各点収束極限は連続になる。
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Bernoulli多項式(Bernoulli polynomials)とは、$te^{xt}/(e^t-1)=\sum_nB_n(x)t^n/n!$ の係数として定まる有理数係数の多項式 $B_n(x)$ のことで、$B_n(0)$ が Bernoulli 数 $B_n$ である。差分 $B_n(x+1)-B_n(x)=nx^{n-1}$、微分 $B_n'=nB_{n-1}$、$\int_0^1B_n=0$($n\ge1$)をみたし、後の 2 つと $B_0=1$ で一意に決まる。差分の式から冪の和の Faulhaber の公式が従う。周期的に延ばした $B_n$($n\ge1$)の $k$ 番目($k\ne0$)の Fourier 係数は $-n!/(2\pi ik)^n$ で、$\zeta(2m)$ の値や Euler–Maclaurin の公式の誤差の評価に使われる。
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曲率形式(curvature form)とは、主 $G$ 束の接続形式 $\omega$ の外微分を水平方向に制限した Lie 環 $\mathfrak g$ 値の 2 形式 $\Omega$ のことである。構造方程式 $\Omega=d\omega+\frac12[\omega\wedge\omega]$ を満たし、水平で随伴表現により変換するので、随伴束に値をもつ底空間上の 2 形式(局所的には $F=dA+\frac12[A\wedge A]$)として定まる。Bianchi の恒等式 $D\Omega=0$ が成り立ち、同伴ベクトル束では接続の曲率を与える。曲率は水平分布の積分可能性の障害で、平坦であることは局所定数な変換関数をもつことと同値であり、単連結な底空間の上の平坦な接続は自明な接続と同型である。Hopf 束の曲率の積分から Hopf 束が自明でないことが従う。
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完全な理論(complete theory)とは、一階の文の集合 $T$ であって、モデルをもち、言語のどの文 $\sigma$ についても $\sigma$ かその否定のどちらかが $T$ の帰結になるもののことである。これは $T$ のすべてのモデルが初等同値であること、また帰結の全体が 1 つのモデル $M$ の理論 $\operatorname{Th}(M)$ に一致することと同値であり、構造の理論はつねに完全である。完全性は Łoś–Vaught の判定法や量化記号消去によって示され、端点のない稠密な全順序、標数を定めた代数閉体、実閉体、捩れのない自明でない可除群の理論などが完全である。決定可能な公理系をもつ完全な理論は決定可能であり、この事実は Gödel の不完全性定理と結びついている。
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Jannsenの定理(Jannsen's semisimplicity theorem)とは、体 $k$ 上の滑らかな射影多様体の純粋モチーフの圏が、$\mathbb{Q}$ 係数の代数的サイクルを適切な同値関係 $\sim$ で割って作るとき、半単純アーベル圏になるのは $\sim$ が数値的同値のときであり、またそのときに限るという定理である。各多様体の対応の代数が有限次元半単純であることとも同値である。数値的同値の場合の半単純性は、Weil コホモロジー上の超跡と、自己準同型環がすべて半単純な擬アーベル圏は半単純アーベル圏であるという補題から従い、Grothendieck の標準予想を仮定しない。ホモロジー同値で割った圏が半単純アーベル圏であることは、それが数値的同値と一致するという標準予想と同値になる。
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