最近の用語解説

ウェッジ和(単体的集合)

ウェッジ和(単体的集合)(wedge sum of simplicial sets)とは、点付き単体的集合の族に対し、各次数で単体の直和をとり基点から定まる単体だけを一点に同一視して得られる点付き単体的集合のことである。面写像・退化写像は成分ごとに定まり、この構成は点付き単体的集合の圏における余積になるので、点付き同型を除いて結合的・可換で一点単体的集合を単位に持つ。有限族で各成分の非退化単体が有限個のとき、非退化単体の個数は $1$ 次以上では各成分の総和、$0$ 次では総和から成分の個数より $1$ 少ない数を引いた個数である。幾何学的実現は左随伴なので余極限を保ち、実現は位相空間のウェッジ和と点付き同相になる。
3時間前

ウェッジ和

ウェッジ和(wedge sum)とは、点付き空間の族 $\{(X_i,x_i)\}$ の直和において基点全体を一点に潰して得られる点付き空間 $\bigvee_i(X_i,x_i)$ のことであり、一点和・楔和ともいう。各成分は像への同相写像でウェッジ和に埋め込まれ、相異なる成分の像は基点だけで交わる。ウェッジ和は点付き空間の圏における余積であり、この普遍性から、基点を保つ同相を除いて結合的・可換であって一点空間を単位に持つ。各成分が $T_1$ 空間で基点以外の点を持つとき可算無限ウェッジ和はコンパクトでなく、コンパクトな Hawaiianイヤリングとは同相でない。
3時間前

擬コンパクト空間

擬コンパクト空間(pseudocompact space)とは、その上の実数値連続関数がすべて有界であるような位相空間のことである。可算コンパクト空間は擬コンパクトであり、擬コンパクト空間の連続像も擬コンパクトである。逆は一般には成り立たず、非可算集合に余可算位相を入れた空間は、連続関数がすべて定数なので擬コンパクトであるが可算コンパクトではない。$T_1$ かつ正規な空間では、Tietze の拡張定理により擬コンパクト性と可算コンパクト性は同値になる。
4時間前

自明群

自明群(trivial group)とは、単位元だけからなる群、すなわち位数 $1$ の群のことである。位数 $1$ の群は互いに一意な同型写像で同型なので、自明群は同型を除いて一意に定まり、$1$ や $\{e\}$、加法的には $0$ と書かれる。位数 $1$ の巡回群 $C_1$、対称群 $S_0$・$S_1$、交代群 $A_2$、$GL_1(\mathbb{F}_2)$、任意の体上の $SL_1(K)$・$PGL_1(K)$ はいずれも自明群と同型である。自明群は任意の群の部分群であり、群の圏の始対象かつ終対象(零対象)であり、準同型の核が自明であることは単射性と同値である。
4時間前

Knaster–Tarskiの定理

Knaster–Tarski の定理(Knaster–Tarski theorem)とは、完備束 $L$ 上の単調写像 $\varphi$ が最小不動点と最大不動点を持ち、最小不動点は前不動点 $\{x\mid\varphi(x)\le x\}$ 全体の下限、最大不動点は後不動点 $\{x\mid x\le\varphi(x)\}$ 全体の上限で与えられるという定理である。証明は完備性と単調性だけを用い、位相や連続性を使わない。さらに不動点全体はそれ自身完備束をなし、前不動点は最小不動点以上であるという性質が、冪集合上の帰納的定義とその帰納法の原理を支える。整数上の $x\mapsto x+1$ や $[0,1]$ 上の単調でない写像は不動点を持たず、完備性と単調性のどちらも落とせない。
4時間前

コゼロ集合

コゼロ集合(cozero set)とは、位相空間 $X$ 上の連続関数 $f\colon X\to[0,1]$ によって $\{x\mid f(x)\neq0\}$ と書ける部分集合のことであり、その補集合 $\{x\mid f(x)=0\}$ を零集合という。コゼロ集合は開集合かつ閉集合の可算和、零集合は閉集合かつ開集合の可算共通部分であり、コゼロ集合の全体は有限個の共通部分と可算個の合併について閉じ、$X$ を覆う二つのコゼロ集合は一つの連続関数で同時に切り出せる。距離空間ではすべての開集合がコゼロ集合であり、空間が完全正則であることはコゼロ集合が開基をなすことと同値である。一方、順序数空間 $[0,\omega_1]$ の開集合 $[0,\omega_1)$ はコゼロ集合でない。
4時間前

細分

細分(refinement)とは、位相空間の被覆 $\mathcal{U}$ に対し、各成員が $\mathcal{U}$ のある成員に含まれるような被覆 $\mathcal{V}$ のことである。部分被覆は細分だが逆は成り立たず、細分の関係は被覆全体の上の前順序を定め、二つの被覆の共通細分は両方の細分になる。コンパクト性は任意の開被覆が有限な細分を持つこと、Lindelöf 性は可算な細分を持つことと同値であり、細分は元の被覆と同じ添字を持つ形に直すことができて局所有限性は保たれる。空でないコンパクト距離空間では任意の開被覆が Lebesgue 数 $\delta$ を持ち、半径 $\delta$ の開球全体はその細分になるほか、局所有限な開細分はパラコンパクト空間の、細分の位数は被覆次元の定義に用いられる。
9時間前

開被覆

開被覆(open cover)とは、位相空間 $X$ の開集合の族であって、その合併が $X$ 全体になるもののことであり、開被覆の部分族で再び被覆になるものを部分被覆という。開被覆には、有限、可算、点有限(各点を含む成員が有限個)、局所有限(各点のある近傍と交わる成員が有限個)、星状有限(各成員と交わる成員が有限個)の条件があり、有限 ⇒ 星状有限 ⇒ 局所有限 ⇒ 点有限 が成り立つが逆は成り立たない。任意の開被覆が有限部分被覆・可算部分被覆を持つ空間がコンパクト・Lindelöf 空間、星状有限・局所有限・点有限な開細分を持つ空間が強パラコンパクト・パラコンパクト・メタコンパクト空間であり、コンパクト ⇒ 強パラコンパクト ⇒ パラコンパクト ⇒ メタコンパクト が成り立つ。第二可算空間は Lindelöf であり、局所有限な族の合併の閉包は閉包の合併に等しい。
9時間前

可算コンパクト空間

可算コンパクト空間(countably compact space)とは、任意の高々可算な開被覆が有限な部分被覆を持つ位相空間のことである。可算コンパクト性は、空でない閉集合の減少列の共通部分が空でないこと、および任意の点列が集積点を持つことと同値である。コンパクト空間と点列コンパクト空間は可算コンパクトであり、可算コンパクト空間の閉部分集合は可算コンパクト、Lindelöf 空間では可算コンパクト性とコンパクト性が一致する。実数直線や離散空間 $\mathbb{N}$ は可算コンパクトでなく、第一非可算順序数 $\omega_1$ に順序位相を入れた空間は可算コンパクトだがコンパクトでない。
11時間前

3次の対称群

$3$ 次の対称群(symmetric group of degree 3)$S_3$ とは、$3$ 点の置換全体がなす位数 $6$ の群である。$3$-サイクル $a$ と互換 $x$ により元は $a^ix^j$ と一意に書け、$a^3=x^2=e$、$xax^{-1}=a^{-1}$ を満たす。位数最小の非アーベル群であり、位数 $6$ の群は $\mathbb{Z}/6\mathbb{Z}$ か $S_3$ に同型で、二面体群 $D_6$、$2$ 元体上の $GL_2$・$SL_2$・$PGL_2$・$PSL_2$、$\mathrm{Aut}(S_3)$ はすべて $S_3$ と同型である。正規部分群は自明なものと位数 $3$ の部分群だけで、中心と Frattini 部分群は自明、交換子部分群は位数 $3$ の部分群であり、$S_3$ は可解群である。
11時間前

最近の参考書

ネットとフィルターによる位相空間論の表紙
ネットとフィルターによる位相空間論
旧Mathpediaの二つの完成稿を、原稿ごとの境界と番号体系を保って二部構成にした参考書である。第I部はネット、第II部はフィルターを用いて、閉包・連続性・Hausdorff性・コンパクト性・直積位相・Tychonoffの定理を並行して扱う。さらに、二つの定式化を往復するための編集補節を加えた。 【第I部・ネット】 本稿においては、ネットの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。ネットは単純に述べれば点列を一般化した概念である。位相空間論においてネットを用いるメリットは、位相的性質をネットの収束により直観的に扱うことが出来る点であり、複雑な関数空間の位相を取り扱う関数解析の議論においては頻繁に用いられる。点列は、距離空間に代表される第一可算空間における収束の問題を扱うのに十分有効であるが、関数解析学における弱位相、弱 $*$-位相のような第一可算性のない位相における収束の問題を扱う際、必ずしも十分ではない。しかし点列の収束をネットの収束に一般化することで、位相空間の可算性に関わらず点列による収束の議論と全く同様の議論が有効になる。また、ネットの概念を用いればある種の命題の証明がほとんど自明化されることもある。ネットはフィルターと同値な概念であり、同様にフィルターによる位相空間論も展開されるが、こちらは集合論の議論において用いられることが多い。本稿においてはネットによる閉性、連続性、Hausdorff 性、コンパクト性などの基本的な位相的性質の特徴付けを行う。また点列との対比のため可算性のある位相空間において、それらの点列による特徴付けを、実際に位相空間の可算性を用いて行う。そして最後にネットにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示す。 【第II部・フィルター】 本稿においては、フィルターの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。位相空間におけるフィルターは単純に述べれば点列を抽象化した概念である。位相空間論においてフィルターを用いるメリットは、位相的性質を収束を中心に扱うことと、超フィルターという強力な概念を駆使することで、収束に関わる性質(特に Hausdorff性 やコンパクト性)を上手く扱えることである。抽象的な位相空間を取り扱う一般位相の議論においては頻繁に用いられる。フィルターはネットと同値な概念であり、同様にネットによる位相空間論も展開されるが、こちらは関数解析の議論において用いられることが多い。本稿においてはフィルターによるコンパクト性やHausdorff 性などの基本的な位相的性質の特徴づけを行い、フィルターにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示すことを目標とする。
2日前
位相空間論の表紙
位相空間論
このテキストでは、現代数学のどの方面に進むにあたっても必要となる位相空間論の基本事項を、証明をつけた形で解説する。読者には、集合と写像の言葉への慣れを期待する。たとえば、和集合・共通部分などの集合の操作や、全射・単射・像・逆像などの概念には親しんでいるものとする。さらに、具体例を理解するためには、連続性の $\varepsilon$-$\delta$ 論法を用いた定義や、数列の収束の定義、実数の基本性質などを理解していることが望ましい。 現代数学では、点の集まりとしての集合に構造を付加することにより、多彩な概念を構成していく。例えば、代数学においては、集合に加法や乗法などの演算という構造を付加して群、環、体などといった概念を考える。位相空間は、集合にある種の構造を付加することで、写像の連続性や点列の収束など、ある種の「近さ」にまつわる議論を可能にしたものである。つまり、端的に言えば、位相空間とは「近さ」が定義される場所である。 座標平面 $\mathbb{R}^2$ の中には、我々が慣れ親しんだ数多くの図形、たとえば、線分、円、三角形、四角形がある。こうした図形には、自然に「近さ」の概念があると考えられるが、実際にこれらの図形は $\mathbb{R}^2$ からの相対位相という自然な方法で、位相空間とみなすことができる。しかし、図形を位相空間とみなすことは、同時に「近さ」以外の要素を捨象することでもある。その結果として、通常では同じとは思えない図形が、位相空間として同一(正式な用語では「同相」)となることがある。実際、いま述べた円、三角形、四角形はすべて互いに同相である。しかし、線分はこれらと同相ではない。このように、位相空間の立場では図形がかなり「粗く」分類されることになるが、この立場での図形の分類を目指す学問が位相幾何学である。 上に述べたことからも、位相空間論は幾何学の基礎として重要なことは推察されると思うが、位相空間論の重要性は幾何学に留まるものではない。数学の様々な分野で、直観的には図形とは思えない集合に位相空間の構造を与えることで、ある種の図形的考察が可能となる。一つ例を挙げれば、関数解析学においては、関数のなす集合に位相空間としての構造を与えることで「関数空間」をつくり、関数を点とする一種の図形として取り扱うことで解析学の問題解決に豊富な道具を提供している。
2日前
微分方程式の初歩の表紙
微分方程式の初歩
常微分方程式の初期値問題から、Sobolev空間版Gaussの発散定理、楕円型正則性、調和関数、Laplace–Poisson方程式、波動方程式へ進む。
3日前
Hilbert空間上の作用素論の表紙
Hilbert空間上の作用素論
有界・非有界作用素、射影値測度、スペクトル定理、極分解、直和・テンソル積、コンパクト作用素、摂動論、作用素イデアル、von Neumann環、解析ベクトルを体系的に扱う。
3日前
複素解析の基礎の表紙
複素解析の基礎
複素微分と正則関数、冪級数、複素線積分、Cauchy理論、Laurent展開と留数、複素Banach空間値正則関数までを扱う。
3日前
Euclid空間における微積分とベクトル解析の表紙
Euclid空間における微積分とベクトル解析
Euclid空間の多変数微分法から、Euclid空間内の多様体、微分形式、計量、Riemann測度、向き、Stokesの定理までを体系的に扱う。
3日前
測度と積分の表紙
測度と積分
測度空間論の基礎用語から、測度と積分の基本定理、$L^p$ 空間の完備性と双対性、局所コンパクトHausdorff空間上のRadon測度とLebesgue測度、Bochner積分へ進む。
3日前
位相線形空間と関数解析の基礎の表紙
位相線形空間と関数解析の基礎
ノルムと内積から、セミノルム位相・汎弱位相、Hahn–Banachの定理、Krein–Milmanの端点定理、Fréchet空間と関数解析の基本定理へ進む。
3日前
グラフ理論入門の表紙
グラフ理論入門
グラフ理論について基礎的な内容を解説する。
20231015
加法的整数論の表紙
加法的整数論
加法的整数論は、整数や自然数などの加法的な性質について扱う理論である。すなわち $\mathbb{Z}$, $\mathbb{N}$, より一般にある加法半群 $G$ の要素 $g$ を、$G$ の部分集合 $A_1, A_2, \ldots, A_k$ の要素の和 $$g=a_1+a_2+\ldots +a_k\ (a_i\in A_i)$$ としてあらわす方法について扱う理論である。 すべての自然数が$4$つの平方数の和であらわされるというLagrangeの定理、 $4$ 以上のすべての偶数が$2$つの素数の和であらわされるというGoldbachの予想、 与えられた数 $n$ 以下のすべての整数が、ある部分集合 $A$ について、一定の個数以下の $A$ の要素の和であらわされるとき、 そのような部分集合 $A$ で要素の数が可能な限り少ないものをもとめる郵便切手の問題などが加法的整数論で取り扱われる。
2023929

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