Verschiebung(Verschiebung)とは、標数 $p$ の平坦な可換群スキーム $G$ について標準的に構成される、相対 Frobenius $F_G\colon G\to G^{(p)}$ と逆向きの準同型 $V_G\colon G^{(p)}\to G$ で、$V_G\circ F_G=p$ と $F_G\circ V_G=p$ を満たすものである。$G$ がアフィンで座標環が局所自由なら、$p$ 個にくり返した余積の値である対称テンソルを、Frobenius ひねりに戻す環準同型として構成される。乗法群では同型、加法群では $0$ であり、有限群スキームでは Cartier 双対が $F$ と $V$ を入れ替える。アーベル多様体では次数 $p^g$ の同種写像で、楕円曲線では Frobenius の双対同種に一致する。
5時間前
Möbiusの帯(Möbius strip)とは、長方形 $[0,1]\times[-1,1]$ の左右の辺を $(0,t)\sim(1,-t)$ と裏返して貼り合わせた商空間であり、$\mathbb{R}^3$ の中には半回転ひねった帯として埋め込まれる。中心線の円周に変位レトラクトするので基本群は $\mathbb{Z}$ で円柱とホモトピー同値だが、縁は 1 本の円周で中心線を 2 周するため縁はレトラクトにならず、円柱とは同相でない。向き付け可能でない曲面、円周の上の自明でないファイバー束の最も簡単な例であり、縁に円板を貼ると実射影平面、2 枚を縁で貼ると Klein の壺になる。
17時間前
LU分解(LU decomposition)とは、正方行列 $A$ を単位下三角行列 $L$ と上三角行列 $U$ の積 $A=LU$ に分けることであり、一般には行を並べ替える置換行列 $P$ を伴う $PA=LU$ の形で、掃き出し法の手順を行列の積として記録したものである。どの正方行列もこの形に分解でき、その手間は $\frac23n^3$ 回程度の演算で、分解のあとは右辺ごとに前進代入と後退代入の $2n^2$ 回程度で連立 1 次方程式が解ける。部分ピボット選択を使うと乗数の絶対値は $1$ 以下になり、途中の成分の増大は $2^{n-1}$ 倍までに抑えられ、この上界に達する行列もある。列について狭義の対角優位な行列では行の入れ替えが要らず、増大は $2$ 倍未満で済む。
17時間前
線形計画法(linear programming)とは、有限個の 1 次不等式 $Ax\le b$ を満たす点の中で 1 次式 $c\cdot x$ を最大化(または最小化)する問題、すなわち線形計画問題の理論と解き方のことである。実行可能で目的関数が上に有界なら最適解は必ず存在し、実行可能領域が直線を含まなければ多面体の頂点のどれかが最適解になる。主問題「$Ax\le b$、$x\ge0$ で $c\cdot x$ を最大化」には双対問題「$A^{\mathsf T}y\ge c$、$y\ge0$ で $b\cdot y$ を最小化」が対応し、両方が実行可能なら最適値は一致する(双対定理)。この定理は Farkas の補題から導かれ、相補性条件や行列ゲームの最小最大定理を与え、計算には頂点をたどる単体法が使われる。
17時間前
線グラフ(line graph)とは、単純グラフ $G$ の辺を頂点とし、端点を共有する 2 辺を結んだグラフ $L(G)$ のことである。$G$ の辺彩色は $L(G)$ の頂点彩色に、マッチングは $L(G)$ の独立集合に対応し、$L(G)$ のクリークは 1 頂点に集まる辺か三角形の辺から来るので、$L(G)$ の彩色数は $\Delta(G)$ と $\Delta(G)+1$ の間にある。線グラフは爪 $K_{1,3}$ を誘導部分グラフに含まず、各頂点が高々 2 つに属するクリークへの辺の分割をもつこと(Krausz の特徴づけ)で判定でき、隣接行列の固有値はすべて $-2$ 以上である。連結グラフは $K_3$ と $K_{1,3}$ の組を除いて線グラフから決まり(Whitney)、辺の問題を頂点の問題に移す道具として彩色・マッチング・スペクトルの理論で使われる。
17時間前
結び目(knot)とは、3 次元空間 $\mathbb{R}^3$ または $S^3$ に滑らかに埋め込まれた円周であり、周りの空間ごと連続的に動かして移り合うものを同値とみなす。写像のホモトピーではどの結び目も移り合うので、補空間の基本群である結び目群が基本的な不変量になる。$S^3$ を 2 つのソリッドトーラスに分けて Van Kampen の定理を使うと、自明な結び目の群は $\mathbb{Z}$、互いに素な $p,q$ のトーラス結び目の群は $\langle a,b\mid a^p=b^q\rangle$ と計算でき、三葉結び目が自明でないことが従う。
17時間前
無限降下法(method of infinite descent)とは、条件を満たす対象があれば、自然数で測った「高さ」が真に小さい同じ種類の対象を作れることを示し、自然数の整列性から対象が存在しないと結論する証明法である。高さを写像 $h\colon S\to\mathbb{N}$ として定式化すると、どの元からも降下できる集合 $S$ は空であり、高さが真に減り続ける無限列はない。主張を強めて降下させると $x^2+y^2+z^2=2xyz$ の整数解は $(0,0,0)$ だけと分かる。降下は解の分類にも使え、Markov 方程式 $x^2+y^2+z^2=3xyz$ の正の整数解はすべて $(1,1,1)$ から Vieta 移動で得られ、$x^2+y^2+z^2=kxyz$ が正の整数解をもつのは $k=1,3$ のときに限る。
17時間前
Hopfファイブレーション(Hopf fibration)とは、単位球面 $S^3\subset\mathbb{C}^2$ の点 $(z,w)$ に $[z:w]\in\mathbb{C}\mathrm{P}^1\cong S^2$ を対応させる写像が定める、ファイバー $S^1$ のファイバー束 $S^1\to S^3\to S^2$ である。各ファイバーは大円で、局所的には直積だが $S^3$ は $S^2\times S^1$ と同相でなく、どの 2 本のファイバーも立体射影で絡み数 $\pm1$ で絡み合う。$\pi_3(S^2)\cong\mathbb{Z}$ の生成元を与え、標準計量では半径 $1/2$ の球面への Riemann 沈め込みになり、四元数・八元数による類似の束 $S^7\to S^4$、$S^{15}\to S^8$ をもつ。
17時間前
Hilbertの公理系(Hilbert's axioms)とは、点・直線・「上にある」・「間にある」・「合同」を定義しない言葉とし、結合・順序・合同・平行線・連続の5群の公理で平面幾何を組み立てる体系で、Hilbert が1899年の『幾何学の基礎』で与えた。順序の公理(とくに Pasch の公理)から直線が平面をちょうど2つの側に分けることが、合同の公理から合同条件「2辺とその間の角」「1辺とその両端の角」と二等辺三角形の底角の相等が従う。公理を1つだけ外した模型を作ることで、平行線の公理や合同の公理の一部がほかの公理から証明できないことが示され、平行線の公理を外した体系が非Euclid幾何学への入口になる。
17時間前
Heisenberg群(Heisenberg group)とは、可換環 $R$ 上の 3 次の上三角単数行列のなす群、すなわち $R^3$ に積 $(a,b,c)(a',b',c')=(a+a',b+b',c+c'+ab')$ を入れた群とその高次元版のことである。中心と交換子部分群はともに $\{(0,0,c)\}\cong R$ に一致し、交換子はシンプレクティック形式 $ab'-a'b$ で与えられ、冪零類 2 の冪零群になる。$\mathbb{F}_p$ 上では位数 $p^3$ の群で $p$ が奇数なら単位元以外の元の位数が $p$、$\mathbb{R}$ 上では指数写像が全単射な Lie 群で $\mathbb{Z}$ 上の点は余コンパクトな格子をなす。Schrödinger 表現が正準交換関係を実現し、有限次元の既約表現では中心が自明に働く。
17時間前