Weierstrassの割り算定理(Weierstrass division theorem)とは、原点の近くの正則関数 $g(z',w)$ が、$z'=0$ と置くと $w=0$ で $b$ 位の零点をもつとき、原点の近くで正則な任意の $f$ を $f=qg+r$ と割って、余り $r$ を係数が $z'$ の正則関数である $w$ の $b$ 次未満の多項式にでき、商と余りが一意に定まるという定理である。$g$ だけで決まる多重円板の上では、有界な $f$ の商の上限が $f$ の上限の定数倍で抑えられ、商と余りの各 Taylor 係数は $f$ の有限個の係数で決まるので、形式的冪級数でも同じ割り算が成り立つ。変数の個数についての帰納法の道具として、収束冪級数環の Noether 性や零点定理の証明に使われる。
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Kähler形式(Kähler form)とは、複素多様体上の実 2 次微分形式で、型 $(1,1)$ かつ各点で正(Hermite 計量の基本形式 $\omega(u,v)=g(Ju,v)$ になる)であり、しかも閉じている($d\omega=0$)ものである。座標では $\omega=\frac i2\sum h_{j\bar k}\,dz_j\wedge d\bar z_k$(係数は正定値 Hermite 行列)と書ける。閉性は、各点で計量が 2 次の誤差を除いて平坦になる正則座標の存在や、Levi-Civita 接続について $\nabla J=0$ となることと同値である。局所的には $\omega=\frac i2\partial\bar\partial\psi$ と強多重劣調和な関数で書け、コンパクトな複素部分多様体の上の積分は正で、Kähler 類の冪は消えない。
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射影空間への射(morphisms to projective space)とは、スキーム $X$ から射影空間 $\mathbb{P}^n_A$ への $A$ 上の射のことで、可逆層 $\mathcal{L}$ とそれを生成する $n+1$ 個の大域切断の組の同型類に 1 対 1 に対応する。射はひねり層 $\mathcal{O}(1)$ と座標 $x_i$ の引き戻しで切断の組を与え、逆に切断の比 $s_j/s_i$ を座標として射が作られる。射が閉埋め込みであることは、各座標近傍の逆像がアフィンで座標環の写像が全射であることと同値であり、代数閉体上の射影スキームでは、切断が点と接ベクトルを分離することと同値である。
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Pontryagin双対(Pontryagin duality)とは、局所コンパクトな可換位相群 $G$ から円周群 $\mathbb{T}$ への連続準同型(指標)全体を、コンパクト集合上の一様収束の位相で位相群とみた双対群 $\widehat G$ のことである。$G$ を二重双対 $\widehat{\widehat G}$ へ移す自然な写像が位相群の同型になることを双対定理という。$\mathbb{Z}$ と $\mathbb{T}$ は互いの双対、$\mathbb{R}$ は自分自身の双対で、コンパクトな群の双対は離散的、離散的な群の双対はコンパクトである。可換なコンパクト群と可換な離散群の双対定理は Peter–Weyl の定理と Stone–Weierstrass の定理から従い、Fourier 級数と Fourier 変換を指標による展開として統一する。
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Gelfand–Naimarkの定理(Gelfand–Naimark theorem)とは、任意の単位的 $C^*$-環が、ある Hilbert 空間 $H$ 上の有界作用素の環 $B(H)$ の、恒等作用素を含むノルム閉な $*$-部分環と等長 $*$-同型になるという定理であり、単位的な可換 $C^*$-環が連続関数の環 $C(X)$ と等長 $*$-同型になるという可換の場合の定理もこの名で呼ばれる。証明の要は、どの元 $a$ についても $a^*a$ のスペクトルが $[0,\infty)$ に入ることで、これから $\omega(a^*a)=\|a\|^2$ となる状態が作れる。状態ごとの GNS 表現の直和が等長な表現を与えるので、$C^*$-環の公理は作用素の環の性質をちょうど言い当てている。
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Dedekindゼータ関数(Dedekind zeta function)とは、代数体 $K$ の整数環の $0$ でないイデアル $\mathfrak{a}$ にわたる和 $\zeta_K(s)=\sum_{\mathfrak{a}}N(\mathfrak{a})^{-s}$($\operatorname{Re}s>1$)で定まる関数である。素イデアルにわたる Euler 積をもち、$K=\mathbb{Q}$ では Riemann ゼータ関数になる。$s=1$ に 1 位の極をもち、その留数は類数 $h_K$、単数規準 $R_K$、1 の冪根の個数 $w_K$、判別式 $d_K$ によって $2^{r_1}(2\pi)^{r_2}h_KR_K/(w_K\sqrt{\lvert d_K\rvert})$ と表される(解析的類数公式)。整イデアルが各類に同じ密度で分布することから従う。
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実数の連続性(completeness of the real numbers)とは、実数全体 $\mathbb{R}$ の上に有界な空でない部分集合が必ず上限(最小の上界)をもつという性質のことで、数直線に「すき間」がないことを表す。数の全体を大小で二つの組に分けると切れ目に必ず数があるという切断の公理、単調で有界な数列の収束、有界な数列が収束する部分列をもつことなどと同値である。さらに順序体の上では、閉区間で連続な関数について中間値の定理が成り立つことや、最大値をとることとも同値になる。有理数体 $\mathbb{Q}$ ではこれらがすべて崩れ、極限・零点・最大値の存在を示す解析学の定理の土台になっている。
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直交射影(orthogonal projection)とは、内積空間 $V$ が部分空間 $U$ とその直交補空間の直和 $V=U\oplus U^\perp$ に分かれるとき、各ベクトルの $U$ 成分をとる線形作用素 $P_U$ のことである。$P_Ux$ は $U$ の中で $x$ に最も近い点であり、$P_U$ は $P_U^2=P_U$ と自己随伴性 $P_U^*=P_U$ を満たす。逆に $P^2=P$ を満たす線形写像は、自己随伴であるとき、またノルムを増やさないときに限り直交射影である。有限次元の部分空間と Hilbert 空間の閉部分空間は直交射影をもち、最小 2 乗法や Fourier 級数の部分和はその例である。
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Dirichletの算術級数定理(Dirichlet's theorem on arithmetic progressions)とは、整数 $a$ と正の整数 $m$ が互いに素なら、$m$ で割って $a$ 余る素数が無限に存在するという定理である。法 $m$ の Dirichlet 指標 $\chi$ ごとの $L(s,\chi)=\sum_n\chi(n)n^{-s}$ と指標の直交関係により、この類の素数の逆数和 $\sum_{p\equiv a}p^{-s}$ は $s\to1+0$ で $\frac1{\varphi(m)}\log\frac1{s-1}$ の速さで発散することが示される。証明の核心は主指標でない $\chi$ について $L(1,\chi)\neq0$ となることで、これが素数の Dirichlet 密度や Chebotarev の密度定理への出発点になる。
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σ-代数(σ-algebra)とは、集合 $X$ の部分集合の族で、空集合を含み、補集合と可算個の和集合で閉じたものであり、測度や確率を割り当てる集合の範囲を定める。可算個の共通部分・差・上極限集合なども自動的にその元になり、任意の部分集合の族に対してそれを含む最小の σ-代数が存在して、開集合から生成される Borel σ-代数はその代表例であり、写像の可測性は逆像で定義されて生成系の元の逆像だけで判定できる。有限の σ-代数は $X$ の有限分割と一対一に対応して元の個数は $2^k$ であり、無限の σ-代数は非可算である。確率論では「判定できる事象の全体」として情報を表す。
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