確率分布の中央値は、確率変数 $X$ について $P(X<a)\le\frac12$ かつ $P(X>a)\le\frac12$ を満たす実数 $a$ であり、確率を左右半分ずつに分ける点である。$E|X|<\infty$ のとき、ずれの絶対値の期待値 $E|X-a|$ を最小にする $a$ 全体は、中央値全体に一致する。たとえば $[0,1]$ 上の密度 $2t$ の分布では、中央値 $\frac1{\sqrt2}$ で $E|X-a|$ が最小になり、期待値 $\frac23$ とは異なる。さいころの目のように中央値が区間 $[3,4]$ になる分布もある。Cauchy 分布のように $E|X|=\infty$ で期待値をもたない分布でも、中央値は定義できる。
1分前
Eulerの多面体定理(高校数学)は、凸多面体の頂点の数 $V$、辺の数 $E$、面の数 $F$ について $V-E+F=2$ が成り立つという定理を、高校生が追えるように証明する記事である。1 枚の面を窓にして多面体を平面の網に広げ、閉じた道の上の辺を 1 本ずつ消す帰納法で、平面の網では $V-E$ に内側の領域の数を足すと $1$ になることを示す。辺の途中に点を加える・面に対角線を引くといった細分では $V-E+F$(Euler 標数)が変わらない。応用として、面が五角形と六角形だけで各頂点に 3 枚の面が集まる凸多面体の五角形はちょうど 12 枚である。額縁の形の多面体では $0$、穴のあいた面をもつ立体や頂点を共有する 2 つの四面体では $3$、中が空洞の立方体では $4$ になり、定義の見直しが必要になる。
6分前
等周不等式(高校数学)は、平面の閉曲線の長さ $L$ と、それが囲む図形の面積 $S$ について $L^2\ge4\pi S$ が成り立ち、等号は円のときだけであるという定理を、Fourier 係数で証明する記事である。正則な閉じた $C^1$ 曲線 $(x(t),y(t))$ では、符号付き面積 $A=\int x\,y'\,dt$ について $L^2\ge4\pi A$ となり、等号は円を反時計回りにちょうど 1 周するときに限る。速さを一定にすると $\int(x'^2+y'^2)dt=\frac{L^2}{2\pi}$ となり、これと $2A$ を Parseval の等式で係数で書くと、差は $n^2\ge n$ から 2 乗の和になる(Hurwitz の証明)。凸多角形では平行領域を使って $L^2>4\pi S$ を導く。周の一部を数えない場合や球面上では成り立たない。
9分前
余弦定理(高校数学)は、三角形の辺の長さを $a,b,c$、$a$ の向かいの角を $A$ とすると $a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$ が成り立つ、という定理である。$A=90^\circ$ なら三平方の定理で、$-2bc\cos A$ は直角からのずれを表す補正の項である。$\cos A=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$ により 3 辺で角がただ 1 つに決まり、$b^2+c^2-a^2$ の符号で $A$ が鋭角・直角・鈍角のどれかが分かる。ベクトルで見ると、内積の 2 つの形 $|\vec{u}||\vec{v}|\cos\theta$ と $u_1v_1+u_2v_2$ が一致することと同じ内容である。面積の公式と組み合わせて $\sin A$ を消すと Heron の公式が得られる。
11分前
正弦定理(高校数学)は、三角形 $\mathrm{ABC}$ の辺の長さを $a,b,c$、それぞれの向かいの角を $A,B,C$、外接円の半径を $R$ とすると $\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R$ が成り立つ、という定理である。$A$ が直角でないとき、直径 $BD$ を斜辺とする直角三角形 $BCD$ で $\angle BDC$ は $A$ か $180^\circ-A$ に等しく、$\sin(180^\circ-A)=\sin A$ により鋭角・鈍角がまとめて示せる。系として $a:b:c=\sin A:\sin B:\sin C$ と面積 $S=\frac12bc\sin A=\frac{abc}{4R}$ が従う。2 辺と一方の向かいの角からは、三角形が 2 つできることがある。
14分前
三角比と鈍角への拡張とは、直角三角形の辺の比として定めた三角比を、単位円の上半分の点 $(\cos\theta,\sin\theta)$ の座標として定義し直し、$0^\circ\le\theta\le180^\circ$ に広げることである。直角三角形による値は相似により大きさによらず、鋭角では 2 つの定義が一致する。点が単位円の上にあることから $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ が、$y$ 軸に関する対称性から $\sin(180^\circ-\theta)=\sin\theta$、$\cos(180^\circ-\theta)=-\cos\theta$ が従う。この範囲では $\cos\theta$ の値から角はただ 1 つに決まるが、$\sin\theta=k$($0\le k<1$)となる角は 2 つある。$\tan90^\circ$ は定義しない。
16分前
仮説検定(高校数学)は、否定したい帰無仮説のもとで観測結果がどのくらい起こりにくいかを確率で調べ、あらかじめ決めた有意水準以下なら帰無仮説を棄却する方法である。棄却域を帰無仮説のもとでの確率が有意水準 $\alpha$ 以下になるように選ぶので、帰無仮説が正しいのに棄却する誤り(第 1 種の誤り)の確率は $\alpha$ 以下になる。ただし正規近似で決めた棄却域では近似的にしか成り立たない。母標準偏差が既知の母平均の両側検定で(端点 $|z|=1.96$ を棄却しない約束のもとで)棄却することは、仮説の値が信頼度 $95\%$ の信頼区間に含まれないことと同値である。棄却しないことは帰無仮説が正しい証拠ではなく、$p$ 値は帰無仮説が正しい確率ではない。標本を大きくすると小さな差でも有意になる。
18分前
区間推定(高校数学)は、母平均や母比率の範囲を標本から推し量る方法である。母平均 $\mu$、母標準偏差 $\sigma$ の母集団からの大きさ $n$ の無作為標本の平均 $\bar X$ について、$\bar X$ が正規分布に従うなら、区間 $\bar X\pm1.96\frac{\sigma}{\sqrt n}$ が $\mu$ を含む確率は $0.95$ で、一般の母集団でも $n$ が大きければ中心極限定理により近似的にそうなる。この確率は区間を作る前のもので、観測後の区間に $\mu$ が入る確率ではない。$\sigma$ が分かっていれば分布の形を仮定しなくても、Chebyshev の不等式から $\bar X\pm\sqrt{20}\frac{\sigma}{\sqrt n}$ は確率 $0.95$ 以上で $\mu$ を含む。
20分前
確率変数の期待値と分散は、確率変数 $X$ のとる値 $x_i$ と確率 $p_i$ から $E(X)=\sum x_ip_i$、$V(X)=\sum(x_i-E(X))^2p_i$ として定まる、分布の中心(重心)とばらつきの量である。値が有限個の場合、期待値は根元事象ごとの和に書き直せ、そこから $E(aX+b)=aE(X)+b$、$V(aX+b)=a^2V(X)$、$V(X)=E(X^2)-E(X)^2$ と、独立性なしに成り立つ $E(X+Y)=E(X)+E(Y)$ が出る。$X$ と $Y$ が独立なら $E(XY)=E(X)E(Y)$ と $V(X+Y)=V(X)+V(Y)$ が成り立つが、独立でないと後者は一般に崩れる($Y=X$ など)。逆に、分散の和の公式が成り立っても独立とは限らない。分散は平均からの距離の 2 乗、共分散は内積とみることができる。
23分前
二項間漸化式は、$a_{n+1}=pa_n+q$($p,q$ は定数)のように、1 つ前の項から次の項を決める漸化式である。$p\ne1$ のとき、不動点 $\alpha=\frac{q}{1-p}$ を引くと $a_n-\alpha$ は公比 $p$ の等比数列になり、$a_n=\alpha+p^{n-1}(a_1-\alpha)$ である。$|p|<1$ なら初項によらず $a_n\to\alpha$、$|p|>1$ かつ $a_1\ne\alpha$ なら発散し、$p=1$ なら等差数列になる。$a_{n+1}=pa_n+f(n)$ の解全体は「1 つの特殊解+$Cp^{n-1}$」で、$f(n)=r^n$、$r=p$ のときは特殊解に $n$ が掛かる(共鳴)。三項間漸化式(特性方程式の解 $1$ と $p$)や微分方程式 $y'=ay+b$ と対応する。
25分前