共形変換(conformal transformation)とは、擬リーマン多様体の間の微分同相写像 $\varphi\colon(M,g)\to(N,h)$ であって、ある滑らかな関数 $\rho$ に対し $\varphi^*h=e^{2\rho}g$ を満たすもの、すなわち計量を各点で正の関数倍する写像である。$\rho$ が定数なら相似変換、$\rho=0$ なら等長写像である。同じ多様体上の計量 $g$、$e^{2\rho}g$ は共形同値といい、平坦な計量と局所的に共形同値な多様体を局所共形平坦という。共形変換は直交性と因果的類別を保ち、Lorentz 幾何では光円錐と因果構造を保つ。逆に 3 次元以上では光円錐を保つ微分同相は共形変換である。光的測地線は再パラメータづけを除いて共形不変であり、Minkowski 時空の伸縮、ステレオ射影、反転が代表例である。
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不等式(inequality)とは、全順序をもつ集合(典型的には実数)の元 $a,b$ の間の大小関係を $a<b$、$a\le b$、$a>b$、$a\ge b$ の形で主張する式のことであり、狭義($<,>$)と非狭義($\le,\ge$)を区別し、非狭義の不等式は等号成立条件まで込めて主張が完結する。実数の不等式の性質(推移律、加法・乗法との両立、負の数を掛けたときの向きの反転)は正の実数全体に関する 2 つの公理から導かれる。相加相乗平均の不等式 $\sqrt[n]{a_1\cdots a_n}\le(a_1+\cdots+a_n)/n$、Cauchy–Schwarz の不等式 $(\sum a_ib_i)^2\le\sum a_i^2\sum b_i^2$、三角不等式、Chebyshev・Schur・Hölder・Minkowski の不等式が代表的である。
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細分(refinement)とは、位相空間の被覆 $\mathcal{U}$ に対し、各成員が $\mathcal{U}$ のある成員に含まれるような被覆 $\mathcal{V}$ のことである。部分被覆は細分だが逆は成り立たず、細分の関係は被覆全体の上の前順序を定め、二つの被覆の共通細分は両方の細分になる。コンパクト性は任意の開被覆が有限な細分を持つこと、Lindelöf 性は可算な細分を持つことと同値であり、細分は元の被覆と同じ添字を持つ形に直すことができて局所有限性は保たれる。空でないコンパクト距離空間では任意の開被覆が Lebesgue 数 $\delta$ を持ち、半径 $\delta$ の開球全体はその細分になるほか、局所有限な開細分はパラコンパクト空間の、細分の位数は被覆次元の定義に用いられる。
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時空(spacetime)とは、連結な Lorentz 多様体(符号数 $(-,+,\dots,+)$ の非退化計量 $g$ をもつ多様体)に時間的向き付け、すなわち各点の 2 つの時間錐のどちらが未来かの連続な選択を与えたものである。非零接ベクトルは $g(v,v)$ の符号により時間的・空間的・光的に分類され、未来向き時間的曲線・因果曲線の存在で関係 $p\ll q$、$p\le q$ と時間的未来 $I^+(p)$・因果的未来 $J^+(p)$ が定まる。$\le$ は前順序であるが、閉時間的曲線があれば反対称でない。Minkowski 時空・Schwarzschild 時空・de Sitter 時空が代表例であり、一般相対論の舞台として因果構造・特異点定理の基礎になる。
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Gromov-Hausdorff距離(Gromov–Hausdorff distance)とは、二つの距離空間 $X,Y$ を共通の距離空間 $Z$ に等長に埋め込んだときの Hausdorff 距離 $d_H(f(X),g(Y))$ の、あらゆる $Z$ と埋め込みにわたる下限 $d_{GH}(X,Y)$ のことである。外側の空間によらずに距離空間そのものの近さを測る量であり、$X$ と $Y$ の間の対応 $R\subset X\times Y$ の歪み $\sup|d_X(x,x')-d_Y(y,y')|$ の下限の半分に等しい。コンパクト距離空間の等長類の全体の上では距離になり、Gromov のプレコンパクト性定理により、一様に全有界な族はこの距離についてプレコンパクトである。リーマン多様体の族の収束と極限空間の研究の基礎となる。
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有限体(finite field)とは、有限個の元からなる体である。その位数は必ず素数 $p$ の冪 $q=p^n$ であり、逆に任意の素数冪 $q$ に対して位数 $q$ の体が同型を除いてただ一つ存在し、$\mathbb{F}_q$ と書く。$\mathbb{F}_p=\mathbb{Z}/p\mathbb{Z}$ が基本例で、$\mathbb{F}_{p^n}$ は $\mathbb{F}_p$ 上の $n$ 次既約多項式による商環として構成できる。乗法群 $\mathbb{F}_q^{\times}$ は位数 $q-1$ の巡回群であり、自己同型群は Frobenius 写像 $a\mapsto a^p$ が生成する位数 $n$ の巡回群で、部分体は $n$ の正の約数と一対一に対応する。$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$ のように位数が素数冪でも体とは限らない。
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同型(isomorphism)とは、構造を保つ射 $f\colon A\to B$ であって、$g\circ f=\mathrm{id}_A$、$f\circ g=\mathrm{id}_B$ を満たす射 $g$ をもつものであり、このとき $A$ と $B$ は同型であるという。集合では全単射、群・環・加群では全単射な準同型、位相空間では同相写像が同型射にあたる。逆射はただ 1 つに定まり、同型であることは対象の間の同値関係になる。群・環・加群では全単射準同型は自動的に同型になるが、位相空間では連続な全単射が同相写像とは限らない。同型な対象は位数や次元などの同型不変量を共有するので、不変量の違いによって同型でないことを判定できる。
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部分群(subgroup)とは、群 $G$ の空でない部分集合 $H$ で、$G$ の積と逆元をとる操作について閉じているもの、すなわち $G$ の演算の制限によってそれ自身が群になる部分集合のことである。$H$ が空でなく $a,b\in H$ のとき常に $ab^{-1}\in H$ となることが判定条件であり、空でない有限部分集合では積について閉じているだけで十分である。$n\mathbb{Z}\subset\mathbb{Z}$、一つの元の冪全体、行列式が $1$ の正則行列全体などが代表例で、自然数全体は加法について閉じているが逆元を含まないので $\mathbb{Z}$ の部分群ではない。部分群の共通部分は部分群であるが和集合は一般に部分群でなく、準同型による像と逆像は部分群になる。有限群では部分群による剰余類が群を等しい大きさに分割するため、部分群の位数は群の位数を割り切る。
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Besicovitchの被覆定理(Besicovitch covering theorem)とは、$\mathbb{R}^n$ の部分集合 $A$ の各点を中心とする閉球の族(半径は有界)から、$A$ を覆う高々可算な部分族で、次元 $n$ だけで決まる個数 $N_n$ の「互いに交わらない閉球からなる部分族」に分けられるものがとれる、という定理である。Vitali の被覆定理と違って閉球を膨らませないので、測度に関する仮定を必要とせず、$\mathbb{R}^n$ 上の任意の Radon 測度について、互いに交わらない閉球による充填や Lebesgue–Besicovitch の微分定理が導かれる。一般の距離空間では成り立たない。
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内積(inner product)とは、実または複素ベクトル空間 $V$ 上の写像 $\langle\cdot,\cdot\rangle\colon V\times V\to F$ であって、第 1 変数について線形、共役対称、正定値であるものをいう。実内積は正定値な対称双線形形式、複素内積は正定値な Hermite 形式である。$\mathbb{R}^n$ の $\sum_kx_ky_k$ や連続関数の $\int f\bar g$ が代表例である。内積は Cauchy–Schwarz の不等式 $|\langle x,y\rangle|\le\|x\|\|y\|$ を満たし、$\|x\|=\sqrt{\langle x,x\rangle}$ でノルムと距離を、$\langle x,y\rangle=0$ で直交を定める。極化恒等式により内積はそのノルムから一意に復元される。
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