ユニタリ群(unitary group)とは、$A^*A=I$ を満たす $n$ 次複素正方行列の全体 $\mathrm{U}(n)$ のなす群であり、$\mathbb{C}^n$ の標準内積を保つ線形変換の群である。行列式 $1$ の部分群は特殊ユニタリ群 $\mathrm{SU}(n)$ で、$\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{SU}(n)$ と円周の半直積に分かれ、中心はスカラー行列からなる。$\mathrm{U}(n)$ はコンパクトで連結な Lie 群で、指数写像は全射、共役類は固有値の組で決まり、$\mathrm{SU}(n)$ は単連結で $\pi_1(\mathrm{U}(n))\cong\mathbb{Z}$ である。極分解により $\mathrm{U}(n)$ は $\mathrm{GL}_n(\mathbb{C})$ の極大コンパクト部分群である。
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正則列(regular sequence)とは、加群 $M$ に対し各元が前の元で割った商上に単射に作用し、最後の商が非零となる有限列のことである。Noether局所環上の非零有限生成加群では、極大イデアル内の列の正則性を一次Koszulホモロジーの消滅で判定でき、置換や正整数冪も正則性を保つ。局所でない環では順序が効き、局所化では最後の商の生存も必要になる。Artin局所基礎上平坦なNoether局所環では、閉ファイバーの正則列を持ち上げると各初期商の平坦性も保たれる。
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Frobeniusの定理(可積分性)(Frobenius theorem)とは、多様体 $M$ 上の階数 $k$ の分布 $D$(各点の接空間の $k$ 次元部分空間の滑らかな族)について、$D$ に値をとるベクトル場が Lie 括弧で閉じていること(包合性)と、各点のまわりに $D=\operatorname{span}\{\partial/\partial y^1,\dots,\partial/\partial y^k\}$ となる局所座標があること、各点を通る積分多様体があることが同値であるという定理である。$k=1$ の場合は整流定理である。$\mathbb{R}^3$ の $\partial_x$ と $\partial_y+x\,\partial_z$ が張る平面の族は包合的でなく、どの点を通る積分曲面ももたない。大域版は葉層構造を与える。
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Dirichlet L関数(Dirichlet L-function)とは、Dirichlet 指標 $\chi$ に対し $\operatorname{Re}s>1$ で $L(s,\chi)=\sum_{n\ge1}\chi(n)n^{-s}$ により定まる関数とその解析接続である。法 $q>1$ の原始指標なら、$\Gamma$ 因子を掛けた $\Lambda(s,\chi)$ が整関数に延び、Gauss 和で決まる $\varepsilon(\chi)$ について $\Lambda(s,\chi)=\varepsilon(\chi)\Lambda(1-s,\overline\chi)$ を満たす。$q=1$ の場合が Riemann ゼータ関数で、直線 $\operatorname{Re}s=1$ 上に零点はない。算術級数の素数分布の基本の道具である。
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Fermatの最終定理(Fermat's Last Theorem)とは、$n\ge3$ のとき $x^n+y^n=z^n$ を満たす $0$ でない整数 $x,y,z$ は存在しないという定理である。$n=4$ と奇素数の指数に帰着でき、$n=3,4$ や正則素数の指数、$p$ と $2p+1$ がともに素数のときの $p\nmid xyz$ の場合(Sophie Germain の定理)は初等的または古典的な方法で示される。一般の場合は、解から作る Frey 曲線がモジュラーでないという Ribet の定理と、半安定な楕円曲線はモジュラーであるという Wiles と Taylor–Wiles の定理(1995 年刊行)を合わせて証明された。
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o-極小構造(o-minimal structure)とは、稠密で端点のない全順序 $<$ をもつ構造 $(M,<,\dots)$ で、パラメータ付きの 1 階の論理式で定義できる $M$ の部分集合がすべて有限個の点と開区間の和であるもののことである。$(\mathbb{R},<)$ や実数体(Tarski–Seidenberg の定理による)が例であり、制限された解析関数や指数関数を加えた構造も o-極小である。一方、$\mathbb{Z}$ や $\mathbb{R}$ 全体の $\sin$ を加えると o-極小でなくなる。1 変数の条件だけから、定義可能な関数の単調性定理や定義可能集合の胞体分解定理が導かれ、半代数幾何・劣解析幾何を統一するtame位相の枠組みになる。
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条件付き期待値(conditional expectation)とは、確率空間上の可積分な確率変数 $X$ と部分 σ-代数 $\mathcal G$ について、$\mathcal G$-可測かつ可積分で、$\mathcal G$ のすべての事象の上での積分が $X$ と等しくなる確率変数 $E[X\mid\mathcal G]$ であり、ほとんど確実に一意に存在する。2 乗可積分な $X$ では、$\mathcal G$-可測な確率変数のなす閉部分空間への直交射影、すなわち 2 乗平均で最良の予測になる。線形性・単調性・塔の性質・$\mathcal G$-可測な因子のくくり出し・独立性による簡約をもち、正の確率をもつ事象への条件付き確率を一般化して、マルチンゲールの理論の基礎になる。確率 $0$ の事象を単独で条件にすると、同じ事象でも条件の付け方で値が変わることがある。
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反射的Banach空間(reflexive Banach space)とは、ノルム空間 $X$ から二重双対 $X^{**}$ への評価写像 $J_X$ が全射になる空間のことで、反射的な空間は自動的に完備である。角谷の定理により、Banach 空間が反射的であることは閉単位球が弱位相でコンパクトであることと同値であり、反射的な空間では有界列が弱収束部分列をもち、閉凸集合への最近点が存在する。反射性は閉部分空間と双対空間に受け継がれ、Hilbert 空間や $1<p<\infty$ の $L^p$ 空間は反射的、$c_0$・$\ell^1$・$L^1[0,1]$ はノルムを達成しない汎関数をもつので反射的でなく、$c_0$ を閉部分空間にもつ $\ell^\infty$ も反射的でない。
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Schmidtの部分空間定理(Schmidt subspace theorem)とは、代数的数を係数とする $n$ 個の線形独立な 1 次形式 $L_1,\dots,L_n$ と $\delta>0$ について、$|L_1(\mathbf{x})\cdots L_n(\mathbf{x})|<|\mathbf{x}|^{-\delta}$ をみたす整数ベクトル $\mathbf{x}$ が、すべて有限個の真の有理部分空間に含まれるという定理である。W. M. Schmidt が 1972 年に証明した。$n=2$ の場合は Roth の定理にあたる。代数体と有限個の素点での射影空間の形があり、そこから S 単数方程式 $a_1u_1+\dots+a_nu_n=1$ の非退化な解が有限個であること(S 単数定理)が従う。ノルム形式方程式や Siegel の定理の別証明にも使われる。
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単純環(simple ring)とは、零環でなく、両側イデアルが $0$ と自分自身しかない環のことで、体・斜体・斜体上の行列環 $M_n(D)$ が代表例である。単純環の中心は体であり、単純環から零環でない環への環準同型はすべて単射になるので、可換な単純環は体に限られる。極小左イデアルをもつ単純環、とくに左 Artin な単純環は斜体上の行列環 $M_n(D)$ に同型であり、$n$ と $D$ は環から一意に定まる(Wedderburn の定理)。一方、標数 $0$ の Weyl 代数は極小左イデアルをもたない単純環の例であり、単純環は半単純環の構造定理や Brauer 群の理論の基本的な部品になる。
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