最近の用語解説

米田の補題(豊穣圏)

米田の補題(豊穣圏)は、表現可能な豊穣前層からの豊穣自然変換対象が、表現対象での前層の値と同型になることを述べる。一般の対称モノイダル閉圏における定式化と証明、通常版への帰着、単体的豊穣圏の複数の表示を通じた∞圏版との接続を説明する。
15時間前

米田の補題(∞圏)

米田の補題(∞圏)は、表現可能な空間値前層から任意の空間値前層への自然変換の空間が、表現対象での前層の値と同値になることを述べる。準圏を基本モデルとし、豊穣前層・右ファイブレーションとの対応、通常の米田の補題への帰着を説明する。
16時間前

Zornの補題

Zornの補題(Zorn's lemma)とは、空でない半順序集合の任意の鎖がその集合の中に上界を持つなら、極大元が存在すると述べる定理である。本記事では、極大元と最大元、鎖と全順序集合、帰納的順序集合と数学的帰納法を区別し、選択公理から選択関数を取り、Hartogsの補題と超限再帰を用いて完全に証明する。空集合と一元集合の場合、上界が外部にしかない反例も扱う。
17時間前

押し出し

押し出し(pushout)とは、同じ対象から出る二本の射を、その対応部分が一致するように普遍的に貼り合わせる余極限である。集合の貼り合わせやベクトル空間の商として現れる。
20時間前

引き戻し

引き戻し(pullback)とは、同じ対象へ向かう二本の射について、その行き先が一致するデータを普遍的に集める極限である。集合では値の等しい要素の対からなるファイバー積として構成できる。
20時間前

球面のホモトピー群

球面のホモトピー群は、基点を保つ球面間の写像を、基点を固定する連続変形で類別する群である。消滅域と対角線上の整数群、Hopf写像、低次の計算表、Serreの有限性定理、Freudenthal懸垂定理による安定化を通じて、規則性と複雑な捩れが共存する構造を説明する。
2日前

後続者

後続者(successor)とは、集合 $x$ に対し $x^{+}=x\cup\{x\}$ で定まる集合、すなわち $x$ 自身を新しい要素として付け加えて得られる集合のことである。$x$ は $x^{+}$ の要素でも部分集合でもあり、$x^{+}$ は空でないので、空集合はどの集合の後続者でもない。正則性公理のもとで $x^{+}=y^{+}$ ならば $x=y$ が成り立ち、$x,y$ がともに推移的な場合は $\bigcup x^{+}=x$ から正則性公理を使わずに同じ単射性が従う。$0=\emptyset$ から後続者を繰り返して $1=\{\emptyset\}$、$2=\{\emptyset,\{\emptyset\}\}$ と作る von Neumann の自然数の構成の土台になる。
6日前

余可算位相

余可算位相(cocountable topology)とは、集合 $X$ 上で、空集合と、補集合が高々可算であるような部分集合の全体を開集合とする位相のことである。$X$ が高々可算なときは離散位相に一致する。$X$ が非可算なときは、一点集合が閉である一方で空でない二つの開集合が必ず交わるので、$T_1$ ではあるが Hausdorff ではなく、連結で距離化可能でもない。$T_1$ から Hausdorff が従わないことを示す標準的な反例として使われる。
6日前

ウェッジ和(単体的集合)

ウェッジ和(単体的集合)(wedge sum of simplicial sets)とは、点付き単体的集合の族に対し、各次数で単体の直和をとり基点から定まる単体だけを一点に同一視して得られる点付き単体的集合のことである。面写像・退化写像は成分ごとに定まり、この構成は点付き単体的集合の圏における余積になるので、点付き同型を除いて結合的・可換で一点単体的集合を単位に持つ。有限族で各成分の非退化単体が有限個のとき、非退化単体の個数は $1$ 次以上では各成分の総和、$0$ 次では総和から成分の個数より $1$ 少ない数を引いた個数である。幾何学的実現は左随伴なので余極限を保ち、実現は位相空間のウェッジ和と点付き同相になる。
7日前

ウェッジ和

ウェッジ和(wedge sum)とは、点付き空間の族 $\{(X_i,x_i)\}$ の直和において基点全体を一点に潰して得られる点付き空間 $\bigvee_i(X_i,x_i)$ のことであり、一点和・楔和ともいう。各成分は像への同相写像でウェッジ和に埋め込まれ、相異なる成分の像は基点だけで交わる。ウェッジ和は点付き空間の圏における余積であり、この普遍性から、基点を保つ同相を除いて結合的・可換であって一点空間を単位に持つ。各成分が $T_1$ 空間で基点以外の点を持つとき可算無限ウェッジ和はコンパクトでなく、コンパクトな Hawaiianイヤリングとは同相でない。
7日前

最近の参考書

ネットとフィルターによる位相空間論の表紙
ネットとフィルターによる位相空間論
旧Mathpediaの二つの完成稿を、原稿ごとの境界と番号体系を保って二部構成にした参考書である。第I部はネット、第II部はフィルターを用いて、閉包・連続性・Hausdorff性・コンパクト性・直積位相・Tychonoffの定理を並行して扱う。さらに、二つの定式化を往復するための編集補節を加えた。 【第I部・ネット】 本稿においては、ネットの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。ネットは単純に述べれば点列を一般化した概念である。位相空間論においてネットを用いるメリットは、位相的性質をネットの収束により直観的に扱うことが出来る点であり、複雑な関数空間の位相を取り扱う関数解析の議論においては頻繁に用いられる。点列は、距離空間に代表される第一可算空間における収束の問題を扱うのに十分有効であるが、関数解析学における弱位相、弱 $*$-位相のような第一可算性のない位相における収束の問題を扱う際、必ずしも十分ではない。しかし点列の収束をネットの収束に一般化することで、位相空間の可算性に関わらず点列による収束の議論と全く同様の議論が有効になる。また、ネットの概念を用いればある種の命題の証明がほとんど自明化されることもある。ネットはフィルターと同値な概念であり、同様にフィルターによる位相空間論も展開されるが、こちらは集合論の議論において用いられることが多い。本稿においてはネットによる閉性、連続性、Hausdorff 性、コンパクト性などの基本的な位相的性質の特徴付けを行う。また点列との対比のため可算性のある位相空間において、それらの点列による特徴付けを、実際に位相空間の可算性を用いて行う。そして最後にネットにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示す。 【第II部・フィルター】 本稿においては、フィルターの収束を用いた位相空間論の基本的議論を説明する。位相空間におけるフィルターは単純に述べれば点列を抽象化した概念である。位相空間論においてフィルターを用いるメリットは、位相的性質を収束を中心に扱うことと、超フィルターという強力な概念を駆使することで、収束に関わる性質(特に Hausdorff性 やコンパクト性)を上手く扱えることである。抽象的な位相空間を取り扱う一般位相の議論においては頻繁に用いられる。フィルターはネットと同値な概念であり、同様にネットによる位相空間論も展開されるが、こちらは関数解析の議論において用いられることが多い。本稿においてはフィルターによるコンパクト性やHausdorff 性などの基本的な位相的性質の特徴づけを行い、フィルターにより比較的容易な証明が可能であるTychonoff の定理を示すことを目標とする。
9日前
位相空間論の表紙
位相空間論
このテキストでは、現代数学のどの方面に進むにあたっても必要となる位相空間論の基本事項を、証明をつけた形で解説する。読者には、集合と写像の言葉への慣れを期待する。たとえば、和集合・共通部分などの集合の操作や、全射・単射・像・逆像などの概念には親しんでいるものとする。さらに、具体例を理解するためには、連続性の $\varepsilon$-$\delta$ 論法を用いた定義や、数列の収束の定義、実数の基本性質などを理解していることが望ましい。 現代数学では、点の集まりとしての集合に構造を付加することにより、多彩な概念を構成していく。例えば、代数学においては、集合に加法や乗法などの演算という構造を付加して群、環、体などといった概念を考える。位相空間は、集合にある種の構造を付加することで、写像の連続性や点列の収束など、ある種の「近さ」にまつわる議論を可能にしたものである。つまり、端的に言えば、位相空間とは「近さ」が定義される場所である。 座標平面 $\mathbb{R}^2$ の中には、我々が慣れ親しんだ数多くの図形、たとえば、線分、円、三角形、四角形がある。こうした図形には、自然に「近さ」の概念があると考えられるが、実際にこれらの図形は $\mathbb{R}^2$ からの相対位相という自然な方法で、位相空間とみなすことができる。しかし、図形を位相空間とみなすことは、同時に「近さ」以外の要素を捨象することでもある。その結果として、通常では同じとは思えない図形が、位相空間として同一(正式な用語では「同相」)となることがある。実際、いま述べた円、三角形、四角形はすべて互いに同相である。しかし、線分はこれらと同相ではない。このように、位相空間の立場では図形がかなり「粗く」分類されることになるが、この立場での図形の分類を目指す学問が位相幾何学である。 上に述べたことからも、位相空間論は幾何学の基礎として重要なことは推察されると思うが、位相空間論の重要性は幾何学に留まるものではない。数学の様々な分野で、直観的には図形とは思えない集合に位相空間の構造を与えることで、ある種の図形的考察が可能となる。一つ例を挙げれば、関数解析学においては、関数のなす集合に位相空間としての構造を与えることで「関数空間」をつくり、関数を点とする一種の図形として取り扱うことで解析学の問題解決に豊富な道具を提供している。
9日前
微分方程式の初歩の表紙
微分方程式の初歩
常微分方程式の初期値問題から、Sobolev空間版Gaussの発散定理、楕円型正則性、調和関数、Laplace–Poisson方程式、波動方程式へ進む。
9日前
Hilbert空間上の作用素論の表紙
Hilbert空間上の作用素論
有界・非有界作用素、射影値測度、スペクトル定理、極分解、直和・テンソル積、コンパクト作用素、摂動論、作用素イデアル、von Neumann環、解析ベクトルを体系的に扱う。
9日前
複素解析の基礎の表紙
複素解析の基礎
複素微分と正則関数、冪級数、複素線積分、Cauchy理論、Laurent展開と留数、複素Banach空間値正則関数までを扱う。
9日前
Euclid空間における微積分とベクトル解析の表紙
Euclid空間における微積分とベクトル解析
Euclid空間の多変数微分法から、Euclid空間内の多様体、微分形式、計量、Riemann測度、向き、Stokesの定理までを体系的に扱う。
9日前
測度と積分の表紙
測度と積分
測度空間論の基礎用語から、測度と積分の基本定理、$L^p$ 空間の完備性と双対性、局所コンパクトHausdorff空間上のRadon測度とLebesgue測度、Bochner積分へ進む。
10日前
位相線形空間と関数解析の基礎の表紙
位相線形空間と関数解析の基礎
ノルムと内積から、セミノルム位相・汎弱位相、Hahn–Banachの定理、Krein–Milmanの端点定理、Fréchet空間と関数解析の基本定理へ進む。
10日前
グラフ理論入門の表紙
グラフ理論入門
グラフ理論について基礎的な内容を解説する。
20231015
加法的整数論の表紙
加法的整数論
加法的整数論は、整数や自然数などの加法的な性質について扱う理論である。すなわち $\mathbb{Z}$, $\mathbb{N}$, より一般にある加法半群 $G$ の要素 $g$ を、$G$ の部分集合 $A_1, A_2, \ldots, A_k$ の要素の和 $$g=a_1+a_2+\ldots +a_k\ (a_i\in A_i)$$ としてあらわす方法について扱う理論である。 すべての自然数が$4$つの平方数の和であらわされるというLagrangeの定理、 $4$ 以上のすべての偶数が$2$つの素数の和であらわされるというGoldbachの予想、 与えられた数 $n$ 以下のすべての整数が、ある部分集合 $A$ について、一定の個数以下の $A$ の要素の和であらわされるとき、 そのような部分集合 $A$ で要素の数が可能な限り少ないものをもとめる郵便切手の問題などが加法的整数論で取り扱われる。
2023929

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