非輪状空間(acyclic space)とは、空でない位相空間で、整数係数の被約ホモロジー群がすべて $0$ であるもの、すなわちホモロジーでは一点と区別できない空間である。非輪状であることは、任意の係数の被約ホモロジーや被約コホモロジーがすべて消えることと同値で、その基本群は完全群になる。非輪状な CW 複体が可縮であるための必要十分条件は単連結であることであり、2 つの円周に 2 つの 2 胞体を貼った Hatcher の複体や、Poincaré ホモロジー球面から開球体を除いた多様体は、非輪状だが可縮でない例である。
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Galoisコホモロジー(Galois cohomology)とは、体 $k$ の絶対 Galois 群 $G_k = \operatorname{Gal}(k^{\mathrm{s}}/k)$ が連続に作用する離散加群 $M$ について、連続コチェインを用いて定める群コホモロジー $H^n(k, M) = H^n(G_k, M)$ のことである。正の次数では捩れ群になる。Hilbert の定理 90 により $H^1(k, \mathbb{G}_m) = 0$ であり、$n$ が標数で割り切れなければ $H^1(k, \mu_n) \cong k^\times/(k^\times)^n$ となる(Kummer 理論)。$H^2(k, \mathbb{G}_m)$ は体の Brauer 群であり、非可換な $H^1$ は代数的対象の捻れた形を分類する。
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車輪グラフ(wheel graph)とは、$n\ge3$ について閉路 $C_n$ のすべての頂点を新しい頂点(ハブ)と結んだ $n+1$ 頂点 $2n$ 辺の単純グラフ $W_n$ であり、$W_3$ は完全グラフ $K_4$ である。$W_n$ は 3-連結な平面グラフで、彩色数は $n$ が偶数なら $3$、奇数なら $4$、彩色多項式は $k((k-2)^n+(-1)^n(k-2))$ である。全域木の個数は Lucas 数を使って $L_{2n}-2$ と表され、外周の切り方とスポークの選び方を $2\times2$ 行列の冪の跡で数えて求められる。標準的な描画の双対グラフは $W_n$ 自身と同型であり、車輪はすべての 3-連結グラフを辺の操作で作る構成の出発点にもなる。
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推移的集合(transitive set)とは、元がすべて部分集合でもある集合、すなわち $y\in x\in A$ ならば $y\in A$ となる集合 $A$ のことであり、$\bigcup A\subset A$ とも言い換えられる。順序数・自然数・累積階層の各段階は推移的で、任意の集合はそれを含む最小の推移的集合である推移閉包をもつ。正則性公理のもとでは、推移的でその元もすべて推移的な集合はちょうど順序数であり、集合の上の整礎的で外延的な関係はすべてある推移的集合の上の所属関係と同型になる(Mostowski の崩壊定理)。推移的集合の中では有界な論理式の真偽が変わらないので、集合論のモデルを作るときの基本的な枠組みになる。
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随伴関手定理(adjoint functor theorem)とは、極限を保つ関手が左随伴をもつための十分条件を与える定理である。Freyd の一般随伴関手定理によれば、局所小で完備な圏 $\mathcal A$ からの関手 $G$ が左随伴をもつことは、$G$ が小さい極限を保ち、各対象 $X$ から $G$ への射がある小さい族のどれかを通るという解集合条件を満たすことと同値である。特殊随伴関手定理によれば、$\mathcal A$ がさらに整冪で小さい余生成集合をもち、行き先の圏が局所小なら、極限を保つ関手はそれだけで左随伴をもつ。どちらの証明も各コンマ圏に始対象を作るもので、これにより自由群や Stone–Čech コンパクト化が具体的な構成によらずに得られる。
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数論幾何学(arithmetic geometry)とは、整数係数や有理数係数の多項式の方程式を代数幾何学の言葉と方法で調べる数学の分野である。同じ方程式を有理数体・代数体・実数体・$p$ 進数体・有限体の上で同時に考え、それぞれの体の上の解(有理点)の集合を比べて、解の存在・有限性・個数の増え方を多様体の幾何(種数やコホモロジー)から読み取る。たとえば 2 次曲線は有限体上で $q+1$ 個の点をもち、Hensel の補題で $p$ 進点に持ち上がり、Legendre の定理により局所的な点の存在が有理点の存在と同値になる。主な成果に Mordell–Weil の定理、Faltings の定理、Weil 予想があり、Birch–Swinnerton-Dyer 予想などの予想が研究されている。
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Artin L関数(Artin L-function)とは、代数体の Galois 拡大 $L/K$ の Galois 群の有限次元複素表現 $\rho$ に対し、各素イデアル $\mathfrak{p}$ で惰性群の不変部分への Frobenius 元の作用の固有多項式 $\det(1-\varphi N\mathfrak{p}^{-s})$ の逆数を掛け合わせた関数であり、$\operatorname{Re}s>1$ で絶対収束する。直和で積に、誘導表現で中間体の $L$ 関数に移るので、$\zeta_L$ は既約指標 $\chi$ の Artin L 関数の $\chi(1)$ 乗の積に分解する。1 次元の場合は類体論により Hecke の $L$ 関数と一致する。自明でない既約表現の $L$ 関数が全平面で正則であるという Artin 予想は、一般には未解決である。
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Borel部分群(Borel subgroup)とは、代数閉体上の連結な線型代数群 $G$ の連結で可解な閉部分群のうち、包含関係について極大なもののことである。一般線形群 $GL_n$ では、Borel 部分群はちょうど完全旗の固定部分群、すなわち上三角行列の群 $B_n$ の共役であり、これは Borel の固定点定理から導かれる Lie–Kolchin の定理による。一般の $G$ でも、Borel 部分群はすべて互いに共役で、商 $G/B$ は射影多様体(旗多様体)になり、$B$ は自身の正規化群に一致する。Borel 部分群を含む部分群が放物型部分群であり、極大トーラス・Weyl 群・BN 対とともに簡約群の構造論の土台になる。
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p群(p-group)とは、素数 $p$ について、すべての元の位数が $p$ の冪である群のことであり、有限群では位数が $p$ の冪であることと同値である。有限 $p$ 群が有限集合に作用すると、集合の元の個数と固定点の個数は $p$ を法として合同になり、ここから中心が自明でないこと、中心的な正規部分群の鎖をもち冪零群であること、$\mathbb{F}_p$ 上の上三角単数行列の群の部分群として実現できることが従う。Sylow の定理により任意の有限群は Sylow $p$ 部分群として $p$ 群を含み、$p$ 群は有限群の構造を素数ごとに調べるための基本の部品である。
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$E_n$ オペラッド($E_n$-operad)とは、単位立方体の中に互いに交わらない小立方体を並べる仕方の空間がなす小立方体オペラッド $\mathcal{C}_n$ と、各項が弱ホモトピー同値であるオペラッドの射の列で結ばれ、対称群が各項に自由に作用する位相空間のオペラッドである。$\mathcal{C}_n$ の $j$ 項演算の空間は $\mathbb{R}^n$ の $j$ 点の配置空間とホモトピー同値で、$n$ 重ループ空間は $\mathcal{C}_n$ の代数になり、逆に弧状連結な $\mathcal{C}_n$ 代数は $n$ 重ループ空間と弱同値である(May の認識原理)。$n=1$ では積はホモトピーを除いて結合的で、$n\ge2$ では連結成分のモノイドが可換になり、$E_\infty$ オペラッドは、作用が自由で各項が弱可縮なものとして特徴づけられる。
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