カップ積(cup product)とは、可換環 $R$ 係数の特異余鎖 $\varphi\in C^k(X;R)$、$\psi\in C^\ell(X;R)$ に、特異単体の前の $k$ 面での $\varphi$ の値と後ろの $\ell$ 面での $\psi$ の値の積を対応させる余鎖 $\varphi\smile\psi$ のことで、コホモロジーに双線形な積を誘導する。これにより $H^*(X;R)$ は次数付き可換な環(コホモロジー環)になり、連続写像の引き戻しは環準同型なので、環の構造はホモトピー型の不変量である。たとえばトーラスと $S^1\vee S^1\vee S^2$ はコホモロジー群が同型だが環が異なり、ホモトピー同値でない。
9時間前
Langleyの整数角の問題(Langley's adventitious angles)とは、$\angle B=\angle C=80^\circ$ の二等辺三角形 $ABC$ で、辺 $CA$ 上に $\angle CBD=60^\circ$ となる点 $D$、辺 $AB$ 上に $\angle BCE=50^\circ$ となる点 $E$ をとったとき、$\angle BDE$ を求める問題である。答えはちょうど $30^\circ$ で、内角の和だけでは決まらない。$\angle CBG=20^\circ$ となる点 $G$ を辺 $CA$ の上にとる補助線の証明と、正弦定理と恒等式 $\sin20^\circ\sin40^\circ\sin80^\circ=\frac{\sqrt3}{8}$ による証明がある。角の条件を $1^\circ$ 変えると答えは整数の度数でなくなる。
9時間前
直和(direct sum)とは、環 $R$ 上の加群の族 $(M_i)_{i\in I}$ から、有限個を除く成分が $0$ である元の族の全体として作る加群 $\bigoplus_{i\in I}M_i$、および加群の各元が部分加群の元の和にただ 1 通りに書けるという分解(内部直和)のことである。直和は加群の圏の余積であり、直和からの準同型を与えることは、各 $M_i$ からの準同型を独立に選ぶことと同じである。有限個の族では直和と直積は一致するが、無限個の $0$ でない加群の族では直和は直積より真に小さい。短完全列 $0\to A\to B\to C\to0$ が分裂することは、$B$ が射と両立する形で $A\oplus C$ に同型であることと同値である。
9時間前
Lie環(Lie algebra)とは、体 $K$ 上のベクトル空間 $\mathfrak{g}$ に、双線形で $[x,x]=0$ と Jacobi 恒等式 $[x,{[y,z]}]+[y,{[z,x]}]+[z,{[x,y]}]=0$ を満たす括弧積 $[\cdot,\cdot]$ を与えたものである。行列の交換子 $XY-YX$、空間ベクトルの外積、ベクトル場の Lie 括弧が代表例であり、Jacobi 恒等式は $\operatorname{ad}x=[x,\cdot]$ が括弧積の導分であることと同値である。Lie 群の単位元の近くの構造を記録し、群の交換子 $e^{tX}e^{tY}e^{-tX}e^{-tY}$ の $I$ からのずれの最初の項 $t^2[X,Y]$ を与える。
9時間前
線形微分方程式(linear differential equation)とは、未知関数とその導関数について 1 次式の常微分方程式であり、連立の形 $x'=A(t)x+b(t)$ や $n$ 階の形 $y^{(n)}+a_{n-1}(t)y^{(n-1)}+\dots+a_0(t)y=g(t)$ で表される。係数が連続なら初期値を与えた解は区間全体で存在してただ 1 つに決まり、斉次方程式の解の全体は $n$ 次元のベクトル空間になる。基本解系は Wronski 行列式で判定でき、非斉次方程式は定数変化法で解ける。定数係数なら特性多項式の根 $\lambda$ から $t^ke^{\lambda t}$ の形の基本解系が得られ、共振もこれで説明できる。
9時間前
測度(measure)とは、集合 $X$ 上の σ-代数の各元に $0$ 以上 $\infty$ 以下の値を割り当てる写像で、空集合に $0$ を与え、互いに交わらない可算個の集合の和集合の値が各値の和に等しい(可算加法性)ものである。個数・長さ・面積・確率に共通する加法性を抽象化したもので、数え上げ測度、Dirac 測度、Lebesgue 測度、確率測度が代表例である。単調性、可算劣加法性、単調な列についての連続性、有限の値での包除原理、Borel–Cantelli の補題が定義から従い、Lebesgue 積分と確率論の土台となる。
9時間前
領域を使った最大・最小(extrema over regions)とは、領域 $D$ の上で関数 $f(x,y)$ の最大・最小を、$f(x,y)=k$ とおいた図形(等高線)が $D$ と共有点をもつ $k$ の範囲として求める方法である。$k$ が値としてとられることと等高線が $D$ と共有点をもつことは同値なので、図形の問題に変わる。円の周と内部 $(x-a)^2+(y-b)^2\le r^2$ では、1 次式 $px+qy$($(p,q)\ne(0,0)$)の値の範囲は中心での値から $r\sqrt{p^2+q^2}$ だけ上下した閉区間で、端の値は直線が円に接する点でとる。領域が円の一部なら、接点が領域に入るかを確かめ、入らなければ境界の端の点などを調べる。領域に穴がある場合、有界でない場合、境界を含まない場合には、接するときの $k$ が最大値・最小値にならないことがある。
9時間前
Stokesの定理(Stokes' theorem)とは、向き付けられた $n$ 次元の境界付き多様体 $M$ と、コンパクトな台をもつ $(n-1)$ 次の微分形式 $\omega$ について $\int_Md\omega=\int_{\partial M}\omega$ が成り立つという定理である。境界 $\partial M$ には外向きの法線を先頭に置く規約で向きを入れる。$n=1$ では微分積分学の基本定理、平面では Green の定理、空間では発散定理と回転の定理になる。境界のないコンパクトな多様体では完全形式の積分が $0$ になるので、積分が $0$ でない閉形式は完全形式でないと分かり、de Rham コホモロジーを積分で調べる出発点になる。
9時間前
射影直線(projective line)とは、体 $k$ 上では、原点を通る直線の全体 $(k^2\setminus\{0\})/k^\times$ として $k$ に無限遠点 $\infty$ を 1 つ加えた集合 $k\cup\{\infty\}$ であり、スキームとしては 2 本のアフィン直線を $t\leftrightarrow1/t$ で貼り合わせたもの、あるいは次数付き環 $k[x_0,x_1]$ の Proj である。大域切断が定数だけなのでアフィンでない曲線の最も簡単な例であり、1 次分数変換の群 $\mathrm{PGL}_2(k)$ が相異なる 3 点を 3 点にただ 1 通りに写し、複比はその不変量である。実数上では円、複素数上では Riemann 球面になり、種数 $0$ の曲線の原型である。
9時間前
行列の指数関数(matrix exponential)とは、正方行列 $A$ に対して級数 $e^A=\sum_{k\ge0}A^k/k!$ で定まる行列であり、この級数はどの $A$ についても絶対収束する。$t\mapsto e^{tA}$ は $\frac{d}{dt}e^{tA}=Ae^{tA}$ を満たし、連立の線形微分方程式 $x'=Ax$ の解を $e^{tA}x(0)$ と表す。$AB=BA$ なら $e^{A+B}=e^Ae^B$ が成り立つが、可換でないと成り立たないことがある。対角化や Jordan 標準形で計算でき、$\det e^A=e^{\operatorname{tr}A}$ が成り立つ。
9時間前