Sobolevの埋め込み定理(Sobolev embedding theorem)とは、弱微分が $L^p$ に入る関数の空間 $W^{1,p}$ や $W^{m,p}$ が、次元 $n$ と指数の関係に応じて $L^q$ 空間や連続関数の空間に評価つきで含まれることを述べる定理である。$\mathbb R^n$ 上では、$1\le p< n$ なら $p\le q\le np/(n-p)$ の $L^q$ へ、$p=n\ge2$ なら有限な $q\ge n$ の $L^q$ へ埋め込まれ、$n< p<\infty$ なら各元は有界で指数 $1-n/p$ の Hölder 連続な代表をもつ。高階の場合は $1/p-m/n$ の符号で同じ 3 つの場合に分かれ、境界が $C^1$ 級で有界な領域などへは延長作用素で移せる。
前提知識: 弱微分, Sobolev空間の基本事項, Lp空間, Hölderの不等式
Sobolev 空間 $W^{1,p}$ の元は、弱微分が $p$ 乗可積分であることしか仮定されていない。それでも次元 $n$ と指数 $p$ の大小に応じて、関数自身はより高い可積分性をもち、$p>n$ なら連続にさえなる。この現象を、ノルムの評価つきの包含 $W^{1,p}\subset L^q$ や $W^{1,p}\subset C$ として述べたものが Sobolev の埋め込み定理である。微分の情報を関数の大きさや連続性の情報に変えるので、偏微分方程式の弱解の正則性や、非線形項の評価の基本の道具になる。
この記事で示すことは次のとおりである。
$n\ge1$ とし、関数は実数値とする(複素数値なら実部と虚部に分けて当てはめる)。$W^{k,p}(\Omega)$、そのノルム $\|u\|_{W^{k,p}}$、弱勾配 $\nabla u$ は Sobolev空間の基本事項 と 弱微分 のとおりとし、$\|\nabla u\|_p$ は $|\nabla u|$(Euclid ノルム)の $L^p$ ノルムを表す。$|\nabla u|\le\sum_j|\partial_ju|$ から $\|\nabla u\|_p\le n\|u\|_{W^{1,p}}$ である。$1\le p< n$ について
$$
p^*:=\frac{np}{n-p},\qquad\frac1{p^*}=\frac1p-\frac1n
$$
を $p$ の Sobolev 共役指数という(Sobolevの不等式 の定義「Sobolev共役指数」)。
ノルム空間 $X$、$Y$ について $X\subset Y$ であり、ある定数 $C$ ですべての $u\in X$ について $\|u\|_Y\le C\|u\|_X$ が成り立つとき、$X$ は $Y$ に連続に埋め込まれるといい、$X\hookrightarrow Y$ と書く。$Y$ が連続関数の空間のときは、「$X$ の各元がほとんど至る所等しい連続関数(連続な代表)をもち、その代表について評価が成り立つ」という意味に読む。
埋め込みの定数は $n$、$p$、$q$(と領域)だけに依存し、$u$ にはよらない。どの $q$ に埋め込めるかは次のスケーリングで決まる。$\varphi\in C_c^\infty(\mathbb R^n)$ と $\lambda>0$ について $\varphi_\lambda(x):=\varphi(\lambda x)$ とおくと
$$
\|\varphi_\lambda\|_q=\lambda^{-n/q}\|\varphi\|_q,\qquad\|\nabla\varphi_\lambda\|_p=\lambda^{1-n/p}\|\nabla\varphi\|_p
$$
である。$\lambda\to\infty$(関数を細く高くする)で両辺の冪を比べると $q\le p^*$ が必要になり、$\lambda\to0$(関数を広げる)で比べると $q\ge p$ が必要になる(反例の表)。
証明には、$C_c^1(\mathbb R^n)$ の関数に対する 2 つの評価を使う。
$n\ge2$ とする。すべての $u\in C_c^1(\mathbb R^n)$ について
$$
\|u\|_{L^{n/(n-1)}(\mathbb R^n)}\le\|\nabla u\|_{L^1(\mathbb R^n)}
$$
が成り立つ(Bre11 Theorem 9.9 の証明の式 (19)、p. 280)。
要点:各座標方向の直線に沿って積分すると $|u(x)|\le f_j(\hat x_j)$($\hat x_j$ は $x_j$ を除いた座標)となり、$n$ 個の不等式を掛けて $(n-1)$ 乗根をとり、座標を 1 つずつ除いた関数の積の積分の評価(Loomis–Whitney 型の補題)を使う。
$x\in\mathbb R^n$ について $\hat x_j:=(x_1,\dots,x_{j-1},x_{j+1},\dots,x_n)\in\mathbb R^{n-1}$ と書く。
補題:$n\ge2$、$g_1,\dots,g_n\ge0$ を $\mathbb R^{n-1}$ 上の可測関数とすると $\int_{\mathbb R^n}\prod_{j=1}^ng_j(\hat x_j)\,dx\le\prod_{j=1}^n\|g_j\|_{L^{n-1}(\mathbb R^{n-1})}$ である。$n=2$ では左辺は $\iint g_1(x_2)g_2(x_1)\,dx_1dx_2=\|g_1\|_1\|g_2\|_1$ である。$n$ で成り立つとして $n+1$ 個の関数 $g_1,\dots,g_{n+1}\ge0$($\mathbb R^n$ 上)を考える。$x_{n+1}$ を固定すると $g_{n+1}(\hat x_{n+1})$ は $x_{n+1}$ によらないので、Hölder の不等式(指数 $n$ と $n'=n/(n-1)$)から $$\int_{\mathbb R^n}\prod_{j=1}^{n+1}g_j\,dx_1\cdots dx_n\le\|g_{n+1}\|_{L^n(\mathbb R^n)}\Bigl(\int_{\mathbb R^n}\prod_{j=1}^ng_j^{n'}\,dx_1\cdots dx_n\Bigr)^{1/n'}$$ である。$j\le n$ の $g_j^{n'}$ は、$x_{n+1}$ を固定すると $(x_1,\dots,x_n)$ から $x_j$ を除いた $n-1$ 変数の関数なので、帰納法の仮定から括弧の中は $\prod_{j\le n}\|g_j^{n'}\|_{L^{n-1}}=\prod_{j\le n}h_j(x_{n+1})^{n'}$ 以下である。ここで $h_j(x_{n+1})$ は $x_{n+1}$ を固定した $g_j$ の $L^n(\mathbb R^{n-1})$ ノルムで、$(g^{n'})^{n-1}=g^n$ を使った。$x_{n+1}$ について積分し、$n$ 個の関数 $h_j\in L^n(\mathbb R)$ の積に Hölder の不等式を使うと $\int\prod_{j\le n}h_j\,dx_{n+1}\le\prod_{j\le n}\|h_j\|_{L^n(\mathbb R)}=\prod_{j\le n}\|g_j\|_{L^n(\mathbb R^n)}$ なので、$n+1$ の場合が従う(Bre11 Lemma 9.4、pp. 278–279)。
評価:$u\in C_c^1(\mathbb R^n)$ と各 $j$ について、$x_j$ 以外を固定して $-\infty$ から積分すると $|u(x)|\le f_j(\hat x_j):=\int_{\mathbb R}|\partial_ju(x_1,\dots,x_{j-1},t,x_{j+1},\dots,x_n)|\,dt$ である。$n$ 個を掛けて $(n-1)$ 乗根をとると $|u(x)|^{n/(n-1)}\le\prod_jf_j(\hat x_j)^{1/(n-1)}$ である。補題を $g_j:=f_j^{1/(n-1)}$ に当てると、Fubiniの定理 から $\|g_j\|_{L^{n-1}}=\|f_j\|_{L^1(\mathbb R^{n-1})}^{1/(n-1)}=\|\partial_ju\|_{L^1(\mathbb R^n)}^{1/(n-1)}$ なので $\int|u|^{n/(n-1)}\le\prod_j\|\partial_ju\|_1^{1/(n-1)}$ である。よって $\|u\|_{n/(n-1)}\le\prod_j\|\partial_ju\|_1^{1/n}\le\|\nabla u\|_1$ である。$\square$
$n< p<\infty$ とし、$Q\subset\mathbb R^n$ を各辺が座標軸に平行で一辺の長さ $r$ の開立方体、$u_Q:=|Q|^{-1}\int_Qu$ を $Q$ の上の平均とする。すべての $u\in C^1(\mathbb R^n)$ と $x\in Q$ について
$$
|u(x)-u_Q|\le C_0\,r^{1-n/p}\|\nabla u\|_{L^p(Q)},\qquad C_0:=\frac{\sqrt n}{1-n/p}
$$
が成り立つ(Bre11 Theorem 9.12 の証明の式 (27)、p. 283)。
要点:$x$ と $Q$ の点 $y$ を結ぶ線分に沿って $u(x)-u(y)$ を積分で表し、$y$ について $Q$ の上で平均してから Hölder の不等式を使う。
平行移動して $x=0$ としてよい($Q$ は $0$ を含む)。$y\in Q$ について $u(y)-u(0)=\int_0^1\nabla u(ty)\cdot y\,dt$ であり、$0$ と $y$ が $Q$ に入るので各座標で $|y_i|< r$、したがって $|y|\le\sqrt n\,r$ である。よって $|u(y)-u(0)|\le\sqrt n\,r\int_0^1|\nabla u(ty)|\,dt$ である。$y$ について $Q$ の上で平均し、$z=ty$ と変数変換すると $$|u_Q-u(0)|\le\frac{\sqrt n\,r}{r^n}\int_0^1\int_Q|\nabla u(ty)|\,dy\,dt=\frac{\sqrt n}{r^{n-1}}\int_0^1\frac1{t^n}\int_{tQ}|\nabla u(z)|\,dz\,dt$$ である。$Q$ は凸で $0$ を含むので $0< t\le1$ なら $tQ\subset Q$ であり、Hölder の不等式から $\int_{tQ}|\nabla u|\le\|\nabla u\|_{L^p(Q)}|tQ|^{1-1/p}=\|\nabla u\|_{L^p(Q)}(tr)^{n(1-1/p)}$ である。代入すると $$|u_Q-u(0)|\le\sqrt n\,r^{1-n/p}\|\nabla u\|_{L^p(Q)}\int_0^1t^{-n/p}\,dt=\frac{\sqrt n}{1-n/p}\,r^{1-n/p}\|\nabla u\|_{L^p(Q)}$$ であり、$p>n$ なので最後の積分は有限である。$\square$
密度への帰着。 $1\le p<\infty$ なら $C_c^\infty(\mathbb R^n)$ は $W^{1,p}(\mathbb R^n)$ で稠密である(Bre11 Theorem 9.2、pp. 265–267)。そこで各評価をまず $u\in C_c^1(\mathbb R^n)$ について示す。一般の $u$ には $W^{1,p}$ で $u$ に収束する $u_k\in C_c^\infty$ をとり、部分列に移ってほとんど至る所 $u_k\to u$ としておく。1・2 の $L^q$ ノルムの評価は Fatouの補題 により $\|u\|_q\le\liminf_k\|u_k\|_q$ から極限へ移る。3 は後で述べる。
1 の証明。 $p=1$ は lem-se-gagliardo そのものである(定数は $1$)。$1< p< n$ とし、$\gamma:=p(n-1)/(n-p)>1$ とおく。$t\mapsto|t|^\gamma$ は $C^1$ 級なので $v:=|u|^\gamma\in C_c^1(\mathbb R^n)$ で、$|\nabla v|\le\gamma|u|^{\gamma-1}|\nabla u|$ である。$v$ に lem-se-gagliardo を当て、Hölderの不等式 を共役指数 $p'=p/(p-1)$ で使うと
$$
\|u\|_{\gamma n/(n-1)}^{\gamma}=\|v\|_{n/(n-1)}\le\gamma\int|u|^{\gamma-1}|\nabla u|\le\gamma\,\|u\|_{(\gamma-1)p'}^{\gamma-1}\,\|\nabla u\|_p
$$
を得る。$\gamma$ の選び方から $\gamma n/(n-1)=(\gamma-1)p'=p^*$ であり、$u$ は台がコンパクトなので $\|u\|_{p^*}<\infty$ である。$u\neq0$ なら両辺を $\|u\|_{p^*}^{\gamma-1}$ で割って $\|u\|_{p^*}\le\gamma\|\nabla u\|_p$ を得る。$p\le q\le p^*$ なら $1/q=\theta/p+(1-\theta)/p^*$ となる $\theta\in[0,1]$ があり、Hölder の不等式と $a^\theta b^{1-\theta}\le a+b$($a,b\ge0$)から $\|u\|_q\le\|u\|_p^\theta\|u\|_{p^*}^{1-\theta}\le\|u\|_p+\|u\|_{p^*}\le(1+n\gamma)\|u\|_{W^{1,p}}$ である。
2 の証明。 $n\ge2$ とし、$n':=n/(n-1)$ と書く。整数 $m\ge2$ について、1 の証明と同じ計算を $|u|^m$ に当てると(Hölder の不等式は指数 $n'$ と $n$ で使う)
$$
\|u\|_{mn'}^m\le m\,\|u\|_{(m-1)n'}^{m-1}\,\|\nabla u\|_n
$$
となる。両辺の $m$ 乗根をとり $a^{(m-1)/m}b^{1/m}\le a+b$ を使うと $\|u\|_{mn'}\le m^{1/m}\bigl(\|u\|_{(m-1)n'}+\|\nabla u\|_n\bigr)$ である。$m=n$ のとき右辺の指数は $(n-1)n'=n$ なので $\|u\|_{nn'}\le C\|u\|_{W^{1,n}}$ を得る。$m=n+1,n+2,\dots$ と順に当てはめれば、すべての $m\ge n$ について $\|u\|_{mn'}\le C_m\|u\|_{W^{1,n}}$ となる。$mn'\to\infty$ なので、1 の証明と同じ補間で $n\le q<\infty$ のすべてに評価が及ぶ。
$n=1$ のときは $u(x)=\int_{-\infty}^xu'(t)\,dt$ から $\|u\|_\infty\le\|u'\|_1$ であり、$1\le q<\infty$ には $\|u\|_q^q\le\|u\|_\infty^{q-1}\|u\|_1$ を使う。$L^\infty$ の評価は Fatou の補題の代わりに、ほとんど至る所の収束から直接極限へ移る。
3 の証明。 $u\in C_c^1(\mathbb R^n)$ とする。$x\neq y$ について、中心が $(x+y)/2$ で一辺の長さ $r:=2|x-y|$ の開立方体 $Q$ は $x,y$ を含むので、lem-se-morrey-cube を $x$ と $y$ に当てて三角不等式を使うと
$$
|u(x)-u(y)|\le2C_0(2|x-y|)^{1-n/p}\|\nabla u\|_p
$$
である。また $x$ を含む一辺 $1$ の立方体 $Q$ をとると、Hölder の不等式から $|u_Q|\le\|u\|_{L^p(Q)}$ なので $|u(x)|\le\|u\|_p+C_0\|\nabla u\|_p$ である。
一般の $u\in W^{1,p}(\mathbb R^n)$ では、上の $u_k$ について $\sup|u_k-u_l|\le(1+nC_0)\|u_k-u_l\|_{W^{1,p}}\to0$ なので、$u_k$ はある連続関数 $\tilde u$ に一様収束する。$u_k\to u$ がほとんど至る所成り立つので $\tilde u=u$ がほとんど至る所成り立ち、2 つの評価は $u_k$ についての評価から極限で従う。$\square$
2 の $n\ge2$ の場合、$W^{1,n}$ は $L^\infty$ へは連続に埋め込まれない。$W^{1,n}$ ノルムが有界なまま一様ノルムが発散する関数の族があるからである(Sobolevの不等式 の例「臨界の場合に有界性が出ない反例」。その代わりに成り立つ評価は同じ記事の注意「臨界指数で残る正則性」)。$p=\infty$ では、$W^{1,\infty}(\mathbb R^n)$ の元は Lipschitz 連続な代表をもつ(Bre11 Remark 7、p. 269。弱微分 の定理「平行移動の差による特徴づけ」から導かれる)。
$W^{m,p}$ の元は $m$ 階まで弱微分をもつので、1 階の埋め込みを繰り返し使える。1 回使うごとに逆数 $1/p$ が $1/n$ ずつ減るので、決め手は $1/p-m/n$ の符号である。
$m\ge1$ を整数、$1\le p<\infty$ とする。
$m$ についての帰納法で示す。$m=1$ は thm-se-main である($1/p-1/n$ の符号は $p$ と $n$ の大小で決まる。$n=1$、$p=1$ は 2 にあたる)。$m\ge2$ とし、$m-1$ ではすべての $p$ について成り立つとする。$u\in W^{m,p}(\mathbb R^n)$ と $|\alpha|\le m-1$ について、弱微分 の命題「弱微分の基本性質」の 4 により $D^\alpha u\in W^{1,p}(\mathbb R^n)$ で、その弱微分は $u$ の $m$ 階以下の弱微分である。
$p< n$ の場合。 thm-se-main の 1 を各 $D^\alpha u$ に当てると $\|D^\alpha u\|_{p^*}\le C\|u\|_{W^{m,p}}$ なので、$u\in W^{m-1,p^*}$ で $\|u\|_{W^{m-1,p^*}}\le C\|u\|_{W^{m,p}}$ である。$1/p^*-(m-1)/n=1/p-m/n$ なので、帰納法の仮定(指数 $p^*$)から、1・2・3 の各場合に $u\in L^q$(1 では $p^*\le q\le q_m$、2 では $p^*\le q<\infty$)または $u\in L^\infty$ が評価つきで従う。$u\in L^p$ と合わせ、thm-se-main の証明と同じ補間で 1・2 の $p\le q$ の範囲全体に評価が及ぶ。
$p=n$ の場合。 $1/p-m/n=(1-m)/n<0$ なので 3 を示せばよい。thm-se-main の 2 により、$n< q<\infty$ をとると $\|D^\alpha u\|_q\le C\|u\|_{W^{m,p}}$ で、$u\in W^{m-1,q}$ である。$m-1\ge1$ なので $1/q-(m-1)/n<1/n-1/n=0$ であり、帰納法の仮定の 3 から $u\in L^\infty$ で連続な代表をもつ。
$p>n$ の場合。 やはり 3 を示せばよく、$u\in W^{1,p}$ に thm-se-main の 3 を当てればよい。$\square$
$m-n/p>0$ が整数でないときは、さらに $k:=\lfloor m-n/p\rfloor$ 階までの導関数が有界連続で、$k$ 階の導関数が指数 $m-n/p-k$ の Hölder 連続性をもつ(Bre11 Corollary 9.13 の後半、p. 284。この記事では証明しない)。また $p=1$、$m=n$ では 2 より強く $W^{n,1}(\mathbb R^n)\hookrightarrow L^\infty$ が成り立つが、$p>1$、$m=n/p$ では一般には $L^\infty$ へは埋め込まれない(同 Remark 13、p. 284)。
全空間の結果を領域へ移すには、領域上の関数を全空間へ延ばす作用素を使う。$\Omega\subset\mathbb R^n$ を、境界が有界な $C^1$ 級の開集合(たとえば境界が $C^1$ 級の有界領域)または半空間 $\{x_n>0\}$ とする。このとき $1\le p\le\infty$ について、線形写像 $P\colon W^{1,p}(\Omega)\to W^{1,p}(\mathbb R^n)$ で、$Pu$ の $\Omega$ への制限が $u$ で、$\|Pu\|_{W^{1,p}(\mathbb R^n)}\le C\|u\|_{W^{1,p}(\Omega)}$ となるものがある(Bre11 Theorem 9.7、pp. 272–273。この記事では証明しない)。
$\Omega$ を上のとおりとし、$1\le p<\infty$ とする。
1・2:$\|u\|_{L^q(\Omega)}\le\|Pu\|_{L^q(\mathbb R^n)}\le C\|Pu\|_{W^{1,p}(\mathbb R^n)}\le C'\|u\|_{W^{1,p}(\Omega)}$ であり、真ん中の不等式は thm-se-main である。$p>n$ では $Pu$ の連続な代表を $\overline\Omega$ に制限し、thm-se-main の 3 の評価に $\|\nabla(Pu)\|_p\le nC\|u\|_{W^{1,p}(\Omega)}$ を使う。3:$\Omega$ の測度が有限なので、Hölder の不等式から $\|u\|_{L^q(\Omega)}\le|\Omega|^{1/q-1/p}\|u\|_{L^p(\Omega)}$ である。高階の場合は、$|\alpha|\le m-1$ の $D^\alpha u\in W^{1,p}(\Omega)$ に 1・2 を当てて prf-se-higher と同じ帰納法をたどればよい。$\square$
境界の正則性は外せない。互いに素で半径が $0$ に近づく小さな球を可算個集めた有界開集合では、各球の上で定数の関数を使って埋め込みが壊れる(Sobolevの不等式 の例「任意の有界開集合では埋め込みが壊れる」)。一方、零境界値の空間 $W^{1,p}_0(\Omega)$ では、1 の埋め込みが任意の開集合で成り立つ。$u$ に $W^{1,p}$ で収束する $C_c^\infty(\Omega)$ の列を $0$ で延ばすと $W^{1,p}(\mathbb R^n)$ の Cauchy 列になり、その極限が $u$ の $0$ による延長なので、thm-se-main をそのまま当てられるからである。
$\Omega$ が境界が $C^1$ 級の有界領域なら、cor-se-domain の埋め込みのうち $q< p^*$($p< n$)の場合はコンパクトでもある。すなわち $W^{1,p}(\Omega)$ の有界列は $L^q(\Omega)$ で収束する部分列をもつ(Rellich–Kondrachovの定理、Bre11 Theorem 9.16、p. 285)。臨界指数 $q=p^*$ では埋め込みは連続だがコンパクトではない。関数を細く高くするスケーリングで、ノルムを保ったまま $0$ にほとんど至る所収束する列が作れるからである(Sobolevの不等式 の例「臨界埋め込みがコンパクトでない反例」)。全空間 $\mathbb R^n$ では、平行移動で無限遠へ逃げる列があるので、どの $q$ でもコンパクトにならない(Rellich–Kondrachovの定理 の例「反例:全空間では平行移動で逃げる」)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $q\le p^*$(thm-se-main の 1) | $\varphi_\lambda(x)=\varphi(\lambda x)$、$\lambda\to\infty$ | $W^{1,p}(\mathbb R^n)\hookrightarrow L^q(\mathbb R^n)$ |
| $q\ge p$(thm-se-main の 1・2) | $(1+\lvert x\rvert^2)^{-s/2}$、$n/p< s\le n/q$ | $W^{1,p}(\mathbb R^n)\subset L^q(\mathbb R^n)$ |
| $p>n$(thm-se-main の 3) | $p=n\ge2$ で一様ノルムが発散する族 | $W^{1,p}\hookrightarrow L^\infty$ |
| Hölder 指数 $\le1-n/p$(thm-se-main の 3) | $\chi(x)\lvert x\rvert^\beta$、$1-n/p<\beta<\gamma\le1$ | 指数 $\gamma$ の Hölder 評価 |
| 境界の正則性(cor-se-domain) | 互いに素な小球の可算和 | $W^{1,p}(\Omega)\hookrightarrow L^q(\Omega)$ |
1 行目:$0\neq\varphi\in C_c^\infty(\mathbb R^n)$ について $\|\varphi_\lambda\|_q=\lambda^{-n/q}\|\varphi\|_q$、$\|\varphi_\lambda\|_{W^{1,p}}\le C(\lambda^{1-n/p}+\lambda^{-n/p})$ である。$q>p^*$ なら $-n/q>1-n/p$ なので、$\lambda\to\infty$ で $\|\varphi_\lambda\|_q/\|\varphi_\lambda\|_{W^{1,p}}\to\infty$ となり、どの定数でも評価できない。
2 行目:$q< p$ とし、$n/p< s\le n/q$ をとる。$u(x):=(1+|x|^2)^{-s/2}$ は滑らかで $|\nabla u|\le s(1+|x|^2)^{-(s+1)/2}$ であり、$sp>n$、$(s+1)p>n$ なので極座標の計算から $u,|\nabla u|\in L^p$、すなわち $u\in W^{1,p}(\mathbb R^n)$ である。一方 $sq\le n$ なので $\int_{|x|\ge1}(2|x|^2)^{-sq/2}dx=\infty$ となり、$u\notin L^q$ である。
3 行目:Sobolevの不等式 の例「臨界の場合に有界性が出ない反例」の関数族を球の外で $0$ と延ばすと(延ばした関数は連続で、3 つの領域 $|x|<\varepsilon$、$\varepsilon<|x|<1$、$|x|>1$ のそれぞれで滑らかなので、各領域で発散定理を使うと境界項は連続性から打ち消し合い、弱微分は各領域の古典微分になる)、$W^{1,n}(\mathbb R^n)$ のノルムは有界で一様ノルムは発散する。
4 行目:$n< p<\infty$ とし、$\chi\in C_c^\infty(B(0,1))$ を原点の近くで $1$ となるようにとる。弱微分 の例「冪関数 $|x|^a$」で $a=\beta>1-n/p$ とすると $|x|^\beta\in W^{1,p}(B(0,1))$ であり、Sobolev空間の基本事項 の命題「滑らかな係数との積」から $\chi|x|^\beta\in W^{1,p}(B(0,1))$ であり、台が $B(0,1)$ の中のコンパクト集合なので $0$ で延ばしても弱微分の等式は保たれ、$u:=\chi|x|^\beta\in W^{1,p}(\mathbb R^n)$ である($\beta>0$ なので $u$ 自身が連続な代表)。原点の近くで $|u(x)-u(0)|=|x|^\beta$ であり、$\beta<\gamma$ なので $|x|^\beta\le C|x|^\gamma$ は $x\to0$ で成り立たない。
5 行目:Sobolevの不等式 の例「任意の有界開集合では埋め込みが壊れる」のとおりである。
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