Dynkin図形(Dynkin diagram)とは、ルート系の基(単純ルートの集合)の各元を頂点とし、2 つの単純ルート $\alpha_i,\alpha_j$ を Cartan 整数の積 $a_{ij}a_{ji}\in\{0,1,2,3\}$ 本の辺で結び、長さが異なるときは短い方へ矢印を付けた図形のことである。図形は基のとり方によらず、ルート系を同型を除いて決め、ルート系が既約であることは図形が連結であることと同値である。単純ルートが線形独立であることから、連結な図形は $A_n$、$B_n$、$C_n$、$D_n$、$E_6$、$E_7$、$E_8$、$F_4$、$G_2$ に限られ、どれも実際に現れる。複素単純 Lie 環や Du Val 特異点の分類はこの一覧に帰着する。
ルート系は有限個のベクトルの集まりだが、基(単純ルートの集合)を 1 つ選ぶと、単純ルートどうしの角度と長さの比だけで全体が復元できる。この情報を、頂点と辺と矢印からなる小さな図にしたものが Dynkin 図形である。2 つの単純ルートのなす角は $\pi/2$、$2\pi/3$、$3\pi/4$、$5\pi/6$ のどれかで、それを $0$〜$3$ 本の辺で表す。単純ルートが線形独立であることから、連結な Dynkin 図形は $A_n$、$B_n$、$C_n$、$D_n$ の 4 系列と $E_6$、$E_7$、$E_8$、$F_4$、$G_2$ の 5 つに限られ、どれも実際にルート系から現れる。複素単純 Lie 環の分類(半単純Lie環)や、曲面の特異点の分類(Du Val特異点)は、この一覧に帰着される。この記事では、Cartan 行列と Dynkin 図形を定義し、図形がルート系を同型を除いて決めること、既約性が連結性に対応することを示したうえで、分類定理を存在まで含めて証明する。
記号は ルート系 の記事に従う。$R$ は内積 $(\ ,\ )$ をもつ有限次元実ベクトル空間 $V$ のルート系、$\alpha,\beta\in R$ に対し $n(\alpha,\beta):=2(\beta,\alpha)/(\alpha,\alpha)$、$s_\alpha$ は鏡映、$W$ は Weyl 群である。$\Delta=\{\alpha_1,\dots,\alpha_l\}$ を $R$ の基とする。
$a_{ij}:=n(\alpha_i,\alpha_j)=\dfrac{2(\alpha_j,\alpha_i)}{(\alpha_i,\alpha_i)}$ を Cartan 整数、$l$ 次の正方行列 $(a_{ij})$ を(番号づけた基 $\Delta$ に関する)$R$ の Cartan 行列(Cartan matrix)という。
$i\neq j$ とし、$m_{ij}:=a_{ij}a_{ji}$ とおく。
$R$ の基 $\Delta$ の Dynkin 図形(Dynkin diagram)とは、$\Delta$ の元を頂点とし、$i\neq j$ について頂点 $\alpha_i,\alpha_j$ を $m_{ij}=a_{ij}a_{ji}$ 本の辺で結び、$m_{ij}\ge2$ のときはその辺に、長い方のルートから短い方のルートへ向かう矢印を付けた図形である。矢印を忘れた多重グラフを Coxeter グラフという。すべての $m_{ij}$ が $1$ 以下のとき、図形は単純レース型であるという。
Cartan 行列を $(a_{ji})$(ここでの転置)で定める文献もある。矢印を短いルートへ向ける流儀は FH91 §21.1(p. 325)と同じである。単純レース型の Dynkin 図形のグラフ $\Gamma$ について、Du Val特異点 の記事で定義した Cartan 行列 $A_\Gamma$(対角成分 $2$、辺で結ばれた組の成分 $-1$)は、ここでの Cartan 行列に一致する(lem-dyn-cartan-values の 2 により、辺で結ばれた単純ルートは長さが等しく $a_{ij}=a_{ji}=-1$)。
2 つのルート系 $R\subset V$、$R'\subset V'$ の同型とは、線形同型 $\varphi\colon V\to V'$ で $\varphi(R)=R'$ かつすべての $\alpha,\beta\in R$ について $n(\varphi\alpha,\varphi\beta)=n(\alpha,\beta)$ となるもののことである(内積そのものは保たなくてよい)。
$R\subset V$、$R'\subset V'$ をルート系、$\Delta=\{\alpha_1,\dots,\alpha_l\}$、$\Delta'=\{\alpha'_1,\dots,\alpha'_l\}$ をそれぞれの基とし、すべての $i,j$ について $n(\alpha_i,\alpha_j)=n(\alpha'_i,\alpha'_j)$ とする。このとき $\varphi(\alpha_i)=\alpha'_i$ で定まる線形同型 $\varphi\colon V\to V'$ はルート系の同型である。とくに、Dynkin 図形が同型なルート系は同型である。
$\Delta,\Delta'$ は基底なので $\varphi$ は線形同型である。$s_i:=s_{\alpha_i}$、$s'_i:=s_{\alpha'_i}$ とおく。各 $j$ について
$$
\varphi(s_i\alpha_j)=\varphi(\alpha_j-n(\alpha_i,\alpha_j)\alpha_i)=\alpha'_j-n(\alpha'_i,\alpha'_j)\alpha'_i=s'_i(\varphi\alpha_j)
$$
なので、基底の上で一致する線形写像として $\varphi s_i\varphi^{-1}=s'_i$ である。ルート系 の命題「Weyl群は単純鏡映で生成される」により $W$、$W'$ はそれぞれ $s_i$、$s'_i$ で生成されるので $\varphi W\varphi^{-1}=W'$ であり、同じ命題の後半 $R=W\Delta$、$R'=W'\Delta'$ から $\varphi(R)=\varphi W\varphi^{-1}\varphi(\Delta)=W'\Delta'=R'$ である。
次に $n$ が保たれることを示す。$\alpha\in R$ を $\alpha=w\alpha_i$($w\in W$)と書くと、$s_\alpha=ws_iw^{-1}$(同記事の補題「Weyl群の有限性」の 3)なので $\varphi s_\alpha\varphi^{-1}=w's'_iw'^{-1}=s_{w'\alpha'_i}=s_{\varphi\alpha}$($w':=\varphi w\varphi^{-1}\in W'$)である。よって $\beta\in R$ について
$$
\varphi\beta-n(\alpha,\beta)\varphi\alpha=\varphi(s_\alpha\beta)=s_{\varphi\alpha}(\varphi\beta)=\varphi\beta-n(\varphi\alpha,\varphi\beta)\varphi\alpha
$$
であり、$\varphi\alpha\neq0$ から $n(\varphi\alpha,\varphi\beta)=n(\alpha,\beta)$ である。最後の主張は prop-dyn-well-defined の 1 による。$\square$
ルート系 $R$ が、空でない部分集合 $R_1,R_2$ で $R=R_1\sqcup R_2$ かつ $(R_1,R_2)=0$ となるものに分かれないとき、$R$ は既約であるという。
$R$ が既約であるための必要十分条件は、Dynkin 図形が連結であることである。
図形が連結でないとし、$\Delta=\Delta_1\sqcup\Delta_2$(空でなく、互いに辺で結ばれない、すなわち直交する)と分ける。$V_k$ を $\Delta_k$ が張る部分空間とすると $V=V_1\oplus V_2$ は直交分解で、$\alpha\in\Delta_1$ について $s_\alpha$ は $V_1$ を保ち $V_2$ を各点固定する($\Delta_2$ についても同様)。よって単純鏡映が生成する $W$ は $V_1$、$V_2$ を保ち、$R=W\Delta$ は $R_k:=R\cap V_k$ の直交する和に分かれ、$R$ は既約でない。逆に $R=R_1\sqcup R_2$(空でなく直交)とすると、$\Delta_k:=\Delta\cap R_k$ は互いに直交する。$\Delta_2=\emptyset$ なら $R_2$ は $\Delta$ が張る $V$ 全体と直交し $R_2=\emptyset$ となって矛盾するので、$\Delta_1,\Delta_2$ はともに空でなく、図形は連結でない。$\square$
$p,q,s\ge1$ について、中心の頂点から 3 本の腕が出て、腕の頂点の数が中心を含めて $p,q,s$ であるグラフ(単純な辺だけ)を $T_{p,q,s}$ と書く(Du Val特異点 の記事と同じ記号)。次の図形を考える。$\circ$ は頂点、$-$ は 1 本の辺、$\Rightarrow$ は矢印付きの 2 本の辺、$\Rrightarrow$ は矢印付きの 3 本の辺である。
| 名前 | 頂点の数 | 図形 |
|---|---|---|
| $A_n$($n\ge1$) | $n$ | $\circ-\circ-\cdots-\circ$(道) |
| $B_n$($n\ge2$) | $n$ | $\circ-\cdots-\circ\Rightarrow\circ$(端の辺が 2 本で、矢印は端の頂点へ) |
| $C_n$($n\ge3$) | $n$ | $\circ-\cdots-\circ\Leftarrow\circ$(端の辺が 2 本で、矢印は内側へ) |
| $D_n$($n\ge4$) | $n$ | $T_{2,2,n-2}$ |
| $E_6$、$E_7$、$E_8$ | $6,7,8$ | $T_{2,3,3}$、$T_{2,3,4}$、$T_{2,3,5}$ |
| $F_4$ | $4$ | $\circ-\circ\Rightarrow\circ-\circ$ |
| $G_2$ | $2$ | $\circ\Rrightarrow\circ$ |
段 1(正定値な 2 次形式への言い換え)。$e_i:=\alpha_i/\|\alpha_i\|$ とおくと、lem-dyn-cartan-values により $4(e_i,e_j)^2=m_{ij}$、$(e_i,e_j)\le0$ だから $(e_i,e_j)=-\sqrt{m_{ij}}/2$($i\neq j$)である。Coxeter グラフ $\Gamma$ に対し
$$
q_\Gamma(z):=2\Bigl\|\sum_iz_ie_i\Bigr\|^2=2\sum_iz_i^2-2\sum_{i< j}\sqrt{m_{ij}}\,z_iz_j\qquad(z\in\mathbb{R}^l)
$$
とおくと、$e_i$ は線形独立なので $q_\Gamma$ は正定値である。以下では「$q_\Gamma$ が正定値な連結な Coxeter グラフ」を決める。$m_{ij}$ がすべて $1$ 以下のとき、$q_\Gamma$ は Du Val特異点 の記事の $q_\Gamma$ と同じものである。
段 2(小さくすると値が増える)。$\Gamma'$ を、$\Gamma$ から頂点を除いたり辺の本数を減らしたりして得たグラフとする。$z\ge0$(各成分が $0$ 以上)が $\Gamma'$ の頂点の上にだけ値をもつなら、$q_\Gamma(z)\le q_{\Gamma'}(z)$ である($\Gamma$ にだけある項 $-2(\sqrt{m_{ij}}-\sqrt{m'_{ij}})z_iz_j$ は $0$ 以下)。したがって、$q_{\Gamma'}(z)=0$ となる $0$ でない $z\ge0$ をもつ $\Gamma'$ は、正定値な $\Gamma$ からは得られない。
段 3(禁止されるグラフ)。次のグラフは、書いた値の $z$ で $q=0$ となる(計算は下の「詳細」)。
(i) $2m-2m=0$。(ii) $2(1+4+3)-2\cdot2-2\sqrt3\cdot2\sqrt3=16-4-12=0$。(iii) 頂点の値の 2 乗の和は $2+2(k-1)=2k$、両端の項は $\sqrt2\cdot\sqrt2\cdot1=2$ がそれぞれ係数 $2$、内側の $k-2$ 本の辺は $2$ ずつなので $4k-4-4-4(k-2)=0$。(iv) 2 乗の和 $1+1+4k+2$、葉の 2 本の辺 $2+2$、道の $k-1$ 本の辺 $4$ ずつ、最後の辺 $\sqrt2\cdot2\cdot\sqrt2=4$ なので $2(4k+4)-2(4+4(k-1)+4)=0$。(v) 2 乗の和 $1+4+9+8+2=24$、辺 $2+6+\sqrt2\cdot3\cdot2\sqrt2+2\sqrt2\cdot\sqrt2=2+6+12+4=24$ なので $48-48=0$。
段 4(場合分け)。$\Gamma$ を $q_\Gamma$ が正定値な連結な Coxeter グラフとする。
(a) 閉路があれば、辺の本数を 1 本に減らして (i) が得られるので、$\Gamma$ は木である。
(b) 3 本の辺があり頂点が 3 つ以上なら、その辺の端点に隣り合う別の頂点があり、辺を 1 本に減らすと (ii) が得られる。よって 3 本の辺をもつのは 2 頂点の $G_2$ だけである。
(c) 以下、辺は 2 本以下とする。2 本の辺が 2 か所以上あれば、互いの距離が最小の 2 か所を結ぶ道(距離の最小性から途中の辺は 1 本)が (iii) である。よって 2 本の辺は高々 1 か所である。
(d) 2 本の辺と、次数 $3$ 以上の頂点 $b$ が両方あれば、$b$ から 2 本の辺への道と、$b$ のほかの隣接頂点 2 つで (iv) が得られる。よって 2 本の辺があれば $\Gamma$ は道で、2 本の辺の両側に $p$ 個と $q$ 個の頂点がある($p,q\ge1$)。$p\ge3$ かつ $q\ge2$(またはその逆)なら (v) を含む。残るのは $\min(p,q)=1$(端の辺が 2 本の道)と $p=q=2$ である。
(e) 辺がすべて 1 本なら、Du Val特異点 の定理「正定値な Cartan 行列をもつグラフ」により $\Gamma$ は $A_n$、$D_n$($n\ge4$)、$E_6$、$E_7$、$E_8$ のどれかである。
最後に矢印を付ける。端の辺が 2 本の道では、矢印が端の頂点へ向けば $B_n$、内側へ向けば $C_n$ で、$n=2$ では両者は同じ図形である。$p=q=2$ の道では、どちら向きの矢印も道を逆にたどれば同じ図形 $F_4$ になる。$G_2$ も同様である。これで 1 が示された。
段 5(存在)。$A_n$、$B_n$、$D_n$ は ルート系 の例「$A_{n-1}$ 型」「$B_n$ 型」「$D_n$ 型」の基から得られる($B_n$ では $\| e_{n-1}-e_n\|^2=2$、$\| e_n\|^2=1$、内積 $-1$ なので 2 本の辺で、矢印は端の $e_n$ へ向く)。単純レース型の図形はすべて lem-dyn-lattice からも得られ、$C_n$、$F_4$、$G_2$ は ex-dyn-c-f-g で作る。どの図形も連結なので、prop-dyn-irreducible によりそのルート系は既約である。表の図形は頂点の数・辺の本数・矢印の向きで互いに区別され、thm-dyn-isomorphism と prop-dyn-well-defined から一対一の対応が従う。$\square$
$\Gamma$ を頂点 $1,\dots,l$ のグラフ(辺はすべて 1 本)で、rem-dyn-convention の行列 $A_\Gamma$ が正定値なものとする。$V=\mathbb{R}^l$ に内積 $(x,y):={}^txA_\Gamma y$ を入れ、$L:=\mathbb{Z}^l$、$R:=\{x\in L\mid(x,x)=2\}$ とおく。このとき $R$ は $V$ のルート系で、標準基底 $\{\varepsilon_1,\dots,\varepsilon_l\}$ はその基であり、Dynkin 図形は $\Gamma$ である。
$x\in L$ について $(x,x)=2\sum_ix_i^2-2\sum_{\text{辺}}x_ix_j$ は偶数で、$x\neq0$ なら正定値性から $(x,x)\ge2$ である。$\{x\mid(x,x)\le2\}$ は有界で $L$ は離散的なので $R$ は有限集合である。
(RS1) $\varepsilon_i\in R$ が $V$ を張り、$0\notin R$。(RS3) $\alpha\in R$ なら $n(\alpha,\beta)=(\beta,\alpha)$ は整数行列 $A_\Gamma$ による値なので整数である。(RS2) $s_\alpha(\beta)=\beta-(\beta,\alpha)\alpha\in L$ で、鏡映は内積を保つので $s_\alpha(\beta)\in R$。(RS4) $c\alpha\in R$ なら $2c^2=2$ で $c=\pm1$。
基であること:$\{\varepsilon_i\}$ は基底である。$x=\sum c_i\varepsilon_i\in R$ を $x=x^+-x^-$($x^+:=\sum_{c_i>0}c_i\varepsilon_i$、$x^-:=\sum_{c_i<0}(-c_i)\varepsilon_i$)と分けると、$i\neq j$ で $(\varepsilon_i,\varepsilon_j)\le0$ だから $(x^+,x^-)\le0$ であり、
$$
2=(x,x)=(x^+,x^+)+(x^-,x^-)-2(x^+,x^-)\ge(x^+,x^+)+(x^-,x^-)
$$
である。$x^+,x^-$ がともに $0$ でなければ右辺は $4$ 以上で矛盾するので、係数はすべて $0$ 以上かすべて $0$ 以下である。最後に $n(\varepsilon_i,\varepsilon_j)=(A_\Gamma)_{ij}$ なので Dynkin 図形は $\Gamma$ である。$\square$
$C_n$:$s_{2e_i}$ は第 $i$ 座標の符号の反転、$s_{e_i\pm e_j}$ は符号付きの座標の入れ替えで、$R$ は符号付き置換で保たれるので (RS2) が成り立つ。(RS3) は $n(2e_i,\beta)=\beta_i$、$n(\pm e_i\pm e_j,\beta)=(\beta,\pm e_i\pm e_j)$ が $\beta\in\mathbb{Z}^n$ について整数であることから、(RS1)・(RS4) は明らか。$i< j$ について $e_i-e_j$ は連続する単純ルートの和、$e_i+e_j=(e_i-e_n)+(e_j-e_n)+2e_n$($j=n$ なら $(e_i-e_n)+2e_n$)、$2e_i=2(e_i-e_n)+2e_n$ で、残りのルートはこれらの $-1$ 倍だから、基の条件 (b) が成り立つ。
$F_4$:$h+h\in\mathbb{Z}^4$ なので $L$ は加法群である。$\mathbb{Z}^4+h$ の元の長さの 2 乗は $1$ か $3$ 以上なので、$R$ は上の 48 本である。$\alpha$ が長さ $\sqrt2$ なら $n(\alpha,\beta)=(\beta,\alpha)=\pm\beta_i\pm\beta_j\in\mathbb{Z}$、長さ $1$ なら $n(\alpha,\beta)=2(\beta,\alpha)$ は $\pm2\beta_i$ か $\sum\pm\beta_i$ で、$\beta\in L$ なら整数である。よって $s_\alpha(\beta)\in L$ で長さが保たれ (RS2) が成り立つ。$c\alpha\in R$ なら $c^2\in\{1,2,\tfrac12\}$ で、$c=\pm\sqrt2,\pm1/\sqrt2$ では座標が $\tfrac12\mathbb{Z}$ に入らないので $c=\pm1$。基について、$e_4=a_3$、$e_3=a_2+a_3$、$e_2=a_1+a_2+a_3$、$e_1=a_1+2a_2+3a_3+2a_4$ で、係数は $e_1\ge e_2\ge e_3\ge e_4$ と成分ごとに大きいので $e_i$、$e_i\pm e_j$($i< j$)の係数は $0$ 以上、$\tfrac12(e_1\pm e_2\pm e_3\pm e_4)=a_4+(\text{符号が}+\text{の }e_k\text{ の和})$ も $0$ 以上である。残りのルートはこれらの $-1$ 倍である。内積は $(a_1,a_2)=-1$、$(a_2,a_3)=-1$、$(a_3,a_4)=-\tfrac12$、ほかは $0$ である。
$G_2$:$L$ の元で長さの 2 乗が $2$ のものは $\pm(e_i-e_j)$、$6$ のものは $\pm(2e_i-e_j-e_k)$ に限る(成分は和が $0$ の整数)。$\alpha$ が短ければ $n(\alpha,\beta)=(\beta,\alpha)\in\mathbb{Z}$、長い $\alpha=2e_i-e_j-e_k$ なら $(\beta,\alpha)=3\beta_i-(\beta_1+\beta_2+\beta_3)=3\beta_i$ で $n(\alpha,\beta)=\beta_i\in\mathbb{Z}$。よって (RS2)・(RS3) が成り立ち、(RS4) は $\sqrt3$ 倍・$1/\sqrt3$ 倍が整数点にならないことから従う。正のルートは $a_1$、$a_2$、$a_1+a_2=e_3-e_1$、$2a_1+a_2=e_3-e_2$、$3a_1+a_2=e_1-2e_2+e_3$、$3a_1+2a_2=2e_3-e_1-e_2$ で、その $-1$ 倍と合わせて 12 本になる。
既約で階数 $2$ のルート系は $A_2$、$B_2$、$G_2$ で、単純ルート $\alpha_1,\alpha_2$($\alpha_1$ が長い方)に関する Cartan 行列は
$$
A_2:\begin{pmatrix}2&-1\\-1&2\end{pmatrix},\qquad B_2:\begin{pmatrix}2&-1\\-2&2\end{pmatrix},\qquad G_2:\begin{pmatrix}2&-1\\-3&2\end{pmatrix}
$$
である。たとえば $B_2$ の基 $\alpha_1=e_1-e_2$、$\alpha_2=e_2$ では $a_{12}=2(\alpha_2,\alpha_1)/(\alpha_1,\alpha_1)=-1$、$a_{21}=2(\alpha_1,\alpha_2)/(\alpha_2,\alpha_2)=-2$ である。単純ルートのなす角はそれぞれ $2\pi/3$、$3\pi/4$、$5\pi/6$ である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| (RS3) 整数性 | 正五角形の頂点方向の 10 本のベクトル | 辺の本数 $4\cos^2\theta$ が整数にならず、図形が定義できない |
| (RS4) 被約性 | $BC_n=\{\pm e_i,\pm2e_i,\pm e_i\pm e_j\}$($n\ge2$) | 同じ図形 $B_n$ をもつのに $B_n$ 型と同型でない(thm-dyn-isomorphism) |
| 基の線形独立性 | $A_2$ の $\alpha_1,\alpha_2,-(\alpha_1+\alpha_2)$ | 互いの角が $2\pi/3$ で、グラフが閉路になる(段 4 の (a)) |
1 行目:ルート系 の注意「反例:ルート系でない有限集合」の 3 の集合で、$\alpha_0$ と角 $4\pi/5$ をなすルート $\beta$ をとると $4\cos^2(4\pi/5)=(3+\sqrt5)/2$ は整数でない。(RS1)・(RS2)・(RS4) は満たし、(RS3) だけを破る。
2 行目:$BC_n$ は ex-dyn-c-f-g の $C_n$ と同じ議論で (RS1)〜(RS3) を満たし、$2e_i\in\mathbb{R}e_i$ なので (RS4) だけを破る。$\{e_1-e_2,\dots,e_{n-1}-e_n,e_n\}$ は基の条件 (a)・(b) を満たし($2e_i=2(e_i-e_n)+2e_n$ など)、Cartan 整数は $B_n$ の基と同じである。しかし $\lvert BC_n\rvert=2n^2+2n\neq2n^2=\lvert B_n\rvert$ なので、恒等写像は $B_n$ を $BC_n$ に写さない。thm-dyn-isomorphism の証明の $R=W\Delta$ が $BC_n$ では成り立たない($2e_i$ は単純ルートの Weyl 群による像でない。像の長さの 2 乗は $1$ か $2$)。
3 行目:3 本はどの 2 本も内積が負で、$m=4\cos^2(2\pi/3)=1$ だから Coxeter グラフは三角形で、$q=0$ となる $z=(1,1,1)$ をもつ($\alpha_1+\alpha_2+(-(\alpha_1+\alpha_2))=0$)。線形独立でないので段 1 の正定値性が成り立たない。
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