余弦定理(law of cosines)とは、平面の三角形 $ABC$ で 2 辺の長さを $a,b$、その間の角を $\gamma$、向かいの辺の長さを $c$ とすると $c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma$ が成り立つ、という定理である。$\gamma$ が直角なら三平方の定理になり、たとえば辺が $3,5,7$ の三角形では $\cos\gamma=-\frac12$ から最大の角は $120^\circ$ と分かる。三角形が 3 辺や 2 辺とその間の角で決まること、中線定理はこの定理から従い、正弦定理 $a/\sin\alpha=2R$ は円周角の定理と合わせて従う。
辺の長さが $3,5,7$ の三角形の最も大きい角は何度か。三平方の定理によれば、直角三角形なら $3^2+5^2=7^2$ となるはずだが、実際には $3^2+5^2=34<49=7^2$ なので、長さ $7$ の辺の向かいの角は直角より大きい。どれだけ大きいかは、次の余弦定理(law of cosines)
$$
c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma
$$
が答える。ここで $\gamma$ は長さ $a,b$ の 2 辺にはさまれた角、$c$ はその向かいの辺の長さである。$a=3$、$b=5$、$c=7$ を代入すると $\cos\gamma=\frac{9+25-49}{30}=-\frac12$ となり、$\gamma=120^\circ$ である。
逆に、2 辺とその間の角が分かれば、残りの辺が求まる。たとえば 2 辺が $5$ と $7$ でその間の角が $60^\circ$ なら、$\cos60^\circ=\frac12$ なので、残りの辺は $\sqrt{25+49-35}=\sqrt{39}=6.2449\ldots$ である。
$\gamma$ が直角なら $\cos\gamma=0$ で、余弦定理は三平方の定理そのものである。余弦定理は、三平方の定理を任意の三角形に広げ、直角からのずれを $-2ab\cos\gamma$ という補正の項で表したものとみることができる。Euclid『原論』は、第 II 巻の命題 12(鈍角の場合)と命題 13(鋭角の場合)で、余弦を使わずにこの補正の項を長方形の面積として述べている(Hea56)。
本記事では、余弦定理をベクトルの内積による方法、座標による方法、Euclid の形の 3 通りで証明し、そこから三角形が 3 辺や 2 辺と間の角で決まること、正弦定理、中線定理を導く。
平面に直交座標をとり、点を $\mathbb{R}^2$ の元とみなす。2 点 $P,Q$ の距離は $\|Q-P\|$、ただし $\|u\|:=\sqrt{\langle u,u\rangle}$、$\langle u,v\rangle:=u_1v_1+u_2v_2$(標準内積)である。これは三平方の定理 の記事の命題「座標平面の2点間の距離」の距離に等しい。$0$ でないベクトル $u$ は、三角関数 の記事の定理「単位円の媒介変数表示」により $u=\|u\|(\cos s,\sin s)$ と書け、実数 $s$($u$ の偏角)は $2\pi$ の整数倍の差を除いて一意に決まる。角は弧度で測る(度で書くときは $\pi=180^\circ$ とする)。
$0$ でないベクトル $u=\|u\|(\cos s,\sin s)$、$v=\|v\|(\cos t,\sin t)$ に対し、$t-s$ または $s-t$ との差が $2\pi$ の整数倍になる $[0,\pi]$ の数 $\theta$ がただ 1 つある。これを $u$ と $v$ のなす角という。三角形 $ABC$ の頂点 $C$ における角 $\angle C$ は、ベクトル $A-C$ と $B-C$ のなす角である。
$\theta$ がただ 1 つであることは次のように分かる。$t-s$ を $2\pi$ の整数倍だけずらして $(-\pi,\pi]$ に入れた数を $r$ とすると、$\theta=|r|$ が条件を満たす。逆に条件を満たす $\theta\in[0,\pi]$ は $\theta\equiv\pm r\pmod{2\pi}$ を満たし、$|r|\leq\pi$ なので $\theta=|r|$ に限る。これは「原点から $u$ の向きに引いた半直線を回して $v$ の向きに重ねるのに要する、小さい方の回転角」であり、単位円の弧の長さで測った角(三角関数 の記事の弧度法)である。3 点 $A,B,C$ が一直線上になければ $A-C$ と $B-C$ は平行でないので、$\angle C$ は $0$ でも $\pi$ でもなく、$0<\angle C<\pi$ である。
$0$ でないベクトル $u,v$ のなす角を $\theta$ とすると、$\langle u,v\rangle=\|u\|\,\|v\|\cos\theta$ である。
$u=\|u\|(\cos s,\sin s)$、$v=\|v\|(\cos t,\sin t)$ とすると、三角関数 の記事の定理「加法定理」により
$$
\langle u,v\rangle=\|u\|\,\|v\|(\cos s\cos t+\sin s\sin t)=\|u\|\,\|v\|\cos(t-s)
$$
である。$\cos$ は偶関数で周期 $2\pi$ をもつ(同記事の定理「周期と零点」)ので、$\cos(t-s)=\cos\theta$ である。
内積 の記事は、実内積空間で $\cos\theta=\frac{\langle x,y\rangle}{\|x\|\,\|y\|}$ によって角を定め、平面の標準内積ではこれが初等幾何の角と一致すると述べている。lem-loc-inner-product はその一致の根拠である。
三角形 $ABC$ において $a:=BC$、$b:=CA$、$c:=AB$ とし、頂点 $A,B,C$ における角をそれぞれ $\alpha,\beta,\gamma$ とする。このとき
$$
c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma,\qquad a^2=b^2+c^2-2bc\cos\alpha,\qquad b^2=c^2+a^2-2ca\cos\beta
$$
が成り立つ。
第 1 式を示せばよい(ほかは頂点の名前を付け替えたもの)。$u:=A-C$、$v:=B-C$ とおくと $\|u\|=b$、$\|v\|=a$、$B-A=v-u$ である。内積の双線形性と対称性により
$$
c^2=\|v-u\|^2=\langle v-u,v-u\rangle=\|v\|^2+\|u\|^2-2\langle u,v\rangle
$$
であり、lem-loc-inner-product により $\langle u,v\rangle=ab\cos\gamma$ なので、$c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma$ である。
座標を、$C$ が原点、$A$ が正の $x$ 軸上の点 $(b,0)$、$B$ が上半平面にあるようにとる。$A$ の偏角は $0$ なので、def-loc-angle により $B$ の偏角は $\gamma$ または $-\gamma$ にとれる。$0<\gamma<\pi$ で $B$ は上半平面にある($y$ 座標が正)ので、$\sin(-\gamma)<0$ により偏角は $\gamma$ であり、$B=(a\cos\gamma,a\sin\gamma)$ である。したがって
$$
c^2=(a\cos\gamma-b)^2+(a\sin\gamma)^2=a^2(\cos^2\gamma+\sin^2\gamma)-2ab\cos\gamma+b^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma
$$
である($\cos^2+\sin^2=1$ は 三角関数 の記事の系「余弦と正弦の平方の和」)。
座標による証明は 三平方の定理 の記事の命題「余弦定理の等式」の証明と同じである。内積による証明は角の定義(def-loc-angle)と加法定理だけを使い、座標の置き方を選ぶ必要がない。展開した式 $\|v-u\|^2=\|u\|^2+\|v\|^2-2\langle u,v\rangle$ は角を含まないので、任意の実内積空間で成り立つ。
Euclid は余弦を使わず、頂点から対辺の直線に下ろした垂線の足までの長さで補正の項を表した。
三角形 $ABC$ で $a=BC$、$b=CA$、$c=AB$ とし、$B$ から直線 $CA$ に下ろした垂線の足を $H$、$p:=CH$ とする。
$h:=BH$ とおく。$H\ne C$ なら三角形 $BHC$ は $H$ で直角なので、三平方の定理 により $a^2=h^2+p^2$ である。$H\ne A$ なら三角形 $BHA$ も $H$ で直角なので $c^2=h^2+AH^2$ であり、$H=A$ のときも $h=c$、$AH=0$ なのでこの式は成り立つ。
1 の場合、$H$ と $A$ は $C$ から同じ向きの半直線上にあるので $AH=|b-p|$ であり、$c^2=h^2+(b-p)^2=(h^2+p^2)+b^2-2bp=a^2+b^2-2bp$ である。2 の場合、$C$ は $H$ と $A$ の間にあるので $AH=b+p$ であり、$c^2=h^2+(b+p)^2=a^2+b^2+2bp$ である。3 の場合は $h=a$、$AH=b$ で、$c^2=a^2+b^2$ である。
1 で $H$ が線分 $CA$ の外($A$ の先)にあってもよい($AH=p-b$ で、2 乗すれば同じ式になる)。Euclid の命題 12 は、角 $C$ が鈍角で垂線の足が辺の延長上に落ちる 2 の場合を、命題 13 は鋭角三角形で垂線の足が辺の内側に落ちる場合(本文の 1 で $H$ が線分 $CA$ 上にある場合)を述べ(Heath の注は、任意の三角形の鋭角について成り立つとする古注の読みを紹介している)、「$2bp$」を「辺 $CA$ と $CH$ のつくる長方形の 2 倍」と言い表している(Hea56 第 II 巻 命題 12・13。証明は、いずれも三平方の定理(第 I 巻 命題 47)と第 II 巻の面積の恒等式による)。
prop-loc-euclid は thm-loc-main と同じ内容である。実際、$u=A-C$、$v=B-C$ とすると $v=(H-C)+(B-H)$ で $B-H$ は $u$ に直交するので、$\langle u,v\rangle=\langle u,H-C\rangle$ であり、これは 1 の場合 $bp$、2 の場合 $-bp$、3 の場合 $0$ である。lem-loc-inner-product と比べると、1 の場合 $p=a\cos\gamma$($\gamma$ は鋭角)、2 の場合 $p=-a\cos\gamma$($\gamma$ は鈍角)、3 の場合 $\gamma$ は直角である。こうして Euclid の 3 つの場合が 1 つの式 $c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma$ にまとまる。角 $\gamma$ が鋭角・直角・鈍角であることと $a^2+b^2-c^2$ の符号が正・$0$・負であることの同値は、三平方の定理 の記事の系「3辺による角の判定」で証明されている。
正の実数 $a,b,c$ について、$|a-b|< c< a+b$ ならば、$BC=a$、$CA=b$、$AB=c$ となる三角形 $ABC$ が存在する。このとき $\angle C$ は $\cos\gamma=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}$ を満たす $(0,\pi)$ のただ 1 つの数 $\gamma$ である。逆に $c\leq|a-b|$ または $c\geq a+b$ ならば、そのような三角形は存在しない。
$k:=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}$ とおく。$k<1$ は $a^2-2ab+b^2< c^2$、すなわち $(a-b)^2< c^2$ と同値であり、$k>-1$ は $c^2<(a+b)^2$ と同値である。$a,b,c>0$ なので、$-1< k<1$ は $|a-b|< c< a+b$ と同値である。
$-1< k<1$ のとき、$\cos$ は $[0,\pi]$ で連続で $\cos0=1$、$\cos\pi=-1$ なので、中間値の定理により $\cos\gamma=k$ となる $\gamma\in(0,\pi)$ がある。$\cos'=-\sin<0$ が $(0,\pi)$ で成り立つ(三角関数 の記事の定理「正弦と余弦の導関数」「周期と零点」)ので、$\cos$ は $[0,\pi]$ で狭義単調減少であり(平均値の定理 の記事の系「導関数の符号と増減」)、$\gamma$ はただ 1 つである。$C:=(0,0)$、$A:=(b,0)$、$B:=(a\cos\gamma,a\sin\gamma)$ とおくと、$CA=b$、$CB=a$ であり、prf-loc-coordinates と同じ計算で $AB^2=a^2+b^2-2abk=c^2$ となる。$\sin\gamma>0$ なので $B$ は直線 $CA$($x$ 軸)の上になく、$ABC$ は三角形である。逆に三角形があれば、thm-loc-main により $k=\cos\gamma$ で $0<\gamma<\pi$ なので $-1< k<1$ である。
条件 $|a-b|< c< a+b$ は 3 つの不等式 $a< b+c$、$b< c+a$、$c< a+b$(等号のない三角不等式)をまとめたものであり、Heronの公式 の記事の命題「三角形が存在する条件」と同じ条件である。たとえば $1,2,4$ では $k=\frac{1+4-16}{4}=-\frac{11}4<-1$ となり、三角形はできない。
三角形 $ABC$ と $A'B'C'$ について、記号を thm-loc-main と同様にとる。
1:thm-loc-main により $\cos\gamma=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}=\cos\gamma'$ であり、$\gamma,\gamma'\in(0,\pi)$ で $\cos$ は $[0,\pi]$ で狭義単調減少(prf-loc-construct)なので $\gamma=\gamma'$ である。$\alpha,\beta$ も同様である。2:$c^2=a^2+b^2-2ab\cos\gamma=c'^2$ なので $c=c'$ であり、1 に帰着する。
これは三角形の合同条件のうち、3 辺が等しい場合と 2 辺とその間の角が等しい場合を、角と辺の数値の一致として述べたものである。
$AB=8$、$BC=7$、$\angle A=60^\circ$ となる三角形を考える。$b:=CA$ とおくと、thm-loc-main の第 2 式から $49=b^2+64-8b$、すなわち $b^2-8b+15=0$ であり、$b=3$ と $b=5$ の 2 つの解がある。実際、辺が $(a,b,c)=(7,3,8)$ と $(7,5,8)$ の三角形はどちらも存在し(prop-loc-construct)、$\cos\alpha=\frac{9+64-49}{48}=\frac{25+64-49}{80}=\frac12$ で $\angle A=60^\circ$ である。しかし $CA$ の長さは $3$ と $5$ で異なり、$\angle B$ の余弦も $\frac{13}{14}$ と $\frac{11}{14}$ で異なる。2 つの三角形は「2 辺とその一方の向かいの角が等しい」を満たすが、「3 辺が等しい」を満たさない。cor-loc-sss-sas の 2 で、角が 2 辺の間の角であるという仮定は外せない。
三角形 $ABC$ の面積を $K$、3 頂点を通る円(外接円)の半径を $R$ とすると、記号を thm-loc-main と同様にとって
$$
K=\frac12ab\sin\gamma,\qquad\frac{a}{\sin\alpha}=\frac{b}{\sin\beta}=\frac{c}{\sin\gamma}=2R
$$
が成り立つ。
$A,B,C$ は一直線上にないので、辺 $AB$・$BC$ の垂直二等分線は平行でなく 1 点 $O$ で交わり、$O$ は $A,B,C$ から等距離にある。この距離を $R$ とすると、$O$ を中心とする半径 $R$ の円が外接円である。
prf-loc-coordinates の座標では、$B$ から直線 $CA$($x$ 軸)までの距離は $a\sin\gamma>0$ なので、底辺 $b$ の三角形の面積は $K=\frac12ab\sin\gamma$ である。頂点の名前を付け替えれば $2K=bc\sin\alpha=ca\sin\beta=ab\sin\gamma$ であり、$abc$ で割ると $\frac{\sin\alpha}a=\frac{\sin\beta}b=\frac{\sin\gamma}c=\frac{2K}{abc}$ となる。
次に $a=2R\sin\alpha$ を示す。外接円の中心を $O$ とし、$\varphi:=\angle BOC\in(0,\pi]$ とおく。$\varphi<\pi$ なら三角形 $OBC$ に thm-loc-main を使うと、$a^2=2R^2-2R^2\cos\varphi=4R^2\sin^2\frac\varphi2$(三角関数 の記事の系「余弦と正弦の平方の和」の倍角の式)なので $a=2R\sin\frac\varphi2$ であり、$\varphi=\pi$ なら $BC$ は直径で $a=2R=2R\sin\frac\pi2$ である。$A$ を含まない方の弧 $BC$ の中心角を $\theta$ とすると、円周角の定理 の記事の定理「円周角の定理」により $\alpha=\frac\theta2$ であり、同記事の定義「弧と中心角」の直後の注意により $\theta=\varphi$($\theta\leq\pi$ のとき)または $\theta=2\pi-\varphi$($\theta>\pi$ のとき)である。どちらの場合も $\sin\frac\theta2=\sin\frac\varphi2$($\sin(\pi-x)=\sin x$)なので、$a=2R\sin\alpha$ である。$b,c$ についても同様である。
辺が $3,5,7$ の三角形(冒頭の例、$\gamma=120^\circ$)では、$K=\frac12\cdot3\cdot5\cdot\frac{\sqrt3}2=\frac{15\sqrt3}4=6.4951\ldots$、$2R=\frac{7}{\sin120^\circ}=\frac{14}{\sqrt3}$ で、$R=\frac7{\sqrt3}=4.0414\ldots$ である。面積の式 $K=\frac12ab\sin\gamma$ と余弦定理を組み合わせると、3 辺から面積を求める Heronの公式 が得られる(同記事の証明「余弦定理と正弦による証明」)。
三角形 $ABC$ の辺 $AB$ の中点を $M$ とし、$m:=CM$ とすると、記号を thm-loc-main と同様にとって
$$
a^2+b^2=2m^2+\frac{c^2}{2},\qquad\text{すなわち}\qquad m^2=\frac{2a^2+2b^2-c^2}{4}
$$
が成り立つ。
$u:=A-M$ とおくと $B-M=-u$、$\|u\|=\frac c2$ である。$w:=C-M$ とおくと $\|w\|=m$ であり、prf-loc-vector と同じ展開により
$$
b^2=\|w-u\|^2=m^2+\frac{c^2}4-2\langle u,w\rangle,\qquad a^2=\|w+u\|^2=m^2+\frac{c^2}4+2\langle u,w\rangle
$$
である。2 式を足すと $a^2+b^2=2m^2+\frac{c^2}2$ を得る。
$\langle u,w\rangle=\frac c2\,m\cos\angle AMC$ なので、上の 2 式は三角形 $AMC$ と $BMC$ の余弦定理であり、$\angle AMC$ と $\angle BMC$ の余弦が符号だけ違うことから中線の長さが求まっている。辺 $3,5,7$ の三角形で長さ $7$ の辺への中線は $m=\frac{\sqrt{18+50-49}}{2}=\frac{\sqrt{19}}2=2.1794\ldots$ である。
平行線公準が成り立たない幾何では、余弦定理は別の形になる。曲率 $-1$ の双曲幾何の三角形では $\cosh c=\cosh a\cosh b-\sinh a\sinh b\cos\gamma$(Hit 定理 5.4.12、p. 104。証明は同書の演習)、球面を手本にした曲率 $1$ の楕円幾何の三角形では $\cos c=\cos a\cos b+\sin a\sin b\cos\gamma$(Hit 定理 6.3.14、p. 138)が成り立つ。辺が短い三角形では、$\cos x=1-\frac{x^2}2+\cdots$、$\sin x=x-\cdots$ を後者に代入して 2 次の項まで比べると $1-\frac{c^2}2\approx1-\frac{a^2+b^2}2+ab\cos\gamma$ となり、Euclid 幾何の余弦定理に近づく。三平方の定理 の記事の例「反例:球面上の直角三角形」は、球面上で三平方の定理が破れる例である。
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