Volterra作用素

同義語:Volterra operatorボルテラ作用素

概要

Volterra作用素(Volterra operator)とは、区間 $[0,1]$ 上の関数 $u$ に不定積分 $(Vu)(x)=\int_0^xu(t)\,dt$ を対応させる作用素で、$L^p(0,1)$($1\le p\le\infty$)や $C([0,1])$ の上のコンパクト作用素である。$V^n$ は核 $(x-t)^{n-1}/(n-1)!$ の積分作用素で $\|V^n\|\le1/n!$ を満たすので、$\lambda\ne0$ ごとに $(\lambda I-V)^{-1}$ が指数関数の核で書け、$V$ は単射で固有値をもたず、スペクトルは $\{0\}$ だけになる。$L^2(0,1)$ 上のノルムは $2/\pi$ である。冪零でない準冪零作用素の典型例であり、有限次元の不変部分空間は $\{0\}$ しかない。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Lp空間, 積分作用素, コンパクト作用素, Banach代数

Volterra 作用素(Volterra operator)とは、区間 $[0,1]$ 上の関数 $u$ にその不定積分
$$ (Vu)(x)=\int_0^xu(t)\,dt $$
を対応させる線形作用素である。$u(0)=0$ という条件の下で微分の逆にあたり、常微分方程式の初期値問題を積分方程式に書き換えるときに現れる。核 $k(x,t)$ は $t< x$ で $1$、$t\ge x$ で $0$ なので、積分作用素 のうち積分の範囲が三角形に限られるもの(Volterra 型)の最も簡単な例である。
Volterra 作用素は、無限次元の作用素が行列と違ってふるまう様子を一つにまとめて示す。$V$ はコンパクトで単射だが、固有値を一つももたず、スペクトルは $\{0\}$ だけである。有限次元でスペクトルが $\{0\}$ の行列は冪零だが、$V$ はどの冪 $V^n$ も $0$ でなく、代わりに $\|V^n\|\le1/n!$ と急速に小さくなる。そのため $\lambda\ne0$ ごとに $(\lambda-V)^{-1}$ を指数関数の核で書き下せる。$L^2(0,1)$ 上のノルムは $2/\pi$ で、ここには固有値問題 $u''=-\omega^2u$ が隠れている。
この記事では、冪の核と評価、スペクトルとレゾルベントの公式、$L^2$ ノルムの値、有界な核の Volterra 型作用素への一般化を証明し、不変部分空間の例を述べる。

定義と基本性質

以下 $\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$ とし、$E$ は $L^p(0,1)$($1\le p\le\infty$、$\mathbb K$ 値、Lebesgue 測度)と $C([0,1])$(最大値ノルム)のいずれかを表す。$L^p(0,1)\subset L^1(0,1)$ なので、どの $E$ の元でも $\int_0^xu$ は意味をもつ。

Volterra 作用素

$u\in E$ について $(Vu)(x):=\int_0^xu(t)\,dt$($0\le x\le1$)とおいて定まる作用素 $V\colon E\to E$ を Volterra 作用素 という。

基本性質
  1. $Vu$ は $[0,1]$ 上の連続関数で $(Vu)(0)=0$ を満たし、$V\colon E\to E$ は有界で $\|V\|\le1$ である。
  2. $V$ は単射である。
  3. $V$ は全射でない。定数関数 $1$ は $V$ の像に属さない。
  4. $V$ はコンパクトである。

1:積分の絶対連続性から $Vu$ は連続である。$\|Vu\|_\infty\le\|u\|_1\le\|u\|_p$ で、区間の測度は $1$ なので $\|Vu\|_p\le\|Vu\|_\infty$ である。
2:$Vu=0$ なら、すべての区間 $(a,b]\subset[0,1]$ で $\int_a^bu=0$ である。そのような区間の有限個の互いに素な和の全体は Borel σ-代数を生成する集合代数なので、有限測度 $B\mapsto\int_B(\operatorname{Re}u)^{\pm}$ は Borel 集合の上で一致し(Fubiniの定理 の補題「測度の一意性」)、$B=\{\operatorname{Re}u>0\}$ をとって $(\operatorname{Re}u)^+=0$ a.e. を得る。負の部分と虚部も同様で、$u=0$ である。
3:$Vu$ がほとんどいたるところ $1$ なら、連続性からいたるところ $1$ となり、$(Vu)(0)=0$ に反する。
4:

証明を開く

$1< p\le\infty$ または $E=C([0,1])$ のとき、Hölder の不等式から $|(Vu)(x)-(Vu)(y)|\le|x-y|^{1/p'}\|u\|_p$($C([0,1])$ では $p=\infty$ とみる)なので、単位球の像は $C([0,1])$ の中で有界かつ同程度連続であり、Arzelà–Ascoliの定理 により相対コンパクトである。包含 $C([0,1])\to E$ は連続なので $E$ の中でも相対コンパクトである。$p=1$ のとき:$N\ge1$、$\delta=1/N$ とし、$x\in[j\delta,(j+1)\delta)$ で $(V_Nu)(x):=\int_0^{j\delta}u$ とおくと、$V_N$ は有限階で、$|(Vu)(x)-(V_Nu)(x)|\le\int_{\max(0,x-\delta)}^x|u|$ である。Tonelli の定理から $\|Vu-V_Nu\|_1\le\int_0^1|u(t)|\int_t^{t+\delta}dx\,dt\le\delta\|u\|_1$ となり、$\|V-V_N\|\le1/N$ である。コンパクト作用素 の定理「コンパクト作用素の全体は閉じたイデアル」の 2 により $V$ はコンパクトである。$\square$

$E=C([0,1])$ では、単位球の像 $V(B_E)$ は閉じていない(コンパクト作用素 の例「連続な核の積分作用素と Volterra 作用素」)。$L^2(0,1)$ では $V$ の像は稠密だが閉じていない(Axl26 Example 10.15)。

冪の核と評価

冪の核と評価

$n\ge1$ と $u\in E$ について
$$ (V^nu)(x)=\frac1{(n-1)!}\int_0^x(x-t)^{n-1}u(t)\,dt $$
であり、$\|V^n\|\le1/n!$ である。とくに $\lim_{n\to\infty}\|V^n\|^{1/n}=0$ である。一方 $V^n\ne0$ がすべての $n$ で成り立つ。

公式は $n$ についての帰納法で示す。$n=1$ は定義である。$n$ で成り立てば、$u\in L^1$ なので $(s,t)\mapsto(s-t)^{n-1}u(t)$ は三角形 $\{0< t< s< x\}$ の上で可積分であり、Fubini の定理から
$$ (V^{n+1}u)(x)=\int_0^x\frac1{(n-1)!}\int_0^s(s-t)^{n-1}u(t)\,dt\,ds=\int_0^xu(t)\,\frac1{(n-1)!}\int_t^x(s-t)^{n-1}\,ds\,dt=\frac1{n!}\int_0^x(x-t)^nu(t)\,dt $$
となる。
評価:$V^n$ の核 $k_n(x,t)=(x-t)^{n-1}/(n-1)!$($t< x$)、$0$($t\ge x$)について、行の積分は $\int_0^xk_n(x,t)\,dt=x^n/n!\le1/n!$、列の積分は $\int_t^1k_n(x,t)\,dx=(1-t)^n/n!\le1/n!$ である。積分作用素 の系「行と列の積分による判定」から、すべての $1\le p\le\infty$ で $\|V^n\|_{L^p\to L^p}\le1/n!$ である。$C([0,1])$ では $|(V^nu)(x)|\le\|u\|_\infty\,x^n/n!$ から同じ評価が出る。
極限:$n!\ge(n/2)^{n/2}$(大きいほうの半分の因子がそれぞれ $n/2$ 以上)なので $\|V^n\|^{1/n}\le(n!)^{-1/n}\le(2/n)^{1/2}\to0$ である。最後に、$V^n1=x^n/n!\ne0$ である。$\square$

$\mathbb K=\mathbb C$ では、Gelfand の公式により $\lim\|V^n\|^{1/n}$ は $V$ の スペクトル半径 に等しい(スペクトル半径)。$\lim_n\|T^n\|^{1/n}=0$ となる有界作用素 $T$ を 準冪零 という。冪零な作用素は準冪零であり、$V$ は冪零でない準冪零作用素の典型例である。

スペクトルとレゾルベント

スペクトルとレゾルベント
  1. すべての $\lambda\in\mathbb K\setminus\{0\}$ について $\lambda I-V$ は $E$ の上で全単射で、逆は有界であり、
    $$ \bigl((\lambda I-V)^{-1}f\bigr)(x)=\frac{f(x)}\lambda+\frac1{\lambda^2}\int_0^xe^{(x-t)/\lambda}f(t)\,dt\qquad(f\in E) $$
    で与えられる。
  2. $V$ は固有値をもたない。
  3. $V$ のスペクトルは $\sigma(V)=\{0\}$ である。$\mathbb K=\mathbb C$ でも $\mathbb K=\mathbb R$ でも同じである。

1:thm-vo-powers により $\sum_{n\ge0}\|V^n\|/|\lambda|^{n+1}\le\sum_n1/(n!|\lambda|^{n+1})<\infty$ なので、$R_\lambda:=\sum_{n\ge0}V^n/\lambda^{n+1}$ は作用素ノルムで絶対収束する。
$$ (\lambda I-V)\sum_{n=0}^N\frac{V^n}{\lambda^{n+1}}=\sum_{n=0}^N\frac{V^n}{\lambda^{n+1}}(\lambda I-V)=I-\frac{V^{N+1}}{\lambda^{N+1}} $$
で右辺は $I$ に収束するから、$R_\lambda$ は $\lambda I-V$ の有界な逆である。核を足し合わせると、$t< x$ で
$$ \sum_{n\ge1}\frac{(x-t)^{n-1}}{(n-1)!\,\lambda^{n+1}}=\frac1{\lambda^2}\sum_{m\ge0}\frac1{m!}\Bigl(\frac{x-t}\lambda\Bigr)^m=\frac{e^{(x-t)/\lambda}}{\lambda^2} $$
であり、この級数は三角形の上で一様に収束する(各項の絶対値は $1/((n-1)!|\lambda|^{n+1})$ 以下)。$f\in L^1$ なので和と積分を入れ替えられ、公式を得る。
2:$Vu=\lambda u$ とする。$\lambda\ne0$ なら $(\lambda I-V)u=0$ と 1 から $u=0$、$\lambda=0$ なら prop-vo-basic の 2 から $u=0$ である。
3:1 から $\sigma(V)\subset\{0\}$ である。prop-vo-basic の 3 から $0I-V=-V$ は全射でないので $0\in\sigma(V)$ である。$\square$

コンパクト作用素 の定理「コンパクト作用素のスペクトル」によれば、コンパクト作用素の $0$ でないスペクトルは固有値からなる。$V$ ではそれが空なので、スペクトルは $0$ だけになる。上の証明は、その一般論を使わずに逆作用素を書き下している。$\lambda\ne0$ で $f$ が $C^1$ 級なら、$u=(\lambda I-V)^{-1}f$ は $\lambda u(x)-\int_0^xu=f(x)$ を微分した初期値問題 $\lambda u'-u=f'$、$\lambda u(0)=f(0)$ の解であり、公式の指数関数はこの微分方程式から来ている。

$L^2$ 上のノルム

$L^2$ 上のノルム

$E=L^2(0,1)$ とする。$V^*V$ の $0$ でない固有値は
$$ \mu_j=\frac4{(2j+1)^2\pi^2}\qquad(j=0,1,2,\dots) $$
で、固有関数は $\cos\bigl((2j+1)\pi x/2\bigr)$ である。とくに $\|V\|=2/\pi$ である。

積分作用素 の節「随伴」により $(V^*v)(t)=\int_t^1v(x)\,dx$ である。$S:=V^*V$ は自己共役で、$\langle Su,u\rangle=\|Vu\|^2\ge0$ であり、$V$ がコンパクトなので $S$ もコンパクトである。
固有値の決定:$Su=\mu u$、$\mu>0$ とする。$w:=Vu$ は連続なので $V^*w$ は $C^1$ 級で、$u=\mu^{-1}V^*w$ と取り直せば $u\in C^1$、$u(1)=0$、$u'=-\mu^{-1}w=-\mu^{-1}Vu$ である。右辺は $C^1$ 級なので $u\in C^2$ で、$u'(0)=-\mu^{-1}(Vu)(0)=0$、$u''=-\mu^{-1}u$ である。$\omega:=\mu^{-1/2}$ とおくと、$u'(0)=0$ から $u=c\cos\omega x$、$u\ne0$ と $u(1)=0$ から $\cos\omega=0$、すなわち $\omega=(2j+1)\pi/2$ である。逆に $u_j(x):=\cos(\omega_jx)$、$\omega_j=(2j+1)\pi/2$ とすると、$Vu_j=\omega_j^{-1}\sin(\omega_jx)$、$V^*Vu_j(t)=\omega_j^{-2}\bigl(\cos(\omega_jt)-\cos\omega_j\bigr)=\omega_j^{-2}u_j(t)$ である。
ノルム:$\|Vu\|^2=\langle Su,u\rangle\le\|S\|\|u\|^2$ と $\|S\|\le\|V^*\|\|V\|=\|V\|^2$ から $\|S\|=\|V\|^2$ である。コンパクト作用素 の補題「固有値 ±‖T‖ の存在」により $\|S\|$ か $-\|S\|$ が $S$ の固有値であり、$S\ge0$ なので $-\|S\|<0$ は固有値でない。よって $\|V\|^2=\|S\|$ は $S$ の最大の固有値 $\mu_0=4/\pi^2$ である。$\square$

核の $L^2$ ノルムによる評価 $\|V\|\le\|k\|_{L^2}=1/\sqrt2$(Axl26 Example 10.15)は、$2/\pi\approx0.6366<1/\sqrt2\approx0.7071$ なので等号では成り立たない。$\mu_j$ の平方根 $2/((2j+1)\pi)$ は $V$ の特異値であり、$\sum_j\mu_j=\tfrac12=\|V\|_{\mathrm{HS}}^2$ は Hilbert–Schmidt作用素 の例「Volterra 作用素の Hilbert–Schmidt ノルム」の値と一致する。

有界な核の Volterra 型作用素

核を一般にしても、積分の範囲が三角形である限り、準冪零性は保たれる。

有界な核の Volterra 型作用素

$k$ を三角形 $\Delta:=\{(x,t):0< t< x< 1\}$ 上の可測関数で $|k|\le M$ を満たすものとし、$1\le p\le\infty$、$(Tu)(x):=\int_0^xk(x,t)u(t)\,dt$ とする。このとき $T$ は $L^p(0,1)$ 上の有界作用素で、$\|T^n\|\le M^n/n!$ である。したがって $T$ は準冪零で、すべての $\lambda\in\mathbb K$ と $f\in L^p(0,1)$ について、積分方程式 $u-\lambda Tu=f$ は $L^p(0,1)$ にただ 1 つの解 $u=\sum_{n\ge0}\lambda^nT^nf$ をもつ。

$k$ を $\Delta$ の外で $0$ とおき、反復核を $k_1=k$、$k_{n+1}(x,t)=\int_0^1k(x,s)k_n(s,t)\,ds$ とする(積分作用素 の節「合成と反復核」)。$t< x$ なら被積分関数は $t< s< x$ でしか $0$ でなく、$t\ge x$ なら $k_{n+1}(x,t)=0$ である。帰納法で $|k_n(x,t)|\le M^n(x-t)^{n-1}/(n-1)!$($t< x$)がほとんどいたるところ成り立つ:
$$ |k_{n+1}(x,t)|\le\int_t^xM\cdot\frac{M^n(s-t)^{n-1}}{(n-1)!}\,ds=\frac{M^{n+1}(x-t)^n}{n!}. $$
thm-vo-powers の証明と同じく行と列の積分は $M^n/n!$ 以下なので、積分作用素 の系「行と列の積分による判定」から $\|T^n\|=\|T_{k_n}\|\le M^n/n!$ である。$\sum_n|\lambda|^n\|T^n\|\le e^{|\lambda|M}$ なので、$\sum_n\lambda^nT^n$ は作用素ノルムで収束して $I-\lambda T$ の逆を与える(Banach代数 の命題「Neumann 級数」の証明と同じく、部分和との積が $I-\lambda^{N+1}T^{N+1}\to I$ となる)。$\square$

$k$ が三角形の閉包の上で連続なら、$C([0,1])$ の上でも同じ結論が成り立つ(関数解析 の定理「Volterra 型積分方程式の一意可解性」)。積分作用素 の定理「解核による解の表示」が $\lambda$ の大きさを制限していたのに対し、三角形の核ではその制限が要らない。

不変部分空間

$0\le a\le1$ について
$$ M_a:=\{u\in L^p(0,1)\mid (0,a)\text{ の上でほとんどいたるところ }u=0\} $$
とおく。$M_a$ は閉部分空間で、$u\in M_a$ なら $x\le a$ で $(Vu)(x)=0$ なので $V(M_a)\subset M_a$ である($L^2$ の場合は Axl26 Example 10.101)。$0< a< 1$ なら $M_a$ は $\{0\}$ でも全体でもない閉不変部分空間であり、$a$ が大きいほど小さい入れ子の族をなす。

有限次元の不変部分空間はない

$V$ で不変な $E$ の有限次元部分空間は $\{0\}$ だけである。

証明を開く

$W\ne\{0\}$ を有限次元の不変部分空間とする。$V$ は単射なので $V|_W\colon W\to W$ は単射、したがって全単射で、有限次元なので逆も有界である。$\|w\|\le C\|Vw\|$($w\in W$)となる $C$ をとると、帰納的に $\|w\|\le C^n\|V^nw\|\le C^n\|w\|/n!$ であり、$n\to\infty$ として $w=0$ を得る。$\square$

したがって $V$ の $\{0\}$ でない不変部分空間はすべて無限次元で、固有ベクトルからは作れない。無限次元の Banach 空間の上の $0$ でないコンパクト作用素が $\{0\}$ でも全体でもない閉不変部分空間をもつことは一般に成り立ち(Lomonosovの不変部分空間定理)、$M_a$ はそれを具体的に示す例である。

仮定を外すと成り立たなくなること

外す条件反例成り立たなくなること
積分の範囲が三角形(上端が $x$)$(Tu)(x)=\int_0^1u$(正方形上の核 $1$)固有値がないこと、$\sigma=\{0\}$($T1=1$)
区間が有界$L^p(0,\infty)$($1\le p< \infty$)上の $(Vu)(x)=\int_0^xu$$V$ の有界性($V$ は $L^p(0,\infty)$ に値をとらない)
核の有界性(prop-vo-kernel)$L^p(0,1)$($1< p< \infty$)上の $(Tu)(x)=\frac1x\int_0^xu$準冪零性($0$ でない固有値をもつ)
反例の表の確かめ
確かめを開く

1 行目:$T1=1$ なので $1$ は固有値で、$\|T^n\|\ge1$ である。2 行目:$u=1_{[0,1]}\in L^p(0,\infty)$ について $(Vu)(x)=\min(x,1)$ は $L^p(0,\infty)$ に属さない。3 行目:核は $1/x$ で $\Delta$ の上で有界でない。$u$ を $(1,\infty)$ で $0$ と延長すると、$Tu$ は 積分作用素 の例「Hardy の不等式」の $Hu$ の $(0,1)$ への制限なので、$T$ は有界である。$s>-1/p$ なら $u(x)=x^s\in L^p(0,1)$ で $Tu=u/(s+1)$ であり、$s+1>1/p'>0$ なので $1/(s+1)$ は $0$ でない固有値である。

文献

$C([0,1])$ 上でコンパクトであること(とくに単位球の像が閉じないこと)は Bre11 Exercise 6.2 の 3(p. 171)、$L^p(0,1)$($1\le p< \infty$)上でコンパクトであること、固有値とスペクトル、$(T-\lambda I)^{-1}$ の公式、双対作用素は同 Exercise 6.20(p. 176)、冪の公式、$\|T^n\|\le1/n!$、スペクトル半径が $0$ であること、$1\le p\le\infty$ で $\sigma=\{0\}$ であることは同 Exercise 6.23 の 6–9(p. 178)で問われている。これらは演習なので、この記事では証明を与えた。$L^2$ 上の随伴の公式と像が稠密で閉じないことは Axl26 Example 10.15(p. 286)、スペクトルが $\{0\}$ であることは同 Example 10.89(p. 320)、$M_a$ が不変であることは同 Example 10.101(p. 327)にある。$\|V\|=2/\pi$ は同 Exercises 10D の 22(p. 338)で問われている。

関連項目

参考文献

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