c0空間(c0 space)とは、$0$ に収束するスカラー列全体に上限ノルム $\|x\|_\infty=\sup_k|x_k|$ を入れた Banach 空間 $c_0$ であり、有界な数列の空間 $\ell^\infty$ の閉部分空間である。可分で、標準基底 $(e_k)$ を Schauder 基底にもち、双対空間は $\ell^1$、二重双対空間は $\ell^\infty$ と同一視されるので反射的でない。$c_0$ は $\ell^\infty$ の中で補空間をもたず、そこからどのノルム空間の双対空間とも線形同型でないことが従う。弱 Cauchy 列 $(1,\ldots,1,0,0,\ldots)$ が弱収束しないなど、反射的な空間や $\ell^1$ と対照的な性質をもち、関数解析の反例によく使われる。
前提知識: ℓp空間, Banach空間, 連続双対空間, Hahn–Banachの定理
$0$ に収束する数列全体に上限ノルムを入れた空間 $c_0$ は、無限次元の Banach 空間の中でもっとも単純なものの一つである。それでいて、反射的な空間や Hilbert 空間で当たり前に成り立つ性質の多くが $c_0$ では崩れるので、関数解析の反例の供給源になっている。
スカラー体を $\mathbb{K}=\mathbb{R}$ または $\mathbb{C}$ とする。数列 $x=(x_k)_{k\ge1}$($x_k\in\mathbb{K}$)について $\|x\|_\infty:=\sup_k|x_k|$ とおく。
$c_0$ は $\ell^\infty$ の閉部分空間であり、Banach 空間である(Banach空間 の記事の命題「数列の空間の完備性」)。次の性質は ℓp空間 の記事で証明されている。
Banach 空間 $X$ の閉部分空間 $Y$ が補空間をもつ(complemented)とは、$X$ から $Y$ の上への有界な線形射影 $P$($P(X)=Y$、$Py=y$ ($y\in Y$))が存在することをいう。これは閉部分空間 $Z$ で $X=Y\oplus Z$(代数的な直和)となるものがあることと同値である。$P$ があれば $Z:=\ker P$ をとればよく、逆は 開写像定理 の記事の系「閉部分空間への直和分解の射影」による。Hilbert 空間では直交補空間がいつも補空間になるが、Banach 空間ではそうとは限らない。その代表的な例が $c_0\subset\ell^\infty$ である。
証明には、正の整数の部分集合で「どの 2 つもほとんど交わらない」ものが非可算個とれることを使う。
正の整数の無限部分集合の族 $\{A_t\}_{t\in I}$ で、添字集合 $I$ が非可算であり、$s\ne t$ なら $A_s\cap A_t$ が有限集合であるものが存在する。
有理数全体から正の整数全体への全単射 $\nu\colon\mathbb{Q}\to\mathbb{Z}_{>0}$ を 1 つ固定する。$I$ を無理数全体とし、$t\in I$ について
$$
Q_t:=\{\lfloor10^jt\rfloor/10^j\mid j\ge1\}\subset\mathbb{Q},\qquad A_t:=\nu(Q_t)
$$
とおく。$Q_t$ の元を並べた列は $t$ に収束する。$Q_t$ が有限集合なら、この列はある番号から先で一定になり、その値は極限 $t$ に等しくなって $t$ が有理数になるので、$Q_t$ は無限集合であり、$A_t$ も無限集合である。
$s\ne t$ とし、$\delta:=|s-t|/3$ とおく。$Q_s$ の元で $s$ から距離 $\delta$ 以上のものは有限個の $j$ からしか来ないので有限個である。同様に $Q_t$ の元で $t$ から距離 $\delta$ 以上のものも有限個である。$Q_s\cap Q_t$ の元 $q$ は、$|q-s|<\delta$ と $|q-t|<\delta$ を同時には満たせない(満たせば $|s-t|<2\delta$)ので、上の 2 つの有限集合のどちらかに入る。よって $Q_s\cap Q_t$ は有限集合であり、$\nu$ は単射なので $A_s\cap A_t=\nu(Q_s\cap Q_t)$ も有限集合である。$\square$
$A\subset\mathbb{Z}_{>0}$ の指示関数を $\mathbf 1_A\in\ell^\infty$($k\in A$ なら第 $k$ 座標が $1$、それ以外は $0$)と書く。$A$ が無限集合なら $\mathbf 1_A$ は $1$ を無限個もつので $\mathbf 1_A\notin c_0$ である。
$T\colon\ell^\infty\to\ell^\infty$ を有界な線形写像で $T(c_0)=\{0\}$ を満たすものとし、$\{A_t\}_{t\in I}$ を lem-c0-almost-disjoint の族とする。このとき $T\mathbf 1_{A_t}\ne0$ となる $t\in I$ は高々可算個である。
正の整数 $n,m$ について $I_{n,m}:=\{t\in I\mid|(T\mathbf 1_{A_t})_n|\ge1/m\}$ とおく。$I_{n,m}$ の元の個数が $m\|T\|$ 以下であることを示す。
$t_1,\ldots,t_N$ を $I_{n,m}$ の相異なる元とする。$F:=\bigcup_{i\ne j}(A_{t_i}\cap A_{t_j})$ は有限集合である。$a_i:=(T\mathbf 1_{A_{t_i}})_n$ とし、$\alpha_i:=\overline{a_i}/|a_i|$ とおくと $|\alpha_i|=1$、$\alpha_ia_i=|a_i|$ である。
$$
x:=\sum_{i=1}^N\alpha_i\mathbf 1_{A_{t_i}\setminus F}
$$
とおくと、集合 $A_{t_i}\setminus F$($i=1,\ldots,N$)はどの 2 つも交わらないので、$x$ の各座標は $0$ かある $\alpha_i$ であり、$\|x\|_\infty\le1$ である。一方
$$
\sum_{i=1}^N\alpha_i\mathbf 1_{A_{t_i}}-x=\sum_{i=1}^N\alpha_i\mathbf 1_{A_{t_i}\cap F}
$$
は有限個の座標を除いて $0$ なので $c_0$ に入り、$T$ で $0$ に写る。したがって
$$
(Tx)_n=\sum_{i=1}^N\alpha_i(T\mathbf 1_{A_{t_i}})_n=\sum_{i=1}^N|a_i|\ge\frac Nm
$$
である。$|(Tx)_n|\le\|Tx\|_\infty\le\|T\|$ なので $N\le m\|T\|$ となる。
$T\mathbf 1_{A_t}\ne0$ ならある座標 $n$ で $(T\mathbf 1_{A_t})_n\ne0$ であり、ある $m$ で $t\in I_{n,m}$ となる。よって $\{t\mid T\mathbf 1_{A_t}\ne0\}=\bigcup_{n,m}I_{n,m}$ は有限集合の可算和であり、高々可算である。$\square$
$\ell^\infty$ から $c_0$ の上への有界な線形射影は存在しない。すなわち $c_0$ は $\ell^\infty$ の中で補空間をもたない。
有界な線形射影 $P\colon\ell^\infty\to\ell^\infty$ で $P(\ell^\infty)=c_0$ かつ $Px=x$($x\in c_0$)となるものがあったとする。$T:=I-P$ は有界な線形写像で、$x\in c_0$ なら $Tx=x-x=0$ である。lem-c0-almost-disjoint の族 $\{A_t\}_{t\in I}$ をとると、$I$ は非可算なので、lem-c0-vanishing-operator により $T\mathbf 1_{A_t}=0$ となる $t$ がある。このとき $\mathbf 1_{A_t}=P\mathbf 1_{A_t}\in c_0$ であるが、$A_t$ は無限集合なので $\mathbf 1_{A_t}\notin c_0$ であり、矛盾する。$\square$
証明の要は、$c_0$ の上で消える作用素 $T$ が、ほとんど交わらない集合の指示関数のうち可算個しか「見えない」ことである。座標は可算個しかなく、1 つの座標から見える指示関数は、ノルムの評価から各段階で有限個に限られる。一方で無限集合の指示関数は非可算個あるので、$T$ で消えるのに $c_0$ に入らない元が必ず残る。
thm-c0-phillips は、Hahn–Banach の定理がベクトル値の写像には成り立たないことも示している。恒等写像 $c_0\to c_0$ を有界な線形写像 $\ell^\infty\to c_0$ へ延長できたとすると、その延長は $\ell^\infty$ から $c_0$ の上への有界な射影になるからである。値がスカラーなら、連続線形汎関数はいつもノルムを変えずに延長できる(Hahn–Banachの定理)。
どのノルム空間 $Y$ についても、$c_0$ と $Y^*$ は線形同型(有界で有界な逆をもつ線形全単射が存在すること)でない。
ノルム空間 $Z$ の評価写像を $J_Z\colon Z\to Z^{**}$ と書き、有界線形写像 $A$ の双対写像を $A^*$ と書く。
(a) $Y^*$ は $Y^{***}$ の中で補空間をもつ。$Q:=J_{Y^*}\circ(J_Y)^*\colon Y^{***}\to Y^{***}$ とおく。$\varphi\in Y^*$ と $y\in Y$ について $((J_Y)^*J_{Y^*}\varphi)(y)=(J_{Y^*}\varphi)(J_Yy)=(J_Yy)(\varphi)=\varphi(y)$ なので $(J_Y)^*\circ J_{Y^*}$ は $Y^*$ の恒等写像であり、$Q^2=Q$、$Q(Y^{***})=J_{Y^*}(Y^*)$ である。
(b) 線形同型 $S\colon Y^*\to c_0$ があったとする。$S^{**}\colon Y^{***}\to(c_0)^{**}$ も線形同型であり、$\varphi\in Y^*$・$\psi\in(c_0)^*$ に対して $(S^{**}J_{Y^*}\varphi)(\psi)=(J_{Y^*}\varphi)(S^*\psi)=(S^*\psi)(\varphi)=\psi(S\varphi)$ なので $S^{**}\circ J_{Y^*}=J_{c_0}\circ S$ である。$R:=S^{**}Q(S^{**})^{-1}$ は $(c_0)^{**}$ 上の有界な射影で、その像は $S^{**}J_{Y^*}(Y^*)=J_{c_0}(S(Y^*))=J_{c_0}(c_0)$ である。
(c) 節「定義と基本的な性質」で述べたとおり、$(c_0)^{**}$ は等長同型 $\Theta\colon(c_0)^{**}\to\ell^\infty$ で $\ell^\infty$ と同一視され、$\Theta\circ J_{c_0}$ は包含 $c_0\subset\ell^\infty$ である。すると $\Theta R\Theta^{-1}$ は $\ell^\infty$ から $c_0$ の上への有界な射影になり、thm-c0-phillips に反する。$\square$
(a) の射影は双対空間ならいつも存在するので、「二重双対の中で補空間をもたない」ことは双対空間と同型でないことの判定法になる。閉単位球に端点がないことからは等長同型でないことしかわからない。端点の有無はノルムを同値なものに取り替えると変わりうるからである。実際、次の節の線形同型 $c\cong c_0$ で $c$ のノルムを $c_0$ へ移すと、$c_0$ の同値なノルムで閉単位球が端点をもつものが得られる。cor-c0-not-dual はこの差を埋めている。
収束する数列全体 $c:=\{x\in\ell^\infty\mid\lim_kx_k\text{ が存在する}\}$ に $\|\cdot\|_\infty$ を入れたものを収束数列の空間という。$x\in c$ の極限を $\lim x$ と書く。
$c_0\subset c\subset\ell^\infty$ であり、$c$ は $\ell^\infty$ の閉部分空間である。$x\in c$ は $x=(x-(\lim x)\mathbf 1)+(\lim x)\mathbf 1$ と分けられるので、$c=c_0\oplus\mathbb{K}\mathbf 1$ である。$c_0$ との違いは 1 次元だけであるが、ノルムの形は異なる。
1:$\lambda:=\lim x$ とおくと、$Sx$ の第 $k+1$ 座標 $x_k-\lambda$ は $0$ に収束するので $Sx\in c_0$ であり、$S$ は線形である。$|\lambda|\le\|x\|_\infty$、$|x_k-\lambda|\le2\|x\|_\infty$ から $\|Sx\|_\infty\le2\|x\|_\infty$ である。$y\in c_0$ について $Ry:=(y_2+y_1,\ y_3+y_1,\ y_4+y_1,\ \ldots)$ とおくと、$Ry$ は $y_1$ に収束するので $Ry\in c$、$\lim Ry=y_1$ であり、$SRy=(y_1,y_2,y_3,\ldots)=y$ となる。また $RSx=(x_1-\lambda+\lambda,\ x_2-\lambda+\lambda,\ \ldots)=x$ である。よって $S$ は全単射で $S^{-1}=R$、$\|Ry\|_\infty\le2\|y\|_\infty$ である。
2:$c$ の閉単位球 $B_c$ の 2 点 $y,z$ で $\mathbf 1=\frac12(y+z)$ となるものをとる。各 $k$ で $1=\frac12(y_k+z_k)$、$|y_k|,|z_k|\le1$ である。実部をとると $\operatorname{Re}y_k,\operatorname{Re}z_k\le1$ で平均が $1$ なので $\operatorname{Re}y_k=\operatorname{Re}z_k=1$ となり、$|y_k|\le1$ から $y_k=1$、同様に $z_k=1$ である。よって $y=z=\mathbf 1$ であり、$\mathbf 1$ は端点である。全射な線形等長写像は閉単位球を閉単位球の上へ写し、端点を端点へ写すが(Krein–Milmanの定理 の記事の命題「$c_0$ は双対空間と等長同型でない」の証明と同じ理由)、$c_0$ の閉単位球には端点がない。$\square$
実数の場合、$c$ の双対も $\ell^1$ と等長同型である。$(c)^*$ の元は $u\in\ell^1$ と $\lambda\in\mathbb{R}$ によって $x\mapsto\sum_ku_kx_k+\lambda\lim x$ とただ一通りに書け、そのノルムは $\|u\|_1+|\lambda|$ に等しい(Bre11 Proposition 11.20)。$(\lambda,u_1,u_2,\ldots)$ を対応させれば $\ell^1$ との等長同型になる。したがって $c$ と $c_0$ は、双対空間が等長同型でありながら、それ自身は等長同型でない例にもなっている。
Banach 空間 $X$ の点列 $(x_n)$ が弱 Cauchy 列であるとは、すべての $f\in X^*$ について数列 $(f(x_n))$ が収束することをいう。弱 Cauchy 列がつねに $X$ の中の点に弱収束するとき、$X$ は弱点列完備であるという。弱収束は 弱位相(関数解析) の意味である。
$s_n:=e_1+\cdots+e_n=(1,\ldots,1,0,0,\ldots)\in c_0$ は弱 Cauchy 列であるが、$c_0$ のどの点にも弱収束しない。とくに $c_0$ は弱点列完備でない。
$f\in(c_0)^*$ は $u\in\ell^1$ によって $f=\varphi_u$ と書ける(ℓp空間 の記事の定理「$\ell^p$ と $c_0$ の双対」)。$f(s_n)=\sum_{k\le n}u_k$ は絶対収束する級数の部分和なので収束する。よって $(s_n)$ は弱 Cauchy 列である。$s_n$ が $x\in c_0$ に弱収束したとすると、第 $k$ 座標をとる汎関数 $\varphi_{e_k}$ について $x_k=\lim_n(s_n)_k=1$ がすべての $k$ で成り立ち、$x=\mathbf 1\notin c_0$ となって矛盾する。$\square$
$s_n$ を評価写像で $(c_0)^{**}\cong\ell^\infty$ に移すと、$J(s_n)$ は弱スター位相で $\mathbf 1$ に収束する(弱スター位相)。極限は二重双対空間の中にはあるが、$J(c_0)$ の外にある。
$\ell^1$ と反射的な空間は弱点列完備である。$\ell^1$ は Schur の性質をもつ(弱収束する点列はノルムでも収束する。ℓp空間 の記事の定理「Schurの定理」)ので、弱 Cauchy 列はノルムで Cauchy 列になる。
1:$(x_n)$ を反射的な空間 $X$ の弱 Cauchy 列とする。評価写像の像 $J(x_n)$ は $X^*$ 上の連続線形汎関数の族で、各 $f\in X^*$ で $(J(x_n)(f))=(f(x_n))$ は有界なので、一様有界性原理 の定理「一様有界性原理」により $\sup_n\|x_n\|=\sup_n\|J(x_n)\|<\infty$ である。反射的Banach空間 の定理「有界列の弱収束部分列」により、ある部分列が $x\in X$ に弱収束する。各 $f$ で $(f(x_n))$ は収束し、その部分列は $f(x)$ に収束するので、$f(x_n)\to f(x)$ である。
2:$(x_n)$ を $\ell^1$ の弱 Cauchy 列とし、ノルムで Cauchy 列でないとする。$\varepsilon>0$ と番号 $n_1< m_1< n_2< m_2<\cdots$ で $\|x_{n_j}-x_{m_j}\|_1\ge\varepsilon$ となるものがとれる。各 $f$ で $f(x_{n_j})$ と $f(x_{m_j})$ は同じ極限に収束するので、$x_{n_j}-x_{m_j}$ は $0$ に弱収束し、Schur の定理によりノルムで $0$ に収束する。これは矛盾である。よって $(x_n)$ はノルムで Cauchy 列であり、$\ell^1$ は完備なのでノルムで収束し、したがって弱収束する。
3:$T\colon c_0\to Y$ を $c_0$ から $X$ の閉部分空間 $Y$ の上への線形同型とする。$f\in X^*$ について $f\circ T\in(c_0)^*$ なので、$(Ts_n)$ は $X$ の弱 Cauchy 列であり、仮定から $X$ のある点 $y$ に弱収束する。$y\notin Y$ なら、Hahn–Banachの定理 の記事の系「閉部分空間の外の点を検出する汎関数」により $Y$ の上で $0$、$g(y)\ne0$ となる $g\in X^*$ があるが、$g(Ts_n)=0\to g(y)$ に反する。よって $y\in Y$ である。$\varphi\in(c_0)^*$ について、$\varphi\circ T^{-1}$ は $Y$ 上の連続線形汎関数であり、Hahn–Banach の定理により $X$ 上の $g$ へ延長できる。すると $\varphi(s_n)=g(Ts_n)\to g(y)=\varphi(T^{-1}y)$ となり、$s_n$ は $T^{-1}y\in c_0$ に弱収束する。これは prop-c0-weak-cauchy に反する。$\square$
| 空間 | Schur の性質 | 弱点列完備 | $c_0$ と同型な閉部分空間 |
|---|---|---|---|
| $c_0$ | もたない($e_k$ は $0$ に弱収束、$\|e_k\|_\infty=1$) | でない(prop-c0-weak-cauchy) | もつ(自分自身) |
| $\ell^1$ | もつ | である | もたない |
| $\ell^p$($1< p<\infty$) | もたない | である(反射的) | もたない |
| $\ell^\infty$ | もたない | でない($c_0$ を含む) | もつ($c_0$) |
$c_0$ と $\ell^1$ は双対の関係にあるが、弱収束についての振る舞いは正反対である。$c_0$ では弱収束がノルム収束よりずっと弱く、弱 Cauchy 列が空間の外へ逃げる。$\ell^1$ では点列に関する限り弱収束とノルム収束が一致する。$c_0$ の標準基底 $e_k$ が $0$ に弱収束することは 弱位相(関数解析) の記事の例「$\ell^p$ と $c_0$ の標準基底」にある。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 反射性(反射的Banach空間 の命題「反射的なら汎関数はノルムを達成する」) | $c_0$ と $f(x)=\sum_k2^{-k}x_k$ | 汎関数がノルムを達成すること |
| 反射性(prop-c0-wsc の 1) | $c_0$ の $s_n=e_1+\cdots+e_n$ | 弱 Cauchy 列の弱収束 |
| 双対空間であること(Banach–Alaoglu と Krein–Milman の定理) | $c_0$ の閉単位球 | 端点の存在 |
| 全体の空間が Hilbert 空間であること(直交補空間が補空間になる) | $c_0\subset\ell^\infty$ | 有界な射影の存在(thm-c0-phillips) |
| 値域がスカラー体であること(Hahn–Banach の延長) | 恒等写像 $c_0\to c_0$ を $\ell^\infty$ へ延長する問題 | 有界な線形の延長の存在 |
1 行目は節「定義と基本的な性質」、2 行目は prop-c0-weak-cauchy、3 行目は Krein–Milmanの定理 の記事の例、4 行目は thm-c0-phillips である。5 行目:延長 $E\colon\ell^\infty\to c_0$ が有界な線形写像で $c_0$ 上で恒等写像なら、$E$ は $\ell^\infty$ から $c_0$ の上への有界な射影であり、thm-c0-phillips に反する。
$c_0$ と $c$ の定義、可分性、双対空間($(c_0)^*\cong\ell^1$、$(c)^*\cong\ell^1\times\mathbb{R}$)、反射性は Bre11 §11.3(pp. 357–361、Propositions 11.16–11.21)に実数のスカラーで述べられている。ノルムを達成しない汎関数は Bre11 Exercise 1.4(p. 21)、弱 Cauchy 列 $s_n$ は Exercise 3.16 の 3(p. 83)、$c_0$ が $\ell^\infty$ の中で補空間をもたないことの主張は Comments on Chapter 2 の 1(p. 48)にある。同書は証明を他書に委ねている。$c$・$c_0$・$\ell^\infty$ の閉単位球の端点を調べることは Bre11 Problem 1 の 9(p. 436)にある。
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