Weierstrassの予備定理(Weierstrass preparation theorem)とは、原点の近くの正則関数 $g(z',w)$ が、$z'=0$ と置くと $w=0$ で $b$ 位の零点をもつとき、$g$ を零点のない正則関数と、係数が $z'$ の正則関数で原点で消える $w$ のモニックな $b$ 次多項式(Weierstrass 多項式)との積に一意に分解できるという定理である。対になる割り算定理により、任意の正則関数は $g$ で割って余りを $w$ の $b$ 次未満の多項式にでき、商と余りは一意である。これらは $n$ 変数の局所問題を $n-1$ 変数係数の多項式に帰着する道具で、そこから収束冪級数環が Noether 環であることや、2 変数以上では正則関数の零点が孤立しないことが従い、Oka の連接定理の証明の土台にもなる。
前提知識: 多重円板, 正則関数, 偏角の原理, Newtonの恒等式, Noether環
1 変数では、原点で $b$ 位の零点をもつ正則関数は、原点の近くで $w^b\cdot(\text{零点をもたない正則関数})$ と書ける。Weierstrass の予備定理は、これを多変数へ広げる定理である。$z=(z',w)\in\mathbb{C}^{n-1}\times\mathbb{C}$ の正則関数 $g$ が、$z'=0$ と置いた 1 変数関数 $g(0,w)$ として $w=0$ で $b$ 位の零点をもつなら、$g$ は原点の近くで
$$
g(z',w)=u(z',w)\,\bigl(w^b+a_{b-1}(z')w^{b-1}+\cdots+a_0(z')\bigr)
$$
と、零点をもたない正則関数 $u$ と、係数が $z'$ の正則関数である $w$ の多項式との積に一意に分解される。対になる Weierstrass の割り算定理 は、任意の正則関数 $f$ を $g$ で「割り算」して、余りを $w$ について次数 $b$ 未満の多項式にできることを述べる。
この 2 つの定理によって、$n$ 変数の正則関数の局所的な問題を、係数が $n-1$ 変数の正則関数である多項式の問題に帰着できる。変数の個数についての帰納法がここから始まり、収束冪級数環が Noether 環であること(cor-wp-noether)、2 変数以上では正則関数の零点が孤立しないこと(cor-wp-zeros)、さらには Oka の連接定理(複素解析空間 の定理「Oka の連接定理」)が導かれる。
$n\ge1$ とし、$\mathbb{C}^n$ の点を $z=(z',w)$、$z'=(z_1,\dots,z_{n-1})\in\mathbb{C}^{n-1}$、$w=z_n\in\mathbb{C}$ と書く($n=1$ では $z'$ はない)。原点の近傍で正則な関数の芽の環を、収束冪級数の環と同一視して $\mathbb{C}\{z\}=\mathbb{C}\{z_1,\dots,z_n\}$ と書く。$\mathbb{C}\{z'\}$ も同様である。$D(\rho):=\{w\in\mathbb{C}\mid|w|< \rho\}$ とし、$\mathbb{C}^{n-1}$ の原点を中心とする多重円板を $\Delta'$ で表す。
Weierstrass 多項式 $W$ は $W(0,w)=w^b$ を満たすので、$w$ について $b$ 次の正則である。$b=0$ の Weierstrass 多項式は $1$ であり、$w$ について $0$ 次の正則な関数とは $g(0)\ne0$ となる関数、すなわち $\mathbb{C}\{z\}$ の単元である。
$g$ を原点の近傍で正則で、$w$ について $b$ 次の正則な関数とする。このとき、原点を中心とする多重円板 $\Delta'\subset\mathbb{C}^{n-1}$ と $\rho>0$、$\Delta'\times D(\rho)$ 上の零点をもたない正則関数 $u$、係数が $\Delta'$ 上で正則な $b$ 次の Weierstrass 多項式 $W$ があって、$\Delta'\times D(\rho)$ 上で
$$
g=u\,W
$$
が成り立ち、各 $z'\in\Delta'$ について $W(z',\cdot)$ の $b$ 個の根はすべて $D(\rho)$ に入る。芽としての $u$ と $W$ は $g$ から一意に定まる。
$W(z',\cdot)$ は、$g(z',\cdot)$ の原点の近くの $b$ 個の零点を根とするモニック多項式として定める。根そのものは $z'$ について正則とは限らないが(ex-wp-sqrt)、根の冪和は留数の積分で書けて正則になり、係数はその多項式になる。証明は次の節の補題のあとに置く。
$g$ を原点の近傍で正則で、$w$ について $b$ 次の正則な関数とする。このとき任意の $f\in\mathbb{C}\{z\}$ に対し、
$$
f=q\,g+r,\qquad q\in\mathbb{C}\{z\},\quad r\in\mathbb{C}\{z'\}[w],\quad \deg_wr< b
$$
となる $q,r$ がただ一組存在する。
割り算定理は、$\mathbb{C}\{z\}/(g)$ が $\mathbb{C}\{z'\}$ 加群として $1,w,\dots,w^{b-1}$ の像を基底とする階数 $b$ の自由加群であることを述べている。$n=1$ では $g=w^be(w)$、$e$ は単元なので $(g)=(w^b)$ であり、余り $r$ は $f$ の Taylor 展開の $b-1$ 次までの部分そのものである。
$g$ を thm-wp-preparation の仮定のとおりとする。$\rho>0$ と多重円板 $\Delta'$ を十分小さくとると、$g$ は $\overline{\Delta'}\times\overline{D(\rho)}$ の近傍で正則で、$z'\in\Delta'$、$|w|=\rho$ のとき $g(z',w)\ne0$ であり、各 $z'\in\Delta'$ について $g(z',\cdot)$ は $D(\rho)$ にちょうど $b$ 個の零点を重複度こみでもつ。さらに $D(\rho)$ の近傍で正則な $h$ について、$g(z',\cdot)$ の $D(\rho)$ 内の零点を重複度こみで $\alpha_1(z'),\dots,\alpha_b(z')$ と並べると
$$
\sum_{l=1}^bh(\alpha_l(z'))=\frac1{2\pi i}\oint_{|t|=\rho}h(t)\,\frac{\partial_tg(z',t)}{g(z',t)}\,dt
$$
であり(右辺を根の積分表示とよぶ)、右辺は $z'\in\Delta'$ について正則である。
要点:$g(0,\cdot)$ の零点は $w=0$ で孤立しているので、小さい円周 $|w|=\rho$ の上で $|g(0,w)|$ は正の下限をもち、$z'$ を少し動かしても円周上で $0$ にならない。零点の個数は 偏角の原理 の積分で表され、整数値で連続なので一定である。
$g(0,w)=w^be(w)$、$e(0)\ne0$ だから、$\rho>0$ を小さくとれば $g$ は $\{0\}\times\overline{D(\rho)}$ の近傍で正則で、$0<|w|\le\rho$ で $g(0,w)\ne0$ である。$m:=\min_{|w|=\rho}|g(0,w)|>0$ とおく。$g$ は円周 $\{0\}\times\{|w|=\rho\}$ の近傍で一様連続なので、多重円板 $\Delta'$ を小さくとれば、$g$ は $\overline{\Delta'}\times\overline{D(\rho)}$ の近傍で正則で、$z'\in\Delta'$、$|w|=\rho$ について $|g(z',w)-g(0,w)|< m$、とくに $g(z',w)\ne0$ である。$h$ を $D(\rho)$ の近傍で正則とすると、留数定理(留数定理)により根の積分表示の右辺は $h\,\partial_tg/g$ の $D(\rho)$ 内の留数の和で、$g(z',\cdot)$ の $k$ 位の零点 $\alpha$ での留数は $kh(\alpha)$ だから根の積分表示が成り立つ。被積分関数は $(z',t)\in\Delta'\times\{|t|=\rho\}$ について連続で、$t$ を止めると $z'$ について正則なので、右辺は $\Delta'$ 上で連続かつ各変数について正則、すなわち正則である(積分記号下の微分)。$h=1$ とすると、零点の個数 $N(z')$ は $\Delta'$ 上の整数値連続関数で、$\Delta'$ は連結だから $N(z')=N(0)=b$ である。
存在:lem-wp-roots の $\Delta'$、$\rho$ をとり、$z'\in\Delta'$ に対し
$$
W(z',w):=\prod_{l=1}^b\bigl(w-\alpha_l(z')\bigr)=w^b+\sum_{j=0}^{b-1}a_j(z')w^j
$$
とおく。根の並べ方によらず定まる。冪和 $s_k(z')=\sum_l\alpha_l(z')^k$ は根の積分表示で $h(t)=t^k$ とおいたものなので $\Delta'$ 上で正則である。$a_j$ は符号を除いて $\alpha_1,\dots,\alpha_b$ の基本対称式であり、Newtonの恒等式 により基本対称式は冪和 $s_1,\dots,s_b$ の有理数係数の多項式なので、$a_j$ は $\Delta'$ 上で正則である。$z'=0$ では根はすべて $0$ なので $W(0,w)=w^b$、すなわち $a_j(0)=0$ であり、$W$ は Weierstrass 多項式である。
各 $z'\in\Delta'$ について、$g(z',\cdot)$ と $W(z',\cdot)$ は $D(\rho)$ で同じ零点を同じ重複度でもつので、$g(z',\cdot)/W(z',\cdot)$ は $D(\rho)$ の近傍で除去可能な特異点しかもたず、$D(\rho)$ で零点をもたない。$|t|=\rho$ では $W(z',t)\ne0$ だから、1 変数の Cauchy の積分公式(Cauchyの積分公式)により
$$
u(z',w):=\frac1{2\pi i}\oint_{|t|=\rho}\frac{g(z',t)}{W(z',t)\,(t-w)}\,dt=\frac{g(z',w)}{W(z',w)}\qquad(|w|<\rho)
$$
である。左辺の積分は lem-wp-roots の証明と同じ理由で $(z',w)\in\Delta'\times D(\rho)$ について正則なので、$u$ は $\Delta'\times D(\rho)$ 上の零点をもたない正則関数で、$g=uW$ である。
一意性:$g=u_1W_1$ を原点の近くでのもう一つの分解とする。$W_1(0,w)=w^{b_1}$ と $g(0,w)=w^be(w)$、$u_1(0)\ne0$ を比べて $b_1=b$ である。$\rho$ と $\Delta'$ をさらに小さくとって、$u_1$ が $\Delta'\times\overline{D(\rho)}$ の近傍で零点をもたず、$W_1(z',\cdot)$ の根がすべて $D(\rho)$ に入るようにできる(rem-wp-root-bound)。このとき $W_1(z',\cdot)$ の $b$ 個の根は $g(z',\cdot)$ の $D(\rho)$ 内の $b$ 個の零点と重複度こみで一致するので、$W_1(z',\cdot)=W(z',\cdot)$、したがって $u_1=u$ である。$\square$
モニック多項式 $P(w)=w^b+\sum_{j< b}c_jw^j$ の根 $w$ は $|w|\le2\max_j|c_j|^{1/(b-j)}$ を満たす。実際 $|w|$ が右辺より大きければ $|c_j|<(|w|/2)^{b-j}$ なので $\bigl|\sum_jc_jw^j\bigr|<|w|^b\sum_{j< b}2^{-(b-j)}<|w|^b$ となり、$P(w)\ne0$ である。Weierstrass 多項式の係数は $z'\to0$ で $0$ に近づくので、$z'$ が十分 $0$ に近ければ根はすべて任意に小さい円板に入る。
存在:まず Weierstrass 多項式で割る。thm-wp-preparation の $g=uW$ をとり、$\Delta'$ と $\rho$ を小さくして、$f$ が $\overline{\Delta'}\times\overline{D(\rho)}$ の近傍で正則で、$z'\in\Delta'$、$|t|=\rho$ で $W(z',t)\ne0$ となるようにする(lem-wp-roots の性質は保たれる)。$(z',w)\in\Delta'\times D(\rho)$ に対し
$$
q_0(z',w):=\frac1{2\pi i}\oint_{|t|=\rho}\frac{f(z',t)}{W(z',t)\,(t-w)}\,dt,\qquad r:=f-q_0W
$$
とおく。$q_0$ は $\Delta'\times D(\rho)$ 上で正則である。$f(z',w)$ を Cauchy の積分公式で表して引き算すると
$$
r(z',w)=\frac1{2\pi i}\oint_{|t|=\rho}\frac{f(z',t)}{W(z',t)}\cdot\frac{W(z',t)-W(z',w)}{t-w}\,dt
$$
となる。$a_b:=1$ とおくと $\dfrac{W(z',t)-W(z',w)}{t-w}=\sum_{k=1}^ba_k(z')\sum_{i=0}^{k-1}t^{k-1-i}w^i$ は $w$ について次数 $b-1$ 以下の多項式で、係数は $t$ の多項式と $a_k(z')$ の積である。積分を係数ごとに行えば、$r=\sum_{i< b}r_i(z')w^i$、$r_i$ は $\Delta'$ 上で正則となる。こうして $f=q_0W+r$ を得る。$u$ は零点をもたないので $q:=q_0/u$ とおけば $f=qg+r$ である。
一意性:$qg+r=0$、$\deg_wr< b$ とする。$q,r$ がともに定義される $\Delta'\times D(\rho)$ をとり直して lem-wp-roots を使うと、各 $z'\in\Delta'$ で $g(z',\cdot)$ は $D(\rho)$ に重複度こみで $b$ 個の零点をもち、$r(z',\cdot)=-q(z',\cdot)g(z',\cdot)$ はそれらを少なくとも同じ重複度で零点にもつ。次数 $b$ 未満の多項式が重複度こみで $b$ 個の零点をもつので $r(z',\cdot)\equiv0$、すなわち $r=0$ である。すると $qg=0$ で、$g\not\equiv0$ だから 一致の定理 により $q=0$ である。$\square$
$q_0$ の積分表示は、$W$ が $f$ を割り切るときは Cauchy の積分公式そのものであり、割り切らないときにも商を与える。$g$ が一般の $w$ 正則関数でも、$u$ の逆数を掛けるだけで済むので、割り算定理と予備定理は互いに他方を含む(予備定理は、割り算定理を $f=w^b$ に使い $w^b=qg+r$ から $W:=w^b-r$、$u:=1/q$ とおいても得られる。Hor90 Corollary 6.1.2 はこの順である)。
$f\in\mathbb{C}\{z\}$、$f\ne0$ とする。$\mathbb{C}^n$ の線形な座標変換で、変換後の $f$ が最後の変数 $w$ について $m$ 次の正則になるものがある。ここで $m$ は $f$ の原点での零点の位数(Taylor 展開の 0 でない最低次)である。
$f=\sum_{k\ge m}P_k$($P_k$ は $k$ 次の斉次多項式、$P_m\ne0$)と展開する。0 でない多項式は $\mathbb{C}^n$ 上で恒等的に $0$ にならないので、$P_m(v)\ne0$ となる $v\in\mathbb{C}^n$ がある。$v$ を最後の基底ベクトルに含む $\mathbb{C}^n$ の基底をとり、その座標を $(z',w)$ とすると $(0,w)$ は点 $wv$ を表し、$f(wv)=\sum_{k\ge m}P_k(v)w^k=P_m(v)w^m+\cdots$ だから、$f$ は $w$ について $m$ 次の正則である。$\square$
$\mathbb{C}\{z_1,\dots,z_n\}$ は Noether 環である。
$n$ についての帰納法による。$n=0$ では体 $\mathbb{C}$ である。$n\ge1$ とし、$\mathbb{C}\{z'\}$ が Noether 環だと仮定する。$I\subset\mathbb{C}\{z\}$ を 0 でないイデアルとし、$0\ne g\in I$ をとる。線形な座標変換は $\mathbb{C}\{z\}$ の環の自己同型を引き起こすので、lem-wp-coordinates により $g$ は $w$ について $b$ 次の正則だとしてよい。$M:=I\cap\{r\in\mathbb{C}\{z'\}[w]\mid\deg_wr< b\}$ は、階数 $b$ の自由 $\mathbb{C}\{z'\}$ 加群 $\bigoplus_{i< b}\mathbb{C}\{z'\}w^i$ の部分加群である。Noether 環上の有限生成加群の部分加群は有限生成なので(Noether加群)、$M$ は有限個の $r_1,\dots,r_k$ で生成される。$f\in I$ を thm-wp-division で $f=qg+r$ と割ると $r=f-qg\in M$ なので、$f\in(g,r_1,\dots,r_k)$ である。よって $I=(g,r_1,\dots,r_k)$ は有限生成である。$\square$
$\mathbb{C}\{z\}$ は一意分解整域でもある(Leb26t Theorem 6.4.2、p. 182。この記事では証明しない)。証明は予備定理で $\mathbb{C}\{z'\}[w]$ の Weierstrass 多項式の分解に帰着し、Gauss の補題を使う。
$n\ge2$ とし、$g$ を原点の近傍で正則、$g(0)=0$、$g\not\equiv0$ とする。このとき原点のどの近傍にも、原点以外の $g$ の零点がある。より詳しく、座標を lem-wp-coordinates のようにとると、thm-wp-preparation の $\Delta'\times D(\rho)$ の中で $g$ の零点集合は $\{(z',w)\mid W(z',w)=0\}$ に等しく、各 $z'\in\Delta'$ の上に重複度こみでちょうど $b\ge1$ 個ある。
$u$ は零点をもたないので $g$ と $W$ の零点集合は一致し、$W(z',\cdot)$ はモニックな $b$ 次多項式だから $D(\rho)$ に重複度こみで $b$ 個の根をもつ。$g(0)=0$ なので $g(0,w)$ の零点の位数 $b$ は $1$ 以上である。$z'\ne0$ を $0$ に近づけると、rem-wp-root-bound により $W(z',\cdot)$ の根は $0$ に近づくので、原点に収束する原点以外の零点の列がとれる。$\square$
$n=2$、$g(z_1,w)=w^2-z_1$ はそれ自身が 2 次の Weierstrass 多項式で、$u=1$ である。$z_1\ne0$ での根は $\pm\sqrt{z_1}$ で、$z_1=0$ のまわりで連続に選ぶことはできない(一周すると入れ替わる)。それでも根の対称式 $\alpha_1+\alpha_2=0$、$\alpha_1\alpha_2=-z_1$ は正則であり、prf-wp-preparation が根そのものではなく冪和を使うのはこのためである。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $g(0,w)\not\equiv0$($w$ について正則) | $n=2$、$g=z_1$、$f=e^w$ | ある $b$ で $f=qg+r$($\deg_wr< b$)と書ける |
| 余りの次数が $b$ 未満 | $g=w$($b=1$)、$f=w$ | 商と余りの一意性 |
| 原点の近傍で考える | $n=1$、$g=e^w-1$ を $\mathbb{C}$ 全体で | $g=uW$($u$ は零点をもたず、$W$ は多項式) |
予備定理と割り算定理は冪級数についての定理であり、収束を問わない形式的冪級数環 $\mathbb{C}[\![z]\!]$ でも同じ形で成り立つ(Leb26t Remark 6.2.6、p. 176)。非 Archimedes 的な体の上では、Tate代数 の定理「Weierstrass の割り算定理(1 変数)」が対応し、rigid 解析幾何の出発点になる。
割り算定理を係数付きで使うと、Oka の連接定理(複素解析空間 の定理「Oka の連接定理」)、すなわち正則関数の有限個の組の間の関係が局所的に有限個の関係から生成されることが、変数の個数の帰納法で示される(Hor90 Theorem 6.4.1、p. 165)。この記事の定理は Hor90 §6.1 の Theorem 6.1.1(p. 155)・Corollary 6.1.2(p. 157)、Theorem 6.3.3(p. 161)にあり、Hor90 は割り算定理を、$g$ だけから定まる多重円板 $\Delta$ の上で有界な正則関数 $f$ について、評価 $\sup_\Delta|q|\le C\sup_\Delta|f|$ 付きで述べている。根の冪和による予備定理の証明と Cauchy 積分による割り算の証明は Leb26t Theorem 6.2.3(p. 170)・Theorem 6.2.5(p. 175)にあり、Noether 性は Leb26t Theorem 6.4.1(p. 181)にもある。
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