陰関数の微分(implicit differentiation)とは、$x^2+y^2=25$ のように式 $F(x,y)=0$ で与えられた曲線について、$y$ を $x$ の微分可能な関数とみて両辺を $x$ で微分し、接線の傾き $y'$ を求める方法である。積の微分と連鎖律から $F_x+F_y\,y'=0$ が成り立ち、$F_y\ne0$ の点では $y'=-\frac{F_x}{F_y}$ となる($F_x$、$F_y$ は偏導関数)。楕円の接線 $\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1$ はこの方法で求まる。微分可能な陰関数があることは別に確かめる必要があり、$F_y=0$ の点では $y$ が $x$ の関数でなくなることがある。大学では陰関数定理として述べられ、$(F_x,F_y)$ は曲線の法線ベクトルになる。
前提知識: 連鎖律(高校数学), 逆関数の微分, 微分係数と導関数の定義(高校数学)
円 $x^2+y^2=25$ のように、$x$ と $y$ の関係が $y=\cdots$ の形ではなく、式 $F(x,y)=0$ の形で与えられることがある。数学 III では、このような曲線の接線の傾き $y'=\dfrac{dy}{dx}$ を、「$y$ を $x$ の関数とみて、両辺を $x$ で微分する」方法で求める。これを陰関数の微分という。まず、$y$ について解ける例で、2 通りの計算を比べる。
円 $x^2+y^2=25$ の上の点 $(3,\,4)$ での接線の傾きを求める。
$y$ について解いてから微分する:点 $(3,\,4)$ は上半分 $y>0$ にあるので、$y=\sqrt{25-x^2}$ である。連鎖律(高校数学) により
$$
y'=\frac{1}{2\sqrt{25-x^2}}\cdot(-2x)=-\frac{x}{\sqrt{25-x^2}}
$$
で、$x=3$ では $-\dfrac3{\sqrt{16}}=-\dfrac34$ である。
両辺を $x$ で微分する:$y$ を $x$ の関数とみると、$y^2$ は「$u^2$ と $u=y$ の合成」なので、連鎖律により $(y^2)'=2y\,y'$ である。よって $x^2+y^2=25$ の両辺を $x$ で微分して
$$
2x+2y\,y'=0,\qquad y'=-\frac xy
$$
である。$(x,\,y)=(3,\,4)$ を代入すると $y'=-\dfrac34$ で、一致する。
下半分の点 $(3,\,-4)$ では、$y=-\sqrt{25-x^2}$ を微分すると $y'=\dfrac{x}{\sqrt{25-x^2}}=\dfrac34$ である。一方、式 $y'=-\dfrac xy$ に $(3,\,-4)$ を代入しても $-\dfrac3{-4}=\dfrac34$ となる。同じ式で、上半分と下半分の両方の傾きが求まる(図1)。
円 $x^2+y^2=25$ の点 $(3,4)$ と $(3,-4)$ での接線(傾き $-\frac34$ と $\frac34$)は、同じ式 $y'=-\frac xy$ で求まる。点 $(5,0)$ では接線が垂直で、その近くの $x$(たとえば $x=4.6$)に対して $y$ が 2 つあり、$y$ は $x$ の関数として 1 つに決まらないことを見る図。
$xy=1$ の両辺を $x$ で微分する。左辺は $x$ と $y$ の積なので、積の微分により $(xy)'=1\cdot y+x\,y'$ である。右辺は定数なので $0$ である。よって
$$
y+x\,y'=0,\qquad y'=-\frac yx
$$
である。
$y$ について解くと $y=\dfrac1x$ で、$y'=-\dfrac1{x^2}$ である。$y=\dfrac1x$ を $-\dfrac yx$ に代入しても $-\dfrac1{x^2}$ となり、一致する。$x=2$ では、$y=\dfrac12$ で、どちらも $y'=-\dfrac14$ である。
例 1 と例 2 の計算では、次のことが気になる。
| 高校の計算 | この記事での見方 | ボックス |
|---|---|---|
| $y$ を $x$ の関数とみる | $F(x,\varphi(x))=0$ を満たす関数 $\varphi$(陰関数) | def-imp-implicit |
| 両辺を $x$ で微分する | 積の微分と連鎖律で $F_x+F_y\,y'=0$ | prop-imp-differentiate |
| $y'=-\dfrac{F_x}{F_y}$ | $F_y\ne0$ の点で使える | prop-imp-differentiate |
| 分母が $0$ の点 | $y$ が $x$ の関数でなくなることがある(接線が垂直など) | ex-imp-vertical |
| 楕円の接線 $\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1$ | $(F_x,F_y)$ は曲線の法線ベクトル | ex-imp-ellipse-tangent、rem-imp-gradient |
| 分母も分子も $0$ の点 | 曲線の特異点 | ex-imp-folium-origin |
$F(x,y)$ を $x$ と $y$ の式とする。区間 $I$ で定義された関数 $\varphi$ が、$I$ のすべての $x$ で
$$
F(x,\varphi(x))=0
$$
を満たすとき、$\varphi$ を $F(x,y)=0$ で定まる陰関数という。このとき、$y=\varphi(x)$ のグラフは、曲線 $F(x,y)=0$ の一部である。
これに対し、$y=f(x)$ のように $y$ を $x$ の式で直接書いた関数を陽関数ということがある。
「$y$ を $x$ の関数とみる」とは、曲線 $F(x,y)=0$ の一部を、陰関数 $\varphi$ のグラフ $y=\varphi(x)$ とみることである。1 つの式から、陰関数がいくつも出てくることがある。
$F(x,y)=x^2+y^2-25$ とし、区間 $-5< x<5$ で考える。
「両辺を $x$ で微分する」計算を整理するために、2 変数の式の微分を 1 つ用意する。
$F(x,y)$ を $x$ と $y$ の多項式とする。$y$ を定数とみて $F$ を $x$ で微分したものを $F_x$、$x$ を定数とみて $F$ を $y$ で微分したものを $F_y$ と書き、$F$ の偏導関数という。
$F(x,y)$ を $x$ と $y$ の多項式とする。区間 $I$ で微分可能な関数 $\varphi$ が、$I$ のすべての $x$ で $F(x,\varphi(x))=0$ を満たすならば、$I$ のすべての $x$ で
$$
F_x(x,\varphi(x))+F_y(x,\varphi(x))\,\varphi'(x)=0
$$
が成り立つ。とくに、$F_y(x,\varphi(x))\ne0$ となる $x$ では
$$
\varphi'(x)=-\frac{F_x(x,\varphi(x))}{F_y(x,\varphi(x))}
$$
である。
方針:多項式 $F$ を $x^my^n$ の形の項の和に分け、$y$ に $\varphi(x)$ を代入した各項を $x$ で微分する。項の微分は「$x$ の部分の微分」と「$y$ の部分の微分」の 2 つに分かれ、前者を集めると $F_x$、後者を集めると $F_y\,\varphi'$ になる。
段 1(項に分ける)。$F(x,y)=\displaystyle\sum c_{mn}\,x^my^n$($c_{mn}$ は定数、$m,n$ は $0$ 以上の整数、和は有限個)と書く。偏導関数の定義から
$$
F_x(x,y)=\sum c_{mn}\,m\,x^{m-1}y^n,\qquad F_y(x,y)=\sum c_{mn}\,n\,x^my^{n-1}
$$
である($m=0$ の項は $F_x$ に、$n=0$ の項は $F_y$ に現れない。係数 $m$ や $n$ が $0$ になるので、上の式でもその項は $0$ である)。
段 2(1 つの項を微分する)。$x^m\varphi(x)^n$ を積の微分で微分すると
$$
\bigl(x^m\varphi(x)^n\bigr)'=(x^m)'\,\varphi(x)^n+x^m\,\bigl(\varphi(x)^n\bigr)'
$$
である。rem-imp-premises の 2 と 3 から、$(x^m)'=mx^{m-1}$、$\bigl(\varphi(x)^n\bigr)'=n\varphi(x)^{n-1}\varphi'(x)$ なので
$$
\bigl(x^m\varphi(x)^n\bigr)'=m\,x^{m-1}\varphi(x)^n+n\,x^m\varphi(x)^{n-1}\,\varphi'(x)
$$
である($m=0$ なら $x^0=1$ の導関数は $0$、$n=0$ なら $\varphi(x)^0=1$ の導関数は $0$ で、この式でも係数 $m$ や $n$ が $0$ になるので同じである)。
段 3(和をとる)。段 2 に $c_{mn}$ を掛けて足すと、定数倍と和の微分により
$$
\bigl(F(x,\varphi(x))\bigr)'=\sum c_{mn}\,m\,x^{m-1}\varphi(x)^n+\Bigl(\sum c_{mn}\,n\,x^m\varphi(x)^{n-1}\Bigr)\varphi'(x)
$$
である。段 1 の式と比べると、右辺は $F_x(x,\varphi(x))+F_y(x,\varphi(x))\,\varphi'(x)$ である。
段 4(左辺は 0)。仮定から、$I$ で $F(x,\varphi(x))=0$、つまり $F(x,\varphi(x))$ は定数関数 $0$ なので、その導関数は $0$ である。段 3 と合わせて、前半の等式が得られる。
段 5(割る)。$F_y(x,\varphi(x))\ne0$ なら、前半の等式を $\varphi'(x)$ について解いて、後半の式が得られる。$\square$
命題は多項式について述べたが、証明で使ったのは積の微分と連鎖律だけである。$\sin y$ や $e^{xy}$ のような式を含む $F$ でも、同じように項ごとに微分すれば、$F_x+F_y\,y'=0$ の形の式が得られる。
命題の仮定は「微分可能な陰関数 $\varphi$ がある」ことである。命題は、$\varphi$ があることを示してはいない。$\varphi$ があるかどうかは、ex-imp-empty、ex-imp-vertical、rem-imp-ift で考える。
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$($a>0$、$b>0$)の上の点 $(x_0,\,y_0)$ での接線を求める。
$y_0\ne0$ の場合。両辺を $x$ で微分すると $\dfrac{2x}{a^2}+\dfrac{2y\,y'}{b^2}=0$ なので、$y'=-\dfrac{b^2x}{a^2y}$ である。点 $(x_0,\,y_0)$ での接線は
$$
y-y_0=-\frac{b^2x_0}{a^2y_0}(x-x_0)
$$
である。両辺に $\dfrac{y_0}{b^2}$ を掛けて移項すると
$$
\frac{x_0(x-x_0)}{a^2}+\frac{y_0(y-y_0)}{b^2}=0,\qquad \frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=\frac{x_0^2}{a^2}+\frac{y_0^2}{b^2}=1
$$
となる(最後の等号は、点 $(x_0,\,y_0)$ が楕円の上にあることによる)。
$y_0=0$ の場合。点は $(\pm a,\,0)$ で、$y'$ の式の分母が $0$ になる。そこで役割を入れ替え、$x$ を $y$ の関数とみて両辺を $y$ で微分すると、$\dfrac{2x}{a^2}\cdot\dfrac{dx}{dy}+\dfrac{2y}{b^2}=0$ で、点 $(\pm a,\,0)$ では $\dfrac{dx}{dy}=0$ である。$x$ が $y$ についての傾き $0$ で変わるので、接線は垂直な直線 $x=\pm a$ である。これは公式 $\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=1$ に $(x_0,\,y_0)=(\pm a,\,0)$ を代入した $\pm\dfrac xa=1$ と一致する。
数値の例:楕円 $\dfrac{x^2}4+y^2=1$ の点 $\left(1,\,\dfrac{\sqrt3}2\right)$ では、傾きは $-\dfrac{1\cdot1}{4\cdot\frac{\sqrt3}2}=-\dfrac1{2\sqrt3}=-\dfrac{\sqrt3}6$ で、接線は $\dfrac x4+\dfrac{\sqrt3}2y=1$ である。$y=\sqrt{1-\frac{x^2}4}$ を直接微分しても、$x=1$ で $-\dfrac{\sqrt3}6$ になる。
$a=b=r$ とすると、円 $x^2+y^2=r^2$ の接線 $x_0x+y_0y=r^2$ になる。円の場合は 円と直線の位置関係 で、半径に垂直な直線として図形的に求めている。楕円の焦点と接線の関係(光の反射)は 2次曲線の接線と光学的性質 で扱う。
円 $x^2+y^2=25$ の $y>0$ の部分で、$y'=-\dfrac xy$ をもう一度 $x$ で微分する。商の微分と、$y$ が $x$ の関数であることから
$$
y''=-\frac{1\cdot y-x\,y'}{y^2}=-\frac{y-x\left(-\frac xy\right)}{y^2}=-\frac{y^2+x^2}{y^3}=-\frac{25}{y^3}
$$
である(最後に $x^2+y^2=25$ を使った)。$(3,\,4)$ では $y''=-\dfrac{25}{64}$ で、$y=\sqrt{25-x^2}$ を 2 回微分した値と一致する。
$y>0$ では $y''<0$ なので上半分は上に凸、$y<0$ では $y''>0$ なので下半分は下に凸である(接線・法線と曲線の凹凸)。
prop-imp-differentiate は、微分可能な陰関数があることを仮定している。仮定を確かめずに計算だけを進めると、意味のない答えが出ることがある。
$x^2+y^2+1=0$ の両辺を形式的に $x$ で微分すると、$2x+2y\,y'=0$ から $y'=-\dfrac xy$ となり、円 $x^2+y^2=25$ と同じ式が出る。
しかし、実数 $x$、$y$ について $x^2+y^2+1\ge1>0$ なので、$x^2+y^2+1=0$ を満たす点 $(x,\,y)$ は 1 つもない。陰関数は存在せず、$y'=-\frac xy$ は何の傾きでもない。
同じように、$x^2+y^2=0$ を満たす点は原点 $(0,\,0)$ だけである。1 点だけでは、区間で定義された陰関数はない。
円 $x^2+y^2=25$ の点 $(5,\,0)$ では $F_y=2y=0$ で、$y'=-\frac xy$ の分母が $0$ になる。この点の近くの様子を調べる。
例 1・ex-imp-vertical から分かるように、$F_y\ne0$ の点では $y$ を $x$ の関数とみて微分でき、$F_y=0$ の点では、そうできないことがある。大学では、このことを次の定理として述べる。
$F(x,y)$ の偏導関数 $F_x$、$F_y$ が連続で、点 $(a,\,b)$ で $F(a,b)=0$、$F_y(a,b)\ne0$ とする。このとき、$a$ を含む開区間 $I$ と $b$ を含む開区間 $K$ があって、$I$ の各 $x$ に対して $F(x,y)=0$ を満たす $y\in K$ がただ 1 つある。その $y$ を $\varphi(x)$ とすると、$\varphi$ は $I$ で微分可能で、$\varphi'(x)=-\dfrac{F_x(x,\varphi(x))}{F_y(x,\varphi(x))}$ である(陰関数定理。Leb26b Theorem 8.5.6、p. 55。本記事では証明しない)。
高校数学で扱う円・楕円・双曲線では、$y$ について解いた式が書けるので、この定理を使わずに陰関数があることを確かめられる。この定理が役に立つのは、次の葉線のように、$y$ について解いた式が書けない(書けても複雑な)場合である。定理の条件 $F_y(a,b)\ne0$ は、逆関数の微分 の条件 $f'(a)\ne0$ にあたる(ex-imp-use-prop の 3 では $F_y=-f'(y)$)。
$y$ について解けない曲線の例として、葉線(Descartes の葉線)
$$
x^3+y^3=3xy
$$
を調べる。
$F=x^3+y^3-3xy$ とすると、ex-imp-partial の 3 から $F_x=3x^2-3y$、$F_y=3y^2-3x$ である。prop-imp-differentiate により、$y^2\ne x$ の点では
$$
y'=-\frac{3x^2-3y}{3y^2-3x}=\frac{y-x^2}{y^2-x}
$$
である。
葉線 $x^3+y^3=3xy$(青)。点 $(\frac32,\frac32)$ での接線 $x+y=3$(赤の点線)、水平な接線をもつ点(緑)と垂直な接線をもつ点(橙)、漸近線 $x+y=-1$(灰色の破線)を示す。原点では曲線が自分自身と交わり、$y'$ の式の分母も分子も $0$ になることを見る図。
原点の近くの様子を、原点を通る直線 $y=tx$ との交点で調べる(2次曲線の媒介変数表示 で円の点を作ったのと同じ方法である)。
段 1(交点を求める)。$y=tx$ を曲線の式に代入すると $x^3+t^3x^3=3tx^2$、つまり $x^2\bigl((1+t^3)x-3t\bigr)=0$ である。$x=0$ は原点で、もう 1 つの交点は、$t\ne-1$ のとき
$$
x=\frac{3t}{1+t^3},\qquad y=tx=\frac{3t^2}{1+t^3}
$$
である。$t$ を動かすと、この点は葉線の上を動く。$t\to-1$ のときは分母 $1+t^3$ が $0$ に近づき、点は遠くへ行く。一方、$1+t^3=(1+t)(1-t+t^2)$ なので
$$
x+y=\frac{3t(1+t)}{1+t^3}=\frac{3t}{1-t+t^2}\to\frac{-3}{3}=-1\qquad(t\to-1)
$$
である。つまり遠くへ行くにつれて、曲線は直線 $x+y=-1$ に近づく。この直線を葉線の漸近線という(図2の灰色の破線)。
段 2($t$ が $0$ に近いとき)。$t\to0$ のとき点は原点に近づき、$x\approx3t$、$y\approx3t^2$、つまり $y\approx\dfrac{x^2}3$ である。この部分は原点で $x$ 軸($y=0$)に接する。実際、$\dfrac{dx}{dt}=3$、$\dfrac{dy}{dt}=0$($t=0$)である。
段 3($|t|$ が大きいとき)。$|t|\to\infty$ のときも点は原点に近づき、$x\approx\dfrac3{t^2}$、$y\approx\dfrac3t$、つまり $x\approx\dfrac{y^2}3$ である。この部分は原点で $y$ 軸($x=0$)に接する。
段 4(まとめ)。葉線は原点を 2 回通り、そこで $x$ 軸に接する部分と $y$ 軸に接する部分が交わる。接線が 1 本に決まらないので、$y'$ の式が $\dfrac00$ になるのは自然である。原点の近くで $y$ は $x$ の関数でもない。たとえば $x=0.01$ のとき、$y^3-0.03y+0.000001=0$ の実数解は $y=0.0000333\ldots$、$0.17318\ldots$、$-0.17322\ldots$ の 3 つある(1 つ目は $y\approx\frac{x^2}3$ の部分、残りは $x\approx\frac{y^2}3$ の部分)。
prop-imp-differentiate と、陰関数があるための条件 $F_y\ne0$ について、外すと何が崩れるかをまとめる。
| 外した仮定・条件 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 微分可能な陰関数がある | $y'=-\frac{F_x}{F_y}$ が何かの傾きを表す | ex-imp-empty |
| $F_y\ne0$ | $y$ がその点の近くで $x$ の関数になる | ex-imp-vertical、ex-imp-folium-origin |
| $F_y\ne0$ | 陰関数がその点で微分可能 | ex-imp-cube-root |
| 陰関数が連続 | 曲線上の点を 1 つ指定すると(例:$(3,\,4)$)、その点を通る陰関数が 1 つに決まる | ex-imp-two-functions の 3 |
ただし、条件 $F_y\ne0$ は「成り立てば陰関数があって微分可能」という十分条件であり、必要条件ではない(ex-imp-double-line)。
$F(x,y)=y^3-x$ とする。$F=0$ は $y=\sqrt[3]{x}$ と同じで、陰関数 $\varphi(x)=\sqrt[3]x$ は実数全体で定義された連続関数である。
$F_y=3y^2$ は原点で $0$ になる。原点で $\varphi$ は微分可能でない(逆関数の微分 の 3 乗の反例と同じ。差分商 $\frac{\sqrt[3]h}h$ は $h=0.001$ で $100$ になり、限りなく大きくなる)。$F_y=0$ の点では、陰関数があっても微分できないことがある。
$F(x,y)=(y-x)^2$ とする。$F=0$ は直線 $y=x$ と同じで、陰関数 $\varphi(x)=x$ は微分可能で $\varphi'(x)=1$ である。
一方、$F_y=2(y-x)$、$F_x=-2(y-x)$ は直線 $y=x$ の上のすべての点で $0$ になり、$y'=-\frac{F_x}{F_y}$ は $\frac00$ で使えない。$F_y\ne0$ は、陰関数が微分可能であるための必要条件ではない。同じ直線を $F=y-x$ で表せば $F_y=1\ne0$ で、$y'=1$ と求まる。どの式で曲線を表すかによって、条件が満たされるかどうかが変わる。
prop-imp-differentiate の等式 $F_x+F_y\,y'=0$ は、2 つのベクトル $(F_x,\,F_y)$ と $(1,\,y')$ の内積が $0$ であること
$$
(F_x,\,F_y)\cdot(1,\,y')=0
$$
と読める(ベクトルの内積(高校数学))。$(1,\,y')$ は接線の向きのベクトル($x$ が $1$ 進むと $y$ が $y'$ 進む)なので、ベクトル $(F_x,\,F_y)$ は接線に垂直、つまり曲線の法線ベクトルである。大学ではこのベクトルを $F$ の勾配という。
この見方では、点 $P(x_0,\,y_0)$ での接線は
$$
F_x(x_0,y_0)\,(x-x_0)+F_y(x_0,y_0)\,(y-y_0)=0
$$
と書ける。この式は $F_y(x_0,y_0)=0$ でも使える。$(F_x,\,F_y)\ne(0,\,0)$ でさえあればよい。
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