有界

同義語:有界集合boundedbounded set

概要

有界(bounded)とは、距離空間の部分集合がある一つの有限半径の球に入ることであり、直径が有限であることと同値である。実数の集合では上界と下界をともにもつこと、ノルム空間ではノルムに共通の上界があることに一致し、有界集合どうしの和集合や和、スカラー倍、閉包も有界である。収束列やコンパクト集合も有界だが、有界でも収束やコンパクト性、全有界性は従わず、同じ位相を与える距離でも有界な集合は変わりうる。線形作用素が有界であるとは値域が有界という意味ではなく $\|Tx\|\le C\|x\|$ となることで、これは連続性と同値である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 実数, 距離空間, ノルム

距離で測る「有界」

有界(bounded)とは、集合の点どうしの距離、または基準点からの距離が一つの有限な数で抑えられることである。実数の集合なら「どの元もある区間の中に入る」と言い換えられる。例えば $(0,1)$ は無限個の点を含むが有界であり、$\{1,2,3,\ldots\}$ は有界でない。有限個の元からなる集合は必ず有界である。「元の個数が有限」という意味ではない。
有界性を述べるには、何を測っているかを指定する必要がある。距離空間の部分集合では距離を、ノルム空間の部分集合ではベクトルのノルムを測る。一方、「有界線形作用素」という語は、作用素の値域全体が有界という意味ではない。この使い分けを、定義から確認していく。

距離空間の有界集合

$(X,d)$ を距離空間とする。空集合は有界と約束する。空でない部分集合 $A\subset X$ について、次の定義を使う。

距離空間での有界性

$A$ が有界であるとは、ある $x_0\in X$ と有限な実数 $R\ge0$ が存在し、すべての $a\in A$ に対して $d(a,x_0)\le R$ となることをいう。つまり $A$ がある閉球の中に入ることである。$A$ が空でない場合は $x_0$ を $A$ の中から選んでも同じ定義になる。

ここで「ある球」は一つでよい。各点 $a$ ごとに半径を変えてよいなら、$d(a,x_0)$ 自体を半径にでき、どんな集合も条件を満たしてしまう。半径 $R$ がすべての点に共通であることが本質である。基準点 $x_0$ は $A$ に属している必要はない。
有界集合を測る別の量は直径である。空でない $A$ について $\operatorname{diam}(A)=\sup\{d(a,b)\mid a,b\in A\}$ と置く。この上限は無限大になってもよい。空集合の直径は $0$ と約束する。半径と直径による判定は同値である。

球による定義と直径による定義

空でない $A\subset X$ について、次は同値である。
(1) $A$ は有界である。
(2) ある有限な $M$ があり、すべての $a,b\in A$ に対して $d(a,b)\le M$ である。
(3) $\operatorname{diam}(A)<\infty$ である。
また、ある一点 $x_0\in X$ からの距離が一様に抑えられれば、どの点 $x_1\in X$ からの距離も一様に抑えられる。

球と直径の同値
  1. とし、$d(a,x_0)\le R$ を満たす球を取る。任意の $a,b\in A$ に対して三角不等式から $d(a,b)\le d(a,x_0)+d(x_0,b)\le2R$ なので (2) を得る。(2) なら距離の集合は上に有界で、(3) が成り立つ。(3) なら一点 $a_0\in A$ を選べる。すべての $a\in A$ について $d(a,a_0)\le\operatorname{diam}(A)$ だから (1) となる。最後の主張は、$d(a,x_1)\le d(a,x_0)+d(x_0,x_1)\le R+d(x_0,x_1)$ から従う。$\square$

開球で定義しても変わらない。$d(a,x_0)\le R$ なら半径 $R+1$ の開球に含まれるからである。直径は「最も離れた二点の距離」そのものとは限らない。例えば $A=(0,1)\subset\mathbb R$ の直径は $1$ だが、距離がちょうど $1$ の二点は $A$ にない。上限を使う理由がここにある。

有界な集合と有界でない集合

通常の距離 $d(x,y)=|x-y|$ を入れた実数直線では、$(0,1)$、$[0,1]$、$\{1/n\mid n\ge1\}$ はいずれも有界で、直径はいずれも $1$ である。ただし三つ目では距離が $1$ となる二点は存在しない。一方、半直線 $[0,\infty)$ と整数全体 $\mathbb Z$ は有界でない。

上の三つ目は注意を要する。$\{1/n:n\ge1\}$ の最大値は $1$、下限は $0$ であり、二点間距離の上限は $1$ となる。$0$ は集合に属さないので、直径は達成されない。有界性と最大値・最小値の存在は別の話である。

実数の順序とノルム

実数の集合 $A$ は、上界と下界の両方を持つとき順序有界である。すなわち、ある $m,M\in\mathbb R$ があって $m\le a\le M$ がすべての $a\in A$ に対して成り立つ。一方の界だけでは両側の有界性にならない。$(-\infty,1]$ は上に有界だが下に有界でなく、通常の距離に関しても有界でない。

実数での三つの判定

$A\subset\mathbb R$ について、通常の距離で $A$ が有界であること、$A$ が順序有界であること、ある $C\ge0$ に対してすべての $a\in A$ が $|a|\le C$ を満たすことは同値である。

実数での同値

距離による有界性から $|a-x_0|\le R$ が従えば、$x_0-R\le a\le x_0+R$ なので順序有界である。$m\le a\le M$ なら $C=\max\{|m|,|M|\}$ と置けば $|a|\le C$ となる。逆に $|a|\le C$ なら中心 $0$、半径 $C$ の球に $A$ が入る。空集合についても各条件は空虚に成り立つ。$\square$

上に有界な空でない実数集合には上限が存在し、下に有界な空でない実数集合には下限が存在する。これは実数の完備性の主張である。有界性から上限と下限は得られるが、それらが集合の元であるとは限らない。$(0,1)$ の上限は $1$、下限は $0$ で、どちらもその集合に属さない。閉区間 $[0,1]$ ではそれぞれ最大値・最小値として集合に属する(Abb15 第 1 章)。
複素数には実数のような大小の順序を入れないので、$\mathbb C$ の部分集合については絶対値 $|z|$ から定まる距離で有界性を考える。$|\operatorname{Re}z|\le|z|$、$|\operatorname{Im}z|\le|z|$ であり、逆に $|\operatorname{Re}z|\le M$ と $|\operatorname{Im}z|\le N$ なら $|z|\le\sqrt{M^2+N^2}$ である。したがって複素数の集合が有界であることは、実部の集合と虚部の集合がともに有界であることと同値になる。
$(V,\|\cdot\|)$ を実または複素ノルム空間とする。ノルムが定める距離は $d(x,y)=\|x-y\|$ である(ノルム)。ここでは零ベクトルを基準点に選べる。

ノルム空間の有界集合

$B\subset V$ が有界であるとは、ある $M\ge0$ があって、すべての $x\in B$ に対し $\|x\|\le M$ となることをいう。空集合も有界とする。これはノルムから定まる距離による有界性と一致する。

例えば $\mathbb R^2$ で $B=\{(x,y):x^2+y^2<4\}$ は Euclid ノルムで半径 $2$ の開球であり、有界である。直線 $\{(t,0):t\in\mathbb R\}$ は有界でない。$\mathbb R^n$ のベクトルの集合は、各座標の値の集合が有界なら有界であり、逆も成り立つ。Euclid ノルムでは $|x_i|\le\|x\|_2$ と $\|x\|_2\le\sqrt n\max_i|x_i|$ を使えばよい。有限次元で同値な別のノルムを選んでも、有界な部分集合は変わらない(ノルム の定理「有限次元ではすべてのノルムが同値」)。

和・スカラー倍・閉包

$B,C$ をノルム空間 $V$ の有界集合、$\lambda$ をスカラーとする。このとき $B\cup C$、$B+C=\{b+c:b\in B,c\in C\}$、$\lambda B$、$B$ の閉包 $\overline B$ はいずれも有界である。部分集合も有界である。

基本演算

$\|b\|\le M$、$\|c\|\le N$ となる共通の $M,N$ を取る。和集合の元のノルムは $\max\{M,N\}$ 以下、$b+c$ のノルムは三角不等式で $M+N$ 以下、$\lambda b$ のノルムは $|\lambda|M$ 以下である。$\overline B$ は閉球 $\{x:\|x\|\le M\}$ に含まれる。実際、この閉球はノルムの連続性により閉じており、$B$ を含むからその閉包も含む。部分集合については同じ上界を使える。$\square$

有限個の有界集合の和集合は有界だが、無限個の和集合は有界とは限らない。$\{n\}$ は各 $n$ について有界であるのに、$\bigcup_{n\ge1}\{n\}=\{1,2,3,\ldots\}$ は有界でない。「各集合にそれぞれ有限な上界がある」と「すべての集合に共通の上界がある」は異なる。関数族や作用素族の一様有界性でも同じ区別が重要になる。

列、コンパクト性、全有界性

列 $(x_n)$ が有界であるとは、その値の集合 $\{x_n:n\ge1\}$ が有界であることをいう。ノルム空間なら $\sup_n\|x_n\|<\infty$ と書ける。初めの有限個の項だけが大きくても列は有界である。列全体に共通する有限の上界が一つ見つかればよい。

収束列は有界

距離空間で収束する列は有界である。

収束列の有界性

$x_n\to x$ とする。収束の定義から、ある $N$ 以降は $d(x_n,x)<1$ である。初めの $N-1$ 個の距離 $d(x_1,x),\ldots,d(x_{N-1},x)$ と $1$ の最大値を $M$ とすれば、すべての $n$ で $d(x_n,x)\le M$ となる。初めの項が一つもない場合は $M=1$ とすればよい。$\square$

逆は成り立たない。実数列 $(-1)^n$ は $|(-1)^n|=1$ なので有界だが収束しない。実数では有界列から収束する部分列を選べるという Bolzano–Weierstrass の定理がある(点列)。元の列そのものが収束するわけではない。無限次元のノルム空間では、有界列でありながら収束部分列を一つも持たないことさえある。
有界集合とコンパクト集合も同じではない。実数の $(0,1)$ は有界だがコンパクトでない。他方、距離空間ではどのコンパクト集合も有界である。これは距離空間の一般的な事実であり、実数の Heine–Borel の定理より弱い主張である。

コンパクト集合は有界

距離空間 $(X,d)$ のコンパクト部分集合 $K$ は有界である。

コンパクト集合の有界性

$K=\emptyset$ なら約束により有界である。そうでなければ各 $x\in K$ を中心とする半径 $1$ の開球が $K$ を覆う。コンパクト性から有限個 $B(x_1,1),\ldots,B(x_m,1)$ で覆える。$x_1$ を基準点に取ると、任意の $y\in K$ はある $i$ の球に入り、$d(y,x_1)\le d(y,x_i)+d(x_i,x_1)<1+\max_i d(x_i,x_1)$ となる。右辺は $y$ に依存しない有限な数なので $K$ は有界である。$\square$

全有界は、有界より強い条件である。集合 $A$ が全有界とは、任意の $\varepsilon>0$ に対し、半径 $\varepsilon$ の球を有限個選んで $A$ を覆えることをいう(全有界)。有界性は一つの十分大きな球に入ることしか要求しない。コンパクト集合は先の証明で半径 $1$ の代わりに任意の $\varepsilon$ を使えるので全有界である。
全有界集合が有界であることもすぐに分かる。半径 $1$ の有限個の球 $B(x_1,1),\ldots,B(x_m,1)$ で覆い、一つの基準点 $x_1$ までの有限個の距離の最大を取ればよい。反対に、無限集合 $X$ に $d(x,y)=1$($x\ne y$)という離散距離を入れると、$X$ は直径 $1$ の有界集合だが、半径 $1/2$ の球は各一点しか含まないので全有界でない。完備性まで加えても、この空間はコンパクトにならない(EoMMetric)。
ノルム空間でのもう一つの例は、平方和が有限な数列の空間 $\ell^2$ の単位ベクトル $e_n=(0,\ldots,0,1,0,\ldots)$ である。すべて $\|e_n\|_2=1$ なので集合 $\{e_n:n\ge1\}$ は有界だが、異なる二点の距離は $\|e_n-e_m\|_2=\sqrt2$ である。半径 $\sqrt2/3$ の球一つには高々一個の $e_n$ しか入らず、有限個の球で覆えない。したがって閉単位球も全有界でなく、コンパクトでない。ここに有限次元の閉有界集合と無限次元の閉有界集合の違いが現れる。

距離の選び方で変わる性質

「有界」は集合の位相だけでは決まらない。実数直線の通常の距離 $d(x,y)=|x-y|$ では直線全体は有界でない。しかし $d'(x,y)=\min\{|x-y|,1\}$ と置くと、任意の二点の距離は $1$ 以下となり、直線全体が有界になる。$d'$ は距離であり、半径が $1$ より小さい球は通常の距離の同じ半径の球と一致するので、$d$ と $d'$ が定める開集合は同じである。
三角不等式を確認すると、$|x-z|\le|x-y|+|y-z|$ と $\min\{a+b,1\}\le\min\{a,1\}+\min\{b,1\}$ を順に使えばよい。二つ目は $a+b<1$ なら等号、$a+b\ge1$ なら右辺が少なくとも $1$ となることから従う。この変更で収束する列や連続な写像は変わらないが、有界な集合は変わる(EoMMetrizable)。
この例は「同じ位相を与える距離」と「同値なノルム」を混同しないためにも役立つ。$d'$ は平行移動には不変だが、実数のノルムから定まる距離ではない。例えば $d'(0,2)=1$ なのに $2d'(0,1)=2$ で、ノルムの絶対斉次性に反する。有限次元の同値なノルムどうしでは、正の定数 $c,C$ を使って $c\|x\|_1\le\|x\|_2\le C\|x\|_1$ と評価できるため、有界性が保存される。

有界な関数と有界線形作用素

写像 $f\colon A\to Y$ の値が有界とは、その像 $f(A)$ が $Y$ で有界であることをいう。実数値関数ならある $M$ があり、すべての $x\in A$ で $|f(x)|\le M$ となることを指す。定義域が有界なら連続関数の値も有界、とは一般には言えない。$f(x)=1/x$ は有界集合 $(0,1)$ 上で連続だが、像は $(1,\infty)$ で有界でない。
定義域がコンパクトなら、連続関数の像もコンパクトなので有界になる。また、$L$-Lipschitz 写像は有界集合を有界集合に写す。実際、$d_Y(f(a),f(a_0))\le Ld_X(a,a_0)$ であり、右辺には共通の上界がある。連続性だけでなく定義域や写像に追加の条件が要ることが分かる。
ノルム空間 $V,W$ の間の線形写像 $T\colon V\to W$ については、特別な意味で「有界」という語を使う。

有界線形作用素

$T$ が有界であるとは、ある $C\ge0$ が存在して、すべての $x\in V$ に対し $\|Tx\|_W\le C\|x\|_V$ が成り立つことをいう。これは $V$ の有界集合を $W$ の有界集合へ写すこと、$T$ が $0$ で連続であること、および $T$ がすべての点で連続であることと同値である。

線形作用素の有界性と連続性

$\|Tx\|\le C\|x\|$ なら、有界集合 $B$ 上では $\|x\|\le M$ なので $\|Tx\|\le CM$ となり、$T(B)$ は有界である。また $\|Tx-Ty\|=\|T(x-y)\|\le C\|x-y\|$ だから $T$ は全点で連続である。逆に $T$ が有界集合を有界集合へ写すなら、単位球 $\{x:\|x\|\le1\}$ の像に共通の上界 $C$ がある。$x\ne0$ に対し $u=x/\|x\|$ とすれば $\|u\|=1$ なので $\|Tx\|=\|x\|\|Tu\|\le C\|x\|$、$x=0$ でも同じ不等式が成り立つ。最後に $0$ で連続なら、ある $\delta>0$ があり $\|x\|<\delta$ から $\|Tx\|<1$ が従う。$x\ne0$ について $y=\delta x/(2\|x\|)$ と置けば $\|y\|=\delta/2$ で、線形性から $\|Tx\|=(2\|x\|/\delta)\|Ty\|<2\|x\|/\delta$ となる。$\square$

「有界作用素」は、値域 $T(V)$ が有界という意味ではない。例えば $T\colon\mathbb R\to\mathbb R$、$T(x)=2x$ は $\|Tx\|\le2\|x\|$ を満たす有界線形作用素だが、値域は実数全体で有界でない。一般に非零の線形写像なら、ある $x$ で $Tx\ne0$ として $T(nx)=nTx$ を考えれば値域は有界でない。ここで有界なのは「単位球の像」または「入力の大きさに対する出力の大きさの比」である(EoMLinearOperator)。
反対に、線形写像だからといって常に有界とは限らない。多項式全体に区間 $[0,1]$ 上の上限ノルムを入れ、微分 $D(p)=p'$ を考える。$p_n(x)=x^n$ は $\|p_n\|_\infty=1$ だが $\|D(p_n)\|_\infty=n$ である。単位球の像に共通の上界がないため、$D$ はこのノルムに関して有界でない。同じ写像でも定義域・終域にどのノルムを入れるかが判定を左右する。線形作用素のこの基本概念はノルム空間の定理「連続性と有界性の同値」にも現れる。

反例の表

本文で確かめた例を、外す条件ごとにまとめる。各行の反例は、左の列の条件を欠くために右の列の主張を破る。

外す条件反例成り立たなくなること
収束(prop-bounded-convergent の逆)実数列 $(-1)^n$有界列は収束する
閉であること$(0,1)\subset\mathbb R$有界集合はコンパクト
有限次元であること$\ell^2$ の $\{e_n:n\ge1\}$有界な閉集合はコンパクト(全有界)
全有界(一つの球に入るだけに弱める)無限集合に離散距離 $d(x,y)=1$($x\ne y$)小さい半径の有限個の球で覆えること
和集合が有限個$\bigcup_{n\ge1}\{n\}$有界集合の和集合は有界
定義域がコンパクト(連続関数の像)$(0,1)$ 上の $f(x)=1/x$連続関数の値は有界
距離を固定すること$\mathbb R$ の $d'(x,y)=\min\{\lvert x-y\rvert,1\}$同じ位相なら同じ集合が有界
作用素の有界性(線形だけにする)多項式に上限ノルム、微分 $D$線形写像は有界
「有界作用素」を「値域が有界」と読む$T(x)=2x$有界作用素の値域は有界

確かめ方は次のとおりである。$(-1)^n$ は絶対値 $1$ で有界だが、偶数番目は $1$、奇数番目は $-1$ に留まり収束しない。$(0,1)$ は開被覆 $\{(1/n,1):n\ge2\}$ が有限部分被覆をもたないのでコンパクトでない。$\ell^2$ の $e_n$ は互いの距離が $\sqrt2$ なので、半径 $\sqrt2/3$ の有限個の球で覆えない。離散距離の無限集合は直径 $1$ だが、半径 $1/2$ の球は一点しか含まない。$\bigcup\{n\}$ は $\mathbb N$ で上界をもたない。$1/x$ の像は $(1,\infty)$ である。$d'$ では $\mathbb R$ 全体の直径が $1$ だが、$d'$ と $d$ は半径 $1$ 未満の球が一致して同じ位相を定める。微分 $D$ は $\|x^n\|_\infty=1$、$\|D(x^n)\|_\infty=n$ となり単位球の像が有界でない。$T(x)=2x$ は $\|Tx\|\le2\|x\|$ を満たすが値域は $\mathbb R$ である。

見分けるための要点

言い方測る対象典型的な条件
実数集合が順序有界集合の各実数共通の上界と下界がある
距離空間の集合が有界二点間または基準点からの距離一つの有限な球に入る
ノルム空間の集合が有界各元のノルム共通の $M$ について $\|x\|\le M$
関数が有界定義域上の値の集合像が有界
線形作用素が有界入出力の大きさの比共通の $C$ について $\|Tx\|\le C\|x\|$

有界集合には最大の元がなくてもよく、閉じていなくてもよい。無限個の元を持っていてもよい。逆に閉集合でも有界とは限らない。距離空間で有界かどうかを問う前に距離を指定し、線形作用素では入出力のノルムを指定する。この順序で確かめると、同じ「有界」という語の異なる使い方を混同せずに済む。

文献

距離空間での直径による有界性、コンパクト性・全有界性との関係、距離を変えたときの注意は EoMMetric と EoMMetrizable に記されている。実数集合の上限・下限と列の有界性は Abb15 第 1–2 章、ノルムと作用素ノルムの位置づけは Axl20 第 6 章および EoMLinearOperator を参照した。本記事の命題と証明は定義から示した。

関連項目

参考文献

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