三角形に内接する正方形(square inscribed in a triangle)とは、4 頂点がすべて三角形の辺の上にある正方形であり、ここでは隣り合う 2 頂点が同じ辺の上にあるものを考える。辺 $BC$ の長さを $a$、高さを $h_a$ とすると、辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 辺は $\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ 以下で、$\angle B$、$\angle C$ がともに $90^\circ$ 以下なら、この 1 辺の内接正方形がただ 1 つある。鈍角のない三角形では、短い辺の上の内接正方形ほど大きい(等しいのは 2 辺が等しいか、2 辺の間の角が直角のとき)。$\angle B$ が鈍角なら辺 $BC$ の上に内接正方形はなく、置ける正方形の 1 辺の最大値は $\dfrac{ah_a}{a+h_a-c\cos B}$ である。
前提知識: 三角形の相似条件, 相似変換と相似の中心, 三角形の面積の公式
三角形の紙から、できるだけ大きな正方形を切り抜きたい。正方形の 1 辺を三角形のどの辺に沿わせればよいだろうか。長い辺に沿わせれば大きくとれそうに思えるが、実際に計算してみると、そうはならない。
$A(0,0)$、$B(4,0)$、$C(0,4)$ を頂点とする直角二等辺三角形を考える。$AB=CA=4$、斜辺は $BC=4\sqrt2$ である。
(1) 脚 $AB$ の上に置く。正方形の 1 つの頂点を直角の頂点 $A$ に置き、1 辺を $s$ とすると、4 頂点は $(0,0)$、$(s,0)$、$(s,s)$、$(0,s)$ である。頂点 $(s,s)$ が斜辺 $BC$(直線 $x+y=4$)の上にくるように $s$ を決めると、$s+s=4$ より $s=2$ である。
(2) 斜辺 $BC$ の上に置く。正方形の 2 頂点を斜辺 $BC$ の上に、残りの 2 頂点 $S$、$T$ を脚 $AB$、$CA$ の上に置く。辺 $ST$ は $BC$ に平行で、$BC$ から距離 $s$ のところにある。$A$ から $BC$ までの距離(高さ)は、三角形の面積 $8$ を使って $\dfrac{2\cdot8}{4\sqrt2}=2\sqrt2$ である。すると $A$ から直線 $ST$ までの距離は $2\sqrt2-s$ で、三角形 $AST$ は三角形 $ABC$ と相似、相似比は $(2\sqrt2-s):2\sqrt2$ である。よって
$$
ST=4\sqrt2\cdot\frac{2\sqrt2-s}{2\sqrt2}=2(2\sqrt2-s)=4\sqrt2-2s
$$
である。$ST=s$ とおくと $4\sqrt2-2s=s$ で、
$$
s=\frac{4\sqrt2}3=1.8856\ldots
$$
である。
長い斜辺の上に置いた正方形(約 $1.886$)の方が、短い脚の上に置いた正方形($2$)より小さい。
斜辺 BC の上に置いた正方形。2 頂点が斜辺の上、残りの 2 頂点が脚の上にある
脚 AB の上に置いた正方形。1 つの頂点が直角の頂点 A にあり、向かいの頂点が斜辺の上にある
ex-sqt-start の (2) では、三角形の相似だけを使って正方形の大きさが求まった。同じ計算は、どの三角形のどの辺でもできる。この記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 |
|---|---|
| 平行線で切った三角形の相似 | 高さ $y$ での切り口の長さ(lem-sqt-section) |
| 正方形の上の辺 $=$ 切り口 | 1 辺の公式 $\dfrac{ah_a}{a+h_a}$(thm-sqt-main) |
| $A$ を中心とする相似拡大 | 外側に立てた正方形からの作図(prop-sqt-construct) |
| 面積 $S$ を使って $h_a=\dfrac{2S}a$ | 辺と高さの和 $a+h_a$ の比べ方(thm-sqt-compare) |
以下、三角形 $ABC$ の辺の長さを $a=BC$、$b=CA$、$c=AB$、頂点 $A$、$B$、$C$ から向かいの辺(を含む直線)に下ろした垂線の長さ(高さ)を $h_a$、$h_b$、$h_c$、面積を $S$ とする。面積の公式から
$$
ah_a=bh_b=ch_c=2S
$$
である(三角形の面積の公式)。「辺 $BC$」は線分 $BC$(両端を含む)のことである。
三角形 $ABC$ について、次のように言う。
(1) 正方形が三角形の内部と周の上にだけある(はみ出さない)とき、正方形は三角形に 入る という。三角形に入る正方形のうち、1 つの辺が辺 $BC$ の上にあるものを、辺 $BC$ の上に置いた正方形 という。
(2) 正方形の 4 つの頂点がすべて三角形の辺の上にあり、隣り合う 2 つの頂点が辺 $BC$ の上にあるとき、この正方形を 辺 $BC$ の上の内接正方形 という。
辺 $CA$、$AB$ についても同じように言う。
三角形は凸な図形(2 点を結ぶ線分がまた図形に含まれる図形)なので、4 つの頂点が三角形に含まれる正方形は、全体が三角形に入る。したがって、辺 $BC$ の上の内接正方形は、辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 つである。
3 辺が $3,4,5$ の直角三角形を、$C(0,0)$、$B(4,0)$、$A(0,3)$ に置く。$a=BC=4$、$b=CA=3$、$c=AB=5$ で、斜辺 $AB$ は直線 $\dfrac x4+\dfrac y3=1$ である。
(1) 4 頂点 $(0,0)$、$(1,0)$、$(1,1)$、$(0,1)$ の正方形は、辺 $BC$ の上に置いた正方形である。点 $(1,1)$ は $\dfrac14+\dfrac13=\dfrac7{12}<1$ なので斜辺の内側にある。しかし頂点 $(1,1)$ は三角形のどの辺の上にもないので、内接正方形ではない。
(2) 4 頂点 $(0,0)$、$(s,0)$、$(s,s)$、$(0,s)$ の正方形で、頂点 $(s,s)$ を斜辺の上に置くと、$\dfrac s4+\dfrac s3=1$ より
$$
s=\frac{12}7
$$
である。4 頂点は辺 $BC$、$BC$、$AB$、$CA$ の上にあり、隣り合う 2 頂点 $(0,0)$、$(s,0)$ が辺 $BC$ の上にあるので、辺 $BC$ の上の内接正方形である。同時に、隣り合う 2 頂点 $(0,0)$、$(0,s)$ が辺 $CA$ の上にあるので、辺 $CA$ の上の内接正方形でもある。直角の頂点に置いた正方形は、直角をはさむ 2 辺のどちらの上の内接正方形にもなる。
三角形に内接する正方形としては、隣り合う 2 頂点が同じ辺の上にある型のほかに、向かい合う 2 頂点が同じ辺の上にある型も考えられている(Wei26)。この記事では、def-sqt (2) の型(隣り合う 2 頂点が同じ辺の上にある型)だけを扱う。
ex-sqt-start の (2) の計算の中心は、「辺 $BC$ に平行な直線で三角形を切ると、切り口の長さは $A$ からの距離に比例する」ことだった。これを補題にしておく。
以下この節では、辺 $BC$ を $x$ 軸の上に置き、$B(0,0)$、$C(a,0)$、$A(p,h_a)$($h_a>0$)とする。$A$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の足は $H(p,0)$ である。
$0\le y< h_a$ とする。直線 $BC$ から距離 $y$ のところにある、$BC$ に平行な直線($A$ と同じ側)が三角形 $ABC$ を切る切り口は、辺 $AB$ の上の点と辺 $CA$ の上の点を両端とする線分で、その長さは
$$
\ell(y)=\frac{a(h_a-y)}{h_a}
$$
である。
要点:切り口の両端を $B'$(辺 $AB$ の上)、$C'$(辺 $CA$ の上)とすると、$B'C'\parallel BC$ から三角形 $AB'C'$ と三角形 $ABC$ は相似で、相似比は高さの比 $(h_a-y):h_a$ である。
$y=0$ のときは、切り口は辺 $BC$ そのもので、長さは $a=\ell(0)$ である。以下 $0< y< h_a$ とする。
高さ $y$ の水平な直線は、辺 $AB$(高さが $B$ の $0$ から $A$ の $h_a$ まで変わる)と 1 点で交わる。この点を $B'$ とする。同じく辺 $CA$ との交点を $C'$ とする。三角形は凸なので、切り口は線分 $B'C'$ である。
$B'C'\parallel BC$ なので、同位角が等しく $\angle AB'C'=\angle ABC$、$\angle AC'B'=\angle ACB$ である。2 組の角が等しいので、三角形 $AB'C'$ と三角形 $ABC$ は相似である(三角形の相似条件)。相似比は、$A$ から直線 $B'C'$ までの距離 $h_a-y$ と、$A$ から直線 $BC$ までの距離 $h_a$ の比に等しい(相似な三角形では、対応する高さの比も相似比に等しい)。よって
$$B'C'=BC\cdot\frac{h_a-y}{h_a}=\frac{a(h_a-y)}{h_a}$$
である。$\square$
切り口の長さ $\ell(y)$ は $y$ の 1 次関数で、$y=0$ で $a$、$y=h_a$ で $0$ になる。この補題から、辺 $BC$ の上に置ける正方形の大きさがすぐに分かる。
三角形 $ABC$ について、次が成り立つ。
(1) 辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 辺を $s$ とすると
$$
s\le\frac{ah_a}{a+h_a}
$$
である。
(2) $\angle B\le90^\circ$ かつ $\angle C\le90^\circ$ ならば、辺 $BC$ の上の内接正方形はただ 1 つあり、その 1 辺は
$$
s_a=\frac{ah_a}{a+h_a}
$$
である。したがって、辺 $BC$ の上の内接正方形は、辺 $BC$ の上に置いた正方形のうちで最大である。
方針:正方形の上の辺($BC$ と向かい合う辺)は、高さ $s$ の切り口に収まる。これを lem-sqt-section の長さと比べる。
段 1((1) の不等式)。辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 辺を $s$ とする。正方形の 1 辺が $BC$ の上にあるので、向かいの辺は直線 $BC$ から距離 $s$ のところにあり、$BC$ に平行である。正方形は三角形に入るので、この向かいの辺は三角形の切り口に含まれる。特に $s< h_a$ である($s=h_a$ なら切り口は点 $A$ だけで、長さ $s>0$ の辺は収まらない)。lem-sqt-section により、切り口の長さは $\dfrac{a(h_a-s)}{h_a}$ なので
$$
s\le\frac{a(h_a-s)}{h_a}
$$
である。両辺に $h_a>0$ を掛けると $sh_a\le ah_a-as$、移項すると $s(a+h_a)\le ah_a$ で、$a+h_a>0$ で割ると (1) の不等式を得る。
段 2((2) の存在)。$s_a=\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ とおく。$0< s_a< h_a$ である($\dfrac a{a+h_a}<1$ だから)。高さ $s_a$ の切り口の両端を $S$(辺 $AB$ の上)、$T$(辺 $CA$ の上)とする。$S$ は線分 $BA$ を $s_a:(h_a-s_a)$ に内分する点で、$T$ は線分 $CA$ を同じ比に内分する点なので
$$
S\left(\frac{ps_a}{h_a},\ s_a\right),\qquad T\left(a+\frac{(p-a)s_a}{h_a},\ s_a\right)
$$
である。lem-sqt-section により
$$
ST=\frac{a(h_a-s_a)}{h_a}=a-\frac{a}{h_a}\cdot\frac{ah_a}{a+h_a}=a-\frac{a^2}{a+h_a}=\frac{ah_a}{a+h_a}=s_a
$$
である。$S$、$T$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の足を $P\left(\dfrac{ps_a}{h_a},0\right)$、$Q\left(a+\dfrac{(p-a)s_a}{h_a},0\right)$ とすると、四角形 $PQTS$ は、横の長さ $ST=s_a$、縦の長さ $s_a$ の長方形、つまり正方形である。
段 3(足が辺 $BC$ の上にくる)。$\angle B\le90^\circ$、$\angle C\le90^\circ$ なので、垂線の足 $H(p,0)$ は辺 $BC$ の上にあり、$0\le p\le a$ である($p<0$ なら $\angle B$ は鈍角、$p>a$ なら $\angle C$ は鈍角になる)。$0<\dfrac{s_a}{h_a}<1$ とあわせて
$$
0\le\frac{ps_a}{h_a}\le p,\qquad p\le a+\frac{(p-a)s_a}{h_a}\le a
$$
である(2 つ目は $a-\dfrac{(a-p)s_a}{h_a}$ と書き直すと、$a$ から $a-p$ より小さい数を引いた数である)。よって $P$、$Q$ は辺 $BC$ の上にある。4 頂点 $P$、$Q$、$T$、$S$ はどれも辺の上にあり、隣り合う $P$、$Q$ が辺 $BC$ の上にあるので、$PQTS$ は辺 $BC$ の上の内接正方形である。
段 4(ただ 1 つ)。辺 $BC$ の上の内接正方形を 1 つとり、1 辺を $s$ とする。辺 $BC$ の上の 2 頂点を除く残りの 2 頂点は、直線 $BC$ から距離 $s>0$ のところにあるので辺 $BC$ の上にはなく、辺 $AB$ か辺 $CA$ の上にある。2 つとも辺 $AB$ の上にあることはない(2 頂点を結ぶ辺は $BC$ に平行だが、辺 $AB$ は $BC$ に平行でない)。辺 $CA$ についても同じである。よって 2 頂点は切り口の両端 $S$、$T$ に一致し、lem-sqt-section により $s=\dfrac{a(h_a-s)}{h_a}$ である。段 1 の計算を等号で行うと $s=s_a$ となり、2 頂点の位置も段 2 の $S$、$T$ に決まる。したがって内接正方形は段 2 で作ったものだけである。
段 5(最大)。(1) により、辺 $BC$ の上に置いたどの正方形も 1 辺は $s_a$ 以下である。段 2・3 の内接正方形の 1 辺はちょうど $s_a$ なので、これが最大である。$\square$
面積 $2S=ah_a$ を使うと、公式は
$$
s_a=\frac{ah_a}{a+h_a}=\frac{2S}{a+h_a}
$$
とも書ける。分子の $2S$ は 3 辺に共通なので、正方形の大きさは「辺と高さの和」$a+h_a$ だけで決まる。和が小さいほど正方形は大きい。
$B(0,0)$、$C(14,0)$、$A(5,12)$ とする。$a=14$、$b=15$、$c=13$ で、面積は $S=\dfrac12\cdot14\cdot12=84$ である。3 つの角はどれも鋭角である(最大の辺 $b=15$ について $13^2+14^2=365>225=15^2$)。
(1) 辺 $BC$ の上。$h_a=12$ なので
$$
s_a=\frac{14\cdot12}{14+12}=\frac{168}{26}=\frac{84}{13}=6.4615\ldots
$$
である。座標で確かめる。$S$ は $BA$ を $s_a:(12-s_a)$ に内分する点で、$\dfrac{s_a}{12}=\dfrac7{13}$ なので $S\left(\dfrac{35}{13},\dfrac{84}{13}\right)$ である。$T$ は $CA$ を同じ比に内分する点で、$T=C+\dfrac7{13}(A-C)=\left(14-\dfrac{63}{13},\dfrac{84}{13}\right)=\left(\dfrac{119}{13},\dfrac{84}{13}\right)$ である。$ST=\dfrac{119-35}{13}=\dfrac{84}{13}$ で、高さ $\dfrac{84}{13}$ と等しい。
(2) 辺 $CA$ の上は $s_b=\dfrac{840}{131}=6.4122\ldots$、(3) 辺 $AB$ の上は $s_c=\dfrac{2184}{337}=6.4807\ldots$ である。
(2) $h_b=\dfrac{2\cdot84}{15}=\dfrac{56}5$ なので $s_b=\dfrac{2S}{b+h_b}=\dfrac{168}{15+\frac{56}5}=\dfrac{840}{131}$ である。
(3) $h_c=\dfrac{168}{13}$ なので $s_c=\dfrac{2S}{c+h_c}=\dfrac{168}{13+\frac{168}{13}}=\dfrac{2184}{337}$ である。
もう 1 つ、正三角形で公式を使ってみる。
1 辺 $2$ の正三角形では、高さは $\sqrt3$ なので、どの辺の上の内接正方形も $s=\dfrac{2\sqrt3}{2+\sqrt3}=4\sqrt3-6=0.9282\ldots$ である。
$$\frac{2\sqrt3}{2+\sqrt3}=\frac{2\sqrt3(2-\sqrt3)}{(2+\sqrt3)(2-\sqrt3)}=\frac{4\sqrt3-6}{4-3}=4\sqrt3-6$$
thm-sqt-main の内接正方形は、定規とコンパスで作図できる。辺 $BC$ の外側に正方形を 1 つ立て、$A$ を中心に縮めればよい(Wei26、定規とコンパスによる作図)。
$\angle B\le90^\circ$、$\angle C\le90^\circ$ とする。辺 $BC$ の外側($A$ と反対の側)に正方形 $BCS_CS_B$ を立てる。直線 $AS_B$、$AS_C$ が辺 $BC$ と交わる点を $P$、$Q$ とし、$P$、$Q$ で $BC$ に立てた垂線が辺 $AB$、$CA$ と交わる点を $S$、$T$ とする。このとき $PQTS$ は辺 $BC$ の上の内接正方形である。
要点:$A$ を中心とする相似比 $k=\dfrac{h_a}{a+h_a}$ の相似拡大 $\varphi$(相似変換と相似の中心)は、$A$ から距離 $h_a+a$ の直線 $S_BS_C$ を、$A$ から距離 $k(h_a+a)=h_a$ の直線 $BC$ に移す。そこで $\varphi$ は正方形 $BCS_CS_B$ を正方形 $STQP$ に移し、その 1 辺は $ka=\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ である。
$\varphi$ は各点 $X$ を、半直線 $AX$ の上で $AX'=k\cdot AX$ となる点 $X'$ に移す。
段 1(直線 $S_BS_C$ は直線 $BC$ に移る)。$A$ から直線 $S_BS_C$ までの距離は $h_a+a$ である(直線 $S_BS_C$ は $BC$ に平行で、$BC$ から $A$ と反対の側に距離 $a$ のところにある)。$\varphi$ は $A$ を通らない直線を平行な直線に移し、$A$ からの距離を $k$ 倍するので、直線 $S_BS_C$ は、$BC$ に平行で $A$ からの距離が $k(h_a+a)=h_a$ の直線、つまり直線 $BC$ に移る。
段 2(頂点の行き先)。$\varphi(S_B)$ は直線 $AS_B$ の上にあり、段 1 により直線 $BC$ の上にあるので、交点 $P$ である。同じく $\varphi(S_C)=Q$ である。$\varphi(B)$ は線分 $AB$ の上の点で、$\varphi(B)$ と $P=\varphi(S_B)$ を結ぶ線分は $BS_B$ に平行、つまり $BC$ に垂直である。よって $\varphi(B)$ は $P$ で立てた垂線と辺 $AB$ の交点 $S$ である。同じく $\varphi(C)=T$ である。
段 3(正方形)。相似変換は正方形を正方形に移すので、$PQTS$ は 1 辺 $ka=\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ の正方形で、$S$、$T$ は辺 $AB$、$CA$ の上にある。2 頂点が直線 $BC$ の上にあり、残りの 2 頂点が切り口の両端にある正方形は 1 つしかない(prf-sqt-main の段 4 の議論)ので、この正方形は thm-sqt-main (2) の内接正方形そのものである。$\square$
辺 BC の外側に正方形 BCSCSB を立て、A と結んだ破線が BC と交わる点 P、Q から垂線を立てると、内接正方形 PQTS ができる
図 3 は ex-sqt-131415 の三角形での作図である。$S_B(0,-14)$、$S_C(14,-14)$ で、直線 $AS_B$ と $BC$ の交点は $P\left(\dfrac{35}{13},0\right)$、直線 $AS_C$ と $BC$ の交点は $Q\left(\dfrac{119}{13},0\right)$ になり、ex-sqt-131415 の (1) の $S$、$T$ の真下にくる。
ex-sqt-start でも ex-sqt-131415 でも、短い辺の上の正方形の方が大きかった。公式 $s_a=\dfrac{2S}{a+h_a}$ から、これを一般に示す。辺が短いと高さは長くなるので、「辺と高さの和」がどちらに動くかは計算してみないと分からない。
三角形 $ABC$ の辺と高さについて、
$$
(b+h_b)-(a+h_a)=(b-a)(1-\sin C)
$$
が成り立つ。特に、三角形 $ABC$ が鈍角をもたない(鋭角三角形か直角三角形)とき、辺 $BC$、$CA$ の上の内接正方形の 1 辺 $s_a$、$s_b$ について、$a\le b$ ならば
$$
s_a\ge s_b
$$
であり、等号が成り立つのは $a=b$ または $\angle C=90^\circ$ のときに限る。
段 1(等式)。面積の公式から $h_a=\dfrac{2S}a$、$h_b=\dfrac{2S}b$ である。よって
$$
(b+h_b)-(a+h_a)=(b-a)+\left(\frac{2S}b-\frac{2S}a\right)=(b-a)+\frac{2S(a-b)}{ab}=(b-a)\left(1-\frac{2S}{ab}\right)
$$
である。2 辺 $a$、$b$ とその間の角 $C$ を使う面積の公式 $S=\dfrac12ab\sin C$(三角形の面積の公式)から $\dfrac{2S}{ab}=\sin C$ なので、等式を得る。
段 2(正方形の比較)。鈍角がないので、$\angle B$、$\angle C$ も $\angle C$、$\angle A$ も $90^\circ$ 以下で、thm-sqt-main (2) から $s_a=\dfrac{2S}{a+h_a}$、$s_b=\dfrac{2S}{b+h_b}$ である。$a\le b$ なら $b-a\ge0$、また $0<\sin C\le1$ なので $1-\sin C\ge0$ で、段 1 から $b+h_b\ge a+h_a$ である。分子の $2S$ は共通で正なので、分母が小さい方が大きく、$s_a\ge s_b$ である。
段 3(等号)。$s_a=s_b$ となるのは $(b-a)(1-\sin C)=0$、つまり $b=a$ または $\sin C=1$ のときである。$0^\circ< C<180^\circ$ で $\sin C=1$ となるのは $C=90^\circ$ だけである。$\square$
$\angle C=90^\circ$ のときに等号が成り立つのは、ex-sqt-def (2) で見たとおり、直角の頂点に置いた正方形が、直角をはさむ 2 辺のどちらの上の内接正方形にもなるからである。
鋭角三角形と直角三角形では、3 つの辺の上の内接正方形のうち最大のものは、いちばん短い辺の上にある。
いちばん短い辺を $BC$ としてよい(頂点の名前を付け替える)。$a\le b$、$a\le c$ なので、thm-sqt-compare を辺 $BC$ と $CA$ に使うと $s_a\ge s_b$、頂点の名前を付け替えて辺 $BC$ と $AB$ に使うと $s_a\ge s_c$ である。$\square$
$A(0,0)$、$B(7,0)$、$C(2,5)$ とする。面積は $S=\dfrac12\cdot7\cdot5=\dfrac{35}2$、3 辺は
$$
a=BC=\sqrt{5^2+5^2}=5\sqrt2,\qquad b=CA=\sqrt{2^2+5^2}=\sqrt{29},\qquad c=AB=7
$$
である。角は $\angle A\fallingdotseq68.2^\circ$、$\angle B=45^\circ$、$\angle C\fallingdotseq66.8^\circ$ で、鋭角三角形である。高さは $h_a=\dfrac{35}{5\sqrt2}=\dfrac7{\sqrt2}$、$h_b=\dfrac{35}{\sqrt{29}}$、$h_c=5$ である。
公式 $s=\dfrac{2S}{\text{辺}+\text{高さ}}$ から、辺 $BC$ の上は $s_a=\dfrac{35\sqrt2}{17}=2.9116\ldots$、辺 $CA$ の上は $s_b=\dfrac{35\sqrt{29}}{64}=2.9450\ldots$、辺 $AB$ の上は $s_c=\dfrac{35}{12}=2.9166\ldots$ である。
(1) $s_a=\dfrac{35}{5\sqrt2+\frac7{\sqrt2}}=\dfrac{35}{\frac{17}{\sqrt2}}=\dfrac{35\sqrt2}{17}$
(2) $s_b=\dfrac{35}{\sqrt{29}+\frac{35}{\sqrt{29}}}=\dfrac{35\sqrt{29}}{29+35}=\dfrac{35\sqrt{29}}{64}$
(3) $s_c=\dfrac{35}{7+5}=\dfrac{35}{12}$
鋭角三角形の 3 つの辺の上の内接正方形。いちばん短い辺 CA の上の正方形が最大である
| 辺 | 長さ | 高さ | 辺と高さの和 | 内接正方形の 1 辺 |
|---|---|---|---|---|
| $CA$ | $\sqrt{29}\fallingdotseq5.385$ | $\dfrac{35}{\sqrt{29}}\fallingdotseq6.499$ | $11.884$ | $2.9450$ |
| $AB$ | $7$ | $5$ | $12$ | $2.9167$ |
| $BC$ | $5\sqrt2\fallingdotseq7.071$ | $\dfrac7{\sqrt2}\fallingdotseq4.950$ | $12.021$ | $2.9116$ |
3 つの正方形の大きさの差は $0.04$ に満たない。辺の長さは $5.4$ から $7.1$ まで変わるのに、正方形はほとんど同じ大きさである。辺が長くなる分だけ高さが短くなり、和 $a+h_a$ があまり変わらないからである。
面積 $S$ を固定して、辺の長さ $t$ に対する「辺と高さの和」$f(t)=t+\dfrac{2S}t$ を考える。相加平均と相乗平均 の関係から
$$
f(t)=t+\frac{2S}t\ge2\sqrt{t\cdot\frac{2S}t}=2\sqrt{2S}
$$
で、等号は $t=\dfrac{2S}t$、つまり $t=\sqrt{2S}$(辺と高さが等しい)のときである。$f(t)$ は $t<\sqrt{2S}$ で減少し、$t>\sqrt{2S}$ で増加する。ex-sqt-acute では $\sqrt{2S}=\sqrt{35}\fallingdotseq5.916$ で、辺 $CA$ だけが左側にある(図 5)。
高さは、頂点から向かいの辺に下ろした垂線の長さなので、その頂点から出る 2 辺より長くない($h_a\le b$、$h_a\le c$)。したがって、辺が自分の高さより短い($a< h_a$)なら $a< b$、$a< c$ で、その辺はいちばん短い辺である。グラフの左側($t<\sqrt{2S}$、つまり辺が高さより短い側)にくることができるのはいちばん短い辺だけで、残りの 2 辺は増加する側にある。
面積 35/2 の三角形について、辺の長さ t と辺と高さの和 t+2S/t のグラフ。3 つの点が鋭角三角形の 3 辺を表す
rem-sqt-graph の不等式からは、正方形の面積の上限も分かる。
thm-sqt-main (1) と rem-sqt-graph の不等式から、辺 $BC$ の上に置いたどの正方形の 1 辺 $s$ も
$$
s\le\frac{2S}{a+h_a}\le\frac{2S}{2\sqrt{2S}}=\sqrt{\frac S2}
$$
を満たす。つまり正方形の面積は $s^2\le\dfrac S2$ で、三角形の面積の半分以下である。半分になるのは、$a=h_a$ で、内接正方形がある($\angle B$、$\angle C$ が $90^\circ$ 以下)ときに限る。
(1) ex-sqt-start の直角二等辺三角形の脚 $AB$ では $c=h_c=4$ で、正方形の面積 $2^2=4$ は三角形の面積 $8$ のちょうど半分である。
(2) ex-sqt-131415 の辺 $AB$ では、辺と高さがほぼ等しく、正方形の面積は三角形の面積の半分 $42$ にごく近い。
$c=13$、$h_c=\dfrac{168}{13}\fallingdotseq12.92$ で、$s_c^2=\left(\dfrac{2184}{337}\right)^2\fallingdotseq41.9996$ である。
thm-sqt-main (2) は $\angle B\le90^\circ$、$\angle C\le90^\circ$ を仮定していた。$\angle B$ が鈍角のとき、辺 $BC$ の上では何が起こるかを調べる。
三角形 $ABC$ で $\angle B>90^\circ$ とする。このとき次が成り立つ。
(1) 辺 $BC$ の上の内接正方形はない。
(2) 辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 辺の最大値は
$$
\frac{ah_a}{a+h_a-c\cos B}
$$
で、最大の正方形は 1 つの頂点を $B$ に置いたものである。$\cos B<0$ なので、この値は $\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ より小さい。
要点:座標 $B(0,0)$、$C(a,0)$、$A(p,h_a)$ で、$\angle B>90^\circ$ から $p=c\cos B<0$ である(半直線 $BA$ が $x$ 軸の正の向きとなす角が $B$)。(1) 内接正方形があれば、辺 $AB$ の上の頂点 $\left(\dfrac{ps}{h_a},s\right)$ の真下の頂点は $x$ 座標が負で、辺 $BC$ の上にない。(2) 正方形の底の辺を $x_0\le x\le x_0+s$($x_0\ge0$)とすると、右上の頂点が辺 $CA$ より左にあることから
$$
s\le x_0+s\le a-\frac{(a-p)s}{h_a},\qquad\text{つまり}\qquad s\le\frac{ah_a}{a+h_a-p}=\frac{ah_a}{a+h_a-c\cos B}
$$
であり、$x_0=0$ の正方形で等号が成り立つ。
段 1((1) 内接正方形はない)。辺 $BC$ の上の内接正方形があったとし、1 辺を $s$ とする。prf-sqt-main の段 4 と同じ理由で、$BC$ の上にない 2 頂点の一方は辺 $AB$ の上の高さ $s$ の点で、その座標は $\left(\dfrac{ps}{h_a},s\right)$ である。この頂点と隣り合う、$BC$ の上の頂点は、真下の点 $\left(\dfrac{ps}{h_a},0\right)$ である。$p<0$ なので $x$ 座標は負で、この点は辺 $BC$($0\le x\le a$)の上にない。これは矛盾である。
段 2((2) の不等式)。辺 $BC$ の上に置いた正方形の 1 辺を $s$ とし、$BC$ の上の辺を $x_0\le x\le x_0+s$ とする。この辺は辺 $BC$ の上にあるので $x_0\ge0$ である。右上の頂点 $(x_0+s,s)$ は三角形に入るので、辺 $CA$ を含む直線より左にある。辺 $CA$ の上の高さ $s$ の点は、線分 $CA$ を $s:(h_a-s)$ に内分する点で、その $x$ 座標は $a+\dfrac{(p-a)s}{h_a}=a-\dfrac{(a-p)s}{h_a}$ なので
$$x_0+s\le a-\frac{(a-p)s}{h_a}$$
である。$x_0\ge0$ から $s\le a-\dfrac{(a-p)s}{h_a}$、両辺に $h_a$ を掛けて整理すると $s(h_a+a-p)\le ah_a$ で、要点の不等式を得る。
段 3(等号が成り立つ正方形)。$s^*=\dfrac{ah_a}{a+h_a-p}$ とし、4 頂点 $B(0,0)$、$(s^*,0)$、$(s^*,s^*)$、$(0,s^*)$ の正方形を考える。段 2 の計算を等号で逆にたどると、頂点 $(s^*,s^*)$ は辺 $CA$ の上にある。$0< s^*< h_a$ で、高さ $s^*$ での三角形の切り口は $\dfrac{ps^*}{h_a}\le x\le s^*$ であり、$\dfrac{ps^*}{h_a}<0$ なので頂点 $(0,s^*)$ もこの切り口に入る。$(s^*,0)$ は $0< s^*< a$ から辺 $BC$ の上にある。4 頂点が三角形に含まれるので、正方形は三角形に入る。よって最大値は $s^*$ で、そのとき $x_0=0$、つまり頂点の 1 つが $B$ にある。
段 4(公式より小さい)。$-c\cos B>0$ なので $a+h_a-c\cos B>a+h_a$ で、$s^*<\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ である。$\square$
$\angle B=90^\circ$ なら $\cos B=0$ で、prop-sqt-obtuse の式は thm-sqt-main の式と一致する。$\angle B$ が $90^\circ$ を超えると、分母に $-c\cos B$ が加わる分だけ、正方形は公式の値より小さくなる。
$B(0,0)$、$C(8,0)$、$A(-2,3)$ とする。$a=BC=8$、$b=CA=\sqrt{10^2+3^2}=\sqrt{109}$、$c=AB=\sqrt{2^2+3^2}=\sqrt{13}$、面積 $S=\dfrac12\cdot8\cdot3=12$ である。$\cos B=\dfrac{-2}{\sqrt{13}}$ で、$\angle B\fallingdotseq123.7^\circ$ は鈍角、$\angle C\fallingdotseq16.7^\circ$、$\angle A\fallingdotseq39.6^\circ$ である。
(1) 辺 $BC$ の上(鈍角 $B$ をはさむ辺)。$h_a=3$、$c\cos B=-2$ なので、prop-sqt-obtuse により最大の正方形は
$$
\frac{8\cdot3}{8+3+2}=\frac{24}{13}=1.8461\ldots
$$
である。thm-sqt-main の式をそのまま使うと $\dfrac{8\cdot3}{8+3}=\dfrac{24}{11}=2.1818\ldots$ になる。この大きさ $s=\dfrac{24}{11}$ の正方形を、上の 2 頂点が辺 $AB$、$CA$ の上にくるように置くと、左上の頂点は $\left(\dfrac{ps}{h_a},s\right)=\left(-\dfrac{16}{11},\dfrac{24}{11}\right)$、左下の頂点は $\left(-\dfrac{16}{11},0\right)$ にきて、辺 $BC$ からはみ出す(図 6)。
(2) 辺 $CA$ の上(鈍角の向かいの辺)。$\angle C$、$\angle A$ は鋭角なので thm-sqt-main が使え、$s_b=\dfrac{24\sqrt{109}}{133}=1.8839\ldots$ である。
(3) 辺 $AB$ の上(鈍角 $B$ をはさむもう 1 つの辺)。prop-sqt-obtuse を、頂点 $C$ と $A$ の役割を入れかえて使うと、最大の正方形の 1 辺は $\dfrac{24\sqrt{13}}{53}=1.6327\ldots$ である。
(2) $h_b=\dfrac{24}{\sqrt{109}}$ で $s_b=\dfrac{24}{\sqrt{109}+\frac{24}{\sqrt{109}}}=\dfrac{24\sqrt{109}}{109+24}=\dfrac{24\sqrt{109}}{133}$ である。
(3) 辺 $AB$ の長さは $c=\sqrt{13}$、高さは $h_c=\dfrac{24}{\sqrt{13}}$、$B$ で隣り合うもう 1 つの辺は $a=8$ で、$a\cos B=-\dfrac{16}{\sqrt{13}}$ なので $\dfrac{ch_c}{c+h_c-a\cos B}=\dfrac{24}{\sqrt{13}+\frac{24}{\sqrt{13}}+\frac{16}{\sqrt{13}}}=\dfrac{24\sqrt{13}}{13+24+16}=\dfrac{24\sqrt{13}}{53}$ である。
鈍角三角形の辺 BC の上に公式どおりの大きさの正方形を置くと、左下の頂点が辺 BC からはみ出す
鈍角 B に頂点を置いた正方形が、辺 BC の上に置ける最大の正方形である
図 6 の破線の正方形は、prf-sqt-construct と同じ相似拡大で作ったもので、左下の頂点が $B$ より左に出る。図 7 の正方形は、左上の頂点 $\left(0,\dfrac{24}{13}\right)$ が三角形の内部にあるので、内接正方形ではない。
thm-sqt-main (2)、thm-sqt-compare、cor-sqt-shortest の仮定を外すと何が崩れるかを並べる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\angle B\le90^\circ$ | $B(0,0)$、$C(8,0)$、$A(-2,3)$ の辺 $BC$ | 1 辺 $\dfrac{ah_a}{a+h_a}$ の内接正方形がある |
| $\angle C\ne90^\circ$(等号の場合を除く) | 3 辺が $3,4,5$ の直角三角形の 2 つの脚 | 短い辺の上の正方形の方が真に大きい |
| 鈍角をもたない | $B(0,0)$、$C(8,0)$、$A(-2,3)$ | 最大の正方形がいちばん短い辺の上にある |
1 行目と 3 行目の確かめは ex-sqt-obtuse の (1) と、(1)〜(3) の比較にある。2 行目を確かめる。
ex-sqt-def の直角三角形 $C(0,0)$、$B(4,0)$、$A(0,3)$ では $a=4$、$b=3$ で $b< a$ だが、$\angle C=90^\circ$ なので thm-sqt-compare の等号の場合にあたる。実際、$h_a=CA=3$、$h_b=BC=4$ で
$$
s_a=\frac{4\cdot3}{4+3}=\frac{12}7,\qquad s_b=\frac{3\cdot4}{3+4}=\frac{12}7
$$
と等しく、短い脚 $CA$ の上の正方形は長い脚 $BC$ の上の正方形より大きくない。どちらも ex-sqt-def (2) の、直角の頂点 $C$ に置いた同じ正方形である。斜辺の上の内接正方形は $s_c=\dfrac{60}{37}=1.6216\ldots$ で、脚の上の $\dfrac{12}7=1.7142\ldots$ より小さい。
$h_c=\dfrac{2\cdot6}5=\dfrac{12}5$ で、$s_c=\dfrac{5\cdot\frac{12}5}{5+\frac{12}5}=\dfrac{12}{\frac{37}5}=\dfrac{60}{37}$ である。
公式を使うときに起こりやすい誤りは、次の 2 つである。
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