Heron–Rota–Welsh予想(Heron–Rota–Welsh conjecture)とは、任意のマトロイドの特性多項式 $\chi_M(\lambda)=\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}\lambda^{r(E)-r(A)}$ の係数の絶対値の列(第一種 Whitney 数)が対数凹である、という予想である。グラフの彩色多項式は $q^{c(G)}\chi_{M(G)}(q)$ に等しいので、彩色多項式の係数についての Read と Hoggar の予想を含む。Adiprasito–Huh–Katz はマトロイドの Chow 環が Hard Lefschetz 定理と Hodge–Riemann の関係をみたすことを示し、この予想と独立集合の個数の対数凹性を証明した。一方、フラットの個数(第二種 Whitney 数)は対数凹でも単峰でもない例がある。
Heron–Rota–Welsh予想(Heron–Rota–Welsh conjecture)とは、任意のマトロイド $M$ の特性多項式
$$
\chi_M(\lambda)=w_0\lambda^r-w_1\lambda^{r-1}+w_2\lambda^{r-2}-\dots+(-1)^rw_r
$$
の係数の絶対値の列 $w_0,w_1,\dots,w_r$ が対数凹、すなわち $w_k^2\ge w_{k-1}w_{k+1}$ をみたす、という予想である。グラフの彩色多項式の係数についての Read(単峰性)と Hoggar(対数凹性)の予想を、Rota と Heron が単峰性の形で任意のマトロイドに広げ、Welsh が対数凹性の形で述べた(AHK18 §1、p. 2)。
この予想は 2015 年に Adiprasito–Huh–Katz によって証明された(Adiprasito–Huh–Katz の定理)。彼らはマトロイドから「Chow 環」と呼ぶ次数付き環を作り、それが射影多様体のコホモロジーと同じ Hard Lefschetz 定理と Hodge–Riemann の関係をみたすことを組合せ論的に証明して、そこから対数凹性を導いた。
この記事では、特性多項式を定義してその基本性質(削除縮約の関係式)と、グラフの彩色多項式との関係 $P_G(q)=q^{c(G)}\chi_{M(G)}(q)$ を完全に証明し、例を計算する。Adiprasito–Huh–Katz の定理の本体(Hodge 理論の部分)は証明しないが、そこから対数凹性を導く線形代数と、畳み込みによる最後の段は証明する。最後に、似た形の予想であるフラットの個数の対数凹性・単峰性には反例があることを述べる。
以下、$M$ を有限集合 $E$ 上のマトロイド、$r(\cdot)$ をその階数関数、$r:=r(E)$ を $M$ の階数とする(マトロイド)。
$$
\chi_M(\lambda):=\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}\lambda^{\,r-r(A)}
$$
を $M$ の 特性多項式 という。$\lambda^{r-k}$ の係数の絶対値を $w_k(M)$ と書き、第一種 Whitney 数 という。
この定義は Rota による(AHK18 §1、p. 1)。フラットの束の Möbius 関数 $\mu$ を使って $\chi_M(\lambda)=\sum_F\mu(\emptyset,F)\lambda^{r-r(F)}$(和はフラット全体)とも書けるが、この記事ではこの形は使わない。
マトロイドの 削除 と 縮約 を次のように定める。$e\in E$ について、$M\setminus e$ は $E-e$ 上のマトロイドで、独立集合は $M$ の独立集合のうち $e$ を含まないもの、階数関数は $r$ の制限である。$e$ がループでないとき、$M/e$ は $E-e$ 上のマトロイドで、階数関数を $r_{M/e}(A):=r(A+e)-1$ と定める。これが マトロイド の階数の公理(R1)〜(R3)をみたすことは、$1=r(\{e\})\le r(A+e)\le r(A)+1$ と、(R2)(R3)を $A+e$、$B+e$ に当てることから分かる($(A+e)\cup(B+e)=(A\cup B)+e$、$(A+e)\cap(B+e)=(A\cap B)+e$)。グラフ的マトロイドでは、削除は辺を取り除くこと、縮約は辺をつぶして両端を 1 点にすることにあたる。
$e$ が コループ(すべての基に属する元)であることは $r(E-e)=r-1$ と同値である。
1.ループ $\ell$ について $r(A+\ell)=r(A)$ である($r(A)\le r(A+\ell)\le r(A)+r(\{\ell\})=r(A)$)。$\ell\notin A$ となる $A$ と $A+\ell$ を組にすると、2 つの項は指数が同じで符号が逆なので打ち消し合う。
2.$r(A)=0$ となるのは $A$ の元がすべてループのときなので、ループがなければ $\lambda^r$ の項は $A=\emptyset$ だけから来て係数は $1$ である。$r(A)\ge0$ なので次数は $r$ 以下である。
3.$\chi_M(1)=\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}=(1-1)^{|E|}=0$ である。
4.和を $e\notin A$ と $e\in A$ に分ける。$e$ はコループでないので $r(E-e)=r$ であり、$e\notin A$ の部分は $\sum_{A\subset E-e}(-1)^{|A|}\lambda^{r(E-e)-r(A)}=\chi_{M\setminus e}(\lambda)$ である。$e\in A$ の部分は $A=B+e$($B\subset E-e$)と書けて、$r_{M/e}(E-e)=r-1$、$r_{M/e}(B)=r(B+e)-1$ なので
$$
\sum_{B\subset E-e}(-1)^{|B|+1}\lambda^{\,r-r(B+e)}=-\sum_{B\subset E-e}(-1)^{|B|}\lambda^{\,r_{M/e}(E-e)-r_{M/e}(B)}=-\chi_{M/e}(\lambda)
$$
である。
5.$|E|$ についての帰納法で示す。すべての元がコループなら、$E$ は独立で $r(A)=|A|$ なので $\chi_M(\lambda)=\sum_A(-1)^{|A|}\lambda^{|E|-|A|}=(\lambda-1)^{r}$ であり、$w_k=\binom rk>0$ である。そうでなければ、コループでない $e$ をとる(ループはない)。$M\setminus e$ はループをもたず階数 $r$ で、帰納法の仮定が当てはまる。$M/e$ がループをもてば 1 により $\chi_{M/e}=0$ で、4 から $\chi_M=\chi_{M\setminus e}$ である。$M/e$ がループをもたなければ、階数 $r-1$ で帰納法の仮定が当てはまり、4 の $\lambda^{r-k}$ の係数は
$$
(-1)^kw_k(M\setminus e)-(-1)^{k-1}w_{k-1}(M/e)=(-1)^k\bigl(w_k(M\setminus e)+w_{k-1}(M/e)\bigr)
$$
である($w_{-1}:=0$)。どちらの場合も符号は $(-1)^k$ で、絶対値は正である。$\square$
5 の証明から、$M/e$ がループをもたないとき $w_k(M)=w_k(M\setminus e)+w_{k-1}(M/e)$ である。これは第一種 Whitney 数を「和」で計算する式なので、対数凹性 で見たとおり、それだけからは対数凹性は出てこない(Huh18 §2.4、p. 8)。
有限グラフ $G=(V,E)$ と正の整数 $q$ について、隣接する頂点が異なる色になるような頂点の $q$ 色の塗り分けの個数を $P_G(q)$ と書き、彩色多項式 という(Huh18 §2.4、p. 7)。$G$ の連結成分の個数を $c(G)$、辺集合 $E$ から定まるグラフ的マトロイドを $M(G)$ と書く。
ループをもたない有限グラフ $G$ について
$$
P_G(q)=\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}q^{\,c(A)}=q^{\,c(G)}\,\chi_{M(G)}(q)
$$
である。ここで $c(A)$ は $(V,A)$ の連結成分の個数である。特に $P_G$ は $q$ の多項式で、その係数の絶対値の列は $M(G)$ の第一種 Whitney 数の列に一致する。
段 1(包除原理).頂点の $q$ 色の塗り方全体を $\Omega$ とし、辺 $e$ について、$e$ の両端が同じ色である塗り方の集合を $S_e$ とする。$P_G(q)=\bigl|\Omega\setminus\bigcup_eS_e\bigr|$ であり、包除原理により
$$
P_G(q)=\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}\Bigl|\bigcap_{e\in A}S_e\Bigr|
$$
である($A=\emptyset$ の項は $|\Omega|$)。$\bigcap_{e\in A}S_e$ は、$A$ の各辺の両端が同じ色である塗り方の集合で、これは $(V,A)$ の各連結成分の中で色が一定の塗り方にほかならない。成分ごとに $q$ 通りの色を選べるので、その個数は $q^{c(A)}$ である。
段 2(階数との関係).マトロイド の命題「グラフ的マトロイド」により、森 $F$ について $c(F)=|V|-|F|$ である。$A\subset E$ の中の極大な森 $F$ は $(V,A)$ の各成分の全域木からなるので $c(A)=c(F)=|V|-|F|=|V|-r(A)$ であり、特に $c(G)=|V|-r(E)$ である。よって $c(A)=c(G)+r(E)-r(A)$ で、
$$
\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}q^{\,c(A)}=q^{\,c(G)}\sum_{A\subset E}(-1)^{|A|}q^{\,r(E)-r(A)}=q^{\,c(G)}\chi_{M(G)}(q)
$$
である。$\square$
$M$ を任意のマトロイド、$G$ を任意の有限グラフとする。
1〜3 は AHK18 Theorem 9.9(p. 60)である。それ以前に、1 は複素数体上で表現可能なマトロイドについて Huh により、何らかの体の上で表現可能なマトロイドについて Huh–Katz により示されていた(AHK18 §1、p. 3)。表現可能性は代数幾何(超平面配置の補集合のコンパクト化)を使うために必要だった。任意のマトロイドへの拡張が Adiprasito–Huh–Katz の新しい点である。
ループをもつマトロイドでは $\chi_M=0$ なので 1 は自明である。単峰性は、正の項の対数凹列が単峰であること(対数凹性 の命題「対数凹性から単峰性」)と prop-hrw-basic の 5 から従う。3 は thm-hrw-chromatic により 1 の $M=M(G)$ の場合である($G$ にループがあれば $P_G=0$)。ex-hrw-examples の列 $(1,4,6,3)$、$(1,6,11,6)$、$(1,7,14,8)$ はいずれも対数凹である。Fano マトロイドの独立集合の個数 $(1,7,21,28)$(マトロイド の例「Fano マトロイド」)も $49\ge21$、$441\ge196$ をみたす。
主定理の証明を、この記事で証明する部分と引用する部分に分けて示す。この節では AHK18 に合わせて、ループをもたないマトロイド $M$ の階数を $r+1$ とする。
$V$ を有限次元の実ベクトル空間、$Q$ を $V$ 上の対称双線形形式、$\ell\in V$ とし、$Q(\ell,\ell)>0$ で、$P:=\{p\in V\mid Q(\ell,p)=0\}$ の上で $Q$ が負定値であるとする。このとき、すべての $a\in V$ について
$$
Q(a,\ell)^2\ge Q(a,a)\,Q(\ell,\ell)
$$
が成り立ち、等号は $a$ が $\ell$ の定数倍のときに限る。
$t:=Q(a,\ell)/Q(\ell,\ell)$、$p:=a-t\ell$ とおくと $Q(\ell,p)=0$ なので $p\in P$ である。$Q(a,\ell)=tQ(\ell,\ell)$、$Q(a,a)=t^2Q(\ell,\ell)+Q(p,p)$ だから
$$
Q(a,\ell)^2-Q(a,a)Q(\ell,\ell)=-Q(p,p)\,Q(\ell,\ell)\ge0
$$
であり、等号は $Q(p,p)=0$、すなわち $p=0$ のときに限る。$\square$
この補題の仮定は、$Q$ が「正の固有値をちょうど 1 つもつ」ことの具体的な形であり、Hodge 指数定理と同じ形の不等式を与える(Hodge–Riemann双線形関係、Huh18 §1、p. 3)。
段 1(Chow 環.引用).$M$ の空でも全体でもないフラット $F$ ごとに変数 $x_F$ をおいた多項式環 $S_M=\mathbb R[x_F]$ を、比較できない 2 つのフラットの積 $x_{F_1}x_{F_2}$ と、相異なる $i_1,i_2\in E$ についての 1 次式 $\sum_{F\ni i_1}x_F-\sum_{F\ni i_2}x_F$ で生成されるイデアルで割った環を $A(M)$ と書き、$M$ の Chow 環 という(AHK18 Definition 1.3、p. 2。Feichtner–Yuzvinsky による)。$A(M)=\bigoplus_{q=0}^rA^q(M)$ と次数付けられ、フラットの旗 $F_1\subsetneq\dots\subsetneq F_r$ について $\deg(x_{F_1}\cdots x_{F_r})=1$ となる線形同型 $\deg\colon A^r(M)\to\mathbb R$ がある(同 p. 3、Proposition 5.10、p. 24)。狭義劣モジュラな関数から作られる $\ell\in A^1(M)$ について、Hard Lefschetz 定理と Hodge–Riemann の関係が成り立つ(同 Theorem 1.4、p. 4)。この部分は AHK18 の §2〜§8 の全体を使い、この記事では証明しない。
段 2(1 次の部分での不等式).$r\ge2$ とする($r\le1$ では示すべき不等式がない)。段 1 の $\ell$ について、$A^1(M)$ 上の対称双線形形式 $Q(a,b):=\deg(ab\,\ell^{r-2})$ を考える。Hodge–Riemann の関係の $q=0$ の場合は $Q(\ell,\ell)=\deg(\ell^r)>0$ を、$q=1$ の場合は $\ell^{r-1}a=0$ となる $0$ でない $a\in A^1(M)$ について $Q(a,a)< 0$ を意味する。$\deg$ は同型なので、$\ell^{r-1}a=0$ は $Q(\ell,a)=\deg(\ell^{r-1}a)=0$ と同値である。よって lem-hrw-reverse-cs の仮定がみたされ、すべての $a\in A^1(M)$ について $\deg(a^2\ell^{r-2})\deg(\ell^r)\le\deg(a\ell^{r-1})^2$ である。AHK18 Lemma 9.6(pp. 58–59)は、極限をとってこれを $\ell$ が「nef」な元の場合に広げている。
段 3(係数を次数で表す.引用).$\overline\chi_M(\lambda):=\chi_M(\lambda)/(\lambda-1)=\sum_{k=0}^r(-1)^k\mu_k\lambda^{r-k}$ とおく(prop-hrw-basic の 3 により割り切れる)。$A^1(M)$ の 2 つの nef な元 $\alpha,\beta$ があって、$\mu_k=\deg(\alpha^{r-k}\beta^k)$ である(AHK18 Definition 5.7(p. 23)、Proposition 9.5(p. 58)、Lemma 9.7(p. 59))。段 2 の不等式を $a=\alpha$、$\ell=\beta$ に当てると $\mu_{r-2}\mu_r\le\mu_{r-1}^2$ であり、階数を下げたマトロイド(打ち切り)に同じ議論を当てて、$0< k< r$ で $\mu_{k-1}\mu_{k+1}\le\mu_k^2$ を得る(同 Proposition 9.8、pp. 59–60)。
段 4(畳み込み).$\chi_M=(\lambda-1)\overline\chi_M$ の $\lambda^{r+1-j}$ の係数を比べると
$$
(-1)^jw_j=(-1)^j\mu_j-(-1)^{j-1}\mu_{j-1},\qquad\text{つまり}\quad w_j=\mu_j+\mu_{j-1}
$$
である(範囲外は $0$)。すなわち $(w_j)$ は $(\mu_k)$ と $(1,1)$ の畳み込みである。$\mu_k$ はすべて正である(AHK18 §9.1、pp. 56–57。$\mu_k=w_k-w_{k-1}+\dots\pm w_0$ で $\mu_r$ は Möbius 関数の値の絶対値)。$(1,1)$ と $(\mu_k)$ は内部に零をもたない非負の対数凹列なので、対数凹性 の定理「畳み込みは対数凹性を保つ」により $(w_j)$ は対数凹である。これが 1 である。
段 5(独立集合の個数).Brylawski の結果により、$f_k(M)$ は別のマトロイドの(被約)特性多項式の係数の絶対値として表されるので、2 は 1 から従う(AHK18 Theorem 9.9 の証明、p. 60)。3 は上で述べたとおり 1 と thm-hrw-chromatic から従う。$\square$
段 4 から、実は被約特性多項式の係数 $(\mu_k)$ のほうが強い主張(対数凹性)をもっている。同じ Hodge–Riemann の関係の次数 1 の部分は、環を使わずに多項式の性質として公理化でき(Lorentz 多項式)、それを使うと独立集合の個数についてさらに強い不等式
$$
\frac{f_k^2}{\binom nk^2}\ge\frac{f_{k+1}}{\binom n{k+1}}\cdot\frac{f_{k-1}}{\binom n{k-1}}\qquad(n=|E|)
$$
が得られる(BH20 要旨・導入 p. 3、Theorem 4.14、p. 50)。これは Mason が 1972 年に述べた 3 つの予想のうち最も強いものである(同 Conjecture 4.13、p. 49)。
Hodge–Riemann の関係と Hard Lefschetz 定理の組は、コンパクト Kähler 多様体のコホモロジー(Hard Lefschetz定理、Hodge–Riemann双線形関係)、単純凸多面体の McMullen の代数、Soergel 双加群、マトロイドの Chow 環などで成り立つことが知られている。異なる対象での証明には構造の似たところがあるが、一方から他方を導く方法は知られていない(Huh18 §1、pp. 1–2)。Adiprasito–Huh–Katz の証明は、単純多面体についての McMullen の帰納的な証明に着想を得たものである(AHK18 §1.2、p. 4)。
主定理の結論は、仮定や対象を替えると成り立たなくなる。特に、同じ形で予想された「フラットの個数」の対数凹性と単峰性には、2026 年に前刷りで反例が示された。
| 外す条件・替える条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 対数凹性を実根性に強める | $U_{3,4}$:$\chi=(\lambda-1)(\lambda^2-3\lambda+3)$ | 特性多項式は実根だけをもつとは限らず、係数は超対数凹とも限らない |
| 係数(第一種 Whitney 数)をフラットの個数(第二種 Whitney 数)に替える | 道の長さ $26,26,26,1$ の一般化 theta グラフのグラフ的マトロイド | 対数凹性:$W_{74}^2< W_{73}W_{75}$ |
| 同上、単峰性 | Larson の例に Whittle の $q$-lift を当てたマトロイド | 単峰性(峰がいくつでもある例もある) |
| 「和」で計算することに頼る | $(4,1,0)+(0,1,4)=(4,2,4)$ | 削除縮約の漸化式だけでは対数凹性が帰納法で保たれない |
各行を確かめる。
1 行目:ex-hrw-examples の 1 により $\chi_{U_{3,4}}=\lambda^3-4\lambda^2+6\lambda-3=(\lambda-1)(\lambda^2-3\lambda+3)$ で、2 次式の判別式は $9-12< 0$ である。係数の絶対値 $(1,4,6,3)$ を $\binom3k$ で割ると $(1,\frac43,2,3)$ で、$(\frac43)^2=\frac{16}9< 2$ なので超対数凹でない。したがって、実根だけをもつ多項式の Newton の不等式(対数凹性 の定理「Newton の不等式」)を使ってこの予想を示すことはできない。対数凹性そのものは $16\ge6$、$36\ge12$ で成り立つ。
2 行目:2 つの頂点を、内部で交わらない 4 本の道(辺の数 $26,26,26,1$)で結んだグラフ $G$ を考える。頂点は 77 個、辺は 79 本、連結なので $M(G)$ の階数は 76 である。階数 $k$ のフラットの個数を $W_k$ とすると $W_{75}=18{,}551$、$W_{74}=983{,}775$、$W_{73}=52{,}954{,}525$ で、$W_{74}^2=967{,}813{,}250{,}625< 982{,}359{,}393{,}275=W_{73}W_{75}$ である(Lar26 Example 2.2・Theorem 2.3、pp. 5–6。数え方は双対マトロイドの閉路の和集合を数える方法による)。この数値は執筆時に計算機で独立に再計算して一致を確かめた。Mason はフラットの個数の対数凹性を予想していた(同 Conjecture 2.1、p. 5)。
3 行目:Rota はフラットの個数の列が単峰であると予想していた。Divoux–Lowen–Wang は Larson の例に Whittle の $q$-lift を当てて単峰でない例を構成し(DLW26 Theorem 1.2、p. 2)、Divoux–Larson–Lowen–Wang は、各正整数 $m$ について峰がちょうど $m$ 個のマトロイドがあることを示した(DLLW26 Theorem 1.2、p. 2)。単峰でない例として彼らが構成した最小のものは台集合が 4957 元である(同 p. 2)。これらは 2026 年の前刷りである。
4 行目:対数凹性 の反例の表と同じ。$w_k(M)=w_k(M\setminus e)+w_{k-1}(M/e)$ の右辺の 2 つの列がそれぞれ対数凹でも、和が対数凹とは限らない。
注意を 3 つ挙げる。
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