空間図形の計量(measurement of solid figures)とは、空間図形の長さ・角・面積・体積を、平面で切って平面の三角形に帰着させて求める計算である。直線が平面に垂直であることは、平面の平行でない 2 方向に垂直であることで確かめられる。三垂線の定理によれば、平面 $\alpha$ 上の直線 $\ell$、$\alpha$ の外の点 $\mathrm P$ から下ろした垂線の足 $\mathrm H$($\ell$ の上にない)、$\ell$ 上の点 $\mathrm Q$ について、$\mathrm{HQ}\perp\ell$ なら $\mathrm{PQ}\perp\ell$ である。1 辺 $a$ の正四面体では体積 $\frac{\sqrt2}{12}a^3$、二面角 $\varphi$ は $\cos\varphi=\frac13$ である。
前提知識: 三平方の定理, 余弦定理(高校数学), 三角形の面積の公式, ベクトルの内積(高校数学), 空間ベクトルと1次独立
空間の図形の長さ・角・面積・体積を求めるときの基本の方針は、「うまく平面を選んで切り、平面の三角形の問題にする」ことである。平面の三角形なら、三平方の定理、余弦定理(高校数学)、三角形の面積の公式 が使える。
縦 $a$、横 $b$、高さ $c$ の直方体 $\mathrm{ABCD\text{-}EFGH}$(底面 $\mathrm{ABCD}$ の真上に $\mathrm{EFGH}$)で、対角線 $\mathrm{AG}$ の長さを求める。
1 辺 $1$ の立方体で、1 つの頂点 $\mathrm A$ から出る 3 つの面の対角線の端 $\mathrm C$、$\mathrm F$、$\mathrm H$ を結ぶ($\mathrm C$ は底面で $\mathrm A$ の対角の頂点、$\mathrm F$、$\mathrm H$ は $\mathrm A$ に隣り合う 2 つの側面で $\mathrm A$ の対角の頂点)。三角形 $\mathrm{ACF}$ の 3 辺はどれも面の対角線で、長さ $\sqrt{1^2+1^2}=\sqrt2$ なので、正三角形である。したがって $\angle\mathrm{CAF}=60^\circ$ である。空間の中の 2 本の面の対角線のなす角が、平面の正三角形の角として求まった。
次に、対角線 $\mathrm{AG}$ と面の対角線 $\mathrm{AC}$ のなす角 $\theta$ を求める。三角形 $\mathrm{ACG}$ は $\mathrm C$ で直角で、$\mathrm{AC}=\sqrt2$、$\mathrm{CG}=1$、$\mathrm{AG}=\sqrt3$(ex-mos-box-diagonal)なので、$\cos\theta=\dfrac{\sqrt2}{\sqrt3}=\dfrac{\sqrt6}3$ である。$\theta$ は約 $35.26^\circ$ である。
2 つの例で、平面の三角形に直すときに鍵になったのは「$\mathrm{CG}$ は底面に垂直なので、底面の直線 $\mathrm{AC}$ とも垂直」という事実だった。空間の計量では、どの直線とどの直線が垂直かを正しく見抜くことが大切になる。この記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| 直方体の対角線 $\sqrt{a^2+b^2+c^2}$ | 三平方の定理を 2 回 | 空間の距離(ノルム) |
| 三垂線の定理 | 垂直は平面の中の 2 方向で確かめる | 内積の線形性、直交補空間 |
| 正四面体の二面角 $\cos\varphi=\dfrac13$ | 辺に垂直な 2 本の線の角 | 法線ベクトルのなす角、Dehn 不変量 |
| 四面体の体積 $\dfrac13Sh$ | 底面積と高さ | 行列式の $\dfrac16$ |
直線 $\ell$ が平面 $\alpha$ と 1 点 $\mathrm H$ で交わり、$\alpha$ の上の、$\mathrm H$ を通るどの直線とも垂直であるとき、$\ell$ は $\alpha$ に 垂直 であるといい、$\ell\perp\alpha$ と書く。このとき $\mathrm H$ を、$\ell$ の上の点から $\alpha$ に下ろした 垂線の足 という。ベクトルで言えば、$\ell$ の方向ベクトル $\vec w$ が、$\alpha$ に平行な、どのベクトル $\vec v$ とも垂直($\vec w\cdot\vec v=0$)であることである。
この定義は Euclid『原論』第 XI 巻の定義 3 と同じである(Hea56 Vol. III, p. 260)。「どの直線とも」を 1 本ずつ確かめることはできないので、次の補題を使う。
平面 $\alpha$ に平行で、互いに平行でない 2 つのベクトル $\vec v_1$、$\vec v_2$ をとる。ベクトル $\vec w$ が $\vec v_1$ とも $\vec v_2$ とも垂直ならば、$\vec w$ は $\alpha$ に平行な、どのベクトルとも垂直である。
方針:$\alpha$ に平行なベクトルを $\vec v_1$、$\vec v_2$ で表し、内積を分配する。
段 1(平面のベクトルを 2 つで表す)。$\vec v_1$、$\vec v_2$ は平行でない(1 次独立)ので、$\alpha$ に平行などんなベクトル $\vec v$ も、実数 $s,t$ を使って $\vec v=s\vec v_1+t\vec v_2$ とただ 1 通りに書ける(空間ベクトルと1次独立)。
段 2(内積を分配する)。内積の分配法則により
$$
\vec w\cdot\vec v=\vec w\cdot(s\vec v_1+t\vec v_2)=s\,(\vec w\cdot\vec v_1)+t\,(\vec w\cdot\vec v_2)=s\cdot0+t\cdot0=0
$$
である。よって $\vec w\perp\vec v$ である。$\square$
直方体を座標で $0\le x\le a$、$0\le y\le b$、$0\le z\le c$ と表す。縦の辺の方向は $\vec w=(0,0,1)$、底面($z=0$)の 2 辺の方向は $\vec v_1=(1,0,0)$、$\vec v_2=(0,1,0)$ で、$\vec w\cdot\vec v_1=0$、$\vec w\cdot\vec v_2=0$ である。lem-mos-two-lines により縦の辺は底面に垂直で、底面の対角線の方向 $(a,b,0)$ とも垂直である。実際 $(0,0,1)\cdot(a,b,0)=0$ である。これが ex-mos-box-diagonal で使った事実である。
次の定理は、平面に垂直な線があるとき、平面の中の垂直が平面の外へ伝わることを述べる。
三垂線の定理。点 P から平面 α に下ろした垂線の足を H、H から α の上の直線 ℓ に下ろした垂線の足を Q とすると、PQ も ℓ に垂直になる
平面 $\alpha$ と、$\alpha$ の上の直線 $\ell$、$\alpha$ の外の点 $\mathrm P$、$\alpha$ の上の点 $\mathrm H$、$\ell$ の上の点 $\mathrm Q$ をとる($\mathrm H$ は $\ell$ の上にないとする)。
方針:$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=\overrightarrow{\mathrm{PH}}+\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と分け、$\ell$ の方向ベクトル $\vec u$ との内積を考える。3 つの内積 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec u$、$\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u$、$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec u$ のうち、2 つが $0$ なら残りも $0$ である。
段 1(分ける)。$\ell$ の方向ベクトルを $\vec u$ とする。$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=\overrightarrow{\mathrm{PH}}+\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ なので、分配法則により
$$
\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec u=\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u+\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec u
$$
である。
段 2(1 を示す)。$\mathrm{PH}\perp\alpha$ で、$\vec u$ は $\alpha$ に平行なので $\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u=0$ である。$\mathrm{HQ}\perp\ell$ なので $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec u=0$ である。段 1 から $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec u=0$、つまり $\mathrm{PQ}\perp\ell$ である。
段 3(2 を示す)。段 2 と同じく $\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u=0$ で、仮定から $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec u=0$ である。段 1 から $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec u=0-0=0$、つまり $\mathrm{HQ}\perp\ell$ である。
段 4(3 を示す)。仮定から $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\vec u=0$、$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec u=0$ なので、段 1 から $\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u=0$ である。また仮定から $\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=0$ である。$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と $\vec u$ はどちらも $\alpha$ に平行で、$\mathrm H$ が $\ell$ の上にないので $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\ne\vec 0$ であり、$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\perp\vec u$ なので平行でない。lem-mos-two-lines により、$\overrightarrow{\mathrm{PH}}$ は $\alpha$ に平行な、どのベクトルとも垂直で、$\mathrm{PH}\perp\alpha$ である。$\square$
平面 $\alpha$ の上に直線 $\ell$ があり、$\alpha$ の上の点 $\mathrm H$ から $\ell$ までの距離が $3$ である。$\mathrm H$ の真上、高さ $4$ の点 $\mathrm P$($\mathrm{PH}\perp\alpha$、$\mathrm{PH}=4$)から $\ell$ までの距離を求める。
$\mathrm H$ から $\ell$ に下ろした垂線の足を $\mathrm Q$ とすると $\mathrm{HQ}=3$ である。thm-mos-three-perp の 1 により $\mathrm{PQ}\perp\ell$ なので、$\mathrm Q$ は $\mathrm P$ から $\ell$ に下ろした垂線の足でもあり、求める距離は $\mathrm{PQ}$ である。$\mathrm{PH}\perp\alpha$ なので $\mathrm{PH}\perp\mathrm{HQ}$ で、直角三角形 $\mathrm{PHQ}$ で三平方の定理により
$$
\mathrm{PQ}=\sqrt{4^2+3^2}=5
$$
である。座標で確かめる。$\alpha$ を $xy$ 平面、$\ell$ を直線 $y=3,\ z=0$、$\mathrm H(0,0,0)$、$\mathrm P(0,0,4)$ とすると、$\ell$ の上の点 $(t,3,0)$ と $\mathrm P$ の距離の 2 乗は $t^2+9+16$ で、$t=0$ のとき最小値 $25$ をとる。距離は $5$ である。
直線 $\ell$ を共有する 2 つの半平面($\ell$ を境にした平面の片側)$\pi_1$、$\pi_2$ を考える。$\ell$ の上の点 $\mathrm M$ をとり、$\pi_1$ の中で $\mathrm M$ から $\ell$ に垂直な半直線 $\mathrm{MX}$、$\pi_2$ の中で $\mathrm M$ から $\ell$ に垂直な半直線 $\mathrm{MY}$ を引く。角 $\angle\mathrm{XMY}$ を、$\pi_1$ と $\pi_2$ のなす 二面角 という。多面体の辺では、その辺を共有する 2 つの面(を含む半平面)の二面角を、その辺の二面角という。
$\mathrm M$ を $\ell$ の上の別の点 $\mathrm M'$ に取り替えても、$\mathrm M'$ から引いた 2 本の半直線は、$\mathrm{MX}$、$\mathrm{MY}$ を $\ell$ に沿って平行移動したものなので、角の大きさは変わらない。2 つの平面のなす角($90^\circ$ 以下の方)を同じように定めることは、Euclid『原論』第 XI 巻の定義 6 にある(Hea56 Vol. III, p. 260)。
二面角を測るときは、2 本の線がどちらも共有する辺に 垂直 であることを確かめる必要がある。そのとき thm-mos-three-perp が役に立つ。$\pi_2$ の中の点 $\mathrm D$ から $\pi_1$ を含む平面に下ろした垂線の足 $\mathrm H$ が $\pi_1$ の中にあり、$\mathrm H$ から $\ell$ に下ろした垂線の足を $\mathrm M$ とすると、三垂線の定理の 1 により $\mathrm{DM}\perp\ell$ である。したがって、二面角は直角三角形 $\mathrm{DHM}$ の角 $\angle\mathrm{DMH}$ で、$\cos\angle\mathrm{DMH}=\dfrac{\mathrm{HM}}{\mathrm{DM}}$ である。
4 つの面がすべて合同な正三角形である四面体を 正四面体 という。
1 辺 a の正四面体 ABCD。頂点 D から底面に下ろした垂線の足 H は底面の重心で、辺 BC の中点を M とすると、辺 BC での二面角は ∠DMH である
1 辺 $a$ の正四面体 $\mathrm{ABCD}$ について、次が成り立つ(図 2)。
方針:1 は、垂線の足から 3 頂点までの距離が等しいことを三平方の定理で示す。2 は錐体の体積の公式に代入する。3 は、三垂線の定理で二面角を直角三角形 $\mathrm{DHM}$ の角にする。
段 1($\mathrm H$ は外心)。$\mathrm{DH}\perp$ 底面なので、$\mathrm{DH}$ は底面の直線 $\mathrm{HA}$、$\mathrm{HB}$、$\mathrm{HC}$ と垂直で、三角形 $\mathrm{DHA}$、$\mathrm{DHB}$、$\mathrm{DHC}$ は $\mathrm H$ で直角である。三平方の定理から
$$
\mathrm{HA}^2=\mathrm{DA}^2-\mathrm{DH}^2=a^2-h^2
$$
で、$\mathrm{HB}^2$、$\mathrm{HC}^2$ も同じ $a^2-h^2$ である。よって $\mathrm{HA}=\mathrm{HB}=\mathrm{HC}$ で、$\mathrm H$ は三角形 $\mathrm{ABC}$ の外心である。
段 2(外接円の半径)。正三角形 $\mathrm{ABC}$ では、辺 $\mathrm{BC}$ の中点を $\mathrm M$ とすると中線 $\mathrm{AM}$ は $\mathrm{BC}$ に垂直で、長さは $\sqrt{a^2-\left(\dfrac a2\right)^2}=\dfrac{\sqrt3}2a$ である。正三角形の外心は重心と一致し、重心は中線を $2:1$ に分けるので(三角形の重心(高校数学)、三角形の外心)、$\mathrm{HA}=\dfrac23\cdot\dfrac{\sqrt3}2a=\dfrac a{\sqrt3}$、$\mathrm{HM}=\dfrac13\cdot\dfrac{\sqrt3}2a=\dfrac{\sqrt3}6a$ である。
段 3(高さ)。段 1 から $h^2=a^2-\mathrm{HA}^2=a^2-\dfrac{a^2}3=\dfrac23a^2$ なので、$h=\sqrt{\dfrac23}\,a=\dfrac{\sqrt6}3a$ である。
段 4(体積)。錐体の体積は $\dfrac13\times$ 底面積 $\times$ 高さである(錐体の体積とHilbertの第3問題)。底面は 1 辺 $a$ の正三角形で、面積は $\dfrac{\sqrt3}4a^2$ なので
$$
V=\frac13\cdot\frac{\sqrt3}4a^2\cdot\frac{\sqrt6}3a=\frac{\sqrt{18}}{36}a^3=\frac{3\sqrt2}{36}a^3=\frac{\sqrt2}{12}a^3
$$
である。$\dfrac{\sqrt2}{12}=\dfrac{2}{12\sqrt2}=\dfrac1{6\sqrt2}$ なので、$V=\dfrac{a^3}{6\sqrt2}$ とも書ける。
段 5(二面角を直角三角形に移す)。辺 $\mathrm{BC}$ の二面角を求める。$\mathrm H$ は中線 $\mathrm{AM}$ の上にあり、$\mathrm{AM}\perp\mathrm{BC}$ なので $\mathrm{HM}\perp\mathrm{BC}$ である。$\mathrm{DH}\perp$ 底面なので、thm-mos-three-perp の 1 により $\mathrm{DM}\perp\mathrm{BC}$ である。面 $\mathrm{ABC}$ の中の半直線 $\mathrm{MA}$($\mathrm H$ を通る)と、面 $\mathrm{DBC}$ の中の半直線 $\mathrm{MD}$ は、どちらも $\mathrm M$ で $\mathrm{BC}$ に垂直なので、二面角は $\varphi=\angle\mathrm{DMH}$ である。
段 6(余弦を求める)。$\mathrm{DM}$ は正三角形 $\mathrm{DBC}$ の中線なので $\mathrm{DM}=\dfrac{\sqrt3}2a$ である。直角三角形 $\mathrm{DHM}$ で
$$
\cos\varphi=\frac{\mathrm{HM}}{\mathrm{DM}}=\frac{\frac{\sqrt3}6a}{\frac{\sqrt3}2a}=\frac13
$$
である。正四面体はどの面も合同な正三角形なので、どの辺についても同じ計算ができ、二面角はすべて等しい。$\square$
段 6 の値は、三角形 $\mathrm{AMD}$ に余弦定理を使っても求まる。$\mathrm{AM}=\mathrm{DM}=\dfrac{\sqrt3}2a$、$\mathrm{AD}=a$ なので $\cos\angle\mathrm{AMD}=\dfrac{\frac34a^2+\frac34a^2-a^2}{2\cdot\frac34a^2}=\dfrac{\frac12}{\frac32}=\dfrac13$ である。同じ計算は 錐体の体積とHilbertの第3問題 の例「立方体と正四面体の Dehn 不変量」にもある。
$a=6$ とする。thm-mos-regular により、高さは $h=\dfrac{\sqrt6}3\cdot6=2\sqrt6$(約 $4.899$)、体積は $V=\dfrac{\sqrt2}{12}\cdot216=18\sqrt2$(約 $25.46$)である。底面の外接円の半径は $\dfrac6{\sqrt3}=2\sqrt3$ で、確かめると $h^2+(2\sqrt3)^2=24+12=36=a^2$ である。辺と面のなす角 $\angle\mathrm{DAH}$ は、$\cos\angle\mathrm{DAH}=\dfrac{\mathrm{HA}}{\mathrm{DA}}=\dfrac{2\sqrt3}6=\dfrac{\sqrt3}3$ で、約 $54.74^\circ$ である。
1 辺 $1$ の立方体の頂点のうち、$(0,0,0)$、$(1,1,0)$、$(1,0,1)$、$(0,1,1)$ の 4 つを結ぶと、6 本の辺はどれも面の対角線で長さ $\sqrt2$ なので、正四面体ができる。立方体から、この正四面体の外側にある 4 つの角(直角をもつ三角錐。1 つの体積は $\dfrac13\cdot\dfrac12\cdot1=\dfrac16$)を切り落とすと正四面体が残るので、その体積は
$$
1-4\cdot\frac16=\frac13
$$
である。thm-mos-regular の公式で $a=\sqrt2$ とすると $\dfrac{\sqrt2}{12}(\sqrt2)^3=\dfrac{\sqrt2\cdot2\sqrt2}{12}=\dfrac4{12}=\dfrac13$ で、一致する。この見方では、向かい合う 2 辺(たとえば $(0,0,0)$–$(1,1,0)$ と $(1,0,1)$–$(0,1,1)$)は、立方体の向かい合う 2 面の対角線で、方向 $(1,1,0)$ と $(-1,1,0)$ の内積が $0$ なので垂直であり、中点どうしの距離は立方体の 1 辺 $1=\dfrac a{\sqrt2}$ である。
正四面体には、4 つの面すべてに接する球(内接球)と、4 つの頂点すべてを通る球(外接球)がある。
1 辺 $a$ の正四面体で、外接球の半径は $R=\dfrac34h=\dfrac{\sqrt6}4a$、内接球の半径は $r=\dfrac14h=\dfrac{\sqrt6}{12}a$ である($h$ は高さ)。2 つの球の中心は同じ点で、高さ $\mathrm{DH}$ を $3:1$ に分ける。
方針:高さ $\mathrm{DH}$ の上に、4 頂点から等しい距離の点 $\mathrm O$ を見つける。その点から各面までの距離を三平方の定理で計算すると、どの面でも同じになる。
段 1(外接球の中心)。$\mathrm{DH}$ の上で $\mathrm{OH}=x$ となる点 $\mathrm O$ をとる。$\mathrm{OH}\perp$ 底面なので、三平方の定理と段 2 の $\mathrm{HA}=\dfrac a{\sqrt3}$(prf-mos-regular)から $\mathrm{OA}^2=x^2+\dfrac{a^2}3$ で、$\mathrm{OB}^2$、$\mathrm{OC}^2$ も同じ値である。一方 $\mathrm{OD}=h-x$ である。$\mathrm{OA}=\mathrm{OD}$ となる条件は
$$
x^2+\frac{a^2}3=(h-x)^2=h^2-2hx+x^2
$$
で、$h^2=\dfrac23a^2$ を代入すると $2hx=\dfrac23a^2-\dfrac13a^2=\dfrac13a^2$、$x=\dfrac{a^2}{6h}=\dfrac{a^2}{6\cdot\frac{\sqrt6}3a}=\dfrac{a}{2\sqrt6}=\dfrac{\sqrt6}{12}a=\dfrac h4$ である。この $\mathrm O$ は 4 頂点から等しい距離 $R=h-\dfrac h4=\dfrac34h=\dfrac{\sqrt6}4a$ にある。
段 2(各面までの距離)。面 $\mathrm{ABC}$ までの距離は $\mathrm{OH}=\dfrac h4$ である。ほかの面、たとえば面 $\mathrm{DBC}$ について、$\mathrm O$ から面に下ろした垂線の足を $\mathrm K$ とする。$\mathrm{OD}=\mathrm{OB}=\mathrm{OC}=R$ なので、prf-mos-regular の段 1 と同じ三平方の定理の計算で $\mathrm{KD}=\mathrm{KB}=\mathrm{KC}$ となり、$\mathrm K$ は正三角形 $\mathrm{DBC}$ の外心で、$\mathrm{KD}=\dfrac a{\sqrt3}$ である。よって
$$
\mathrm{OK}^2=R^2-\frac{a^2}3=\frac{6a^2}{16}-\frac{a^2}3=\frac{18a^2-16a^2}{48}=\frac{a^2}{24}
$$
で、$\mathrm{OK}=\dfrac a{2\sqrt6}=\dfrac h4$ である。4 つの面すべてについて同じなので、$\mathrm O$ を中心とする半径 $\dfrac h4$ の球は 4 つの面に、面の重心で接する。$r=\dfrac h4=\dfrac{\sqrt6}{12}a$ である。$\mathrm{OD}:\mathrm{OH}=\dfrac34h:\dfrac14h=3:1$ である。$\square$
内接球の半径は、体積からも確かめられる。中心 $\mathrm O$ と 4 つの面で正四面体を 4 つの三角錐に分けると、どれも底面積 $S=\dfrac{\sqrt3}4a^2$、高さ $r$ なので、$V=4\cdot\dfrac13Sr$ である。$V=\dfrac13Sh$ と比べて $r=\dfrac h4$ となる。これは 三角形の面積の公式 の $S=rs$(内心で 3 つの三角形に分ける)と同じ考え方である。
立方体や直方体の角を 1 つの平面で切り落とすと、1 つの頂点に 3 本の互いに垂直な辺が集まる四面体ができる。
OA、OB、OC が互いに垂直な四面体。O から BC に下ろした垂線の足を K とすると、三垂線の定理により AK も BC に垂直で、AK が三角形 ABC の高さになる
四面体 $\mathrm{OABC}$ で、$\mathrm{OA}$、$\mathrm{OB}$、$\mathrm{OC}$ が互いに垂直で、$\mathrm{OA}=p$、$\mathrm{OB}=q$、$\mathrm{OC}=r$ とする。
方針:$\mathrm{OA}$ が面 $\mathrm{OBC}$ に垂直であることを使って体積を求める。三角形 $\mathrm{ABC}$ の高さは、三垂線の定理で $\mathrm A$ から $\mathrm{BC}$ への垂線を見つけて求める。$d$ は体積を 2 通りに表して求める(図 3)。
段 1(体積)。$\mathrm{OA}$ は、互いに平行でない $\mathrm{OB}$、$\mathrm{OC}$ の両方に垂直なので、lem-mos-two-lines により面 $\mathrm{OBC}$ に垂直である。三角形 $\mathrm{OBC}$ は $\mathrm O$ で直角なので面積は $\dfrac12qr$ で、高さは $p$ である。錐体の体積の公式から $V=\dfrac13\cdot\dfrac12qr\cdot p=\dfrac16pqr$ である。
段 2($\mathrm O$ から $\mathrm{BC}$ への垂線)。直角三角形 $\mathrm{OBC}$ で、$\mathrm O$ から $\mathrm{BC}$ に下ろした垂線の足を $\mathrm K$ とする。$\mathrm{BC}=\sqrt{q^2+r^2}$ で、面積を 2 通りに表すと $\dfrac12qr=\dfrac12\mathrm{BC}\cdot\mathrm{OK}$ なので、$\mathrm{OK}=\dfrac{qr}{\sqrt{q^2+r^2}}$ である。
段 3($\mathrm A$ から $\mathrm{BC}$ への垂線)。$\mathrm{AO}\perp$ 面 $\mathrm{OBC}$、$\mathrm{OK}\perp\mathrm{BC}$ なので、thm-mos-three-perp の 1 により $\mathrm{AK}\perp\mathrm{BC}$ である。つまり $\mathrm{AK}$ は三角形 $\mathrm{ABC}$ の、辺 $\mathrm{BC}$ を底辺とする高さである。$\mathrm{AO}\perp\mathrm{OK}$ なので、直角三角形 $\mathrm{AOK}$ で
$$
\mathrm{AK}^2=p^2+\frac{q^2r^2}{q^2+r^2}
$$
である。
段 4(面積)。$S=\dfrac12\mathrm{BC}\cdot\mathrm{AK}$ を 2 乗すると
$$
S^2=\frac14(q^2+r^2)\left(p^2+\frac{q^2r^2}{q^2+r^2}\right)=\frac14\bigl(p^2(q^2+r^2)+q^2r^2\bigr)=\frac14(p^2q^2+q^2r^2+r^2p^2)
$$
なので、$S=\dfrac12\sqrt{p^2q^2+q^2r^2+r^2p^2}$ である。
段 5(距離)。四面体の底面を三角形 $\mathrm{ABC}$ とみると、高さは $d$ なので $V=\dfrac13Sd$ である。段 1 と比べて $d=\dfrac{3V}S=\dfrac{pqr}{2S}$ である。2 乗の逆数をとり、段 4 の $4S^2$ を代入すると
$$
\frac1{d^2}=\frac{4S^2}{p^2q^2r^2}=\frac{p^2q^2+q^2r^2+r^2p^2}{p^2q^2r^2}=\frac1{r^2}+\frac1{p^2}+\frac1{q^2}
$$
である。$\square$
2 の式を書き直すと
$$
S^2=\left(\frac12pq\right)^2+\left(\frac12qr\right)^2+\left(\frac12rp\right)^2
$$
である。右辺は、直角をはさむ 3 つの面 $\mathrm{OAB}$、$\mathrm{OBC}$、$\mathrm{OCA}$ の面積の 2 乗の和である。直角三角形の三平方の定理「斜辺の 2 乗は他の 2 辺の 2 乗の和」の、1 次元上げた形になっている(rem-mos-degua)。3 の式も、直角三角形 $\mathrm{OBC}$ の斜辺への高さ $\mathrm{OK}$ について成り立つ $\dfrac1{\mathrm{OK}^2}=\dfrac1{q^2}+\dfrac1{r^2}$(段 2 の $\mathrm{OK}$ の式を 2 乗して逆数をとったもの)の 1 次元上げた形である。
立体を平面で切った切り口の面積は、切り口を別の平面へ真上から写した図形(正射影)と比べると求めやすいことがある。平面の上の多角形を、その平面と角 $\theta$($0^\circ\le\theta<90^\circ$)をなす平面へ正射影すると、面積は $\cos\theta$ 倍になる。この事実の証明と、立方体の切り口の面積、二面角を面積の比で求める例、prop-mos-corner の面積の式の別の見方(de Gua の定理)は、次の記事 正射影と面積 で扱う。
| 外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 平面の中の 2 方向(平行でない)に垂直 | 直線が平面に垂直 | ex-mos-one-line |
| $\mathrm{PH}$ が平面に垂直であること | 三垂線の定理の 1($\mathrm{PQ}\perp\ell$) | ex-mos-not-foot |
| 2 本の線がどちらも共有する辺に垂直 | その 2 本の角が二面角 | ex-mos-dihedral-wrong |
$xy$ 平面を $\alpha$ とし、方向ベクトル $\vec w=(0,1,1)$ の直線を考える。$\vec w\cdot(1,0,0)=0$ なので、この直線は $\alpha$ の中の $x$ 軸の方向とは垂直である。しかし $\vec w\cdot(0,1,0)=1\ne0$ なので、$y$ 軸の方向とは垂直でなく、$\alpha$ に垂直ではない。lem-mos-two-lines の「平行でない 2 つ のベクトルに垂直」という仮定を、1 つに減らすと結論が崩れる。
$\alpha$ を $xy$ 平面、$\ell$ を $x$ 軸、$\mathrm H(0,1,0)$、$\mathrm Q(0,0,0)$ とする。$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=(0,-1,0)$ は $\ell$ の方向 $(1,0,0)$ に垂直である。$\mathrm P(1,1,1)$ をとると、$\overrightarrow{\mathrm{PH}}=(-1,0,-1)$ は $(1,0,0)$ との内積が $-1$ で、$\mathrm{PH}$ は $\alpha$ に垂直でない。このとき $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(-1,-1,-1)$ と $(1,0,0)$ の内積は $-1\ne0$ で、$\mathrm{PQ}$ は $\ell$ に垂直でない。prf-mos-three-perp の段 2 で $\overrightarrow{\mathrm{PH}}\cdot\vec u=0$ を使ったところが崩れている。
1 辺 $1$ の立方体で、底面 $z=0$ と側面 $y=0$ は $x$ 軸を共有し、二面角は $90^\circ$ である(ex-mos-box-dihedral)。原点から、底面の中で面の対角線の方向 $(1,1,0)$、側面の中で面の対角線の方向 $(1,0,1)$ に線を引くと、そのなす角 $\theta$ は
$$
\cos\theta=\frac{(1,1,0)\cdot(1,0,1)}{\sqrt2\cdot\sqrt2}=\frac12
$$
から $60^\circ$ で、二面角 $90^\circ$ と違う(ex-mos-cube-triangle の正三角形の角である)。2 本の線が、共有する辺 $x$ 軸に垂直でなかったからである。二面角は、辺に垂直な線で測ってはじめて面の開き具合を表す。
四面体 $\mathrm{OABC}$ の体積は、$\vec a=\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、$\vec b=\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、$\vec c=\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ を並べた 3 次の行列式を使って
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V=\frac16\lvert\det(\vec a,\vec b,\vec c)\rvert
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と書ける。$\lvert\det(\vec a,\vec b,\vec c)\rvert$ は $\vec a,\vec b,\vec c$ の張る平行六面体の体積で(空間の平面と法線ベクトル の系「平行六面体の体積」)、四面体はその $\dfrac16$ である。たとえば ex-mos-cube-tetra の正四面体では、$\vec a=(1,1,0)$、$\vec b=(1,0,1)$、$\vec c=(0,1,1)$ で $\det=1\cdot(0\cdot1-1\cdot1)-1\cdot(1\cdot1-0\cdot1)+0=-2$ なので、$V=\dfrac26=\dfrac13$ となり、一致する。この式の証明と使い方は 四面体の体積と行列式 で扱う。平面の三角形の面積が 2 次の行列式の $\dfrac12$ であること(三角形の面積の公式)の空間版である。
四面体は 6 本の辺の長さで形が決まる(そのような四面体があれば)。実際、体積 $V$ は 6 本の辺の長さの 2 乗を並べた 5 行 5 列の行列式(Cayley–Menger 行列式)で $288V^2$ と表される。1 辺 $1$ の正四面体では、この行列式は $4$ になり、$V^2=\dfrac4{288}=\dfrac1{72}$、$V=\dfrac1{6\sqrt2}$ で thm-mos-regular と一致する(この記事では一般の式を証明しない)。三角形の面積を 3 辺で表す Heron の公式の空間版で、Heronの公式とCayley–Menger行列式 で扱う。
正四面体の二面角 $\varphi=\arccos\dfrac13$ は約 $70.53^\circ$ である。1 本の辺のまわりに正四面体を並べると、5 個で約 $352.64^\circ$ となって約 $7.36^\circ$ のすき間が残り、6 個では $360^\circ$ を超える。実は $\dfrac\varphi{180^\circ}$ は無理数で、何個並べても角の和がちょうど $360^\circ$ の倍数になることはない。この事実は 錐体の体積とHilbertの第3問題 で証明されていて、正四面体を有限個に切って組み替えても立方体にできないこと(Dehn 不変量、Dehn不変量)の鍵になる。
prop-mos-corner の 2 を書き直した $S^2=S_{\mathrm{OAB}}^2+S_{\mathrm{OBC}}^2+S_{\mathrm{OCA}}^2$($S_{\mathrm{OAB}}$ は三角形 $\mathrm{OAB}$ の面積)は、de Gua の定理 と呼ばれる(de Guaの定理)。この記事では三垂線の定理で高さを求めて示したが、正射影と面積 では、三角形 $\mathrm{ABC}$ を 3 つの座標平面へ正射影し、面積が $\cos$ 倍になることと法線ベクトルの方向余弦の 2 乗の和が $1$ であることから、同じ式を導く。
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