Mollweideの公式(Mollweide's formulas)とは、三角形 $ABC$ の辺 $a=BC$、$b=CA$、$c=AB$ と角 $A,B,C$ について成り立つ等式 $\frac{a+b}c=\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}$、$\frac{a-b}c=\frac{\sin\frac{A-B}2}{\cos\frac C2}$ である(文字を回した式も成り立つ)。正弦定理と和積の公式、$\frac{A+B}2=90^\circ-\frac C2$ から導かれ、辺 $CA$ を延ばして二等辺三角形を付け足す図でも示せる。6 つの量がすべて入るので、解いた三角形の検算に使える。ただし辺の比しか含まないので、3 辺を同じ倍率で誤る誤りは見つからない。
三角形には 3 つの辺 $a,b,c$ と 3 つの角 $A,B,C$ の、6 つの量がある。正弦定理(高校数学) は 2 辺と 2 角を、余弦定理(高校数学) は 3 辺と 1 角を結ぶ式である。三角形を解いて 6 つの値をすべて出したとき、その答えが正しいかを 1 本の式で確かめられると便利である。6 つの量をすべて含む式を、数の決まった三角形で探してみる。
$a=3$、$b=4$、$c=5$ とすると $C=90^\circ$ で、$\sin A=\dfrac35$、$\cos A=\dfrac45$、$\sin B=\dfrac45$、$\cos B=\dfrac35$ である。$A$ と $B$ は $30^\circ$ や $45^\circ$ のような決まった角ではないが、差 $A-B$ の余弦は加法定理で求まる。
$$
\cos(A-B)=\cos A\cos B+\sin A\sin B=\frac45\cdot\frac35+\frac35\cdot\frac45=\frac{24}{25}
$$
(1) 半角の公式で、差の半分 $\dfrac{A-B}2$ の余弦を求める。
$$
\cos^2\frac{A-B}2=\frac{1+\cos(A-B)}2=\frac{1+\frac{24}{25}}2=\frac{49}{50}
$$
である。$A$、$B$ はどちらも $0^\circ$ と $90^\circ$ の間にあるので $-45^\circ<\dfrac{A-B}2<45^\circ$ で、余弦は正である。よって $\cos\dfrac{A-B}2=\dfrac7{5\sqrt2}$ である。
(2) これを $\sin\dfrac C2=\sin45^\circ=\dfrac1{\sqrt2}$ で割ると
$$
\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}=\frac{7}{5\sqrt2}\cdot\sqrt2=\frac75
$$
となり、$\dfrac{a+b}c=\dfrac{3+4}5=\dfrac75$ と一致する。
(3) 同じく $\sin^2\dfrac{A-B}2=\dfrac{1-\frac{24}{25}}2=\dfrac1{50}$ である。$a< b$ なので $A< B$ で、$\dfrac{A-B}2$ は負の角だから正弦は負であり、$\sin\dfrac{A-B}2=-\dfrac1{5\sqrt2}$ である。$\cos\dfrac C2=\dfrac1{\sqrt2}$ で割ると $-\dfrac15$ で、$\dfrac{a-b}c=\dfrac{3-4}5=-\dfrac15$ と一致する。
$a=3$、$b=5$、$c=7$ とする。三角形の半角公式 の例のとおり $C=120^\circ$ である。余弦定理から $\cos A=\dfrac{25+49-9}{70}=\dfrac{13}{14}$、$\cos B=\dfrac{49+9-25}{42}=\dfrac{11}{14}$ で、$\sin A=\sqrt{1-\dfrac{169}{196}}=\dfrac{3\sqrt3}{14}$、$\sin B=\sqrt{1-\dfrac{121}{196}}=\dfrac{5\sqrt3}{14}$ である。
$$
\cos(A-B)=\frac{13}{14}\cdot\frac{11}{14}+\frac{3\sqrt3}{14}\cdot\frac{5\sqrt3}{14}=\frac{143+45}{196}=\frac{47}{49}
$$
なので、$\cos^2\dfrac{A-B}2=\dfrac{1+\frac{47}{49}}2=\dfrac{48}{49}$、$\cos\dfrac{A-B}2=\dfrac{4\sqrt3}7$ である。$\sin\dfrac C2=\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt3}2$ で割ると
$$
\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}=\frac{4\sqrt3}7\cdot\frac2{\sqrt3}=\frac87=\frac{3+5}7=\frac{a+b}c
$$
である。また $\sin^2\dfrac{A-B}2=\dfrac{1-\frac{47}{49}}2=\dfrac1{49}$ で、$A< B$ から $\sin\dfrac{A-B}2=-\dfrac17$、これを $\cos\dfrac C2=\dfrac12$ で割ると $-\dfrac27=\dfrac{3-5}7=\dfrac{a-b}c$ である。鈍角の三角形でも同じ形の等式が成り立っている。
2 つの例では、辺の和・差と、角の差の半分・角 $C$ の半分が、同じ形の等式で結ばれていた。この記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の式 | 見方 |
|---|---|---|
| 正弦定理 $a=2R\sin A$ と和積の公式 | $\dfrac{a+b}c=\dfrac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}$ | 6 つの量をすべて含む等式 |
| 二等辺三角形の底角 | $\angle ADB=\dfrac C2$ | 辺の和 $a+b$ を 1 本の線分にする |
| 角の和が $180^\circ$ か確かめる | 等式の両辺を比べる | 角の和では見つからない誤りも見つかる |
| 2 つの式を足す | $\dfrac ac=\dfrac{\sin A}{\sin C}$ | 正弦定理と同じ情報 |
以下、三角形 $ABC$ の辺の長さを $a=BC$、$b=CA$、$c=AB$ とし、頂点の角の大きさを $A$、$B$、$C$ で表す。
三角形 $ABC$ で
$$
\frac{a+b}c=\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2},\qquad \frac{a-b}c=\frac{\sin\frac{A-B}2}{\cos\frac C2}
$$
が成り立つ。文字を $a\to b\to c\to a$、$A\to B\to C\to A$ と回した式も成り立つ。たとえば $\dfrac{b+c}a=\dfrac{\cos\frac{B-C}2}{\sin\frac A2}$ である。
左辺の分母の辺 $c$ と、右辺の分母の角 $C$ が向かい合っている。分子の $a$、$b$ と $A$、$B$ も向かい合う組である。
方針:正弦定理で辺を正弦に置き換え、和積の公式で正弦の和・差を積に直す。$A+B=180^\circ-C$ を使って $\dfrac{A+B}2$ を $\dfrac C2$ で書き、2 倍角の公式で $\sin C$ を半角で書いて約分する。
段 1(正弦定理)。三角形 $ABC$ の外接円の半径を $R$ とすると、正弦定理により
$$
a=2R\sin A,\qquad b=2R\sin B,\qquad c=2R\sin C
$$
である(正弦定理(高校数学))。
段 2(和積の公式)。加法定理から積和・和積・合成・正接の公式を導く の和積の公式により
$$
\sin A+\sin B=2\sin\frac{A+B}2\cos\frac{A-B}2,\qquad \sin A-\sin B=2\cos\frac{A+B}2\sin\frac{A-B}2
$$
である。
段 3($\dfrac{A+B}2$ を $\dfrac C2$ で書く)。三角形の内角の和は $180^\circ$ なので $A+B=180^\circ-C$、つまり $\dfrac{A+B}2=90^\circ-\dfrac C2$ である。$\sin(90^\circ-\theta)=\cos\theta$、$\cos(90^\circ-\theta)=\sin\theta$ により
$$
\sin\frac{A+B}2=\cos\frac C2,\qquad \cos\frac{A+B}2=\sin\frac C2
$$
である。
段 4($\sin C$ を半角で書く)。2 倍角の公式により $\sin C=2\sin\dfrac C2\cos\dfrac C2$ である。$0^\circ<\dfrac C2<90^\circ$ なので $\sin\dfrac C2$ も $\cos\dfrac C2$ も正で、以下の分母は $0$ にならない。
段 5(和の式)。段 1〜4 から
$$
\frac{a+b}c=\frac{2R(\sin A+\sin B)}{2R\sin C}=\frac{2\cos\frac C2\cos\frac{A-B}2}{2\sin\frac C2\cos\frac C2}=\frac{\cancel{2\cos\frac C2}\,\cos\frac{A-B}2}{\cancel{2\cos\frac C2}\,\sin\frac C2}=\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}
$$
である。
段 6(差の式)。同じく
$$
\frac{a-b}c=\frac{2R(\sin A-\sin B)}{2R\sin C}=\frac{2\sin\frac C2\sin\frac{A-B}2}{2\sin\frac C2\cos\frac C2}=\frac{\sin\frac{A-B}2}{\cos\frac C2}
$$
である。文字を回した式も、段 1〜6 の文字を回せば同じように示せる。$\square$
三角形の半角公式 で調べた 3 辺 $a=7$、$b=5$、$c=8$ の三角形($A=60^\circ$)で、$A-B$ を求めてみる。$s=10$、$s-a=3$、$s-b=5$、$s-c=2$ で、三角形の半角公式から
$$
\sin\frac C2=\sqrt{\frac{(s-a)(s-b)}{ab}}=\sqrt{\frac{3\cdot5}{35}}=\sqrt{\frac37},\qquad \cos\frac C2=\sqrt{\frac{s(s-c)}{ab}}=\sqrt{\frac{10\cdot2}{35}}=\sqrt{\frac47}=\frac2{\sqrt7}
$$
である。thm-mw-main の 2 つの式に $\dfrac{a+b}c=\dfrac{12}8=\dfrac32$、$\dfrac{a-b}c=\dfrac28=\dfrac14$ を入れると
$$
\cos\frac{A-B}2=\frac32\sqrt{\frac37}=\frac{3\sqrt{21}}{14},\qquad \sin\frac{A-B}2=\frac14\cdot\frac2{\sqrt7}=\frac{\sqrt7}{14}
$$
となる。2 乗して足すと $\dfrac{189}{196}+\dfrac7{196}=1$ で、たしかに 1 つの角の余弦と正弦になっている。$\sin\dfrac{A-B}2=\dfrac{\sqrt7}{14}\approx0.189$ から $\dfrac{A-B}2\approx10.89^\circ$、$A-B\approx21.79^\circ$ である。$A=60^\circ$ なので $B\approx38.21^\circ$ で、余弦定理の $\cos B=\dfrac{64+49-25}{112}=\dfrac{11}{14}$ から求めた $B\approx38.21^\circ$ と一致する。
thm-mw-main の和の式には、図形による別の見方がある。辺 $CA$ を $C$ の先へ延ばし、$CD=CB=a$ となる点 $D$ をとる。すると線分 $AD$ の長さはちょうど $a+b$ になる。
3 辺 7、5、8 の三角形で、辺 CA を C の先へ延ばして CD=CB となる点 D をとった図。緑の二等辺三角形 BCD の底角が C/2 で、AD の長さは a+b になる
3 辺 3、5、7 の三角形で同じ作図をした図。C=120° なので三角形 BCD は正三角形になり、D の角は 60° になる
三角形 $ABC$ の辺 $CA$ を $C$ の先へ延ばし、$CD=CB$ となる点 $D$ をとる。このとき $AD=a+b$、$\angle ADB=\dfrac C2$、$\angle ABD=B+\dfrac C2$ である。
段 1(長さ)。$D$ は $A$ から見て $C$ の先にあるので、$AD=AC+CD=b+a$ である。
段 2(頂角)。$A$、$C$、$D$ はこの順に一直線に並ぶので、$\angle BCD=180^\circ-\angle BCA=180^\circ-C$ である。
段 3(底角)。三角形 $BCD$ は $CB=CD$ の二等辺三角形なので、2 つの底角は等しい。内角の和から
$$
\angle CDB=\angle CBD=\frac{180^\circ-(180^\circ-C)}2=\frac C2
$$
である。$\angle ADB=\angle CDB$ なので $\angle ADB=\dfrac C2$ である。
段 4(残りの角)。三角形 $ABD$ の内角の和から、$\angle ABD=180^\circ-A-\dfrac C2$ である。$180^\circ-A=B+C$ なので、$\angle ABD=B+C-\dfrac C2=B+\dfrac C2$ である。$\square$
図 1 では $CD=CB=7$、$AD=12$ で、$\angle ADB$ は $\dfrac C2\approx40.89^\circ$ である。図 2 では $C=120^\circ$ なので $\angle BCD=60^\circ$ となり、三角形 $BCD$ は正三角形で、$\angle ADB=60^\circ=\dfrac C2$ である。
prop-mw-figure を使うと、thm-mw-main の和の式を正弦定理 1 回で示せる。
三角形 $ABD$ に正弦定理を使う。辺 $AD$ の向かいの角は $\angle ABD=B+\dfrac C2$、辺 $AB$ の向かいの角は $\angle ADB=\dfrac C2$ なので
$$\frac{AD}{\sin\left(B+\frac C2\right)}=\frac{AB}{\sin\frac C2},\qquad\text{つまり}\qquad \frac{a+b}c=\frac{\sin\left(B+\frac C2\right)}{\sin\frac C2}$$
である。$\dfrac C2=90^\circ-\dfrac{A+B}2$ なので $B+\dfrac C2=90^\circ+\dfrac{B-A}2$ で、$\sin(90^\circ+\theta)=\cos\theta$ と $\cos(-\theta)=\cos\theta$ から
$$\sin\left(B+\frac C2\right)=\cos\frac{B-A}2=\cos\frac{A-B}2$$
である。よって $\dfrac{a+b}c=\dfrac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}$ が得られる。
thm-mw-main の式には 6 つの量 $a,b,c,A,B,C$ がすべて入っている。そのため、三角形を解いて出した 6 つの値を代入し、両辺が一致するかを見れば、答えを確かめられる。三角形を解くいろいろな公式の中での位置を、表にまとめておく。
| 公式 | 含む量 | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 正弦定理(高校数学) | $a,b,A,B$(と外接円の半径) | 1 辺と 2 角から残りの辺 |
| 余弦定理(高校数学) | $a,b,c$ と 1 つの角 | 3 辺から角、2 辺と間の角から残りの辺 |
| 三角形の半角公式 | $a,b,c$ と 1 つの角の半分 | 3 辺から角(角が鈍角でも 1 通り) |
| Mollweide の公式 | $a,b,c,A,B,C$ のすべて | 解いた三角形の検算 |
| 正接定理 | $a,b$ と $A,B$($C$ は $A+B$ から) | 2 辺と間の角から残りの角 |
2 辺 $a=5$、$b=3$ と間の角 $C=120^\circ$ の三角形を解いたところ、$c=7$、$A\approx38.21^\circ$、$B\approx21.79^\circ$ を得たとする(辺は余弦定理 $c^2=25+9-2\cdot5\cdot3\cos120^\circ=49$ から出る)。
(1) 角の和は $38.21^\circ+21.79^\circ+120^\circ=180^\circ$ で合っている。
(2) Mollweide の公式の左辺は $\dfrac{a+b}c=\dfrac87\approx1.1429$、$\dfrac{a-b}c=\dfrac27\approx0.2857$ である。右辺は、$\dfrac{A-B}2\approx8.21^\circ$、$\dfrac C2=60^\circ$ から
$$
\frac{\cos8.21^\circ}{\sin60^\circ}\approx\frac{0.98975}{0.86603}\approx1.1429,\qquad \frac{\sin8.21^\circ}{\cos60^\circ}\approx\frac{0.14280}{0.5}\approx0.2856
$$
である。どちらも小数第 3 位まで一致するので、答えは正しいと判断できる(残るずれは角を小数第 2 位で丸めたことによる)。
角を 1 つ誤ると公式の両辺がずれる(ex-mw-cx-angle)。角の和が $180^\circ$ のままの誤りも、Mollweide の公式なら見つかる(「例と反例」の節の演習)。逆に、Mollweide の公式は辺の 比 と角しか見ないので、見つけられない誤りもある(ex-mw-cx-scale)。
thm-mw-main から、三角形の辺についての不等式 $a+b>c$ と $\lvert a-b\rvert< c$ を読み取れる。$\dfrac C2=90^\circ-\dfrac{A+B}2$ なので、$\sin\dfrac C2=\cos\dfrac{A+B}2$、$\cos\dfrac C2=\sin\dfrac{A+B}2$ である。$A,B>0$ から $0^\circ\le\dfrac{\lvert A-B\rvert}2<\dfrac{A+B}2<90^\circ$ で、この範囲では $\cos$ は減り、$\sin$ は増える。よって
$$
\frac{a+b}c=\frac{\cos\frac{\lvert A-B\rvert}2}{\cos\frac{A+B}2}>1,\qquad \frac{\lvert a-b\rvert}c=\frac{\sin\frac{\lvert A-B\rvert}2}{\sin\frac{A+B}2}<1
$$
である($\cos$ は偶関数なので $\cos\frac{A-B}2=\cos\frac{\lvert A-B\rvert}2$、また $\lvert\sin\frac{A-B}2\rvert=\sin\frac{\lvert A-B\rvert}2$)。ex-mw-start では $\dfrac{a+b}c=\dfrac75>1$、$\dfrac{\lvert a-b\rvert}c=\dfrac15<1$ である。
Mollweide の公式で検算するときの取り違えと、この式では見つからない誤りを並べる。
| 外す条件・取り違え | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 角の値が正しい | 3 辺 $3,5,7$ で $C=60^\circ$ と誤る | 公式の両辺が一致する |
| 分母は $\sin\dfrac C2$($\sin C$ ではない) | 3 辺 $3,4,5$ で $\sin C$ を使う | 公式の両辺が一致する |
| 辺の大きさの誤り | 3 辺 $3,5,7$ を $6,10,14$ と誤る | 公式の両辺が一致しないこと(誤りが見つかること) |
3 辺 $3,5,7$ の三角形の角 $C$ を、余弦の符号を取り違えて $C=60^\circ$ と答えたとする(本当は $\cos C=-\dfrac12$ で $C=120^\circ$)。$A$、$B$ は正しい値 $\cos\dfrac{A-B}2=\dfrac{4\sqrt3}7$ のままとすると
$$
\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin30^\circ}=\frac{4\sqrt3}7\cdot2=\frac{8\sqrt3}7\approx1.979,\qquad \frac{a+b}c=\frac87\approx1.143
$$
で、一致しない。$C$ の誤りが公式で見つかる。
3 辺 $3,4,5$ では、ex-mw-start のとおり $\cos\dfrac{A-B}2=\dfrac7{5\sqrt2}\approx0.990$ である。分母を $\sin C=\sin90^\circ=1$ にすると、右辺は約 $0.990$ で、左辺 $\dfrac75=1.4$ と一致しない。
なお 3 辺 $3,5,7$ では $\sin120^\circ=\sin60^\circ$ なので、この取り違えをしても偶然に一致してしまう。$C$ が $120^\circ$ のときだけの一致で、式が正しいことの確かめにはならない。
3 辺 $3,5,7$ の三角形を解いたつもりで、辺を $a=6$、$b=10$、$c=14$ と書いてしまったとする。角は正しい値のままである。このとき
$$
\frac{a+b}c=\frac{16}{14}=\frac87,\qquad \frac{a-b}c=\frac{-4}{14}=-\frac27
$$
で、ex-mw-obtuse と同じ値になり、Mollweide の公式は両辺が一致してしまう。公式の左辺は辺の比しか含まないので、3 つの辺を同じ倍率で誤る誤りは見つからない。辺の大きさは、与えられた長さ(たとえば $a=3$)と比べて確かめる必要がある。
2 辺 $a=6$、$b=4$ と間の角 $C=60^\circ$ の三角形を解いた 2 人の答えがある。
(ア) $c\approx5.29$、$A\approx79.1^\circ$、$B\approx40.9^\circ$
(イ) $c\approx5.29$、$A\approx70.9^\circ$、$B\approx49.1^\circ$
どちらも角の和は $180^\circ$ である。Mollweide の公式を使って、正しい答えを選べ。
左辺は $\dfrac{a+b}c\approx\dfrac{10}{5.29}\approx1.890$、$\dfrac{a-b}c\approx\dfrac2{5.29}\approx0.378$ である。$\sin\dfrac C2=\sin30^\circ=0.5$、$\cos\dfrac C2=\cos30^\circ\approx0.8660$ を使う。
(ア) $\dfrac{A-B}2\approx19.1^\circ$ で、$\dfrac{\cos19.1^\circ}{0.5}\approx\dfrac{0.9450}{0.5}=1.890$、$\dfrac{\sin19.1^\circ}{0.8660}\approx\dfrac{0.3272}{0.8660}\approx0.378$ である。どちらも左辺と一致する。
(イ) $\dfrac{A-B}2\approx10.9^\circ$ で、$\dfrac{\cos10.9^\circ}{0.5}\approx\dfrac{0.9820}{0.5}\approx1.964$、$\dfrac{\sin10.9^\circ}{0.8660}\approx\dfrac{0.1891}{0.8660}\approx0.218$ である。どちらも左辺と合わない。
よって正しいのは (ア) である。実際、余弦定理で $c^2=36+16-2\cdot6\cdot4\cdot\dfrac12=28$、$c=2\sqrt7\approx5.29$ で、$\cos A=\dfrac{16+28-36}{2\cdot4\cdot2\sqrt7}=\dfrac1{2\sqrt7}$ から $A\approx79.1^\circ$ である。
三角形は 3 辺で決まる(合同なものを同じとみなす)ので、6 つの量のうち自由に選べるのは 3 つで、残りは式で決まる(三角形の決定と解の個数)。6 つの量は、角の和 $A+B+C=180^\circ$ と正弦定理の比 $a:b:c=\sin A:\sin B:\sin C$ を満たす。Mollweide の公式は、この 2 つの関係を「和と差」の形に書き直したものである。
実際、thm-mw-main の 2 つの式を足して $2$ で割ると
$$
\frac ac=\frac12\left(\frac{\cos\frac{A-B}2}{\sin\frac C2}+\frac{\sin\frac{A-B}2}{\cos\frac C2}\right)=\frac{\cos\frac{A-B}2\cos\frac C2+\sin\frac{A-B}2\sin\frac C2}{2\sin\frac C2\cos\frac C2}=\frac{\cos\left(\frac{A-B}2-\frac C2\right)}{\sin C}
$$
である(分子は余弦の加法定理、分母は 2 倍角の公式)。$\dfrac{A-B}2-\dfrac C2=\dfrac{A-B-C}2=\dfrac{A-(180^\circ-A)}2=A-90^\circ$ なので、分子は $\cos(A-90^\circ)=\sin A$ で
$$
\frac ac=\frac{\sin A}{\sin C}
$$
となる。これは正弦定理そのものである。2 つの式を引いて $2$ で割れば、同じように $\dfrac bc=\dfrac{\sin B}{\sin C}$ が出る。つまり、角の和が $180^\circ$ の角について、Mollweide の 2 つの式は、辺の比についての正弦定理と同じことを言っている。辺の比しか決めないことが、ex-mw-cx-scale の誤りを見つけられない理由である。
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