円錐の切り口としての2次曲線

同義語:conic sections and Dandelin spheres

概要

円錐の切り口としての2次曲線(conic sections and Dandelin spheres)とは、半頂角 $\alpha$($0^\circ<\alpha<90^\circ$)の両側に伸びた直円錐を頂点を通らず軸と角 $\beta$ をなす平面で切った曲線である。$\beta>\alpha$ なら楕円($\beta=90^\circ$ なら円)、$\beta=\alpha$ なら放物線、$\beta<\alpha$ なら双曲線で、離心率は $\cos\beta/\cos\alpha$ である。円錐と切る平面に接する球(Dandelin の球)の、平面との接点が焦点で、$\beta\ne\alpha$ なら焦点までの距離の和(楕円)・差(双曲線)が、2 つの接円の間の母線の長さに等しい。$\beta<90^\circ$ なら球と円錐の接円を含む平面と切る平面の交線が準線になる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 2次曲線の焦点と準線, 空間の平面と法線ベクトル, 三平方の定理, 円錐, 球

高校での出発点:懐中電灯の光が壁に作る形

懐中電灯を壁に向けると、光の当たる部分の縁は、まっすぐ向けたときは円、少し傾けると楕円になる。さらに傾けると縁は閉じなくなり、放物線や双曲線の片側のような形になる。懐中電灯から出る光はおおよそ円錐の形に広がり、壁はその円錐を切る平面だからである。楕円・放物線・双曲線をまとめて円錐曲線と呼ぶのはこのためである(SH16 §7.5 の冒頭も、この 3 つを円錐と平面の交わりとして導入している)。
まず、座標空間の円錐 $x^2+y^2=z^2$ を、いくつかの平面で切ってみる。この円錐は $z$ 軸を軸とし、原点を頂点とする。高さ $z$ での断面は半径 $|z|$ の円である。

円錐を傾いた平面で切る

円錐 $x^2+y^2=z^2$ を平面 $4z=3x+7$ で切る。

  1. 平面の式から $z=\dfrac{3x+7}4$ である。これを円錐の式に入れて両辺を $16$ 倍すると
    $$ 16x^2+16y^2=(3x+7)^2=9x^2+42x+49 $$
    である。移項して $7x^2-42x+16y^2=49$、平方完成して $7(x-3)^2+16y^2=49+63=112$、両辺を $112$ で割って
    $$ \frac{(x-3)^2}{16}+\frac{y^2}{7}=1 $$
    となる。これは切り口を真上から見た形($xy$ 平面への正射影)で、楕円である。
  2. 切り口そのものは平面 $4z=3x+7$ の上にある。この平面の上では、$x$ が $1$ 増えると $z$ は $\frac34$ 増えるので、$x$ 方向の長さは $\sqrt{1+\left(\frac34\right)^2}=\frac54$ 倍に伸びて見える。$y$ 方向の長さは変わらない。したがって切り口は、半径が $4\cdot\frac54=5$ と $\sqrt7$ の楕円である。
  3. 確かめる。切り口の $x$ が最小・最大になる点は $x=3\mp4$、つまり $\mathrm{A}_1(-1,0,1)$ と $\mathrm{A}_2(7,0,7)$ である($z=\frac{3x+7}4$ から $z$ を求めた)。どちらも $x^2+y^2=z^2$ を満たす($1=1$、$49=49$)。2 点の距離は $\sqrt{8^2+6^2}=10=2\cdot5$ で、長軸の長さに一致する。
母線に平行な平面と、軸に平行な平面で切る
  1. 平面 $z=x+2$ で切る。円錐の式に入れると $x^2+y^2=(x+2)^2=x^2+4x+4$、つまり $y^2=4(x+1)$ で、真上から見た形は放物線である。切り口の平面の上では $x$ 方向の長さが $\sqrt{1+1^2}=\sqrt2$ 倍に伸びる。頂点 $(-1,0,1)$ から平面に沿って測った長さを $u=\sqrt2(x+1)$ とおくと $y^2=\frac4{\sqrt2}u=2\sqrt2\,u$ で、切り口も放物線である。
  2. 平面 $x=-2$ で切る。この平面は $z$ 軸に平行で、平面の上の座標として $(y,z)$ がそのまま使える。円錐の式に入れると $4+y^2=z^2$、つまり
    $$ z^2-y^2=4 $$
    で、双曲線である。$z\ge2$ の枝は円錐の上半分($z\ge0$)、$z\le-2$ の枝は下半分から出てくる。
  3. 平面 $z=2$ で切ると $x^2+y^2=4$ で、半径 $2$ の円である。

円錐 !FORMULA[53][1315015465][0] を 3 つの平面で切った切り口。左は平面 !FORMULA[54][-1808631872][0] で楕円、中は母線に平行な平面 !FORMULA[55][1143103180][0] で放物線、右は軸に平行な平面 !FORMULA[56][1143334038][0] で双曲線(上下の 2 つの部分から 1 本ずつ枝が出る)になることを見る図。 円錐 $x^2+y^2=z^2$ を 3 つの平面で切った切り口。左は平面 $4z=3x+7$ で楕円、中は母線に平行な平面 $z=x+2$ で放物線、右は軸に平行な平面 $x=-2$ で双曲線(上下の 2 つの部分から 1 本ずつ枝が出る)になることを見る図。
2 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. 平面の傾きが円錐とどういう関係のとき、楕円・放物線・双曲線になるのか。→ prop-cds-coordinate
  2. 切り口の楕円の焦点は、空間のどこにあるのか。2 つの焦点までの距離の和が一定になるのは、立体で見るとなぜか。→ thm-cds-dandelin
  3. 準線と離心率は、円錐と平面の何で決まるのか。→ thm-cds-directrix
    2次曲線の焦点と準線 では、楕円・双曲線・放物線を平面の上の距離の条件で定義した。この記事の答えは、「円錐に内接し切る平面に接する球(Dandelin の球)をとると、球と平面の接点が焦点になり、球と円錐の接する円を含む平面と切る平面の交線が準線になる。離心率は $\dfrac{\cos\beta}{\cos\alpha}$($\alpha$ は円錐の半頂角、$\beta$ は平面と軸のなす角)である」である。
    高校の計算この記事での見方ボックス
    平面の式を円錐の式に代入して平方完成する$x^2$ の係数の符号は平面の傾き $\beta$ と円錐の開き $\alpha$ の大小で決まり、離心率は $\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$prop-cds-coordinate
    楕円の焦点は長軸の上に計算で求める円錐に内接し平面に接する球の接点が焦点lem-cds-spheres、thm-cds-dandelin
    焦点までの距離の和が一定(糸と画鋲)母線に沿った 2 つの円の間の長さが一定thm-cds-dandelin
    焦点と準線までの距離の比が一定接する円を含む平面と切る平面の交線が準線thm-cds-directrix

円錐と切る平面の置き方

直円錐と母線・半頂角

$0^\circ<\alpha<90^\circ$ とする。座標空間で
$$ K:\ x^2+y^2=z^2\tan^2\alpha $$
を満たす点全体を、原点 $O$ を頂点、$z$ 軸を軸、$\alpha$ を半頂角とする(両側に伸びた)直円錐という。$z\ge0$ の部分を上の部分、$z\le0$ の部分を下の部分と呼ぶ。$\theta$ を実数として単位ベクトル
$$ \boldsymbol u_\theta=(\sin\alpha\cos\theta,\ \sin\alpha\sin\theta,\ \cos\alpha) $$
をとり、$O$ を通り $\boldsymbol u_\theta$ の向きの直線 $\{t\boldsymbol u_\theta\mid t\in\mathbb{R}\}$ を母線という。

母線 $t\boldsymbol u_\theta$ の点は $x^2+y^2=t^2\sin^2\alpha$、$z^2\tan^2\alpha=t^2\cos^2\alpha\cdot\frac{\sin^2\alpha}{\cos^2\alpha}=t^2\sin^2\alpha$ を満たすので、母線は $K$ に含まれる。逆に、$K$ の点 $(x,y,z)$ で $z\ne0$ のものは、$t=\frac z{\cos\alpha}$ とおくと $x^2+y^2=t^2\sin^2\alpha$ なので、$(x,y)=t\sin\alpha(\cos\theta,\sin\theta)$ となる $\theta$ があり、母線 $t\boldsymbol u_\theta$ の上にある($z=0$ の点は $O$ だけである)。母線と軸のなす角は $\alpha$ である($\boldsymbol u_\theta$ の $z$ 成分が $\cos\alpha$)。冒頭の円錐 $x^2+y^2=z^2$ は $\alpha=45^\circ$ の場合である。
切る平面は頂点 $O$ を通らないものとする。$K$ は $z$ 軸のまわりの回転でも、$xy$ 平面に関する折り返し $z\mapsto-z$ でも変わらないので、回転と折り返しで平面を動かし、次の形にしてよい。

切る平面と、平面が軸となす角

$0^\circ\le\beta\le90^\circ$、$d>0$ とし、単位ベクトル $\boldsymbol n=(-\cos\beta,\ 0,\ \sin\beta)$ を法線ベクトルとする平面
$$ \Pi:\ -x\cos\beta+z\sin\beta=d $$
を考える。$d$ は $O$ と $\Pi$ の距離である。$\boldsymbol n$ と $z$ 軸のなす角は $90^\circ-\beta$ なので、$\Pi$ と軸のなす角は $\beta$ である($\beta=90^\circ$ は軸に垂直な平面、$\beta=0^\circ$ は軸に平行な平面)。
さらに $\boldsymbol w=(\sin\beta,\ 0,\ \cos\beta)$、$\boldsymbol e=(0,1,0)$ とおき、$\Pi$ の点を
$$ P(u,v)=d\boldsymbol n+u\boldsymbol w+v\boldsymbol e=(-d\cos\beta+u\sin\beta,\ \ v,\ \ d\sin\beta+u\cos\beta) $$
と表す。$(u,v)$ を $\Pi$ の上の座標(平面内の座標)という。

$\boldsymbol n$、$\boldsymbol w$、$\boldsymbol e$ はどの 2 つも垂直な単位ベクトルである(たとえば $\boldsymbol n\cdot\boldsymbol w=-\cos\beta\sin\beta+\sin\beta\cos\beta=0$)。$\boldsymbol w$ と $\boldsymbol e$ は $\boldsymbol n$ に垂直なので $P(u,v)$ は $\Pi$ の上にあり、2 点 $P(u,v)$、$P(u',v')$ の距離は $\sqrt{(u-u')^2+(v-v')^2}$ である。つまり $(u,v)$ は $\Pi$ の上の普通の直交座標で、$\Pi$ の上の長さはこの座標で測ってよい。$\boldsymbol w$ は $\Pi$ の上で最も急に上る向きで、$z$ 軸と角 $\beta$ をなす($\boldsymbol w$ の $z$ 成分が $\cos\beta$)。距離の公式は 空間の平面と法線ベクトル の「点と平面の距離」を使う。

冒頭の平面の $\alpha$・$\beta$・$d$

冒頭の円錐 $x^2+y^2=z^2$ では $\alpha=45^\circ$ である。

  1. $4z=3x+7$ は、両辺を $5$ で割ると $-\frac35x+\frac45z=\frac75$ なので、$\cos\beta=\frac35$、$\sin\beta=\frac45$、$d=\frac75$ である($\beta\approx53.1^\circ>\alpha$)。
  2. $z=x+2$ は $-x+z=2$、両辺を $\sqrt2$ で割って $-\frac1{\sqrt2}x+\frac1{\sqrt2}z=\sqrt2$ なので、$\beta=45^\circ=\alpha$、$d=\sqrt2$ である。
  3. $x=-2$ は $-x=2$ なので、$\beta=0^\circ<\alpha$、$d=2$ である。
  4. $z=2$ は $\beta=90^\circ$、$d=2$ である。
    楕円・放物線・双曲線・円が、それぞれ $\beta>\alpha$、$\beta=\alpha$、$\beta<\alpha$、$\beta=90^\circ$ に対応している。これが一般に正しいことを次の節で示す。

座標で切り口を求める

切り口の方程式と離心率

def-cds-cone の円錐 $K$ と def-cds-plane の平面 $\Pi$ について、$k:=\sin^2\beta-\sin^2\alpha$ とおく。切り口 $K\cap\Pi$ は、平面内の座標 $(u,v)$ で次の曲線である。

  1. $\beta>\alpha$ のとき、楕円 $\dfrac{(u-u_0)^2}{A^2}+\dfrac{v^2}{B^2}=1$。
  2. $\beta=\alpha$ のとき、放物線 $v^2=2d\tan\alpha\,(u-u_1)$。ここで $u_1=\dfrac{d(\cos^2\alpha-\sin^2\alpha)}{2\sin\alpha\cos\alpha}$。
  3. $\beta<\alpha$ のとき、双曲線 $\dfrac{(u-u_0)^2}{A^2}-\dfrac{v^2}{B^2}=1$。
    ここで 1 と 3 では
    $$ u_0=\frac{d\sin\beta\cos\beta}{k},\qquad A=\frac{d\sin\alpha\cos\alpha}{|k|},\qquad B^2=\frac{d^2\sin^2\alpha}{|k|} $$
    であり、離心率は
    $$ e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha} $$
    である。2 の放物線も離心率 $1=\frac{\cos\alpha}{\cos\alpha}$ の曲線なので、どの場合も $e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ である。
代入して平方完成する

要点:ex-cds-start-ellipse と同じく、平面の点を円錐の式に代入して平方完成する。平面内の座標 $(u,v)$ を使うので、伸び縮みを後から直す必要がない。代入すると $k\,u^2-2d\sin\beta\cos\beta\,u+\cos^2\alpha\,v^2+d^2(1-\sin^2\alpha-\sin^2\beta)=0$ となり、$u^2$ の係数 $k$ の符号($\beta$ と $\alpha$ の大小)で楕円・放物線・双曲線に分かれる。

詳しい証明を開く

段 1(代入する)。$K$ の式の両辺に $\cos^2\alpha>0$ を掛けると $\cos^2\alpha\,(x^2+y^2)=\sin^2\alpha\,z^2$ となる。$x=-d\cos\beta+u\sin\beta$、$y=v$、$z=d\sin\beta+u\cos\beta$ を入れる。$$\begin{aligned}\cos^2\alpha\,x^2&=\cos^2\alpha\,(d^2\cos^2\beta-2du\sin\beta\cos\beta+u^2\sin^2\beta),\\\sin^2\alpha\,z^2&=\sin^2\alpha\,(d^2\sin^2\beta+2du\sin\beta\cos\beta+u^2\cos^2\beta)\end{aligned}$$なので、$\cos^2\alpha\,(x^2+y^2)-\sin^2\alpha\,z^2=0$ は$$(\cos^2\alpha\sin^2\beta-\sin^2\alpha\cos^2\beta)u^2-2du\sin\beta\cos\beta\,(\cos^2\alpha+\sin^2\alpha)+\cos^2\alpha\,v^2+d^2(\cos^2\alpha\cos^2\beta-\sin^2\alpha\sin^2\beta)=0$$となる。

段 2(係数を整理する)。$s=\sin^2\alpha$、$t=\sin^2\beta$ とおくと、$\cos^2\alpha=1-s$、$\cos^2\beta=1-t$ である。$u^2$ の係数は $(1-s)t-s(1-t)=t-s=k$、定数項の括弧は $(1-s)(1-t)-st=1-s-t$ である。また $\cos^2\alpha+\sin^2\alpha=1$ である。よって切り口の方程式は$$k\,u^2-2d\sin\beta\cos\beta\,u+\cos^2\alpha\,v^2+d^2(1-s-t)=0$$である。以下、この式を $(\ast)$ と呼ぶ。$0^\circ\le\alpha,\beta\le90^\circ$ では $\sin$ は増加するので、$k>0\iff\beta>\alpha$、$k=0\iff\beta=\alpha$、$k<0\iff\beta<\alpha$ である。

段 3($\beta=\alpha$)。$k=0$、$t=s$ なので、$(\ast)$ は $\cos^2\alpha\,v^2=2d\sin\alpha\cos\alpha\,u-d^2(1-2s)$ となる。$1-2s=\cos^2\alpha-\sin^2\alpha$ である。両辺を $\cos^2\alpha$ で割ると$$v^2=\frac{2d\sin\alpha}{\cos\alpha}\,u-\frac{d^2(\cos^2\alpha-\sin^2\alpha)}{\cos^2\alpha}=2d\tan\alpha\Bigl(u-\frac{d(\cos^2\alpha-\sin^2\alpha)}{2\sin\alpha\cos\alpha}\Bigr)$$で、2 の放物線である($2d\tan\alpha\ne0$)。

段 4($\beta\ne\alpha$:平方完成)。$k\ne0$ なので、$u_0=\frac{d\sin\beta\cos\beta}k$ とおくと $k u^2-2d\sin\beta\cos\beta\,u=k(u-u_0)^2-\frac{d^2\sin^2\beta\cos^2\beta}k$ である。$(\ast)$ は$$k(u-u_0)^2+\cos^2\alpha\,v^2=R,\qquad R:=\frac{d^2\sin^2\beta\cos^2\beta}{k}-d^2(1-s-t)$$となる。$R$ を計算する。$\sin^2\beta\cos^2\beta=t(1-t)$、$k=t-s$ なので$$kR=d^2\bigl(t(1-t)-(1-s-t)(t-s)\bigr)$$である。$(1-s-t)(t-s)=t-s-st+s^2-t^2+st=t-s+s^2-t^2$ なので、括弧の中は $t-t^2-t+s-s^2+t^2=s-s^2=s(1-s)$ である。よって$$R=\frac{d^2\sin^2\alpha\cos^2\alpha}{k}$$である。

段 5($\beta>\alpha$)。$k>0$ なので $R>0$ である。両辺を $R$ で割ると $\frac{(u-u_0)^2}{R/k}+\frac{v^2}{R/\cos^2\alpha}=1$ で、$A^2=\frac Rk=\frac{d^2\sin^2\alpha\cos^2\alpha}{k^2}$、$B^2=\frac R{\cos^2\alpha}=\frac{d^2\sin^2\alpha}{k}$ とした 1 の楕円である。離心率は(2次曲線の焦点と準線 の楕円の $e=\frac ca$、$c^2=a^2-b^2$ による)$$e^2=1-\frac{B^2}{A^2}=1-\frac{k}{\cos^2\alpha}=\frac{\cos^2\alpha-\sin^2\beta+\sin^2\alpha}{\cos^2\alpha}=\frac{1-\sin^2\beta}{\cos^2\alpha}=\frac{\cos^2\beta}{\cos^2\alpha}$$である。$A^2\ge B^2$ であること($u$ の向きが長軸であること)も $1-\frac k{\cos^2\alpha}=\frac{\cos^2\beta}{\cos^2\alpha}\ge0$ から分かる。

段 6($\beta<\alpha$)。$k<0$ なので、両辺に $-1$ を掛けて $|k|(u-u_0)^2-\cos^2\alpha\,v^2=\frac{d^2\sin^2\alpha\cos^2\alpha}{|k|}>0$ とし、右辺で割ると、段 5 と同じ $A$、$B$($k$ を $|k|$ に替えたもの)の 3 の双曲線になる。離心率は(双曲線では $c^2=a^2+b^2$)$$e^2=1+\frac{B^2}{A^2}=1+\frac{|k|}{\cos^2\alpha}=1-\frac{k}{\cos^2\alpha}=\frac{\cos^2\beta}{\cos^2\alpha}$$である(最後の等号は段 5 と同じ計算)。

段 7($e$ の符号)。$\cos\beta\ge0$、$\cos\alpha>0$、$e\ge0$ なので、段 5・段 6 から $e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ である。$\square$

冒頭の例で公式を確かめる
  1. $4z=3x+7$($\alpha=45^\circ$、$\sin\beta=\frac45$、$d=\frac75$):$k=\frac{16}{25}-\frac12=\frac7{50}$ である。$A=\frac{\frac75\cdot\frac12}{\frac7{50}}=\frac7{10}\cdot\frac{50}7=5$、$B^2=\frac{\frac{49}{25}\cdot\frac12}{\frac7{50}}=\frac{49}{50}\cdot\frac{50}7=7$ で、ex-cds-start-ellipse の半径 $5$ と $\sqrt7$ に一致する。離心率は $e=\frac{3/5}{1/\sqrt2}=\frac{3\sqrt2}5\approx0.849$ で、$e^2=\frac{18}{25}=1-\frac7{25}=1-\frac{B^2}{A^2}$ と合う。
  2. $z=x+2$($\beta=\alpha=45^\circ$、$d=\sqrt2$):$2d\tan\alpha=2\sqrt2$ で、ex-cds-start-parabola-hyperbola の $y^2=2\sqrt2\,u$ と同じ係数である($u_1=0$ で、$u$ は ex-cds-start-parabola-hyperbola の $u=\sqrt2(x+1)$ と同じものである)。
  3. $x=-2$($\beta=0^\circ$、$d=2$):$k=0-\frac12=-\frac12$、$A=\frac{2\cdot\frac12}{\frac12}=2$、$B^2=\frac{4\cdot\frac12}{\frac12}=4$ で、$z^2-y^2=4$ に一致する。$e=\frac{1}{1/\sqrt2}=\sqrt2$ で、直角双曲線の離心率 $\sqrt2$(2次曲線の焦点と準線 の例)と同じである。
  4. $z=2$($\beta=90^\circ$):$k=1-\frac12=\frac12=\cos^2\alpha$ で、$A^2=\frac{4\cdot\frac14}{\frac14}=4=B^2$、つまり半径 $2$ の円で $e=0$ である。

離心率 $e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ は、$\beta$ が $90^\circ$(軸に垂直)から小さくなるにつれて $0$ から増え、$\beta=\alpha$(平面が母線に平行)でちょうど $1$、$\beta=0^\circ$(軸に平行)で最大値 $\frac1{\cos\alpha}$ になる。形は $\alpha$ と $\beta$ だけで決まり、$d$(頂点からの距離)を変えると $A$、$B$ が $d$ に比例して変わるだけで、相似な曲線になる。

Dandelin の球:焦点を立体の中に見つける

prop-cds-coordinate で切り口の種類と離心率は分かった。しかし焦点は計算で出てくるだけで、円錐と平面の図のどこにあるのかは見えない。ここで、円錐の内側にぴったりはまり、切る平面にも接する球を考える。この球を Dandelin の球 という(Dandelin が 1822 年に用いた。Wik26)。
準備として、球と直線・平面が 1 点で接するときの長さの関係をまとめる。平面の円について、外の点から引いた 2 本の接線の長さが等しいこと(方べきの定理(高校数学) の「接線の長さ」)の、空間での形である。

接線の長さ

中心 $M$、半径 $r>0$ の球面を $S$ とする。直線または平面 $L$ と $M$ の距離がちょうど $r$ であるとし、$M$ から $L$ に下ろした垂線の足を $N$ とする。このとき

  1. $L$ と $S$ の共有点は $N$ だけである。
  2. $L$ 上のどの点 $P$ についても $PN^2=PM^2-r^2$ である。
直角三角形で長さを比べる

$P$ を $L$ 上の点とする。$P=N$ なら $PN=0$、$PM=MN=r$ で 2 は成り立つ。$P\ne N$ のとき、$MN$ は $L$ に垂直なので、$MN$ は $L$ 上の線分 $NP$ に垂直であり($L$ が平面のときは、直線と平面の垂直の定義による。空間図形の計量)、三角形 $MNP$ は $N$ で直角である。三平方の定理 により
$$ PM^2=MN^2+NP^2=r^2+PN^2 $$
で、2 が成り立つ。この式から、$P$ が $S$ の上にある($PM=r$)$\iff PN=0\iff P=N$ であり、1 も成り立つ。$\square$

$L$ を球に接する直線・平面、$N$ を接点という。2 は「$P$ から球に引いた接線の長さ $PN$ は、$P$ と中心の距離だけで決まる」と読める。
次に、Dandelin の球がいくつあるかを求める。中心は軸の上、$(0,0,c)$($c\ne0$)に置く。

Dandelin の球の位置と個数

def-cds-cone の $K$、def-cds-plane の $\Pi$ について、$c\ne0$ とし、中心 $M=(0,0,c)$、半径 $r=|c|\sin\alpha$ の球面を $S$ とする。

  1. どの母線 $t\boldsymbol u_\theta$ も $S$ に接し、接点は $Q_\theta=c\cos\alpha\,\boldsymbol u_\theta$ である。接点の全体は、平面 $\sigma:\ z=c\cos^2\alpha$ の上の、中心が軸上にある円 $C$ である($S$ と $K$ が接する円)。
  2. $M$ と $\Pi$ の距離は $|c\sin\beta-d|$ である。したがって $S$ が $\Pi$ にも接するのは $|c\sin\beta-d|=|c|\sin\alpha$ のときである。
  3. 2 の条件を満たす $c$ は次のとおりである。
    • $\beta>\alpha$ のとき、$c_1=\dfrac{d}{\sin\beta+\sin\alpha}$ と $c_2=\dfrac{d}{\sin\beta-\sin\alpha}$ の 2 つで、どちらも正である(球は 2 つとも上の部分にある)。
    • $\beta=\alpha$ のとき、$c_1=\dfrac{d}{2\sin\alpha}$ の 1 つだけである。
    • $\beta<\alpha$ のとき、$c_1=\dfrac{d}{\sin\beta+\sin\alpha}>0$ と $c_2=\dfrac{d}{\sin\beta-\sin\alpha}<0$ の 2 つである(球は上と下の部分に 1 つずつある)。
  4. $f(X):=\boldsymbol n\cdot X-d$ とおく($\Pi$ は $f=0$ の点全体)。$f(O)=-d<0$ であり、中心での値は $f((0,0,c_1))<0$、また $\beta\ne\alpha$ のとき $f((0,0,c_2))$ は $\beta>\alpha$ なら正、$\beta<\alpha$ なら負である。
距離を計算する

要点:中心 $M$ と母線の距離を内積で、$M$ と $\Pi$ の距離を点と平面の距離の公式で求め、半径 $r$ と比べると 1・2 が出る。3 は $c>0$ と $c<0$ に分けて絶対値を外し、1 次方程式を解く。4 は中心の座標を $f$ に入れて符号を見る。

詳しい証明を開く

段 1(母線との距離)。母線 $t\boldsymbol u_\theta$ の上で $M$ に最も近い点は、$M$ の $\boldsymbol u_\theta$ 方向の成分 $(M\cdot\boldsymbol u_\theta)\boldsymbol u_\theta=c\cos\alpha\,\boldsymbol u_\theta$ である($M-c\cos\alpha\,\boldsymbol u_\theta$ と $\boldsymbol u_\theta$ の内積は $c\cos\alpha-c\cos\alpha=0$ なので、これが垂線の足である)。距離の 2 乗は$$|M|^2-(M\cdot\boldsymbol u_\theta)^2=c^2-c^2\cos^2\alpha=c^2\sin^2\alpha$$で、距離は $|c|\sin\alpha=r$ である。lem-cds-tangent により母線は $S$ に接し、接点は $Q_\theta=c\cos\alpha\,\boldsymbol u_\theta=(c\cos\alpha\sin\alpha\cos\theta,\ c\cos\alpha\sin\alpha\sin\theta,\ c\cos^2\alpha)$ である。$\theta$ を動かすと、これは平面 $z=c\cos^2\alpha$ の上の中心 $(0,0,c\cos^2\alpha)$、半径 $|c|\cos\alpha\sin\alpha$ の円を描く。これで 1 が示せた。

段 2(平面との距離)。$\boldsymbol n$ は単位ベクトルなので、点と平面の距離の公式(空間の平面と法線ベクトル)により、$M$ と $\Pi$ の距離は $|\boldsymbol n\cdot M-d|=|c\sin\beta-d|$ である。これが $r=|c|\sin\alpha$ に等しいことが、$\Pi$ が $S$ に接する条件である(lem-cds-tangent)。これで 2 が示せた。

段 3($c>0$ の解)。$|c|=c$ なので、条件は $c\sin\beta-d=\pm c\sin\alpha$、つまり $c(\sin\beta\mp\sin\alpha)=d$ である。$c(\sin\beta+\sin\alpha)=d$ は、$\sin\beta+\sin\alpha>0$ なので正の解 $c_1$ をもつ。$c(\sin\beta-\sin\alpha)=d$ は、$d>0$ なので $\sin\beta-\sin\alpha>0$、つまり $\beta>\alpha$ のときだけ正の解 $c_2$ をもつ。

段 4($c<0$ の解)。$|c|=-c$ なので、条件は $c\sin\beta-d=\pm(-c)\sin\alpha$、つまり $c(\sin\beta\pm\sin\alpha)=d$ である。$c<0$、$d>0$ なので、解があるのは係数が負のときだけである。$\sin\beta+\sin\alpha>0$ なので、残るのは $\sin\beta-\sin\alpha<0$、つまり $\beta<\alpha$ のときの $c_2=\frac d{\sin\beta-\sin\alpha}<0$ である。段 3・段 4 を合わせて 3 が示せた。

段 5(符号)。$f((0,0,c))=c\sin\beta-d$ である。$c_1$ では $\frac{d\sin\beta}{\sin\beta+\sin\alpha}-d=-\frac{d\sin\alpha}{\sin\beta+\sin\alpha}<0$、$c_2$ では $\frac{d\sin\beta}{\sin\beta-\sin\alpha}-d=\frac{d\sin\alpha}{\sin\beta-\sin\alpha}$ で、分母の符号が $\beta>\alpha$ なら正、$\beta<\alpha$ なら負である。これで 4 が示せた。$\square$

$f(X)$ の符号は、点 $X$ が平面 $\Pi$ のどちら側にあるかを表す。4 は、$\beta>\alpha$ では 2 つの球が $\Pi$ をはさんで反対側に、$\beta<\alpha$ では同じ側(頂点 $O$ と同じ側)にあることを言っている。

楕円の切り口の Dandelin の球

$x^2+y^2=z^2$ と $4z=3x+7$($\sin\alpha=\frac1{\sqrt2}$、$\sin\beta=\frac45$、$d=\frac75$)で lem-cds-spheres の 3 を計算する。
$$ c_1=\frac{7/5}{\frac45+\frac{\sqrt2}2}=\frac{14}{8+5\sqrt2}=\frac{14(8-5\sqrt2)}{64-50}=8-5\sqrt2\approx0.93,\qquad c_2=\frac{14}{8-5\sqrt2}=8+5\sqrt2\approx15.07 $$
である。半径は $r_1=\frac{c_1}{\sqrt2}=4\sqrt2-5\approx0.66$、$r_2=4\sqrt2+5\approx10.66$ である。

  • 平面に接することの確認:中心 $(0,0,c_1)$ と平面 $3x-4z+7=0$ の距離は $\frac{|7-4c_1|}5=\frac{20\sqrt2-25}5=4\sqrt2-5=r_1$ である。$c_2$ では $\frac{4c_2-7}5=\frac{25+20\sqrt2}5=5+4\sqrt2=r_2$ である。
  • 接する円を含む平面:$\sigma_1:\ z=\frac{c_1}2=4-\frac{5\sqrt2}2\approx0.46$、$\sigma_2:\ z=\frac{c_2}2=4+\frac{5\sqrt2}2\approx7.54$($\cos^2\alpha=\frac12$)。
  • 平面との接点(中心から $\Pi$ に下ろした垂線の足):$F_1=\Bigl(\frac{15-12\sqrt2}5,\ 0,\ \frac{20-9\sqrt2}5\Bigr)\approx(-0.39,\ 0,\ 1.45)$、$F_2=\Bigl(\frac{15+12\sqrt2}5,\ 0,\ \frac{20+9\sqrt2}5\Bigr)\approx(6.39,\ 0,\ 6.55)$。
    $xz$ 平面($y=0$)で切って見ると、円錐は 2 直線 $z=\pm x$、平面 $\Pi$ は直線 $4z=3x+7$、2 つの球は円になる。小さい球は三角形 $O\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ の内接円、大きい球は $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ の外側で 3 辺(の延長)に接する円(傍接円)である(図 3)。

円錐 !FORMULA[481][1315015465][0] と平面 !FORMULA[482][-1808631872][0] の 2 つの Dandelin の球。小さい球は !FORMULA[483][35424976][0] で、大きい球は !FORMULA[484][35425007][0] で平面に接する。切り口の点 !FORMULA[485][37112][0] を通る母線は、2 つの球と円 !FORMULA[486][35335603][0]、!FORMULA[487][35335634][0] の上の点 !FORMULA[488][35752677][0]、!FORMULA[489][35752708][0] で接し、!FORMULA[490][-350681024][0]、!FORMULA[491][536822688][0] となることを見る図。 円錐 $x^2+y^2=z^2$ と平面 $4z=3x+7$ の 2 つの Dandelin の球。小さい球は $F_1$ で、大きい球は $F_2$ で平面に接する。切り口の点 $P$ を通る母線は、2 つの球と円 $C_1$、$C_2$ の上の点 $Q_1$、$Q_2$ で接し、$PF_1=PQ_1$、$PF_2=PQ_2$ となることを見る図。
!FORMULA[492][36911612][0] の平面で切った、図 2 の断面。2 つの球は、三角形 !FORMULA[493][-278353436][0] の内接円と傍接円に見え、平面(赤の直線)との接点が焦点 !FORMULA[494][35424976][0]、!FORMULA[495][35425007][0] である。点線は接する円を含む平面 !FORMULA[496][-1250824411][0]、!FORMULA[497][-1250824380][0] で、赤の直線との交点を通り紙面に垂直な直線が準線になる。 $y=0$ の平面で切った、図 2 の断面。2 つの球は、三角形 $O\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2$ の内接円と傍接円に見え、平面(赤の直線)との接点が焦点 $F_1$、$F_2$ である。点線は接する円を含む平面 $\sigma_1$、$\sigma_2$ で、赤の直線との交点を通り紙面に垂直な直線が準線になる。

主定理 1:焦点までの距離の和と差

Dandelin の定理

$\beta\ne\alpha$ とし、lem-cds-spheres の 2 つの球を $S_1$($c=c_1$)、$S_2$($c=c_2$)、それぞれと $\Pi$ の接点を $F_1$、$F_2$ とする。
$$ 2A:=\frac{2d\sin\alpha\cos\alpha}{|\sin^2\beta-\sin^2\alpha|} $$
とおく(prop-cds-coordinate の長軸・主軸の長さ)。切り口 $K\cap\Pi$ のすべての点 $P$ について、

  1. $\beta>\alpha$ なら $PF_1+PF_2=2A$、
  2. $\beta<\alpha$ なら $|PF_1-PF_2|=2A$
    である。$2A$ は、1 本の母線のうち、2 つの球と接する円 $C_1$、$C_2$ の間にある部分の長さに等しい。
母線に沿った接線の長さに置きかえる

要点:$P$ を通る母線は 2 つの球に接する。その接点を $Q_1$、$Q_2$ とすると、lem-cds-tangent により $PF_i=PQ_i$ である。$Q_1$、$Q_2$、$P$ は 1 本の母線の上に並ぶので、$PQ_1$ と $PQ_2$ の和か差が線分 $Q_1Q_2$ の長さになる。どちらになるかを、$\Pi$ のどちら側に $Q_1$、$Q_2$ があるかで決める。

詳しい証明を開く

段 1($PF_i=PQ_i$)。$P\in K\cap\Pi$ をとる。$O\notin\Pi$ なので $P\ne O$ であり、$P$ はある母線 $g=\{t\boldsymbol u\}$($\boldsymbol u=\boldsymbol u_\theta$)の上にある:$P=t_P\boldsymbol u$。lem-cds-spheres の 1 により、$g$ は $S_i$ に点 $Q_i=t_i\boldsymbol u$($t_i=c_i\cos\alpha$)で接する。$\Pi$ は $S_i$ に $F_i$ で接する。中心を $M_i$、半径を $r_i$ として、lem-cds-tangent の 2 を直線 $g$ と平面 $\Pi$ に使うと$$PQ_i^2=PM_i^2-r_i^2=PF_i^2$$なので、$PF_i=PQ_i$ である($i=1,2$)。

段 2($Q_i$ は $\Pi$ の上にない)。仮に $Q_i\in\Pi$ とすると、$Q_i$ は $\Pi$ と $S_i$ の共有点なので $Q_i=F_i$ である(lem-cds-tangent の 1)。$\Pi$ は $F_i$ を通り $M_iF_i$ に垂直な平面である。一方、$Q_i$ は $M_i$ から $g$ に下ろした垂線の足なので、$g$ は $Q_i=F_i$ を通り $M_iF_i$ に垂直な直線であり、$\Pi$ に含まれる。すると $O\in g\subset\Pi$ となり、$\Pi$ が $O$ を通らないことに反する。よって $Q_i\notin\Pi$ である。

段 3($Q_i$ は $M_i$ と同じ側にある)。$S_i$ の点 $X$ について $f(X)=f(M_i)+\boldsymbol n\cdot(X-M_i)$ である。$|\boldsymbol n\cdot(X-M_i)|\le|X-M_i|=r_i=|f(M_i)|$(最後の等号は $\Pi$ と $M_i$ の距離が $r_i$ であること)なので、$f(X)$ は $0$ か、$f(M_i)$ と同じ符号である。段 2 より $f(Q_i)\ne0$ なので、$f(Q_i)$ は $f(M_i)$ と同じ符号である。

段 4(母線に沿って並べる)。母線の上で $h(t):=f(t\boldsymbol u)=t\,(\boldsymbol n\cdot\boldsymbol u)-d$ は $t$ の 1 次関数(または定数)で、$h(t_P)=0$、$h(0)=-d\ne0$ なので定数ではなく、$0$ になる $t$ は $t_P$ だけである。また $|\boldsymbol u|=1$ なので、母線の上の 2 点 $t\boldsymbol u$、$t'\boldsymbol u$ の距離は $|t-t'|$ である。

  • $\beta>\alpha$ のとき:lem-cds-spheres の 4 と段 3 から $h(t_1)<0< h(t_2)$ である。1 次関数の値が $t_1$ と $t_2$ で異符号なので、$0$ になる $t_P$ は $t_1$ と $t_2$ の間にある。よって $PQ_1+PQ_2=|t_P-t_1|+|t_2-t_P|=|t_2-t_1|$ である。
  • $\beta<\alpha$ のとき:$h(t_1)<0$、$h(t_2)<0$ である。1 次関数は $t_1$ と $t_2$ の間では両端の値の間の値をとるので、そこでは負であり、$t_P$ は $t_1$ と $t_2$ の間にない。$t_P$ が両方より大きければ $PQ_1-PQ_2=(t_P-t_1)-(t_P-t_2)=t_2-t_1$、両方より小さければ $PQ_1-PQ_2=t_1-t_2$ で、どちらでも $|PQ_1-PQ_2|=|t_2-t_1|$ である。

段 5(長さの計算)。段 1 と段 4 から、$\beta>\alpha$ なら $PF_1+PF_2=|t_2-t_1|$、$\beta<\alpha$ なら $|PF_1-PF_2|=|t_2-t_1|$ である。$|t_2-t_1|$ は母線 $g$ のうち $Q_1$(円 $C_1$ の上)と $Q_2$(円 $C_2$ の上)の間の長さで、$$|t_2-t_1|=|c_2-c_1|\cos\alpha=d\cos\alpha\left|\frac1{\sin\beta-\sin\alpha}-\frac1{\sin\beta+\sin\alpha}\right|=\frac{2d\sin\alpha\cos\alpha}{|\sin^2\beta-\sin^2\alpha|}=2A$$である。これは母線 $g$(つまり $\theta$)によらない。$\square$

切り口の点で距離を測る
  1. 楕円(ex-cds-spheres):切り口の点 $P(3,\sqrt7,4)$ をとる($9+7=16$、$4\cdot4=9+7$)。$|OP|=\sqrt{9+7+16}=4\sqrt2$ なので $t_P=4\sqrt2$、$t_1=\frac{c_1}{\sqrt2}=4\sqrt2-5$、$t_2=4\sqrt2+5$ で、$PQ_1=5$、$PQ_2=5$ である。直接計算しても $P-F_1=\Bigl(\frac{12\sqrt2}5,\ \sqrt7,\ \frac{9\sqrt2}5\Bigr)$ で、$PF_1^2=\frac{288}{25}+7+\frac{162}{25}=18+7=25$、$PF_1=5$ である。同様に $PF_2=5$ で、和は $10=2A$ である。頂点 $\mathrm{A}_1(-1,0,1)$ では $t=\sqrt2$ で、$PF_1=PQ_1=\sqrt2-(4\sqrt2-5)=5-3\sqrt2$、$PF_2=PQ_2=(4\sqrt2+5)-\sqrt2=5+3\sqrt2$、和は $10$ である。
  2. 双曲線:平面 $x=-2$($\beta=0^\circ$、$d=2$)では $c_1=\frac2{1/\sqrt2}=2\sqrt2$、$c_2=-2\sqrt2$、半径はどちらも $2$ である。接点は中心から平面 $x=-2$ に下ろした垂線の足 $F_1(-2,0,2\sqrt2)$、$F_2(-2,0,-2\sqrt2)$ で、$z^2-y^2=4$ の焦点 $(z,y)=(\pm2\sqrt2,0)$ に一致する。切り口の点 $P(-2,\sqrt5,3)$($4+5=9$)では
    $$ PF_1^2=5+(3-2\sqrt2)^2=22-12\sqrt2=(3\sqrt2-2)^2,\qquad PF_2^2=5+(3+2\sqrt2)^2=(3\sqrt2+2)^2 $$
    で、$PF_2-PF_1=4$ である。$2A=|c_2-c_1|\cos\alpha=4\sqrt2\cdot\frac1{\sqrt2}=4$ と一致する。

thm-cds-dandelin は、切り口のすべての点が「$F_1$、$F_2$ からの距離の和(差)が $2A$」を満たすことを示した。糸と 2 本の画鋲で楕円を描くとき、糸の長さの役をしているのは、母線の上の 2 つの円の間の長さ $Q_1Q_2$ である。$F_1$、$F_2$ が切り口の楕円の焦点そのものであることは、次のように確かめられる。

接点が楕円の焦点であること

$\beta>\alpha$ とする。$F_1$、$F_2$ は切り口の楕円の長軸の上にあり、thm-cds-dandelin を長軸の両端と短軸の端で使うと、中心から $\sqrt{A^2-B^2}$ の位置、つまり 2次曲線の焦点と準線 の楕円の焦点の位置にあることが分かる。

確かめ方を開く

$\beta>\alpha$ とする。$F_1$、$F_2$ は球の中心 $(0,0,c_i)$ から $\Pi$ に下ろした垂線の足で、中心も $\boldsymbol n$ も $y=0$ の平面にあるので、平面内の座標で $F_i=(f_i,0)$ と書ける。prop-cds-coordinate により切り口は楕円 $\frac{(u-u_0)^2}{A^2}+\frac{v^2}{B^2}=1$ で、長軸の両端は $a_\pm=u_0\pm A$($v=0$)である。$g(x):=|x-f_1|+|x-f_2|$ とおくと、thm-cds-dandelin から $g(a_+)=g(a_-)=2A=a_+-a_-$ である。

段 1。仮に $f_1>a_+$ なら $g(a_-)\ge f_1-a_->a_+-a_-$ となり矛盾する。$f_1< a_-$ でも同様に $g(a_+)>a_+-a_-$ となる。$f_2$ も同じなので、$a_-\le f_1,f_2\le a_+$ である。

段 2。すると $g(a_+)=(a_+-f_1)+(a_+-f_2)=a_+-a_-$ から $f_1+f_2=a_++a_-=2u_0$ で、$F_1$、$F_2$ は中心 $(u_0,0)$ について対称である。

段 3。短軸の端 $(u_0,B)$ で thm-cds-dandelin を使うと、段 2 から 2 つの距離は等しく、$2\sqrt{(f_1-u_0)^2+B^2}=2A$ である。よって $|f_1-u_0|=\sqrt{A^2-B^2}$ で、$F_1$、$F_2$ は 2次曲線の焦点と準線 の楕円の焦点の位置(中心から $\sqrt{A^2-B^2}$)にある。


双曲線($\beta<\alpha$)でも同じ方針で確かめられるが、ここでは省く。ex-cds-dandelin-check の 2 では、接点が双曲線 $z^2-y^2=4$ の焦点に一致することを直接見た。

主定理 2:準線と離心率

放物線($\beta=\alpha$)では Dandelin の球が 1 つしかなく、thm-cds-dandelin は使えない。そこで球を 1 つだけ使い、焦点と準線で切り口を表す。これは 3 種類の切り口をまとめて扱える。

切り口の焦点・準線と離心率

$0^\circ\le\beta<90^\circ$ とする。lem-cds-spheres の球の 1 つを $S$(中心 $M=(0,0,c)$、半径 $r=|c|\sin\alpha$)、$S$ と $\Pi$ の接点を $F$、$S$ と $K$ が接する円を含む平面を $\sigma:\ z=c\cos^2\alpha$ とする。このとき

  1. $\ell:=\Pi\cap\sigma$ は直線で、$F$ を通らない。
  2. $\Pi$ 上の点 $P$ から $\ell$ に下ろした垂線の足を $H$ とし、$e:=\dfrac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ とおくと、$\Pi$ のすべての点 $P$ について
    $$ P\in K\iff PF=e\cdot PH $$
    である。
    したがって切り口 $K\cap\Pi$ は、焦点 $F$、準線 $\ell$、離心率 $e$ の曲線(2次曲線の焦点と準線 の定義)そのものである。
2 つの距離の 2 乗の差を計算する

要点:$PF$ は lem-cds-tangent で、$PH$ は高さの差で表す。$PF^2-e^2PH^2$ を計算すると、円錐の式の左辺と右辺の差 $x^2+y^2-z^2\tan^2\alpha$ に一致する。

詳しい証明を開く

段 1($\ell$ は直線)。$\Pi$ の法線ベクトル $\boldsymbol n=(-\cos\beta,0,\sin\beta)$ と $\sigma$ の法線ベクトル $(0,0,1)$ は、$\cos\beta\ne0$ なので平行でない。よって 2 平面は 1 本の直線 $\ell$ で交わる。$\ell$ の向きは両方の法線に垂直な $\boldsymbol e=(0,1,0)$ である。

段 2($PH$ を高さで表す)。$P$、$H$ はどちらも $\Pi$ の上にあるので $P-H$ は $\boldsymbol n$ に垂直で、$PH\perp\ell$ なので $\boldsymbol e$ にも垂直である。$\boldsymbol n$、$\boldsymbol w$、$\boldsymbol e$ はどの 2 つも垂直な単位ベクトル(def-cds-plane)なので、$\boldsymbol n$ と $\boldsymbol e$ の両方に垂直なベクトルは $\boldsymbol w=(\sin\beta,0,\cos\beta)$ の実数倍である。$P-H=\lambda\boldsymbol w$ とおくと、$PH=|\lambda|$ で、$z$ 成分を比べて $z_P-z_H=\lambda\cos\beta$ である。$H\in\sigma$ なので $z_H=c\cos^2\alpha$ であり、$$PH=\frac{|z_P-c\cos^2\alpha|}{\cos\beta}$$である。

段 3($PF$ を計算する)。$\Pi$ は $S$ に $F$ で接するので、lem-cds-tangent の 2 により、$P=(x,y,z)\in\Pi$ について$$PF^2=PM^2-r^2=x^2+y^2+(z-c)^2-c^2\sin^2\alpha=x^2+y^2+z^2-2cz+c^2\cos^2\alpha$$である。

段 4(差をとる)。段 2 から$$e^2PH^2=\frac{\cos^2\beta}{\cos^2\alpha}\cdot\frac{(z-c\cos^2\alpha)^2}{\cos^2\beta}=\frac{(z-c\cos^2\alpha)^2}{\cos^2\alpha}=\frac{z^2}{\cos^2\alpha}-2cz+c^2\cos^2\alpha$$である。段 3 から引くと、$-2cz$ と $c^2\cos^2\alpha$ が消えて$$PF^2-e^2PH^2=x^2+y^2+z^2-\frac{z^2}{\cos^2\alpha}=x^2+y^2-z^2\tan^2\alpha$$となる($\frac1{\cos^2\alpha}-1=\tan^2\alpha$)。よって $P\in K\iff PF^2=e^2PH^2$ であり、$PF\ge0$、$e\cdot PH\ge0$ なので $\iff PF=e\cdot PH$ である。これで 2 が示せた。

段 5($F\notin\ell$)。まず $F\notin K$ を示す。仮に $F\in K$ なら、$F$ はある母線 $g$ の上にあり、$g$ と $S$ の共有点は接点 $Q$ だけ(lem-cds-spheres の 1)なので $F=Q$ である。すると prf-thm-cds-dandelin の段 2 と同じ理由で $g\subset\Pi$ となり、$O\in\Pi$ に反する。よって $F\notin K$ である。2 を $P=F$ に使うと $PF=0\ne e\cdot FH$、つまり $FH\ne0$ で、$F\notin\ell$ である。これで 1 が示せた。$\square$

2次曲線の焦点と準線 の主定理(離心率による分類)により、焦点と準線の曲線は $e<1$ なら楕円、$e=1$ なら放物線、$e>1$ なら双曲線である。$e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ なので、これは $\beta>\alpha$、$\beta=\alpha$、$\beta<\alpha$ に当たり、prop-cds-coordinate と同じ分類がもう一度得られた。楕円と双曲線では球が 2 つあるので、焦点と準線の組も 2 つずつ得られる。

準線までの距離を測る
  1. 楕円(ex-cds-spheres の小さい球):$\sigma_1:\ z=4-\frac{5\sqrt2}2$ と $4z=3x+7$ の交線 $\ell_1$ は、$x=\frac{4z-7}3=\frac{9-10\sqrt2}3\approx-1.71$、$z=4-\frac{5\sqrt2}2$ の点を通り $y$ 軸に平行な直線である。$\cos\beta=\frac35$、$e=\frac{3\sqrt2}5$ である。点 $P(3,\sqrt7,4)$ では $PH=\frac{4-(4-\frac{5\sqrt2}2)}{3/5}=\frac{25\sqrt2}6$、$e\cdot PH=\frac{3\sqrt2}5\cdot\frac{25\sqrt2}6=5=PF_1$ である(ex-cds-dandelin-check)。頂点 $\mathrm{A}_1(-1,0,1)$ では $PH=\frac53\bigl(\frac{5\sqrt2}2-3\bigr)=\frac{5(5\sqrt2-6)}6$、$e\cdot PH=\frac{\sqrt2(5\sqrt2-6)}2=5-3\sqrt2=PF_1$ である。
  2. 放物線:$z=x+2$($\beta=\alpha=45^\circ$、$d=\sqrt2$)では lem-cds-spheres の $c_1=\frac{\sqrt2}{2\cdot\frac1{\sqrt2}}=1$、球の中心 $(0,0,1)$、半径 $\frac1{\sqrt2}$ である。接点は $F\bigl(-\frac12,0,\frac32\bigr)$(中心から平面 $x-z+2=0$ に下ろした垂線の足)、$\sigma:\ z=\frac12$、準線は $x=-\frac32$、$z=\frac12$ を通り $y$ 軸に平行な直線である。頂点 $(-1,0,1)$ では $PF=\sqrt{\frac14+\frac14}=\frac{\sqrt2}2$、$PH=\frac{1-\frac12}{\cos45^\circ}=\frac{\sqrt2}2$ で等しい。点 $(0,2,2)$($y^2=4(x+1)$ の上)では $PF=\sqrt{\frac14+4+\frac14}=\frac3{\sqrt2}$、$PH=\bigl(2-\frac12\bigr)\sqrt2=\frac{3\sqrt2}2$ で、これも等しい。
  3. 双曲線:$x=-2$ の上の球 $c_1=2\sqrt2$ では $\sigma_1:\ z=\sqrt2$ で、準線は平面 $x=-2$ の上の直線 $z=\sqrt2$ である($\cos\beta=1$ なので $PH=|z-\sqrt2|$)。$e=\sqrt2$ で、$P(-2,\sqrt5,3)$ では $e\cdot PH=\sqrt2(3-\sqrt2)=3\sqrt2-2=PF_1$ である(ex-cds-dandelin-check)。$z^2-y^2=4$ の準線 $z=\frac ae=\frac2{\sqrt2}=\sqrt2$(2次曲線の焦点と準線)と一致する。

例と反例

prop-cds-coordinate と 2 つの主定理の仮定を外すと、次のことが崩れる。

外した仮定崩れる主張ボックス
平面が頂点を通らない($d>0$)切り口が楕円・放物線・双曲線になる(1 点・1 直線・2 直線になる)ex-cds-through-vertex
平面が軸に垂直でない($\beta<90^\circ$)切り口に準線がある(thm-cds-directrix)ex-cds-circle
平面が母線に平行でない($\beta\ne\alpha$)Dandelin の球が 2 つあり、焦点までの距離の和か差が一定になる(thm-cds-dandelin)ex-cds-parabola-one-sphere
円錐が頂点の両側に伸びている$\beta<\alpha$ の切り口が双曲線の 2 つの枝をもつ(片側だけの円錐では枝は 1 本)ex-cds-one-nappe
反例:頂点を通る平面

円錐 $x^2+y^2=z^2$ を頂点 $O$ を通る平面で切る($d=0$)。

  1. $4z=3x$(傾きは ex-cds-start-ellipse と同じ):$16x^2+16y^2=9x^2$ から $7x^2+16y^2=0$ で、$x=y=0$、$z=0$ の 1 点 $O$ だけである。
  2. $z=x$(傾きは ex-cds-start-parabola-hyperbola の 1 と同じ):$x^2+y^2=x^2$ から $y=0$ で、母線 $\{(t,0,t)\}$ の 1 本の直線である。
  3. $x=0$:$y^2=z^2$ から $y=\pm z$ で、2 本の母線である。
    prop-cds-coordinate の証明の段 4 の $R=\frac{d^2\sin^2\alpha\cos^2\alpha}k$ も、$d=0$ では $0$ になり、楕円や双曲線の式が作れない。$d>0$ を外すと、「切り口は楕円・放物線・双曲線のどれか」という主張が崩れ、切り口は 1 点・1 直線・2 直線(2 次曲線の退化した場合)になる。
反例:軸に垂直な平面の切り口(円)には準線がない

$x^2+y^2=z^2$ を $z=2$($\beta=90^\circ$、$d=2$)で切ると、半径 $2$ の円である。lem-cds-spheres の 3 から $c_1=\frac2{1+\frac1{\sqrt2}}=4-2\sqrt2$、$c_2=\frac2{1-\frac1{\sqrt2}}=4+2\sqrt2$ の 2 つの球があり(半径 $2\sqrt2-2$、$2\sqrt2+2$)、どちらも平面 $z=2$ に円の中心 $(0,0,2)$ で接する(たとえば $|c_1-2|=2\sqrt2-2$)。したがって $F_1=F_2=(0,0,2)$ で、thm-cds-dandelin の $PF_1+PF_2=2\cdot2=4$ は成り立っている。
しかし接する円を含む平面 $\sigma_i:\ z=\frac{c_i}2$ は平面 $z=2$ と平行で、交線 $\ell$ がない。thm-cds-directrix の仮定 $\beta<90^\circ$ を外すと、「切り口は焦点と準線の曲線」という主張が崩れる。実際、円は焦点と準線の曲線にはならない(2次曲線の焦点と準線 の反例「円は焦点と準線では表せない」)。

反例:母線に平行な平面では球が 1 つしかない

$x^2+y^2=z^2$ を $z=x+2$($\beta=\alpha=45^\circ$、$d=\sqrt2$)で切る。2 つ目の球の条件は $c(\sin\beta-\sin\alpha)=d$ で、左辺は $0$、右辺は $\sqrt2$ なので解がない(lem-cds-spheres の 3)。球は $c_1=1$ の 1 つだけで、thm-cds-dandelin は使えない。
実際、切り口の放物線には「2 つの焦点までの距離の和が一定」という性質はない。焦点 $F\bigl(-\frac12,0,\frac32\bigr)$ と、$\Pi$ 上のどんな点 $G$ をとっても、放物線の点 $P$ を遠くへ動かすと $PF+PG\ge PF\to\infty$ となり、和は一定にならない。放物線の点 $(t^2-1,\ 2t,\ t^2+1)$($y^2=4(x+1)$ を $y=2t$ で表した)では $PF=\frac{\sqrt2}2(2t^2+1)$ で、$t$ とともにいくらでも大きくなる。$\beta\ne\alpha$ を外すと、「2 つの球があり、距離の和か差が一定になる」という主張が崩れる(準線による thm-cds-directrix は $\beta=\alpha$ でも成り立つ)。

反例:片側だけの円錐では双曲線の枝は 1 本

懐中電灯の光は、頂点(電球)から片側にしか広がらない。円錐を上の部分 $x^2+y^2=z^2$、$z\ge0$ だけにして平面 $x=-2$ で切ると、切り口は $z^2-y^2=4$、$z\ge0$、つまり $z\ge2$ の 1 本の枝だけである。点 $(-2,0,-2)$ は $z^2-y^2=4$ を満たすが、$z<0$ なので片側の円錐の上にはない。
thm-cds-dandelin の双曲線の場合($\beta<\alpha$)は、2 つ目の球の中心 $c_2<0$ が下の部分にある(lem-cds-spheres の 3)。円錐が頂点の両側に伸びているという仮定を外すと、「$\beta<\alpha$ の切り口は 2 つの枝をもつ双曲線」という主張が崩れ、枝は 1 本になる。壁に映る懐中電灯の光の縁が双曲線の片方の枝の形になるのは、このためである。

大学数学で見る:3 つの曲線は 1 つの円の影

懐中電灯の話に戻る。円錐 $K$ は頂点 $O$ を通る直線(母線)を集めたものなので、光源を $O$ に置くと、円錐の切り口はどれも「軸に垂直な平面の円」の影になる。

円を頂点から別の平面に映す

円錐 $x^2+y^2=z^2$ の切り口の円 $\Gamma:\ x^2+y^2=4$、$z=2$ の点 $X=(x,y,2)$ を、直線 $OX$ が平面 $\Pi$ と交わる点 $tX$ に移す(中心射影)。$tX$ は母線の上にあるので、円錐の上にある。逆に切り口の点は、ある母線の上にあり、その母線は $z=2$ でちょうど 1 点で $\Gamma$ と交わる。したがって、この対応で $\Gamma$ の点(行き先のあるもの)と切り口の点が 1 対 1 に対応する。

  1. $\Pi:\ 4z=3x+7$:$tX$ が $\Pi$ 上にある条件は $8t=3tx+7$、つまり $t=\frac7{8-3x}$ である。$\Gamma$ では $|x|\le2$ なので $8-3x\ge2>0$ で、どの点にも行き先がある。たとえば $(2,0,2)\mapsto(7,0,7)=\mathrm{A}_2$、$(-2,0,2)\mapsto(-1,0,1)=\mathrm{A}_1$、$(0,2,2)\mapsto\bigl(0,\frac74,\frac74\bigr)$ である。円全体が楕円全体に移る。
  2. $\Pi:\ z=x+2$:条件は $2t=tx+2$、つまり $t=\frac2{2-x}$ である。$x=2$ の点 $(2,0,2)$ だけは行き先がない(直線 $O(2,0,2)$ の向き $(1,0,1)$ は $\Pi$ の法線 $(-1,0,1)$ に垂直で、$\Pi$ と平行)。放物線は、円から 1 点を除いたものの影である。
  3. $\Pi:\ x=-2$:条件は $tx=-2$、つまり $t=-\frac2x$ である。$x=0$ の 2 点 $(0,\pm2,2)$ は行き先がない。$x<0$ の点は $t>0$ で上の枝に、$x>0$ の点は $t<0$ で下の枝に移る($(2,0,2)\mapsto(-2,0,-2)$)。双曲線は、円から 2 点を除いて 2 つの弧に分けたものの影である。
射影平面では 3 つの曲線は同じもの

ex-cds-projection で行き先のなかった点は、「平面 $\Pi$ の無限に遠いところ」へ行ったと考えられる。平面に無限遠の点をつけ加えた 射影平面 では、楕円・放物線・双曲線は円と同じ 1 種類の曲線(非退化な円錐曲線)になり、違いは無限遠の点を含まない・1 つ含む・2 つ含むことだけになる(この記事では証明しない)。放物線が無限遠の点を 1 つ、双曲線が 2 つ含むことは、ex-cds-projection の 2 と 3 で除いた点の個数に当たる。中心射影で図形がどう移るかを扱うのが射影幾何で、高校数学での入口は 射影変換と複比 で扱う。複素数平面の上で同じ種類の変換にあたるのが、1次分数変換(高校数学) で扱う 1 次分数変換である。

2 次曲面の平面による切り口

prop-cds-coordinate の証明の段 1 では、2 次式 $\cos^2\alpha(x^2+y^2)-\sin^2\alpha\,z^2$ に、$x,y,z$ を $u,v$ の 1 次式として代入した。2 次式に 1 次式を代入すると 2 次以下の式になるので、方程式が 2 次式で表される曲面(2 次曲面)を平面で切ると、切り口はいつも 2 次以下の式で表される曲線になる。たとえば球面 $x^2+y^2+z^2=1$ を平面 $z=x$ で切ると、$2x^2+y^2=1$ となる。平面内で $x$ 方向の長さは $\sqrt2$ 倍に伸びるので、$u=\sqrt2x$ とおくと $u^2+y^2=1$ で、半径 $1$ の円(大円)である。円錐は 2 次曲面の 1 つで、その切り口に楕円・放物線・双曲線のすべてが現れる。2 次式で表された曲線の分類は 2次曲線と2次形式 で扱う。

さらに先へ

  • 円錐の半頂角 $\alpha$ を $0$ に近づけると、円錐は円柱に近づく。円柱を軸と角 $\beta$($0^\circ<\beta<90^\circ$)をなす平面で切ると、大きさの等しい 2 つの球が Dandelin の球の役をし、切り口は離心率 $\cos\beta$ の楕円になる(この記事では証明しない。$e=\frac{\cos\beta}{\cos\alpha}$ で $\alpha=0$ とした値である)。円を傾けた平面へ正射影した影が楕円になることは 正射影と面積 で扱う。
  • 切り口の楕円の上の点での接線は、2 つの焦点へ向かう線分と等しい角をなす。これが楕円の鏡の反射の性質で、2次曲線の接線と光学的性質 で扱う。
  • 焦点と準線をもつ曲線は、焦点を極とする極座標で 1 本の式に書ける(極座標と極方程式)。

関連項目

参考文献

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